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防衛政策

2015年5月23日 (土)

意味も意義も不明な「自衛官のリスク」論議

自衛隊は、究極のブラック組織だという主張があります。

確かにその通りです。
何せ、入隊時に生存権の放棄を宣言させるのですから、自由や平等どころの話ではないわけで、ブラックもブラック、真っ黒けです。

服務の宣誓
 私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。


ですが、誰一人として、強制されて自衛官になっている訳ではありません。
(以前には、騙されて入ってくる人もいましたが……)

基本的人権を制限されてまで、自衛官が自衛官たる理由は、そうすることで、この社会を守ることができると信じるからです。

自衛官であろうとすることで、平和を希求する無辜の民が、もっと簡単な言い方をすれば、普通の国民が、日本に害意を抱く外国勢力等に、その幸福を阻害されないためです。

そのため、自らリスクを受け入れている存在が自衛官(他にもいろいろなリスクを自ら受け入れている職業はあります)である訳ですが、安保法制に関連して、奇妙な図式が発生しています。

安保法制を推進する与党は、自衛官のリスクは増大しないと言い、民主党等の野党は、自衛官のリスクが高まるから反対だと言います。

一番大切なのは、自衛官のリスクではなく、国民全体のリスクであるはずです。

この点からすれば、民主党岡田代表の意見は、(言葉の上では)まっとうです。

必要性、それに伴うリスク、双方を説明する責任は政府の側にある。説明したうえで、必要性が高いからリスクがあってもやらなければいけないときちんと説明をするのが(安保法制を)やろうとしている政府の責任

安全保障法制「自衛隊のリスクの問題を委員会質疑でも取り上げて行く」岡田代表

自衛官は、命令が妥当なものであれば、死ぬことを命じられても、それに従うことを受任した存在です。

日本から遠く離れた場所で、危険な任務をさせる必要が、本当にあるのかという議論は必要でしょう。
しかし、自衛官のリスクが高まるかどうかというのは、本質から外れているどころか、見当違いの議論です。

政府(と大多数の国民)は、日本から遠く離れた場所であっても、自衛官に危険な任務を遂行させないと、日本で平和に暮らしている国民が、近隣諸国から危害を加えられる危険性が高まっていると認識しています。
だからこその「安保法制」です。

「自衛官のリスク」議論は、この本質から目をそらすための欺瞞工作のように思えてなりません。

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2015年5月19日 (火)

陸上自衛隊は、どこで戦うのか?

今話題の「安保法制」では、自衛隊が日本から遠く離れた地域で戦闘することなどが考慮されています。
反対派は、自衛隊が日本の防衛と関係のない戦闘を行うための法案だとしていますが、防衛省自身が、国外での戦闘と、日本を直接防衛するための戦闘を、どの程度の比重で考えているかを占うための一つの小さな情報が、先日リリースされました。

陸上総隊司令部の朝霞駐屯地への新編について

防衛省は、2017年に新編予定の陸上総隊の司令部を、朝霞駐屯地に置くことを決めました。

この情報は、率直に言って、以外でした。
海空は、戦闘部隊の司令部を、在日米軍の司令部所在地と同じ場所に置いているにもかかわらず、陸だけが別の場所と決まったからです。

陸 自衛隊:
朝霞  在日米軍:座間
海 自衛隊:
横須賀 在日米軍:横須賀
空 自衛隊:
横田  在日米軍:横田

同一の場所にいるということは、ITが発達した現代でも、非常に重要なことです。
膝つき合わせての談判が、コミュニケーションを取る上で、最も効果的な方法であることは、誰の目にも明かです。

それ故、司令部を同一地に置かない陸上自衛隊であっても、ヤマサクラと呼ぶ日米協同演習を、全国の各方面隊毎、それぞれの場所で、膝をつき合わせて実施しています。

にもかかわらず、陸上自衛隊は、全国の方面隊を指揮下に置く陸上総隊の司令部を、座間ではなく朝霞に置くと言います。

もちろん、座間に場所が無かったという可能性はあります。
ですが、キャンプ座間に隣接する座間駐屯地には、中央即応集団司令部やその他の部隊が所在しており、なんならこれらの部隊を追い出して、陸上総隊司令部を置いても構わないはずです。

それに、キャンプ座間には、こんな広大で、周辺からクレームの多いゴルフ場まであります。
Camp_zama
wikipediaより
場所がない、なんてことはありえません。

にも関わらず、在日米軍の司令部と別の場所に陸上総隊を置く理由は何か?
前掲の防衛省資料には次のように書かれています。

朝霞駐屯地が、政経中枢との一体性を維持しながら全国の陸自部隊を指揮統制する上で最適な候補地であるとの結論を得た


つまり、陸上総隊では、在日米軍との連携よりも、政府中央との連携の方が重要だと言うことです。

海空自衛隊は、在日米軍との連携を重視するが故に、同一場所に司令部を置き、膝つき合わせての連携をしようとしています。
それは、主に中国海空軍との戦闘において、日米が連携して戦うことを重視しているからです。

しかし、防衛計画の大綱等においても、日本に対する大規模な着上陸作戦が行われる可能性は低いと見られています。
陸上自衛隊は、対中国等で日本を直接に防衛するための作戦において、在日米陸軍と協同するよりも、国外において、米軍以上に、現地国との調整をしなければならなくなってきているのです。
そのため、日本政府中央と密接な連携のし易い朝霞を選んだと言えそうです。

なお、対米軍でも、在日米軍よりも、現地の米軍部隊を指揮する司令部との調整が必要となります。

この事を見ても、陸上自衛隊は、もはや日本の国土の直接防衛よりも、安倍首相の推し進める積極的平和主義を実現するための組織と目されていると言えそうです。

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2015年3月21日 (土)

自衛隊の暴走?_下甑事案とは

先日、THE PAGEにて「「文民」統制の危機? 「文官」統制はなぜ廃止されるのか」という記事を書かせて頂きましたが、その中で下甑事案(しもこしきじあん)について触れました。

下甑事案は、自衛隊の内部、特に隊員にどのような命令を与え、部隊をどう言った法的根拠で行動させるかを考えなければならない”防衛”と呼ばれる部署で勤務する隊員にとって、大問題となった事案です。

ですが、事案が終息した後は、事実上の箝口令が引かれたため、自衛隊内部では、防衛担当者を除けば、ほとんど語られることはありませんでした。また、世間一般でも、幕引きをした久間防衛庁長官(当時)の対応が巧かったため、危機管理関係者、自治体関係者等の一部の方を除けば、ほとんど忘れ去られた事案となっています。

しかし、この事案が問題化した原因が、上記記事にも書いた文官統制の害と、防衛省がかかえるもう一つの大きな問題にあったため、文官統制の廃止だけでなく、近年の防衛問題に大きな影響を与えた事案です。

もう18年も前の1997年に起きた事案ですし、今回の文官統制廃止によって、事案が発生した原因は、相当程度改善されました。
ですので、どんな事案だったのか、簡単に紹介したいと思います。

ただし、自衛隊法で規定されている秘密を守る義務については、退職後も期限はありません。そのため、以下及び上記リンク内で書いた内容は、既知のオープンソースで明らかにされている情報をまとめ、それに基づいて解説を加えたものです。
よって、これでもまだ意図的に隠された部分がある不正確な情報です。その点はご容赦下さい。

