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無人機

2014年6月 1日 (日)

グロホ三沢展開に見るオスプレイ反対運動の本質

沖縄でのオスプレイ反対運動は、やっと沈静化してきました。

その理由は、沖縄入りしていたプロ市民による長期対応が限界になって来たという面もあると思いますが、その他にも反対派による攻撃の図式が影響していたように思います。

先日、三沢にグローバルホークが一時運用のために展開しましたが、このグロホ展開に対するマスコミの反応を見ると、やはりこの攻撃の図式は影響が大きかったのだろうと思います。

過去はともかくとして、左派系組織・マスコミも、今では自衛隊に対して表立って反対することは少なくなりました。(対自衛隊世論が好転したので、攻撃し難くなった)

そうなると彼等の戦略としては、攻撃対象を米軍に集中したかったのだろうと思われます。
そのような状況下で、米軍だけが”危険な機体”であるオスプレイを日本に持ち込むとなれば、標的として適切だったのでしょう。

しかし、自衛隊へのオスプレイ導入の方向が定まり、米軍”だけ”が市民を危険にさらしているとは言えなくなりました。
オスプレイが危険だからという理屈では、自衛隊をも非難することになりますし、自衛隊のオスプレイは、恐らく沖縄以外に配備になるでしょうから、沖縄だけに危険を押しつけられているというロジックも成り立たなくなりました。

これを踏まえてグロホの三沢展開を見てみると、やはり納得できる状況になっています。
グロホの三沢展開に対して、もちろん反対運動はありますが、極めて小規模です。
簡単にググっただけですが、反対運動を報道している全国紙は、今や朝日を上回る左寄りの毎日新聞だけのようです。

グロホの場合、自衛隊が既に導入の方向を決め、しかも三沢で運用することもほぼ決まっている状況のため、グロホに反対することは、自衛隊による日本防衛にも反対することになります。

防衛省としても、オスプレイの事例を反省材料として、米軍がグロホを持ち込むよりも先に、自衛隊への導入を打ち出したのかもしれません。

正直に言うと、安全性という点では、グロホの方がオスプレイよりも心配です。
7機が制作された試作・開発機は、7機中3機が事故で失われていますし、量産後も2012年には米国内で墜落事故を起こしています。
それに、ドイツがグロホ導入計画を進め、テスト飛行まで行いながら、計画をキャンセルした理由は、空中での他機とのニアミス・空中衝突の危険性から安全確保が困難だと判断したためです。
ヨーロッパの空は、確かに過密ですが、日本周辺の航空路も、韓国や中国の経済規模が大きくなったこともあり、かなり過密になってきていますし、ヨーロッパと比べると、日本の上空は気象条件的にも厳しさがあります。

こう言った事もあって、過去記事「グアムに無人機-備えはOK?」を書いたのですが、結果的には、グロホに対する反対運動は、無視できる程度でした。

やはり、オスプレイとは図式が違った事が大きいと思います。

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2011年7月 7日 (木)

下地島が無人機運用拠点に

以前の記事「離島有事に無人偵察機」において、自衛隊が作戦基盤として下地島の利用を意図している可能に触れると共に、無人機運用の適地は下地島以外にありえないと断言しましたが、北沢防衛相が裏付け発言をしてくれました。

2プラス2 南西諸島を災害拠点 下地島想定」(琉球新報11年6月21日)
「南西諸島に災害拠点」防衛相表明へ」(沖縄タイムス11年6月21日)

リンクの記事から、北沢防衛相の発言を拾ってみます。

「無人機やロボットの訓練基地を整備し、日本だけでなく東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にも開放したい」
「無人機、ロボットの継続的な運用は自衛隊のような組織でなければ維持できない」


以前の記事で詳しく書きましたが、下地島を利用しないと、無人機、特に防衛省が開発を進める無人機研究システムの実戦配備は困難です。

無人機研究システム(技本HPより)
Uav_flying


災害拠点という、これまた耳障りの良い詭弁を弄していることには賛成できませんが、南西諸島防衛という観点では、下地島の利用は欠かせませんし、尖閣諸島を強行偵察する能力確保のために、無人機とそれを運用する適地の確保も必須です。

幸い、甚大な災害となった津波被害のためか、この話に対して沖縄世論の反発もほとんどないようです。
となれば、粛々と進めて欲しいところです。

2010年10月 9日 (土)

グアムに無人機-備えはOK?

