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2015年2月

2015年2月 1日 (日)

木村さんの誘導アンケートを見て笑ってしまった

BLOGOSに掲載されていた木村正人氏の記事を見て、笑ってしまった……というのはウソで、実際には呆れました。
後藤さん殺害か、「身代金の支払い容認」6割「自衛隊が海外の邦人保護」賛成57%

身代金の支払い容認派が6割とのことですが、印象操作が酷い。
詳しくは、前掲リンクを見て頂きたいですが、まず設問・選択肢は次の通りです。

設 問
テロリストの身代金要求に応じるか否か?
選択肢
・愛する人を救うために家族が身代金支払いに応じるのは許される
・新たなテロの資金源になるので応じてはいけない


全般的に、意図的か否かは断定できませんが、英語などでは不可能な主語の省略が行われています。

今回のISによる身代金要求は、日本政府に対してのもので、多くの人は「テロリストの身代金要求に応じるか否か?」と聞かれた時、脳内では主語として「日本政府」を補って考えますし、結果を聞いた時も、そう聞いてしまうでしょう。

一方、選択肢では「愛する人を救うために家族が身代金支払いに応じるのは許される」とされており、身代金を払うのは「家族」であるとしています。

この点からすれば、設問の主語も、「日本政府」ではなく「家族」であるはずです。

なお、もう一つの選択肢は「新たなテロの資金源になるので応じてはいけない」なので、主語はどちらにも取りようがあります。

つまり、ぱっと見には、日本政府が身代金支払いに応じるべきか否かと問われ、6割の人が容認したと思えるアンケートですが、実際には家族が身代金支払いに応じるかどうかを聞いているアンケートなわけです。

家族が誘拐されれば、身代金を支払ってでも取り戻したいのが、当然の人情です。
テロリストに妥協すべきではないが基本スタンスの私でさえ、個人的になら、支払ってでも、開放を目指します。

アンケートにおける印象操作では、先日、同じBLOGOSに、なかなか秀逸な記事が載っていました。
朝日新聞の誘導アンケートを見て笑ってしまった
(ちなみに、本記事のタイトルは、この記事タイトルをもじったモノです)

操作の手法としては、朝日の方が高尚(言葉を操るテクニックとして)ですが、手法が高尚なだけに引っかかる人が多いことを鑑みれば、より低俗ではあります。

木村氏のアンケートは、主語を省略すると、読者が自動的に補って読む、その際に、誤った補い方をする可能性が高いような書き方をしているだけなので、それなりに国語力があれば引っかかりません。
ですが、ジャーナリストとしては、使って良い手法ではないはずです。

なお、メディアによる印象操作としては、これもBLOGOSですが、良い記事が載っています。
教科書に載せたい朝日新聞世論調査の見事な誘導テクニック〜「このような憲法に戻ってはならないと思いますか。戻ってよいと思いますか。」

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2015年2月 3日 (火)

テロリストには、珍呼(ちんこ)運動で反撃しよう!

ISによる日本人人質事件で、日本のツイッターユーザーによるクソコラグランプリが、世界的に有名になりました。
しかも、一部では、これをISに対するカウンターテロとして有益であると評価しています。
イスラム国(ISIS)に対するツイッター利用者の攻撃と海外からの評価
日本のネットユーザーたちはISISを打ち負かしている?

