公正な報道のためには、広告規制とかが必要では?
ベトナムでの韓国軍による慰安所運営という、とびきりのスクープを報じたTBSの山口敬之ワシントン支局長が、懲戒処分を受けた上、左遷されました。
「韓国軍のベトナム慰安所報道で処分、「左遷」 TBS山口敬之ワシントン支局長に激励の声相次ぐ」(Jcast150428)
山口氏はフェイスブックで、報道で問い合わせが多かったとして自ら説明した。そこでは、4月23日付でワシントン支局長の任を解かれ、営業局への異動を命じられたのは事実だと認めた。また、懲戒処分もあったとした。その理由としては、「週刊文春への寄稿内容ではなく、寄稿に至る手続きが問題とされました」と明かした。
懲戒・左遷は、寄稿に至る手続き上の問題とのことですが、TBSの金で取材を行い、それを社内の許可を得ずに他社のメディアに寄稿したのですから、企業としては、ある意味当然の処分です。
ですが、こんな理由は、TBSや山口氏がどう言おうとも、建前に決まっています。
そもそもなぜTBSが報じなかったのかとさらに質問があったが、山口氏は、「会社が私の取材成果を報道しなかった真意は、私にはわからない」と繰り返した。ただ、「事実は揺るぎなく、世に知らしむべきニュースと考えて公表に踏み切りました」と説明している。
山口氏は、企業人として当然の姿勢として、自社で報道しようと努力されたようです。
ですが、TBSは、これだけの価値のある情報を報道せず、ある意味闇に葬ろうとしたのでしょう。
TBSが、この情報を報じないという判断した理由は不明です。
ですが、韓流が流行っていた頃、コンテンツを確保するため、フジテレビの姿勢が韓国寄りになったように、営利企業であるテレビ局は、利益確保に悪影響が予想される情報はシャットアウトします。
韓流ブームが過ぎ去った現在では、影響したのは、恐らくコンテンツの確保ではなく、広告主の確保でしょう。
韓国企業はもとより、在日韓国人と関係の強い企業は、TBSがこうした報道を行えば出稿を取りやめるというような動きを取ることが予想されます。
また、日本企業でも韓国での売り上げの大きい企業は、このTBSがこの報道に踏み切れば、TBSに出稿している企業として、韓国内での不買運動を受けるなどして売り上げに影響があると予想したかもしれません。
雑誌など、書籍は収益に占める広告の比率が、テレビほどではないため、今回の文春のようにこうした情報も報じることができます。
しかし、民放テレビ局は、コンテンツのDVD化などで多少の利益は得ているものの、収益源の大きな比率を広告収入に依っています。(TBSは、不動産収益も多いみたいですが)
こうした、ビジネススキームであるが故、今回の事件のように、既に公正な報道ができなくなっていると言わざるを得ません。
外国企業による広告出稿に対し、一定の制限をかける等、なんらかの規制を行わないと、民間企業による公正な報道は、維持できないかもしれません。
« THE PAGE で書かせて頂きました。「軍事的意味はない? でも意義がある米海兵隊の沖縄駐留」 | トップページ | 北朝鮮SLBM発射画像が合成である決定的理由 »
「メディア」カテゴリの記事
- ぶれない沖縄メディア(2016.01.30)
- 辺野古移設反対! またしても誤った印象操作を行った在沖紙(2015.09.17)
- 災害報道におけるヘリ規制の必要性(2015.09.12)
- 公正な報道のためには、広告規制とかが必要では?(2015.04.29)
- 風刺画問題は何だかセクハラに似ている(2015.04.05)
コメント
« THE PAGE で書かせて頂きました。「軍事的意味はない? でも意義がある米海兵隊の沖縄駐留」 | トップページ | 北朝鮮SLBM発射画像が合成である決定的理由 »
数多様
おっしゃりたいことはよくわかります。
ベトナムでの韓国軍の従軍慰安婦施設は、以前から有名でしたよね。清谷さんかどなたかが、以前からおっしゃっていましたから。
申し訳ないことにこの文春の記事は読んでいないのですが(文春の記事、少なくともつり革広告を見る限りでは、買う気に全くならないので)、TBSがこの「有名な事実」が米国の公文書で裏付けられたことを報道しなかったことは、不可解です。もちろんこれを日本政府がやったら、外交問題ですが、報道の自由のある日本の報道機関がやる分には、なんの問題も無いはずです。報道しなかったことは批判されてしかるべきでしょう。
