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F-X選定問題

2013年2月 3日 (日)

F-35の短射程ミサイル搭載等について

日本に納入されるF-35が、所要の性能を満たしていないとして、問題視されています。

F35、実戦配備不可能に 初期納入4機、防衛省の性能要求満たさず」(産経新聞13年1月27日)

F35Aの最初の4機の性能が、防衛省の要求を満たさないことが米国防総省の年次報告書で明らかになった。
中略
 F35Aが搭載予定の最新ソフトウエア「ブロック3」には、短射程空対空ミサイルなどを装備できる最終型のF型と、同ミサイルが搭載できないI型の2種類がある。

日本へ引き渡す機種に搭載されるソフトウエアは、「ブロック3I」と明記。これでは至近距離での対空戦に不可欠の短射程空対空ミサイルを装備できず……後略


中距離ミサイルは運用できても、短射程ミサイルが運用できないとなると、懐に飛び込まれると弱いという弱点を抱えることになり、総合的な能力として、欠陥があるとも言える状態になってしまいます。

ネットやツイッターでも話題になっていますが、一方で問題ないとの意見もあります。
F-35戦闘機がアラート任務に就く時期とブロック3ソフトウェアの書き換え」(
週刊オブイェクト)

記事趣旨としては、納入される機体が、ブロック3Iであっても、「実戦配備」には影響が出ないと言うものです。
また、ステルス戦闘機は至近距離で戦闘を行う機会が殆ど無い(有視界戦闘はステルスの意味が無い)として、ステルス機には短距離ミサイルは不要とも取れる主張をされてます。

この記事ですが、そもそもJSF氏がツイッターで、「そもそも短距離AAM、アメリカはあまり使う気が無くて、F-22にも通常は殆ど積んでないらしいし。」と発言した事に対して、私が「アメリカが短距離AAMを使うつもりが無くても、日本で必要性がない訳じゃありません。」と返しながら、過去記事「F-22が高いかどうかはROE次第」を提示したことに対して、反論として書いて頂いたモノです。

そういう経緯のある記事ですし、内容には、誤った認識が多いと考えるので、以下に書かせて頂きます。
なお、引用がめんどいので、
週刊オブイェクトさんの記事を読んでいることを前提に、はしょって書かせて頂きます。(未読の方は、先に週刊オブイェクトさんの記事をお読み下さい)

まず、実戦配備=スクランブル発進を行うアラート任務(領空侵犯警戒任務)開始ではないとの指摘について。
「実戦配備」という言葉の定義の問題になってしまいますが、空自の場合、パイロット個人に対してOR(Operetion Readiness)検定が行なわれ、初めて戦力として認められるのと同様に、部隊についてもORI(operational readiness inspection)が行なわれ、これに合格することで初めて実戦可能であると判断し、任務付与が行なわれます。これ以前は、訓練だけが任務の訓練部隊であり、実戦部隊ではありません。
つまり、空自においては、実戦配備=スクランブル発進を行うアラート任務(領空侵犯警戒任務)開始と言って差し支えありません。

次に、実戦配備遅延の可能性について。
JSF氏は、アメリカのエグリンで訓練中にブロック3
から3にプログラムさえ書き換えてしまえば問題ないとしています。
しかし、今のグダグダ状況を見る限り、そもそも3
への変更がエグリンでの訓練中に間に合う保障もありませんし、真偽の程は不明ですが、「F型は最大高度5万フィート(約1万5千メートル)とI型の4万フィートを上回る性能を持つ。」という情報もある中、プログラムの書き換えだけで3化が可能であるとの主張も疑問が残ります。ハードの変更も伴うのであれば、改修自体にも時間が必要です。

そして、それ以上に確実に問題なのは、エグリンで行なわれる作業が、単なるパイロットの訓練だけでは無いことです。
私も、F-15導入時の米国での作業については詳細を知りませんが、自衛隊が新装備を受け入れるに当たって、最初に行なう作業は、自衛隊としてのマニュアルや教育訓練の計画作成です。
もちろん、F-35の購入に当たってメーカー、米軍からマニュアルは渡され、恐らく既に翻訳作業は進んでいるでしょうが、自衛隊として運用するには、これだけでは足りず、前述のような作業が必要になります。これらの作業は、最初に器材に触れる人間が行なわなければなりません。
が短射程ミサイルを使えないことで、この部分に関する作業は確実に遅延します。

通常は3年程度かかる新機種の導入作業が、コレによってF-2のように4年かかるかどうかは不明です。
もちろん、空自は早期導入に努力するでしょう。
しかし、そこに無理があれば、危険性が増します。F-2の場合、特定の装備をしなければ問題が発生しなかったため、運用制限で問題を回避できる可能性もありましたが、それでも4年かけました。
訓練機ですが、T-4の墜落事故についても、配備を急ぎすぎたという意見はありました。

