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F-X選定問題

2008年6月27日 (金)

F-X選定の視点(環境を考慮した選定)

「次期F-Xについて考えるスレ 18機目」に名無し三等兵さんから次のような書き込みがありました。

>582
>仮想敵国と同等の性能の機体を、数をそろえて五分に持ち込むってのが安全
>確実な戦争抑止戦略だと思うんだよな。
>少数精鋭で数頼みの敵を圧倒なんてのは先の大戦で否定されたと思うんだが
>なぁ。
>個々の戦力が高い=1機の損失が大幅な戦力ダウンだろ。
>現代戦じゃ戦闘機やパイロットの補充はまず無理だからな。
>空自の中の人はまだ零戦の栄光が忘れられないのかね

正論だと思うのですが、戦闘の結果は、環境に大きく作用されます。
当然、自衛隊では環境を踏まえて、様々なパターンを考慮したシミュレーションを行います。
そして、その結果を持って防衛力整備を行うわけですが、次期F-Xスレなどでは空自をスペック厨と評しながら、ほとんどスペック中心で語られます。

そこで、空自の考えを推測して、次の通り書いておきました。

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基本は582のとおりだと思いますが、
F-22を欲しがる空自の頭の中には、那覇から上がって尖閣で戦うことがあるんでしょう。
F-22以外だと、距離的ハンデから尖閣で戦うためには先島を使わないと十分な戦力を集中できないと思えます。
その場合に、先島が攻撃されると、数的劣勢で基地が被害を受け、その後の戦闘がおぼつかなくなることを恐れているのではないでしょうか。
F-22なら、安全な那覇から上がって、数的劣勢でも被撃墜を受けることなく、何ソーティでも行動できます。

個人的には、政治的に中国が先島を攻撃できるとは思いません。
数を確保するためにも、F-22でなくとも良いと思います。
あんまりショボイのでは困りますが・・・・

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もちろん、尖閣のことだけを考えて機種選定をしているハズはありませんが、同様の考え方で、対北朝鮮なども考えているハズです。
尖閣に関して言えば、多分外してないでしょう。

2008年7月 1日 (火)

F-X選定における対地攻撃能力

「次期F-Xについて考えるスレ」で敵地での対地攻撃能力について話題が出てました。
ところが、F-Xについて考えるスレのはずなのに、敵地を攻撃するべきか否かというところにばかり論点が行っており、そのためならF-Xには何が良いかという方向に行っていなかったため、次の通りコメントしました。

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このスレでは空対空戦闘能力に論議が集中しますが、敵地攻撃を考えた場合、ラプターは他の機種に比べて抜きん出た能力があります。

搭載量が少なく、1ソーティで破壊できる目標数は限られるが、敵がS-300クラスの高性能長射程SAMを保有していても、高高度でスーパークルーズしつつ回避機動をすれば、命中弾はまず発生しません。
速度は少し下がるが、LO能力を高めたSR-71のような機体は、防空側からすれば極めてやっかいになります。

コストも考えた時、必ずしもラプター選定には賛成しませんが、敵地攻撃を行うつもりならば、ラプターは最良です。

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航空戦力の意義は、攻撃にこそあるんですが、航空ファンの興味は、空対空戦闘にあるようです。
SAMについてあまりにも知られていないということもあると思いますが、知らず知らずの内に専守防衛的な発想になっているという側面もあるように思えます。

また、この書き込みに対して、
スーパークルーズでSAMの無効化ができるのか?
という点と、
SAM撃たれている点でステルス能力が低いということなのでは?
という疑問が出されていました。

簡略化し過ぎて誤解を与えたようでしたので、次のとおり答えました。

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言葉足らずでゴメンなさい。
スーパークルーズだけでSAMの命中率を下げられるわけではありません。
高高度の高速旋回、退避がミサイル回避に有効と言いたかった訳ですが、 ラプター以外はこれを行うためにAB使用を余儀なくされます。
普通は残燃料との関係で無制限でABを使用するわけには行きません(防空側からすれば、撃墜でも燃料切れの墜落でも効果は同じ)が、ラプターでは必ずしもABを使う必要が無いってことです。

