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2015年5月19日 (火)

陸上自衛隊は、どこで戦うのか?

今話題の「安保法制」では、自衛隊が日本から遠く離れた地域で戦闘することなどが考慮されています。
反対派は、自衛隊が日本の防衛と関係のない戦闘を行うための法案だとしていますが、防衛省自身が、国外での戦闘と、日本を直接防衛するための戦闘を、どの程度の比重で考えているかを占うための一つの小さな情報が、先日リリースされました。

陸上総隊司令部の朝霞駐屯地への新編について

防衛省は、2017年に新編予定の陸上総隊の司令部を、朝霞駐屯地に置くことを決めました。

この情報は、率直に言って、以外でした。
海空は、戦闘部隊の司令部を、在日米軍の司令部所在地と同じ場所に置いているにもかかわらず、陸だけが別の場所と決まったからです。

陸 自衛隊:
朝霞  在日米軍:座間
海 自衛隊:
横須賀 在日米軍:横須賀
空 自衛隊:
横田  在日米軍:横田

同一の場所にいるということは、ITが発達した現代でも、非常に重要なことです。
膝つき合わせての談判が、コミュニケーションを取る上で、最も効果的な方法であることは、誰の目にも明かです。

それ故、司令部を同一地に置かない陸上自衛隊であっても、ヤマサクラと呼ぶ日米協同演習を、全国の各方面隊毎、それぞれの場所で、膝をつき合わせて実施しています。

にもかかわらず、陸上自衛隊は、全国の方面隊を指揮下に置く陸上総隊の司令部を、座間ではなく朝霞に置くと言います。

もちろん、座間に場所が無かったという可能性はあります。
ですが、キャンプ座間に隣接する座間駐屯地には、中央即応集団司令部やその他の部隊が所在しており、なんならこれらの部隊を追い出して、陸上総隊司令部を置いても構わないはずです。

それに、キャンプ座間には、こんな広大で、周辺からクレームの多いゴルフ場まであります。
Camp_zama
wikipediaより
場所がない、なんてことはありえません。

にも関わらず、在日米軍の司令部と別の場所に陸上総隊を置く理由は何か?
前掲の防衛省資料には次のように書かれています。

朝霞駐屯地が、政経中枢との一体性を維持しながら全国の陸自部隊を指揮統制する上で最適な候補地であるとの結論を得た


つまり、陸上総隊では、在日米軍との連携よりも、政府中央との連携の方が重要だと言うことです。

海空自衛隊は、在日米軍との連携を重視するが故に、同一場所に司令部を置き、膝つき合わせての連携をしようとしています。
それは、主に中国海空軍との戦闘において、日米が連携して戦うことを重視しているからです。

しかし、防衛計画の大綱等においても、日本に対する大規模な着上陸作戦が行われる可能性は低いと見られています。
陸上自衛隊は、対中国等で日本を直接に防衛するための作戦において、在日米陸軍と協同するよりも、国外において、米軍以上に、現地国との調整をしなければならなくなってきているのです。
そのため、日本政府中央と密接な連携のし易い朝霞を選んだと言えそうです。

なお、対米軍でも、在日米軍よりも、現地の米軍部隊を指揮する司令部との調整が必要となります。

この事を見ても、陸上自衛隊は、もはや日本の国土の直接防衛よりも、安倍首相の推し進める積極的平和主義を実現するための組織と目されていると言えそうです。

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防衛政策」カテゴリの記事

コメント

なるほどなるほど。
先生の意見は参考になりますね~

理に適っていると思います。

1)そもそも、すべての司令部も同じ所に設置するのは必ずしもいい考えでは有りません。一網打尽という事も有るから。

2)例え海外派遣が無いとしでも、陸自には災難派遣の重役があり。そして派遣の場合、中央と密接な連携は大事のはずですが。

3)例え戦争に成っても、海空軍は兎も角、米陸軍の出番が無い可能性が高い。紛争程度なら彼奴等の出番までも無いですし、本当に彼奴等に頼らなければ成らないの大規模陸上戦に成ったら、彼奴等はそこまでの義理を感じているでしょうが。今回の布陣はこの不信感の現れも含めているかもしれない。

4)例え戦争に成り、陸自と米陸軍の協同作戦に成っても、陸戦の戦闘形態は海空と違う。例えば、第七艦隊の布陣に自衛艦も含めるのは可能ですし、空中では米日機を関わらず等しく中国爆撃機へ向かわせるも想像できる。こんな戦闘形態なら、確かに上層司令部で権限を集中し、連携させるが有効です。

