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防衛予算

2010年9月14日 (火)

H23概算要求-その1_潜水艦増強

23年度の概算要求資料が公開されました。
我が国の防衛と予算 平成23年度概算要求の概要

今後、何回かに分けて来年度の概算要求について見てみたいと思います。
今回は、防衛省資料の発表前にも報じられていた潜水艦の増強についてです。
海自潜水艦を増強 活発化する中国海軍に対処 防衛大綱改定」(産経新聞10年7月25日)

潜水艦の建造は、既存艦の延命措置と相まって、艦数増となるものですし、そうりゅう型AIP艦への更新ですから、かなりの能力向上になるものです。
ですから、悪くない要求だと思っています。

ただ、この件でホンネを隠した、というより欺瞞した要求になっていることに関しては、嫌な感じがします。
というのは、潜水艦の建造や延命が「平素からの情報収集・警戒監視活動」の項目として盛り込まれているのです。
潜水艦が情報収集や警戒監視に寄与しないと言うつもりはありませんが、潜水艦は主にその隠密性から攻撃的性格の強い兵器です。
言わば暗殺者のようなもので、敵の防御網をかいくぐって親玉を一撃で仕留めることのできる兵器と言えます。
その攻撃力をもって、敵の行動を牽制することに最も効果を発揮する兵器なのです。
素直に、中国が建造中の空母の行動を規制する、そしてそれによって我の行動の自由を確保するためだと言うべきです。

もっとも、素直に言ったら買ってもらえそうにないからこんな言い方なんでしょうけど……

また、この潜水艦増強については、背景にアメリカの意向があるのではないか、と思っています。

中国の海軍力、特に空母については、アメリカも先月発表した中国の軍事動向に関する年次報告で警戒感を示しています。
アメリカも中国の海軍力を牽制する必要を感じている一方で、日本同様に軍事費の工面には苦労しています。

そのため、攻撃型原潜は減勢傾向で、2013年の55隻をピークとして減少し、2020年には50隻を割り込む、2030年には40隻を割り込む予定となっています。(軍事研究誌10年5月号「米海軍313隻艦隊の30年建造計画より」)

海自が米海軍と非常に強い結びつきを持っていることは、冷戦期にウラジオストックの潜水艦を封じ込めるために大量のP-3を装備したことなどから読み取れる通りです。

米海軍の攻撃型原潜の減勢を補い、中国の空母を中心とした海軍力を牽制するため、海自に潜水艦の増強を求めたのではないか……というのは、決して穿ちすぎとは思えません。

防衛計画の大綱を見直すことを前提としたこの要求ですが、人員確保など現実的な問題もあるものの、最大のハードルは小沢氏が首相にならないかどうかだと思ってました。
とりあえず小沢首相の登場だけは回避されたようなので、このまま通るかもしれません。

2010年9月17日 (金)

H23概算要求-その2_FX他、航空優勢の確保関連

航空優勢に関わる23年度概算要求で最大の話題は、やはりFXです。

各種飛ばし記事も流れたFXですが、最終的にステルスに拘泥する空自が、(F-35の)調査費用のみを概算要求に盛り込んで、FXの選定調達は先延ばしにしました。

航空優勢確保のためには、代わりにF-15とF-2の能力向上改修を盛り込んでいます。F-2の追加生産はなし。

FXにステルスを望んでいる最大勢力は、当然Pだと思いますが、純減になって口減らしされる結果になっても知らないぞっと……

さて、FX選定と能力向上改修に関しては以前の記事でも述べたので、今回はその他の話題について書きます。

まず、04式誘導弾(改)の開発について
04式誘導弾(以下AAM-5)の能力向上型開発が新規で盛り込まれています。

現行AAM-5自体の評判が悪かった訳ではないですが、これは資料にあるとおり、空中給油機が配備されたことに伴う改修でしょう。

空中給油機の配備により、航空機が長時間のCAPを行う可能性が出てきました。
それに合せてシーカ冷却持続時間の延長が必要になったようです。
ボトルの大型化を図るのか、何らかの方法で冷却効率を高めるのか、はたまた必要な冷却温度を上げるのか……、方法は分かりませんが、そのあたりの研究だと思われます。

IRCCM能力や背景識別能力の向上は、併せて行うことにしたのでしょう。
なお、資料にあるとおり雲が背景になることで誘導制度が不十分になるような状態なら、現状では陸地を背景にした打ち下ろしは厳しいのかもしれません。

