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2015年5月23日 (土)

意味も意義も不明な「自衛官のリスク」論議

自衛隊は、究極のブラック組織だという主張があります。

確かにその通りです。
何せ、入隊時に生存権の放棄を宣言させるのですから、自由や平等どころの話ではないわけで、ブラックもブラック、真っ黒けです。

服務の宣誓
 私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。


ですが、誰一人として、強制されて自衛官になっている訳ではありません。
(以前には、騙されて入ってくる人もいましたが……)

基本的人権を制限されてまで、自衛官が自衛官たる理由は、そうすることで、この社会を守ることができると信じるからです。

自衛官であろうとすることで、平和を希求する無辜の民が、もっと簡単な言い方をすれば、普通の国民が、日本に害意を抱く外国勢力等に、その幸福を阻害されないためです。

そのため、自らリスクを受け入れている存在が自衛官(他にもいろいろなリスクを自ら受け入れている職業はあります)である訳ですが、安保法制に関連して、奇妙な図式が発生しています。

安保法制を推進する与党は、自衛官のリスクは増大しないと言い、民主党等の野党は、自衛官のリスクが高まるから反対だと言います。

一番大切なのは、自衛官のリスクではなく、国民全体のリスクであるはずです。

この点からすれば、民主党岡田代表の意見は、(言葉の上では)まっとうです。

必要性、それに伴うリスク、双方を説明する責任は政府の側にある。説明したうえで、必要性が高いからリスクがあってもやらなければいけないときちんと説明をするのが(安保法制を)やろうとしている政府の責任

安全保障法制「自衛隊のリスクの問題を委員会質疑でも取り上げて行く」岡田代表

自衛官は、命令が妥当なものであれば、死ぬことを命じられても、それに従うことを受任した存在です。

日本から遠く離れた場所で、危険な任務をさせる必要が、本当にあるのかという議論は必要でしょう。
しかし、自衛官のリスクが高まるかどうかというのは、本質から外れているどころか、見当違いの議論です。

政府(と大多数の国民)は、日本から遠く離れた場所であっても、自衛官に危険な任務を遂行させないと、日本で平和に暮らしている国民が、近隣諸国から危害を加えられる危険性が高まっていると認識しています。
だからこその「安保法制」です。

「自衛官のリスク」議論は、この本質から目をそらすための欺瞞工作のように思えてなりません。

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防衛政策」カテゴリの記事

コメント

死ねと命令されることと、
事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務めることとは違うと思っていたのですが先生如何でしょう?

民主党は当然、自衛官のリスクを下げるために法整備や装備品を充実させてくれるんでしょうね。

おばんでやす

民、社、共のバカ連中は、心にもない自衛隊のリスクとやらを唱えて、余計な縛りを加えて逆にリスクを増やす始末。軍事に無頓着な連中なんぞ排除して、真っ当な軍隊にするべし。その方がリスクが下がるわ。

軍隊というのは、いざとなったら国民を守護する為の存在。だからこそサラリーマンよりも賃金が高いのもその為。戦争になれば、国民を守護するからこそ尊敬され、その姿に子供達も憧れる。

そのへんのサラリーマンよりは高いでしょうけど、
そのへんの市役所よりは安いですよ。自衛隊の給料。
心構えは武人のそれを要求されるが待遇は木っ端役人。いや〜んブラッキー。
防衛出動手当1人1億円とか出してくれないかしら。ねえ。

更新ご苦労様です。

腐乱険・岡田屋の愚劣な揚げ足取りしかアタマに無いのであろう妄言は無視
いたしまして、「自衛官」のリスクについて。

建前として、命令が下されれば自衛官はリスクに関わらず実行しなければなりません。
これは旧帝国軍隊に見受けられたように無謀で無意味な命令に劣化してゆく可能性が
あります。 今の自衛隊の中に、「書置き制度」、はあるのでしょうか?

