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核と核戦略

2014年8月 2日 (土)

ゆらぐ核の傘と対応策

日米拡大抑止協議というのが行われています。

防衛省だけでなく、外務省からも参加しているため、双方のサイトに告知が載っています。語調がちょっとだけ違いますが、内容は基本的に同じです。
日米拡大抑止協議について(防衛省)
日米拡大抑止協議(外務省)
なお、「拡大抑止」というのは防衛省も外務省も意図的に一字抜いていますが拡大「核」抑止の事であり、平たく言えば核の傘、つまり、日本が核攻撃された時に、アメリカは核攻撃を受けた訳ではないにも係わらず、核で報復することです。

この拡大抑止協議ですが、注目の点は2つあります。

一つは、なぜこの協議が行われているのか、それも2010年以降は毎年定期開催されるようになっているのかです。

 なお、日米間では、従来から拡大抑止に関する協議を様々な形で行っており、2010年以降は定期的に行っています。

アナウンスでは、以前からやっていることを強調していますが、定期開催するようになっているのは、それだけ重要性が増している事の証左です。

その理由は、以前の記事「集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景」でも同じような事を書きました。
中国関連では、アメリカの国力低下、中国の隆盛により、アメリカ世論では重要な国として中国が日本よりも上位に来る状況の中、日中紛争に際して、中国が核を使用したり、実際に使用しなくても、ブラフをかけてきた時に、核の傘により中国に対して核報復する可能性が低下しています。
北朝鮮関連の場合、核・ミサイル技術の発展により、米本土が核攻撃を受ける可能性が高まったことで、やはり核の傘がやぶれ傘になりつつあります。

このため、尖閣に対する日米安保適用にオバマ大統領の言質を求めたように、拡大核抑止に対する保証を求める動きが、一部政治家や政府関係者の中にありますが、”保証”となると難しいでしょう。

また逆に、日本政府としても、核兵器不使用の共同声明に賛同を示すなど、自ら核の傘を拒否するような事をしているため、アメリカから不信感を抱かれている可能性もあります。

という訳で、アメリカによる日本に対する核の傘が揺らいでいるからこそ、この日米拡大抑止協議が行われています。

そして、もう一つ注目な点は、何やら核の傘提供用の核兵器を視察するらしく、何かかの動きがある可能性がある事です。

 協議の一環として、日米の出席者は、米国による拡大抑止の保証を支える核兵器システムに関する理解を深めるため、サンディア国立研究所における核関連施設を視察する予定です。

行き先のサンディア国立研究所は、ローレンス・リバモア国立研究所及びロスアラモス国立研究所と並んで、核兵器の先端技術を開発する研究所として有名な所で、特にZマシンによる核爆発を伴わない核兵器開発を行う事のできる施設です。

そこで見たはずの「拡大抑止の保証を支える核兵器システム」と言うのが注目ですが、それがどんなモノなのかは不明です。

ですが、サンディアがZマシンで有名な研究所であり、見てきたモノが「拡大抑止の保証を支える核兵器システム」であることを考えると、協議参加者が見たモノは、いわゆる
”きれいな核兵器(水爆)”関連ではないかと思われます。

核兵器が忌み嫌われるのは、破壊力もありますが、原発事故と同様に、放射能による汚染が、長期・広範囲に渡るからです。
そして、それが故に、核が”使えない兵器”などと呼ばれるように、政治的に使用のハードルが高くなっています。

そのため、放射能による汚染が発生しない”きれいな核兵器”であれば、政治的な使用のハードルは低くなり、アメリカが直接攻撃を受けていない状況でも、核の傘を提供しやすいのです。

通常の水爆は、重水素と三重水素(トリチウム)の核融合反応を、小型の原爆を起爆剤として使用することで起こさせるものです。
そのため、この起爆剤として使用した小型の原爆が、放射能(放射性降下物、フォールアウトあるいは死の灰)となります。