次に、ミリオタでもあまり注目しないと思いますが、重要な研究開発案件が盛り込まれているので、そちらに注目してみます。
それは、将来のレーダー方式に関する研究です。

FX選定などステルス機を配備することばかり注目されてますが、日本の場合、どうしても防勢的な作戦に対応することが必要です。

そのためには、長時間安定的に警戒監視を行うため、地上配備レーダーに対ステルス能力を付与して行くことは必須です。
バイスタティックやマルチスタティック、さらにはビーム合成処理でステルスを捕捉するレーダー技術は、対象国のステルス機開発能力の先を行く必要があります。

幸い、日本にはその検証のために使える先進技術実証機(ATD-X)もあります。

対ステルスレーダーがあれば、前述のAAM-5改などを利用して非ステルス機でステルス機を迎撃することも不可能ではないので、ここは是非良いモノを作って欲しいところです。

経費は将来のレーダー方式に関する研究に23億円となっています。
もっとドーンと投入してもいい研究だと思います。

航空優勢確保関連の要求については以上です。

さて、23年度概算要求の総額は、FXの調達が見送られたのにも関わらず、本年度予算より増額となる要望になっています。
もしFXの調達まで盛り込んでいたら相当の増額要求となっていたか、あるいは他の予算を相当に食いつぶすことになったと思われます。
FXに対する
他幕(陸幕と海幕)の風当たりが強いのも分かります。

2010年12月 4日 (土)

H23概算要求-その3_SAM関連

大分間が空いてしまいましたが、来年度の概算要求ネタの続きです。

23年度の概算要求は、対中国の南西増強につながる案件が多かったのですが、SAM関連もご多分に漏れずでした。

南西地域におけるBMD能力向上のため、1個高射隊をPAC-3化することが盛り込まれています。

しかし、1個高射隊だけというのが気になります。
24年度以降に他の3個高射隊分を手配するなら良いのですが、それならそう書きそうなので、この1個高射隊のみなのかもしれません。

もし、そうであれば、指揮所運用隊もPAC-3化しないと効果的な対処は望めません。
逆に指揮所運用隊をPAC-3化してしまうと、残りの3個高射隊は連携した戦闘が困難になるでしょう。
果たして防衛省はどうするつもりなのか……?

もしかすると、1個高射隊のみをJADGEに直接連接する特殊な連接装置を手配するつもりなのかもしれません。
沖縄の場合、弾道ミサイルから防衛したいのは那覇基地だけでしょうから、それで良いと考えてるのかも……。
当然PAC-3化するのは那覇の17高射隊なんでしょうね。

ただ、深読みすると、このPAC-3は下地島用なのかもしれません。

もう一つのSAM関連ネタは、ついに短SAM(改Ⅱ)が盛り込まれている点です。

やっと、という感じですね。(FXの調達があったら切られてたんだろうな)
陸自に1式26億円となっている他、空自に教育用1式「基地防空用SAM」(こちらは15億)となっているものも短SAM(改Ⅱ)でしょう。

陸自分は構わないのですが、以前の記事「GUN派が息を吹き返すか?」に書いた通り、空自分の調達は残念です。
教育用とのことなので、2術校用です。

陸自分が何所に配備される予定なのか不明ですが、15旅団には短SAM部隊がないので、8師団か4師団でしょうか。

いくら機動性が高いといっても、尖閣に配備するのは困難(車両と切り離してCH-47でスリング懸吊するならなんとか可能ですが、メンテも困難なはず)ですから、西方隷下でない可能性もあります。

陸自の新規装備は普通学校に配備される(まずは教育からというスタンスがしっかりしている。その点空自は教育軽視で現場優先になりがちです。)ので、教育用との記述がありませんが、高射学校用かもしれません。

2011年11月18日 (金)

H24概算要求-その1_海上戦力の増強

24年度の概算要求資料が公開されました。
我が国の防衛と予算-平成24年度概算要求の概要

公開からちょっと間が開いてしまいましたが、今後、何回かに分けて来年度の概算要求について見てみます。

最初に概観です。
今回の概算要求は、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画の見直し後、初めての概算要求として注目の発表でした。