事案の発端である事件は、当時ちょこちょこ発生していた日本国内で不法就労をするための中国人の密入国です。

2月2日
1997年2月2日の夜、鹿児島県の西側、いちき串木野市の西方海上に浮かぶ下甑島の南端、釣掛埼灯台付近に中国人密入国者が上陸しました。
Photo
恐らく、密入国を手引きした業者が適当で、本土に近づくと海保に発見される危険性が高まるため、上陸させた密入国者が困ることはお構いなしに、離島である下甑島に上陸させたのでしょう。
Photo_2

2月3日
言葉も通じない上に土地勘もない密入国者は、3日の早朝、住民に発見されます。
発見者は、警察に通報しますが、島には派出所が2つ、駐在さんは2名しかいませんでした。
本土にある川内署から署長を始めとした応援が駆けつけ、警察官だけでなく、消防団員や役場職員までが捜索に加わって、3日の内に20名を逮捕しました。しかし、逮捕された密入国者の供述によると、上陸したのは25名以上とのこと。
島にある航空自衛隊下甑島分屯基地からは、役場に連絡員を派遣して情報共有を図っていましたが、この日役場で実施された対策会議において、川内警察署長から自衛隊に対して捜索活動への協力依頼がなされます。
ただし、後日、川内警察署は、自衛隊出動の経緯について「自衛隊側から捜索に協力したいと申し入れがあった」と説明しています。
(この自衛隊、警察の齟齬は、事案の原因を推定する上で、非常に重要です)

2月4日
下甑島分屯基地司令である第9警戒群司令から報告を受けた西部航空警戒管制団司令、津曲空将補(当時)は、野外訓練を根拠とした捜索活動の支援を指示しました。(野外訓練の命令権者は、群司令以下なので、命令ではなく指示)
ただし、野外訓練での行動では、隊員には武器使用はおろか、職務質問や逮捕等の権限はないため、自衛隊の分隊に警察官1名と消防署員1名の随行をしてもらうよう指示もしています。
そして、指示した事実を、西部航空方面隊司令官鈴木空将に報告しました。
自衛隊員は、ロープを使って絶壁を200mも下り海岸の捜索まで行っています。
なお、上陸25名というのは供述者の勘違いだった事が、後に判明しています。

2月6日
朝日を始めとした新聞各紙が、この行動を自衛隊法違反だとして批判する報道を始めます。
そして、村田防衛事務次官(当時)が、「自衛隊参加は適切さに欠ける……中略……所要の手続きを経て、警察機関への協力活動として実施すべきところ、野外訓練の一環として実施した点については適切さに欠ける面があった」とコメントします。

2月7日
前日の、防衛事務次官コメントが、朝日新聞の朝刊紙面に載ります。
そして、防衛庁長官が、朝日新聞の夕刊紙面上において、「時間のコメントそのものはいいと思う」「(捜索に)出て行った理由づけは後から付いてくる話だ。出て行ったこと自体が適切さに欠けるわけではない」とコメントしました。

この長官コメント以降、マスコミ報道は沈静化し、自衛隊が法令違反を犯して、不適切な行動を行ったと非難された事案は終息します。

この下甑事案について、私がTHE PAGEに寄稿する以前に公にされていた情報は、当時の新聞報道を除けば、私が知る限り2件だけです。

1つは、事案発生当時西部航空警戒管制団司令だった津曲氏が、自衛隊退職後の2010年、航空自衛隊連合幹部会の機関誌『翼』2010年6月号紙面上において、4ページに渡って書いた記事。
もう一つは、『フライデー』2012年2月3日号紙面上にジャーナリストの大清水友明氏が書いた記事です。

上記で書いた情報は、この二つをまとめたもの(主には『翼』の記事)です。
なお、2つめの『フライデー』記事は、以下のリンクでネット上で見る事ができます。
『翼』は、国会図書館に行けば見る事ができます。

この事件は、上記『フライデー』記事にもあるとおり、内閣危機管理室などの危機管理関係者にとって、貴重なモデル・ケースとなりました。

その結果、2008年2月5日日付まで同じ日!)には、国民保護訓練が、次のような想定で実施されています。
離島(鹿児島県薩摩川内市下甑島)において、国籍不明のテログループの襲撃により死傷者が発生。その後、テログループは島内の山中に逃走、潜伏する事案が発生する。

この事案における、文官統制の問題は、冒頭にもリンクを貼ったTHE PAGEの記事「「文民」統制の危機? 「文官」統制はなぜ廃止されるのか」をご覧下さい。
そして、防衛省がかかえるもう一つの大きな問題は、防衛問題に詳しい方や勘の鋭い方なら分かるかも知れませんが、防衛庁と警察庁の縄張り争いと、警察庁が防衛庁内局内に多数の出向者を送り込んでいたことです。(コレに関しては、旧内務省出身者が、できたばかりの防衛庁・自衛隊を統制下に置こうとした歴史的経緯が関係しています)

この問題は、まだ完全に解消されたとは言えませんが、当時と比べれば相当改善されており、今では防衛省生え抜きの内局プロパーが、防衛省内で力を持つようになっています。

逆に、その事によって防衛省と警察庁の綱引きも起きているようですが、当時と比べたら、非常に健全な綱引きと言えるでしょう。

当時の異常さは、事案の数ヶ月後、空幕が発した文書に現れています。
少々長いですが、当時の国民保護の状況が良く分かる文書であるため、上記の『翼』記事より引用します。
「集団不法入国者事案に関する部隊等の行動についての基本的考え方について」

 本事案は、警察力が不足し、緊急時に島民が頼りにしているのは自衛隊の部隊のみであるという特殊な環境下に生起したものである。しかしながら、本事案は、住民等の行方不明者の捜索等災害派遣に該当するものではなく、容疑者の捜索という本来は警察の行うべき業務に対する協力であった。本事案対処に関わる自衛隊における法的根拠は存在しない。また、法令改正及び特例措置の設定等に関わる検討についても短期間に進展する可能性は少ない。

(1)部隊として実施可能な事項
ア 基地警備の強化
 基地警備を強化し不審者の発見に努めるとともに、地元機関に連絡員を派遣し情報収集に当たる。
イ 官庁間協力
 官庁間協力依頼がなされ事務次官通達により官庁間協力が適用された場合は、協力依頼事項(輸送、宿泊及び給食支援等)について協力する。

(2)部隊として実施すべきでない事項
 不法入国者の捜索は、本来、警察の行うべき業務であり、航空自衛隊の任務ではない。また、野外訓練、災害派遣及び基地警備のための調査研究等を名目にして不法入国者の捜索協力を行うことについても、現時点で明確な法的根拠はないため、独自の判断で実施すべきでない

驚くべきは、役場職員ですら駆り出される捜索に、官庁間協力が行われる場合であっても、自衛隊員が直接にでるべきではなく、離島への警察官の輸送や宿泊・給食支援に止めるべきだとしている点です。
この下甑事案は、単なる出稼ぎ希望の不法入国者だったから良かったものの、もし武装難民や工作員だったら……