この納入機が3
となることは、空自にとって、予想外の負担をかけることは間違いないのです。単純に、間に合うから問題ありません、とは言えません。

次に、最も重要な「ステルス戦闘機は至近距離で戦闘を行う機会が殆ど無い(有視界戦闘はステルスの意味が無い)」という主張について。
「短距離AAM、アメリカはあまり使う気が無くて、F-22にも通常は殆ど積んでない」そうですが、F-22にしても、F-35にしても、中国が戦力化している最新のJ-11やSu-30MKK、J-10などとの戦闘では、最強の戦術はウォール隊形で前進、相手から捕捉される前に、一方的にAMRAAMを撃って反転退避です。
これだけで交換比は、簡単に100を越えるでしょう。AMRAAMを射耗する中距離戦闘後、接近して短射程ミサイルなど使おうものなら、交換比を悪化させるだけです。
この状況では
、確かに、短射程ミサイルなど不要です。

ところが、相手もステルス機を出してくると、この状況は一変します。
ステルスが相手ですと、レーダーで捜索しても、所詮相手を捕捉できません。むしろF-35が搭載するAN/APG-81は、ESM機能も搭載していると言われ、おそらくJ-20でも同様の機能を搭載してくる事を考えると、レーダーを作動させると、所在方位を暴露することになります。
いきおい、ステルス対ステルスでは、レーダーもパッシブ作動させAN/AAQ-37 EODAS等と共にパッシブでのセンシングに頼って戦闘することになります。
EODASは、相当遠距離でも目標を捕捉できる可能性があり、AMRAAMの必要性がなくなる訳ではありませんが、当然の事として、侵攻側としては雲を利用するなど対策を講じてきます。雲を出たとたんに、目の前に敵機がいたというような状況が想定され、ステルス対ステルスでは、非ステルス対非ステルスの現代と比較しても、間違いなく近距離戦闘の可能性は高くなります。
この状況で、短射程ミサイルを搭載していないことは、致命的でしょう。

そして、この事を予測しているからこそ、アメリカは、格闘戦用として高い能力を持つEODASを開発装備しようとしています。
EODASについては、JSF氏も、前掲記事の直後に非常に詳しく記事を書いているので、その存在は十分に知っているはずです。
F-35戦闘機の電子光学分配開口システム「AN/AAQ-37 EO DAS」

この戦闘様相の変化は、潜水艦の静粛性が高まったことから、潜水艦対潜水艦戦が、アクティブソナーからパッシブソナーでの戦闘に移行したことに似ています。
また、シースキミングミサイルの発展に伴って、艦載対空ミサイルの長射程能力が価値を減少させ、ESSMが登場したことにも似ています。

ステスル機では、短射程ミサイルは重要性を増しこそすれ、必要性が薄いなどいうことはありません。
ただし、前述のように相手がステルス機を出してこない限り必要ないので、開発の優先度が後回しになっていることは合理的です。
また、日本のように、ROE(部隊行動基準)でVID(目視識別)を要求する可能性があれば、短射程ミサイルは尚のこと重要です。冒頭に
挙げた過去記事参照。

続いて、ステルス戦闘機でアラート任務に就く場合、わざわざレーダーリフレクターを装着する理由について。
アラート機が対象機に接近する際は、可能な限り後方に回り込んで接敵します。(いきなり撃たれると困るため)
自ずと、対象機のレーダーの覆域外です。
リフレクターを使用する理由は、存在をアピールするためではなく、ステルス性能を情報収集されないためです。存在をアピールするなら、機上レーダーで捕捉してやればOKですが、対領侵では極力やりません。

最後に、配備地とその理由について。
空自が、F-35を三沢基地に配備予定なのは、各種訓練・試験の際に、データ取りをされないためではないかと思います。
また、この要素だけなら、百里の方が望ましいでしょうが、三沢の方が、ロッキード・マーチンの技術者が、米軍の定期便等で、サポートに来日し易い事も影響しているでしょう。

それでも、ORIを受け、対領侵任務を付与されれば、F-35もリフレクターを装着し、普通に対領侵に投入されるでしょう。FSだったF-1さえ対領侵を行なっていたのですから。
それに、任務付与される頃には移駐することになるかもしれません。

JSF氏は、F-35が、ステルス能力を生かした視界外中距離空対空戦闘、対地爆撃、偵察任務に投入されるべく後方で温存されるとしていますが、中国がJ-20を実戦投入してくれば、非ステルス機では一方的に被害を受けるだけであるため、F-35を出さざるを得ないハズです。

週間オブイェクトさんの記事については以上です。

F-35については、開発の遅れなど不確定要素が大きく、今後も計画されている事項が次々変更されることもあるかもしれません。
当面、注目して行く必要があると思われます。