全体を見渡してみると、「実効的な抑止及び対処」を実現するために「動的防衛力」として、機動性を上げるための施策が目に付きます。ただし、詳細は別途述べますが、”動ける部隊”作りのための施策はあるのですが、それを”動かすための手段”確保の施策が乏しいことが気になります。
地域的な観点では、やはり南西方面の防衛力強化が、かな~り色濃く打ち出されています。
また、未曾有の災害であった東日本大震災を教訓とした施策も目に付きました。

さて、概観はこのくらいにして、今回の本題である海上戦力の増強について、見てみます。
海上戦力は、言うまでもなく機動性の高い戦力ですし、南西方面はほとんどが海ですから、増強はあたりまえと言える措置です。

艦船に関しては、数的には、
・DDHの建造(19500トン型)
・潜水艦の建造(そうりゅう型+潜水艦魚雷防御システム)
・護衛艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事2隻、部品調達6隻)
となっており、随分おごったなという印象です。
予算的にも艦船建造費は23年度の750億円から、1781億円と1000億円以上の増加、パーセンテージで言えば、137%もの増加となっています。
ただし、ただでさえ少ないと言われる海自の自衛官定数は、増減ゼロです。
この要求が全部通ったら、まともに動かせるのだろうか?
ヘリ関連では、
・掃海・輸送ヘリMCH-101 1機
・哨戒ヘリSH-60K 5機
・哨戒へりSH-60J機齢延伸 2機
となっており、可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。

質的には、
・艦艇の情報共有能力の向上(衛星利用の目標情報共有とのことなので、Link16の衛星利用機能か?)
・あたご型イージスのBMD艦化
どれも措置としては妥当だと思うのですが、あたご型のBMD艦化は間抜けな話です。
対中国のためには4隻では足りないというストーリーを持って財務に臨むつもりかもしれませんんが、それくらいなら最初からBMD艦として作れよ、という感じです。非BMD艦として建造し、就役からわずか5年でBMD艦化改修をするなんて、予算のムダもいいところです。

開発は2件
・潜水艦用新魚雷の開発(浅海域での運用能力向上が意図されており、浅い東シナ海での戦闘を念頭においていると思われる)
・可変深度ソーナーシステムの研究(現有の曳航ソナーでは能力不足ということでしょうか。まあ古いですからね)

また、海自ではありませんが、対水上作戦能力の向上に資する施策として、与那国島への沿岸監視部隊の配置と、88式地対艦誘導弾システム(改)2セットを取得することも盛り込まれています。

てんこ盛りの海上戦力の増強ですが、問題は、艦艇建造費だけでも、昨年度と比較して1000億円超の増加を要する措置が、はたして実際にどの程度予算化されるかでしょう。

2011年11月24日 (木)

H24概算要求-その2_航空・防空

その2は、航空・防空関係です。

・移動警戒隊の展開用地について、私が知る限りでは、今までは、石垣に展開させるとの情報しかありませんでしたが、今回与那国島への展開を検討する旨記載されています。
沿岸監視部隊が配備されることを踏まえて、もう一段踏み込んだというところでしょう。
問題は、場所が南牧場では、尖閣方面の見通しが、あまり良くなさそうな点でしょうか。

・那覇へのE-2Cの整備基盤を整備 2億
額が2億円だけなので、格納庫はなく、本当に整備器材のみかもしれません。整備格くらいは必要だと思うのですが……

・那覇基地の2個飛行隊化に向けた施設整備のための調査 7000万
不発弾探査とかでしょう。

FX 4機551億
産経によると「F2戦闘機の購入費約138億円を基準に551億円を「仮置き」とした。」そうです。
果たして、実際には何機買えるのか非常に疑問です。寡兵敵せずになるようでは、困ります。
F-2再生産のウルトラCもあり?……ないな。

改修等
F-15近代化改修         2機30億
F-15IRST搭載改修       2機14億
F-15自己防御能力の向上   2機48億
F-2空対空戦闘能力の向上  12機41億
F-2JDAM機能の追加     20機28億
中華ステルスは、AWACS含む警戒管制レーダーにも映らない程の高ステルスではなく、機上レーダーに映らない程度のステスル性能と見ているのかもしれません。
だから、対ステルスの決め手とも見られているIRSTには非常に少ない予算しか投下せずに自己防御機能に予算を集中投下しているのではないか……とも思えます。IRST搭載がテストの意味合いが強いだけかもしれませんが。
しかし、もしそうだとすれば、FXにはF-35以外の可能性も高くなったかも。
それにしても、今年まで言っていた集中調達はどうなったんだろう。

