ブログランキング&ツイッター

  • 軍事・防衛 ブログランキング
  • ツイッター

防衛問題雑感

2008年9月11日 (木)

8空団のF-15が墜落

産経新聞配信で、8空団のF-15が墜落という記事が流れました。


墜落場所は山口県見島沖南西約30キロの日本海海上で、原因はなんらかのエンジントラブルと報じられています。
パイロットも無事救助されたようです。

原因はエンジントラブルだとしても、整備上の問題だったのか、パイロットのミス(僚機のブラスト内に入ったとか、インテークから十分な吸気ができない異常な姿勢になったとか)なのかは不明です。


なんにせよ、パイロットを含めて死傷者が居ないみたいですので、それが何よりです。


がしかし、これで航空総隊隷下でここ何年も続いてきた航空大事故の無事故記録がストップしてしまいました。
データが手元にありませんが、総隊隷下の航空機墜落事故は久々だったはずです。


自衛隊創設期は、極めて頻繁に墜落事故が発生し、死傷者も数多く出ていました。最近では安全施策が徹底され、大きな事故は非常に少なくなっていましたが、やはりゼロにはなりません。
厳しい訓練をしている訳なので、無理なからぬことなのですが、100臆を超える国家資産が海に沈んだと考えると、やっぱり大層な事ですね。

2008年9月17日 (水)

潜水艦の領海侵犯 ウソくさい政府発表

またしても潜水艦による領海侵犯が発生しました。


政府発表を一言で言えば、「一生懸命対処しましたが見失いました」というものですが、どうにもウソくさく、穏便に済まそうとしている節が強いように思えます。
以下では、政府発表にない部分を推測し、事案の真相を推測してみます。
なお、事案の概略は、末尾に産経新聞の記事をコピーしているので、参照して下さい。


まずは、潜水艦の目的ですが、考えられるものは海底地形や海流・水温などの海洋調査か電子情報の収集活動でしょう。ですが、電子情報は国内に潜入した工作員が実施できるので、まず間違いなく海洋調査と思われます。


工作員の潜入・回収という可能性も考えられなくはないですが、能力の低い北朝鮮潜水艦が足摺岬に居たとは考えにくい。国交のある中国なら、どうどうと空港を使うでしょうから、やはり工作員の潜入ではないと思われます。


そして目的が海洋調査であるとするならば、あたごが潜水艦を発見できた理由も納得ができます。
ニュースでは、「あたご」は潜水艦の潜望鏡らしきものを発見したと報じられています。確かに衝突事故を起こした「あたご」は、見張りを厳重にしているでしょう。水上レーダーに映った目標(潜望鏡)を漁船ではないかと思い、必死で海上を見つめていたかもしれません。それにしても、偶然近くを航行していて見つけたというのは、可能性としては考え難いものです。

やはり、潜水艦が海底探査のために打ったアクティブソナー音を聞きつけ、駆けつけた結果なのではないかと思われます。
曳航式ソナーは常時使用されていませんが、バウソナーは常時モニターされていると思われます。海底探査のために微小で出力されたピンガーを、あたごのソナーマンが捕捉したのではないでしょうか。


なお、発見直後の追跡にP-3が加わっていた様子はないので、やはりあたごが第1発見したものと思われます。
発見が早朝なので、その後は洋上監視のための任務飛行準備をしていたP-3が加わったものと思われます。
新聞報道では、P-3が毎日行っているパトロール網をかいくぐり、潜水艦が太平洋側に居たことを驚くようなものもありますが、定期的なパトロールでは発見できなくとも不思議はありません。
P-3が本格的な潜水艦探知を行うためにはソノブイの投下が必須ですが、通常の監視活動ではそこまでする費用(ソノブイは使い捨て)がないからです。


発見後、中央への報告はまたしても遅れたようです。どの段階で遅れたのかは明確ではありませんが、どうせ内局が「らしきものとはなんだ?」とか言っていたのでしょう。


発見後5分後(7時1分)には領海外に出たということですので、大臣への報告時は、既に領海外に出ているとの内容だったと思われますが、領海外に退去後でも追跡件があるため、海上警備行動の発令は可能だったはずです。
やはり新任の上、国防族でもない林大臣には決断しきれなかったのでしょうか。