ですが、陸戦なら以下の体制が想像できる:
あ)広い正面で米陸軍と陸自の團隊を横並べて正面を支える。例えば、陸自の師団は左翼で米軍の旅団は右翼を受け持つ。

縦並べも可能(例えば、陸自の師団の背後に米軍の旅団は予備として備えている)です。

い)日本の狭い正面では團隊一つも詰められないので、部隊に分けれて各自に正面を与える。こうなったらもはや協同作戦より共同作戦になる。

何れの場合に置いても、彼奴等は同じ布陣を共有しないと言う事で、戦場も別々、そもそも全国レベルの同調の必要性が低い。なにより、陸戦は地形があり、単位も多く、一番中央指揮に向かないものです。

この場合上層部を中途半端な状況意識で調整を行い、決断を下すなら帰って現場にとって迷惑な決断になる。隣接するの現場部隊で調整を行う方が成功しやすい。だから、同一司令部の重要性が低い。そもそも、何十年の間も陸上総隊を作らなかったのは、この理由*も*あるじゃないでしょうが?

如何でしょう?

本来は、方面隊を廃止して、
陸上総隊→師団
というのが目玉だったはず。
実際は、方面隊は廃止されず、廃止されたのは中央即応集団。

本来の陸上総隊の構想が、実質骨抜きにされたというのが実態では。

朝霞に置く理由なんですが。

私は水陸機動団を始めとする自衛隊のみによる「シームレスなグレーゾーン対処」
のためではないかと推測いたします。

その対処に米海兵隊や米陸軍(実質、戦力足り得る部隊は日本に居ないですよね)
との密な連携は不要、というよりその段階ですと米軍は関与しない・できない・しない
そういう段階だと思われます。陸自・米陸軍の緊密な調整は日本国内における防衛
大戦争さながらの事態でなければそうそう必要にならないのではないでしょうか。

そして、グレーゾーン対処のためには、極力スピーディに政府と防衛省と自衛隊の
三者(あるいは警察や海保も含まれるかもしれませんが)による情報理解・協議・
意思決定・実行命令下達がなされなければならないと思いますし。
だから日本の中枢部に近い朝霞なんじゃないですかね・・・

海外で戦争するから、現地米軍と調整するから座間じゃなくて朝霞なのだ、と
言うよりは少しは現在の日本の状況に合致しているのではないでしょうか。

じゃぁなんで海自・空自は共用司令部なんだ!陸自だけ朝霞で意味が
あるのか!と言われると・・・確かに変かもしれません

済みません、ちょっと自説に自信が無くなりました

申し訳ないです、最後に一点だけ

日本の領土である無人の某島嶼が武装した集団によって占拠され、
海保および警察に手におえる事態ではなくなった、などというケースでは
水陸機動団の陸自隊員が適地潜入ですか、要するにフォースリーコン
のような事までやるんでしょうか?

だとすれば、ですが・・・その重要な情報は即座に官邸あるいは防衛省の
ナントカ室へもたらされるべきではないかな?と今ふと思いました。

数多様

読んで、そういう視点もあるのかと、思いました。

私自身は、朝霞においたことは、大規模着上陸を想定しない以上、アメリカ「陸軍」と調整することはほとんどなく(島嶼防衛なら、むしろ海兵隊と調整する)、座間に設置する必要がないからだ、という点は、完全に同意見です。

一方で、それが外征用のシフトなのか、単に東京に近い位置に司令部があった方が国内的に良いからなのかは、私は後者だと感じました。

なお、外征に行く場合、日本単独での行動を本当に考えるのでしょうか?

1:PKO的な平和維持任務であれば、連携相手は国連ですから、東京に陸自司令部があるのは合理的です。
2:湾岸戦争的な「対侵略+侵略」(政治的な言い方は「解放」?)任務であれば、米軍主導の多国籍軍の一翼を担う形になります。主力は米陸軍ですので、座間にあるのが合理的かと。
3:日本が単独で「対侵略+侵略」任務を実施するなら、たしかに東京に司令部があった方が良いでしょうが、私自身はこれが理由とは思いませんでした。

首相が「2」も「3」もやらないと言っているからだけではなく、「3」をやるには、日本は兵站+情報収集力があまりに貧弱だからです。「1」の任務は兵站は「生活」だけですが、「2、3」の任務では、敵の妨害の中、燃料弾薬を大量に消費することになるので、遠征部隊の過半数は兵站部隊、という感じになるはずと理解しています。もしこの(素人)想定が正しければ、日本が単独で遠征できる「対侵略+侵略」部隊は、せいぜい1個大隊規模では?