クソコラ自体は、単なるおふざけから始まったモノでしょう。
ですが、こんなおふざけには、日本人の文化的背景が影響していたのだろうと思うと、日本にできることは、難民支援だけではないことに気付かされます。

私自身も、ツイッターでクソコラグランプリを目にして、眉間に皺を寄せた口ですが、これらの記事を見て、またマトメでも晒されているIS関係者が作成したクソコラ返しを見て、確かにこれがIS関係者には、宣伝戦においてダメージを与えていることに気づかされました。
IS関係者が作ったとされる画像などは、もはや彼等もどう返したらいいか分からずパニックになっているようにさえ見えます。
Is

そして、このクソコラ攻撃が効果的であるなら、他にも取り得る手段がないかと考えた時、思い起こされたのは「珍呼(ちんこ)運動」です。

珍呼運動は、wikipediaにも記述のある暴走族の呼び換え運動で、暴走族を珍走団と呼び変える事で、イメージを悪化させ、参加者を減らそうという運動です。

この運動は、芸能人やネットの中ではそれなりに盛り上がったものの、マスコミが採用しなかったため、残念ながら、成功したとは言えません。
ですが、一部では、暴走族を揶揄する言葉として定着してもいます。

暴走族に対する、「ちょっとカッコイイ」的なイメージに傷を付けることは、いくばくかはできたと言えます。

ISに対しては、世界各国から参加者が集まっていますが、その理由の一つには、あの残虐的な手法を含め、彼等に力があるように、IS自身が宣伝戦を行っているためでもあります。

できればIS自体を呼び換えたいところですが、「IS」あるいは「ISIS」「ISIL」等も、ある意味呼び換えですし、固有名詞ですから、コレをこれ以上呼び換えることは難しいかもしれません。

ですが、「テロ」及び「テロリスト」「テロリズム」は、呼び換えても良いのではないかと思います。

「テロ」は、「恐怖」を意味するラテン語から派生した言葉で、英語でもTerrorは恐怖を意味します。

恐怖を与える者には、当然それなりに力があると認識されます。
テロリストがテロを行うのも、ISが殊更残虐な殺害を行うのも、根源は同じです。

ですので、この「テロ」等の言葉を、滑稽で、力が弱く、卑怯な存在であるような言葉に言い換えることができれば、非常に間接的ながら、カウンターテロとして機能するでしょう。

できれば、全世界的に、同じようなイメージを抱かせる言葉がいいですが、さすがに難しいでしょう。

現在、最悪なテロを行っているのがISやボコ・ハラムですから、彼等には理解可能な言葉であることが望ましいと思われます。
コーランに出てくる、滑稽で、力が弱く、卑怯な人物でもいれば、その人物から取るなどが良さそうな気がします。

言語毎に、違っても良いかもしれません。
日本の場合、近代のテロだと色がついてしまうので、古事記ですとか日本書紀から引っ張ってくるとか……古すぎるか……
私は、ネーミングは苦手なので、これ以上は書きません。

悪魔の詩訳者殺人事件で、テロリストに殺された五十嵐一助教授が生きていれば、アラビア語使用者にも通じる適当な名前を考えてくれたような気がします。

問題は、珍呼運動でもそうでしたが、一般化するかどうかです。
いいネーミングが出てきたら、どなたか影響力のある人が取り上げて、マスコミ報道を変えてもらうように、全世界的な運動にしてくれないかなと思います。

まずは、良いネーミングが必要です。
海外の方も含めて、誰か良い名前を考えて頂けないでしょうか。

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2015年2月 7日 (土)

オタクが風刺画やクソコラ以上にイスラムを不快にさせる可能性

日本のオタクが、シャルリー・エブド以上に、ISだけではない一般のイスラム教徒にまで、不快な思いをさせる可能性が高まっています。

それは、キリスト教の聖遺物の名を付けたオブジェを、イスラムのシンボルである月に突き刺すという行為です。

詳細に言うと、アニメ「エヴァンゲリヲン」に出てきた「ロンギヌスの槍」を、ロケットで月まで運び突き刺そうというものです。
時に、西暦2015年 「エヴァ」のロンギヌスの槍を月に突き刺すプロジェクトが始動」(ねとらぼ150130)

形状は、アニメで描写された形状ですが、「ロンギヌスの槍」という名前は、キリストの死を確認するために突き刺された槍で、刺したローマ兵の名前をとって「ロンギヌスの槍」と呼ばれています。キリストの血が付いた物体として、聖骸布や聖杯と並ぶキリスト教における聖遺物の一つになっています。
その名前が付いたミニチュア大のオブジェを、実際に月に刺そうというのです。