潜水艦の国籍は確認されていませんが、可能性があるのは中国とロシアくらいです。状況を鑑みれば、十中八九中国でしょう。

海警行動も発令されないまま、追跡だけ続けた「あたご」ですが、足摺岬から南、南海トラフ方向に逃げる潜水艦を約1時間半後に見失っています。深度を下げた潜水艦が、変温層の下に逃げたのでしょう。
それ以降も追跡するとなると潜水艦が必要ですが、運悪く(あたりまえですが)近くには居なかったようです。


今回の領海侵犯は、石垣島での領海侵犯と同じように海上警備行動を発令して対応が出来たはずです。ですが政府はそれをしませんでした。それも、潜水艦の領海侵犯時には海警行動を発令すると決めていたにもかかわらずです。
防衛省は、理由というより言い訳を並べています。林防衛大臣が、親中国の福田総理に気兼ねしたのか、中国の顔色を窺ったのか定かではありませんが、穏便に済まそうとしたように見受けられます。
おそらく海幕は忸怩たる思いがしているでしょう。林大臣の省内での信用も落ちたのではないでしょうか。


また仮に、海警行動が発令されていたとしても、国際法的には可能でも国内法上は退去勧告しかできない状況は、いい加減に改めるべきではないでしょうか。潜水艦による潜没領海侵犯なんて悪意があるとしか思えないわけですから。


こんな対応を続けている限り、中国は更に増長するでしょう。


--------------------

潜水艦が領海侵犯か 海自イージス艦が発見 高知沖
産経新聞 2008.9.15 01:12
14日午前6時56分ごろ、高知県足摺岬沖の豊後水道周辺の領海内で、潜水艦の潜望鏡らしきものを、周辺海域を航行していた海上自衛隊のイージス艦「あたご」が発見した。あたごは潜水艦の可能性が高いと判断し、ソナーによる捜索を続けたが、約1時間半後に見失った。防衛省は国籍不明の潜水艦による領海侵犯の可能性があるとしてP3C哨戒機や護衛艦などを出して捜索を続けている。

 海上自衛隊や米軍に該当する潜水艦はなく、あたごが発見した5分後には南側へと航行し、領海外に出たという。あたごは追尾を続けたが、午前8時39分に追尾不能となった。

 防衛省によると、発見水域は、足摺岬の南南西約57キロで、日本領海の内側約7キロ。あたごの艦長らが約1キロ先にある潜望鏡のようなものを目視で確認した。外国の潜水艦は領海内では浮上航行が国連海洋法条約で決められており、潜望鏡を出して航行していたとすれば、意図的な領海侵犯だった可能性が高い。

 福田康夫首相は14日、防衛省に「追尾、情報収集を徹底して、万全の態勢をとるように」と指示した。政府は、潜水艦の国籍が判明すれば、相手国に抗議し、再発防止を求める方針だ。ただ、防衛省関係者は「クジラや魚群を潜水艦と誤認するケースは多い。潜水艦でない可能性も含めて慎重に調べている」と語った。米軍から事前の情報提供はなく、潜水艦を目視したというのは、あたごからの情報だけとなっている。

 外国潜水艦の領海侵犯事件では、平成16年11月に中国の潜水艦が沖縄県石垣島周辺の領海を侵犯し、政府が海上警備行動を発令したケースがある。政府は中国海軍の原子力潜水艦と断定し、中国側に抗議した。

 防衛相は警察機関では対処が不可能と認められる事態が発生した場合、首相の承認を得て自衛隊部隊に海上警備行動を発令することができる。今回は潜水艦と判断した時点ですでに領海外に出ており、再び領海内に引き返す可能性が低いことから発令を見送った。

--------------------

2008年9月27日 (土)

新防衛大臣は人選ミス

麻生内閣の防衛大臣に浜田靖一氏が任命されました。


前任の林前防衛大臣とは異なり、防衛に理解のある防衛族議員です。
ですが、これは人選ミスでしょう。


浜田防衛大臣は、ハマコーさんの長男という典型的な2世議員(政治家は世襲制か?)で、防衛政務次官、防衛庁副長官、自民党の国防部会長などを務めた経歴をもつ国防族議員です。
私は、防衛大臣には防衛問題に理解のある防衛族議員の方に就いて欲しいと思っています。潜水艦が領海侵犯した際にも、海上警備行動の発令をためらうこともないでしょうし、なによりも現場で勤務する自衛隊員にとって励みになる、つまり士気の上がることだからです。


