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安全保障・外交

2016年11月10日 (木)

日米同盟の信頼性低下_安保政策の転換は不可避

悪夢としか言いようがない。トランプ氏が勝ってしまった。

安保・外交関係者は、実際に大統領となったトランプの出方が読めず、戸惑っているとも報じられています。

しかし、現状と比較した場合の方向性としては明らかです。
もし仮に、大統領となったトランプ氏が、「日米同盟は重要だ」などと発言したとしても、実際の日本有事に、最高指揮官である大統領が、日本防衛のために米軍を動かす可能性は、他の誰が大統領であった場合よりも、明らかに低下しました。

トランプ氏が大統領となることで、日米同盟の信頼性が低下することは間違いないのです。

確かに、トランプ大統領が、どこまで日米同盟を形骸化させるかは、今の時点では言えません。
ですが、彼が今後同発言しようと、信頼に足る人物かという点に置いても怪しいと思えます。この点を鑑みても、日本が日米同盟が今後も機能するということを前提に安保政策を考えることは危険すぎると言えます。

尖閣の危機が顕在化した時に、トランプ大統領が、日中どちらに肩入れするか想像してみたらいいでしょう。
今や、経済的にアメリカにとって重要なのは日本よりも中国です。トランプ大統領が、日米同盟に基づいて行動するとは考え難い。

日本の安全保障政策は、戦後一貫して日米同盟を基軸に構築されてきました。
しかし、トランプ氏が大統領となることで、日米同盟をあてにして安保政策を組むことは、勝率の低い大穴に賭けるような危険な行為となります。

私は、一貫して、日米同盟を基軸に安保政策を構築するべきであり、独自防衛は、経済的にも望ましく無いと主張してきました。
しかし、トランプ氏が大統領となる以上、どこまでという問題はありますが、方向としては、独自防衛の方向に舵を切らざるを得ません。

核についても、日本は核を保有せず、米国の核の傘の下に留まることが適切だと主張してきました。
しかし、トランプ氏が大統領となる以上、米国の核の傘は当てになりません。
日本も、核を保有するしかないでしょう。

日中での紛争が起こった際、台湾海峡危機の時のように、中国が東京湾にミサイルを打ち込めば、日本が核を持っていなければ、引き下がるしかなくなります。

独自防衛も、核の保有も、経済への影響などを考慮すれば、決して望ましい道ではないでしょう。
ですが、日米安保が当てにならない以上、仕方ない選択肢です。


2016年8月11日 (木)

中国への抗議、岸田外相の言葉に欠けているモノ

今月初めより、中国は、尖閣周辺に大量の漁船と公船を展開させ、日本側から実効支配を奪取すべく、既成事実の積み上げ努力を続けています。

安倍政権の対応は、ボロボロだった民主党政権に比べれば、雲泥の差ですが、それでも中国船の活動状況に大きな変化がない以上、効果があったとは言えません。
そこには、欠けているモノがあるからです。

岸田外相は、9日になって、やっと大使を呼びつけて抗議しました。
その際、呼びつけた大使を待たせ、非礼を示す事で、”強い抗議の意”を演出しています。
岸田文雄外相 8分待たせ無言の怒り 中国大使への抗議で意図的に“非礼”演出」(産経160809)

ですが、所詮その程度であり、外相・外務省の対応は、基本的に非常にスマートです。
抗議はしても、明確な警告はしません。

操業自体は、取り決めによって認めていますから、これを非難はできません。
しかし、漁法や漁獲量などにおいて違法な事をしていないか、日本側として取り締まることは可能なはずです。
また、操業と見せかけて、海洋調査をしている可能性もあります。
これらが行われていないか、臨検して確認すると宣言する。つまり警告することは可能です。
問題は、これを実施するぞという覚悟を示せない点にあります。

これができない理由の一端には、岸田外相自身が、親中派だという理由もあるでしょう。
待たせるという非礼外交は、非常にインパクトがあるように報じられていますが、大使を待たせる程度の非礼は、外相と大使の格の違いも踏まえれば大した事はありません。
結局、この非礼外交は、日本の国内向けパフォーマンスでしかないのです。