それとステルスについて
もちろんSAMを撃たれる時点で発見されているわけですが、ステルスの基本がレーダー反射を無くすわけではなく、反射方向を限定することが大きな要素なので、SAMの発射後でも、機体の姿勢を変化させるだけでも、SAM側は目標をロストする可能性があります。
(おまけに普通はチャフなどのECMも併せて実施されます)
レーダー反射波の強度も、(SAMレーダーと目標間の距離+目標とミサイル間の距離)の二乗に比例して低下するので、ミサイルから距離をとるように機動すれば、ミサイルシーカーのロックが外れる可能性も高くなります。

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SAM回避については、もう少し詳しく書きたかったのですが、スレ趣旨とは外れて来そうなのでこの程度に止めてます。
この後、スーパークルーズの意義について、板内で多少議論になってましたが、ちゃんと分かっている人も居たので安心しました。
が、????な意見も結構多く、航空雑誌もこういう観点のことをしっかり書いてほしいものです。他の能力と相まって、大きなアドバンテージとなるスーパークルーズなどについては、あまり書かれていないように思います。
そりゃ空戦能力や、相手の能力をゼロにもするステルスは、耳目を引きやすいんでしょうが・・・・
最後に、スレ趣旨と外れそうなので書かなかったSAM回避についての詳述部分を、せっかく書いたのにもったいないので載せておきます。

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高高度の高速旋回、退避がミサイル回避に有効ということには幾つかの理由がありますが、原理としてはSAMのロケットモーターが発生させるエネルギーを、効果的に消費させられるということです。
まず、高高度だと、高度を上げるだけでエネルギーを大幅に使用せざるを得ません。
次に高速度の旋回だと、たとえ角速度は小さくても、SAMにとっての予想要撃点は大きな距離を移動します。
逆に角速度は大きくても速度を大きく落とす高G旋回だと、機体の速度低下のためにSAMの予想要撃点はそれほど移動しません。
どの程度の旋回が良いのかは、航空機やミサイルの機種、速度、位置(距離)などによって異なるため、細かいことまでは言えませんが、コーナー速度を下回ってくれればSAMにとってありがたいこと間違いありません。
SAM(というよりミサイル全般)は、重量に対する翼面積の率が低いので、旋回による(速度)エネルギーのロスが大きいです。
ロケットモーター停止後に機動を続ければ、SAM(ミサイル一般ですが)を回避できる可能性は急激に高くなります。
(逆に言えば、ロケットモーターが燃焼中のミサイルを、機動で回避することは困難)

一応参考に
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/9578/hum/hum5.html

2008年7月 6日 (日)

単純なシミュ結果でF-X選定はできない

「次期F-Xについて考えるスレ」に各候補機の戦闘シミュレーションの結果が転載されていました。


>米国が実施したSu-27/Su-35との戦闘シミュレーション結果(被撃率)
>U.S. F-22 10.1 : 1 (10.1 Su-35s lost for each F-22)
>European Typhoon 4.5 : 1
>French Rafale 1.0 : 1
>Russian Su-35 1.0 : 1
>U.S. F-15C 0.8 : 1
>U.S. F-18D 0.4 : 1
>U.S. F-18C 0.3 : 1
>U.S. F-16C 0.3 : 1


>イギリス防衛評価研究所(DERA)の試算
>---------------------------------
>改良型Su-27(Su-35相当)との性能比較
>F/A-22 "Raptor"        9:1 - 10:1
>Eurofighter Typhoon       3:1 - 4.5:1
>F-15 modernisiert(J改相当) 1.5:1
>F-15E "Strike Eagle"     1.2:1
>Rafale               1:1
>F-18E/F "Super Hornet"   1:1.2 - 1:3
>F-15C "Eagle"(pre相当)   1:1.3
>Gripen               1:1.5
>F-18C "Hornet"         1:3.8
>F-16C "Falcon" (Block 40)  1:3.8


ソースはコチラ
http://www.airpower.at/flugzeuge/eurofighter/faq.htm
http://www.eurofighter-typhoon.co.uk/Eurofighter/tech.php


妥当性が怪しいことは、みなさん分かっているのですが、議論の大勢は、概ねこんな所だろう、という感じでした。
加えて、正確な型(A型とかC型という型の種別、型が違うと戦力は全く別物ということがよくある)が分からないと、比べられないと言う意見と、交戦条件も分からないと、という書き込みがありましたが、詳しくは言及されていなかったので、次の通り書き込みました。