ですが、この方はいけません。
就任翌日25日の夕刊フジでも「浜田防衛相に異議あり」という記事が出ていましたが、口利き体質の利権屋では、益よりも害の方が大きくなります。


口利きがあると、装備品調達などで不適切なものが納入されたり、価格が異常だったりすることになります。
私が現役の時にも、なぜこんな装備品が購入されるのか理解し難いものが納入され、倉庫で埃をかぶっているというケースは良くあった事です。おまけにこう言った装備品は、会計検査の折には目を付けられることがないように、現場で誤魔化さなければなりません。
価格が高いことの弊害は、直接には目に入りませんが、必要な装備や物品の数が少なくなるという結果になります。
いずれにせよ、防衛力の低下となって顕れます。


また、父親似ならば失言も多そうです。防衛省に余計な災禍とならなければ良いのですが・・・


そしてそれ以上に、ミサイル防衛に関する見識に問題がありそうです。
2ちゃんにリンクが張られていましたが、過去自民党の国防部会長だったおり、MDに関して、専守防衛の観点から、他国に向けたミサイルについては関与しないとする発言をしています。
ソースはこちら。
http://www.jimin.jp/jimin/daily/03_06/05/150605c.shtml


現状、そしてこれからも当分は、弾道ミサイル防衛を実効性のあるものとするためには、米国との協力は不可欠です。
赤外線によって弾道ミサイルの発射を検知する早期警戒衛星の不備については、良く言われることですが、それ以上に、日本の偵察能力では兆候の察知が困難なことが問題です。
能力も十分とは言えない4機程度の偵察衛星で得られる情報は限られたものです。
未だに誤情報がまかり通っていますが、ノドンは発射直前の燃料注入など必要としていません。
アメリカの深く広範な情報収集・分析力なくして弾道ミサイル防衛は成立しません。
PAC-3は防護対象近傍に機動展開が必要ですし、イージス艦にしても適切な海域に進出しなければ満足なミサイル防衛網はかけられないからです。


憲法解釈の問題があることは承知していますが、米国に向かうミサイルの防衛にも協力する姿勢を採らなければ、日本を防衛する態勢の構築に無理が生じます。
今ごろは内局が新大臣を教育しているでしょうが、きっちりと教育してもらわなければ、内局が存在する価値もないでしょう。


2008年10月15日 (水)

特別警備課程での死亡事故について

取り上げたい話題ではないのですが、自衛隊の話題を中心にしたブログでありながら、無視してよい話題でもないと思うので、今回は海上自衛隊第1術科学校での死亡事故について書いてみます。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810130062.html


まずはニュースの概要です。
「海自特別警備隊の要員を養成する第1術科学校の特別警備課程において、課程を途中でやめ、部隊に戻る予定の隊員1名に対して、15人が次々に戦うという徒手格闘の訓練を実施し、訓練を受けた隊員が急性硬膜下血腫により死亡した。」


ニュース自体が、訓練と銘打った集団暴行だったのではないか、とするものであり、その可能性も含めて、現在警務隊が調べているようです。
ニュースを見る限り、私も良からぬものを感じますし、課程をやめる隊員に過酷な訓練を実施する必要性が理解できないのですが、憶測で書くことは避けたいと思います。


事故は、特警隊の要員養成を行う課程教育の中で発生しました。特警隊は、不審船事案を受け、海自が編成した組織で、海上警備行動などの際、船舶の臨検などを行う部隊です。

臨検などの際、彼らの相手は、北朝鮮の特殊部隊かもしれませんし、逆になんら罪のない民間人である可能性もあります。そのため、特警隊の要員は、高い戦闘能力を持つだけでなく、高い状況判断能力が必要であり、相手を無闇に殺せばよいというものではありません。
その要員候補者が、訓練で相手を死なせるというなどと言うことは、決してあってはならない事態です。


語弊のある言い方かも知れませんが、今回の訓練が、あくまで正当な指導だったのなら、訓練を行った側(指導者だけでなく)は、怪我をさせないやり方をすべきだったし、特警隊要員とすれば(相手を殺せば良いという部隊ではないのだから)、それが出来なければならないし、また出来る筈だったと言うことです。(厳しい訓練自体を否定するつもりはない)
言い方を変えれば、今回の加害者は、間違って殺してしまったという言い訳が出来ないはずの人間ということです。加えて、リンクを張っている中国新聞の記事が事実なら、ボクシングならばTKOとなるような状況になった以後も殴り続けたようです。
法律的に言えば、少なくとも未必の故意はあったと言わざるを得ないでしょう。(過失致死ではなく、傷害致死になるということ)
そのため、今回の事故については、刑事的にも部内的にも厳しく処罰されることになると思います。