一方で、月はイスラムのシンボルとなっており、多くのイスラム教国の国旗に使われている他、イスラム圏における赤十字が、赤新月となっています。
Flag_of_turkeysvg
トルコ国旗(wikiより)

この行為に対して、金木犀氏が、ブログ「文系宇宙工学研究所」において「『ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト』に反対します」という記事を書いてから注目が集まり、資金を集めるクラウドファンディングのページにも反対意見が集まるようになってきています。
ネトラボも、反対意見を報じています。
「ロンギヌスの槍を月に」プロジェクトへ反対意見広がる 宗教的イメージ懸念、ネットでは賛否両論」(ねとらぼ150204)

この問題に対しては、私も金木犀氏と全く同意見で、プロジェクトには反対です。
プロジェクトを立ち上げた方々には、悪意は無いのでしょうが、思慮が足りないと言わざるを得ません。

これによって、テロが惹起されるかどうかまでは分かりません。
しかし、不快な思いを抱くイスラム教徒がいることは間違いないでしょう。キリスト教徒にしても、聖遺物の名を冠した物体を勝手に使われ、イスラムとのもめ事のネタになりかねない行為は、迷惑と思うかもしれません。

このクラウドファンディングは、目標金額1億円として1月30日に始まり、わずか1週間あまりで3400万あまりを集めています。
このペースで集金が進むと、〆切りの4月5日までには、余裕で1億円の集金を達成する見込みになっています。
(日程消化12%で、達成率34%)
Photo_2

クラウドファンディングREADYFORのスクショ
エヴァンゲリオン20周年ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト

プロジェクトを立ち上げた方々は、営利だけが目的で、シャルリー・エブドのような政治性は、全くないのでしょう。
そのため、金木犀氏の反対意見に対して、「ウザイ!」と言った罵声めいた意見を言うアニメファンもいます。

しかし、誰であれ、その行為によって嫌な思いをするのであれば、そのような行為をしないのが日本人の美徳であるはずです。

実際に資金が集まってしまえば、打ち上げを請け負うのがアメリカ企業であるため、アメリカ政府及び日本政府がストップをかけるかもしれません。
しかし、その前に反対意見を盛り上げて、このプロジェクトを推進している「『ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト』実行委員会」と「HAKUTO」が、プロジェクトを中断してくれることを望みます。

この実行委員会は、有志企業、メンバーなどにより構成されているとありますが、ちょっとググっただけでは、どこがスポンサーなのかは分かりませんでした。
ですが、恐らくエヴァの版権を持つ企業その他でしょう。
企業が判明すれば、そこに抗議すべきと思いますが、分かりませんでしたので、こうして声を上げることにしました。

ただし、月はイスラムのシンボルとは言え、現実の月というより、トルコ国旗や赤新月旗にあるような三日月の形象がシンボルとなっています。
これには、もともとこの三日月がビザンチオン(現イスタンブール)のシンボルだった事が関係しており、コーランとの関係が薄いため、それほど不快感をあたえるものではないかもしれません。
しかし、ほとんど意義のない趣味の行為に関わらず、懸念だけがあるのですから、やはり不適切なのは間違いありません。

なお、このニュースについては、既にAFPが海外にも報じていますが、今のところ海外からの反応はわかりません。
「ロンギヌスの槍を月に刺そう!」エヴァンゲリオン20周年」(AFP150207)

しかし、海外の反応より前に、日本人の手で止めさせるべきです。

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2015年2月11日 (水)

陸自火力の大幅削減は危うい?