日本政府は、国際法に基づく”法の支配”を基本路線として中国に圧力を加えています。
南シナ海での仲裁裁判において、7月12日に中国の主張を退ける裁定が出され、中国として焦っている今がチャンスです。

その直後、8月3日に成立した第3次安倍内閣(第2次改造)では、稲田氏を防衛相に据え、対中国でしっかりした対応を行う姿勢を示したとも見られています。
しかし、弁護士出身でもある稲田氏は、むしろ外相に据えた方が、法の支配によって圧力をかけるという路線にはピッタリです。
稲田氏が防衛省ではなく外相であったなら、今頃は、単なる非礼外交による抗議に留まらず、(国際)法的になにが可能なのかを踏まえた上で、しっかりと警告が出来ていたのではないかと思われます。

紛争手前の外交交渉は、ヤクザの交渉のようなものです。
岸田外相のように、「止めて下さい」というだけでは、効果など望むべくもありません。
「止めなきゃ何をするぞ」と言わなければ、蛙のつらに水です。

抗議の際、「一方的に現場の緊張を高める行動は断じて受け入れられない」と伝えたそうですが、受け入れられない以上、「こちらとしても断固とした行動を取らざるを得ない」と伝える事は可能だったのではないでしょうか。

「わが国固有の領土、領海、領空を断固として守り抜く」と発言しているのは稲田防衛相ですが、この段階での法執行権限は、防衛相・自衛隊にはありません。
海保庁は、国交省の外局ですが、外相が言うべきなのです。
稲田朋美防衛相「わが国固有の領土、領海、領空を断固として守り抜く」」(産経160808)

ですが、物足りないとは思うものの、良く見ると岸田外相・外務省としては、言外に軽い警告を与えているようでもあります。
大使を待たせた際、大使をマスコミの眼前で待たせています。マスコミは、言い替えれば国民の目です。
そして、同日、ホームページにおいて、中国船の領海侵入の実態を公表しています。
中国船領海侵入の実態を公表…政府、異例の対応」(読売160809)
つまり、国民の目に事実を曝した訳です。

これは、日本国民の対中感情を悪化させることを意識した行動であり、あくまで言外ですが、「国民の手前、このまま何もせずにいることはできないですよ」と伝えているとも取れます。
もし、水面下でこのようなやり取りがあったのなら、岸田外相・外務省としては、中国に恥をかかせないやり方で警告をしたと言えるかもしれません。

2015年10月31日 (土)

『航行の自由作戦』は、中国による国際法の変更阻止が目的

アメリカが実施している『航行の自由作戦』によって、緊張が高まるとか、衝突が起きるとする評論があります。
中国自身、海軍の呉勝利司令官が「重大な懸念」を表明し、「危険な挑発行為を続ければ事態が緊迫し、衝突が起きる可能性がある」と警告しています。
米「航行の自由作戦」後初の直接対話 「挑発続ければ衝突起きる」と中国軍高官」(産経151030)

しかし、そのような懸念は、杞憂でしかありません。
それは、中国(海)軍の実力がアメリカに及ばないからという点も関係していますが、中国がスビ礁やミスチーフ礁において、「力による現状変更」を行おうとしている対象が、個別の地物の領有権ではなく、国際法そのものだからです。

スビ礁やミスチーフ礁は、満潮時には海面下に沈む暗礁です。
これらは、国連海洋法条約では島とは認められていません。当然、コレを領土とすることはできず、周囲に領海を設けることもできません。

しかし、中国はこの暗礁周辺を埋め立て人口島としてこの人口”島”を領有していると主張し、領海があると主張しています。

『航行の自由作戦』が挑戦しているのは、この中国による国際法変更主張です。

朝日新聞社の野嶋剛氏は、中国は、国際法上領海を設定できないことを理解しているため、抑制的な対応(横暴を行っている者に対して、それを諫めようとする者に手を上げないからと言って、それを抑制的と表現する神経は理解できませんが)を取っていると言っています。
米艦「南シナ海作戦」で中国が「抑制的」な理由 - 野嶋剛」(新潮社フォーサイト)

