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2016年11月10日 (木)

日米同盟の信頼性低下_安保政策の転換は不可避

悪夢としか言いようがない。トランプ氏が勝ってしまった。

安保・外交関係者は、実際に大統領となったトランプの出方が読めず、戸惑っているとも報じられています。

しかし、現状と比較した場合の方向性としては明らかです。
もし仮に、大統領となったトランプ氏が、「日米同盟は重要だ」などと発言したとしても、実際の日本有事に、最高指揮官である大統領が、日本防衛のために米軍を動かす可能性は、他の誰が大統領であった場合よりも、明らかに低下しました。

トランプ氏が大統領となることで、日米同盟の信頼性が低下することは間違いないのです。

確かに、トランプ大統領が、どこまで日米同盟を形骸化させるかは、今の時点では言えません。
ですが、彼が今後同発言しようと、信頼に足る人物かという点に置いても怪しいと思えます。この点を鑑みても、日本が日米同盟が今後も機能するということを前提に安保政策を考えることは危険すぎると言えます。

尖閣の危機が顕在化した時に、トランプ大統領が、日中どちらに肩入れするか想像してみたらいいでしょう。
今や、経済的にアメリカにとって重要なのは日本よりも中国です。トランプ大統領が、日米同盟に基づいて行動するとは考え難い。

日本の安全保障政策は、戦後一貫して日米同盟を基軸に構築されてきました。
しかし、トランプ氏が大統領となることで、日米同盟をあてにして安保政策を組むことは、勝率の低い大穴に賭けるような危険な行為となります。

私は、一貫して、日米同盟を基軸に安保政策を構築するべきであり、独自防衛は、経済的にも望ましく無いと主張してきました。
しかし、トランプ氏が大統領となる以上、どこまでという問題はありますが、方向としては、独自防衛の方向に舵を切らざるを得ません。

核についても、日本は核を保有せず、米国の核の傘の下に留まることが適切だと主張してきました。
しかし、トランプ氏が大統領となる以上、米国の核の傘は当てになりません。
日本も、核を保有するしかないでしょう。

日中での紛争が起こった際、台湾海峡危機の時のように、中国が東京湾にミサイルを打ち込めば、日本が核を持っていなければ、引き下がるしかなくなります。

独自防衛も、核の保有も、経済への影響などを考慮すれば、決して望ましい道ではないでしょう。
ですが、日米安保が当てにならない以上、仕方ない選択肢です。


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安全保障・外交」カテゴリの記事

コメント

数多先生の次回作にも、影響が出そうですね(笑)

またずいぶん自虐的に考えてらっしゃる。

>今や、経済的にアメリカにとって重要なのは日本よりも中国です
しかしトランプ自身、中国を為替操作国に認定するとか言ってますね。
それはつまり中国に肩入れすることはないということです。

中国を為替操作国に認定する事自体、中国の動向が米国経済にとって極めて重要なファクターであることの証左ではないでしょうか?

自分は、トランプ大統領が日米同盟を揺るがすことで、むしろ日米同盟の妥当性や有用性が広く認識された上で、感情論やイデオロギーに拘束されない国防に関する根本的な議論が巻き起こるかも、なんてポジティブに考えてます…が

お初にお目にかかります。とりあえず某所で使用しているHNを暫定的にこちらで使用させていただきたく…。

大統領個人よりも議会の問題もあると思います。オバマ時代でも議会がどこまで日本の肩を持つかは未知数な面もありましたし、逆に大統領の「暴走」を止めるブレーキにもなるかもとは思っています。日米安保体制の堅持を図るのであれば、やはりアメリカが有事に展開する拠点として、米軍が自衛隊と共有使用している基地は現体制下でも十分アメリカにとって有意義だということを外交ルートを通じて説くべきでしょうね。仮に今後、再びアメリカが国益の必要性からアジアへのプレゼンスを強化する場合、横須賀や佐世保などに相当する拠点を構築するにはどの程度かかるのか?とか。
後は、日米安保に限らず、NATOなんかもアメリカ軍の突出した海外展開能力ゆえ、有事にはアメリカが助けてくれる前提で出来た同盟であって、アメリカがそれらを露骨に反故にする姿勢が見えれば、日本のみならず多くの中小同盟国の鞍替えを招き、より一層アメリカの国益を損なう可能性があるよ、と言ってみるのもありでしょうか。


