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2016年3月

2016年3月15日 (火)

韓国イージスは、欠陥艦か?!

先日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を監視していた日米韓のイージス艦の内、韓国のイージス艦だけが、目標である弾道ミサイルを見失っていたようです。
北の弾道ミサイル「見失った…」韓国軍の“手抜き防衛”に国民激怒 信じられない軍事力」(産経160314)

 北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射した2月7日、韓国海軍は最新鋭イージス艦2隻を派遣していた。韓国紙の中央日報(電子版)によると、午前9時半に発射された北朝鮮のミサイルは、発射6分後に韓国海軍イージス艦のレーダー画面から消えた。

 突然の目標ロスト(消失)に、海軍では「弾道ミサイルが空中で爆発し粉々になったのでは」などといった声が飛び交い混乱。急いで米国と日本に情報提供を求めたという。


報道が事実であれば(多分事実なのでしょう)、韓国が展開させていた2隻のイージス艦が、共にターゲットロストしたということになります。

バージョンが多少異なるとは言え、日米韓のイージス艦は、全てSPY-1レーダーを装備しており、目標の捜索追尾能力に著しい違いがあるわけではありません。
レーダーが模造品ということもなく、アメリカからの輸入です。

そのため、産経新聞は、韓国のイージス艦のみが追尾に失敗した理由を、軍人の能力不足と断じています。

 韓国の国防部では「推進部分が切り離され、弾頭だけになったためレーダー反射面積が小さく、今回は正確に追跡できなかった」などと説明したが、同じ機材(レーダー)を使う日米の艦船は問題なく追跡できていたのだから、言い訳にならない。原因はレーダー操作員をはじめとした軍人の能力不足にあるのだが、その根底には「そもそも高価なイージス艦は韓国軍に必要だったのか」という重要な問題がある。

中略

 海上自衛隊ではイージス艦4隻が、米国が40回に渡って実施したSM-3発射実験に参加し、実際に模擬弾道弾を迎撃している。それなりの経費を費やし、厳しい訓練を重ねているのだ。

 一方の韓国海軍は発射実験どころか、SM-3を持ってもいない。さしたる必要性もなく、見栄で仕入れたイージス艦では、手に余すのも当然なのだ。

中略

 韓国イージス艦は、SPY-1システムこそ米国謹製だが、船体は韓国製だ。さらに乗組員も日米並の弾道ミサイル対処訓練など体験したことがない。艦の能力とは、人の能力を抜きにしては語れないのだ。


韓国を貶め、自衛隊を賞賛する記事は、受けがいいのでしょう。

確かに、韓国軍人の能力不足だった可能性は否定できません。
ですが、2隻ともロストしたことを考えると、単純な軍人・隊員の練度と考えるのは危険です。

と言う訳で、韓国艦だけが追尾に失敗した理由を推察してみましょう。

レーダー、特に、フェイズドアレイ方式のレーダーが目標をロストする理由は2つあります。
一つは、記事中で、韓国国防部も言い訳に使っていた、目標のRCSが小さいことなどによる、SN比の低下で、目標がノイズに埋没してロストに至るケース。
もう一つは、何らかの理由(多くは目標の高機動)により、目標に向けたハズのレーダーのビームが、目標から外れてしまうことで、ロストに至るケースだ。

今回の場合、日米は追尾継続できているため、RCSの問題であるとは考え難い。
可能性が高いのは、ビームが外れてしまった可能性です。

では、韓国艦だけが、ビームをハズしてしまう可能性があり得るのか?
結論から言えば、あり得ます。

艦載レーダーが、地上配備レーダーと最も異なる点は、艦の揺動により、レーダー自体が動いてしまうことです。
昔の、レーダーを機械的に回転させながら、ファンビームと呼ばれる扇状のレーダービームを放射していた時は、それほど大きな影響はありませんでした。(もちろん影響はありますが)

しかし、フェイズドアレイレーダーが、高出力でビーム幅を絞ったペンシルビームと呼ばれる細いレーダービームを放射するようになると、艦の揺動を補正してやらないと、レーダービームが狙った場所に照射できず、レーダーが機能しない結果となります。

「電磁波は、光速で進むのだから関係無いだろ」と思う方もいるかもしれませんが、弾道ミサイルの追尾迎撃を行うような長距離・高速度では、光速は、補正が必要な程度の遅さなのです。
参考過去記事:対艦弾道ミサイルの可能性について補足

なぜ、この事を書いたのかと言えば、韓国のイージス艦は、この点で欠陥を抱えている可能性があるからです。

艦の揺動を補正する方法は、フィードバックを行うか、フィードフォワードを行うかという技術的選択があるにせよ、最も大切なのは、揺動を正確に検知する方法です。

韓国艦は、この部分において、経費削減のため、米国システムを採用せず、自国の装置を組み込みました。
アメリカのイージス艦は、慣性航法装置として、レーザーリングジャイロを備え、デジタル、アナログ技術を駆使したAN/WSN-7を装備しています。
一方で、韓国艦は、素性の不明な代替システムを装備しています。

