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軍事一般

2015年12月12日 (土)

中国空母『遼寧』の弱点と攻略策

中国軍が海洋進出を図るに当たり、大きな役割を期待しているのが空母です。
しかし、就役済みの空母『遼寧』は、多くの問題を抱え、戦力としては疑問視されています。

空母は、直接戦闘するための武装は持たないことが多く、装備していても自衛用の短射程ミサイルや火砲くらいです。
つまり、空母の戦闘力=艦載機運用能力です。

空母『遼寧』が戦力として疑問視されるのは、当然、この艦載機運用能力に問題があるからです。

艦載機運用能力と言う場合、搭載機数や機体の能力を思い浮かべる人が多いでしょう。
イギリスのインヴィンシブル級空母などは、亜音速のハリアーしか運用できなかったため、空母としての能力が高くないというのは、誰しも理解しやすい話しだと思います。

ですが、『遼寧』の場合、Su-33をベースとして開発されたJ-15を運用しており、搭載機の能力が著しく劣ると考える人は少ないと思います。

にもかかわらず、戦力が疑問視されるのは、J-15が艦載運用された際の搭載可能な弾薬重量が著しく少ないからです。

中国の空母を飛躍させる開発に成功? 「電磁カタパルト」は米中関係を変えるのか

中国が保有する艦上戦闘機J-15は、空母「遼寧」から発進させる場合、搭載できる武器の重量が2トンであり、陸上基地から離陸する場合の12トンよりも極めて少ないと報じた。陸上から運用する時の約6分の1しか、ミサイル等を搭載できないということだ。


このデータが正しいとすると、単純計算では戦闘能力は陸上基地から運用される場合と比較して6分の1ということになります。
乱暴過ぎる計算ですが、搭載されるJ-15は、最大36機程度と見られていますが、陸上基地から運用される場合と比較すれば、6機程度の戦力でしかないという計算です。
実際には、ミサイルを命中させるために、牽制のミサイルを撃つなどが必要であるため、実態的な戦闘能力は、更に低くなります。

しかしながら、『遼寧』を中核として空母機動部隊が編成されれば、空母抜きの艦隊と比較して、大きな戦力であることに代わりありませんし、空母の存在という政治的意義は大きなモノがあります。

その脅威を排除するためには、ミサイルによる飽和攻撃がオーソドックスですが、防衛省・海自がすすめている潜水艦を用いた非対称戦術も有効です。

オーストラリアなどから引き合いが来るほど、日本の潜水艦は優秀です。
ですが、通常動力型であることは、空母攻撃にはデメリットです。
海自出身の新進軍事評論家、文谷数重氏も、この課題を指摘しています。(中国の通常動力型潜水艦が、米空母を攻撃できるかを論じていますが、逆でも同じです)
通常潜で空母を補足できるだろうか

 中央が海軍に「米空母間近に接敵し、勝ち誇るように浮上しろ」というのは、無理がある。キロのような在来型潜水艦は、空母機動部隊を追尾できない。水中で高速力を出すとすぐに電池が切れてしまうためだ。このため、ごく短時間のダッシュ以外では2-6kt(4-12km/h)程度しか出さないといった話がある。平時にも12kt以上、戦時には20kt以上で走り回る空母機動部隊を先回りするのは、相手が自艦位置に向かってくる場合以外には、まずはできない。


しかしながら、戦術とは、個別の兵器の性能だけで戦うものではありません。
やりようはあります。

で、問題となる通常動力潜水艦による、中華空母機動部隊攻略策は、ここでは秘密です。m(_ _)m

もちろん、方策の一つではありますが、本日発売の拙書『深淵の覇者』で示しています。
『遼寧』の弱点を突いた方策ですが、「こんな手もあるのか」というのを書いておりますので、ご覧になって頂ければ幸いです。


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2014年9月 7日 (日)

海自いじめ自殺を利用した警察の防衛省攻撃

海自で起きたいじめを苦にしたと思われる自殺に関して、神奈川新聞は、病根の一端が警務隊の存在だとして、警察の片棒を担ぐような記事を書いています。
いじめ自殺:海自の危機意識欠如 続く不祥事 「身内捜査が弊害」」(神奈川新聞140902)