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2012年1月19日 (木)

やっぱり出来レースだったFX選定

昨年末の20日、FXの選定結果について、防衛省から正式アナウンスがありました。

航空自衛隊の次期戦闘機の機種決定について

「性能」、「経費」、「国内企業参画」及び「後方支援」の4要素について総合的な評価を行い、これら4つの要素の評価点の合計が最も高かったF-35Aを次期戦闘機として決定した。


詳細は、
別添資料(PDF)
で公開されています。

「性能」、「経費」、「国内企業参画」、「後方支援」の4要素で評価でしている訳ですが、詳細を見ると、「やっぱり出来レースだったんだな」、というのが感想です。
で、その詳細を見てみます。

まず「性能」
Ws000010
ここはまあ当然でしょうね。問題は、どの程度評点に差があったかですが、肝心のそこは公開されておりません。

次に「経費」
Ws000012
経費でも、F-35が最高点?
僅差だったとは言え、俄には信じられません。

そして、この「経費」要素に、空中受油方式を評価項目として盛り込んでいる点が、非常に恣意的に見え、ついては、全体が出来レースだったと印象を強化しています。

プローブ・アンド・ドローグ方式のF-18及びタイフーンは、追加の改修経費が必要とのことですが、KC-767の方をプローブ・アンド・ドローグ方式にも対応できるよう改修すれば、それほど費用は要しないでしょう。機数が少ないですから。それに、将来的に、KC-767による空中給油での国際貢献(海自の補給艦のように)の場が出てくる可能性等を考慮しても、なんで当初から両方式対応にしなかったのか疑問なくらいです。(イタリアのKC-767Aは、両方式対応)

それに、F-35では、国産ミサイルをウエポンベイ内に搭載しようとすれば、ミサイル側を含めて、相当の改修費用が必要になるはずですが、それらの費用は見込んでないのか疑問です。
(国産ミサイルを搭載するつもりは、はなから無いのかもしれません)

続いて、「国内企業参画」
Ws000013Ws000015
一応、F-18と特にタイフーンを持ち上げてはいます。ですが、F-35は、明確に低かったと思われるものの、やはり、どの程度低かったのかは分かりません。

最後に、「後方支援」
Ws000016
3機種で評価が拮抗したとされていますが、F-35に関しては、各所で表面処理に係わるメンテナンスの困難があると言われているものの、それによるマイナス評価については言及されていません。現場の苦労を相当すると、この点ではF-35は、相当のマイナス評価を下すべきと思うのですが、おそらく安易にセールストークを承認してしまっているのではないかと思われます。
また、F-35については、故障部位の特定機能や交換時期の予測診断機能があることをもって高評価を下したようですが、米軍なら良いでしょうが、自衛隊では、大した役には立ちません。(個人的には、むしろマイナス評価を下したい)
米軍では、マニュアルを読むだけで精一杯の整備員が整備を行うからですし、補用品のストックが少ない自衛隊では、故障部位を特定した上でデポに送り返せと言われるのが関の山で、こんな機能があれば、かえって現場での整備は苦労させられるくらいです。
どう見ても、無理くりF-35に最高評点を付けたように見えます。

以上の4要素をもって、総合評価を決めた結果、F-35になったとのことです。
Ws000017

ですが、総合評価の決めてとなる配点は、残念ながら資料に載っていません。
ただし、ソース不明ながら、wikiには「性能」50点、「経費」22.5点、「国内企業参画」22.5点、「後方支援」5点となっています。
これだけ見ても、経費や国内企業参画、後方支援で無理な評価を付けなくても、F-35に決まりそうです。まあ、その意味では、妥当な結論になったとも言えますが。
一川当時防衛相も「基本的に性能重視に尽きる」と言っておりました。

それならば、最初から出来レースなのであれば、大仰な選定などしなくても良かったのに……と思えてしまいます。

まあ、ロッキード・マーチンから誓約書を取付けるための揺さぶりとしては役に立ったのでしょうが、当て馬にされた2機種のメーカーや国はたまらないでしょう。
Ws000018

2011年12月19日 (月)

FXへのF-35決定により「空白埋める代替案」の必要性_中古F-15、F-2再生産、T-4改

先週火曜の13日、FXにF-35を選定する方向で最終調整に入ったとのニュースが複数紙で報じられました。

この際、16日(金)にも安保会議で決定されると報じられましたが、これは20日(火)にずれ込むことになったとのことです。(金正日が死んで、当然延期でしょうけど)
これは、最終調整に入ったと報じられた13日、F-35の開発が、機体不具合により2年遅れることが明らかになったためだと思われます。

F35 開発2年延長 米国防総省方針 日本2016年導入困難」(産経新聞11年12月13日)

