SM-3ブロック2A輸出対象国拡大で日米関係の悪化は回避
以前の記事「民主政権がオバマ大統領による外交上の約束を履行不可能にする可能性 武器輸出3原則の緩和基準で」において、SM-3ブロック2A移転(輸出)対象国拡大が少な過ぎ、日米関係を損なう可能性があると書きましたが、対象国が拡大される方向となり、(この件による)日米関係の悪化は回避されそうです。
「MD輸出、管理枠組み加盟国が条件…政府基準案」(読売新聞11年7月28日)
日米両国がミサイル防衛(MD)システムの一環として共同開発中の次世代型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、米国から第三国に移転(輸出)を認める際の日本側の判断基準案が28日、明らかになった。
〈1〉第三国から別の国への再移転を防ぐため、「輸出管理制度や情報保全制度を国内に有し、国際的な枠組みに加盟している」場合〈2〉北朝鮮などの弾道ミサイル(BM)の脅威を前提に、日本の安全保障に資する場合――に移転を容認するとしている。
前記記事を書いた2010年11月当時、政府の移転(輸出)対象国は、19カ国でした。特に、イランと地理的に近く、他の対象国への移転による防護が困難と思われるトルコが対象となっていない事を危惧されました。
今回の基準案では、「ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)」の加盟国34カ国や、軍事情報保護に関する協定(GSOMIA)を日本と結ぶ「北大西洋条約機構(NATO)」の加盟国などが対象となり、全体数がはっきりしませんが、対象国は相当数に拡大されます。懸念されたトルコもMTCR加盟国なので対象となる模様です。
前記記事から9カ月、アメリカとどんなやり取りがあったのかは分かりませんが、社民党に配慮し、対象国を極めて少数にしようとすることに対して、相当の圧力があったのではないかと思われます。
この問題が、日米間の問題に止まらず、アメリカの安全保障政策全体にも大きな影響を及ぼすということを、愚かな民主党が理解しないため、危うくアメリカの逆鱗に触れるところでした。
とりあえずは、日米関係悪化の危機が避けられて何よりです。
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