グアムにグローバルホークが配備されました。
米、グアムに無人偵察機…北朝鮮・中国など監視」(読売新聞10年9月27日)

今後、中国や北朝鮮の監視・偵察任務に使用されるものと思われますが、日本の対応準備は問題ないでしょうか?

この米軍グローバルホークがグアムから発進し、中国や北朝鮮の監視任務に使用されるとすれば、もし空中でトラブルが発生した場合には、在日米軍基地、特に嘉手納と横田、そして岩国(三沢は位置的に可能性が低い)に緊急着陸をしたいというケースが発生することが想定されます。

日本の政府・防衛省はその可能性に備えておく必要がありますが、準備が十分かどうか、少々疑問があります。

最初に白状しておくと、私は正直この件で自信を持って記事を書くことはできません。
何せ、無人機がこんなに普及したのはここ数年の話なので……

ともあれ、分かる範囲で書いてみます。

航空法には「無操縦者航空機」という規定(第87条)があり、無人機については、この条項を根拠として飛行させることができます。
現在研究が進められている無人機研究システムや過去に運用されていたマルヨン改造のQF-104も航空法上は無操縦者航空機という区分に入ります。
航空法抜粋
********************
(無操縦者航空機)
第八十七条  第六十五条及び第六十六条の規定にかかわらず、操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機は、国土交通大臣の許可を受けた場合には、これらの規定に定める航空従事者を乗り組ませないで飛行させることができる。
2  国土交通大臣は、前項の許可を行う場合において他の航空機に及ぼす危険を予防するため必要があると認めるときは、当該航空機について飛行の方法を限定することができる。
********************

では、米軍グローバルホークもこの条項を根拠に飛ぶかというと、少々違ってきます。
というもの、そもそも米軍機は航空法に縛られてはいないからです。
米軍機は、通称*航空法特例法という法令により、航空法の適用除外となっています。
(*正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」)

そのため、米軍グローバルホークは航空法の適用除外となるため、日本の領域を飛行し、嘉手納や横田、そして岩国にも勝手に着陸できることになります。

しかし、実際には運用上の細かな問題がいろいろとあるハズです。

そして何より、基地周辺住民が拒否反応を起こさないように調整しておかなければなりません。
しかし、グアムに配備する時点で、防衛省側には必要な調整が行っていると思いますが、基地周辺の住民に対して告知が行われているという話は、今のところ聞いたことがありません。

以前、無人機研究システムについての記事の中でも書きましたが、無人機については安全性が数値的に実証されていたとしても、心理的に安心できるものではありません。
いきなり米軍基地に着陸したら周辺住民が反発することは目に見えています。

今のうちから周辺住民に対する周知と説得を行っておく必要がありそうです。

2009年2月15日 (日)

第101無人偵察機隊

先日の記事「離島有事に無人偵察機」において、第101無人偵察機隊という部隊の存在について書きました。
産経新聞がその存在を知らず、誤報を書くくらいレア度の高い部隊です。そこで、今回はこの第101無人偵察機隊について、紹介したいと思います。


ただし、私の知識は数年前までの情報+公刊資料がベースですので、最新の状況とは若干差異があるかもしれません。


さて、この第101無人偵察機隊ですが、陸上自衛隊北部方面隊第1高射特科団の隷下部隊です。当然、上級部隊である第1高射特科団の任務遂行に寄与すべき部隊なのですが、偵察によって高射特科団が必要とする対空情報を収集する部隊ではありません。

装備するチャカRは、地上目標の偵察はできますが、対空目標の捜索は不可能で、無人偵察機隊という名称ではあるものの、実質的な主任務は、偵察ではなく高射特科団の訓練支援になります。


