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軍事技術

2015年1月17日 (土)

US-2を上回る中国の飛行艇開発を歓迎する

中国は、US-2を上回るとする大型飛行艇開発を進めています。
「世界最大の飛行艇」と中国メディア  「日本に圧力」と伝え続けて1年近く・・・新明和「US-2」を意識」(サーチナ141217)

 日本の新明和工業(本社・兵庫県宝塚市)が開発した飛行艇の「US-2」への対抗心を強く感じる。「中国はこの機(JL-600)によって、日本の飛行艇US-2を一気に抜いて、世界最大の飛行艇製造国になる」などと紹介した。


昨年の年頭には、年内にも初飛行という情報が流れていたのですが、今のところまだ飛行したという情報はありません。以前から2015年の初飛行予定と言われていましたので、恐らく今年中には飛ぶのでしょう。
もっとも、中国のことなので、うまく行かなかった試験については、情報公開しないでしょうから、既に実施して失敗している可能性も……


ニュース中で飛行しているのは、1986年から実戦配備されている水轟五型です。

さて、このJL-600飛行艇ですが、機体が大型で、ペイロードと航続距離でUS-2を上回る性能を目指しているそうです。

それを聞くと、日本としては歓迎できない話に思えるかもしれませんが、恐らく、この機体は、軍事的にも、民間転用したUS-2の海外セールス的にも、ライバルにはならないでしょう。
そうなれば、以前の記事「防衛情報を公開する意義」で書いたように、中国に非効率な軍事支出をさせる結果となるため、日本としては歓迎すべきものと言えます。

何故ライバルとならないかですが、それは情報が全く出てきていない離着水可能波高や離水距離・着水距離が、US-2に遠く及ばないであろうからです。

US-2は、3mを越える波高でも離着水可能ですが、その実現のためには、やっかいな技術であるBLC(境界層制御)等を搭載しています。
が、歴史の浅い中国の航空機開発陣が、同等のものを作ることは困難だと思われます。
となると、離着陸速度は、US-2よりも速く、離着水可能波高はUS-2以下となるでしょう。
その上、機体が大型のためUS-2以上に構造的に不利です。
たとえ、離着陸時の速度が同じであっても、離着水可能波高はUS-2以下となるでしょう。
結果的に、離着水可能波高は相当な性能差がでるでしょう。

そうなれば、この機体は、内陸の湖沼や渤海のような穏やかな海でしか使い物にならないのではないかと思われます。
実際、現行の水轟五型は、渤海と黄海でしか使われていません。
結果、軍事的には大した脅威になりません。

また、JL-600飛行艇は、US-2の民間転用型でも検討されている消防飛行艇型も検討されているようですが、なんとか内陸の大型湖沼を利用して、消防に使用することはできるでしょう。

そうなると、US-2のセールスに影響する可能性がでてくるワケですが、離着陸時の速度が速く、離水・着水距離が長く、大型の湖沼がないと運用できないと思われます。
結果、恐らく使用可能な水域を抱える国は少なく(アフリカの一部くらいか)US-2のセールスにも、大きな影響は出ないと思われます。

恐らく、今頃開発には相当に苦労しているのではないでしょうか。

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2013年10月20日 (日)

水中弾?の研究

技本が何やら面白い研究を行っています。
水中における弾丸の挙動に関する研究

銃弾は、水中に入ると、極めて急速に速度を失い、効力がなくなります。
それは、前掲リンクを見ても分かるでしょうし、警察が銃弾の線条痕を調べるため、銃弾を水槽の水に向けて撃ち、損傷していない銃弾を回収していることからも想像できると思います。

そのため、水中用の銃器としては、水中銃がありますが、技本の研究は、どうやら小銃等から射撃可能な水中弾?の開発を企図しているようです。

もしこれが実用化できれば、恐らく非常に高いコストパフォーマンスを発揮する、有用な銃弾になるでしょう。

海自の基地は言うに及ばず、空自の基地でも、那覇や築城のように、海岸に隣接した基地がありますし、下地島を自衛隊が使う事になれば、周囲の半分以上は海です。

自衛隊が戦力を維持するためには、これらの基地等に対する、水中からのゲリコマの接近に対処する必要があります。
水中からのゲリコマ接近に対しては、センサーやプラットフォームであるUUVは、各国で開発が進んでますが、安価な攻撃手段はなかなかありません。

