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2015年6月

2015年6月28日 (日)

THE PAGE で書かせて頂きました。「秋田空港の「自衛隊機使用」問題 知事の“過激”発言は妥当か?」

THE PAGE で記事を書かせて頂きました。

「秋田空港の「自衛隊機使用」問題 知事の“過激”発言は妥当か?」
よろしければ、ご覧ください。
ヤフーニュースにも掲載されています。

THE PAGE
http://thepage.jp/detail/20150628-00000003-wordleaf
ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150628-00000003-wordleaf-pol

以前は、知事などの自治体関係者だけでなく、国の機関でも有事を考える自衛隊に対して、異様な目で見る雰囲気がありましたが、本当に変わったものだと思います。

共産党ですら、自衛隊を即刻解散にはしないと言っていますし……
本音は、変わってないんでしょうが。

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2015年6月22日 (月)

マグリット展開催中

私が最も好きな画家、ルネ・マグリットの大回顧展が開催中です。
http://magritte2015.jp/

先週末、天気が大荒れと言われる中、行ってきました。

1434974104166

13年前の回顧展にも行ったのですが、マグリットの主要作品の多くが集められた、まさに大回顧展で、非常に見応えがありました。

東京展は、今月29日(月)までで、今度の週末がラスト週末になります。
関東方面の方は、お見逃しなく。

その後、京都展が7月11日(土)から10月12日(月)まで開催されます。
京都展のHPを見ると、トップ画像が東京展で展示されていなかった『ピレネーの城』……
http://magritte2015.jp/kyoto/outline.html

京都も、行こうかな。

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2015年6月13日 (土)

安保関連法案審議に影響する憲法学とイスラム法学の類似性

安保関連法案の審議は、民主党を始めとする野党が、これらの法案に対して違憲であるとの戦術を採ったため、与党側が厳しい対応を強いられています。

民主党が違憲性を衝いてきた契機は、参考人として呼ばれた憲法学者による違憲でした。
今回、改めて起こった憲法論議を見ていると、日本の憲法学とイスラム法学にある類似性が、法案審議に影響を与えているように見えます。

イスラム法学が、他の法学と異なるのは、研究対象であるイスラム法(シャリーア)が、コーランとムハンマドの言行(スンナ)という変更不可能なものであり、法学としては法解釈学でしかないという点です。

そのため、イスラム法学者の重要な仕事の一つに、ムハンマドの時代になかったモノ(に対する法律)を、コーランとムハンマドの言行から、適法が違法か判断するという仕事があります。
つまり、イスラム原理主義国家にあっては、違憲立法審査権が法学者の手にあるとも言え、実際イスラム法学者の発言力が、大きな力を持っています。

翻って、日本の憲法を取り巻く状況を見ると、これにそっくりであるように見えます。
日本の憲法学も、多くの憲法学者が現行憲法を守るため憲法学者になったような人が多いためか、基本は現行憲法の解釈学です。
そして、違憲立法審査権は、司法にあるにも関わらず、民主党に担ぎ出されて審議中の法案を違憲だとして非難しています。

本来あるべき憲法学者の仕事は、ムハンマドの時代にあたる戦後のGHQによる日本統治時代にはなかった現在の政治情勢に対して、解釈学に留まることなく、真に有効な憲法の在り方を論じるべきであるはずです。

しかし、残念ながら、多くの憲法学者にとって、憲法はコーランやムハンマドの言行に等しいモノになってしまっています。
そうした人々の言説に耳を貸すべきかは、疑問です。

……ですが、この安保関連法案を支持する私としても、正直言って、この法案に対しては、忸怩たるモノがあります。
これは、私に限らず、全ての改憲論者にとって同じでしょう。

それは、長谷川豊氏が言うように、この安保法案に限らず、自衛隊の存在からしてそもそも違憲なのですから……
安保法案が『違憲』だってことくらい、誰だって分かってるわい

改憲が難しいとは言え、コレで良いのかという想いは、どうしても頭の片隅に引っかかります。

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2015年6月 4日 (木)

領域警備は誤解だらけ

前回の記事「安保法制だけで終わらない防衛関係法制の不備」は、反響が大きかったのですが、驚いたのは、見当違いの誤解が、非常に多かったことです。

やっぱり、国際法が大きくからむ法制関係は、書く上で難しいと感じました。
安倍首相の苦労が、ほんのちょっぴり理解できました。

特に、転載されているBLOGOSの方は、ブロゴス側で付けてくれたタイトルが「"先制攻撃できない"対領空侵犯の法不備」だったせいもあって、私の主張が、”領空外でも問答無用で攻撃できるようにせよ”とでも言うモノであるかのような批判までありました。
せめて、記事はちゃんと読んでから批判してくれよとも思いましたが、読んだという人でも誤解されている方が多くいらっしゃいました。

なので、今回は、関連する国際法に触れつつ、もう少し分かりやすく説明したいとおもいます。
(どこまで分かりやすく出来るかは分かりませんが……)