それがスポンサー問題に起因しているとすれば、それが問題であることも確かだと思います。
ここまでは、全面的に賛成いたします。
一方で、規制を議論するときに、外国企業だけを槍玉に挙げるのは、よろしくないと思います。全ての企業が問題であり、そこを外すと、議論が明後日の方向に進んでしまうと危惧します。「外国企業による広告出稿に対し、一定の制限」することは、物事をある方向に傾けるだけで、物事の解決にはつながらないと、思います。
#小さな話ですが、そもそも、外国企業の定義から始まりますし。。例えばホンダは日本企業ですか?日本マクドナルドは?ケンタッキーは?ロッテは?ディズニーは外国企業だけど、オリエンタルランドは?私の勉強不足かもしれませんが、うまく定義できるとは思えません。
自動車会社は、自社の車の悪い噂を報道されたくない。
製薬会社は薬害の報道はしてほしくない。
携帯各社は、2年縛りなどの契約の不透明性の報道をされたくない(個人的には2年縛りのなにが悪いのか、全く分からんのですが。事前にしっかり説明受けてますし。。。おっと脱線、脱線)。
電力会社は原発の廃棄物処理問題の解決が、まるで進んでおらず、それが原発の発電経費にきちんと(保証金まで含めた額で)計上されて「いない」ことを報道されたくない。
幾らでもあります。
報道各社は、スポンサーをつなぎ止めるために、こうした「不都合な」報道はしたくないというバイアスが、かならずかかる訳です。これまでは、報道局の人たちが「気概」でこれを跳ね返してきた訳です。一方でこの「気概」は、まさに「偏向報道」の温床でもありました。朝日もしかり、産経もひどいもんです。価値観が多様化している上に、企業統治の問題がますます杓子定規になりつつある今日、「気概」で報道をするのは、うまく行かなくなりつつある。
であればこそ、スポンサーに影響されない、「報道機関」が必要な訳です。
スポンサーの禁止は、有効な手段ではないと思います。バラエティ番組やドラマは、自由にスポンサーがつけば良いので、問題ではありません。報道だけが問題なのです。言い換えると、スポンサ−で支えられているテレビ局が、報道をしていることが、本質的に矛盾を抱えているのです。
NHKをやめられた堀潤さんなどが目指しているのも、この問題の解決です。
ネット時代の今、ネット上の情報に嘘や誤解が沢山含まれていることが、物事を難しくしています。報道機関には、事実を自ら確認した上で、ある程度の責任を持って報道する役割が求められる訳です。こうしたスポンサーの無い報道機関、あるいは通信社を、「複数」育成して行くことができれば、一番良いのだと思います。
例えばそれは、ふるさと納税(名前は納税だが、法律上は「寄付行為」のはず)みたいな制度設計で、こうした報道機関に国民が直接寄付できる、寄付した額は一定額(一人当たり10万円までとか?)まで税金から引かれるようにすることではないでしょうか?これも、(ふるさと納税でやり始めたように)サラリーマン全員に自動的にこれができるような仕組みにしないといけません。
寄付行為の主体は、国民にすることが重要です。政府はしばしば嘘をつくので、政府や税であってはなりません。(具体的な問題は、皆さんの「嫌いな政党」がなにかの弾みで政権を取った場合を考えれば、容易に想像できると思います)
まあ、まだまだ空論で、解決にはほど遠いのでしょうけど。。。
投稿: ドナルド | 2015年4月29日 (水) 23時09分
更新ご苦労様です。
広告規制よりもNHKを大幅改革して、裏どりがキチンと為されているものは
必ず放送させるとしたほうが確実と思えます。 ニュースバリューの高いものは
メインの時間帯に、低いものは日中や深夜とすればよいと考えますが・・・
まぁ、改革よりも新たにニュース専門チャンネルを作ったほうが早いでしょうが。
投稿: 末田 | 2015年4月30日 (木) 20時37分
基本的に報道する、しないは報道の自由の範疇でしょうね。
