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2016年6月23日 (木)

成功した?_ムスダンの飛翔をシミュレーションしてみた

22日に発射された北朝鮮の中距離弾道ミサイルムスダン、2発の内1発は成功したとの見方が報道されています。

焦点:高度1000キロ超えた北朝鮮ミサイル、「発射成功」の見方強まる」(ロイター20160622)

中谷元防衛相は同日午後の会見で「中距離弾道ミサイルとしての一定の機能が示された」とだけ述べ、発射の成否については明言を避けた。

しかし、防衛省関係者は「あれほど角度をつけずに打ち上げず、普通に発射していれば、われわれが見積もっている距離を飛んだ可能性がある」と話す。


2発目に発射されたムスダンは、約400キロを飛んで日本海に落下し、最大射高は、1000キロを超える高度に達していたとのことです。

しかし、こんな数字だけ報道されても、良く分からないでしょう。
そのため、ムスダンの飛翔をシミュレーションしてみました。

防衛省はムスダンの射距離を2500キロ─4000キロと推定し、主目標をグアムだと推定していると報じられています。

つまり、今回発射されたムスダンが、もし仮に、適正な角度で発射されたとした場合、射距離が2500キロを超えていれば、一応成功、グアムまで飛翔可能だったなら、大成功と言えるはずです。

報じられているデータは、飛距離と射高だけなので、他は適当なパラメーターを入れて計算します。
ただし、飛距離は約400キロとされており、ほぼ分かっていますが、射高は1000キロ以上とされているため、1000キロなのか1999キロなのか分かりません。

そのため、射高も1000キロを辛うじて超えた程度だったと仮定します。
その際の飛翔経路は、こんな感じでした。
4001000

すごい角度ですね。
発射角は、83.5°というシミュレーション結果です。

このミサイルを、概ね最大飛距離になる発射角45°で発射すると、こうなります。
400100045

この時、飛距離は2040キロとなりました。
つまり、射高が辛うじて1000キロを超える高さだったとすれば、一応の成功にもう一歩だったということになります。逆に、報じられているとおりに、防衛省関係者が発言したのであれば、今回、1000キロを十分に超える高度まで飛翔していたと思われます。

では、大成功ラインのグアム到達ができる性能だったのか、検討してみます。
ウォンサン-グアム間の距離は約3350キロです。
最大射程で、この距離を飛翔するミサイルは、次のような飛翔経路となります。
335045

ちなみに、この時の最大射高は約970キロです。

このミサイルを、距離400キロしか飛ばないところまで発射角度を上げます。
3350857

発射角度は85.7°となり、最大射高は、約1700キロとなりました。

恐らく、これ以上の詳しいデータは公開されないと思いますが、1000キロ以上と報じられた射高が、1700キロ程度であったならば、ムスダンは既にグアムに到達する性能を持っていることになります。

……ですが、ミサイルが本当に脅威かどうかは、目標の距離に到達できるかどうかだけではありません。
十分なペイロードがあり、威力のある弾頭を投射できなければ、高架上からトラックが落ちてきたのと大差ないのです。

実は、このシミュレーションも、手抜きなので、実はペイロードをいじっただけなのです。つまり、積み荷を軽くしたら、射高1000キロだったミサイルが、1700キロまで上がり、グアムまで飛べる性能が出たというシミュレーションなのです。

なので、実は今回の発射が、空荷、つまり弾頭なしでの飛翔だったのであれば、まだ脅威ではないことになります。
ですが、これを判断することは非常に困難です。

自衛隊や米軍は、今回の発射と落下の際の詳細なレーダーデータを、これから解析するでしょう。
そして、特に落下時の大気圏内突入後の減速状況とミサイルの外形からシミュレーションされる空気抵抗で、落下時のミサイルの総重量をシミュレーションします。
そして、北朝鮮の技術レベルで、ミサイル本体の重量を推定することで、ペイロードがどの程度だったのか分析するでしょう。

そのデータ。
興味は尽きませんが、もちろん、公開されることはないでしょう。

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コメント

小型化が進むと、潜水艦搭載とかになって、厄介です。

人民に大量の餓死者が出ているのによく頑張りますねぇ
一体どこにそんな開発資金があるのかしら?

自称1400kmのようですね。
ttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160623/k10010567581000.html

しやもしん 様
そうですね。
ムスダン自体、ベースは潜水艦搭載ミサイルですから、転用、あるいは共用は、考えているでしょう。

タヌキ 様
日本からの献金とか、中国を経由した規制迂回で、北朝鮮企業に製造を発注している日本企業がいるからでしょうね。
つい最近も、ニュースになっていました。

G線上のもやし 様
”自称”のところがミソですね。
ですが、実際に1400kmまで上昇したのなら、防衛省が見込んでいた性能は、十分にあったことを実証したことになりますね。

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