なお、この事案の原因が、文官統制にあったとすることに異論のある人もいるかもしれません。
しかし、もし文官統制の問題でなかったとすれば、制服自衛官の暴走だったはずです。
であれば、当然、野外行動を命じた自衛隊関係者は、懲戒処分を受けてしかるべきですし、その後の昇進など、もっての他でしょう。
しかし、野外訓練を指示したと告白している津曲将補は、その後、第27代の航空幕僚長にまでなっていますし、津曲将補から報告を受け、野外訓練を黙認していた鈴木空将は、その後補給本部長にまでなっています。
つまり、むしろこの時の行動が、評価さえされているのです。

この事案は、防衛族議員の久間氏から、中谷防衛大臣にも詳しく語られたでしょう。
今回の法改正に、非常に大きな影響を及ぼしたはずです。

ここからはオマケですが、この事案は、恐らく、映画にもなった麻生幾氏の小説『宣戦布告』にも影響を与えています。
『宣戦布告』は、韓国への潜水艦侵入事件「江陵浸透事件」をモデルとして、下甑事案の直前、『文藝春秋』1997年1月号に発表された短編をベースとして、書かれました。
初版発行は、下甑事案の1年後、1998年3月25日です。
小説の中でも書かれている法律や情報伝達態勢の不備、それに防衛庁と警察庁の縄張り争いなどは、この下甑事案で、まさに現実となっていたものです。
小説と違っていたのは、上陸したのがただの出稼ぎ目的不法入国者だった点です。

と言う訳で、この下甑事案は、私もいずれノンフィクションとして書くことも考えていました。
ですが、原因の一つだった文官統制は廃止されましたし、もう一つの警察官僚による内局への関与も相当改善されています。
なので、ノンフィクションを書く意義は、以前より少なくなってしまいました。
おまけに、私はノンフィクションを書いた事がないので、取材のやり方等を含め不慣れなので、多分あまり良いものが書けないと思われます。
そのためTHE PAGEにも書きましたし、このブログ記事も書きました。

今でも面白い話ではあると思います。
どなたか、ノンフィクションライターの方、空自上層部、内局、警察関係、自治体関係等、もっと深く取材して、書く気はありませんか?
手伝いならやります。

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2015年2月11日 (水)

陸自火力の大幅削減は危うい?

軍事に興味を持つネット民の中には、俗に戦車教団などと揶揄され、戦車・火砲万能主義とも見て取れる主張をする方々が相当数います。

彼等は、1年ちょっと前の2013年末、民主党政権が策定した22大綱で大幅削減された戦車・火砲が、自民党政権下で復活することを期待していました。
しかし、自民党が政権を奪還し、安全保障に積極的な安倍政権下で策定された25大綱において、戦車や火砲は、民主党政権下以上の削減が決定されました。

それによって意気消沈したのか、戦車教団の有力メンバーのほとんどが、ちょうど流行りだした萌えミリブラウザゲームに没頭して、戦車万能を唱える声は、最近ではかなり小さくなっています。

ですが、そうした主張の方は、ネットに限らず、マスコミにもいらっしゃったようです。
陸自火力の大幅削減は危うい 中静敬一郎」(産経150131)

 陸上自衛隊の戦車と火砲の大幅な削減が進められている。一昨年末の新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画により決まったものだ。

 だが、これで有事に即応できるのか、という不安と懸念がくすぶり続けている。防衛費は3年連続で増えるものの、肝心の防衛力が弱体化するという奇妙な事態が生じている。

中略

 一方で周辺国の火力は、中国(火砲8320門、戦車6840両)が示すように質量とも日本を凌駕(りょうが)している。しかも中国の着上陸侵攻能力の強化は顕著だ。日本の火力の弱体化は「戦力の空白」に映る。自らで撥(は)ね返す抑止の力を強めなければ、危難を乗り越えられない。


当たり前の話ですが、防衛力は、戦車と火砲だけで決まるモノではありません。
現大綱は、戦車や火砲を削減し、その分海空戦力を増強して、侵攻する敵戦力を洋上で撃破しようというコンセプト(ドクトリン)の下で作られています。

このコンセプトに異を唱えるなら、そう主張すべきですが、引用部分以外を含めても、そのような記述はありません。

現状、中静氏が主張する中国だけでなく、ロシアにも日本に着上陸侵攻するような戦力はありません。
洋上で撃破するというコンセプトが、十分機能する環境にあると言えます。

現大綱は、むしろそのような大規模着上陸ではなく、中国が行う可能性の高い(蓋然性のある)離島を巡る争いに効果的に対処する点に主眼を置いています。
そのためには、海空戦力と、陸自では普通科や水陸機動団のような軽量で機動力の高い戦力の方が有用と判断され、それらの増強が計られています。

現大綱が発表された日、ネット上では、戦車教団の方々がパニックを起こしたような状態でした。
専守防衛を旨とする日本は、洋上撃破するよりも、九州に着上陸してきた敵戦力を、地上で後退しながら漸減させ、東京の手前で撃破すれば良いなどという意見さえあったくらいです。

中静氏は、そこまで言っていませんが、洋上で撃破するという現大綱のコンセプトを否定し、海空戦力の増強に回す予算を戦車・火砲の維持に充てるなら、結果的には同じ主張であると言えます。

今後、陸自の戦車部隊が、中東で戦闘するなんてことも、可能性としてはゼロではありません。
しかし、人質救出のために必要な装備ではありませんし、300両もの戦車を持って行く必要は生じないでしょう。

単に、装備の数ではなく、それをどの様に用いて、どの様に戦うかを考えないと、実戦で有効で、費用対効果の高い防衛力整備はできません。

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2014年8月 8日 (金)

強襲揚陸艦と集団的自衛権の素敵な関係

来年度の概算要求に強襲揚陸艦の調査費が計上されるようです。
強襲揚陸艦を導入へ 防衛省方針、名称変更も検討」(朝日新聞140804)

 防衛省は、陸上自衛隊の離島防衛部隊や新型輸送機オスプレイを載せて上陸作戦を行う強襲揚陸艦を海上自衛隊に導入する方針を固めた。2015年度予算の概算要求に調査費を盛り込む。


昨年12月に発表された中期防に「水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇の在り方について検討の上、結論を得る」とあったので、中期防を読んでいた人は、昨年の段階で”検討”することは分かっていましたし、そのための調査費なので、別に驚くようなニュースではないのですが、結構話題になっています。

自衛隊応援団の私としましては、防衛省が、”強襲”を取ってソフト路線で導入の理解を得ようとしているようなので、本来であれば、”災害派遣にも役立つ”とかをアピールすべきかもしれませんが、その辺はナゼか朝日新聞がやってくれています。

医療機能を充実させて災害時に利用することも検討し、導入への理解を図る。
中略
 小野寺五典防衛相は4日に都内であった講演で「病院船的な機能もあり、災害でしっかり使える。車もしっかり載せられる。そういう多機能なものをこれからの装備では考える必要がある」と必要性を強調した。


なので、私は逆にハード路線の指摘をしたいと思います。
というのも、しばらく前であれば、このニュースは、必ずしも歓迎すべきモノではなかったのですが、最近の政治情勢の変化により、強襲揚陸艦の価値が大きく変化し、基本的に支持したいモノになったからです。