 国連海洋法条約を批准している中国も、人工島には領海を設定できないことは法理的には十分に理解しているだろう。一方で、南シナ海の全島嶼は中国の領土であるという伝統的な主張を習近平国家主席は先の米中首脳会談で語ったばかりで、その整合性については十分に理論構築されているわけではない。だからなおさら、中国は今の時点では抑制的な対応を取っているとも考えられる。


確かに中国は理解しています。
ですが、国内法と同様に、国際法は変更可能です。

それも、法を破っていると、それが新たな法になってしまう恐ろしい法が、国際法の実態です。
中国は、今後数十年かけ、暗礁であっても、それを埋め立てた人口島を継続的に実効支配すれば、領土と認められると主張するでしょう。
そして、中国の経済力になびく国、それも海を持たないアフリカの国々などが、中国の主張を支持してしまえば、国連海洋法条約を変えることさえ可能なのです。
(現行の国連海洋法条約は、多くの海無し国が批准しています)

現在の国連海洋法条約で基線から12マイルと規定されている”領海”の概念についても、過去には3マイルでしたし、もっと長い距離を”勝手に”主張する国が増えたため、12マイルに増えたという経緯がありますし、領海を200マイルなどと主張した国もありました。

また、中国が、国際法の規定を変えようとしている実例としては、大陸棚に対して自然延長論を展開している例などがあります。

国内法と異なり、国際法は、力による”現状”変更が可能なものです。

スビ礁やミスチーフ礁は、現時点の国連海洋法条約では、領有できない地物です。
そのため、中国の主張は、現時点ではゴリ押しです。
ゴリ押しを根拠に、危機を高めれば、国際的には不利になります。(政治的に批判を受ける)

中国が”抑制的”なのは、危機を高めず、実効支配を各国が暗黙に認めてしまう状態まで、長い時間経過させたいからです。

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2015年8月28日 (金)

大戦前のイギリスと現在の日本の類似

安保法制を巡る政治状況は、二次大戦前のイギリスの政情と比べてみると恐ろしく似ているように見えます。
違うのは、政権が、宥和政策を掲げたチェンバレンの如き民主党ではなく、ヒトラーに妥協することを良しとしなかったチャーチルの如き自民党だという点でしょう。

民主党の安保政策に関するHPを見ると、どうやって平和を確保するのかという具体論のない、戦争に反対していれば平和でいられるという安易な平和主義が見て取れます。
あるいは、他国が侵略されていても、見て見ぬ振りを続ければ、自国だけは平和でいられるという孤立主義と言えるかも知れません。

民主党を初めとした安保法案の反対者は、自民党と安倍首相をナチスとヒトラーになぞらえますが、日本を取り巻く情勢は、南シナ海など、周辺国への侵略を狙い、現に一党独裁を行う中国共産党こそ、ナチスそっくりです。

今の民主党は、南シナ海を埋め立てて要塞化されても、海の向こうから『まだズデーテンだけだ』『まだポーランドだけだ』と言っているような二次大戦前のイギリスの宥和主義者のようです。

その内、「沖縄を返せ」と、中国が本格的に言ってきても、戦争を回避するために正しい判断だとして宥和政策を続けるのかもしれません。

安保法制は、法律である以上、法的安定性は必要です。
しかし、法的安定性のみを見て、現実を見ないのは、ただの夢想家に過ぎないのではないでしょうか。

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2015年8月22日 (土)

安保法制理解と鳩山由紀夫・菅直人・山本太郎

安保法制の必要性は、徐々に理解が高まっています。
内閣支持率43%に回復 首相談話「評価」57% 安保法案「必要」58%」(産経150817)