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型の事は別の方が書かれている通りだと思いますし、それ以上に交戦条件が重要でしょう。
仮にデータが正しいとしても、基本的に次の条件下でのことだと思います。
・同数
・同高度
・残燃料共に十分
・管制支援共になし(or共にあり)
・許容リスク同等(どれだけ危険を冒して敵を撃墜しに行くかということ)


で、当然ですが実際にはこんな戦闘は起こらないでしょう。
自衛隊は基本的に防空なので、仮に中国が相手だとすると、中国がAWACSの運用をてこずっている(いろいろ購入したり開発したりしているが苦しんでいる模様)間は、GCIやAWACSの支援を一方的に受けられることになります。
一方、状況としてはストライクパッケージのスウィーパーやエスコートを相手にしていることが予想され、当然早く攻撃機の対処に向かわざるを得ないため、リスクの高い戦闘を強要されます。


とすると結論は、
防衛省が持っているシミュレータとかで実際に敵の侵攻シナリオを流さないことには、サッパリ分からない
となってしまうように思います。
シミュ結果は当然秘密なんでしょうが、F-Xの選定問題は、今後の防衛環境のカギになるはずです。


防衛省には、ある程度の条件と結果を公開して機種選定をする義務があると思います。


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これに対して、「本土防衛なら異論はないが離島防衛となるとどうだろうか。」という疑問が出されていました。
良い質問だと思います。
で、次のように回答しました。


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条件が異なるので、当然結果は違ってくると思います。


たとえば尖閣を巡る争いのシナリオにしても、飛行場が那覇なのか、あるいは下地島なのかでは、航続性能や巡航性能まで結果に関ってくるため、全く異なる結果になると思います。
基地が那覇なら、F-22かせめてタイフーンでないと、とてもまともな結果は出ないような気がします。


単純に尖閣上空の航空優勢確保が目的なら、リスクを犯す必要性は低いですから、防空以上に機体の性能差が極端に出るように思います。
しかし、上陸した陸上部隊や、海自艦隊が近くにいるケースでも、また結果は異なるのではないでしょうか。
海自艦隊の護衛ならば、それこそ中国沿岸まで接近しなければならないかも知れません。


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防衛省自衛隊の中には、「防衛問題の細かいところは専門家に任せろ」的な雰囲気が強いように思います。
もちろん、本当に専門的な部分はそうなるのですが、F-X選定は日本防衛のドクトリンを如何するかにも関ってくる重要な問題です。(これからも防空オンリーを続けるか否かなどの点)
広報は、装備や訓練風景を見せるだけでは不足なハズです。
そういう思いもあって「日本海クライシス2012」を公開しています。


また、このレスポンスに対して、「離島はイージス艦を派遣しておけば簡単に制空権を確保できる」という書き込みがされてました。基本的に知識不足だと思いましたが、多数の方から「そんなの無理」的な書き込みがあったので、私自身は何も書きませんでした。
ご要望があれば、ブログの中ででも書きます。
また、「日本海クライシス2012」の中でも、イージスの防空能力について、いくらか触れています。

2008年7月 8日 (火)

F-22ラプターなら20機で十分か?

次期F-Xについて考えるスレで、20機(人によっては10機)のF-22を導入すれば、中国のSu-27を壊滅させられるから、20機で十分という意見が出てました。
その辺を理解しない空幕はバカだとまで言われてます。
約200機のSu-27に対して、F-22とSu-27の戦力評価が10:1だからという理屈なのですが、先日のブログ記事にも書いたとおり、交戦条件が全く考慮されていない意見だったので、次の通り書きました。

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10機や20機で十分という話になってますが、F-22と言えども20機では足りませんよ。

空幕は、基本的に今の防衛政策の中で検討をしているので、中国相手でも防空を基本で検討しているでしょう。スホーイが増強されているので、翼下にミサイルを付けないステルス形態で出撃するとすれば、アムラームCでも6発しか携行できません。
百発百中だったとしても1ソーティで120機しか落とせません。

中国も200機同時は無理としても、防空で何度もターンアラウンドするのは無理です。
となると、こちらもF-15があるとは言え、中国もMig-21やJ-10なんかを混ぜて攻撃されたら、F-22は間違いなく地上で破壊されます。

米軍みたいに、基本的に攻勢で作戦をするつもりなら、リスクが高い際は逃げればOKなわけですから、それこそ20機でも敵軍を壊滅させられるでしょうけど、防空では10:1だから大丈夫というわけにはいきません。