前回の記事で、最も明快に誤解されていたのは、領空外での対処についてです。

この点で、誤解を受けた理由は、対比として、海保法第20条第2項に基づき、海保が領海外で不審船に対して機関砲を射撃した例を出したことによるものでした。

この例をあげる前に、
(ただし、”領海外”の部分は空では適用されない国際法の追跡権に基づくものなので、この部分を航空の世界では適用できません)
と書いてはいたのですが、考えて見れば、この表現で理解できた方は、国際法にかなり詳しい人だけだったでしょう。

海保法第20条第2項は、我が国の領海内において不法行為を行ったと思われる艦艇に対して、対処を行うための根拠規定ですが、この対処を行う際の位置については明示がありません。
実際、九州南西海域工作船事件における、船体射撃は、領海を出てから行われています。

これは、国連海洋法条約111条において、追跡権が定められているためです。
追跡権は、一言で言えば、領海内で不法行為を犯した船舶を、領海を出てからも追跡し、対処することが出来るとする権利です。

根拠が海洋法条約ですから、航空では通用しません。
航空の世界で国際法上、主権が及ぶのは領空内だけであるため、対領侵措置も領空内での対処しか命じていないのです。
確立された国際法に違反する国内法を作るなど、ナンセンスこの上ないのですが、そう読めてしまったのか、そう読める文だとして印象操作したいのか……
この点については、全く批判していなかったのですが、果たして読んで頂けたのか疑問でした。

もう一つ、大きく誤解(というより誤読)されていたのは、保護対象の問題です。
国際法上、保護対象については、海と空で激しく異なります。

海では、歴史的経緯のため、軍艦及び公用船は、非常に強く保護されています。
そのため、海保法20条でも、(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業的目的のみに使用されるものを除く。)とされており、公用船にたいしては、例え偵察などが行われていても、退去を求める事しか出来ません。
軍艦を攻撃することは、戦争行為なのです。

一方、漁船などの民間船は、違法操業などの不法行為を行っていれば、銃撃されても文句は言えません。
ロシアの領海(ロシア談)で、日本の漁船が時々銃撃を受けていますが、人道的な配慮がなされていない場合でもなければ、日本政府も遺憾の意を述べるだけで、抗議はしません。国際法的に認められた権利だからです。

海の上では、権利からすると軍艦・公用船>民間船なのです。
しかし、空では逆、民間機>軍用機なのです。

航空機の権利を定める国際法は、国際民間航空条約(通称シカゴ条約)です。
この条約によって、領空の主権、航空機の法的地位が定められていますが、そもそも名称が国際民間航空条約である通り、対象は民間機であって、軍用機は対象外です。

つまり、軍用機については、慣習法によっていることになりますが、誘導に従わない領空侵犯機に対しては、警告の上、撃墜することは、一般的に認められた権利となっています。
このため、昨年3月、トルコ領空を侵犯したシリア機が撃墜された事案についても、正当な権利の元での行為として非難はされていません。
激しくなる中国機の領空侵犯、撃墜できる法整備を」(JBPRESS140723)

なお、上記リンクの筆者、織田邦男氏は、元空将のパイロットです。(読みは、オダではなく、オリタ)

1983年に発生した大韓航空機撃墜事件を契機としてシカゴ条約が改正される前は、民間機に対してでさえ、撃墜が禁止されてはいませんでした。
改正後でも、大韓航空機撃墜事件の際に、ソ連が主張したような、民間機を使った(偽装した)スパイ行為の場合は、保護されないと解される内容になっています。

これがまた誤解を招くといけないのですが、民間機を撃墜しろなどと言っている訳ではありません。
空においては、主権国の権利が、海よりも遥かに強く認められているということです。

これは、空はそのまま陸の上にまで繋がっており、悪意を持ったものが、そのまま陸の上にまで侵入して危害を及ぼしうるからです。

ちなみに、領海内に入った他国の公船から、艦載機を発進させれば、艦船は無害航行とは認められませんし、発艦した航空機は、その時点で領空侵犯です。

こうした海と空における国際法上の差異を無視して、海上と同じような対処を行うとする考えは、妥当ではありませんし、権利はあるにも関わらず行使しないという、つい最近までの集団的自衛権に対する考え方と同じようなモノです。

空においては、軍用機に対しては、攻撃までを含めた十分な対処が国際法上認められています。
それは、行えるようにすべきなのです。

と書くと、また誤解というより、意図的にいちゃもんを付ける方が、必ず現れるのですが、攻撃まで含めた対処を行えるように法律を変える=攻撃を行うではありません。

法律上、可能とされた範囲を現場がマキシマムに行う訳ではなく、当然ながら、現場は、段階を踏んで実施します。

また、これらを行っても、9.11のような民間機テロには対処できません。
対領空侵犯措置とは別に、同様のテロに対しても、手段を講じる事ができる法整備が必要です。

また、一部の方は、自衛権に基づく防空戦闘と対領空侵犯措置を混同されている方もおりました。
これは、前回記事にも書いた通り、対領空侵犯措置は、空における警察による取り締まりだと言うことを理解して頂くしかありません。

防空識別圏(ADIZ)と領空を混同している方もいらっしゃいます。
そうした方は、過去記事を見て頂ければと思います。
参考過去記事:「防空識別圏(ADIZ)に関する誤解

主要な誤解について書いたつもりですが、この程度でちゃんと理解してもらうのは、難しいだろうと思ってます。
それどころか、この記事も、誤解されるんだろうなぁ。

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