この水中弾が開発できれば、センサーで発見したゲリコマに対して、陸上から小銃や機関銃で攻撃が可能になります。
これを用いて警備することになれば、水中からのゲリコマの接敵に対する強力な対抗手段となるでしょう。

どこの発案か興味深いですし、是非モノにして欲しいものだと思います。

もし開発できれば、おそらくコピーされる可能性が高いので、特許を取っておけば、海外に対しても売れるかもしれません。

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2013年5月12日 (日)

2波長赤外線センサ_作りたいモノを作るのか、必要なモノを作るのか

作りたいモノを作るのか、それとも必要な、あるいは売れるモノを作るのかと言う議論は、民間ではとうの昔に後者になっています。
言い換えれば、組織(会社)内において、開発が強いのか、あるいは営業(マーケティング)が強いのかという論議です。

民間においては、高度成長期の日本では、開発が大きな力を持ってました。ですが、現在では完全にマーケティングありきです。
なぜなら、開発が作りたいモノを好きに作らせるような余裕はないからです。

ですが、防衛省・自衛隊では、未だに開発ありきで進められることがあります。
2波長赤外線センサは、その良い例です。

2波長赤外線センサが、どんなモノでどんな効果を持つのかは、技本HPのニュースページが詳しく書いてます。
2波長赤外線センサ性能確認試験

これを見るとなかなか優れモノのようです。
ですが、疑問も湧くのです。
”カメラを2台置けばいいだけじゃ
ないのか?”

無理に2波長で撮影できるカメラを作らなくても、別波長に対応した2台のカメラで撮影し、ソフトで処理すれば、同じ事が可能です。
わざわざ大金をかけて技術開発する必要性は乏しいはずです。

ですが、防衛省・自衛隊は開発してしまいました。
だから、逆にこれから需要を作るのです。
平成25年度予算の概要

赤外線センサーの衛星搭載に関する研究
2波長赤外線センサー技術の研究(14頁掲載)で先行研究中の高感度赤外線センサーを宇宙空間において実証する際に、必要なセンサーシステム及び地上設備の仕様等に関する研究を実施


2台の赤外線カメラを使用せず、2波長カメラがあった方がよい環境として、極限まで搭載余力を削りたい衛星に標的を定めたようです。

しかし、赤外線カメラだって日進月歩で小型化していますし、2台積めば、片方が壊れても、もう片方は作動できますし、例え衛星でも、2波長センサを搭載する必要性は極めて疑問です。

そもそも、私は日本独自のミサイル警戒衛星の配備には反対です。
日本独自の早期警戒衛星は不要だ!

アメリカのSTSSに何らかの形で乗っかることが適切だと思いますが、防衛省は技本に振り回されているようです。

この2波長センサが、次期STSS用としてアメリカが買いたくなるほどのモノであれば、話は変わってきますが、そこまで革新的なものを、早期警戒衛星を作った経験が全く無い日本が目指すのは無謀でしょう。
衛星搭載の赤外線機器としては、情報収集衛星のセンサがありますが、早期警戒とは用途が全く異なります。

技術者が作りたいモノを作り、需要を後から作るような事は、もう止めるべきです。

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2013年3月31日 (日)

レーダーとオシントについて補足

前回の記事で、詳しくはググれと書いたのですが、ふと思い立って図を描いてみると、思いのほか、うまくかけたので、前回記事の補足を書きます。

前回記事をご覧になっていない方は、先にそちらをご覧下さい。

まず、フェイズドアレイレーダーがビームを形成する原理は、波の合成による干渉です。
こちらのサイトが割と分かりやすかったです。
重ね合わせの原理、波の干渉

原理を理解するための一番簡単なモデルとしては、レーダーの素子(アレイ)が2個の場合ですが、これは前記HPの2波干渉の場合に当たります。
Photo_8
前記HPより(レーダーの場合、素子は平面状に配置されるため、図は半分だけ表示)

レーダーの場合、図中央の赤い腹線は、ペンシルビームとして形成するメインローブの部分、左右の腹線は、レーダーとしては余分なサイドローブの部分です。
逆に青の節線となっている部分は、原理上2波の合成により、電波がゼロとなっている部分です。