TBSの規定はよく分かりませんが、他社媒体への寄稿の許可とか制限は朝日なんか厳しいですよね。
投稿: しやもし | 2015年5月 1日 (金) 06時32分
ドナルド 様
私も、広告規制がベストの方法だとは思っていません。
なので、「とかが必要では?」と書きました。
何らかの規制、あるいは防止手段が必要だと思うんですよね。
外国人、外国企業による株式の保有制限は行われてますが、それだけでは足りないと思われるのです。
末田 様
私もCNNのような、ニュース専門チャンネルは必要だと思います。
しかし、それが中国の息がかかっていたりしたら問題ですが……
しやもし 様
する、しないの自由の範囲だとは思います。
問題は、その判断が、外国への配慮によって決められている点です。
投稿: 数多久遠 | 2015年5月11日 (月) 01時28分
数多様
お返事ありがとうございます。
私が賛成できないのは、「外国」だけをターゲットにしていることです。既に示したように、報道番組には、もっと言えば、報道番組をもつテレビ局には、英米フランスなどの企業も、広告を出せないことになります。
自動車で言えば、トヨタやホンダの宣伝はできるけど、ベンツ、BMW、VW、ヒュンダイそして日産の宣伝はできない。買い物系ならイオンや7&i、ソニーやNEC、東芝、日立はできるけど、amazonやIKEA、apple、マイクロソフト、ダイソン、マクドナルド、ミスド、ロッテの宣伝はできないということです。
そういう局があってよいとは思いますが、全てがそうなると、圧倒的な非関税障壁ですので、大変な外交問題になりますし、私自身、そんなことが健全とは思えません。
例えば、報道に特化した局を3-4つほどたて、それぞれ赤旗ベース、産経ベース、朝日ベース、読売ベースにすればよいのです。当然、どの局も、「事実」をねじ曲げて報道しては行けない。しかし、解釈は自由だし、印象を操作することは防げないので(防ぐべきでないと思います)、背後にあるイデオロギーを明確にしてもらうのです。そして、お互いの報道を一定限度(例えば全放送時間の10%以下、かつ深夜枠という制約で)批判してもらう。特に、過去のそれを批判し合う(ここはなかなかのエンターテインメントになると思うのですが。。。)。
#現在、TV局同士はお互いに批判し合いませんよね...
通常の局は、報道はしない。全てバラエティー、ドラマ、自然紀行などだけにする。
というのはどうでしょう??(笑)
投稿: ドナルド | 2015年5月12日 (火) 22時54分
補足です。
この「報道に特化した局」だけ、外国企業の広告を禁止すれば良いのでは?
という肝心なことが抜けていました。。。済みません。
投稿: ドナルド | 2015年5月12日 (火) 23時03分
#またまた済みません。途中で送ってしまいました。(できれば上のモノを削除願えませんでしょうか?)
補足です。
この「報道に特化した局」だけ、外国企業の広告を禁止すれば良いのでは?
という肝心なコメントが抜けておりました。
また、「外国」だけが問題ではなく、特定の企業や勢力が報道をねじ曲げることが問題なのですから、本来は最初のコメントに示したように、市民/個人からの寄付で動くのが良いでしょう。しかし日本の文化だとそうも行かない。
そこで次善の策として、各局で、外国禁止だけでなく、自動車禁止、薬剤禁止、家電禁止、電力ガス禁止、農協禁止などの「個性」を持たせるのです。そして各局はその「個性」を公約に掲げ、それを売りにして報道する。
Aという局は、絶対に自動車企業関連の広告を受けないので(会計報告は全公開を義務づける)、そこが報道する自動車関連の内容は、バイアスはかからない。自動車の広告を受け付けている局も、別に自動車関連の報道をしても良いのですが、「深夜枠」の「過去の報道批判」番組で、他局から激しく突っ込まれる。
Bはエネルギー関連の広告収入を受けないので、原発や原油価格、CO2などの話題に、バイアスなしで報道できる。
Cは薬剤関係の広告を受けないので、薬害関連の報道はバイアスが入らない。
いずれも「バイアスが入るかもしれない局の報道と比較する」ことが大事で、報道そのものを禁止するものではありません。
という感じです。。。どうでしょう? .....