それに対して、”きれいな核兵器(水爆)”とは、原爆を起爆剤とせずに重水素と三重水素(トリチウム)の核融合反応を起こさせるモノなので、放射能汚染が極めて少ないことが特徴です。
これは起爆剤に原爆を使わないため、純粋水爆などと呼ばれます。

この”きれいな核兵器”開発には、核融合反応を起こさせるための特殊な施設が必要となりますが、サンディアのZマシンがこれに当たります。
ロシアでも同種の技術を使用して、サロフ(アルザマス16)において、”きれいな核兵器”の研究を行っています。

しかし、この”きれいな核兵器”は、開発に巨額の資金を必要とする上、開発も困難であるため、アメリカも開発を断念してしまっており、1992年に過去の研究データを公開してしまっている状況です。

ですが、当時と比べると、政治環境の変化が、より”きれいな核兵器”を必要としています。

もしかすると、日本に提供する核の傘の信頼性を確保するため、日本が資金、状況によっては原発の停止で職にあぶれた核技術者の提供を行う事で、研究を再開する……なんて話が、水面下で動いている可能性もあります。(小説のネタになりそうな眉唾話ではありますが……)

あるいは、さらに眉唾ですが、日本が核兵器を保有するとしたら、”きれいな核兵器”であれば、政治的には取組易いはずです。
日本の核保有も視野に入れた視察という可能性も……

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2012年9月13日 (木)

コブラボールがJL-2捕捉試験を実施か?

こんなニュースがありました。
沖縄近海でナパーム投下か 外来のFA18」(琉球新報12年9月5日)

 米軍嘉手納飛行場で4日、外来機のFA18戦闘攻撃機6機が、非人道的な兵器として国連が製造と使用の禁止を決議したナパーム弾の改良型焼夷(しょうい)弾MK77計16発を搭載し離陸した。帰還した際には搭載していなかったため、沖縄近海の射爆場で投下したとみられる。
(中略)
 また偵察機の一つで米ネブラスカ州オファット空軍基地所属の弾道ミサイル観測機RC135S(通称・コブラボール)も午前11時20分ごろに離陸した。

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同記事より(Mark77×3発を搭載したF-18)

コブラボールの性能については、極秘中の極秘でしょうから、さっぱり分かりませんが、4日前後に極東で弾道ミサイル発射の情報が無かったこと、及び実に符号するタイミングで離陸していることも考えると、Mark77を使って何らかの試験を行っていた可能性が高いように思われます。
Mark77爆弾(wiki)
11:20頃 コブラボール離陸
11:36頃 F-18編隊(4機)離陸
16:10頃 F-18編隊(2機)離陸

可能性としては2つ考えられます。
①コブラボールの誤警報確率が高く、Mark77等の焼夷弾・ナパーム弾等で誤警報が発生するか確認した。
②東シナ海からの、水中及び水上発射された弾道ミサイルのコブラボールでの捕捉性能を確認していた。

①は、米国内でも試験できますから、わざわざ沖縄近海で試験を行っていたことを考えると②の可能性が高いような気がします。

中国が開発中のJL-2(巨浪2号)対策かもしれません。

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2012年8月23日 (木)

中国による北極海航路開発の軍事的意図

中国の砕氷船が北極海航路を横断しました。
読売、ロイターは、物流ルートとしての価値と資源開発の狙いを指摘していますが、軍事的価値も極めて大きなものがあります。

極地開発に狙い…中国砕氷船が北極海航路を横断」(読売新聞12年8月20日)

 新華社通信によると、雪竜号は7月2日に山東省青島を出航。同22日までにベーリング海峡を越え、ユーラシア大陸北岸沿いを進み、ノルウェー北部沖のバレンツ海を経てアイスランドに達する航路を航行した。


中国の砕氷船が初めて北極海を横断」(ロイター12年8月20日)
Photo
ロイター記事より

中国が、北極海を軍事的に重視している理由は、次の地図を見て頂ければ、理解できるはずです。
Ws000010
ワシントンD.C.を中心とした正距方位図法(Fland-Aleで作成)