また、その後の処置にも問題があったと思われます。
死亡された隊員は、事故の際、意識を失ってから、江田島市内の病院に搬送されるまで45分もかかっています。ある程度の規模のある基地ならば、基地内に救急車があり、道路の混雑で現場到着が遅れたなどということも考えられません。おそらく、救急車は通報から5分もかからずに到着したのではないかと思います。その後の搬送に40分も要したとは到底考えられません。
訓練の指導者は、この点でも過失があると言わざるを得ないでしょう。


今回の事故は、メディアでも大きく取り上げられているようですし、現時点の情報は、かなりの異常性を感じさせるものです。
海自のリクルートにおいては、相当なダメージとなるのではないでしょうか。

2008年10月29日 (水)

「しらせ」解体決定 ネットオークションに出せ!

24日、政府は7月に退役した南極観測船「しらせ」の保存を断念し、解体処分すると決定しました。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081024/scn0810242338004-n1.htm


文科省と防衛省は、「しらせ」を後世に残すため引き受け先を募集していました。いくつか提案のあった中から、海上博物館として展示保存する方向で検討していたようですが、改修費や維持費がネックとなって売却条件が折り合わず、結局解体、スクラップということになったようです。
ただし、スクリュー、いかり、艦名看板など少なくとも17以上の部品は取り外し、海上自衛隊の佐世保資料館で一般展示することになるようです。


展示保存の方向で努力はしたので、致し方ないとは言えるのでしょう。
しかし、これでまた文化遺産がまた一つ消えることになってしまいます。
あまりにも、もったいない。


そこで、文科省と防衛省に提案があります。
17と言わず、なるべく多くの部品を取り外し、ネットオークションにかけて下さい。

国や有志企業での保存が無理なら、一部だけでもマニアの手で保存すべきです。「しらせ」にはそれだけの価値があると思いますし、マニアの手元にあれば、それなりに大切にしてもらえるはずです。


防衛省の会計処理上は、前例のないことになるため大変でしょう。しかし税務署が差し押さえた資産などはオークションにかけられた実績もあります。
決して無理ではないはずです。


是非やって下さい。
私も、1点くらいは買いたいと思います。


※ 今回の記事は、あちこちにリンクを貼っていただけると助かります。

2008年11月17日 (月)

銭湯専用

銭湯専用の自衛官募集ポスターが好評だそうだ。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/438/
最近では、ポスターの作成もそれなりの所に外注しているせいか、垢抜けたデザインになっており、とても自衛官募集のポスターには見えない。しかも銭湯専用だという。ポスターのテーマは、被災者の入浴時の笑顔だそうです。
陸上自衛隊は、野外入浴セット(2型もあり)を保有しており、災害派遣での活躍は良く知られています。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/other/military-powers_quartermastercorps.html#04
そんなところからこのポスターが出来たのでしょう。
ポスターの作成は自衛隊東京地方協力本部(以前の地連)で、発案者は3佐の女性自衛官、陸幕勤務時代に職場に泊り込むため銭湯を利用するようになったそうです。
以前より少なくなっているようですが、各幕の幕僚が職場に泊まりこむことは結構普通の行動で、月曜出勤金曜帰りなんてこともあります。
この発案者の方もそうだったのかも知れません。
幕のある市ヶ谷周辺の銭湯を調べてみると、実は結構な数が残っています。
10111346828
(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合HPより)

市ヶ谷移転前の六本木周辺では銭湯がほとんど見られないので、このWACの方の幕勤務というのは市ヶ谷での話なのでしょう。
10111346834
(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合HPより)

自衛官が公務員であることから、残業なんてないと思っている方もいるかもしれませんが、一部では相当に過酷です。(手当てもないし)

2009年1月15日 (木)

SDB使用の訳

先月12月29日付のエルサレム・ポストによると、現在も継続しているイスラエルによるガザ攻撃の当初にGBU-39(SDB:Small Diameter Bomb(直訳すると小直径爆弾))が使用されたそうです。