日中の武力衝突が係争地域で起きた場合は、トランプ以前であってもアメリカが日本の領有権を認めるとは思ってなかったですね。つまり、安保にのっとって武力行使はする、尖閣諸島周囲に中国の空海兵力が展開できなくなった頃合に日中両政府に仲介をもちかける…「領有権の確定は外交交渉で行うべきであって、施政権及び領有権の主張を武力行使で変更する行為をアメリカは支持しない」という声明でもだして、係争地状態のまま停戦させるのが一番あり得るシナリオかなと素人ながら考えていました。

今の国内世論だと、仮に在日アメリカ軍が全面撤退しても
憲法9条に執着しそうです。

最悪の事態には違いないでしょうが、議会や軍人の方々もいますし、ギリギリ踏みとどまってくれるかもっていうのは、甘いですかね?

新大統領が、具体的にどうでるか?によるでしょう。

安保廃棄とか大幅な条文修正(実質米国の日本防衛義務をなくすような)
となれば、当然日本の外交・安保政策は根本から変える必要がある。

逆に、そういう動きさえなければ、ふきのとう氏が指摘されているように、
実質的には以前とほぼ変わらないということになるでしょう。
(無論、尖閣は安保の対象エリアか否かなどの問いには、明確な回答を
しなくなるなどの違いは出るでしょうけど。それにしたって、オバマより前の
大統領が全員明確にしていた訳でもないし。)

おばんでやす

自分の国は己が血を以て護るもの。存在なんてしない「平和を愛する諸国民~」とやらを勝手に信じ込んで、自国の防衛を真剣に怠けてきた多数の愚民の目を覚ますのには、トランプは正にうってつけなのでは?
それに民主党政権時代は、鳩山の「低でも県外」詐欺で、日米同盟を破綻寸前まで追い込みましたからねぇ…民主党には残念ながら、完全に破綻まで持ち込めませんでしたが…

しやもしん 様
思いっきり、影響が出ましたね。
クリントンが勝つだろと思ってましたから……

でも、なんとかしました。

ナオ 様
その後の対中姿勢を見ていると、確かに中国接近はなさそうですね。

ただし、私は今でもトランプは、信頼に足る人物とは思っていません。
日本としても、トランプとは距離を置くべきだと思っています。

イダテング 様
アメリカにとっての、不沈空母『日本』の役割が、いろんな意味で、認識されるようになるかもしれませんね。

ふきのとう 様
確かに、議会は、一人しか選ばれない大統領と比べて、多様なアメリカ人の考えを反映して、多様な方がいますね。
それだけに、当てにできない側面と、そう悪くはしないだろうと読める側面があると思います。

わたしも、アメリカの姿勢に関しては、以前から懐疑的です。
ある意味、トランプは日本人にもいい刺激かもしれません。

メリッサ 様
さすがに9条派が、多数を占める可能性は、もう無いと思いますが、メディアは問題ですね。

紅茶党 様
問題は、何か起こった時に、大統領の権限が、日本の総理と比べても非情に強いことです。
アメリカ人の多くは、まともですが、まともで無い人に権限を与えてしまいました。