捜査の「プロ」からは、「身内」が警察権を持つ自衛隊の組織構造に温床があるという指摘も上がっている。

中略

 止まらぬ不祥事に、他の捜査部門からも厳しい視線が注がれている。

 1999年から表面化した神奈川県警の一連の不祥事の内実を知る元県警幹部は「内部で捜査をすれば、隠蔽(いんぺい)をしたがるのが普通。外部の目を入れないと、同じことの繰り返しになる」と指摘。「身内」である警務隊が自衛隊員の犯罪を捜査する仕組みを問題視した。

 別の捜査関係者も「何よりも大事なのは透明性。警務隊が自衛隊内ですべての警察権を行使しているような状況のメリットとデメリットを考える時期に来ている」と自衛隊の構造的な問題に言及し、警鐘を鳴らした。


神奈川新聞が言う”捜査の「プロ」”や”他の捜査部門”、”別の捜査関係者”は言うに及ばず、”元県警幹部”も当然全て警察でしょう。

その警察が、警務隊が自衛隊内の犯罪を捜査するという構造を問題視し、当然の帰結として”警察が捜査すべき”という主張を神奈川新聞がしています。

しかし、警察の犯罪を捜査するのも警察なので、非常に自己矛盾した主張ではあります。
が、それには目をつぶるとしても、諸外国を見ても、軍内の犯罪捜査は、警務隊に相当する組織が行う事が普通です。
普通だからそれが正しいとか言うつもりはありませんが、諸外国でもそのような体制になっている理由は、軍事組織の特質として保全配慮が必要であるためと、基本的人権さえ制限される特殊な論理で動く組織の捜査を、一般人の捜査を行う警察が行う事が、必ずしも適切ではないからです。

にも関わらず、警察がこのような考えを持ち、神奈川新聞がその片棒を担ぐ背景には、近年の自衛隊に対する注目と認知の結果、自衛隊が警察の頸木から逃れようとしているからだろうと思います。

戦後、後藤田氏などが主動し、警察は常に自衛隊を統制下に置こうとして、防衛省の主要ポストに警察官僚を送り込んできました。

しかし、次のような報道が行われている通り、近年、防衛省と警察庁の主導権争いが激しくなっています。
女スパイ疑惑を暴露 警察vs防衛の壮絶場外戦」(産経新聞130707)
防衛省が“宣戦布告” 警察庁の牙城に触手」(産経新聞120205)

警察としては、この自衛隊の不祥事を、好機と捉え、この主導権争いを有利に進めようとしているのかもしれません。
流石に、警務隊を解体して、自衛隊を監視下に置こうとしているとまでは思いませんが、警察庁の内部には、そこまで考えている人もいるのでしょう。
だから、このような報道が、”すかさず”出てくるのだろうと思います。

メディアは、警視庁記者クラブの存在を通じて、耳目を集めやすい犯罪及び捜査情報をもらえるため、基本的に警察サイドに立つことが多いですが、この記事ほど露骨なのは、最近では珍しいです。

しかし、今回のいじめ自殺のように、ひどいモノが出てきしまうと、このように付け入れられます。
あんないじめが横行しているようでは、組織も強くなりませんし、本当に、しっかりした対策を講じて欲しいものです。

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2014年6月29日 (日)

自衛官は靖国への合祀を望むか?

前回の記事「異常接近と靖国神社」は、ブロゴスに転載された分を含めて、久々に多くの方からコメントを頂きました。
ツイッターを含めて、戦車教団が大挙来襲していた戦車関連の記事以来です。

有り難い事です。

これらのコメント(現時点で26件、ブロゴスでは75件)に逐一答えることはできないので、コメント返しをする替わりに、補足的な事を含めて今回の記事で返すこととしたいと思います。

結構な数のコメントで、自衛官は靖国に合祀されたいとは思っていないのではないか、という想像が書かれていました。

私個人の思いについては、過去にも記事を書きました。
自衛官の靖国への想い

自衛官一般というと、当然全ての隊員を知っている訳ではありませんが、実際に中に居た身として、部外の方が想像しているよりも、当然多くの情報を持っています。
なので、以下では、一般論としての自衛官が、もし戦死した場合に靖国への合祀を望んでいるかについて書きたいと思います。

まず、その前に単純な誤解(あるいは意図的な誤情報?)をしている方が多いので、断っておきますが、靖国はお墓ではありません。
なので、靖国に合祀されるとしても、埋葬されるお墓は別にあります。