同部隊は、北海道日高地方の静内町にある静内駐屯地に所在しており、静内対空射場などにおいて行われる対空射撃訓練に対して、ターゲットドローンを飛行させ、模擬目標を提供しています。
装備する主な機材は、基本的な構造はチャカRと同一のチャカ3と、チャカ3より速度の低い目標を模擬するためのRCAT(アールキャット)です。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/omoshiro/military-powers_omoshiro-06.htm


同部隊は、静内対空射場において第1高射特科団だけではなく、全国の高射特科部隊に加え、空自の基地防空部隊(以前は海自も)の訓練を支援しています。
また、同じく静内で行われているOH-1のAAM射撃訓練も支援しています。

部隊の名は体を現していないのですが、新島の試験場を除けば、国内でSAMの射撃訓練が実施できる射場が静内しかないこともあり、縁の下の力持ちとして重要な部隊です。

同部隊が支援する静内での射撃訓練には、短SAM(SAM-1、SAM-1C)や携SAM(スティンガー、SAM-2)の他、87AWなどの高射機関砲があり、漁業補償などの関係から、春から秋にかけて、全国の部隊が静内で訓練を行います。


おまけ

これらの訓練が行われる静内対空射場は、海岸沿いを走る国道235号線の海側にあり、ミサイルの射撃訓練という非常に珍しいものでありながら、一般の人が容易に目にすることができるという極めて稀な場所にあります。
(ちなみに山側は静内駐屯地となっています)
対空ミサイルの実射訓練は、例え自衛官であってもめったに目にすることは出来ないため、訓練の際には、多数の見学者が訪れます。
そのレアな機会に、運が良ければ(タイミングが合えば)、距離的にはほとんど変わらない位置にある国道上から、ターゲットドローンの飛翔やミサイルの発射を見ることが出来る訳です。(情報保全上は結構問題ですが)

ミサイルの射撃を見たい!、という人は、国道上で粘ってみると良いかもしれません。
(おまわりさんに職質されても関知しませんので、あしからず)

2008年8月14日 (木)

無人機のみの戦闘航空団出現

F-104が最後の有人戦闘機と言われた時から久しいですが、遂に無人航空機(UAV)による戦闘航空団が出来るそうです。
UAVに関して、自衛隊は諸外国からすると遅れた状態ですので、当然自衛隊の話ではなく、米空軍です。
現在F-16とMQ-9リーパーを運用している第174戦闘航空団(174th Fighter Wing)が、MQ-9のみの航空団に改変されます。

174th Fighter Wingのホームページを見ると、現在F-16戦闘機を使用して参加しているイラクの自由作戦からの帰還後、UAVのみによる航空団に改編される予定のようです。
http://www.174fw.ang.af.mil/

MQ-9リーパーは、偵察機であるRQ-9プレデターBの攻撃機版でジェネラル・アトミックスが製造しています。
フル武装状態でも14時間の滞空性能があり、GBU-12レーザー誘導爆弾やAGM-114ヘルファイア対地ミサイルが搭載出来る他、対空ミサイルのAIM-92スティンガーとGBU-38JDAMの搭載も可能になる予定です。

10084323145
Copyright (c) USAF

写真を見れば一目瞭然ですが、対空ミサイルを搭載したとしても、とても戦闘機として使えるようなUAVではありません。
絶対的な航空優勢が得られた空域で使用され、監視空域の上空に長時間滞空し、捜索を行いつつ、標的が現れた場合に攻撃する任務を負います。イラクやアフガンでのテロリストや武装集団に対する攻撃用ということです。スティンガーも、ほぼ対ヘリ用と考えて良いでしょう。

使用される条件や目的が限られるため、自衛隊が追随すべきものではありませんが、トレンドの一つとして認識しておくべきでしょう。
ただし、米軍でさえ、米海軍が開発中のUAV、X-47UCASの開発計画が、パイロットの反対を受けて頓挫しそうな状況です。自衛隊であればなおのこと強烈な反対が起きることは確実で、偵察目的以外はUAV導入などどうなるものやら・・・

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