 今国会で審議中の安全保障関連法案については58・0%が「必要」と回答したが、今国会での成立には56・4%が反対し、賛成は34・3%だった。同法案に対する野党の対案については「必要」が78・7%に達した。


同じ産経FNNが7月に実施した調査では、安保法制を必要と回答した方が42.1%でしたので、わずか1月で、必要とした方が16%も増えたことになります。

これは喜ばしい変化ですが、同時に鼻持ちならない3兄弟が目立ってきたような気がします。
その3兄弟とは、
普天間を迷走させ、トラスト・ミーと発言した外交音痴・鳩山由紀夫元首相臨界とは何だ?と尋ねる核物理学専門家にして、福島原発の現場を混乱させた危機管理の素人・菅直人元首相、そしてテロ非難決議を棄権する危険人物・山本太郎氏です。

しかし、この3兄弟が目立つことは、彼らが望んでいる安保法制阻止に対して、果たして役立っているのか……正直言って疑問です。

むしろ、彼らが目立つことで、「この人達が反対だって言うなら……本当は安保法制が必要なんじゃないか!」と思っている人が増えているような気がしてなりません。
そのくらい強烈なアンチ安保3兄弟です。

ニワトリとタマゴかもしれませんが……
安保法制の必要性理解が進んだから、強硬に反対する彼らが目立つようになったのか……
はたまた、彼らが目立つようになったから、安保法制の必要性理解が進んだのか……

ビミョ~

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2015年7月29日 (水)

能力構築支援事業に見る中国包囲網

防衛省が、能力構築支援という事業を行っています。

名前を聞いただけでは、「何じゃそれ?」という事業でしょう。
防衛省によると「能力構築支援とは、自国が有する能力を活用し、他国の能力の構築を支援することです。」だそうですが、この手の話をウォッチしている方以外にとっては、やっぱり「何じゃそれ?」でしょう。

この能力構築支援は、一言で言えば、自衛隊のソフトパワー、つまり経験や技術を、他国の軍事関係者に教育することで、それらの国のミリタリーパワーをソフト面から向上させるものです。
能力構築支援事業とは」(防衛省サイト内ページ)

能力構築支援事業は、菅直人民主党内閣において閣議決定された防衛計画の大綱等において実施がきめられた事業で、現在の自民党安倍内閣における積極的平和主義にもつながる事業です。

その積極的平和主義に基づき、安保法制が、現在国会に上程されている訳ですが、この能力構築支援は、ソフトに見えながら、実際には、かなり現実的に実施されています。

と言うのも、対象国は、中国周辺に位置する日本にとって友好的な国々に限定されているのです。

この事業は、実質的には、平成24年度から開始されていますが、現在までの対象国を地図上でプロットすると、次のようになります。
Photo

防衛省のHPでは、この能力構築支援を紹介するページで、次のような写真を載せています。
Photo_2

何故か、中国を含む、アジア全域に対する事業のような印象を与えますが、実態は、むしろ上図のような中国包囲網です。

民主党は、安保法制に反対していますが、民主党政権下で始められた能力構築支援は、しっかりと安保法制の理念に合致した運用がされています。

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2014年4月29日 (火)

オバマ来日で露見した尖閣の危機

オバマ大統領の来日により、尖閣に対する安保適用の言質を得た事で、国内世論は一定の安心感を得ました。
メディアも評価していますし、
オバマ大統領「尖閣は安保対象」明言」(日経新聞14年4月24日)

 オバマ米大統領は首脳会談後の共同記者会見で「日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言した。大統領発言は日本側の求めに応じたもので、共同声明にも明記する。日米が足並みをそろえて海洋進出を活発にする中国をけん制した格好。

政治家も評価しています。
大きかったオバマ大統領訪日の成果」(政治家 鈴木けいすけの国政日々雑感)

