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2016年4月

2016年4月29日 (金)

『正論』6月号に、元海将による『深淵の覇者』紹介が掲載!

昨日発売されたばかりの『正論』6月号に、『深淵の覇者』紹介を掲載して頂きました。


書いて頂いたのは、潜水艦乗りで、潜水艦艦長、潜水隊司令などを歴任され、呉地方総監まで勤め上げられた伊藤俊幸元海将です。

私や出版社からお願いした訳では無いので、どこかで手に取って頂き、読んで頂いたのだと思います。
連絡先を知らないので、この場を借りて、御礼申し上げます。
ありがとうございました。

『正論』誌で、紹介頂いた事が、そもそも非常に嬉しいことなのですが、個人的には、それ以上に伊藤元海将が、潜水艦の運用についてよく勉強している言って頂いただけでなく、「同期の海上自衛隊潜水艦幹部がかなり協力しているな」と思って頂けたことです。

『深淵の覇者』は、私の出版された書籍としては2冊目になりますが、前作『黎明の笛』が、小説としては完成した状態になってから書籍化の話しを頂いたため、出版を前提に書いた作品としては、『深淵の覇者』が初めてでした。
そのため、取材を意図したものの、刊行のスケジュールや取材調整のタイミングを理解していなかったこともあり、海幕の広報室を含め、取材・協力して頂ける方が見つかりませんでした。

結果的に、公刊資料だけで書いております。
トム・クランシーが、『レッドオクトーバーを追え!』を書いた時と同じような状況でした。(あの当時よりは、資料はあると思いますが、日本語資料となると……)

エンターテイメント作品として、ここまで拘る必要はないのかもしれませんが、ここはやはり私の拘りなので、こんな資料まで読んでいます。


ちなみに、読んだ資料の中で、潜水艦に興味を持った方が読むべき本としては、ちょっと古いですが、こちらがオススメです。


一点、物語の設定として登場させた新兵器について、欠点のご指摘も頂いたのですが、一応その欠点については、認識しておりました。敵が、その点をついた戦術を採ってくることも考えましたが、物語の展開上、採用しなかった経緯があります。

この欠点については、音響ステルスである潜水艦同様に、同じようなシステムを搭載する事によって、電波ステルスであるステルス機のステルス性を向上させうる可能性があり、その際には、欠点として表面化する可能性があるため、承知していた次第です。
もっとも、電波では、登場させたような新兵器を作る事は困難で、音響兵器であるソナーの方が難易度が低いと思っていたのですが、今年のあたまくらいに、技本が、電波で同種の兵器を作ったという情報が流れてました。(私は、報道が不正確だったのではないかと思っていますが)

しかし、99%以上の読者にとっては、「そんなことはどうでもいい」事だと思いますし、伊藤元海将が書いて頂いたとおり、尖閣を含む南西諸島海域において、中国が妥当性のない主張をして軍事行動を起こしてくる可能性があり、その際には、こんなことだって起こるかも知れません。

普段、安全保障に興味を持たない方にも、そうしたことをイメージしてもらうために、小説という形式をとりました。
なので、何よりも、楽しんで頂ければと思います。

少々、技術的な事も書き、プロ中のプロにも評価して頂きました。
理系的な話しを聞くと、じんましんが出てしまう方以外は、手に取って頂ければと思います。

オマケ
第3作目は、このゴールデンウィーク中に、プロットの練り上げをしております。
年内刊行は、もしかすれば可能かも、というところです。

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2016年4月 5日 (火)

創作通信_その11_次回作プロット

『深淵の覇者』刊行からはや4ヶ月が経とうとしていますが、やっとのことで、次回作のプロット素案が出来ました。

ここから、出版社と相談、取材、プロットの練り直しをした上で、執筆に入るので、次回作をお届けできるのは、やはり大分先になりそうです。

私自身としても、今回、ここまでプロットで苦労するとは思っていませんでした。

苦労した理由は、3作目だからではなく、ミリタリー考証をいい加減にしないという私の執筆姿勢と、空、海と書いてきたので、次は陸とした点にあります。

小説に限らずですが、日本のエンターテイメント作品は、ミリタリー考証がなってない、どころか、それこそ”酷い”と言える作品が、非常に多い状況です。

エンターテイメントですし、創作作品なんですから、完璧にする必要性はないと思います。
私の作品にしても、現実には存在していない兵器も登場させています。
ですが、その際も技術的には可能で、軍事的に意義のあるものを登場させてきました。

ところが、日本のエンターテイメント業界を見ると、技術的どころか物理的に不可能な兵器が登場したり、軍事的に意義がない組織が無双だったりと、へんな作品が非常に多いのです。

そこまで拘らず、ミリタリー考証を緩くすれば、創作(物語として面白くする)事は容易になります。

ですが、それをするなら、私より面白い作品を書ける方はいくらいでもいらっしゃいます。
つまり、ミリタリー考証をいい加減にしない点にこそ、私が小説を書く意義があると思っています。
それも、明日起きてもおかしくない、ごくごく近未来を描く意義があるはずなのです。

そうした条件の中で、陸自を描く事が、大変でした。

前作『深淵の覇者』で、潜水艦を扱ったのは、ネットワーク化された現代の戦闘においても、極めて単艦での行動が多いのが潜水艦だったからです。
なぜ、そうしたかと言う理由は、物語を作る時、やはり特定の個人(主人公)に描写を集中させ、感情移入させる必要があるからです。

ネットワーク化され、ガチガチに指揮統制された戦闘では、それこそ統合幕僚長あたりを主人公にしないと、個人の葛藤や焦燥がドラマになりません。
ですが、幕僚長を主人公としても、やはり多くの方々からすると、自分とはかけ離れすぎているし、そもそもジジイを主人公にしても映えません。

半沢直樹が流行るのも、彼を、ビジネスマンである自分に重ねられる人が多いからです。

話しが、統幕長にまで飛んでしまいましたが、この主人公が独自の思考で動けるという点において、陸自は厳しいのです。

陸上戦闘においては、それこそ古代から陣形が重要であったように、他のユニットとの連携が非常に重要です。
個々の能力、判断よりも、他のユニットとどれだけ連携がとれるかが重要なのです。

陸海空の組織間において、階級が絶対的で、独断を許容しないという点で、陸自がダントツになるのも、同じ理由です。

しかし、そうなると、物語の主人公としては、はなはだ面白くありません。
もちろん、私がココで書いたような事を、肌感覚で分かっている方、例えば陸自OBだったりする方にとっては、そうしたガチガチに指揮統制された中でのドラマも、面白いものだと分かるでしょう。

でも、それが分かる人は、極レアなのです。

と、言う訳で、映画だったりすると、ランボーのようなスーパーマンが主人公になるわけですが、私は、あれを描きたくはないのです。

結果、手足を縛られた状態で、創作をしなければならなかったため、苦労していた次第です。
ですが、それなりに面白いものは書けそうです。

まだまだ、苦労しなければならないはずですが、頑張ります。

もうしばらく、お待ち下さい。

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