可能性の一つではありますが、AN/WSN-7の角度分解能などの精度がどの程度だという情報に基づき、韓国は、自国システムを採用した可能性が考えられます。

その際、分解能が同程度だったとしても、例えば応答性が劣っていたような場合では、今回の弾道ミサイルの追跡では、艦の揺動データが、SPY-1に入ってくる事が遅れたため、(高速、大加速度、長距離であるが故)不適切な場所にレーダービームを打っていた可能性が考えられるのです。

上記の推測は、あくまで推測です。
ですが、今回の韓国艦だけがターゲットロストをしたという結果を鑑みれば、韓国のイージス艦は、欠陥を抱えている可能性があります。

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2016年3月 3日 (木)

不都合な真実こそ、価値ある真実

先日の記事、「対歴史戦の武器開発プロジェクトが進展中」は、BLOGOS
にも転載して頂きました。

その効果もあってか、紹介したクラウドファンディングは、当初の目標額100万円早々に達成しています。
これは、多くの方が、このファンディングの主旨が、意義深いものだと認めてくれた結果だとおもいます。

しかし、その一方で、BLOGOSのコメントページには、不都合な真実が出てくるのではないかとの、懸念というよりも皮肉と言った方がよいコメントが付いていました。
blogosコメントページ

このプロジェクトは、単純に現代語に翻訳して、広く公開しようというものです。
ですから、確かに、日本の国益という観点からすれば、不都合な真実が出てこないとも限りません。
慰安婦や南京に関連して、従来の日本政府の主張を覆すような資料が出てこないとも限らないのです。

ですが、その可能性を排除しないプロジェクトだからこそ、多くの方が支援してくれているのでしょう。

そして、なによりも、そうした不都合な真実が出てきてしまったら、その時は真摯に対応すれば良いだけです。

クレームゼロの企業よりも、クレームに的確に対処する企業の方が、信用されます。
最近の事例ですと、廃棄した冷凍カツが転売されていたことに対する迅速で真摯な対応を行ったおかげで、一部報道では加害者のように名前を出されたココイチが、むしろ信用を上げていました。
CoCo壱番屋の信用上がった? 廃棄冷凍カツの転売騒動で迅速な対応

慰安婦に関する朝日新聞の捏造報道のような怪しいネタではなく、公文書から不都合な真実が出てきたのなら、それは廃棄された冷凍カツの転売を発見したようなものです。
それこそ、迅速に公表し、謝罪や補償が必要なら、迅速に対応すべきですし、そうすることで、他の事実に基づかない難癖に対しては、やはり日本政府の主張は事実なのだろうと考えてもらえます

そのためにも、このプロジェクトのように、探したい事実を探すのではなく、片っ端から真実を明らかにする行為に価値があるのです。

このプロジェクトは、2ヶ月の募集期間を設けてファンドを集めていましたが、当初の目標額100万円を、わずか1週間ほどで達成したため、現在目標金額を300万円に再設定し、追加の支援を募っています。

プロジェクトの関係者に伺ったところ、当初目標の100万円は、サーバーの確保など、サイト構築に必要な当初必要資金にする予定だったそうです。
上乗せの200万は、テキスト化作業にかかる経費とボランティアの方々の活動支援費用に充てるとのことです。

人手のかかる作業を全てボランティアに依ったとしても、サーバーの維持経費などは恒常的に必要になるものです。

こうした作業は、本来であれば、国がやっても良いくらいですが、国立公文書館などでは、ここまでの作業を行っていません。
国がやるとなれば、翻訳の部分も国費でやることになり、膨大な費用がかかるからでしょう。ここをボランティアにお願いすることで、このプロジェクトは費用をかけずに価値ある作業を行うことができます。

プロジェクトが長く続けば、それこそ300万ぽっちでは、到底足りないでしょう。
しかし、そこまでには、成果も出てくるでしょうから、新たな支援をしてくれる方も増えるでしょうし、国が支援するようになるかもしれません。

興味のある方は、クラウドファンディングの募集ページを覗いてみて下さい。
歴史の欠片「公文書」を解読して本当の近現代史を知りたい

3月3日現在、124万円が集まっています。
あと、176万円です。

また同時に、お金はないけど、古い文書を読む能力と時間はあるという方は、是非ボランティアとして活動を支援したら如何でしょうか。
ボランティア希望の方は、メールで主催者まで連絡して下さいとのことです。
メアド:info@zigen.tokyo

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