しかし、私は逆に危機感を抱きました。
オバマの発言内容にではなく、大統領の言質を期待する日本の政治・世論にです。

実際の危機が発生すれば、アメリカがどのような姿勢を取るのかは、非常に大きな問題です。
しかし、軍事同盟は、戦争という”非常”事態に対応するためのものであり、”堅固な同盟関係”という言葉があるように、逆説的ながら、常に堅固ではなくなる可能性を孕んだ関係です。

アメリカが、実際に尖閣危機に参戦あるいは積極関与するか否かは、ひとえにそれがアメリカの国益に合致するかどうかにかかっています。
これは、アメリカが信用できない国だと言っている訳では無く、如何なる国においても同様な事です。
日米安保条約の存在は、もしアメリカが参戦しなかった場合に、日本はもとより、NATO諸国など、アメリカと同盟関係にある国の、アメリカに対する信用が低下するリスクを高めるに過ぎません。(当然ながら、条約には守らなかった場合のペナルティなどありません)

しかし、日本の政治・世論は、大統領の言質を求めました。
不安は理解しますが、こんなアメリカ頼みの姿勢では、逆にアメリカの関与の可能性は遠のきます。

もし、現状の日本の政治・世論のまま尖閣危機に突入し、アメリカの関与を前提として中国と対峙したら、アメリカが日和れば、日本の政治・世論も日和りそうです。
そして、それが見えれば、アメリカは必ず日和るでしょう。
日中間の尖閣危機は、アメリカ(の国益)にとって、間違いなくマイナスだからです。

尖閣危機にアメリカを関与させるためには、関与することがアメリカ(の国益)にとってプラス、もっと正確に言えば、関与しないことよりも、より少ないマイナスで済むようにしないといけません。

現状の政治・世論動向からすれば、アメリカが日和る事が確実に予見できる以上、そのためには、アメリカの関与の如何に関わらず、日本としては断固として尖閣を守るという姿勢を示し続けるしかありません。
日本が断固とした姿勢を維持して初めて、アメリカの信用が問われる事態を強要することができます。

これは、フォークランド紛争の際の図式と同じです。
アメリカは、結果的にイギリスの支援をしていますが、当初のレーガンは、米州共同防衛条約があったこともあり、イギリス支援を明確にすることに及び腰でした。
それに対して、サッチャーがレーガンに「軍事力で国境を書き換えるということを黙認したら、国際社会は混乱に陥る」と発破をかけ、断固として抵抗する意志をしめしたため、イギリス支援を打ち出した、打ち出さざるを得なかった、という経緯があります。

また、主体が異なりますが、日露戦争における高橋是清による戦費調達にも似た図式があります。
日露戦争の戦費調達秘話

 高橋是清が英国の銀行家の友人が自邸で催してくれた晩餐会に招かれて出席したときのこと。隣に座ったアメリカ人から「日本兵の士気はどのくらい高いか」といったことをはじめとして多くの質問を受けます。高橋は一つ一つ丁寧に答えます。すると翌朝、イギリスの銀行家が突然、高橋をホテルに訪ねてきて「前夜の宴会であなたの隣に座ったアメリカ人の銀行家が、『日本の国債を引き受けよう』と言っている」と言います。


誰かの助けがあれば戦うのではなく、戦う姿勢を示して、初めて助けてくれる(あるいは助けざるを得ない状況に追い込まれる)者が現れます。

ですが、現在の日本の政治・世論は、先ず何よりもオバマの言質を求め、
「アメリカが助けてくれるのだったら戦う」という姿勢でしょう。
これでは、アメリカとしては、日本を助けず、紛争が発生しない方が得ですし、中国とすれば、当然それを読んで足下を見ます

日本にとって大切な事は、オバマの発言に汲々とするのではなく、「アメリカの関与に関わらず、日本は尖閣を断固として防衛する。もしアメリカが日米同盟を蔑ろにするなら、アメリカの(同盟国としての)信用は地に落ち、世界中でアメリカの国益に挑戦を受けることになる」ということを、明確に示すことです。