SAM関連
ペトリオットシステムの改修 3式362億
今年、沖縄の1個高射隊のPAC-3化が決まっていますが、それによってあぶれた3個高射隊の指揮所運用隊との連接が問題となるための改修でしょう。今年実施すべき施策でしたが、予算が取れなかったため来年に回されたようです。

03式地対空誘導弾の取得  167億

短SAM改Ⅱの取得(陸自用) 49億
短SAM改Ⅱの取得(空自用) 58億

開発案件
・F-2のLJDAM投弾支援支援システム(適当に命名)の開発 33億
・将来ミサイル警戒技術に関する研究 20億
味方ミサイルには警報を発しないようにするとのことですが、地点情報から判断する以外に手段はないと思います。とすれば大した技術ではないので、果たして20億も必要なのか?
赤外線による全周警戒とのことですから、期待各部にセンサーを取付けるための費用かもしれません。
・将来のミサイルシステムに関する要素技術研究 2件 22億
空自ペトリオット、陸自中SAMの後継となる共通システムの研究です。装備が共通となれば、部隊のあり方にも大きな影響のありそうな研究案件です。
内容はロケットモーター等基本的な技術のようです。

編成関連
航空救難団の航空支援集団から航空総隊への隷属替え
相当以前から、ぜったいその方が良いと言われながら、支援集団が手放さなかったのですが、やっと実現して、航空総隊の直轄部隊となるようです。
これは想像ですが、空中給油機や国際貢献で忙しくなった支援集団が、身軽になるために実現したのかもしれません。あるいは、もしかすると、海・空の救難部隊統合に向けた動きとも何か関係があるかもしれません。自衛艦隊と航空総隊は、関係が深いですし。
これで、基地警備事案発生時にも、救難機を偵察及び地上掃射等で使える可能性が出て来ます。

その他
高高度滞空型無人機の海外調査 100万
1百万円って何でしょう。数人で1回出張したら終わっちゃうじゃないですか。
本当に導入する気があるのでしょうか?

2011年12月 3日 (土)

H24概算要求-その3_陸・輸送力

海、空と来たので、その3は陸・輸送力についてです。

人員関連
・実員増 109人
少ないですが、人員(実員)増は陸自だけです。

偵察関連
・無人偵察機システム 1式4億
盛り込まれたのは、やはり震災の影響でしょうね。

車両
・軽装甲機動車 101両30億
23年度は56両に落ち込んでいた調達数を、再び100両を越えて調達します。他のブログ等でも注目されてないですが、動ける部隊作りのためのメイン施策と言えると思います。費用対効果の高い施策ではないでしょうか。
それにしても、陸の単価が3000万なのに、ほとんど同じ仕様の空の単価が4500万もするのは何でだ? 空は、コマツの言い値で買ってるのでしょうか。
・10式戦車 16両 160億
74が年間40両程度減勢していることを考慮すると、戦車の保有台数としては、これでもかなりのペースで減少している計算。
・特殊トラック(PLS付) 2両 3億
民間でもアームロール等と呼ばれる積載機能を付けたトラックです。米軍の同等装備としてはHEMTTがありますが、湾岸戦争で大活躍しました。自衛隊も、やっとこういう装備を取得するようになったようです。
たったの2両ですけど……

輸送ヘリ・輸送機
・UH-60JA 1機  37億
・CH-47JA 2機 109億
・C-2(空自) 2機 333億
少ない。
C-2は23年度の3次補正に2機滑り込ませられているのでまだ良いとしても、輸送用ヘリの少なさは理解に苦しみます。
動ける部隊を作っても、動かす手段がなければ結局動けません。空中ではなく、海上輸送力で動かすというコンセプトならそれでもいいですが、そのための施策は演習の実施しかありません。

戦闘ヘリ
・AH-64D  1機  52億
裁判対応ですね。
必要だからではなく、和解のために調達されるなんて……

火器関連
・多用途ガン 7門 7000万
モノはカールグスタフM3のようで、実質的には84mm無反動砲(84RR)の更新装備です。
気になるのは、何で新84mm無反動砲と呼ばず、「多用途ガン」なる名称を付けるかです。「そんなことどうでもいい」と思う方がほとんどだともいますが、予算を付ける上で、名前、つまり名目は大切です。従来の84mm無反動砲は、主目的としては携帯型対戦車火器として装備されてきましたが、対戦車火器としては予算が取れなくなっている可能性が考えられます。
もしかすると、財務が「南西方面の島嶼防衛では、戦車が着上陸されてくる可能性なんてないでしょう」と言っており、陸幕もそれに有効な反論ができないのかもしれません。
・96式多目的誘導弾システム 3セット 41億
3年分の集中調達で11億の削減とのこと。何と、今年の「集中調達」はこれだけです。防衛産業の保護育成の上で、集中調達の弊害が出ているのかも知れません。(予想された話ですが……)