そして、実際にはこのアレイ部分を増やすことによって、メインローブはより強い電波を発し、サイドローブは複数のアレイからの電波放射によって、消して行きます。

これを視覚的に理解してもらうため、簡単な図を描きました。

まず、アレイが1個の場合
Photo_9
青い線は、前掲図の青い線と同じだと考えて下さい。赤い線は、書いていません。

アレイが2個だとこうなります。
Photo_10
が、これでは良く分からないでしょう。

アレイが3個(3波干渉)だとこうなります。
Photo_11
少し離れて見て頂くと良く分かりますが、この図では、アレイが1個の場合と同程度に、線と線の間隔が空いている部分が、電波が合成により強められビームとなっている部分。
逆に、線と線が接近し、塗りつぶされたような状態になっている部分は、電波が相互に弱め合い、電波が消えている部分です。
まだ、メインローブの他に、左右にサイドローブが見えます。

アレイが5個(5波干渉)だと、更に綺麗になります。
Photo_12
このように、アレイ数を増やして行けば、効果的にサイドローブを消すことができるのですが、簡略化した図でこれ以上アレイを増やしても、潰れてしまって良く分からないので、ここまでで止めておきます。

なお、この図で行くとメインローブの左右90°方向にも強い電波が出てしまっている事になりますが、これは図を単純化するために、青一色で描いてしまっているためです。
(これが理屈として分かる方は、この図のアレイ間隔が、実はウソだと気付くかと思いますが、説明のための方便とパワポによる作図の限界だとご理解下さい。イラレを使って透過とグラデーションを使って書けば、更にいい図が書けそうだとは思うものの、そこまでの技量はないです……)

次に、前の記事で、アレイの間隔が、周波数と関係すると書いた事を説明しましょう。
アレイが5個の場合で、先ほどの図よりもアレイ間隔を狭めてみるとこんな感じになります。
Photo_13
うまく干渉が発生せず、ビームを絞り切れていないことが分かるでしょう。

逆に、アレイ間隔を広げるとこうなります。
Photo_14
今度は、ペンシルビームとしたいメインローブの部分まで、電界強度が落ちてしまっている事が分かると思います。

ここまで書けば、物理をちゃんとやった方ならば、アレイ間隔と周波数(波長)の関係は、簡単に数式化できるはずですが、これは書かずにクイズとしておきます。
なお、アレイの大きさは、アレイ一つ一つがアンテナであることを考えれば、これも大きさは分かるはずです。
考えて見て下さい。

ですので、前回記事に書いたような写真によるオープンソースインテリジェンス(オシント)においては、周波数やビームの幅などは、実は非常に簡単に分かってしまう情報なのです。

写真が公開されていないレーダーアレイ面などを見る機会に恵まれた方は、安易に大きさ等を喋ったり、公開したりしないで下さい。
プロがその情報に接すれば、相当の性能が推測できます。

なお、これは、同じ原理を使用している(アクティブ)ソナーにも言えることです。

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2013年3月28日 (木)

レーダーのビーム幅とオシント

ちょっと気になって技術的な話題を。
(この記事では、フェイズドアレイレーダーを前提として書きます。)
ミサイルディフェンスに関連して、誤解されている情報の一つに、「弾道ミサイル探知の為には、レーダービームの幅を絞る」とされる情報があります。

この手の話は時々耳にするので、どこかに有力なソースがあったのだと思いますが、それは分かりません。

ただ、これが誤解であることは、高校の物理を学んだ人なら、考えれば分かることです。

フェイズドアレイレーダーは、平面状に並べた素子が、それぞれに位相を調整された電波の発信を行なうことで、レーダービームの発信方向を調節します。
詳しい理論は、めんどいので省きます。
勉強したい方は、フェイズドアレイレーダーやホイヘンス=フレネルの原理でもググッて下さい。

結論だけ書くと、レーダーのビーム幅は、使用する周波数と、使用されている素子の間隔によって決まります。
なので、例えばこんな写真を見れば、そのレーダーのビーム幅はだいたい分かってしまうのです。(車体サイズ等から素子間隔等を推測する)
Pac3
PAC-3用レーダーのアレイ(素子)面拡大写真