さて、私は結構長く自衛隊生活を送りましたが、靖国への合祀を望むかという問題を、同僚と話したことは、なんとただの一回もありません。
誰であれ、自分が死ぬ事なんて話題にしたくないと思いますし、靖国はどうしても政治的にセンシティブな話題なので、政治への関与を止められている自衛官としては、少々話しにくい話題でもあります。
それに、航空の場合は、大戦後に米軍の指導でできたという経緯もあるかもしれませんが、旧軍との繋がりが薄い傾向もあって、大戦に関連しそうな話をすることは、戦史の教育でもないと稀です。

しかし、通常の神社と靖国にはかなりの差異があるものの、各基地では、地元の神社で安全祈願をしてもらうことは、結構頻繁にあります。
そのため、それらの祈願でもらってきたお札が部隊に置いてあることは、かなり一般的ですし、飛行部隊の場合は、京都にある飛行神社のお札が置いてあります。

また、自衛隊の殉職者は、靖国神社と同根の各地にある護国神社(両者は共に元招魂社)に合祀されてきました。

これらの地元神社や飛行神社への参拝は、信教の自由があるため、きわめて一部に参加をしない隊員がいますが、ほとんどの隊員が参加しています。
もっとも、結婚式は神式、葬式は仏式でやりながらクリスマスも祝ってしまうのが、ありがちな日本人なので、隊員も「慣例だからなんとなく」で参加しているケースが多数であるような気はしますが……

殉職者の護国神社合祀については、総務関係の補職についた事がほとんどなかった上に、幸いな事に在職中に身近で殉職事案がなかったため、詳しく知りませんが、殉職の際に合祀を望むか確認されたこともないので、恐らく遺族が拒否しなければ、慣例的に行われているのでしょう。

こう言った状況なので、大多数の自衛官は、戦死した場合に靖国に合祀されることを、当たり前の事として受け入れているのだろうと思います。
あまり積極的でない人も、それなりの比率になると思いますが、営利企業などとは異質の「団結力」を求められる自衛隊という組織にあって、当たり前の事を拒否するような隊員には、正直生きにくい組織です。(前述の安全祈願の神社参りを参加しない隊員は、どうしても浮きがちになります)
戦死する場合、その隊員は志願制である自衛隊に身を置き続けた訳ですから、自衛隊の「当たり前」を、当然に「当たり前」として考える人間でしょう。

と言う訳で、証拠とは言えませんが、中にいた者として、自衛官が靖国への合祀をどう考えるか書いてみました。

ちなみに、私自身の場合は、在職中、誰にもそんな事を話した事はありませんが、小学校に上がる前から、同期の桜を歌って育ってきた人間なので、靖国に合祀してもらえるなら、有り難い事だと思ってました……というか夢だったと言ってもいいかもしれません。
冒頭で、靖国はお墓ではないと書きましたが、刀剣で戦っていた時代と異なり、現代では戦死した場合に死体が残るとは限りませんし、移動手段も発達し死亡場所がハッキリしないことも多いので、お墓よりも靖国の方が、私個人的には重要です。

オピニオンと呼べる記事ではありませんが、一般の方の自衛官理解が深まれば幸いです。

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2014年6月22日 (日)

異常接近と靖国神社

尖閣周辺での自衛隊機に対する中国軍機の異常接近事案が頻発しています。

尖閣周辺では、2012年12月にY-12による領空侵犯事件が発生しましたが、その直後に第2次安倍内閣が成立し、中国による空における圧力は、安倍内閣の成立を契機に明らかに低下していました。
この傾向は、この時の選挙後に予想したとおりでした。
参考過去記事「自民圧勝の評価と中国の尖閣政策の変化

この傾向が、最近になって変化し、中国が強硬方針で打って出てきている理由には、2013年に習近平体制に移行したことや、南シナ海でASEAN諸国と衝突していることともリンクしていますが、最大の理由は、やはりアメリカの世論がモンロー主義的傾向を強め、対中で日和ってきた結果、強硬方針で揺さぶりをかけることができるからだろうと思います。
参考過去記事「集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景