空幕はそんなにバカじゃないですよ。
でも、購入できるのなら、20機だけでもF-22という案自体は良いと思います。下地島にF-15を置いて、F-22は那覇に置けば、こちらもうまく戦力の集中ができます。

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20機は、十分な戦力ではありませんが、十分に戦力になります。
この論議の発端は、とりあえずタイフーンを購入しておいて、アメリカ議会の承認が下りたらF-22を20機購入というものでした。
戦力を考える上では、案自体は悪くないと思いますが、タイフーンとF-22の両方導入は実現性が薄いように思えます。まあ20年も先の話ならわかりますけどね。

2008年7月16日 (水)

日本政府 F-35の情報照会 F-X選定問題

F-X選定問題で、日本政府がF-35の情報照会をするだろうという米軍高官の見通しが記事になってました。ここのところ、F-35に限らず、タイフーンなどの観測記事も多いので、この記事の信憑性などについては、コメントしてもしょうがないでしょう。
ただし、F-35の名前が上がってくるとなると、他の機体と違って疑問符が付きます。

F-35は、JSFとして開発されている機体で、攻撃機に区分される機体です。もちろん、現在F-X候補に上がっている機体は、全てマルチロール性があるため、従来の機体に比べたらはるかに高い対地攻撃能力があります。それにしてもF-35はその性格が強すぎるのです。
今選定中なのはF-Xだったはずなのですが、いつのまにかFSX選定になってたのでしょうか?
もし、本当にF-35を候補にするとしたら、空幕は自衛隊が軍隊ではないという証明と同じような作業をしなければならないでしょう。

F-35は、F-22と同様に第5世代機なので、強ければいいんじゃないかと思う人もいるかもしれません。しかしF-35は、日本が必要としている能力の一つが、非常に欠けているのです。
日本がF-XをFI(迎撃機)として選定してしている以上、侵攻機を迎撃するため、そしてその会敵のためには、それなりに速度性能が必要です。ところが、まだ開発中のため、最終的にどうなるかは未確定なものの、F-35は音速を超えられない亜音速機になるかもしれないと言われるほど鈍足です。スクランブルしたものの、間に合わなかった、という事態になりかねないというこことです。

もともとF-4型機の後継ということですし、現在F-4を運用している飛行隊にはFS任務の部隊もあるくらいなので、FSとして選定してしまっても良いのかもしれません。
しかし、そのためには大綱や中期防も修正しなければならないかもしれない。もし本当にF-35が俎上に上がってくるなら、空幕は本音以上に、建前で苦労することになるかもしれません。
でなければ、F-2にAAM-4運用能力などを持たせて、FI化するのかも・・・

2008年8月10日 (日)

教育集団から戦闘機が消える?

あまりにも紆余曲折の情報が流れたおかげで、やっとという感じですが、FXの2009年度概算要求への見送りが流れたそうです。
この問題に興味を持っていた人にとっても、ほとんど織り込み情報なため、特に新規性は感じませんが、この流れで行くと、もしかすると航空教育集団から戦闘機が消えるかもしれません。

FX選定が遅延したことで発生する、特に質的な面での戦力低下は、現在の主力戦闘機F-15の近代化改修でまかなうとされています。
それ自体にはそれほど問題ありませんが、F-4型機の老朽化問題は放置されたままです。このままの状況が続けば、早晩F-4を運用する飛行隊が機能停止します。
それを防ぐためには、F-4飛行隊をF-15に機種転換させるしかないでしょう。そしてそのためのF-15を保有しているのは、現在新田原基地に所在している航空教育集団隷下の飛行教育航空隊です。
飛行教育航空隊は、F-15操縦、戦技を教えるための舞台ですが、飛行隊数が変わらないとすれば、ここのF-15を戦闘部隊にまわすしか手がありません。そうすると飛行教育航空隊はF-4のみの装備になるわけですが、部隊の位置づけを変えた部隊に改変されるのかも知れません。

防衛省が米国議会の変化を待つつもりなのかどうかは分かりませんが、早く方針を決めないと、さまざまな 部隊に軋轢を生みそうです。

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次期戦闘機、予算要求見送りへ=現有機の改修で対応-防衛省
8月9日6時49分配信 時事通信