F35に多数の亀裂が見つかったのを受け、米国防総省がF35の開発調達計画を2年間遅らせる見通しとなった。
(中略)
 方針を受けてF35の運用開始は、当初の2017年から19年以降にずれ込むことが確実となり、日本のFX調達計画も抜本的な見直しが迫られそうだ。


今までもFXにF-35を選定した場合の納期の問題は、たびたび指摘されて来ましたが、来年1月に行われる、この国防総省の諮問機関「国防調達委員会(DAB)」会合による決定は、F-35の運用開始時期を2019年以降に確定させるものであるため、F-35の日本への納期も、2019年以降となることを確実にします。

これを受けて、産経がちょっと気になる記事を書いています。
F35開発延長 FX選定見直し必至 空白埋める代替案必要」(産経新聞11年12月13日)

 日本側には、仮にF35を選定する場合、(1)DABの結果を見極めるためにFX選定を延期する(2)F35を選定した上で、(3年間近く生じる)実戦配備までの力の空白を埋めるための措置をとる-という代替案としての“プランB”の策定が不可欠となってくる。


決定が更に遅延したり、土壇場での大どんでん返しの可能性もありますが、以下では、FXにはF-35が選定されるという前提で、同記事が報じる3年(恐らくそれ以上)の”空白を埋めるための措置”について考察してみます。

”空白を埋めるための措置”を講じないというオプションもありますが、空白を放置すれば、財務から純減圧力が高まるのは確実で、空自が措置を講じないことはないと思います。

さて、この”空白を埋めるための措置”ですが、簡単に考えれば”数合せのつなぎ”を調達する方法があります。
その機種に関しては、極めて限られます。FXはF-35に決定するという前提があるわけですから、FX選定に入っていたような新機種調達はありえない訳です。
つまり、F-15かF-2しかないのです。
未だ諦めきれない駐日英大使は、2機種採用なんて言う、愚にも付かない事も言ってますが。
2機種採用も選択肢に FX選定で、駐日英国大使」(産経新聞11年12月15日)

調達方法も限られます。F-2なら再生産するしかありませんし、F-15なら中古機の購入、あるいはリースです。
個人的には、FXへのF-35選定による防衛産業への悪影響を考えても、F-2の再生産がいいと思いますが、数合せのつなぎであることを考えても金はかけられませんし、中古F-15の調達が実現性が高そうです。
自衛隊が中古機を買った事例が少ないですが、先日3次補正で中古C-130を海自が買いましたし、ありえない話ではなくなってます。

ここまで、”数合せのつなぎ”調達について書きましたが、実は、もう一つ可能性のあるオプションがあります。

それは、07大綱を受け、2000年に航空総隊から教育集団隷下に(事実上)隷属替えとなった23飛行隊(飛行教育航空隊:F-15)の機体を引き抜き、作戦機に戻すことです。

ただし、この場合、23飛行隊の機体がなくなりますから、その手当が必要です。
その際の問題は、23飛行隊が行っている戦闘機操縦課程に使用する戦術戦闘訓練が可能な適当な機体が見当たらないことです。(ちなみにF-15の機種転換過程は、他のF-15装備の作戦部隊でも実施できます)

ブログ「北大路機関」様では、戦闘機操縦過程の使用機体として、グリペンを推す案を書かれています。
JAS39Dグリペン:松島基地第四航空団F-2B補填に関するPBL方式運用基盤案

FX候補に推す声まであったグリペンを戦闘機操縦過程に使用するのは贅沢過ぎなので、私はこれが適当とは思いませんが、23飛行隊から機体を引き抜けば、4空団での戦闘機操縦過程が震災によって停滞していることを考えても、飛行教育に対する影響は大きいので、何らかの措置は必要です。

建前的には、T-4は、T-2が負ってきた高等練習機の後継でもあるので、T-4で戦闘機操縦過程を行うべきかもしれません(財務はそう言うかも)が、F-1を原型とするT-2と違い、T-4は純然たる練習機ですから、戦闘機操縦過程を現状のままのT-4で行う事は無理があります。
T-4の改造余地が分かりませんが、もしかすると23飛行隊からF-15を引き抜いた上、T-4改によって、戦闘機操縦過程を代替すると言った案が、今後出てくるかも知れません。

2011年11月29日 (火)

F-15延命プランは、FXへのF-35選定圧力を高める

ブログ「アシナガバチの巣作り日記」様がFXの選定にも影響するかもしれない興味深い記事を載せています。
米空軍のF-15改良計画に思うこと

記事は、ボーイングが、F-15の大幅な延命プランを検討しており、空軍が興味を持っていると伝えています。
F-15C/Dの機体寿命を9000時間から18000時間に倍増できる可能性があるとのこと。

