国際司法裁への提訴不成立の構図_先占と実効支配
政府が竹島の領有権に関して、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討しています。
「竹島領有権で国際司法裁判所に提訴検討…外相」(読売新聞12年8月11日)
この動きに期待する向きもありますが、紛争当事国の両国が、提訴に同意し、成立することはほとんどありません。
日本の提訴に韓国が同意しないことで、主張に自信がないからだと主張することは可能で、その意味において、提訴は無意味ではありません。
ですが、国際司法裁への提訴合意は、基本的に不成立になる構図があります。その意味では、提訴はほとんど無意味と言えます。
領土取得要件には、譲渡や添付もありますが、竹島で問題になっている要件は先占です。
先占とは、国家が領有意思をもって無主地を実効的に占有することですが、最近では、何をもって占有とするかが争われることも多く、国際司法の場で、実効支配の有無に、より重きを置いた判断がなされるようになっています。
参考:竹島領有権紛争の焦点――国際法の見地から
近年に至り、当該領土に対する支配の実効性を更に重視した「国家権能の平穏かつ継続した発現」という権原が、国際判例を通じて示されている。これは、行政権の行使など国家権能の発現を証明することができるかどうか、紛争当事国のいずれがより多く(国家権能の発現の)証拠を示せたかによって領有権を判定する、歴史的主張よりも支配(主権行使)の実効性が重要、実効性を伴わない主張は争われると、いうことである。
一言で書けば、国際司法の場で、「先に占有」したかどうかよりも、「実効支配しているか否か」が重要視されるようになっている、ということです。
こうなると、実効支配している側は、実効支配が長引けば長引くほど、司法判断が有利に働くことになります。
つまり、国際司法裁判所(ICJ)に提訴されても、実効支配している方としては、同意しない方が、司法的に有利になるということが、構図として存在する訳です。
このため、竹島に関して、日本が何回提訴したとしても、韓国は応じません。
ですから、国際司法裁判所(ICJ)に期待をすることは、止めた方がいいでしょう。
むしろ、近年になって韓国が実効支配していることは明かですから、下手をすると実際の裁定で負けることもありえます。
韓国が警察を常駐させようとも、民間人を居住させようとも、各種施設を建設しようとも、全て指を咥えて見てきた訳ですから……
韓国が、提訴に応じるとしたら、それは「もう負けないだろう」と思った時です。
そんな状況になれば、日本として提訴に応じる訳にはいきませんが……
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