赤い線は、ワシントンD.C.から8000kmの円です。
つまり、今回砕氷船が通過した北極海航路のどこからでも、JL-2(巨浪2号)SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)によって米首都を攻撃できるということです。
(JL-2の射程は、8000km以上と見られています)

北極海は、経済的には未開発の海ですが、1958年に米原潜ノーチラス(SSN-571)が北極点に到達してから現在に至るまで、米ソ(ロシア)が互いに潜水艦発射弾道ミサイルの発射ポイントとすべく、原潜の活動地域としてきました。
海氷に覆われた北極海は、氷との衝突の危険性や、他の海とは異なるソナー特性があり、潜水艦にとって、必ずしも行動しやすい海ではありません。(逆に良い条件もありますが)

ですが、ここで行動できるノウハウを習得しさえすれば、水上艦や対潜哨戒機による対潜水艦戦がほぼ不可能な上、敵潜水艦にとっても、海氷が障害や音の反射源になったり、音波が塩分濃度のばらつきで複雑な屈折をしたり、殊に氷縁部においては海氷同士による接触で音を出すため、対潜水艦船は困難が多く、弾道ミサイル搭載原潜(SSBN)にとって、格好の隠れ場所になります。

性能が米潜水艦に劣るであろう中国のSSBNが、アメリカを攻撃するため、太平洋のど真ん中にのこのこ出て行くことは、危険性が高い作戦になります。
一方、北極海に入るためには、チョークポイントであるベーリング海峡を通過しなければなりませんが、ここさえ通過してしまえば、少なくとも太平洋よりは安全です。

また、アメリカが弾道ミサイル防衛を行う上でも、中国本土や太平洋方面だけでなく、北極海からも攻撃される可能性がある場合は、警戒の困難性は、飛躍的に高まります。
関連過去記事「脅威の旧式ミサイルJL-1(巨浪1号)

このように、北極は中国SSBNにとって、新天地である訳ですが、前述の通り、活動には困難が多いため、砕氷調査船による海図作成や海氷観測データの整備が不可欠です。
今回の北極海横断は、通商航路開発や資源開発だけでなく、これらの観測データ取得も目標としていると見るべきです。

なお中国は、難航が伝えられるJL-2(巨浪2号)SLBMの開発も進めています。
中国が相次いで核ミサイル実験??? 」(海国防衛ジャーナル)

中国は、通常戦力による作戦能力だけでなく、弾道ミサイル開発を始めとした核戦略も着々と推し進めています。

日本のマスコミは、ニュースの経済的側面ばかり見ますが、軍事的観点で見ると、同じニュースでも全く違う価値になります。
ニュースを軍事面で見る目も必要です。

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2012年1月24日 (火)

核兵器使用の正当性とキリスト教

ちょっと古いニュース記事になりますが、軍事教育と宗教に関して、興味深い記事がありました。

米空軍、核ミサイル発射担当将校にキリスト教で聖戦教育」(朝日新聞11年8月4日)

地上発射式の核搭載弾道ミサイルを管制する幹部に対する教育だと思われますが、「nuclear ethics(核の倫理)」なるコースで、聖書の記述などをテキストとして、核兵器を使用することの正当性を教育してきたようです。

なお、この問題を公にした「軍における信仰の自由財団」のリンクを貼っておきます。
軍における信仰の自由財団

前掲の朝日の記事では、あまり詳しく語られていないので、関連する記事を探したところ、二つほど見つかりました。

Air Force suspends ethics course that used Bible passages to train missile launch officers

Air Force yanks nuclear ethics course

キリスト教の教義と核兵器使用(及びそれによる大量虐殺)については、個人的には興味のあるテーマなのですが、軍事・防衛からは外れて行くので、ここでは触れません。

ただし、非常に気になったのは、2つめにリンクを載せたエアフォースタイムズの記事に次のような記述があったことです。

While much of the presentation is aimed at preparing airmen for potential internal conflicts over their faith and job responsibilities that could involve killing others, one slide notes that fewer than 20 percent of soldiers in World War II shot at the enemy.


