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« 韓国イージスは、欠陥艦か?! | トップページ | 『正論』6月号に、元海将による『深淵の覇者』紹介が掲載! »

2016年4月 5日 (火)

創作通信_その11_次回作プロット

『深淵の覇者』刊行からはや4ヶ月が経とうとしていますが、やっとのことで、次回作のプロット素案が出来ました。

ここから、出版社と相談、取材、プロットの練り直しをした上で、執筆に入るので、次回作をお届けできるのは、やはり大分先になりそうです。

私自身としても、今回、ここまでプロットで苦労するとは思っていませんでした。

苦労した理由は、3作目だからではなく、ミリタリー考証をいい加減にしないという私の執筆姿勢と、空、海と書いてきたので、次は陸とした点にあります。

小説に限らずですが、日本のエンターテイメント作品は、ミリタリー考証がなってない、どころか、それこそ”酷い”と言える作品が、非常に多い状況です。

エンターテイメントですし、創作作品なんですから、完璧にする必要性はないと思います。
私の作品にしても、現実には存在していない兵器も登場させています。
ですが、その際も技術的には可能で、軍事的に意義のあるものを登場させてきました。

ところが、日本のエンターテイメント業界を見ると、技術的どころか物理的に不可能な兵器が登場したり、軍事的に意義がない組織が無双だったりと、へんな作品が非常に多いのです。

そこまで拘らず、ミリタリー考証を緩くすれば、創作(物語として面白くする)事は容易になります。

ですが、それをするなら、私より面白い作品を書ける方はいくらいでもいらっしゃいます。
つまり、ミリタリー考証をいい加減にしない点にこそ、私が小説を書く意義があると思っています。
それも、明日起きてもおかしくない、ごくごく近未来を描く意義があるはずなのです。

そうした条件の中で、陸自を描く事が、大変でした。

前作『深淵の覇者』で、潜水艦を扱ったのは、ネットワーク化された現代の戦闘においても、極めて単艦での行動が多いのが潜水艦だったからです。
なぜ、そうしたかと言う理由は、物語を作る時、やはり特定の個人(主人公)に描写を集中させ、感情移入させる必要があるからです。

ネットワーク化され、ガチガチに指揮統制された戦闘では、それこそ統合幕僚長あたりを主人公にしないと、個人の葛藤や焦燥がドラマになりません。
ですが、幕僚長を主人公としても、やはり多くの方々からすると、自分とはかけ離れすぎているし、そもそもジジイを主人公にしても映えません。

半沢直樹が流行るのも、彼を、ビジネスマンである自分に重ねられる人が多いからです。

話しが、統幕長にまで飛んでしまいましたが、この主人公が独自の思考で動けるという点において、陸自は厳しいのです。

陸上戦闘においては、それこそ古代から陣形が重要であったように、他のユニットとの連携が非常に重要です。
個々の能力、判断よりも、他のユニットとどれだけ連携がとれるかが重要なのです。

陸海空の組織間において、階級が絶対的で、独断を許容しないという点で、陸自がダントツになるのも、同じ理由です。

しかし、そうなると、物語の主人公としては、はなはだ面白くありません。
もちろん、私がココで書いたような事を、肌感覚で分かっている方、例えば陸自OBだったりする方にとっては、そうしたガチガチに指揮統制された中でのドラマも、面白いものだと分かるでしょう。

でも、それが分かる人は、極レアなのです。

と、言う訳で、映画だったりすると、ランボーのようなスーパーマンが主人公になるわけですが、私は、あれを描きたくはないのです。

結果、手足を縛られた状態で、創作をしなければならなかったため、苦労していた次第です。
ですが、それなりに面白いものは書けそうです。

まだまだ、苦労しなければならないはずですが、頑張ります。

もうしばらく、お待ち下さい。

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コメント

数多先生、陸がテーマになるとすると「黎明の笛」からの登場人物が再び見られそうですね(ω)

しやもしん 様

プロット素案の段階なので、まだまだ変わる可能性はあるのですが、残念ながら、『黎明の笛』からの登場人物は、出ても少数ですし、メインには関わってこない予定です。

いろんな部隊にスポットを当てたいですし。

深淵、昨晩読了致しました。小説は書くのも読むのも難しい物だなと改めて感じました。実はヒロインの赤い傘とレインシューズが、そのページまでに作り上げたイメージを崩してしまい、一旦間を置くきっかけとなってしまいました。小説を読むときに体験済みの事象については匂いや音が本当に体感しているようにはまり込んでしまう傾向の所以かなとはおもいつつ翌日再開してそのまま読了しました。実はあきづきロスト後の中国側の政府発表が、私にとっては一番重くひびき、そのまま手に汗を握るどころか、軽い息苦しさを抱えつつ最後まで目を離す事が出来ませんでした。現実の政府発表にも興味が沸きました。次回作お待ちしております。

bb 様
楽しんで頂けたでしょうか。

赤い傘は、視覚的イメージが残るように配慮しましたが、強烈過ぎたでしょうか。(笑)
また、ヒロインが、元々は、ああした行動を取る人物ではなく、赤い傘を持つような人物だったという事を想起させたいという点もありました。

中国側の政府発表は、実際に衝突があれば、あのくらいのことは当然に主張するでしょう。
フォークランド・マルビナスでも、似たようなものでした。

次回作、出版社と相談中ですが、やはり他の方の意見を聞くというのは貴重ですね。
私だけで考えていた時よりも、面白いモノが書けそうになってきました。
ご期待下さい。

御存知かも知れませんがご報告でございます。
雑誌・正論6月号の推薦図書(本の時間)で、元海将 伊藤俊幸氏が「深海の覇者」を
推薦されておられました。  ページ332

「十分ありうる尖閣での海自艦撃沈。 中国は武力行使のハードルが低く、海自艦を
武力攻撃しても『これは戦争ではなく治安維持の範疇』と言うであろう。
是非多くの人がこの小説を読まれ(危機)の認識を共有してもらいたい。」とありました。
また辛口の指摘も一点ございました。   

以上、今後のご健筆を祈りつつ失礼します。 (敬礼)

末田 様
情報、ありがとうございました。

この件、知りませんでした。
雑誌に掲載される書評は、出版社間で、お願いされるケースが多いのですが、今回の掲載は、伊藤元海将が自発的に書いて頂いたのだと思います。

早速お礼をしておきます。(と言っても、連絡先を知らないので、出版社経由ですが)

指摘の件は、私も認識した上で書いていました。
あの点をついた戦術を使われることも考えましたが、ドラマとしての展開の中で採用しませんでした。

それにしても、バリバリの潜水艦乗りに、よく勉強していると言っていただけた上、同期の潜水艦乗りが協力しているとまで思って頂けたのは、何よりの喜びです。
勉強したかいがありました。

私が、取材をお願いするタイミングと書籍の制作、刊行スケジュールを理解していなかったというのも大きいのですが、実際には、あちこち取材をお願いしたものの、海幕の広報を含めて、協力して頂ける方が見つかりませんでした。そのため、公開情報だけで書いてます。

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