SPY-1レーダーなどは、表面にカバーがあるため、写真だけでは素子数が分かりません。

しかし、レーダー面の大きさは写真から分かってしまいます。
それに加えて、素子の大きさは、周波数とも関係するため、使用する電波の周波数が分かれば、素子の大きさは自ずとある程度分かります。
素子とレーダー面の大きさが分かれば、個数も自ずと分かってしまいます。

そのため、写真や周波数帯など、簡単に分かってしまう情報は必ずしも秘匿されません。
そして、そこから推定されるビーム幅も、理論的に判明してしまうため、必ずしも秘匿されません。

wikipediaのSPY-1レーダーの項目には、多田智彦氏と野木恵一氏が世界の艦船氏に書いた記事の情報が転載されていますが、周波数帯、素子数、レーダーのサイズ、ビーム幅等が乗っています。
そこでは、SPY-1のビーム幅は幅1.7度のペンシル・ビームとされています。

これは、レーダーの原理上の限界であり、弾道ミサイル探知だからと言ってビームを絞ることができる訳ではありません。

そして、これらは、レーダーの写真と周波数が分かれば、オシントの手法により判明してしまう事実なのです。

さらに、軍事情報の現場においては、これにシギントの情報が加わります。
SPY-1レーダーがSバンドとは言っても、そのバンド帯の中でどの辺りが使われているのか、そうなれば素子の大きさやビーム幅の詳細がどの程度なのか等、米軍が公開している以上の情報が分かるのです。

ちなみに、弾道ミサイル探知の為に絞る必要性があるのは、ビーム幅ではなく捜索範囲です。(この辺りは、また気が向いたら書きます)

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2012年11月24日 (土)

アイアンドームの性能を実射画像から推定

ガザ地区からイスラエルに多数のロケット弾攻撃が行われ、IAFがアイアンドームによる迎撃を行っています。

今回、多数の動画が撮影されユーチューブにアップされているので、これらの画像を元に、アイアンドームの性能を推測してみたいと思います。

最も基礎的なデータが取れたのがアシュドットでの交戦画像です。

発射の瞬間から着弾まで、カットなしに映っています。

画像を手計測で測定したデータですが、発射からロケットモーターの燃焼完了まで17.1sec、発射からインパクトまで18.1
sec、インパクトから爆発音が聞えるまで22.4secでした。

発射地点のかなり近くから撮影されているため、爆発音の遅延時間から、アイアンドームが飛翔した直線距離を求めることができます。
22.4sec×340.29m=7622mとなり、これを発射からインパクトまでの飛翔時間で割ると平均速度が出ます。
7622/18.1=421.1m/sec(マック1.24)となりました。
かなり遅い速度となりましたが、ほぼ同じサイズのミサイルを使用する短SAMが、最大でマック2.4であるのに対して、燃焼時間がわずか5.5sec(by wiki)とされていることを考えれば、基本的に目標が弾道軌道
であり、空中での機動の必要性が低いため、弾体を低速度とすることで、飛翔の効率を高め、長射程化を狙ったのだろうと思われます。
また、他の画像を見ても、飛翔速度は、地対空ミサイルとしてはかなり遅めに見えます。

性能面で問題なのは、やはり射程です。
アシュドットの画像では、直線距離で7622mしか飛翔していません。
これでは、アイアンドームの防護範囲とされる150平方キロは到底守れそうにありません。

しかし、他の画像では、ロケットモーターの燃焼完了からかなりの時間が経過した後にインパクトしている画像がありました。

テルアビブでの交戦状況です。
発射の瞬間が分かりませんが、燃焼終了からインパクトまでの時間が8.47secであることが計測できたので、アシュドットでのモーター燃焼時間と合せ、25.87sec飛翔していたことになり、平均秒速421.1とすると直線距離にして10894m飛翔できる
とになります。

燃焼終了後は速度低下していることを考えれば、実際の飛翔距離はもう少し少ないでしょう。
その一方で、そもそも低高度用のシステムですし、前述のようにアイアンドームの飛翔速度自体が遅いので、PAC-3のように低高度だと射程が短くなることも少ないと思われます。
参考過去記事「PAC-3の射程とフットプリントの関係