ここ最近になって、アメリカ世論は、尖閣問題で日中間の紛争に巻き込まれることを警戒しています。
この状況で、日中間が緊迫化すれば、アメリカ世論における巻き込まれ論が盛り上がる事は間違いないでしょう。
中国としては、それを狙っているでしょうから、中国軍機を接近させ、米海軍のEP-3EとJ-8IIが空中衝突した2001年の海南島事件のような空中衝突事故が起こっても構わないぐらいに考えているかもしれません。(自衛隊側が偵察機であることも、この時と似ています)

しかし日本側としても、主権を主張し続けるためには、事故を警戒して引き下がることはできませんから、この緊張状態は当分続くと思われます。
となると、今後、空中衝突事故が発生する可能性は否めません。

その場合、様々な問題がありますが、その一つに、中国軍機との空中衝突、あるいは撃墜されることで自衛隊員に死者が出た場合、靖国神社に合祀するのか、すべきか否かという問題があります。

靖国の合祀基準は明確ではありませんが、大戦前・戦中では、基本的には軍人・軍属が戦死した場合に合祀されていました。

戦後の自衛隊は、自衛隊が「軍」であるかという憲法的問題はありますが、今まではそれを差し置いても、戦死者がゼロであったために、亡くなった方で合祀基準に合致する方はいらっしゃいませんでした。

しかし、基準に照らして考えた場合、「戦死」に関して、時間的な要素として、どの時点から戦時であり、死亡が戦死なのかと言う点は、難しいところです。
しかも、防衛計画の大綱でもグレーゾーン事態が予想されているように、戦闘になったとしても大規模な全面戦争よりも小規模な局地戦の可能性が高い現代においては、この判断は以前にも増して難しくなっています。

ですが、靖国神社に合祀された過去の例を見てみると、壬午事変(じんごじへん)のようなケースもあります。
壬午事変(wiki)

この事件は、1882年に朝鮮で発生した朝鮮兵士の反乱事件で、軍事顧問として朝鮮軍の指導にあたっていた陸軍軍人だけでなく、日本公使館にいた多数の日本人が、朝鮮兵士に一般人が加わった暴徒に殺害された事件でした。
そして、これらの死亡者は、戦没者に準じて靖国神社に合祀されています。

この事件に比べれば、領土主権主張のために、任務実行中に中国軍機と空中衝突して死亡した場合は、遥かに合祀に値すると思います。

合祀は、何も直ぐに行わなければならないものではないでしょうから、実際にそのような事態になった場合に考えれば良いことかもしれませんが、十分に予想される事態ですから、関係者には考えておいて欲しい問題だと思います。

また、現実問題として、この問題を政治的に利用することに関しては、反感を感じる方もいると思いますが、考えておかなければならない問題です。

国内政治の上では、日本人の死者を大切にする感情からして、国に尽して亡くなった方を英霊として崇敬することは、至って自然なことでしょう。
靖国については、海外からの批判もあり、慎重になっている人も多数いると思いますが、実際に同時代に生きた生身の自衛官が死亡し、合祀される事態になれば、靖国に対する国民の思いも深まるのではないでしょうか。

国際政治の上では、更に重要です。
自衛官が合祀される事態になれば、首相が靖国に参拝しても、アメリカは批判めいた事を言うことは困難になると思います。
中韓も、現在のように紋切り型の批判はし難くなるでしょう。

「自衛隊は軍隊ではないはずではないか、靖国合祀はおかしい」という批判も起こるでしょうが、むしろ改憲問題を提起する上で、良い機会になります。

自衛官の”戦死”は望みませんが、可能性としては十分に考えられる以上、もはや現実問題になりつつあります。

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2014年5月 4日 (日)

自衛隊とサブカルの親和性

自衛隊の広報誌『MAMOR』が売れているらしい。
アイドルも登場する自衛隊広報誌 5月号で過去最高部数更新」(NEWSポストセブン)