強襲揚陸艦は、その名の通り、元来は着上陸作戦を実施するための艦艇です。
それも、艦自体を砂浜などの海岸に乗り上げさせ、ビーチングと呼ばれる方式で揚陸することが困難であるような、危険な戦場(敵が待ち構えている等)に、空中機動などを加えることで、強引に(強襲)陸上部隊を上陸させる(揚陸)ことのできる艦艇です。

しかし、そのためには指揮機能の充実や、医療機能など、多様な機能を詰め込まなければならないため、近年ではむしろ多目的艦と言える存在に近づいています。
防衛大臣のコメントも、その事を意識したものでしょう。

自衛隊の艦艇で言えば、陸上部隊の揚陸を目的としたおおすみ型輸送艦と、多数のヘリコプターを運用できる全通甲板を備えたヘリコプター護衛艦である、ひゅうが型あるいはいずも型DDHをかけ合わせたような艦艇と言えます。

しかし、当然ながらここで言及されている強襲揚陸艦は、おおすみ型やひゅうが型、それに建造中のいずも型とは異なる艦艇となるはずですし、海自はアメリカ海軍と極めて密接なことから、この強襲揚陸艦は、アメリカの現行強襲揚陸艦であるワスプ級強襲揚陸艦、あるいは建造中のアメリカ級強襲揚陸艦のような艦艇になる可能性が高いと思われます。

そうであることを前提に考えた場合、この強襲揚陸艦が、現在海自が保有・建造している艦艇と何が違うのか、そしてそれがどんな意味を持つのかがポイントです。
そこに違いが無いのであれば、そもそも強襲揚陸艦の導入を検討する必要などなく、従来艦の追加建造で事足ります。

細かい説明を後回しにして結論を言いましょう。
おおすみ、ひゅうが、それにいずも型は、すべて全通甲板を持ち、艦型が空母に似ていることから、一部に軽空母としての能力を期待する人もいます。
しかし、実際にはどの艦も軽空母にはなりえません。
ですが、強襲揚陸艦は、軽空母にもなりえます。

おおすみ型は、航空機を移動させることのできるエレベーターも航空機を整備する格納庫もなく、全通甲板はヘリも離発着できる、車両搭載スペースでしかありません。(車両用エレベータ等はある)

ひゅうが型、いずも型は、装備としてはそれなりのエレベータ等を備え、サイズ次第ではありますが、VTOL固定翼機を運用することも可能です。
しかし、へりの搭載定数を見ると、いずも型で9機、ひゅうが型では4機でしかありません。
搭載容量としては、それぞれ14機、11機ですが、こんなに乗せたら、まともな運用は不可能です。
この容量は、運搬することが可能な容量でしかない訳です。
しかも、VTOLでの離発着しかできませんから、武器の搭載量は制限を受けます。

そして、航空機は、飛行している短い間しか戦力発揮ができず、しかも整備・補給に多大な時間を要するため、相当数の機数を運用できなければ、全く航空機運用ができない時間が必然的に発生します。
つまり、完全な無力となる時間が発生するため、敵にとっては運用次第で単なる的にすることができます。

海自艦艇で最大の航空機運用能力を持ついずも型でも、ヘリ搭載定数は9機しかなく、ヘリ以上にかさばる固定翼機を運用しようものなら、運用可能機数は更に減りますし、本来の機能である対潜哨戒などが全くできなくなってしまいます。
つまり、この程度の航空機(ヘリ+固定翼)運用能力では、軽空母としても小さすぎるのです。(2次大戦の頃の飛行機は運用できますが、当時と比べたら現代の航空機は巨大化しています)

しかし、強襲揚陸艦の場合、アメリカが現在運用しているワスプ級であっても、対潜任務を行うMH-60Rを6機搭載しながら、ハリアーを20機(1個飛行隊以上)も搭載運用可能です。
アメリカ級強襲揚陸艦も同程度です。
(上記の機数は、軽空母として運用する場合の搭載機数なので、本来の強襲揚陸艦としての運用の際には、搭載機数は減ります。)

この違いは、何よりも艦艇のサイズの違いから来ています。
海上自衛隊最大となる予定のいずも型でも、満載排水量は2万6千トン。
対するワスプ級は、4万トンを越え、アメリカ級では、4万5千トンを越えるため、倍近い大きさがあります。

つまり、紛争の状況次第では、空母としての投入が可能であることが、最大のポイントです。

しかし、私のブログを以前から見ていてくれた方は、「お前は空母導入には反対してたんじゃないのか?」と思うでしょう。
確かに、私は自衛隊への空母導入に反対していました。
参考過去記事
「カテゴリー空母保有」全9記事

しかし、これらの記事でも「アフリカへの政治・軍事的プレゼンスを強化して、資源確保や国際世論の形成を誘導するなどと言った目的なら、それを実行するための目標として、インド洋に空母機動部隊を遊弋させることは適切です。必須と言っても良いと思います。」と書いていたように、以前の記事は、現状の安全保障環境が大きく変化しない事を前提に書いていました。

ですが、安全保障環境は、大きく変化しました
それが、集団的自衛権行使への憲法解釈変更です。

この解釈変更問題も、私は当初それほど注目していませんでした。
集団的自衛権を行使するとは言っても、日米安全保障条約を(実質的に)双務的なモノとし、アメリカに向かう弾道ミサイル防衛に協力するという程度だろうと予想していたからです。

しかし、安倍政権は、支持率を落しながらも、オーストラリアとの関係を、準軍事同盟的なモノにする他、中国が、尖閣以上に露骨な侵略行為を行っている南シナ海における紛争に関して、ASEAN諸国を支持して介入する可能性まで含めて、集団的自衛権を行使可能であるとしました。(韓国に対する支援も入っていますが、韓国自体が、むしろ中国側に付きそうなので、構図が奇怪です)

安倍政権による集団的自衛権行使は、日本の安全保障における、戦略の大変更です。
今までは、防衛力を、ひたすら自国(日本)の安全が脅かされた際にだけ行使し、隣で無辜の他国民が侵略されても見て見ぬ振りをする予定でした。
しかし、今回の解釈変更で、同様の状況で無辜の他国民を助ける替わりに、沖縄や尖閣が侵略を受けた際にも、他国が支援してくれることを期待して行動する方向に舵を切りました。

であれば、南シナ海での紛争等に、プレゼンスだけ、あるいは実際に介入するにしても、空母としての能力も期待できる強襲揚陸艦は、最適です。
もちろん、事態に応じて、空母的装備も揚陸艦的な装備も可能ですし、後方に徹して病院船・補給艦機能として関与することも可能です。

つまり、
強襲揚陸艦は、安倍政権が進める積極的平和主義を実のあるモノにするためのツールとして、非常に適しています。

ですが、ここで指摘した軽空母としての活用をするのであれば、問題もあります。
当然の事として、艦載機がなければ、CPUのないパソコンのようなものだからです。

候補は、当然にVTOLステルス機であるF-35Bとなるでしょう。

F-4の後継となるFXとしては、通常離着陸タイプのF-35Aが選定されましたが、この選定により、以前の記事「F-15延命プランは、FXへのF-35選定圧力を高める」でも書いた通り、F-15の性能向上が図られていないPre-MSIP機については、F-35とすべきですし、実際にそうなる可能性が高まっています。
F35の追加取得検討も  防衛相「価格低下なら」」(産経新聞140709)