信憑性は不透明ですが、これがもし実現すれば、空自の今後の航空機選択にも影響は必須です。
もう時間がないため、どれだけ影響するか分かりませんが、FX選定にも少なからず影響が出るでしょう。

前記記事で、FXの機種選定後に検討課題となるF-15Pre-MSIP機の後継選定について、FXがF-35となるなら、Pre-MSIP機後継もF-35となるだろうとの、小川和久氏等の見解が紹介されています。
これに関しては、私もこの見解に同意です。

主な理由は、装備機種数を抑えないと、補給・整備・教育などのあらゆる点で、維持コストがかかりすぎるからです。空自は、現在でもF-4、F-15、F-2の3機種体勢です。(F-15は、
MSIP機とPre-MSIP機で大分違いますが
トラブルによる飛行停止などの事態にそなえて複数機種を保有したいという納得のできる理由があるにせよ、これが、コストを押し上げている事実は否めません。
ヨーロッパ各国では、2機種あるいは1機種体勢にする予定の国さえあります。
当然、4機種になれば、更にです。

FXにF-35を選定した場合、Pre-MSIP機もF-35にしないと、4機種体勢になってしまいます。また、FXにユーロファイターやF-18を選定すれば、空自はPre-MSIP機後継に第5世代機を絶対に望むでしょうから、嫌でも4機種体勢です。(まさか、5世代機なしの選択はないでしょう)
ちなみに私がFXを諦め、F-2再生産にすべきだと主張していた主因も、この運用機種数の問題です。今F-2でガマンしておけば、Pre-MSIP機後継に5世代機を持ってきても、3機種で済みます。

ですが、F-15の大幅延命が図られるとなれば、状況は変ってきます。
Pre-MSIP機後継を、新機種導入ではなく、延命+モダナイズでしのげる可能性も出てくるからです。この場合、FXに何を選定していても、3機種体勢を維持できます。
正直、空自としては、嬉しくない情報かもしれません。中古機の延命でガマンしろと言われる可能性が出てくる訳ですから。

前記記事の情報に関して、当然のことながら、空自は、ボーイングに照会しているでしょう。
もし、延命できる可能性があるなら、FXにユーロファイターやF-18を選定してしまうと、空自は、Pre-MSIP機後継においても第5世代機を導入できない可能性が出てきてしまいます。
それを考えると、空自は、FXに、なんとしてでもF-35を選定しようとするかもしれません。

2011年10月10日 (月)

熾烈化するFX売り込みと速度性能

来年度の概算要求にFX4機の調達が盛り込まれ、FX選定がいよいよ熾烈化してきました。

ボーイングは、軍事研究誌の裏表紙に、8、9、10月とスーパーホーネットの宣伝を続けて打ってます。
鈍足とのイメージを払拭するためか、ショックコーンが映った写真です。
F18
ロッキードマーチンは、軍事関係書籍ではない日経ビジネスにまでF-35の宣伝を乗せてました。
BAEシステムズは、上級軍事顧問で前英空軍参謀長のグレン・トーピー卿を送り込み、トップセールスでタイフーンの売り込みをかけてます。

そんな中、F-35に関して、最大の懸念だった国内産業への悪影響を払拭するため、ロッキード・マーチンは、一部国産化を認めているという報道が出ています。
次期主力戦闘機、F35が最有力候補に 米側が一部国産化容認」(産経新聞11年10月3日)
F35の主要部、国内企業も参加…米社提案」(読売新聞11年10月8日)

FX選定は、実質的には、F-35かF-18かの2択のような気がしますが、3機種の内、どれが最適なのかは、一長一短あって難しいです。
純粋に戦力として考えるならF-35ですが、来年度予算に費用を計上したとしても、調達時期は不透明ですし、前記報道の一部国産化が可能だったとしても、国内産業へのダメージは大きそうです。
ただし、FXXを国産で5世代機を作るという決意があるなら、技術吸収のためにも、一部国産化の約束をとりつけつつ、F-35は妥当な選択だと思います。

詳しくは別の機会に書きたいと思いますが、来年度概算要求にF-15へのIRST搭載改修が盛り込まれました。
これなんかも、前衛としてF-35で全般航空優勢を確保しつつ、その中をステルス性でかいくぐってくる中国のJ-20からAWACSなどの目を護衛するためか、などと思えます。

さて、F-35は、足が遅いと言われるF-18より更に遅く、要撃戦闘を実施する空自向きではないとする批判があると思います。

詳しいデータは公表されていないので、一概に述べることは難しいですが、少なくとも、外装物なしのクリーン状態でのカタログスペックをもって、F-35を鈍足とすることは間違ってます。