創刊当初から部数は伸び続け、今年5月号は過去最高の3万3000部を発行した。出版不況のなかにあって、珍しく景気のいい話だ。


毎月3万部も売れているのか?
私が現役自衛官だった頃の事を思い返すと、笑っちゃうような話です。

しかし、自衛隊のメディア露出は、自衛隊が舞台の映画等を除いても、探してみると結構な数が見つかります。

youtubeにあるMVだけでも、3つありました。
RIVER(AKB48)_CH-47in入間基地


ピノキオ軍(SKE48)_朝霞駐屯地、90式in富士学校


SAVIOR OF SONG(ナノ(nano) feat. MY FIRST STORY)_きりしま


これらは、自衛隊側が広報のために売り込んだというより、商業的にネタを探した結果自衛隊を使っているという側面が強いですから、本当にスゴイです。

10年一昔と言いますが、まさに隔世の感があります。
その理由を考えて見ると、ここには、二つのムーブメントがあると思います。

一つは、阪神と東日本という二つの大きな大震災で自衛隊が活躍した事による対自衛隊感情の大幅な好転、そしてもう一つは、ガルパン、艦これといういわゆる萌ミリと呼ばれるトレンドです。

連休初日の昨日の事ですが、神保町の書泉ブックマート5F(ミリタリー&乗り物フロア)に行くと、萌ミリの浸食が凄まじい状態でした。

その結果なのか、逆に萌ミリからリアルに波及したのでしょう。
なんとこんなモノまであります。


この本、面白いというか、興味深いのは、国防女子がamazonランキングで117位(5/5時点)なのに対して、国防男子が63位(5/5時点)であることです。
女性の方が、自衛官をビジュアルで見ているって事でしょうか?

なお、前掲のMVですが、3件中2件がAKBグループです。(応援せねば)
そして、もう1件は艦これの元ネタと言われるアニメ関係。
やはり、ミリオタ、アイドルオタ、アニオタは、オーバーラップしている比率が高いのでしょう。
冒頭で上げたリンク先にもありますが、『MAMOR』にもほしのあきや前田敦子、里田まいなどが登場しているそうです。

『黎明の笛』が発売されてから、関係者の中からは「映画化されたらいいね。その時には主役は天海祐希さんで」なんて声も聞くのですが、こう言う状況をみるとAKBなんかもいいかもしれません。

もっとも、主役の日見子は、設定を若く変えたとしても、せいぜい20台後半にしかならないので、日見子役ではなく、杉井役でしょう。(残念ながら、映画化の話が出ている訳ではないですが)

自衛隊とサブカルという点では、現時点の最強は、やはりコレでしょう。


残念ながら、「やり過ぎだ!」という事になっているようですが、首相がニコニコ超会議にでる時代ですから、別に構わないと思うのですが……

という訳で、自衛隊とサブカルにはかなりの親和性が見られますが、海外では似たような話は米軍機のノーズアートくらいで、あまり耳にしません。
そのノーズアートにしてもこんな感じで、日本のサブカルとはちょっと路線が違います。(ディズニーキャラクターが描かれたケースもあるようですが)
B17_nose_art
Wikipediaより

海外だと軍隊と親和性のあるカルチャーは、むしろ、こう言う路線が多いです。
445pxunclesamwantyou
Wikipediaより

どうも、軍事とサブカルに親和性があるのは、日本独自の文化のようです。
それがナゼなのかは大変興味深いですが……ナゾです。

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2013年10月 9日 (水)

戦史を学ぶ意義

意外に思うかもしれませんが、自衛隊では戦史を学ぶ機会はあまりありません。
防衛大学や幹部候補生学校、それに幹部学校では、若干戦史関連の授業もありますが、決して多くの時間が割かれてはいません。

そして、その戦史を学ぶ機会にしても、学校で勉強する歴史の授業のように、何年に、誰が誰に対し、どんな戦略・戦術で戦ったと言った事実を学ぶ場ではありません。

では、どんな授業かと言うと、戦史の事例研究です。
事例研究は、ある戦史事例の概要を把握した後、戦いの原則等に照らし合わせて、事例の評価を行い、執るべき別のオプションがあった可能性を研究します。
討論が行われる場合も多いです。

自衛隊における戦史教育が、このような形態なのは、戦争における実務者を育てる事が目的なため、”戦史の応用方法”を身につける必要があるからです。

そのため、自衛官は意外に戦史(何年に何があったというような事実)を知りません。
ただし、これは空自で特に顕著な傾向だろうと思います。

と言うのも、第1次世界大戦で飛行機が戦争に使用され、航空作戦の戦史が始まって以来、まだ100年ほどしか経っていないにもかかわらず、航空機及びレーダーやミサイルと言った関連技術の発達が凄まじく、古い事例はあまり役に立たないからです。

