やっとの事で今回のシリーズ記事最終回です。
最後は、その他トピック的な要求を、取りまとめて書きます。
やはり強襲揚陸艦は大型か?
○水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能
艦艇の在り方について検討するための海外調査(5百万円)
この案件で海外調査となったら行く先はアメリカしかなく、アメリカで現存し、見る対象となる強襲揚陸艦と言ったら最も小型(と言っても現存3級は、どれも似たようなサイズですが)のタラワ級でも、満載排水量で4万トン近くになる大型艦です。
以前の記事「強襲揚陸艦と集団的自衛権の素敵な関係」で書きましたが、もし多機能艦艇が装備されることになれば、軽空母としての運用ができるような大型艦になりそうな可能性が高くなってきました。
佐賀・長崎にデッカイ飴
○水陸両用作戦関連部隊等の整備(190億円)
新編される水陸機動団及び作戦関連部隊の展開基盤
に係る用地取得経費及び調査費等を計上
・ティルト・ローター機の拠点整備
・水陸両用車部隊の拠点整備
・水陸機動団関連施設の整備
これも、以前の記事「オスプレイ配備は、ナゼ佐賀空港なのか?」で書きましたが、配備候補地の佐賀・長崎にデッカイ飴をぶら下げてきました。
用地取得と調査費だけで190億円ですから、実際に部隊ができれば、地元には相当の利益を、長期的にもたらすだろうと思われます。
海上輸送の増強
○民間海上輸送力の活用に係るPFI事業(354億円)
自衛隊の輸送力と連携して大規模輸送を効率的に実施できるよう、民間資金等を活用した民間船舶(フェリー2隻)の長期安定的な確保及び活用
やっと!、ついに!と言う感じの要求です。
これも、「民間高速輸送艦をPFI方式で有事使用」などで言及してきました。
モノはともかくとして、乗員の身分がどうなるのか、興味深い所です。
黎明期を脱するNBC対策
○NBC兵器による攻撃への対処
・NBC偵察車の取得(1両:7億円)
・化学剤検知器(改)の取得(76式:3億円)
・各種線量率計の取得(40式:1億円)
・NBC警報器の取得(1組:2億円)
・個人用防護装備の取得(9,200組:18億円)
・化学防護衣の取得(912着:2億円)
・新除染セットの取得(8両:5億円)
核・生物・化学(NBC)攻撃等における大量の人員や装備品の汚染等に迅速に対処して被害の拡散や2次被害等を最小限にとどめるため、各種の除染能力を強化
冷戦期、西側諸国は、抑止戦略により、NBC兵器を使われない事を追求していましたが、ソ連(当時)や中国は、核戦争に勝利する事を目指し、本気で核を使う事を念頭に、文明が後退する程のダメージを負っても戦うつもりでした。
ソ連や中国がそういう考え方である以上、前線である日本は、NBC対策に本気にならなければならなかったはずだったのですが……日本の場合は、お寒い状況でした。
やっと、黎明期を脱し、本気で体制整備を始めるようです。
仕切り直すUHX
○新多用途ヘリコプターの共同開発(10億円)
・現有装備(UH-1J)の後継として、各種事態における空中機動、大規模災害における人命救助等に使用する新多用途ヘリコプターを開発
・効率的な開発を進める観点から、国内企業と海外企業が共同で行う民間機の開発と並行して実施
これからの陸自のワークホースとして、私は反対しませんが……この要求内容を見ると、やはりこれも、清谷氏あたりは反対しそうですね。
実際、輸入ではダメで、国産にしなけばならない理由を付けることは難しいように思います。
もう、経産省にも金を出させた上で、堂々と国内航空機産業の育成・保護だと言った方が良い気がします。
バックアップになる?
○市ヶ谷庁舎被災時の代替機能の整備(3億円)
首都直下地震による被災に備え、朝霞駐屯地を代替地として活用し得るよう同駐屯地情報通信基盤の拡充等
太平洋戦争当時、松代大本営があったとおり、バックアップの指揮所は必要です。
しかし、市ヶ谷のバックアップとして、朝霞は近すぎるのではないかという気がします。
もちろん、あまり遠すぎると移動が困難で機能しないのですが、それにしても近いな~と感じます。
なぜ奈良?
○自衛隊の展開拠点確保に係る基本構想業務(福井・奈良)(8百万円)
広域防災拠点となり得る自衛隊の展開基盤を確保し、大規模災害への実効的な対処体制を確立するため、基本構想業務に係る経費を計上
福井は、原発銀座があるので理解できるのですが、何故奈良に災害時の展開拠点確保が必要なのか、疑問です。
何となく想像できる理由としては、全国の都道府県の中で、陸海空合せても、唯一部隊と呼べる部隊が全く無い県だからでしょう。
空自の幹部候補生学校はあるのですが、みんなひよこですし、装備もないので、災害派遣を行っても、土嚢運びくらいしかできません。
しかし、別に他府県から来ても問題ないはずです。必要性は疑問です。
貧乏な自衛隊
○災害時における機能維持・強化のための耐震改修等の促進(303億円)
自衛隊の施設は、キレイに整備されているところも増えてきましたが、ボロいのも、まだまだ多くあります。
それらの中には、消防署の点検で、「危険だから使うな」というご指導を頂いてしまう施設もある状況なので、耐震改修は必要です。
将来はガンダム?
○双腕作業機の取得(2両:0.6億円)
大規模災害等に対応するため、人命救助及び瓦礫等の除去などに柔軟に対処可能な双腕型の作業機を整備し、大規模災害等への対処能力を検証
日立建機の双腕式油圧ショベル「ASTACO」(アスタコ)を買うみたいですね。
日立建機のアスタコは、開発者がガンダム好きだったと言う程なので、自衛隊がガンダムやレイバーを使う日もくるのかもしれません。
「“ガンダム好き”の研究者が開発 日立建機の双腕式油圧ショベル」

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