通信関連
・新野外通信システム 2式 148億
Yagai_tsushin
技本HPより
金額を見ても、運用イメージを見ても、かなり複雑なシステムのようです。
通信系は、あまりハイテクを使うと、抗たん性が低くなるのではないかとの懸念を持つのですが……

衛生関連
・個人携行救急品の整備 7億
今年の予算にも入ってましたが、今年は額が少額だったようです。実験的に導入して良かったということで、来年は一気に大量導入するということなんでしょう。
以前の救急バックは、軍事組織として信じられないくらいショボかったので、良い施策だと思います。
内容の詳細は不明ですが、コチラが参考になると思います。

編成関連
・4師団、12旅団の即応近代化
動きやすい部隊作りということでしょう。
・化学防護隊の旅団直轄化
震災関連で装備が増える他、役割が重視されて格上げになるというところか。

開発関連
・火力戦闘車(装輪自走砲)の開発 64億
FH-70の減勢対応。開発費は、10式戦車4両分にもなる。わざわざ新規開発しなくても、空輸対応の自走砲ということなら、もともとがそうなのだから、装輪に拘らなくても203mm自走榴弾砲を短砲身化、FCSの小改造等で追加調達する手段もあると思う。
・高射機関砲システム構成要素の研究
11111006c
朝雲新聞より
結局、時限信管作動の調整破片弾になるようです。3PでもAHEADでもない新規開発の必要性については、前方破片(AHEAD)と側方破片(3P)の双方を持った弾薬がないとの、非常に苦しい開発理由をこじつけたようですが、概算要求には乗りました。果たして通るんだろうか。口径も同じ40なんだから、3Pのライセンスでも良いと思います。もしCTAにする前提なら、それを名目にした方が良いと思うのですが……
・遠隔操縦式小型偵察システムの研究 15億
朝雲新聞によると、小型UAVを搭載したUGVという親子型システムになるそう。小型UAVの方は、球形UAVの技術が採用されたりするんでしょうか。

2011年12月 8日 (木)

H24概算要求-その4_その他

24年度の概算要求ネタ最終回です。

サイバー攻撃対処としては、訓練支援機能の強化や情報収集・分析機能の強化が謳われていますが、具体的な措置としては、
・サイバー防護分析装置の機能強化(2億)
・サイバー攻撃等への対処のための調査研究等(2千万)
が盛り込まれているだけです。

国会議員のPCがサイバー攻撃を受けたりと、とかく話題になる案件に対して、「防衛省はこの程度でいいのか?」と思うかもしれませんが、私は十分だと思っています。
なにせ、防衛省が使用しているネットワークは、重要なモノは、全部クローズドネットワークで、インターネットとは繋がっていませんから、外部からハッキングするような芸当は不可能です。
創作作品とかで、サイバー攻撃でワタワタになる自衛隊が描かれていることが多いですが、あれは現実と乖離してます。

・メンタルヘルスケアの充実 2億
震災でショックを受けた隊員が多かったのでしょう。

・統幕への「運用部副部長」の新設
自衛隊幕僚組織の24時間戦えますか的な体質(米軍は交代で休める人員が配置されている)の限界が東日本大震災で露見したのか?、と思いましたが、「統合運用に係る大臣補佐と命令執行を同時並行して持続的に行うため」とされており、やはり震災で大臣補佐のための会議参加等により、命令の決裁(専決決裁)に遅れを来たして部隊の動きが遅延したというような事例があったようです。

・内局、統幕、情報本部の増員
これも震災対応の反省のようです。

・NBC偵察車 2両 14億
Hpnbc
技本HPより
ちょうど開発終了していたものが、震災で予算化に弾みが付いたというところでしょう。

・NBC警報機 1組 2億
必要な機能なんだろうと思いますが、果たして本当に使い物になるものなのか……
・新線量計セット 173組 5億
モロに、震災の影響ですね。


