日本社会は、ロボット・ディバイドの時代に耐えられるか?
ミリタリーネタではありませんが、治安に関係するので広い意味では安全保障ですし、対応を誤ると左派が増える可能性があるため、気になっていることがあります。
それは、急速に進む、自動運転や自動なんたら、つまりロボットによる単純労働の代替が、単純労働で生計を立てている人々を、困窮に至らせないか、という問題です。
ロボットの普及は、労働人口の半数もの職を奪うという報告があります。
「ロボット普及、労働人口の半数の職奪う可能性 米英で」(CNN151115)
この手の、ロボットが格差を広げるというのは、SFの世界では昔から予見されていた自体ですし、数年前から、現実問題の予見として報道され始めています。
最近の技術の進歩を見ると、これが現実の一歩手前まで来ていることが分かります。
自動運転が実用化されれば、まず最初に、高速道路を使った長距離トラックのドライバーから職を奪うでしょう。
市街地での端末輸送は、もう少し先になるでしょうが、時間の問題です。
宅急便などの個別配送だけが、もうしばらくは人手を要するはずです。(ドローンが騒がれていますが、全天候対応ができるまでには、相当かかるはずです)
ロボットは、一般的に柔らかいモノの扱いが苦手ですが、センサー技術は急速に発展していますし、規格化されたものなら、扱いやすくなります。
電子レンジ調理が多用されるファミレスでは、調理はロボットが大抵の事ができるようになるでしょう。
10年先の未来では、マクドナルドは無人かもしれません。
掃除ロボットの普及は、清掃業者にとって、既に脅威と言えなくもありません。
ロボットが、単純労働の職を奪ったとしても、奪われた方の行き場は、どこかにあるのかもしれません。
ですが、「またロボットに奪われるのではないか?」という不安はつきまとうでしょう。
ITについて行けるかどうかで、デジタル・ディバイドという格差が生じたように、社会は、ロボットを作る、あるいはロボットに仕事を与える側の人間と、ロボットに仕事を奪われる側の人間に二分化させられる恐れがあります。
この格差は、デジタル・ディバイド以上に、激しい格差を生み出しそうに見えます。
そうなった時、日本社会は耐えられるのでしょうか?
「一億総中流」という言葉は死語になって久しいですが、それでもピケティが日本だけは違うと言っていたように、日本は欧米と比べると格差の少ない社会です。
ですが、このロボット・ディバイドとでも呼ぶべき格差(他にもっと適切な言葉があるのかも知れませんが、私は知りません)は、日本にも激しい格差社会を作り出しかねません。
しかも、労働賃金の上昇を嫌う財界の求めに応じて、将来は仕事を奪われかねない単純労働用の人手として、移民を受け入れる動きもあります。
そうした人々が多くなれば、単純労働は労働力の供給過多となり、運良くロボットに仕事を奪われなかった人々の賃金も押し下げてしまいます。
衣食足りて礼節を知るのは、誰しも同じです。
格差が激しくなれば、治安は悪化するでしょう。下火になっている左翼運動も盛り返すかも知れません。
私自身、このロボット・ディバイドの時代に、どういった社会政策が必要なのか、妙案はありません。
真剣に練られたプランなく、規制緩和だけを進めれば、社会は深刻な危機に陥るかもしれません。
ロボットを作り出し、命令を与える側の人間は、それによって膨大な利益を得られるため、積極的に規制緩和を目指すべきだと主張します。
「米カリフォルニア州、自動運転に専用免許「ドライバー」乗車を義務付け Google失望「時代錯誤だ」」(産経151227)
「日産ゴーンCEO「自動運転の量産化は行政次第、日本は最有力」」(レスポンス151029)
しかし、彼らの意見だけを聞いて、夢のような社会が来るとは限りません。
今でも高級車に乗っている人には、快適な世の中が来るかも知れませんが、ロボットが代替可能な単純労働に従事している人にとっては、過酷な社会かもしれません。
一方で、産業革命に見られるように、産業構造は変わっても、一旦混乱はあるものの、ロボットが新たな可能性も創り出すため、大丈夫だとする意見もあります。
「AIやロボットは格差を生み、可能性も広げる」https://newspicks.com/news/1099780/body/
ですが、ロボットは、今やあらゆる産業のあらゆる単純労働を代替できる一歩手前まで来ています。
ロボットのコストが、社会保障費などを含めた広い意味での人件費以下になれば、企業はあらゆる部門でロボットを導入するでしょう。
何か、対策が必要なはずです。
今から準備すべきでしょう。
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