説明がめんどいので、私が言いたいことは次のリンクを見て下さい。
戦闘機の『最高速度』とは
どこから持ってきたのかソースがとっても怪しいですが、カタログスペックで最高速度M2.5と言われるクリーン状態のF-15が、外装物を付けると如何に遅くなるか、が非常に良く分かると思います。
そして、重要なことは、戦力として考える場合、クリーンでの性能なんて何の意味もないということです。(逃げ足には影響しますが)

対して、F-35は、基本的に武装をウェポン・ベイ内に収容するため、カタログスペックが、ほぼ戦力として稼働する際の性能です。
ロッキード・マーチンのサイトなので、割り引いて見る必要があるかも知れませんが、FX候補となっているF-35Aは、ウエポン・ベイ内にミサイルを搭載した状態でM1.6の速度が出せます。
F35spec
オマケで、ネットサーフしている際に見つけたF-35とF-22のミリタリーパワーでの速度性能比較を貼り付けておきます。
F35f22flightenvelope
ソース
信憑性が分かりませんが、この通りだったとしたら、この一事を持ってしても空自のF-22への拘りようが理解できるというものです。
ギリギリの限界性能の差異が、決定的に勝機を分けかけない戦闘で、50%もの能力差があったら、結果は歴然でしょう。

最後に蛇足を
防衛省はあまり気にしていないと思いますが、韓国にF-35購入の動きがあることを気にする方は多いでしょうね。
ロッキード・マーチンのサイトでは、F-35の売り込み先として、日本とならんで韓国が書かれています。
F-35.com韓国ページ
F-35.com日本ページ
日韓どっちがF-35を買っても、相手側では騒ぎになるでしょう。それを予想するから、ロッキード・マーチンも、こうやって双方を煽るような宣伝をするんでしょうね。

2011年7月17日 (日)

あんたは関心持たなくていいから……

「実は、FXにはすごく関心があるんだ」と、地位に恋々とする権力亡者が言ったそうです。

ミリオタ自称 菅首相「FXに関心ある」」(産経新聞11年7月10日)

資料に添付された3機種の写真を目にすると、首相はすかさず反応した。「おっ、これは…」と言いながら、ある機種を指さそうとしたという。


臨界を知らずに原発に詳しいと言ってみたり、自分自身が自衛隊の最高の指揮監督権を持っていることを知らなかったりする人間が、どうせろくに知りもしないことに口出ししないで欲しいものです。

ただ、どれを指さしたかは気になります。

2011年4月 6日 (水)

F-2水没でパイロット育成方法見直し

当然に予想されていたことですが、震災によるF-2水没被害でパイロットの育成方法が見直されます。

ソースは読売新聞ですが、ネットには載っていないので転載しておきます。

操縦士育成方法見直し 防衛省方針 空自松島基地被災で(読売新聞11年4月5日)

 防衛省は4日、宮城・松島基地を拠点に行っていた航空自衛隊のF2、F4両戦闘機のパイロット育成方法を見直す方針を決めた。
 東日本大震災で同基地が大きな被害を受けたためだ。週内に岩崎茂航空幕僚長ら幹部による対策会議を開き、具体案作りに着手する。
 松島基地では、パイロット育成用に使ってきた18機のF2全機が津波に流されたり、水に浸かったりした。このほか、T4中等練習機4機、U125A救難捜索機2機、UH60J救難ヘリ4機も被害を受け、被害額は航空機だけで最大2300億円に上る見込みだ。
 修理して使用が可能になるかどうかを調べる内部点検も終わっておらず、新たに調達する場合も5、6年かかるとみられるという。
 このため、対策会議では、①育成業務を他の基地で代替できるか、②他の基地のF2を育成用に松島基地に移せるか――などを中心に検討を進める。
 同省幹部は「松島基地の被災は日本の防空体制の維持にボディーブローのように効いてくる」と懸念しており、早急に見直し案をまとめて実施に移す考えだ。


松島のF-2は18機は、基本操縦課程及び戦闘機操縦基礎課程を終了したパイロットに対して、実戦部隊で使い物になるように戦闘機操縦課程の教育を施すために使用されていました。
もしこの18機が全損であれば、このままだと戦闘機操縦基礎課程を修了し、戦闘機を飛ばすことだけはできるようになったヒヨっ子パイロットを、即実戦部隊に送らざるを得なくなります。

そうなれば、部隊の負担は過大なものになり、記事にあるコメントのように「防空体制の維持にボディーブローのように効いてくる」ことになるでしょう。
ちなみに、F-15での同等の教育は、新田原の第23飛行隊が実施しています。