このことは、今回アメリカが、初めて”大統領の発言として”尖閣における安保適用を明言した理由の説明でもあります。
アメリカは、政府高官の発言としては、今までにも何回も、日米安保の適用について言及しています。しかし、大統領の発言としては、慎重に避けてきた節があります。
その大統領に、安保適用を言及させることが出来た理由は、安倍政権のぶれない姿勢です。

今回の発言は、アメリカにとっては非常に重いモノです。
国際法上の安保適用については、今回の発言があったとしても予防線が張られています。
尖閣諸島:「日米安保第5条適用対象」と「日米安保第5条発動」のスキマ」(海国防衛ジャーナル)
しかし、ほとんど全ての日本人は、こんな細かな条文は関係なしに、大統領の一言で判断するでしょう。
もし、尖閣危機にアメリカが日和れば、日本人はアメリカを嘘つきとし見なし、日米関係は重大な転機を迎えます。
日本人は、その特質として信用を非常に大切にします。その反面、嘘つきについては厳しい目を向けます。
駐日米国大使館が、国務省に正確な報告を送っていることを望みます。

また、余談というか勘ぐりすぎなのかも知れませんが、今回の大統領の言質を求めるマスコミの姿勢は、マスコミによるアメリカの参戦がない場合に、尖閣を放棄させるためのキャンペーンではないかとさえ思えました。

なお、今回の記事と似た分析をしつつ、方向性の全く異なる記事を参考に上げておきます。なかなか興味深いです。
「中国を武力攻撃するレッドラインはない」明らかになった尖閣を巡るオバマ米大統領の真意」(東洋経済14年4月28日)

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2012年11月 5日 (月)

ギャンブルをしない人間は外交に関わるな!

離島奪還訓練が10月22日に中止決定されました。

これは、長いスパンで見た尖閣危機の危機管理において、大変な過ちです。
これについては、日中関係をウオッチしているブログ「政治学に関係するものらしきもの」が、中止決定後に「演習中止でアメリカを怒らせ、中国を喜ばせる日本」として、慧眼に満ちた記事を書いています。

 しかし、私は重視するのは、中国側が今回の事件をどう受け止めるかで、日本に対して強気に出れば、日本は折れるという印象を与えてしまったことが大きなマイナスであったと思っております。

 実際これまで何度か紹介しております通り、今回の尖閣諸島の問題を巡っては中国国内では、日本に対しては強気に出るべきとの意見があり(アメリカに対しては下手にでる反面、日本に対しては強気にでる中国)、こうした演習の中止が中国国内で外交的成果と受け止められることを私は恐れます。


そして、この危惧は、まさに現実のモノとなりました。
中国公船が、11月2日から4日にかけ、3日連続で領海侵入したのです。

離島奪還訓練の中止により、中国に対して、日本は状況がエスカレートしても軍事的衝突にまで踏み込む覚悟はないと、誤ったメッセージを与えてしまった結果です。

危機管理は、エスカレーションラダーを跳ね上げないよう、コントロールすることだと見られていますが、その具体的方法は、むしろ適切なブラフをかませることにあります。
つまり、相手が暴発しない程度に脅しをかけ、相手を引き下がらせることにより、我が目的を実現させます。
これは、ポーカーやブリッジといったカードゲームに近いと言えます。
(ちなみに航空自衛隊のパイロットは、ブリッジ大好きです)

 外交とは駆け引きであり(丹羽大使に対する中国側の見方)、相手の嫌がることをして初めて、それが取引材料に使えるわけで、それを初めから放棄してしまって話し合いという姿勢は私は国際社会では通用しないと考えております。

前掲ブログ記事より

ギャンブルもやらないような真面目な人間は、外交に携わってはいけません。
今回の訓練中止を決めたと言われる岡田氏は、真面目でクリーンな人物と評されているようですが、この意味で、外交には不適切な人材です。

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2012年1月 7日 (土)

自衛官が公立校校長に!