#兵站にあれだけ注力している、英仏ですら、頑張って1-2個旅団なので。。。

最後のほうは、精度の低い素人推定で済みませんが、私自身は、「単に東京に近い位置に司令部があった方が国内的に良いから」説に一票です。まぁ、10年後を見てみないと分からないですね。。。

まあ、どこに司令部作るのは良いのですが。朝霞に司令部施設の新設と言っても以前作ったCRF用の立派な建物が未だあるはず。あれはどうなったのと・・・・そして座間のCRFの現在の建物はどうするのと・・・・

箱と上級司令部ばかり作ってどうするんですかね?

少なくとも以前、議題に上がった東方を廃止してCRF吸収。総体の母体にするなりのスクラップアンドビルドすべきでしょうに・・・・

ますます頭デッカチな組織になりますね。

ところで横須賀・田浦の海自の自衛艦隊司令部の整備がうたわれていますが、海に近すぎる自然災害の被害受ける可能性が高い上に、バックアップすべき護衛艦隊司令部が近傍過ぎる(横須賀総監部も近い)。
もう少し配慮が必要なのではと思います。

しやもし 様
てっきり、座間になるものとばかり思ってましたから。

香港からの客人 様
朝霞と座間は、中央との連携のしやすさという点では、大差ありません。

従来から、災害時の中央指揮所機能を受け入れるため、施設整備されているので、お金がかからないというのもあるでしょうが、米陸軍の出番がないという点が、最大の要素だと思います。

myu5 様
骨抜きにされたとまでは思いませんが、無駄な中間組織が残ってしまったと思っています。
やはり、ポストのためなんでしょうね。

yomoyama 様
グレーゾーンは、やはり、あまり関係無いと思います。

フォースリーコンのような任務は、水陸機動団になるかどうかは、状況次第ですが、当然陸自がやることになるでしょう。

しかし、そうした重要情報を、即座に官邸まであげる必要があるのは、現代では海空も変わらないとおもいます。

ドナルド 様
他国に行く場合、アメリカ軍を始め、諸外国軍と共同することが多いと思いますが、それ以上に連携をとらなければならないのは、展開先となる国の政府です。
軍にとどまりません。

その場合、日本政府としても、防衛省と同等か、むしろそれ以上に外務省からの調整が重要です。

別の方へのレスでも書きましたが、朝霞と座間では、東京までの距離に大差はありません。
絶対的な数値では、市ヶ谷との距離では倍ほどにも違いますが、簡単に都心に出ることができるという点では同じです。

エンリステッド 様
スクラップビルドについては、相当言われていたのに、結局こうなりましたね。

自然災害やバックアップとなる自衛艦隊司令部の問題は、もっと以前から言われていました。
自衛艦隊の場合、陸上に司令部が上がったのは、もう50年近くも前なのですが、災害や被害にたいする冗長性の確保など、陸・空に対して意識は低いですね。
基地警備についても、軽視ぎみです。

旧軍は、いろいろと考えていたみたいですが。

>海自施設

海に面する場所に作るという変な風習がありますね(旧軍の施設を引き継いだせいも有るでしょうが)

平成の世に作られた日本海側の舞鶴のヘリ基地もワザワザ海に面する位置に作ってます。東日本大震災後に計画されていたら果たして海に面する位置に作られたかは疑問が有ります

エンリステッド 様
潮風が……なんて話は聞きますね。

そんな意味のない伝統を守る必要はないと思うのですが……

もしかすると、土地が安いと言うのもあるのかもしれません。

サマーフェスタで舞鶴航空基地に行きましたが、島(山)に囲まれている呉基地と同じ印象でした。
日本海に直接面していないのに驚きました。
日露戦争時からある天然の良港ですし、大津波による被害は考えられないようです。

ただ、基地警備用の独自の(陸上の)対空火器や機動戦闘車ぐらいは配備してほしいですね。
PAC-3発射基は一基展示してましたが(^_^;)

タコ 様
舞鶴は行ったことがありませんが、航空基地は海に面している必要はないですね。

海自は、港湾さえあれば、自衛隊基地でなくとも艦船の補給などは可能なため、空自に比べると警備の意識は低いです。

テロもあり得るのですから、もう少し考えるべきだとは思っています。
ちなみに、以前は基地防空用に短SAMを持っていました。

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