参院選総評
前回記事で宇都先生の当選だけお伝えしました。今回は、防衛問題からちょっと外れますが、参院選の総評について書いてみたいと思います。
改選121議席中、与党が36%の44議席しか獲得できなかったため、与党の惨敗と伝えられています。
原因としては菅首相の消費税発言であるとの意見もありますが、消費税10%と言っていた自民が議席を減らせてないのですから、消費税発言そのものが原因ではないでしょう。
その後の発言がブレた姿が、普天間で迷走した鳩山元首相に被ったのではないでしょうか。
強行に10%と言い続けた方がまだ良かったかもしれません。
千葉法相が落選したことに見られるように、民主党に内在する旧社会党的な性向に国民がNOと言ったという点も大きいのではないかと思っています。
(それでも千葉法相を慰留するなんて空気読めてないよな、と思いますが……)
さて、ここからは前の記事でも言及した宇都議員(やっぱり都度先生と付けるのもなんなので議員にしときます)の得票数について、考えてみたいと思います。
最初に最終的な得票数を確認すると、次のとおりでした。(敬称略)
片山さつき(比例区自民トップ)29万9千票
宇都隆史 (比例区自民11位)12万1千票
赤石清美 (比例区自民12位)10万8千
堀内恒夫 (比例区自民次点 )10万2千票
正直言って、ここまで苦戦するとは予想外でした。
自衛隊の組織票があれば、比例区でもトップクラスで当選するだろうと思っていたのです。
何せ、前回参院選で佐藤議員が25万票あまりを獲得していたからです。
佐藤議員が参院選に立候補するため退官したばかりで話題性があったこと、イラク派遣で「ヒゲの隊長」として一般にも非常に知名度があったこと、退官前には各地の基地等で講話を行って部内(自衛隊内のこと)での知名度も高かったことなどを考えれば、1等空尉で退官した宇都議員が、佐藤議員ほどの得票数にはならないだろうとは思ってはいましたが、よもやここまでとは思いませんでした。
「知名度」が私が思っていた以上に選挙で重要なモノなのかもしれませんが、ここまで苦戦すると疑念も湧きます。
それは、「北澤防衛相が圧力をかけたのではないか?」というものです。
何か具体的な情報があっての話ではなく、単なる私の憶測です。
ですが、実際に多少の圧力はかけられます。
自衛隊では、通常選挙が近くなると、投票に行くように指導されるだけでなく、基本的に関与をしないよう指導がなされます。
総務部門の部署に配置されたことがないのでうろ覚えですが、国政選挙ではほぼ毎回なんらかの通達が出ていたように思います。
今回はそれをより厳しく行ったのではないか、などとも思ってしまうのです。
例えば、非拘束名簿方式であるなど選挙制度についても言及させないとか、です。
ただし、票が分散してしまったという要素も間違いなくありました。
それは、私は意図的に言及しなかった事なのですが、実は民主党からも自衛隊OBが立候補していたからです。
「【参院選】“戦場”となる自衛隊 元空自が地上戦、元陸自は空中戦」(産経新聞10年7月8日)
民主党からは、元陸将補の矢野義昭氏が立候補していました。
階級や大きな部隊での指揮官歴の他、著書もあるなど、それなりに知名度もあった方です。
著書「日本はすでに北朝鮮核ミサイル二〇〇基の射程下にある―金正日の核とミサイル問題の深層」
よく民主党から立候補する気になったな、と思います。裏切り者扱いされたりする危険性もあったでしょうに……
しかし、結果としてはさほど票が割れたと言う事もありませんでした。
矢野氏の得票数が、1万9千票と宇都議員の1/6程度だったからです。
それを考えると、やはり十分に組織票として機能しなかったということでしょう。
前掲の新聞記事に現役幹部自衛官のコメントとして「うまくやれば2人のOBを通せるぐらいの力はあるのだが…」と載っていましたが、佐藤氏が得票した25万票を二人で分けていれば、それぞれ12万5千票を獲得したはずで、本当に二人通せた可能性もあるのです。
これを考えれば、今回は余程下手を打ったのか、あるいは何某かの圧力があったのではないか……と思えてしまうのです。
今後は、佐藤議員と宇都議員の二人がかりでしっかり組織固めをして欲しいと思います。
最後に、北澤防衛大臣の言を上げておきます。
「政権政党として未熟。政権交代したことでおごりがあったのなら謙虚にしないといけない」
慎重に言葉を選んできた、つまりは我慢してきた人としての言葉のように思えました。
実際には、発言以上に左に位置する人なのかもしれません。
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