大阪府が公募していた府立学校の校長として、現職自衛官の採用を決定したそうです。

海上自衛隊1佐ら7人、公募校長に採用 大阪府教委」(朝日新聞11年12月19日)

 文部科学省によると、民間人校長は企業経験などを学校運営にいかす目的で2000年に制度化された。教員経験がない公立小中高校の民間人校長は今年4月時点で97人。


震災後、学校で自衛官が講演したといった事例を紹介したこともありましたが、日教組に汚染された教育現場にも新風が吹きつつあるようです。

「自衛官に教員がつとまるのか?」
と疑問に思う方も多いと思いますが、心配は無用だと思います。

自衛隊は、民間企業よりも定年が早く、勤続年数は長くありません。特に任期制隊員においては30前に退官することが普通です。
自ずと、教育訓練をしっかりしないと、使い物になる頃には退職という事態になりかねません。

そのため、3自衛隊とも、入隊時の基礎教育を施す学校や、専門技術を教育するための各種学校が数多くあります。
幹部であれば、そのキャリアの中で、大抵1回くらいは、何らかの学校で教官に就くケースがあります。

今回、校長として採用された竹本三保1等海佐の経歴を見てみると、
S54. 4    幹部候補生学校入校(江田島)
S55. 3    横須賀教育隊(武山)
S56. 3    幹部候補生学校第1学生隊付(江田島)

S57. 7    東京通信隊(市ヶ谷)
S61.12    自衛艦隊司令部通信電子班(船越)
S63. 8    プログラム業務隊本部プログラム1科(船越)
S 4. 3    航空集団司令部通信電子幕僚(厚木)
S 5. 3    海上幕僚監部防衛部通信課(六本木)
S 7. 8    海上幕僚監部防衛部防衛課(六本木及び目黒)
S 9. 1    中央通信隊群司令部計画幕僚(市ヶ谷)
H10. 8    厚木航空通信隊長(厚木)
H13. 3    海幕防衛部指通課指揮通信保全班長(市ヶ谷)
H14.12    自衛隊兵庫地方連絡部募集課長(神戸)
H16. 9    舞鶴システム通信隊司令(舞鶴)
H18. 3    システム通信隊群司令部首席幕僚(市ヶ谷)
H19.12    呉システム通信隊司令(呉)
H20.12    自衛隊青森地方協力本部長
H23. 4    海上自衛隊中央システム通信隊司令(市ヶ谷)(現職)
となっており、横須賀教育隊と幹部候補生学校で都合2年4カ月、教育に携わってます。

なお、竹本1佐は、奈良女子大で教育学を学んでおり、恐らく元々教育に対する意識が高い方なのでしょう。

ちなみに、奈良女子大卒で分かるとおり、女性自衛官です。
パイオニア的な女性幹部ですし、自衛官から校長へと、なかなかにチャレンジャーですね。

2011年12月14日 (水)

意識ではなく厳罰化を

知らずにやったのなら、意識改革を説くことに意味はありますが、知っててやっているなら、厳罰化するしか手はありません。

対中不正輸出 企業も安全保障の意識を」(産経新聞11年12月2日)

 軍事技術に転用可能な半導体製造装置を中国に不正輸出したとして、東京都内の電子機器販売会社が外為法違反容疑で神奈川県警の家宅捜索を受けた。企業の安全保障意識の希薄さを物語る事件である。

 不正輸出された装置は約500台と大量であり、中国の軍事工場の生産ラインで使われ、ミサイルの誘導装置などに組み込まれた疑いが強い。中国側がこの装置で作られた半導体などの電子機器を搭載した新兵器を開発するため、さらに日本の技術情報を入手しようとした形跡もあるという。


商品のメリットを把握していなければ、どんな製品であっても売れるものではありません。
それに、商社が外為法を知らないはずもありません。
更に、兵器開発のための関連技術情報を要求していたとなれば、これはもう、完璧に故意犯です。

そんな企業に、安全保障の意識を持てと言っても無駄です。
厳罰化、それも市場から排除できる程の厳罰化が必要でしょう。

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