myu5 様
どうでたところで、信用できない人物であれば、その言動を信じて行動するわけにはいきません。

平時の懸案では、それほど極端な事は言ってこないと思います。
問題は、事が起こったときですね。

土方 様
確かに、刺激になってくれるでしょうね。
保守化が進む、若年層には特に影響が大きいかもしれません。

団塊の世代以上は、どうせだめですし。

トランプ政権が成立してからしばらく経ちましたが、トランプ大統領自身は狂人というよりは案外「直情的な気のいいおっちゃん」みたいな部分があるようにも感じられます。「雇用が減った」という話を聞けば、「許せん!」と息巻くと同時に、そういう現実に手を打てない政治に「俺だったらもっと抜本的なことする」という床屋政談をするような。だからこそ、自分の言っている事の持つ影響力が、大統領になるまではいまひとつピンと来ていなかった、のかもしれないですね。なので、彼が日米問題について過激な発言をまたするとしても、我々はそれに過敏に反応することのないよう努めれば、日米関係はそこまで悪化することはないようにも感じます(言い方は悪いですが、くだをまく酔っ払い相手に話を聞くときのように、言質をとられないレベルで相槌を打ちながら受け流すような態度を取るべきでしょうか)。ただ経済問題に関しては対米譲歩を迫られる可能性があるので、日米繊維協定とか日米半導体協定みたいな二国間の取り決めを新たに作らされるというのはありえそうです。トランプ大統領がアメリカ産業のどのあたりを気にしているかというのがミソになりそうですが、自動車と鉄鋼あたりがまず個人的には危険に思います。

さて、エントリーが投稿されてからだいぶ経ち後知恵になるのを承知で伺いたいのですが、単独防衛と核武装は検討にはいまだ価しないのではないでしょうか(失礼を承知で申し上げますと、トランプ大統領誕生の衝撃で少々筆が滑ってしまわれたのかとも思います)。日米安保を基軸とした日本の安全保障は、少なくとも短期的(個人的には10年未満)には変えるべきではないと思います。核武装にしても、MADによる抑止は、相手が冷静でないと通用しないという面もあり、現行のMD路線に比べて優れているとも思えません。弾道ミサイル迎撃技術が無い時代なら「撃たれたら打つ手なし」なのは仕方ないものの、現代であれば、MADに向けて自前で核投射能力を一から開発するよりは、このままMDを進めていく方が良いと思います。

ふきのとう 様
トランプ大統領に対しては、私は気の良いおっちゃんだとは思っていません。
計算高い、悪質なビジネスマンだというのが評価です。

ですので、日米関係についても、ちゃんと折り合いは付けられると思っています。

単独防衛と核武装の”検討”はすべきだと今でも思っています。
それは、トランプ大統領がビジネスマンだからです。

彼は、在日米軍基地の価値を理解していません。
日本が、単独防衛と核武装の”検討”を行い、本当に在日米軍基地を失う可能性を認識させ、それが防衛関係者にどれだけ衝撃を与えることなのか、理解させる必要があるからです。

実際に、単独防衛に移行することを狙っての検討ではありません。
トランプ大統領に対しては、これで十分だと思っています。

今後、もっと悪化する可能性もありますが。

失礼な事を申し上げた後ろめたさもあり、書き込みが遅れましたが
トランプ大統領および核武装に対しての見解と、その理由をお答えいただいてありがとうございます。私が危惧していた点は、「単独防衛と核武装の”検討”」が却ってトランプ大統領に「日本はアメリカと袂を分かった」という誤ったメッセージとして受け取られるリスクがあるのではないか、という点だったのですが、防衛の現場にいらした数多さんがそうお考えになるとすると、日本のメッセージが「正確に」アメリカに伝わる可能性を私が過小評価していただけかもしれません。マティス氏の姿勢は日米安保を初めとする既存の安全保障体制を維持していくような感触を受けましたので、その点も日米安保維持派には心強い要素でしょうね。

ふきのとう 様

お気になさらず。

この記事からだいぶ時間が経過し、北朝鮮情勢が緊迫したことで、既にトランプ大統領は、在日米軍基地が、アメリカのアジア戦略において、いかに重要な拠点であるのか、理解したと思います。

それもあって、現在は日本の負担が足りないなど、おくびにも出さないようになりました。

この点では、日本は金正恩に感謝すべきかもしれません。

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