うーん、、分かりにくいですね。。。済みません。。。
投稿: ドナルド | 2015年5月12日 (火) 23時11分
ドナルドさんの熱意に触発されて、私も思いつく範囲で。
1)記者クラブの完全廃止
2)通信社配信記事以外は紙媒体もweb媒体も完全署名形式の記事に
3)事実のみを取材報道するような健全な独立系メディアを国民の寄付で育成
4)完全外資の日本専属報道メディアの誘致
(3と4の達成ハードルは非常に高いと思われますが)
1)はまぁ異論はあまりないかと思います。
2)は著述者個人の責任の明確化と、問題記事への読者層との討論や
批判的議論を成立させる最低条件としても。(また、そういった場も設けるべき)
3)は経営の健全性や偏向思想の排除が難しいかもしれませんが。
また、それら弱小メディアにもCSチャンネルなどでの一定の報道する
権利の保証も必要かもしれません。
4)外国企業の広告出資禁止とは逆の方向と言えるかもしれません。
外資であるという事実を明確にしながら日本で報道する許可を、
電波法であるとか関連法規の改正などによって外資報道機関に
与えれば日本の暗部やタブーに関する報道が期待できるかな、
などと期待するところであります。(CNNやWSJなどとはまた違った、
日本のみに立地する他国資本の報道企業、なんてイメージです)
見る人が見れば失笑するようなアイディアかもしれませんけど・・・
投稿: yomoyama | 2015年5月13日 (水) 02時32分
ドナルド 様
yomoyama 様
具体的な方法は、本当に難しいと思います。
私は、正直あまり具体的には考えていません。
何か必要だとは思うのですが、難しいですね。
根本的な問題は、欧米諸国であれば、広告を出していたところで非難しないような内容を、非難したがる近隣国が存在するってことなんですが……
投稿: 数多久遠 | 2015年5月19日 (火) 01時53分
広告がないNHKが公正な報道してますか。
主張は尊王攘夷としか思えません。
国内企業や農協だって大概ですよ。
投稿: ハイジ | 2015年5月24日 (日) 01時31分
ハイジ 様
広告出稿に制限がないと、事実上、報道を操作可能であることが問題なんです。
NHKの問題は、また別の要素です。
投稿: 数多久遠 | 2015年5月27日 (水) 23時26分
数多様
>広告出稿に制限がないと、事実上、報道を操作可能であることが問題なんです。
ここは賛成ですが、だからと言って外国企業の広告を制限する、となると、同じ理屈で、例えばアメリカでホンダやトヨタが宣伝を出せなくなります。韓国でも中国でも、です。それが国益にかなうとは思えません。つまり広告に制限をかける方法は、現実的でも、健全でもないと思います。
また本質は外国かどうかではなく、報道が広告の影響を受けることではありませんか?外国云々は、数多さんが気になさるのは理解しましたが、原発反対派は電力会社の広告を気にするでしょうし、薬害と戦っている人たちは、製薬会社の広告を気にするでしょう。つまり、制限の対象とすべき分野について、国民的な合意を得ることも難しい。
むしろ、
・どの局がどの企業から幾らの資金を得ているかを見える化し、
・報道番組の冒頭で、毎回必ず3分かけて報告する義務を課し
・報道のdiversityを確保するために、出来る限り、局同士でスポンサーの重なりを無くし
・しかも局同士でお互いの報道を(報道だけで良い)批評、批判する番組を義務づければ
よいのではないでしょうか?
どうでしょう?
投稿: ドナルド | 2015年5月29日 (金) 01時34分
ドナルド 様
前にも書きましたが、私も問題だと認識はするものの、単純な広告規制が適切な方法だとは思っていません。
広告の見える化は、良い方法かもしれませんね。
今でも、どれだけCMが流れたかは、積み上げが大変ですが、データは出ています。ただし、金額までは公開されていません。
金額ベースで、データを出させたら良いかもしれません。
投稿: 数多久遠 | 2015年5月31日 (日) 14時55分