・能力構築支援事業 5億
タイトルでは何やらさっぱり分からない事業ですが、日本版ハート・ロッカーなどと呼ばれる日本地雷処理を支援する会(JMAS)を省として支援する事業のようです。
安全保障環境の安定化に貢献するという表向きの理由以外にも、退職自衛官の雇用確保にも貢献するという効果がありそうです。
日本地雷処理を支援する会(JMAS)HP

・自衛隊業務の在り方に関する調査 予算額不明
駐屯地・基地業務の効率化施策に関する実証実験とのことで、詳細不明ですが外部委託等の実験が行われるのではないかと思われます。

・PBLパイロットモデルの実施
陸自の特別輸送ヘリ(EC-225LP)をモデルケースとして、メンテナンスの外部委託の際の契約方式として、作業量ではなく、稼働率等で評価して対価を支払う方式の実証を行うようです。以前から噂はあった話で、うまく行けば費用低減と高稼働率の維持が両立できる可能性があります。
民間の「民間らしい」能力発揮が期待される所でしょう。

・Xバンド通信衛星の整備・運営事業 1881億
新通信衛星を単に整備するだけでなく、設計から廃棄まで含めた全ての運用までを民間にPFI方式で委託する事業です。
これも、民間の力を期待した事業です。
1881億という金額が、安いのか高いのか良く分かりませんが、海外での活動が増えている他、広範囲で活動する南西方面での作戦の蓋然性が高まっている以上、通信衛星は必須でしょう。

・CBRN脅威評価システム技術の研究 10億
従来気象庁の協力でやっていた拡散予測などを、自前で整備するようです。アメダス等の情報を使って、行うようなので、防衛省が独自に持つ必然性がどの程度あるのか疑問でもあるのですが、防衛省に向かって「どうなってんだ!」とか叫んだ人がいるんでしょうね。

2012年1月17日 (火)

東洋経済誌特集「自衛隊のコスト」

まだ一部しか目を通してませんが、早く紹介しないと店頭から無くなってしまうので、取り上げます。

ビジネスマン向けの週刊誌「東洋経済」が、武器輸出三原則の緩和などを受け、「自衛隊のコスト」という特集記事を載せています。



ちょこっと載ってるだけかな、と思ったのですが、かなりのページ数を割いた特集になってました。
予算や防衛産業に視点を当て(ビジネス誌なのであたりまえですが)て書かれており、軍事の専門誌とは、ちょっと方向性が違うため、かえって興味深く読めます。

記名記事が清谷信一氏と桜林美佐氏の記事くらいで、突っ込みが足りないのではないかと思いましたが、扇情的なタイトルを付ける一般雑誌の軍事記事と比べれば、遙かに掘り下げた内容になっています。(FXにF-35以外を選定した場合の将来的な運用機種数への言及等)
当ブログを見て頂いている方でも、興味を持って読めると思います。

書きぶりも、元来防衛に興味を持ってはいない人を対象にかかれているため、分かりやすく書かれており、読みやすいです。

キオスクで見つけたら、手に取ってみたら如何でしょうか?

2012年4月24日 (火)

嘉手納以南返還によってムダに支出される年間220億の思いやり予算

いわゆる嘉手納以南と呼ばれている在沖米軍施設用地が返還される動きが具体化して来ました。
嘉手納以南を段階返還 日米大筋合意、13地区に分割」(朝日新聞12年4月20日)

Photo
朝日新聞より

約500ヘクタールほどの面積なので、在沖米軍施設用地約2万3千ヘクタールの2.2%ほどに過ぎませんが、普天間周辺の市街地に位置する施設なので、価値の高い土地であり、返還される意義は小さくありません。

一般的に認識されている沖縄世論としては、当然歓迎でしょう。
普天間問題での強硬な沖縄世論も、若干改善するかもしれません。

ただし、一部の方には懸念があります。
そして、それを払拭するため、国民の血税が、ムダに使われようとしています。
それも、毎年220億円もです。

他基地で継続雇用 「嘉手納より南」従業員」(琉球新報12年3月12日)

 防衛省の神風英男政務官は16日の衆院沖縄北方特別委員会で、日米で返還が合意されている嘉手納基地より南の6米軍基地の従業員数が3882人と明らかにした。その上で、返還された際の基地従業員の雇用問題について、「他の施設への配置転換による雇用維持や、職種変更の場合は管理機構を通じて技能訓練する」と述べた。配置転換や職種変更に対する技能訓練で雇用不安に対処する考えを明確に示した。