これによると、このコースで使用されていた教材が、以前の記事「書評「戦争における「人殺し」の心理学」」」でも紹介した、2次大戦において20%未満の兵士しか敵に対して発砲できなかったという事実に、注目していたとあります。

地上発射式の弾道ミサイルの撃ち合いでは、管制官の秒単位の逡巡が、結果を大きく変える可能性があります。
ですから、管制官が確固たる信念で、ミサイルの発射ボタンを押せるよう、こう言った教育をしたのでしょう。
そう言う意味では、理解のできる話です。

そして、もう一つ、ここからは、推測になりますが、米軍がこう言った教育を行っていた理由が考えられます。
このような教育が行われていた背景として、もしかすると、語られていない歴史があるのかもしれません。

私が知る限り、広島や長崎に原爆投下を行った爆撃機の乗員が、戦後、罪の意識に苛まれ、メンタルヘルスが必要な事態に陥ったというような話はありません。(ただし、原爆投下作戦に気象観測機の乗員として参加したクロード・イーザリーという人はいます)
ですが、ベトナム帰還兵やイラク戦争後の米兵に、メンタルヘルスを要する兵が多数発生していることを鑑みても、そうした事実が全く無かったと言う方が、むしろ違和感を感じます。

東京大空襲のカーチス・ルメイや、ドレスデン爆撃のアーサー・ハリスといった、指揮したことで虐殺者となった人間では、原爆投下機の乗員以上に人を殺した人間はいるでしょう。
ですが、人類史上、直接に手を下したという点では、彼等ほど虐殺を行った人間はいません。

隠された歴史として、原爆投下機の乗員に、メンタルヘルスが必要になった人がいたのかもしれません。
それもあって、米空軍はこういう教育をしたのではないかと思われます。

これ以上の情報は出てこないと思いますが、なかなか考えさせられる話題でした。

2009年7月16日 (木)

歓迎すべき話ではない

アメリカとロシアが、核弾頭及びその運搬手段の削減に合意したとのニュースに対して、河村官房長官が歓迎するとのコメントを出していますが、これは歓迎すべき話ではありません。


「米露の核削減合意「歓迎する」 河村官房長官」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090707/plc0907071208007-n1.htm (産経新聞09年7月7日)


削減された場合にも、まだ相当数が残るとは言え、アメリカの核戦力の縮小は、傘の縮小に他ならず、その傘に入れてもらう日本としては喜ばしい話ではありません。
アメリカの核戦力が縮小すれば、北朝鮮などに対する抑止力も低下し、日本など同盟国の危機に対して核カードを使うことも困難になってきます。

そう言う視点なしに、官房長官が軍縮=善という単純発想でコメントを出すようでは困ります。


おそらく、近づく選挙に向けた民主党に対する揺さぶりだと思われますが、最近ではアメリカによる核の持ち込みを容認するような情報も散見されます。
アメリカの核は、日本の防衛にとって極めて大きな要素です。政府首脳には、日本にとっての核問題は、まず第1に傘の問題だと認識して欲しいモノです。

2009年6月 7日 (日)

コンスタント・フィーニクス

先日の記事「秘密兵器は掃除機」でWC-135Wコンスタント・フェニックス(アメちゃんの発音を聞くとコンスタント・フィーニクスと聞こえる)が1機と書きましたが、コンスタント・フェニックスと呼ばれる機体には、WC-135WとWC-135Cの2種類があり、それぞれの機種1機づつが存在するようです。
(核実験が頻繁に行われていた頃には10機(WC-135B)も存在していた)

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WC-135W(AIRLINERS.NETより)
大きな写真はコチラ
WC-135は、同じC-135系のRC-135SやKC-135と異なり、一見して分かる特徴は少なく、ベースであるC-135との外見的な違いは左主翼の付け根部分上に集塵ポッドと同様のエアスクープが見えるだけのようです。