使用された目的は、地下に設置されているカッサム・ロケット発射台の破壊とラファにおいてハマスが掘ったトンネルの破壊だとのことです。
共に地下の目標であり、貫通力に優れたGBU-39を使うことは理に合ってはいるのですが、イスラエルは、GBU-39を12月の初旬に入手したばかりである他、他の手段(レーザー誘導のBLU-109など)を使えばより確実に目標を破壊できたことなどを考えると、他にも使用した目的があったのではないかと勘ぐりたくなります。


もっとも、使用弾種は不明ですが、その後も地下トンネルやロケット発射基地は空爆の目標になっているようです。
http://www.asahi.com/international/update/0114/TKY200901140049.html


GBU-39は、前記のように貫通力に優れているだけでなく、弾体のサイズ・重量が小さく、搭載する航空機の行動に及ぼす影響が小さい他、投弾後に展開する翼によって高高度からなら60nm(110km)を超える滑空が可能なスタンドオフウエポンです。

これらの事を考慮すると、イスラエルは、イランの核施設攻撃を、本気で考えているのではないかと思えてきます。


イランの各施設は、地下に作られている上、周辺にはSAMによる強力な防空網が構成されていると伝えられます。
おまけに、シリアの原子炉と比べても、長距離の進出が必要です。別の報道でも、イランまでの進出を意図した演習を地中海上で実施したと伝えられました。

滑空距離が24kmしかないJDAMや20kmもないペイヴウェイ、貫通力という点では最高のGBU-28では、イスラエルの攻撃編隊はイランの強力な防空網に突入せざるを得ません。JSOW(AGM-154C)でも心もとない。
射程を考えればJASSMが最良でしょうが、大型で長躯しての携行は困難ですし、それ以前にイスラエルは保有してません。


イランの核施設攻撃には、GBU-39(の貫通力、破壊力)では役不足ではないかとも思いますが、現在イスラエルが保有する兵器のなかでは最も適しているでしょう。


受領したばかりのGBU-39ですが、早速実戦でテストし、検証されたことになります。
全般状況を考えると、イラク攻撃の可能性は薄いと思いますが、SDBを使用したイスラエル空軍関係者の頭には、イランでの使用も念頭にあるのでしょう。

2009年2月21日 (土)

黒水社

PMC(Private Military Company)大手として、おそらく日本では最も有名(famousではない)なブラックウォーター社が社名を変更するそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090216-OYT1T00078.htm


新社名は「ズィー」と報じられてますが、「Xe」と綴るようで、「ゼェー」の方がしっくりきます。
現在の社名は、創業の地となったノースカロライナ州とバージニア州の境にある湿地帯に、泥炭で黒く染まった水が湧き出すことから付けられた名前ですが、日本語に訳せば「黒水社」となり、まるで香港の秘密結社かと思えるほどです。
今時やくざの息がかかった企業でもこんな名前は付けません。

ですが、今回の社名変更は、単純に現在の社名が印象が良くないという理由ではありません。


最も直接的な引き金は、今年1月29日にイラク政府が発表した同社のイラク国内における営業禁止処分です。
http://www.afpbb.com/article/politics/2565819/3736667
この決定は、2007年9月16日に発生した同社社員による銃乱射事件により、多数の市民が犠牲になったことが理由とされています。
この事件は、同社だけでなく、PMC全体の規制を強めるべきという主張が広まる契機となった象徴的な事件であり、この決定はある意味見せしめの意味もあるのでしょう。


同社は売り上げの1/3をイラクにおける業務から稼ぎ出しており、この決定により、収益源が大きく減少し、経営的に非常に苦しい状況に迫られました。
ですが、これは自業自得と呼ぶべきもので、何かにつけ銃を持ち出すという、同社の業務姿勢に起因するものです。(上記2007年の事件は氷山の一角)


現在まで受け継がれている近江商人の理念に、「三方よし」というものがあります。この三方とは「売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし 」と言われるもので、前2者については、いわゆるWIN-WIN、相互利益であり、商売では当たり前のものですが、最後の世間良しとは、現代風の言い方をすればCSRであり、コンプライアンスでもあります。
ブラックウォーター社は、この「世間よし」を軽んじたために、自分の首を絞めてしまったのです。