この嘉手納以南の返還に伴い、同施設で雇用されていた日本人従業員は、やるべき事がなくなります。

民間であれば、事業縮小ですから、整理解雇となるところでしょう。
ある事業をあきらめて、リソースを他に回すとうことでしたら、訓練の上、配置転換もありうるでしょう。

ですが、今回の嘉手納南の返還は、500ヘクタールの内、270ヘクタールは、海兵隊の国外移転に伴って返還されるものです。
つまり、この分は、雇用を継続する必要性が全く無くなる訳です。
残りの230ヘクタールは、沖縄県内の施設に整理・統合されますので、全くとは言いませんが、雇用継続すべき人数はかなり減るでしょう。

3882人の全員ではないにせよ、必然性のない雇用継続が、国民の血税(思いやり予算)で続けられようとしている訳です。
年間給与額については、職務内容によって差があるでしょうが、平均すると年収にして575万円ほどになります。
(直近、平成16年のデータでみると、8813人の雇用に対して、所得は507億円となっています。ソースは、沖縄県HP「沖縄の米軍及び自衛隊基地」より)

3882人の全員分がムダだと仮定すれば、総額では、223億円になります。
これが、毎年支出されるのです。

F-35の購入費用は、大方の予想通り高くなりそうですが、ここまでは行かないでしょう。
このムダ支出がなければ、毎年1機のF-35が、余分に買えるはずなのです。

私は、思いやり予算の支出そのものには反対していません。
日本の防衛上、必要性のある支出だと思います。

しかし、このムダな雇用継続に伴って、これほどムダな支出が継続されることは、日本の防衛にとってマイナスです。

2012年10月13日 (土)

航空手当(パイロット手当)の見直し私案

既に、来年度の概算要求が公開されて久しく、それについての記事を書かなければならないところですが、その前に今年度予算に関連して書いておきたい記事があるので、こちらを先に書いておきます。

今年度から、パイロットに支給される航空手当が見直されています。

24年度 重要施策を見る <5> 人事・処遇 人的基盤抜本改革 階級構成を見直す 士増やし幹部・曹は減」(朝雲新聞12年4月12日)

 【主な諸手当の改善】▽航空手当の見直し=航空機乗員が行う業務の変化等を踏まえ、空自戦闘機等の乗員の支給割合を引き上げる。(階級初号俸×80%)。その他の陸海空航空機の乗員の支給割合を一律とする(同×60%)。


以前の手当については、資料がありませんが、ジェット機70%、レシプロ機60%だったと記憶しています。

これは、適性のあるパイロットの確保が困難になってきているためです。
最も端的なのは、視力です。
体力、知力だけでなく、視力も良い若年者が少なくなっており、視力の基準を引き下げたものの、それでも人が集まらないため、戦闘機パイロットの手当が引き上げられました。

財源となったのは、C-1などのパイロット手当のようです。

人が集まらない以上、求人条件を良くすることは、当然です。
どこの業界だって同じです。

ただし、もっと巧い方法があると思われます。

この手当、階級初号俸の80%が支給されます。
つまり、
パイロットなりたて3尉¥236,000円の80%
=188,000円
一人前の2尉¥244,000円の80%
=195,200円
現役バリバリ1尉¥269,900円の80%
=215,920円
ベテラン3佐¥319,000円の80%
=255,200円
隊長2佐¥346,700円の80%
=277,360円
そろそろ定年1佐(二)¥456,600円
の80%
=365,280円
司令官クラス空将¥720,000円
の80%
=576,000円
と、階級に応じた支給となるのです。

定年間近の手当までしっかり見越してパイロットになる人間が、果たしてどの程度いるでしょうか。(いや居ない!)
むしろ若年パイロット支給率をアップさせ、目先の利益に目をくらませた方が、もっと人員確保には役立つと思いますが、如何でしょうか。
例えば、3尉を200%(つまり号俸の3倍支給)として、以後階級が上がる事に一定額の上昇とかです。
今でも無理して高級外車に乗っている若年パイロットは居ますが、それを当たり前にしてやれば、もっと人は集まりやすいでしょう。

もちろん、それを実際に行なうためには、混乱が生じないように、時間をかけて行なうべきですが、この方が、より優秀な隊員を集めやすいように思います。

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