CとWの違いについては、改造母機が違う(EC-135C→C、WC-135B→W)ようですが、機能的な差異があるのかについては、探してみたものの分かりませんでした。
任務としては、大気中の放射性物質の検地して、今回のような核実験の監視を行っています。

さて、このコンスタント・フェニックスですが、やはり先日の北朝鮮による核実験の際には、ホームベースであるオファットから飛来していたようです。

北朝鮮核実験後、放射性物質まだ検出されず (聯合ニュース09年6月4日)
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前略
また、日本海(原文では東海)上空で2回にわたり大気を分析した米国のWC-135特殊偵察機も、放射性物質を検出できなかったという。このため、一部では北朝鮮による2回目の核実験の規模が当初推定された4キロトン(1キロトンはトリニトロトルエン火薬換算で1000トンの威力)にはるかに満たない可能性もあると観測している。
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また、軍事研究誌6月号の石川潤一氏が書いた記事「嘉手納に集結した対北対処の米空軍機」では、4月の飛翔体発射翌日となる4月6日に嘉手納に飛来し、13日に今回の飛来における初ミッションを行ったと書かれています。

聯合ニュースでは展開していた基地について報じていませんが、状況から考えれば4月から継続して嘉手納に居た可能性が高そうです。
一応、沖縄の新聞社サイトを探して見ましたが、攻撃的な機体でないせいか、ニュースとしては報じられてはいませんでした。

2009年6月 2日 (火)

秘密兵器は掃除機

北朝鮮による核実験に際して、防衛省も核実験を証明するための証拠集めに尽力していることが報じられています。

地下核実験、防衛省など放射性物質測定に全力 (読売新聞09年5月26日)
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 北朝鮮の地下核実験による放射能の影響が日本に及ばないか調べるため、防衛省は25日夜、専用装置を備えた自衛隊機を日本上空などに出動させ、大気中のちりを集める作業を始めた。普段から放射性物質の観測をしている百里(茨城県)と三沢(青森県)、築城(福岡県)の3基地に所属する練習機が最低1週間、大気中のちりを集め、文部科学省の分析機関に持ち込んで放射性物質を確認する。
後略
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航空機マニアな方はご存知かもしれませんが、ここで書かれている専用装置とは、T-4に取り付けられる集塵ポッド、正式名称「機上集塵器2型」です。
解りやすい写真はないか、と探してみましたら、マニアな方が良い写真を載せていました。
白石嶺々の航空機写真 」の「百里基地航空祭2007(2007/09/09) 」に紹介されていたので、写真を転載しておきます。
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正直なところを白状すると、私はこんな装備を航空自衛隊持っていると知ったのは、前回の北朝鮮による核実験の際、「集塵ポッド搭載機を飛ばします」という報告を、担当幕僚がモーニングレポートで報告していたところを聞いた時でした。
「どんな特殊装備だ?」と思いましたが、詳しく聞いてみると早い話が単なる紙パック式の掃除機と同じで、中空のポッドの中にフィルターが入っているのみでした。
上の写真では、内部を開けて見せているので写真を見れば一目瞭然でしょう。

北朝鮮が地下核実験をした場合、岩盤の微細な割れ目から、どうしても放射性物質が漏出します。これが偏西風に乗って日本海上空に流れ出しますから、原理は簡単でも拡散してしまう前に日本海上空で集塵すれば、これをキャッチできるわけです。
コレによって、北朝鮮が核実験をした証拠が得られるのみならず、放射性物質を分析することによって行われた実験の内容(使用された核物質の濃縮度や核反応の効率など)が分かります。
中身は掃除機ですが、立派な秘密兵器です。

ちなみに、アメリカは単なる集塵ポッドではなく、1機しかないものの、専用機を保有しています。
WC-135Wコンスタントフェニックスという機体がそれで、集塵ポッドが経路上の放射性物質をごちゃ混ぜにしてしまうのに対して、リアルタイムで放射性物質を検地できる機能を持っています。(これによって、実験場所の特定などにも効果を発揮できます)

今回の実験でも活動した可能性は高いと思うのですが、それらしき報道は見当たりませんでした。

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