強襲揚陸艦が導入されたとしても、そこに常に艦載機を載せておくことは適切ではありませんし、米軍でもそんなことはしていません。

空自機であるF-15のPre-MSIP機後継にF-35Bを選定し、必要な時だけ強襲揚陸艦に搭載して運用することには、海・空自間で、いろいろな問題も生じるでしょうが、統合の時代にあって、それは乗り越えなければならない問題です。

しかし、それができれば、強襲揚陸艦とF-35Bは、積極的平和主義を推し進める強力なツールになります。

前掲リンクに上げたように、この強襲揚陸艦のニュースが、F-35追加取得の可能性を報じたニュースのわずか1ヶ月後にリリースされたことは、決して偶然ではないと思います。
恐らく、時期をずらすことで、一体化した話題ではないとイメージさせながら、それぞれに観測気球とする、あるいは予防線を張ったのではないか……

まだまだ可能性の域を出ない話ではありますが、この強襲揚陸艦の検討は、Pre-MSIP機後継に、F-35Aではなく、F-35Bを導入することととリンクして検討されるでしょう。

民主党・共産党を始め、野党は反対すると思われますがが、私は支持します。

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2014年7月17日 (木)

集団的自衛権行使反対派による徴兵制キャンペーンを考えてみた

ここの所、またぞろ徴兵制の話題がメディアを賑わしています。

その理由は、共産党や過去の自民党に巣食っていたエセ保守が集団的自衛権行使に反対して、キャンペーンを張っているためです。
集団的自衛権は徴兵制につながるのか?」(THE PAGE140707)

彼等のロジックは、
集団的自衛権を行使すると自衛官が戦死する
→自衛官志願者が減少し、自衛隊の組織が維持できなくなる
→徴兵制に移行せざるを得なくなる
というものです。

徴兵制に関する過去記事としては、4月1日のジョーク記事として「徴兵された人員では現代戦は戦えないはウソ」としてネタにしかしていないように、徴兵制はあり得ないと思っていますし、この記事のコメント欄でも書いたとおり、基本的に反対です。

部隊には、定期的に新隊員(任期制の新隊員だけではなく、曹候補などを含めた新人隊員)が配属されますが、空自の場合、指揮官には嫌がられる事も少なくありません。
「何で俺の部隊にばかり新隊員を回すんだ!」などと言って上級部隊の人事にねじ込む指揮官を見たことは珍しくなかったです。私は言いませんでしたが、気持ちは分かります。

その理由は、部隊が新隊員の教育に要する労力と新隊員の戦力としての部隊への貢献を比較した場合、教育に要する労力の方が大きいからです。(もちろん、中には飲み込みが早く、直ぐに役立つ新隊員もいます)
前述の上級部隊にねじ込む指揮官の言い分は、新隊員ではなく、「ちゃんと戦力としてカウントできる使えるヤツを寄こせ」という意味で、欠員になっても良いという意味ではありませんが、欠員になってでも新隊員を嫌がる指揮官もいます。

私の主観的な判断ですが、教育ロードよりも、戦力としての貢献の方が大きくなるのは、入隊して4年(2任期目途中)後くらいではないかと思います。
それに加えて、徴兵された隊員は、士気が高い(やる気がある)はずもありません。

つまりは、徴兵制に移行などしようものなら、部隊は新人教育だけで手一杯です。

予備自衛官制度に最も真剣なのが陸自であるように、陸自は空自と比べて、知識技能は低くとも、若くて体力のある人材を欲しがっていますから、空自と比べれば徴兵制に移行しても、それなりにメリットはあるかもしれません。(海自は、たぶん空自と似たようなものでしょう)

しかし、陸戦でも、銃が撃てれば戦力になれた昔と今では状況が違います。
普通科(歩兵)に限っても、暗視装置を使いこなし、逆に暗視環境でも身を隠す方法を身につける事は当然ですし、IEDの危険性を理解できなければ、みすみす死傷者を増やすだけでしょう。

後方の基地・駐屯地の警備や補給などの後方業務に使えば良いという意見もありますが、特殊作戦が重視される現代では、安全な後方などありませんから、素人に毛が生えたような警備では、大きな被害を受ける可能性がありますし、補給だってアマゾンには及ばないもののシステム化されており、力仕事をこなせればそれで戦力になれる訳ではありません。

太平洋戦争のような全面戦争が何年も続くなら、流石に状況が違ってきますが、攻撃力と機動力が格段に向上した現代戦では、限定された戦力しか投入されない局地戦は別として、年単位の総力戦などもはやあり得ないでしょう。
長くても数ヶ月、短ければ数日です。

現在でも、隊員教育の専門部隊は結構な規模がありますが、徴兵など行われた時には、教育部隊も大幅に拡充しなければならないはずです。

と言う訳で、現場に居た者の感覚では、”徴兵制など真っ平御免”なのですが、徴兵制の懸念を煽って集団的自衛権に反対する勢力の言い分も検討しなければなりません。

まず、集団的自衛権を行使すると戦死者が増えるか否かについて考えて見ます。
集団的自衛権を行使するようになると、従来の解釈では自衛隊が参加することのなかった作戦に参加する可能性が高まるため、世界中で起きる紛争の件数に占める自衛隊の関与率は高まることは事実でしょう。

しかし、集団的自衛権は、他国を助けなければならない反面、他国から助けてもらえる可能性を高めるための権利です。
尖閣を始め日本が侵略される事態で、他国から助けてもらえる可能性が高まるので、侵略を抑止できる可能性も高まりますし、抑止が成功しなくても、我の戦力が高まるので自衛官の死傷も低く抑えられます。

集団的自衛権行使に反対する勢力は、後半の事を語りませんが、情けは人のためならずという金言を学んで欲しいものです。

次に、戦死の可能性が高まることで自衛隊の志願者が減少するか否かを考えてみます。
思い返してみると、似たような議論は、過去にもありました。

印象に残っているのは、2004年に始まったイラク派遣の時です。
空自でも、空輸隊を派遣するにあたり、武装勢力による携行式地対空ミサイル攻撃が頻発していたため、危険を懸念して要員に選ばれることに躊躇する隊員もいましたし、不安になる家族もいました。(米軍と異なり輸送機に、ろくな自己防御装置も付けていなかった事も影響)

しかし、それによって募集が困難になったという話は聞きませんでした。数値的な影響はでたかもしれませんが。
むしろ、震災後と同様に、意識の高い隊員が集まりました。

また、戦死ではなくとも、訓練による自衛隊員の殉職は、かなりの数に及びます。
その中でも、最も顕著なのは航空機のパイロットです。
近年こそ、安全管理が徹底され、航空事故による死者は決して多くありませんが、過去には空自に限らず、海自でも陸自でも多くのパイロット及び航空機搭乗員が殉職しています。
にも係わらず、パイロットは多くの若者にとって憧れの職業であり、航空学生採用試験の倍率は、高い数値を保っています。

