木村さんの誘導アンケートを見て笑ってしまった
BLOGOSに掲載されていた木村正人氏の記事を見て、笑ってしまった……というのはウソで、実際には呆れました。
「後藤さん殺害か、「身代金の支払い容認」6割「自衛隊が海外の邦人保護」賛成57%」
身代金の支払い容認派が6割とのことですが、印象操作が酷い。
詳しくは、前掲リンクを見て頂きたいですが、まず設問・選択肢は次の通りです。
設 問
テロリストの身代金要求に応じるか否か?
選択肢
・愛する人を救うために家族が身代金支払いに応じるのは許される
・新たなテロの資金源になるので応じてはいけない
全般的に、意図的か否かは断定できませんが、英語などでは不可能な主語の省略が行われています。
今回のISによる身代金要求は、日本政府に対してのもので、多くの人は「テロリストの身代金要求に応じるか否か?」と聞かれた時、脳内では主語として「日本政府」を補って考えますし、結果を聞いた時も、そう聞いてしまうでしょう。
一方、選択肢では「愛する人を救うために家族が身代金支払いに応じるのは許される」とされており、身代金を払うのは「家族」であるとしています。
この点からすれば、設問の主語も、「日本政府」ではなく「家族」であるはずです。
なお、もう一つの選択肢は「新たなテロの資金源になるので応じてはいけない」なので、主語はどちらにも取りようがあります。
つまり、ぱっと見には、日本政府が身代金支払いに応じるべきか否かと問われ、6割の人が容認したと思えるアンケートですが、実際には家族が身代金支払いに応じるかどうかを聞いているアンケートなわけです。
家族が誘拐されれば、身代金を支払ってでも取り戻したいのが、当然の人情です。
テロリストに妥協すべきではないが基本スタンスの私でさえ、個人的になら、支払ってでも、開放を目指します。
アンケートにおける印象操作では、先日、同じBLOGOSに、なかなか秀逸な記事が載っていました。
「朝日新聞の誘導アンケートを見て笑ってしまった」
(ちなみに、本記事のタイトルは、この記事タイトルをもじったモノです)
操作の手法としては、朝日の方が高尚(言葉を操るテクニックとして)ですが、手法が高尚なだけに引っかかる人が多いことを鑑みれば、より低俗ではあります。
木村氏のアンケートは、主語を省略すると、読者が自動的に補って読む、その際に、誤った補い方をする可能性が高いような書き方をしているだけなので、それなりに国語力があれば引っかかりません。
ですが、ジャーナリストとしては、使って良い手法ではないはずです。
なお、メディアによる印象操作としては、これもBLOGOSですが、良い記事が載っています。
「教科書に載せたい朝日新聞世論調査の見事な誘導テクニック〜「このような憲法に戻ってはならないと思いますか。戻ってよいと思いますか。」」
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コメント
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ブロゴスの三番目のコメントに、数多先生のブログのご紹介があって笑っちゃいました。
元産経の記者ですか。やることが朝日と変わらんもですね。
木村正人 在英国際ジャーナリスト
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。
憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。
産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。
2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。
著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
Twitter@masakimu41
Facebook kimura.masato.927
木村正人のロンドンでつぶやいたろう
投稿: しやもし | 2015年2月 1日 (日) 17時02分
更新ごくろうさまです。
木村正人、フリーのジャーナリストのようですが、、、
何故、こんな見え透いた印象操作をやろうとするのでしょうか・・・
反日を誘導し特亜に迎合するポチ記事を書けば残飯のカケラにでも
ありつけるのか? と疑ってしまいました。
日本政府は、拉致・拘束された日本人を救助する義務と責任がありますが、
前提として、匪賊とその予備軍を付けあがらせない範囲においてとなります。
とはいえ政府がこれを明言することは憚られるでしょうから、本来なら
ジャーナリストを名乗る者達が云うべきことと思っています。
朝日新聞や田原総一郎は言うに及ばず、海外在住でフリーランスを標榜
する者までが反日勢力に蚕食されているのか? と思え暗澹とさせられます。
投稿: 末田 | 2015年2月 3日 (火) 08時39分
しやもし 様
あのコメントは、私ではないですよw
木村氏は、興味深い記事を書く時もあるんですが、今回のは……
末田 様
テロに対するジャーナリズムについては、元来のジャーナリストではなく、元外交官で、登山家野口健氏のお父さんである野口雅昭氏の記事が、良かったですね。
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/4818452.html
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/4817040.html
中東に関しては、マスコミ報道より、この野口氏のブログを見ている方がいいです。
投稿: 数多久遠 | 2015年2月 3日 (火) 20時52分
数多様
>野口雅昭氏の記事
紹介、ありがとうございました。 本来、かくあるべきと思います。
欲を言えば、拉致からの救助にも優先順位があると言って欲しいものです。
1=国内からの拉致、 2=渡航規制がない国での拉致、 3=禁止国からの拉致。
取り急ぎのお礼でございます。
投稿: 末田 | 2015年2月 4日 (水) 07時52分
末田 様
救出については、能力の問題もありますので、優先順位付けは難しいのではないかと思います。
どうしても、ケースバイケースにならざるを得ないかと。
投稿: 数多久遠 | 2015年2月 7日 (土) 15時12分