米軍の場合、命令を受領した指揮官が、それに疑義が有る場合は(リスクが高すぎる、
戦時国際法違反など) 疑義の主旨を記して上層部に届ける制度があり「目安箱」が
常設されている。  さらにその指揮官が望むなら自分の属する選挙区の議員にも、
送ることが許されている、と聞いたことがあります。

例えば、佐藤守大尉、青瓦台にASM5発打ち込み破壊、これは命令である・・・の場合 
-「書置き制度を利用します」。  ハイ了解。 用紙はこれで、10分以内に書き、
そこの目安箱にいれといてね。  こんな具合なのだとか・・・

命令には自分の命を賭していただかなくてはなりませんが何らかな形で自衛官を
護る制度もなければなりませんから。

一部の知識人に安全保障の知識が無いのが、(おかしな議論の)原因の一つではないでしょうか?
誰とは言いませんけど『「武器輸出三原則」をもつ日本は、利害の調整に最適』と主張している人物が居たりします。

しやもし 様
意味なく死ねなど命じた命令は、法令違反であるため、自衛官で合っても従う義務はありません。

危険度が極めて高く、死ぬことが間違いない程の命令でも、作戦を実施する上で妥当な命令であれば、発せられることはありえますし、それをもって「死ぬことを命じ」ると表現しています。
だからこそ、”命令が妥当なものであれば”と書いてます。

ルフトバッフェ 様
それは、ないでしょうね。
むしろ、仕分け対象じゃないでしょうか。

土方 様
政府側の答弁も、おかしかったんですよね。
ここに来て、やっと国民のリスクを下げるために、自衛官のリスクを許容するような言い方になってきました。

きらきら星 様
給料だけじゃないですよ。

住居移転の自由も制限されますし、24時間所在を明らかにせよと言われますから、プライバシーも制限されます。

残業手当もありませんし、労基法なんて関係ないですから……

末田 様
書き置き制度はありませんが、違法な命令等は、命令者の権限外とみなされ、従う義務はないと解されます。
実態的には難しいですが……

メリッサ 様
そんな方がいらっしゃるんですか?
武器輸出三原則と利害調整の適否なんて、なんの関係があるんだろうとしか思えませんが……

>数多久遠様

本当に居ますよ(左翼ですけど)
本人はそれを「軍事戦略」だと思っている所が凄いです。

メリッサ 様
東日本大震災が、アメリカの地震兵器によるものだとか、口永良部島の噴火は、噴火ではなく核爆発だ、なんて本気で言っている人がいますからね。

軍事戦略云々は本になってますけど
昔から「トンデモ本」みたいな言葉がありますものね。

軍事戦略の人物、最近は「日本と中国が共同で南シナ海の警戒監視活動を(例の滑走路を使用して)行なうべき」と主張していまして
正直、頭の中にハチミツでも詰まっているのではないでしょうか?

メリッサ 様
なかなか、変わった方をウオッチされてますね。
理解の範囲を超えてます。

それなりの知名度(それと社会的地位)がある人物です。

>変わった方

メリッサ 様
有名な方でも、?な方はいらっしゃいますね。

自衛官の方々が勇敢であることに間違いはありませんが、その勇敢さや覚悟に甘えてはいけない。
自衛官の命をかける状況というのは、外交、内政両面において最大限の努力を行い、その上でなおどうしようもない場面でのみであるべきです。
何かしら国防戦略を語るたびに「自衛官の命が〜」と言われるのは自衛官の方々としては不満に思われるかもしれませんが、その点心に留めておかねば大日本帝国の二の舞となりかねません。

それとは別に現実的な理由として、使命感ではなく待遇面で自衛官の職を選択した人間も少なくないというのがありまして。僕の友人とかその口。
このご時世、滅多なことじゃリストラされない公務員はそれだけでかなりの高待遇なんですよ。
それに自衛官のご家族まで夫や父親を亡くす覚悟を決められているわけでないですし。

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