自衛隊志願者は、安全性と給与だけで志望している訳ではありません。
危険であっても、そこに命をかける意義があれば、志望者は集まります。
太平洋戦争末期、特攻に志願した人さえ多かったことを忘れることはできないと思います。

実際の志願者数の推移を示したいところですが、探してみたものの、適当なデータが見つかりません。
参考になりそうなデータは、次のブログに十分とは言えないながらもまとめてありました。
自衛官は若者の就職先として定着

自衛官などの応募者数、( )内は対18~26歳人口比
人口データリンク
1980年度  93748人(0.65%)
1981年度  95704人(0.67%)
1982年度  88700人(0.62%)
1983年度  90170人(0.62%)
1984年度  92132人(0.64%)
1985年度  90117人(0.61%)
1986年度  92120人(0.62%)
1987年度  86008人(0.56%)
1988年度  89159人(0.57%)
1989年度  81685人(0.51%)
1990年度  84882人(0.52%)
1991年度  90740人(0.54%)
1992年度  -
1993年度 104723人(0.60%)
1994年度  -
1995年度  -
1996年度  -
1997年度  -
1998年度 158997人(0.96%)
1999年度 156009人(0.97%)
2000年度 145249人(0.95%)
2001年度 143350人(0.96%)
2002年度 151047人(1.04%)
2003年度 145346人(1.02%)
2004年度 132583人(0.95%)


自衛隊の死傷者が懸念されるような海外派遣は、1991年の1月から始まったイラク派遣から順次増えて行っていますが、ちょうどこの当たりのデータに欠損があるものの、長期的に見れば、むしろこの頃から上昇しています。
それまで対18~26歳人口比で0.5~0.6%だったものが、1990年代後半には、倍増とも言える1%に迫っています。

この要因には、1995年に発生した阪神・淡路大震災や経済的影響も大きいですが、明確に言えることは、海外派遣による隊員の命の危険が、募集を困難にしてはいないということです。

という訳で、集団的自衛権行使反対派のロジックは、一見妥当なように見えても、彼等の空想的論理であって、実態とは乖離しています。

彼等の展開するキャンペーンには、偽の元自衛官をツイッター上で呟かせ、元自衛官が懸念しているなどという風説の流布にもあたりそうな事までやっていますが、基本的な知識が不足しているので、あっという間に偽物だとバレてしまっています。(これなど、風説の流布によって自衛隊の募集を妨害したとして、業務妨害罪で告訴してもよいくらいです)
元自衛官を僭称している可能性のあるアカウントに騙される人々

徴兵制に対しては、過去にも自民党の大島幹事長が「わが党が徴兵制を検討することはない」とコメントを発表したりしていますが、防衛省として、過去の応募者数と海外派遣等の年表でも作って、しっかりと広報して欲しいものだと思います。

先日の記事「ぱるる効果!」にも書いた通り、自衛隊の募集が困難なのは事実ですが、最大の要因は、若年人口の減少と、アベノミクスによる景気回復、オリンピック等に起因する建設業や飲食業の人手不足で、民間との間で人材を取り合っているからです。

徴兵制に関しては、自民党を始め保守層の中に、好きな方々がいるのは事実ですが、彼等も戦争の実態を考えず、精神論を語るので勘弁して欲しいものだと思います。
ましてや、(道徳等の)教育のために徴兵制をしき、自衛隊で教育させればいいなどと言う方は、自衛隊にとっては迷惑でしかありません。

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2014年6月10日 (火)

素晴らしきシビリアンコントロール

シビリアンコントロールの目的は、一義的には、軍(自衛隊)の暴走に、歯止めをかける事にあると思われています。

しかし、それだけではなく、他国との政治的駆け引きを有利にしたり、軍(自衛隊)自体の精強化に寄与するケースもあります。

政治的駆け引きでは、中国艦によるレーダー照射問題に対する政府判断がありますし、
参考過去記事「レーダー照射問題における高度な政治判断
部隊の精強化という点では、今回、良い事例ができました。

海自いじめ自殺訴訟、高裁判決確定へ」(神奈川新聞14年4月26日)

この事件に対して、(海上)自衛隊は、責任がなかったとして争う姿勢でしたし、内部告発した3等海佐を懲戒処分する予定でした。

海自は昨年、勝手に文書のコピーを持ち出したとして、3佐への懲戒処分手続きを始めた。


しかし、高裁判決が自衛隊を厳しく断罪したこともあって、小野寺防衛相は、上告の断念と3佐の懲戒処分を行わない方針を固めました。

 小野寺五典防衛相は25日の閣議後記者会見で、海上自衛隊による文書隠蔽(いんぺい)や上司の責任を認めた護衛艦「たちかぜ」のいじめ自殺訴訟の東京高裁判決について「しっかりと受け止める。判決は大変重い」と強調し、上告を断念する意向を表明した。

小野寺防衛相は会見で「公益通報を理由に不利益なことをしてはならない。判決で隠蔽が指摘されているのを勘案する」と述べた。


この事件については、(海上)自衛隊の自浄能力の不足を露呈した事件だったと思っていますが、防衛相が政治判断を下すことによって、組織の健全化が図られたと思っています。

人によっては、この事件を隠蔽した方が、海自・防衛相のイメージの悪化が避けられ、より良い人材が集まることで、組織の精強化が図れたと思う人もいると思います。(事実、海自はそう考えたようですし)
ですが、良くも悪くも情報化が進んだ現代においては、隠蔽したのではないかという悪い噂(ネガティブイメージ)は、主にネットにおいて執拗に影響し続けます。
膿を出し切るという点で、今回の判断は、マイナスの影響を最小限で食い止める良い判断だったと思っています。

シビリアンコントロール、これは防衛相という1個人のシビリアンによるものだけではなく、広く世論を反映し、国民全体としてのシビリアンによるコントロールが、巧く機能した素晴らしい結果でしょう。

最後に、告発した3等海佐の方、今後冷や飯を食わされることが確実でしょうが、是非堂々と定年まで窓際を満喫して欲しいと思います。

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2014年5月22日 (木)

防衛省における男女共同参画の問題点

防衛省における男女共同参画に係わる基本計画が更新されています。
防衛省における男女共同参画に係る基本計画

防衛省・自衛隊というだけでなく、日本社会全体が男女共同参画社会になろうとしている中で、防衛省・自衛隊として、どうあるべきかという方向性を打ち出しています。
具体的には、女性自衛官の採用・登用の拡大を計る他、庁内託児所や男性職員の育休取得推進などの勤務環境の整備などが盛り込まれています。

社会全体の方向ですし、優秀な人材確保のために必要な施策だと思いますが、一つ欠落している視点があるように思います。

それは、男性職員の育休取得推進が盛り込まれているものの、基本的には自衛官の人事制度全体が、配偶者が専業主婦(主夫)であることを念頭に考えられており、防衛省・自衛隊職員は男女共同参画になったとしても、その配偶者までが男女共同参画になるような方向で計画されていないということです。

分かりにくい話だと思いますので、実例を出しましょう。
自衛官の奥さんが、就業したいと思っても、実際にはかなり困難です。

陸自の場合、曹以下は転勤が少ないので、あまり当てはまりませんが、陸の幹部、海空については幹部曹士の別なく、結構な頻度で転勤します。
そうなると、奥さんが就業しようとしても、数年しか働けない可能性が高く、どこに行っても引く手あまたな看護師資格でも持っていないと、なかなか条件の良い就業先が見つからないという結果となり、働きたくてもパートでしか働けないという事が多いです。