ただし、例えば隊員に対する”指揮”に関しての研究なら、別に陸戦でも海戦でも構わないため、それらを事例として研究することはあります。

とは言え、自衛隊では、戦史が軽視されていると言う訳ではありません。
各種学校での教育は、実務者を育てるための速成栽培なので、上記のような状態ですが、やはり階級的に、上に行かれる方々には戦史に詳しい人も多くなってきます。

もちろん、戦史を多く知っていた方が、応用するネタが多いという事は言えますが、それ以上に、戦史を知っている事の意義と言えるモノは、戦史が言葉になるからだと思っています。

例えば、以前に記事を書いた”独断”について語る際、”日本海海戦における追撃戦で第2戦隊司令長官上村中将が下した独断”と言えば、上級指揮官に十分な情報がなく、自分の方がより正確な情報の元に判断ができると考えられる際に行う独断の事だ、というような共通理解を得ることができます。

階級が高い程、多くの人と正確なコミュニケーションが必要です。
そのためには、戦史に明るいと、適切な”例”を引いて会話することができるという訳です。

自衛官以外のミリタリーファンの方も、軍事について語りたければ、戦史を知っている方が、より深いコミュニケーションができると思います。
(こんな事も知ってるんだぜ~的な自慢話では、なんの役にも立ちません。相手も知っているであろう適切な事例を、的確に提示できてこその戦史知識です)

そんな訳で、こんなモノを紹介致します。
戦史検定
例題も載ってます。
Ws000026
Ws000027

ベストセラーとして有名になっている永遠の0の著者である百田尚樹氏も推薦文を書かれているこの戦史検定ですが、「日本青年遺骨収集団(JYMA)」という大学生中心のNPOが母体となり、慰霊碑の保全費用を確保しながら、戦史を学ぶきっかけとなるようにという主旨で運営されているそうです。

漢検のおかげで、漢字に注目が集まったように、この戦史検定のおかげで、日本人の防衛理解が深まってくれることを願います。

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2012年6月24日 (日)

イスラム教徒への無差別攻撃容認教育

先月、共同通信が不気味な記事を配信しました。
米軍の統合軍参謀大学において、イスラム教徒への無差別攻撃が容認され得ると教育されていたと言うものです。
一般のイスラム教徒への無差別攻撃容認 米軍大学、原爆が「前例」と講義」(産経新聞12年5月18日)
イスラム教徒攻撃は容認され得る 米軍参謀大学が講義」(47ニュース12年5月18日)

 【ワシントン共同】米統合軍参謀大学(バージニア州)で、一般のイスラム教徒に対する無差別攻撃が容認され得るとの講義が行われていたことが17日までに明らかになった。「前例」として第2次大戦時の広島や長崎への原爆投下、東京やドイツ・ドレスデンの空襲を挙げた。

 オバマ大統領は「イスラム教とは戦争しない」としているが、米軍内ではこの方針に矛盾する教育が行われていたことになる。原爆を前例にしていたことと併せ、批判が上がりそうだ。

 統合参謀本部は適切な内容ではないと認め「講義は既に中止している。米軍内の教育や訓練のカリキュラムの内容を点検する」としている。


47ニュースと配信を受けている地方紙の内容は同じでしたが、産経は、オバマ大統領の発言との矛盾に触れていないだけでなく、共同のソースが市民団体のウェブサイトであることと、講義内容がジュネーブ条約を遵守する必要がないとしていることを報じていました。

市民団体については、以前の記事「核兵器使用の正当性とキリスト教」で触れた軍における信仰の自由財団だろうとあたり付けて探すと、やはりありました。
MRFF blasts Joint Forces Staff College material advocating total war against Islam, files FOIA request

ただし、元のソースは別で、どうもウィキリークスのような暴露サイトのようです。
U.S. Military Taught Officers: Use ‘Hiroshima’ Tactics for ‘Total War’ on Islam

ここで公開されていたのは、8枚のスライドで、内容を見てみると、今回のニュースとなったのは、この内の一枚です。
Dooley_presentation_slide1
以下スライドは全てdangerroomより