F-16Bをリースして代用すると言った意見もありますが、次の図を見れば分かるとおり、原型がF-16であっても、翼面積等大きく異なっているために操縦特性には違いがあり、代用は難しいです。
松島での教育が、戦闘機操縦基礎過程であれば良かったかもしれませんが、現場で使い物になる戦技を教え込む戦闘機操縦過程の教育用としては、使えません。
F2andf16
F-2とF-16の機体平面形比較(wikiより)

記事によると、対策会議でまな板に乗る案としては次の2案があります。
①育成業務を他の基地で代替
②他の基地のF2を育成用に松島基地に移す

三沢の第3飛行隊か第8飛行隊あるいは築城の第6飛行隊に任務を移す、あるいは飛行隊自体を教育集団隷下に入れて第21飛行隊にとって替わらせるということになります。
対象となる部隊は、対領侵の負担などを考えれば第6飛行隊が良いかなとも思いますが、そうなると西空の実戦配備機は、F-15が第304飛行隊1個とF-4が第301飛行隊1個となりあまりにも手薄な感があります。やはり2個飛行隊ある三沢のどちらかを教育任務に当てることになるのでしょう。

どちらにしても、「ボディーブローのように効いてくる」ことは避けられません。

それを避けるには、以前から主張しているようにFXをF-2の再生産とし、教育所要を含めて追加調達することが望ましいのではないでしょうか。
この点では、ブログ「朝日将軍の執務室」を書いている朝日将軍氏と同意見です。
<ほぼ日刊ラプターJ 468機目>F2戦闘機を90機緊急調達が望ましい

ただし、朝日将軍氏が書いているRF後継や損耗予備まで含めるのは、この予算逼迫のなか難しいと思います。
私は、その金があるなら、FXXの開発資金に回すべきだろうと思います。

F-2では殲20やT-50に太刀打ちできないと見向きもありますが、空自の場合、敵地上空で戦う可能性は低いのですから、対ステルス化した地上レーダーとリンクを使った連携をとりつつ、AAM-4改のさらなる能力向上を図るなど、国産であることのメリットを活かせば対応可能ではないかと考えています。

2011年1月18日 (火)

FX選定本格スタート

 FX選定のプロジェクトチームがスタートし、選定作業が本格化してきました。

次期戦闘機選定のPT発足 防衛省、F35など比較検討」(共同通信11年1月7日)

この関連で、ちょっと気になったのは共同通信が報じた北沢防衛相のコメントです。

 北沢俊美防衛相は、会議の冒頭で「スケジュールが極めて厳しい中、スピード感を持って検討しなければならない。国民の理解が得られるようなプロセスでしっかりと機種選定をしていきたい」と述べた。


「国民の理解が得られるようなプロセス」とのことですが、FXの選定に関して、防衛省・空幕は、今までほとんど何も明かして来ませんでした。

年末から、J20の写真が出回ったり、初飛行のニュースが報じられたりする中、どのような脅威を想定し、何処を基地として使用して、何処を戦域として設定するのか、そして敵を撃墜するのか、行動を阻害するだけで良いのか等、詳細は明かせなくても、概略だけでも公表しなければ、国民の理解なんて到底無理じゃないでしょうか。

国民はお上の決定を伏して拝聴すれば良い、と思っているのでなければ、もう少し説明をして欲しいところです。



2010年11月10日 (水)

FXへのF-35選定は発想の貧困から

2011年度の予算も通ってないのに、2012年度予算の概算要求話題です。

FXにF-35を選定し、2012年度から調達費を要求するそうです。

F35軸に12年度予算化へ 次期戦闘機で防衛省」(共同通信10年11月8日)

ニュースの信憑性はいまいちです。
何せ、今日には次期中期防には「新戦闘機」として機種に触れないという報道も出ています。
次期戦闘機、機種触れず…F35開発遅れで」(読売新聞10年11月10日)

しかし、F-35の調達予算要求が本当だとしたら、防衛省(空幕)は発想が貧困です。

以前にも、FXとしてF-35を選定することに反対する記事「F-2がベスト」を書きました。
重複になりますが、FXにF-35を調達すれば、F-15Pre-MISPもF-35となる可能性が高いですし、そうなれば国内の戦闘機生産基盤は崩壊となるからです。

もしこの報道が本当だとしたら、今回の尖閣漁船衝突事案のおかげで、政府がビビッて、空幕の口車に乗せられたのではないかと思います。

中国と尖閣周辺で衝突するとなれば、上空での航空優勢確保に、F-15あるいはF-2では不安が残ることは確かです。

数でなんとかする、という発想もあるでしょうが、それを運用する航空基地が那覇だけでは運用可能機数が限られる上、遠すぎて話になりません。
下地島もフルで使える(常駐の空自基地化)のであれば、数で何とかするという手も使えるかも知れませんが、いろいろとハードルがあります。