単身赴任すれば良いとも言えますが、家計が2重化するわけですから、収入が増えても支出も増える結果となり、やはり苦しい状態になるでしょう。
それに、家族が一緒に暮らすことと男女共同参画は、背反して良いものでもありません。

この問題に対する策は難しいと思いますが、知恵を絞って、何らかの施策を講じて欲しいと思います。

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2014年4月26日 (土)

11式地対空ミサイルの問題

以前にも、関連する記事を書いているので、改めて触れないでいたのですが、隅田金属日誌の文谷氏が、「結局、高価すぎで揃えられない」を書いたので、簡単に書きます。

以下引用は、上記リンク先より。

 新しい短SAMなのだが、高すぎて揃えられないらしい。11式地対空ミサイルだが、いまのところ1セット50億円する。装備調達本部の希望的観測でも、20年で45セット買っても、平均20億程度は掛かるとしている。実際には、高すぎるので45セットも買えないだろう。


今年度の予算での調達は、次の通りで、陸自が1セット買うだけで、空自は調達できていません。
Ws000023

こういう事態になることは、予想ができました。
だからこそ、対処能力は劣るかもしれないが、価格が安く、地上目標への対処にも使用可能な、GUNにすべきというのが、GUN派の意見でした。

ですが、実際には、陸自の思惑に引きずられる形で、空自も基地防空火器への採用を前提に開発に協力していました。
関連過去記事「GUN派が息を吹き返すか?

 そもそも、陸上用短SAMとして高価すぎるように見える。11式の射撃用レーダは、やや高級めのアクティブ式フェーズド・アレイ・レーダであり、ミサイル本体は無駄に高級なアクティブ・レーダ・ホーミングである。


アクティブ式フェーズド・アレイ・レーダは、必要な出力が確保できさえすれば、システムを簡略化できるため、主に整備など後方上も有利ですし、価格も必ずしも高くなりません。
アクティブ・レーダ・ホーミングは、11式が開発の際に目指した巡航ミサイル対処を行う上で、同時他目標対処を行うための打ちっ放し性確保にために採用した誘導方式ですが、これが調達価格を押し上げた事は確かです。
巡航ミサイルという低RCS目標に対して、オンボードで送信系とそのための高出力電池、及び高度な処理装置を積まなければならないためです。

だが、使い方は81式と変わらない。基本は飛行場や橋や補給拠点といったポイントを守る程度のものに過ぎない。それなら、従前程度の性能を多少改善すれば済む話である。


この点は異論があります。
防護目標は変わりませんが、航空機搭載兵器がスタンドオフ化し、81式の射程内に、81式が対処可能な固定翼航空機自体が侵入してくる可能性がほとんど無くなっているからです。ただし、逆説的ですが短SAMが無い場合は、無誘導の通常爆弾でいいように攻撃されてしまうため、保有は必要です。
以前と異なり、艦載SAMと同様に、ミサイルの迎撃ができる必要があります。

 本来なら、81式のミサイルのみの改修でよかったのではないか? 短SAMのキモはミサイルであり、FCSではない。性能向上についても、ミサイルだけを改良更新すればよかったのではないだろうか。


この点は、傾聴すべき意見だと思います。
ですが、既に配備されている81式は、FCS全般も老朽化していましたから、更新で整備性が大幅に向上するアクティブ式フェーズド・アレイ・レーダ化したことは、必ずしも間違ってはいなかったと思います。

 そのミサイルもわざわざ国産開発する必要もない。もともと短SAMは、陸海問わず空中発射用のミサイルの転用である。今の空体空ミサイルをそのまま使ってもよい。型落ちした空自のサイドワインダーの-Lや90式誘導弾でもよいし、新型の4式誘導弾を使っても良い。別に海外からサイドワインダーの-Xを買っても良かっただろう。

この点にも異論があります。
対処すべき目標が、航空機から、巡航ミサイルや空対地ミサイルに移行しているため、上げられている様な短距離空対空ミサイルでは対処不可能です。(また、空対空ミサイルの地対空ミサイル化は、地上にあるため位置エネルギーが0の上、初速も0のため、推進薬や全体のバランスなど多くを見直さざるを得ない上、射程は大幅に減少します)
ですので、AMRAAMを地対空ミサイル化したNASAMSのように、元のミサイルがそれなりに高性能でないと、使えるモノになりません。

NASAMSを買っても良かったかもしれませんが、それであれば、過去記事で書いたとおり、短SAMだけでなく、VADS(陸自の場合87-AWやL-90)の後継も含めて、前掲過去記事に書いた通りGUNシステムにすべきだったというのが私の意見です。

防衛産業に対する配慮も必要ですが、11式短SAMの開発は、私も失敗だったと思っています。

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2014年2月26日 (水)

陸自は削減すべきなのか?_新防衛計画大綱等 その6

このブログは、BLOGOSに転載されることもあります。
このシリーズ最初の記事「初めてまともに規定された戦略とドクトリン_新防衛計画大綱等 その1」も、その一つでしたが、そこにむらきのん氏から、こんな意見を頂きました。(後半略)

エントリーの主張を前提とすると、戦略という作文と、数という実体があっていないように考えます。
具体的には、なぜ陸自の人数を増やすのでしょうか。
エントリーが評価するとする戦略と具体的数値目標との矛盾点と考えます。
戦略に沿って、削減すべきは削減する、だからこそ強化すべき分野に資源を十分投入できる、それが本来ですし、財政面にも必要でしょう。
そこについての記述を期待します。


一言で言うならば、敵戦力を、洋上において、主に海空戦力で撃破するというドクトリンを持つのであれば、陸自戦力は削減すべきではないかという考えだろうと思います。
至極当然の感想だと思います。

ですが、私は以前から主張しているとおり、戦車や特科戦力は削減し、代わりに普通科戦力を増強すべきだと主張してきました。

そして、実際に新大綱で数値的に示された陸自戦力の増減も、戦車と火砲の削減と編制定数(人員数)の据え置きです。
戦車・火砲の削減分がどこに振り向けられるのかは記述がありませんが、施設(工兵)の増強を予想させる記述もないため、恐らく普通科だと思われます。また、中期防で99両の調達が盛り込まれた機動戦闘車も普通科配備の可能性が高いため、新大綱等の方向性は、非常に望ましいものだと考えています。

では、なぜ普通科の増強が図られ、陸自全体としては据え置きなのか、新大綱等の記述を見ながら考えて見ます。

大きなバックグラウンドとして考えるべき事項は、前掲記事でも書いたグレーゾーン事態です。
北朝鮮に関連したグレーゾーン事態の記述として、次の通り書かれています。

大規模な特殊部隊を保持するなど、非対称的な軍事能力を引き続き維持・強化している。


中国に対しても、同種の記述をしています。

当該地域での他国の軍事活動を阻害する非対称的な軍事能力の強化に取り組んでいると見られる。


また、災害に関する記述の中でですが、我が国の状況について、次のように述べています。

都市部に産業・人口・情報基盤が集中するとともに、沿岸部に原子力発電所等の重要施設が多数存在しているという安全保障上の脆弱性を抱えている。


大綱中、防衛力整備の方向性について記述している防衛力の在り方の項目においては、弾道ミサイル攻撃への対応として書かれている次の内容は、陸自の仕事です。

万が一被害が発生した場合には、これを局限する。また、弾道ミサイル攻撃に併せ、同時並行的にゲリラ・特殊部隊による攻撃が発生した場合には、原子力発電所等の重要施設の防護並びに侵入した部隊の捜索及び撃破を行う。