 防衛省は9日、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の導入費用について、今月末が期限の2009年度予算の概算要求へ盛り込むことを見送る方針を固めた。最有力の最新鋭ステルス戦闘機F22の禁輸措置を米国が解除しないことから、早期に機種を選定できず、予算要求は困難と判断。代替措置として現在の主力戦闘機F15の近代化改修費用の増額を要求する。 

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2009年3月19日 (木)

これで合点がいった

ボーイングがF-15SEなるF-15の新型を発表したそうです。
http://toyotei.blog65.fc2.com/blog-entry-1537.html


ステルス性を高めたF-15であるとのことですが、詳細はリンク先の他、その先のボーイングのサイトなどを確認下さい。
かなり大幅な改造がなされているようで、F-15Kのような、輸出先に合わせた単なるカスタマイズの域にあるようには思えません。


さて、私が書きたいのは、このF-15SEがカッコイイとか言う話ではありません。(ネットではこれで盛り上がっている)
この発表で、最近報じられていたFX選定における防衛省の変心ぶり(の理由)が理解できたということです。


今回発表になったF-15SEは、米軍主導の開発ではありません。つまりは、ボーイングの自主開発ということです。
IFV程度でしたらメーカーの自主開発は今までにも聞いたことのある話です。
ですが、既存機の改造とは言え、これほど大掛かりな改造機を、自国の軍隊が顧客になるはずがないことが分かっていながら開発するというのは、企業行動として普通であればなかなか考えにくいことです。
少なくとも、見込みの販売先に対して、有力な対抗馬がないことが分かっていなければ、そんなリスキーな選択はしません。


つまりボーイングは、ロビー活動によりF-22の禁輸を解かせない確信があるということです。
今までF-22の外国への販売は、アメリカ議会が止めてきました。

一部には輸出解禁を主張する議員もいますが、あくまで少数派です。
ボーイングほどの企業になれば、議会や政府内にも相当に強いパイプがあります。

ロビー活動の中で、ライバル会社であるロッキード・マーチンのF-22の販売を封じることが可能だと見ていなければ、社内的にF-15SEの開発にゴーをかけるとは到底思えないのです。


そして、このことを踏まえれば、ここ最近になって、防衛省がFXの候補にタイフーンを真剣に考え出したなどという情報が出てきている理由が理解できます。
防衛省としては、なにを置いてもFXにはF-22が欲しいのでしょう。

ですが、このF-15SEの情報を聞き、F-22を断念せざるを得ないと判断したのではないかと思われるのです。
FXの候補には、F-15FXも入っています。選定に向けた情報収集の中で、ボーイングからF-15SEについて情報開示があったのではないでしょうか。


私は決してスペック厨ではありません。むしろ「寡兵敵せず」という考えですので、質を落としてもある程度の数が必要だと思っています。
ですが、ことFX選定ではF-22がベストだと思っています。理由は、近い将来に蓋然性の高い尖閣諸島などの島嶼防衛戦では、双方ともに政治的な判断で策源地攻撃などができず、紛争地域周辺での局地戦にならざるを得ないだろうと考えているからです。
そのため、防衛省と同様に、今回のF-15SEの情報は、残念なニュースです。


これからFX選定がどのような方向に行くかはまだ分かりません。

ですが、このニュースはFX選定にとって非常に大きなトピックであることは間違いありません。

2009年3月28日 (土)

FXとF-15SEの濃い話

以前も書きましたが、このブログは見ていただいている人の数に比べてコメントはいたく少ないです。
そんなわけで、コメント欄を見ていない方が多いと思いますが、某氏のお陰で「これで合点がいった 」のコメント欄はFXとF-15SEの濃い話になっております。
普段コメント欄まで見ない方は覗いて見て下さい。

2009年6月14日 (日)

F-22が高いかどうかはROE次第

ほとんどゼロかと思われてましたが、ほとんど針の先と言える程度とは言え、F-22を購入できる可能性が、ほんの少しは出てきているようです。
F22輸出解禁支持 イノウエ議員 売却価格は247億円 (産経新聞09年6月6日)
********************
ロイター通信は5日、米議会多数派民主党の重鎮ダニエル・イノウエ上院歳出委委員長がゲーツ国防長官と藤崎一郎駐米大使に書簡を送り、米空軍の最新鋭戦闘機F22Aラプターの輸出解禁に期待感を表明するとともに、輸出した場合、日本への売却価格は1機約2億5000万ドル(約247億円)程度になると伝えていたことを報じた。