とすれば、アイアンドームの射程と防護範囲は、高射隊位置から11km程であると思われます。
PAC-3とアイアンドームではフットプリントも形状が違うでしょうが、仮にPAC-3のフットプリントに当てはめるとこんな感じです。
Ws000206
このフットプリントを、正方形にすれば、概ね1辺12~13kmというところでしょう。
すると、面積は144~169平方kmとなり、150平方kmと言われるアイアンドームによる防護範囲と合致します。

データの整合が取れたので、今回の動画からの解析は、概ね正しそうです。
解析したスペック結果をまとめると、次の通りです。
 ・射程:約11km(後方にも防護範囲あり)
 ・ミサイル飛翔速度:平均でマック1.2(最大1.4程度か)

なお、このスペック(防護範囲)を小さすぎると感じる人も多いと思います。
ですが、イスラエルの状況を考えれば、十分なスペックです。

イスラエルの各街は、市街地が小さいので、この程度あれば十分だからです。
ガザに近い南部のアシュケロン、アシュドットやベールシェバ、レバノンに近い北部のアッコやナザレは、市街地の長辺が10kmもありません。
アイアンドーム1個高射隊で不安なのは、ハイファとテルアビブくらいでしょう。

これ以上の性能を求めると、無駄に費用がかかるだけです。
適切な要求性能に確実に答えたということだと思います。

バトルプルーブンになったことで、評価はうなぎ登り
になっていると思われます
韓国当たりは、本気で買うかもしれません。

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2012年7月 9日 (月)

三菱電機の低騒音化プロペラファンは軍事技術の応用?

先頃防衛省から取引停止処分も受けた三菱電機が、低騒音化したファンの宣伝を盛んに行なっています。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/me/ad/newspaper/pdf/kaeru_201205_01.pdf

C4_mainvisual_01
ちょっと格好良いファンです。
このファンの開発には、2つの技術が使われたとのこと。
・ファンが回ることによって発生する「気流」を視覚化する「流体シミュレーション」
・複数のマイクを使って「音」を測り、視覚化する「音響ホログラフィ法」

違っていたら、三菱電機の技術者に怒られそうですが、これらの開発手法(技術)がこのファンの開発のために作られた……とは考え難い気がします。

水と空気という、扱う流体の性状は違っても、開発手法は応用できるはず。
これって三菱グループが、潜水艦等のスクリュー開発で作られた技術なんじゃないか、と思えるのです。

スクリュー自体の技術を一般販売される商品に応用したら、防衛省との契約違反になるでしょうが、その開発手法を、水以外の流体を対象とするファンに応用しても、契約違反にはならない……のではないか。

そう言う意味において、このファンは軍事技術の応用なのではないか、と思えます。

「だとしたら、けしからん!」
とは思いません。
防衛費が縮小する中、軍事技術を応用することで、防衛に害が及ばない範囲で、防衛産業が儲けてくれれば、これに越したことはないでしょう。

弾道計算のためにコンピューターが作られたり、ネットワーク化のためにインターネットの仕組みが作られたりと、軍事がスタートだった技術は、数多くあります。

日本の場合、「軍事技術の応用です」というのはセールストークには成り得ないでしょうが、防衛省の後押ししてやるべきなのではないでしょうか。
これが、そうしたことがこっそりと行なわれた結果なら、歓迎したいと思います。

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2012年2月11日 (土)

在イラク米国大使館がUAVを使用

アメリカ国務省が、イラクで外交官の外出時の警護用としてUAVを使用しているそうです。

米、在イラク大使館警備に小型無人機配備」(読売新聞12年1月31日)

機種が分かりませんが、全長で数十センチ程度で非武装とのことですし、ニューヨークタイムズにはヘリコプターだとする報道もあるので、恐らくRQ-16(T-Hawk)だと思われます。

飛行可能時間が40分とのことなので、これで足りるのか?、とも思いましたが、よく考えてみれば、燃料が切れる前に着地させて燃料補給を行えばいいだけですね。
車両に随伴させて、広範囲を監視するためには非常に都合の良い、運用の利便性が高いUAVなんでしょう。

イラクが主権侵害(領空侵犯?)だと抗議しているみたいですが、(国際)法的には微妙な所のような気がします。

穿ちすぎなのかもしれませんが、もしかするとこんな記事が載ったのは、製造元のハネウェルが、日本にT-Hawkを売りたがっているのかも知れません。報道官が会見で話したとは言え、日本で新聞に載せるほどの話題かどうかは疑問です。
福島原発でも使用されました。途中でコケたのでアヤが付きましたが……

