中国空母『遼寧』の弱点と攻略策
中国軍が海洋進出を図るに当たり、大きな役割を期待しているのが空母です。
しかし、就役済みの空母『遼寧』は、多くの問題を抱え、戦力としては疑問視されています。
空母は、直接戦闘するための武装は持たないことが多く、装備していても自衛用の短射程ミサイルや火砲くらいです。
つまり、空母の戦闘力=艦載機運用能力です。
空母『遼寧』が戦力として疑問視されるのは、当然、この艦載機運用能力に問題があるからです。
艦載機運用能力と言う場合、搭載機数や機体の能力を思い浮かべる人が多いでしょう。
イギリスのインヴィンシブル級空母などは、亜音速のハリアーしか運用できなかったため、空母としての能力が高くないというのは、誰しも理解しやすい話しだと思います。
ですが、『遼寧』の場合、Su-33をベースとして開発されたJ-15を運用しており、搭載機の能力が著しく劣ると考える人は少ないと思います。
にもかかわらず、戦力が疑問視されるのは、J-15が艦載運用された際の搭載可能な弾薬重量が著しく少ないからです。
「中国の空母を飛躍させる開発に成功? 「電磁カタパルト」は米中関係を変えるのか」
中国が保有する艦上戦闘機J-15は、空母「遼寧」から発進させる場合、搭載できる武器の重量が2トンであり、陸上基地から離陸する場合の12トンよりも極めて少ないと報じた。陸上から運用する時の約6分の1しか、ミサイル等を搭載できないということだ。
このデータが正しいとすると、単純計算では戦闘能力は陸上基地から運用される場合と比較して6分の1ということになります。
乱暴過ぎる計算ですが、搭載されるJ-15は、最大36機程度と見られていますが、陸上基地から運用される場合と比較すれば、6機程度の戦力でしかないという計算です。
実際には、ミサイルを命中させるために、牽制のミサイルを撃つなどが必要であるため、実態的な戦闘能力は、更に低くなります。
しかしながら、『遼寧』を中核として空母機動部隊が編成されれば、空母抜きの艦隊と比較して、大きな戦力であることに代わりありませんし、空母の存在という政治的意義は大きなモノがあります。
その脅威を排除するためには、ミサイルによる飽和攻撃がオーソドックスですが、防衛省・海自がすすめている潜水艦を用いた非対称戦術も有効です。
オーストラリアなどから引き合いが来るほど、日本の潜水艦は優秀です。
ですが、通常動力型であることは、空母攻撃にはデメリットです。
海自出身の新進軍事評論家、文谷数重氏も、この課題を指摘しています。(中国の通常動力型潜水艦が、米空母を攻撃できるかを論じていますが、逆でも同じです)
「通常潜で空母を補足できるだろうか」
中央が海軍に「米空母間近に接敵し、勝ち誇るように浮上しろ」というのは、無理がある。キロのような在来型潜水艦は、空母機動部隊を追尾できない。水中で高速力を出すとすぐに電池が切れてしまうためだ。このため、ごく短時間のダッシュ以外では2-6kt(4-12km/h)程度しか出さないといった話がある。平時にも12kt以上、戦時には20kt以上で走り回る空母機動部隊を先回りするのは、相手が自艦位置に向かってくる場合以外には、まずはできない。
しかしながら、戦術とは、個別の兵器の性能だけで戦うものではありません。
やりようはあります。
で、問題となる通常動力潜水艦による、中華空母機動部隊攻略策は、ここでは秘密です。m(_ _)m
もちろん、方策の一つではありますが、本日発売の拙書『深淵の覇者』で示しています。
『遼寧』の弱点を突いた方策ですが、「こんな手もあるのか」というのを書いておりますので、ご覧になって頂ければ幸いです。
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