現在、F22の輸出は軍事機密を守るため禁止されている。ゲーツ国防長官は5月の日米防衛首脳会談で、「オービー修正条項」と呼ばれる歳出法を理由に、日本への輸出は厳しいと伝えていた。歳出委員会が輸出解禁を支持すれば、F22を航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最有力候補と位置付けている日本側に取得の望みが出てくる。

米軍は1機約1億4000万ドルで調達している。日本に輸出する場合、輸出仕様にするための設計・改造費などを含め約1億ドルを上乗せした格好だ。7-9年で納入可能という。

F22はレーダーで捕捉しにくいステルス性を備えた世界最強の戦闘機とも言われている。ただ、イラクやアフガニスタンでの戦争に使われていないこともあり、ゲーツ長官は調達中止を決めた。これに対して、議会からは雇用の確保などを理由に生産継続を求める声が出ている。
********************

今回の記事程度で購入できる可能性を話しても詮無い事ですが、今回初めて具体的な価格が報じられていますので、果たしてコレが高いものに付くのか否かについて書いてみます。

輸出用にダウングレードしながら、その設計・改造費を上乗せして売ってくるというのは腹に据えかねる話ですが、まあこれは仕方がないでしょう。
ただしあくまで感覚的な話ですが、上乗せ分(1機1億ドル)は、本当に開発等で要する金額というよりも、この程度のふっかけなら買うだろうという思惑の金額に思えます。なにせダウングレードするだけで、飛行特性を変えるような改造はしないはずですから。
具体的な金額は、1機約2億5000万ドル(約247億円)になるとのことで、F-35を除けば、他のF-X候補機がだいたい1億ドル程度でしょうから、大雑把に言って約2.5倍の価格と言えます。

2.5倍と聞くと、おそろしく高いものに思えますが、完成していないF-35を除けば、他の候補機とは0.5世代以上の性能差があり、価格だけ考えた場合には、決して高いとは思いません。

ですが、ここで一つ重要な問題があります。
航空自衛隊の運用、特にその運用上の制限として課されるROE(Rules Of Engagement:交戦規定)を考えた場合、F-22は実に高いものにつく可能性があるのです。

F-22は、現状では世界最強の戦闘機です。演習でのキルレシオは、少し古いデータですが、ノーザンエッジ2006演習までに144対0(出典:軍事研究誌2007年5月号掲載の石川潤一氏の記事「F-22実戦行動で沖縄展開」)となっています。
ですが、これはF-22のアドバンテージであるステルス性能などを最大限に発揮できるBVR(Beyond Visual Range:視程外距離)を維持すればこそです。
実際、レッドフラッグ07演習では、格闘戦に持ち込まれたF-22が、F-16のサイドワインダーで撃墜判定されています。(出典:前掲記事)エンジン出力が大きいこともあって、F-117やB-2のように赤外放射を抑えることは困難ですし、ステルスと言えど近距離ではレーダーに映らない訳ではないからです。またF-22は、格闘戦で有効となるポストストール機動に優れる訳でもなく、オフボアサイト能力を持つ短射程AAMを搭載した最新式フランカーなどが相手の場合、格闘戦ではキルレシオが1(勝率50%)を切る可能性すらあります。

では、BVRを維持すれば良いということになりますが、そうは行かないかもしれないことが問題なのです。
航空自衛隊は、近年でも格闘戦での戦技競技会を実施していますが、これはなにも職人気質のパイロットが趣味でやっている訳ではありません。(そういう事情が無い訳でもないですが・・・)
「今時バカじゃないか」という声も(自衛隊内部からも)聞かれますが、空自には空自なりの理由、というか懸念が、その背景としてあるのです。
その懸念とは、一言で言えば政府に対する不信であり、フリーハンドで戦わせてもらえないかもしれないという思いです。
具体的にどういう事かと言うと、危機が発生した際でも、第3国の航空機が接近してくる可能性は排除できず、政府として一定範囲内に入り込んだ識別不能の飛行物体を、敵とみなして攻撃して良い、ということにしてもらえない可能性を懸念している、ということです。
また、自国あるいは友好国の航空機をレーダーやIFFなどにより、そうとは識別できない可能性もあります。(モード4を含めたIFFについて、確実なものだと考えている方もいるでしょうが、それはマチガイです。)
その結果として、VID(Visual Identification:目視識別)を行った上での戦闘を訓練しています。そしてこの状況は、当然ながら格闘戦になります。