ですが、これらは固定化された発想のたまもので、F-35を導入するという以外にも、中国に対抗する手はあります。

今回の事案で、政府も身にしみたと思いますが、尖閣だけに限定された衝突でも、米軍の存在は欠かせません。
ですから、もっと米軍の存在を前提に考えても良いはずです。

日本の航空作戦は、専守防衛という建前のため、防御(DCA:防勢対航空作戦)としての航空優勢の確保を自衛隊が、攻撃(OCA:攻勢対航空作戦)を米軍が行うという役割分担となっています。

ですが、時代は変りましたし、保有する航空機に併せて、役割分担を替っても良いはずです。

つまり、尖閣上空の航空優勢の確保を嘉手納から運用されるF-22が行い、対艦攻撃による水上戦力の接近阻止を自衛隊が行う、ということです。

そのような発想に立てば、FXにはむしろF-2の方が都合が良いくらいです。

事案が突発したり、奇襲を受けたりしたら、嘉手納にF-22が展開するのが間に合わないんじゃないか、と思う方もいるでしょうが、別に間に合わなくてもOKです。

何せ、尖閣防衛のための作戦計画である防警計画は、「取られてから取り返す」方式だからです。(以前の記事「対中国防警計画は間違っている」参照)

つまり、尖閣が占領された後、おもむろに米本土からF-22が展開し、自衛隊はそれを待ってから作戦を開始したって良いのです。

防空自衛隊(航空自衛隊ではない)が航空優勢の確保を自前で行いたいのは理解していますが、国内開発基盤の確保やF-35開発の遅延など、諸般の情勢を鑑みれば、従来の発想を脱却した戦力構成と作戦の役割分担を考えても良いはずです。

2010年8月 1日 (日)

F-2がベスト

FXの選定は迷走していますが、概算要求を目の前にして、報道も迷走しています。

既に記事が消えてますが、6月には中日新聞が機種未定ながら予算計上を報じていますし、先日もちょっとだけ触れたように、F-2を再度調達するという報道もあります。
F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め」(産経新聞10年7月19日)
そして、更に一転して予算計上を見送りというニュースも流れました。
空自FX、調達費計上見送り…有力候補開発遅れ」(読売新聞10年7月26日)

F-2の再調達は産経だからアヤシイという意見が多いみたいですが、「検討」していることは以前からしているでしょうから、ウソとは言えないでしょう。

それはさておいて、以前から何度か言及しているとおり、私はこの方向(F-2の再調達)にすべきだと思っています。

読売の記事にある通り、23年度も調達を見送るとしたら、空自の意図はF-35の選定にあることは間違いありません。
他の機種を選定するつもりなら、これ以上選定を遅らせる必要がないからです。

そして、FXがF-35になるとすれば、F-15Pre-MISPもF-35で置き換えなければならなくなるでしょう。
Pre-MISPをFXとは別の機体で置き換えるとしたら、F-15MISP、F-2、F-35、+αの4機種も運用することになり、多大な運用コストをかけなければならなくなるからです。

そう(Pre-MISPもF-35で更新)なれば、おそらく国内の戦闘機生産基盤は崩壊するでしょう。
これは、避けなければならない事態です。
輸入でいいじゃん、という方もおられますが、実際に現場で国内メーカーのサポートを受けた者としては、賛同しかねる意見です。

という訳で、私はFXにF-35を選定すべきではないと考えています。

そもそも、F-15、F-2それにFXという3機種体制でさえ、自衛隊には贅沢過ぎます。(空自は結構それに拘っているようですが)

欧州各国を見ても、タイフーンとF-35など2機種体制を目指しており、ドイツなどはタイフーンのみの1機種体制の方向です。

役に立たない旧式機では話になりませんが、F-2が追加調達される場合には、当然AAM-4の運用能力など空対空能力が強化されたものになるでしょうから、AWACSやKCの存在と相まって、J-14が出てきたとしても太刀打ちできないということは無いように思います。

タイフーンはブラックボックスが無く、AAM-4など国産ミサイルの搭載やAESA搭載にも対応させられることから、国内基盤のためにもタイフーンが良いという意見もあるようですが、タイフーンを改造するくらいならF-2を改造した方が長期的な観点ではプラスが多いでしょう。

F-2の再生産にはロッキード・マーチンの生産ラインをどうするかと言った問題がありますが、これが障害になる(交渉に応じない)くらいなら、アメリカとの共同開発なんて金輪際やれません。

FXにF-35を選定せず、機種も増やさない選択にはF-2の他、F-15FXも入ってきますが、国産ミサイルの運用などのために開発費用も必要になってきます。
そう言ったことまで考えれば、やはりFXはF-2でガマンすべきです。

そして、それによって、Pre-MSIP機の更新において、完全な第5世代機を、より広い自由度を持って選択できる態勢を作るべきだと思うのです。

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