ISテロ収束の鍵はイスラム社会が握る!
パリのテロを受け、様々な評論が出ています。
このテロは、ISの焦りを示すものだとする意見がある一方、反攻ののろしだとする意見もあります。
自爆ベストを使用している点で、焦りと表現するよりも、精神的な勝利があれば、それが勝利だとする精神主義が見て取れるような気もしますが、情報が少なく、判断は困難です。
ですが、注目すべき情報があると考えています。
それは、かなりの数のテロが阻止されているという情報です。
「テロ7件阻止=過去半年間で-英首相」(時事151116)
また、18日にパリ郊外のサンドニ行われた銃撃戦も、テロ阻止事例と考えていいでしょう。
これが、なぜ注目すべき情報かと言えば、これだけの未然阻止が行われている背景には、相当数の”通報”があるだろうと思われるからです。
テロの未然での阻止には情報が必要ですが、その中でも、”通報”という形での情報は、極めて有効です。
日本でも、極左集団によるテロに対して、”隣の部屋の住人が怪しい”といった通報から判明するケースは、多かったようです。
警察が作っていた通報を奨励するポスターを見た人も多いでしょう。
ISのテロについては、当然ながら、イスラム社会の方からの”通報”が、これらの阻止に何より役立っているはずです。
今回のパリのテロでも、イスラム教徒が多数を占めるトルコからの通報に適切に対処していれば、防げた自体だったかもしれません。
「トルコが「テロに関わる恐れ」と仏に2回事前情報 事件後、初めて照会」(産経151117)
日本における極左集団によるテロ頻発していた頃には、彼らに対する無言の支持、積極的に支持しなくとも、「『造反有理』と叫ぶ若者にも一分の理はある」といった消極的支持が、社会の中に一定数存在していたことが、大きく関係しています。
そうした人がいると、彼らをかくまったり、そこまでしなくても情報を伝達したり、あるいは見て見ぬ振りをする人が少なからず出てきます。
これこそが、テロの下地であり、そうした支持が無くなったことで、日本における極左テロは廃れていきました。
ISによるテロに関係して、かなりの通報、それも、イスラム社会からの通報があるであろうと思われることを考えると、ISは、確かに焦り始めているのかもしれません。
しかも、今回のテロで、そうした消極的なテロ支持は低下しそうです。
「イスラム教徒がパリ同時テロを非難 ツイッターにハッシュタグ」(CNN20151117)
「「今回は違う」 悲哀のパリ市民、広がる明日への不安」(AFP151117)
ISも、こうした世論の傾向になる可能性は理解していたのではないかと思います。
ですが、テロ組織は、テロによる恐怖によって、自己の存在を誇示しなければ、組織が保てないのでしょう。
泳ぎ続けないと死んでしまうマグロのようなものです。
テロを撲滅するためには、こうした消極的であっても支持される世論をなくしてゆくことが最も有効です。
IS支持者がイスラム教徒である以上、イスラム社会が、ISに「ノー」と言うことが、重要なのです。
その意味では、上記リンク記事などのようなイスラム社会の動きは歓迎すべきですし、そうした声を上げるイスラム教徒が、絶望してしまうことがないように、彼らを、イスラム教徒であるというだけで否定しないことが必要でしょう。
上記は、基本的に欧米を意識して書いていましたが、イスラム諸国においては、この構図は更に顕著だと言え、彼らは、もっと明確にISに対して「ノー」と言い、空爆などを積極的に行うべきです。
しかし、多くのイスラム国は、欧米諸国以上に、IS支持者が国内におり、ISを攻撃することで彼らのテロを激化させ、国内の政情不安が惹起することを恐れています。
この点は、残念ですが、仕方ない事でもあります。
日本においても、ISのテロを懸念する声がありますが、わたしは日本でISのテロがおきるかどうかも、日本に居住するイスラム教徒が、彼らに消極的であっても支持を与えるか否かに尽きると思います。
その点では、次のようなニュースが、もっと頻繁に報じられるほど、日本在住イスラム教徒の方が声を上げて欲しいと思いますし、我々日本人は、普通のイスラム教徒を、ただそれだけで否定しないことが重要です。
「心を痛める日本のイスラム教徒」(スポーツ報知151117)
なお、テロを断固として否定する機運、それもイスラム教徒の中に、テロを否定する機運を強めるためには、乙武氏ようなのテロリストの主張に耳を傾けろといった主張や、古館氏のように、誤爆の犠牲になった人たちから見れば、有志連合による空爆もテロに当たるといった主張は、テロに対して消極的支持を与えるものでしかありません。
それこそ、『造反有理』と叫ぶ若者を支持した行動と、全く同じです。
これらの主張は、テロを助長するものだとして、はっきり否定すべきです。
「乙武氏「テロ組織の主張に耳を傾け、対話の扉を」 「話してわかる相手か」「薄っぺらい理想論」と猛反発」(J-CAST20151116)
「「誤爆犠牲者から見れば、有志連合空爆もテロだ」 報ステ・古舘氏の問題提起に異論も噴出」(J-CAST20151118)
なお、余談ですが、わたしは街角のケバブなどをよく食べます。
普通のイスラム教徒が、日本社会に絶望しないことを願っている……という意味もあるものの、単に、中東方面に行った事が多いので、懐かしいのが第一ですが……
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