もしF-22を購入できたとしても、VIDを必須とするようなROEの元では、F-22はそのアドバンテージを十分には生かせません。
そうなるのであれば、F-22の1機247億円という価格は実に高い買い物です。(具体的な金額が出てませんが、F-35でも同じことです。)

ROEは、決して固定的なものではなく、状況によって随時変わるものです。ですから、空自の懸念が杞憂である可能性ももちろんあります。
ですが、今まで政府(内局も含む)は事あるごとに自衛隊を縛ってきました。制服を着ていたものとして、正直政府(内局も含む)が自衛隊をオンハンドで戦わせてくれるとは思えません。
公開されていない運用関係の内規には、アレはしてはいけない、コレを行う際にはソレを行った上でなければならないといった規定が山のようにあります。
もちろん必要な規定もありますが、「余程自衛隊が信用できないんだな」と思わせるモノも決して少なくありません。

もしF-22を購入するのであれば、VIDなどを必要とすることなく、BVRでの交戦を可能とさせる(ROEを制約の多いものにしない)つもりがなければ、政府として高い買い物をすることになります。

2010年8月 1日 (日)

F-2がベスト

FXの選定は迷走していますが、概算要求を目の前にして、報道も迷走しています。

既に記事が消えてますが、6月には中日新聞が機種未定ながら予算計上を報じていますし、先日もちょっとだけ触れたように、F-2を再度調達するという報道もあります。
F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め」(産経新聞10年7月19日)
そして、更に一転して予算計上を見送りというニュースも流れました。
空自FX、調達費計上見送り…有力候補開発遅れ」(読売新聞10年7月26日)

F-2の再調達は産経だからアヤシイという意見が多いみたいですが、「検討」していることは以前からしているでしょうから、ウソとは言えないでしょう。

それはさておいて、以前から何度か言及しているとおり、私はこの方向(F-2の再調達)にすべきだと思っています。

読売の記事にある通り、23年度も調達を見送るとしたら、空自の意図はF-35の選定にあることは間違いありません。
他の機種を選定するつもりなら、これ以上選定を遅らせる必要がないからです。

そして、FXがF-35になるとすれば、F-15Pre-MISPもF-35で置き換えなければならなくなるでしょう。
Pre-MISPをFXとは別の機体で置き換えるとしたら、F-15MISP、F-2、F-35、+αの4機種も運用することになり、多大な運用コストをかけなければならなくなるからです。

そう(Pre-MISPもF-35で更新)なれば、おそらく国内の戦闘機生産基盤は崩壊するでしょう。
これは、避けなければならない事態です。
輸入でいいじゃん、という方もおられますが、実際に現場で国内メーカーのサポートを受けた者としては、賛同しかねる意見です。

という訳で、私はFXにF-35を選定すべきではないと考えています。

そもそも、F-15、F-2それにFXという3機種体制でさえ、自衛隊には贅沢過ぎます。(空自は結構それに拘っているようですが)

欧州各国を見ても、タイフーンとF-35など2機種体制を目指しており、ドイツなどはタイフーンのみの1機種体制の方向です。

役に立たない旧式機では話になりませんが、F-2が追加調達される場合には、当然AAM-4の運用能力など空対空能力が強化されたものになるでしょうから、AWACSやKCの存在と相まって、J-14が出てきたとしても太刀打ちできないということは無いように思います。

タイフーンはブラックボックスが無く、AAM-4など国産ミサイルの搭載やAESA搭載にも対応させられることから、国内基盤のためにもタイフーンが良いという意見もあるようですが、タイフーンを改造するくらいならF-2を改造した方が長期的な観点ではプラスが多いでしょう。

F-2の再生産にはロッキード・マーチンの生産ラインをどうするかと言った問題がありますが、これが障害になる(交渉に応じない)くらいなら、アメリカとの共同開発なんて金輪際やれません。

FXにF-35を選定せず、機種も増やさない選択にはF-2の他、F-15FXも入ってきますが、国産ミサイルの運用などのために開発費用も必要になってきます。
そう言ったことまで考えれば、やはりFXはF-2でガマンすべきです。

そして、それによって、Pre-MSIP機の更新において、完全な第5世代機を、より広い自由度を持って選択できる態勢を作るべきだと思うのです。

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