若干作為的ですが、これらをまとめてみます。

グレーゾーン事態においては、特殊部隊等による非対称戦術が懸念される。
(非対称戦術とは、ある脅威に対して同種の兵器を繰り出すのではなく、多くの場合、ゲリラ的な妨害活動をすることを指します)
その上、日本の場合、都市への著しい集約や原発等が多数存在し、破壊行為による影響が大きい。
故に、これら多数の重要施設を防護し、非対称戦術を行う特殊部隊等の捜索・撃破を行なう事が必要。
また、弾道ミサイルによる化学兵器などの被害にあたっては、被害極限も必要。


正規軍による大規模着上陸に備え、多数の戦車等を配備していた以前の大綱等では、これらの脅威にも触れられることはあっても、実態的にはそれほど重視されてはおらず、戦車や火砲は備えても、普通科部隊の整備、具体的には自動車化等の施策は遅れていました。(近年の軽装甲機動車の大量配備によって、大分まともにはなりましたが)

ネットで大きな発言力を持つ、戦車を重視する方々は、こうした非対称戦術に対しても、イラクやアフガンでの戦訓があるため、むしろ戦車を多数配備し、備えるべきだと主張しています。
ですが、それらの事例は、住民のほとんどがゲリラ支持者である所での事例であり、ゲリラが簡単に潜伏可能で、かつ自由に動き回ることができる環境であるため、ゲリラを積極的に狩り出すことが困難だから生起している事象です。
それが故に、防御力の高い戦車を盾にして攻撃を誘い、ビル等からの攻撃に対して、戦車砲まで使用して反撃せざるを得ないため、そのような状況になっています。

しかし、日本では、例え中国人の多い池袋や横浜であっても、そうしたゲリラ・コマンドウは、潜伏することは、かなり大変です。
怪しげな人間がいれば、警察に通報されますから、警察と陸自が協力して、積極的に狩り出す事が可能です。
そうした状況では、戦車ではなく、どこにでも直ぐに駆けつけられる軽装甲機動車や、もしも火力が必要なら、それこそ機動戦闘車のような車両の方が役立ちます。部隊も当然普通科です。

防衛省がこう言った戦術を警戒するようになった理由には、恐らく中国の国防動員法も関係していると思われます。
法への言及は内政干渉にもなりかねないため新大綱等でも直接の言及はありませんが、この法を発動させれば、中国政府は、日本在住のほとんどの中国国籍保有者(男性18~60、女性18~55)に対して、即座に破壊活動を行なう事も命令できます。
いくら法があると言っても、在日二世、三世の方などは、ほとんど命令に従わないと思いますから、実際に中国政府の命令で破壊活動に参加する中国人は、決して高い比率ではないと思われます。

ですが、仮に100人に1人が破壊活動に参加しただけでも、国防動員法の発動だけで、日本国内に突如6000人ものゲリラが出現することになります。
昨年末の中国による防空識別圏設定の際にも、中国大使館が在日中国人に対して、連絡先を登録するようにアナウンスし、一部では、すわ動員法発動準備とも騒がれたことは記憶に新しいところです。
在日中国人登録は開戦ではなく、災害への対応=在日中国大使館」(中国網日本語版13年11月26日)

彼等は、例え武器などはなくとも、各地の鉄道に置き石をするだけで交通網は麻痺しますし、脱線事故など起きようものなら、地下鉄以外は長期に渡って低速運行しなければならなくなるでしょう。
工場に勤める者なら、毒物を奪って水源に投入することも容易いはずです。

こうした脅威に対処するためには、多大なマンパワーが必要です。
要対処者が6000人もいたら、陸自全兵力15万9千人(予備自を含む定数)の全兵力を投入しても、追いつかないかも知れません。多分足りないでしょう。

1996年に韓国で発生した江陵浸透事件では、26名(11人は早期に自決しているので、実質15名)の工作員を追い詰めるために49日も要しています。投入された兵力はのべ150万にも及び、1日あたり3万人もの人員でこの15名を追った事になります。

高度な訓練を受けた工作員ですし、単純な比較はあまり適当ではありませんが、単純計算では、1人を追うために2000人を要した訳ですから、要対処が6000人なら、1200万人(予備自を含む陸自編成定数の75倍)もの兵力が必要になってしまいます。

こうした、いわゆるゲリ・コマ対処と呼ばれる活動には、極めて多数の陸自普通科兵力が必要ですし、この他にも新大綱では陸自の能力が必要とされる項目が多く盛り込まれています。

安倍首相が国連総会等打ち出した積極的平和主義は、今や頻繁に耳にする言葉になっていますが、国家安全保障戦略の中で明確に規定されました。
そして、それを受け、大綱で具体策が示されていますが、これらは海空も関係するものの、主力は陸自になるだろうと思われるものが多いのです。
細部を説明すると長くなるので、該当すると思われる事項を列記するに止めます。
・PKO
・人道支援
・災害救援
・能力構築支援
・テロ対策
これらは、普通科の他、施設科や衛生科の出番が多くなる活動でしょう。

また、災害派遣は、陸自、それも普通科と重機を要する場合は施設科が最も対応力が高い事も言うまでもありません。

後半ははしょったので、予想される業務量と、記事の文章量が整合していませんが、結論は冒頭で述べたとおり、戦車・火砲の削減は適切でも、やはり新大綱等で示された活動を行って行くなら、陸自全体の削減は適切とは思えない、という所になります。

しかし、陸自の戦力規模については、コメントを頂いた方のように至極当然の思考をする方がいらっしゃる一方で、むしろ陸自、というより戦車の増強を唱えるネット論者もいます。

そしてまた、プロである元自衛官にしても、相反した意見が見られます。
詳細には触れませんが、元陸将の用田氏は、この新大綱等が陸自削減であるとして、危惧を抱き、防衛費を倍増して陸自も強化すべきだと主張されています。
陸上自衛隊を弱体化させて日本を守れるのか!」(JBPRESS14年2月4日)
方や、元海自幹部で専門紙にも記事を書かれている文谷氏は、陸自が現今の脅威に適合しておらず、無駄があると主張されています。
陸自を減らすといった解決策から逃げまわっている」(隅田金属日誌(墨田金属日誌)14年2月5日)

今回の新大綱等で、大きな変革が示された陸自ですが、今後も議論が続くでしょう。

なお、ゲリコマ攻撃対処については、如何にも元自衛官が書いた文章で、かなり堅い文ですが、次の資料が参考になります。
興味のある方はご覧下さい。
我が国が行なうゲリラ及び特殊部隊による攻撃への対処のあり方に関する提言

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