内容を見てみると、確かに報じられたような内容が教育されていたようです。

市民の大量虐殺が肯定されていたり、ジュネーブ条約に疑問を投げかけていたりと、おぞましい内容になっています。

ですが、共同通信や信仰の自由財団の批判が妥当だとも思いません。

と言うのも、この資料が、統合軍参謀大学がテキストとして認めた教範であるならば、確かに大問題ですが、このスライドは、どう見ても、一教官が副教材として自分の講義用に作成した資料にしか見えないからです。

確かに、このドゥーレイ中佐は、問題教師でしょう。
しかし、そう言う人物の排除が難しいことは、日本の学校でも、問題教師とされる人が山ほどいることを見れば、分かることだと思います。
統合参謀本部が問題を認め、既に改善を図っている事を鑑みれば、それほど騒ぐべきニュースではないように思います。

問題視する人からすれば、一人混じっているだけで大問題なんでしょうけど……
共同通信だけでなく、産経まで反応してしまっているのは何でかな、と思います。

なお、前記dangerroomが掲載していたその他のスライドは、イスラム教やイスラム法について、その非寛容さ等を教育していたもので、取り立てて騒ぐべき程のものではありませんでした。
イスラム批判自体を問題視する人もいるかもしれませんが、似たような内容は、日本の大学でも講義されていますし、一神教の非寛容さという点では、キリスト教だって似たようなところがあります。

ちなみに、広島や長崎は当然ですが、ドレスデンと並び、東京も書かれていたことは、ちょっと驚きでした。
この手のアメリカ人でも、ちゃんとそうした認識があるんですね。

問題のスライドは、一応、転載しておきます。

Dooley_moderate2

Slide3

Our_response4

Understanding52

Coughlin_driods6

Coughlin_dog7

Slide8

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2012年5月15日 (火)

訓練と演習の違い

自衛隊(軍隊)における訓練と演習の違いについて書いてみます。

まず最初に自衛隊ではなく、世間一般での意味を押えておきましょう。(出典は広辞苑)
「訓練」:①実際にあることを行って習熟させること
     ②一定の目標に到達させるための実践的教育活動
「演習」:①物事に習熟するために練習を行う事
     ②軍隊・艦隊などが実戦の状況を想定して行う訓練

次に自衛隊での意味です。
明文化された定義としては、「自衛隊用語集」や「述語の解」と呼ばれる本に載っていると思うのですが、退職時に処分してしまったようで、手元にありません。
なので、あくまで記憶というか一般的理解で書きます。(明文定義とは齟齬があるかもしれません)

「訓練」に関しては、一般の意味と同じです。
「演習」は、一般の意味における「実戦の状況を想定して行う訓練」に近いですが、「実戦環境を想定した訓練」が、演習ではなく、あくまで訓練として、頻繁に行われているように、自衛隊(軍隊)における「演習」は、もう少し狭い意味の概念です。

「訓練」と「演習」には、まず規模の違いがあります。訓練は、個人訓練と呼ばれる訓練があるように、1人から大規模なものまであります。対して「演習」は、空自であれば、通常の計画主体は航空方面隊以上であり、小規模演習であっても、参加者・部隊はかなりの数に及ぶことが普通です。

そして、規模以上に大きな違いは、目的です。
訓練の目的は、個人や部隊の能力を向上させることにあります。
演習は、勿論、能力向上も目的ではありますが、もう一つ、計画(多くは作戦計画)の検証という目的を持つことが普通です。
(政治的な示威を目的とすることもあります)
作戦計画に沿ったシナリオに基づいて演習を実施し、計画に不備がないか確認するのです。

このため、逆に、演習シナリオを見れば、作戦計画の概要が分かることになります。
次に挙げるニュース記事などは、この典型です。
陸海空3自衛隊 尖閣奪還作戦を策定 「中国が占領」連携対処」(産経新聞12年5月9日)

さらに、訓練なのか演習なのかによって、前述の政治的な示威の意味・効果も変ってきます。
つまり、全く同じ内容で行ったとしても、「訓練」であれば、能力の向上を意図して、たまたまそういう想定で行っただけと言えますが、「演習」の場合、仮想敵に対して、作戦計画を持ち、本気でやる気なんだと、(あくまで)言外にプレッシャーを与えることが出来ます。

それが故、ヘタレ日本の場合、本来「演習」と呼ぶべきものなのに、対象国に配慮して「訓練」と呼ぶケースもありますが……

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