同社は、日本にも法人を置いており、防衛宇宙部門のパンフレットにも、ばっちりT-Hawkが載っています。

確かに、VIPの警護用とかで使えそうですし、自衛隊でも基地警備用とかに有用そうです。

しかし、これが売り込みに来たのだとしたら、バトルプルーブンの実証付きってことになるのでしょうから、技本の球形飛行体は、早急に実用化しないと、芽が出せなくなるでしょうね。

2011年10月26日 (水)

飛行球体が話題に

デジタルコンテンツEXPO2011で公開された、技本開発の飛行球体が結構話題になってます。

水平、垂直方向へ自在に飛ぶ球体…空中停止も」(読売新聞11年10月21日)

ブログや掲示板でも、注目を集めているようです。

これって、昨年の技本の防衛技術シンポジウム2010で公開されたモノですね。
技本「防衛技術シンポ」 将来ビジョンが目白押し 初の「球形飛行体」も登場」(朝雲新聞2010年11月11日)
朝雲の記事を見て、技本もキワモノを作るな~と思っていたのですが、回転翼の偵察用小型UAVは、以前からあり、それほど新規性は感じずに記事にはしませんでした。
ちなみに、こんなピンバッジも持ってました。(例によって入手経路は忘れました)
Img_4136

今回注目を集めたのは、現物の飛行性能が、想像以上に良かったためではないでしょうか。
デジタルコンテンツEXPO2011での映像が、ニコニコ動画にUPされていたので見てみると、ラジコンヘリなんて問題にならない安定性と操作性に、ちょっと驚きました。


これなら、もちろん本来の目的である偵察に使えそうですし、ガレキに埋め尽くされた災害現場にも、ちょっとの隙間があれば入って行けそうです。(ドアは開けられないでしょうけど)

転がって地上移動もできるってところがウリのようです。
試作機の制作費(材料費)が11万円だそうなので、実用に耐えるモノを作っても、大したコストをかけずに作れそうです。

それにしても、ACIESにも防衛省ガンダムと銘打つなど、技本の研究者には、ガンダムの影響を受けた人が多そうですね。
この球体飛行体も、公開されている資料「まあるい未来型飛行物体」を見ると、運用イメージ図の水平飛行時の形態や転がって移動というコンセプトは、まんまハロです。
Ws000000

「俺はガンダムを作る、お前はハロを作れ」とかやってるんだろうか。

2010年2月11日 (木)

ライダーは対ステルスセンサーになる?

宇宙航空研究開発機構が、晴天乱流を検知するシステムの開発を、米ボーイング社と共同で行うことが発表されました。
晴天時の乱気流検知、米と共同開発へ」(読売新聞10年2月3日)

どうやってやるつもりなんだ?
と思ったのですが、電波の代わりにレーザーを使用するレーザーレーダー、「ライダー(LIDAR)」を利用するシステムだということです。

このシステムは、空中の水滴やちりなどに当たって反射してくる光をとらえて、晴天乱流を検知するとのことですが、ライダーはレーダーに比べ波長が短いため、こういった事に向いているものです。
学術用途以外は、どこまで実用になるのかと思っていましたが、ここまで話が進んでいるとなると大分実用的なものになりそうです。

晴天乱流の検知ができるとなれば、航空安全上すばらしい事なのですが、今回の記事を見て思った一つことがあります。

それは、晴天乱流を検知できるレベルであれば、航空機の飛行によって乱される空気の動きも検知できるのではないか。
とすれば、ライダーを使ってステルス機の検知もできそうな気がします。

ライダーによってステルス機を直接捜索することに関しては、レーザーが電波と同じ電磁波であり、機体表面で正規反射されれば、機体表面の工夫だけで電波用の4ローブのRCSパターンを活用されてしまうでしょうが、エアロゾル利用の技術なら、簡単には回避できるとは思えません。

もっとも、アクティブ捜索をする時点で逆にこちらが見つかりそうですが……
今のところ、15km程度の捜索範囲しかないようですし。

まだまだ発展途上の技術なので、ライダーでの対ステルスを語るのは鬼でなくても笑いそうな話ですが、可能性としては面白そうな気がします。

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