安保関連法案審議に影響する憲法学とイスラム法学の類似性
安保関連法案の審議は、民主党を始めとする野党が、これらの法案に対して違憲であるとの戦術を採ったため、与党側が厳しい対応を強いられています。
民主党が違憲性を衝いてきた契機は、参考人として呼ばれた憲法学者による違憲でした。
今回、改めて起こった憲法論議を見ていると、日本の憲法学とイスラム法学にある類似性が、法案審議に影響を与えているように見えます。
イスラム法学が、他の法学と異なるのは、研究対象であるイスラム法(シャリーア)が、コーランとムハンマドの言行(スンナ)という変更不可能なものであり、法学としては法解釈学でしかないという点です。
そのため、イスラム法学者の重要な仕事の一つに、ムハンマドの時代になかったモノ(に対する法律)を、コーランとムハンマドの言行から、適法が違法か判断するという仕事があります。
つまり、イスラム原理主義国家にあっては、違憲立法審査権が法学者の手にあるとも言え、実際イスラム法学者の発言力が、大きな力を持っています。
翻って、日本の憲法を取り巻く状況を見ると、これにそっくりであるように見えます。
日本の憲法学も、多くの憲法学者が現行憲法を守るため憲法学者になったような人が多いためか、基本は現行憲法の解釈学です。
そして、違憲立法審査権は、司法にあるにも関わらず、民主党に担ぎ出されて審議中の法案を違憲だとして非難しています。
本来あるべき憲法学者の仕事は、ムハンマドの時代にあたる戦後のGHQによる日本統治時代にはなかった現在の政治情勢に対して、解釈学に留まることなく、真に有効な憲法の在り方を論じるべきであるはずです。
しかし、残念ながら、多くの憲法学者にとって、憲法はコーランやムハンマドの言行に等しいモノになってしまっています。
そうした人々の言説に耳を貸すべきかは、疑問です。
……ですが、この安保関連法案を支持する私としても、正直言って、この法案に対しては、忸怩たるモノがあります。
これは、私に限らず、全ての改憲論者にとって同じでしょう。
それは、長谷川豊氏が言うように、この安保法案に限らず、自衛隊の存在からしてそもそも違憲なのですから……
「安保法案が『違憲』だってことくらい、誰だって分かってるわい」
改憲が難しいとは言え、コレで良いのかという想いは、どうしても頭の片隅に引っかかります。
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「自衛隊の違憲は学界の定説」
聞いたことのある人が多い言葉だと思いますが、
やはり、安保法制の反対は自衛隊そのものへの反対と、
同一なんですかね。
投稿: しやもし | 2015年6月13日 (土) 12時20分
(国際政治や安全保障の知識が無い)憲法学者の発言が世論に影響を与えているとしたら
恐ろしい話です。
投稿: メリッサ | 2015年6月13日 (土) 14時05分
いや、イスラムと違うのは解釈によらず法律を変えてから行いなさいということ、変えられないモノ(憲法)ではないんだから
変える努力より憲法学者のお墨付きを貰おうとすることが問題でしょ
投稿: シュピーゲル | 2015年6月13日 (土) 16時23分
9条がある前提のもとで行われていることを忘れているのでしょうか
このような前提のもとだからこそ現行憲法が問題と成るのは当然です
>「現在の政治情勢に対して、解釈学に留まることなく、真に有効な憲法の在り方を論じるべきであるはずです。」
96条に基づく改正ならこれが出来たでしょうね
しかし自民党が96条に基づく改正を選ばず現行憲法のもとで行おうとした以上現行憲法の枠組の中か等が問題になるのです
学者に帰責をするのは誤りです
次に不磨の大典と考えている憲法学者なんて全憲法学者を見てもほとんど居ませんよ
さらに違憲立法審査権うんぬんと仰っていますがそれは最終的な有権解釈の話ですよ(ディパートメンタリズムの話は除く)
そしてまだ法律が制定されてもいません
失当です
投稿: | 2015年6月13日 (土) 16時45分
まあ法案が通らなかったところで、改憲に向けて一気に進み出すだけで。
それなら問題ないというのも、憲法学者の主張なんですかね。
投稿: しやもし | 2015年6月13日 (土) 18時40分
しやもし 様
誰が反対しているかを見れば、やはり同じだと言えるのではないでしょうか。
安倍首相の進め方に反対している人もいそうですが。
メリッサ 様
国際政治の知見がないとは思いませんが、安全保障の知識は、ほとんどの憲法学者がない、あるいは合っても非常に観念的なのではないでしょうか。
シュピーゲル 様
名無し 様
それは確かに正論ですね。
私も、基本的に改憲論者ですから、この解釈改憲には釈然としないモノがあります。
投稿: 数多久遠 | 2015年6月22日 (月) 21時55分
憲法学者のコメントを端折って見出しなんかに「違憲」なんて平気で書けるマスメディアに踊らされて、市井の国民までがおうむ返しに「違憲!違憲!」の大合唱。なんとも知性の疑われる話ではありますが。
砂川判決(集団的自衛権の根拠云々の話は別にして)や「行為統治論」の知識が少しでもあれば「違憲の疑いアリ」ないし「違憲と思われる法制」という表現にならざるを得ない筈なんですけどね・・・
まったく巧みなキャンペーンだと思いますよ。国民の憲法知識や国家安全保障意識の低さをつくづく思い知らされました。
投稿: yomoyama | 2015年6月23日 (火) 20時27分
というか議論の中身が分かりづらくなってないですかねえ?
賛成する人にしても反対する人より中身分かってないんじゃなかろうかって気がすんだけど?
投稿: シュピーゲル | 2015年6月23日 (火) 21時02分
まさに「神学論争」ですね。
法律はいわば国家を運用するためのプログラムであり、古くなったプログラムはアップデートしなければ脆弱性を突かれてしまうと思うのですが。
投稿: ルフトバッフェ | 2015年6月24日 (水) 23時03分
統治行為論の理由を考えれば国会への謙譲をしなければならない司法権と違い
あくまでも代表民主制が想定している市民における議論において個々の専門家の違憲かどうかの判断について断定してはならないとするものではない
そもそも射程が及ばないから砂川に引きつけて統治行為論を引っ張ってくるのはどうなのよ
統治行為を振り回すほうが知性を疑われるわ
他人のブログで本題と関係ない書き込みをするのもあれだけど
投稿: | 2015年6月30日 (火) 22時57分
yomoyama 様
これも、ネットで良く耳にする”レッテル貼り”ですね。
それを、マスコミがやるですから、いやはやです。
シュピーゲル 様
本来の論点は、妥当な判断かどうかがまず第一にあるべきだと思いますが、左派・マスコミが、意図的に、違憲か否かを論点にすり替えた結果ではないでしょうか。
ルフトバッフェ 様
本当に、その通りですね。
あるモラルについて議論する際、そのモラルが妥当かどうかが問題のはずです。
同性婚問題に対して、「神は認めていない」というようなものです。
投稿: 数多久遠 | 2015年7月 2日 (木) 21時33分