現在は、前記の事件を始めとした粗暴な営業スタイルが、直接的な武力を用いるPMCの規制強化をももたらしたため、ブラックウォーター社のような荒事を得意とするPMCにとっては、構造的な不況状態といえる状況なのです。


今後ブラックウォーター社は、軍事訓練などのコンサルティング業務や航空機運行に関するグラウンド業務などを拡大し、業態転換を図るということです。
社名変更は、同社にとって、PMCからPSC(Private Security Company)に脱皮するとの決意表明でもあるのでしょう。

2009年2月24日 (火)

ブラックウォーター in Japan

よく知られた話ですが、前回の記事に書いたブラックウォーター社は日本でも活動しています。(正確には子会社)


場所は青森県つがる市車力で、米軍が設置運用しているAN/TPY-2レーダーを警備しています。
車力には、米軍人は2人しか常駐しておらず、運用は軍属といえるメーカーレイセオン社の会社技術員が行い、警備をブラックウォーター社が請け負っていると言われています。給食関係など後方支援も同社が関与(一括受注?)している可能性が高いと思われます。


伝えられるところによると、レーダー周辺の米軍管理地に近寄っただけで直ぐに彼らが飛んできて、写真を撮るなとか、早く立ち去れといったことを言うそうです。
しかしながら、米軍管理地区以外では、彼らには何の権限があるわけでもなく、柵の外から写真を撮ったところで、本来は咎められる筋合いはありません。(通報を受けた日本の警察に職務質問されるでしょうが)


案外、警備が彼らに任せられた理由は、彼らが無茶をする組織であることを逆手にとって、抑止効果を期待(にらみを効かす)したのかもしれません。
法的には問題ないと分かっていても、ブラックウォーター社と聞けば、私自身近寄りたいとは思いません。悪名高い彼らのこと、射殺しておいて「攻撃するそぶりを見せたので、自衛として仕方なく撃った」とか主張しかねないように思えます。


軍事研究誌2008年1月号の記事に「これが車力基地だ!」と派手なタイトルを付けた元朝日新聞記者の石川巌氏が、わざわざ車力分屯基地まで行きながら、同レーダーが配置されている地区には接近さえせずに引き返したこともブラックウォーターの名前が効いたからかもしれません。
(記事中でも、車力にはABCの3地区があると書いているくらいなので、基地の正門前に行ったところで、同レーダーが見えないことくらい見当がついたはず)


あまり好ましい話ではありませんが、今後日本国内でも、同社のようなPSCの活動は増えてゆくのでしょう。

2009年3月17日 (火)

63ではなく29

3月14日、内閣府が「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の結果を発表しました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009031400236


それによると、ソマリア沖の海賊対策としての海上自衛隊派遣について、「どちらかというと賛成」を含めると、賛成が63.2%に上り、反対の29.1%を大きく上回ったということです。
この結果を受けて、防衛省は「国民生活の安定に重要な活動として理解が広がっている」と分析しているそうです。


ある意味自画自賛な訳ですが、注目すべき数字は63%の方でしょうか。
過半の賛意を得ているとは言える訳ですが、29%にとっては、相も変わらず対岸の火事であるとも言えるのです。


海賊対処は、イラクやアフガンの人のために行う国際貢献ではありません。国民の生活を支える重要な海運航路を守るために行うものです。
この点を理解できない人が3割近くにも達すると言うことが、私にとっては信じがたいのですが、実際に物価に跳ね上がってこない限り、自分の生活が世界と繋がっていることが理解できない島国根性が未だに直っていないということなんでしょう。


また、この調査結果を男女別に見ると、男性は賛成72.9%、反対23.0%。一方、女性は賛成54.2%、反対34.8%だったそうです。
女性蔑視だと言われるかもしれませんが、女性の反対者は男性よりも10%以上も高く、逆に女性の賛成者は男性よりも20%近くも少なかったと言う点は注目すべき点です。


国益という言葉が、マイナスイメージを伴って使われることがありますが、結局は自分のためだということが理解されるべきです。

より以前の記事一覧

アマゾン

  • 北方領土秘録 外交という名の戦場
  • 深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃 (文庫)
  • 半島へ 陸自山岳連隊
  • 黎明の笛 陸自特殊部隊「竹島」奪還 (文庫)
  • 深淵の覇者
  • 黎明の笛
  • 空飛ぶ広報室 DVD-BOX

最近のトラックバック

ブックマーク、RSS