軍事に興味を持つネット民の中には、俗に戦車教団などと揶揄され、戦車・火砲万能主義とも見て取れる主張をする方々が相当数います。

彼等は、1年ちょっと前の2013年末、民主党政権が策定した22大綱で大幅削減された戦車・火砲が、自民党政権下で復活することを期待していました。
しかし、自民党が政権を奪還し、安全保障に積極的な安倍政権下で策定された25大綱において、戦車や火砲は、民主党政権下以上の削減が決定されました。

それによって意気消沈したのか、戦車教団の有力メンバーのほとんどが、ちょうど流行りだした萌えミリブラウザゲームに没頭して、戦車万能を唱える声は、最近ではかなり小さくなっています。

ですが、そうした主張の方は、ネットに限らず、マスコミにもいらっしゃったようです。
陸自火力の大幅削減は危うい 中静敬一郎」(産経150131)

 陸上自衛隊の戦車と火砲の大幅な削減が進められている。一昨年末の新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画により決まったものだ。

 だが、これで有事に即応できるのか、という不安と懸念がくすぶり続けている。防衛費は3年連続で増えるものの、肝心の防衛力が弱体化するという奇妙な事態が生じている。

中略

 一方で周辺国の火力は、中国(火砲8320門、戦車6840両)が示すように質量とも日本を凌駕(りょうが)している。しかも中国の着上陸侵攻能力の強化は顕著だ。日本の火力の弱体化は「戦力の空白」に映る。自らで撥(は)ね返す抑止の力を強めなければ、危難を乗り越えられない。


当たり前の話ですが、防衛力は、戦車と火砲だけで決まるモノではありません。
現大綱は、戦車や火砲を削減し、その分海空戦力を増強して、侵攻する敵戦力を洋上で撃破しようというコンセプト(ドクトリン)の下で作られています。

このコンセプトに異を唱えるなら、そう主張すべきですが、引用部分以外を含めても、そのような記述はありません。

現状、中静氏が主張する中国だけでなく、ロシアにも日本に着上陸侵攻するような戦力はありません。
洋上で撃破するというコンセプトが、十分機能する環境にあると言えます。

現大綱は、むしろそのような大規模着上陸ではなく、中国が行う可能性の高い(蓋然性のある)離島を巡る争いに効果的に対処する点に主眼を置いています。
そのためには、海空戦力と、陸自では普通科や水陸機動団のような軽量で機動力の高い戦力の方が有用と判断され、それらの増強が計られています。

現大綱が発表された日、ネット上では、戦車教団の方々がパニックを起こしたような状態でした。
専守防衛を旨とする日本は、洋上撃破するよりも、九州に着上陸してきた敵戦力を、地上で後退しながら漸減させ、東京の手前で撃破すれば良いなどという意見さえあったくらいです。

中静氏は、そこまで言っていませんが、洋上で撃破するという現大綱のコンセプトを否定し、海空戦力の増強に回す予算を戦車・火砲の維持に充てるなら、結果的には同じ主張であると言えます。

今後、陸自の戦車部隊が、中東で戦闘するなんてことも、可能性としてはゼロではありません。
しかし、人質救出のために必要な装備ではありませんし、300両もの戦車を持って行く必要は生じないでしょう。

単に、装備の数ではなく、それをどの様に用いて、どの様に戦うかを考えないと、実戦で有効で、費用対効果の高い防衛力整備はできません。

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2015年2月14日 (土)

朝日に欠けている重大な視点_自衛隊による人質奪還

週間朝日が、自衛隊による人質奪還作戦実施に対して、一言で言えば、「難しいから反対」という主旨の記事を載せています。

「人質救出なんて無謀」との声も これだけ難しい自衛隊・人質奪還作戦」(週刊朝日150211)

ISによる日本人殺害を受けて、自衛隊の海外活動についての議論が活発になっていますが、スタンスのハッキリしている朝日は、やはり反対する側です。

しかし、さしもの朝日も、邦人救出という目的には反対できません。
憲法上好ましくないなどと言ったら、それこそ「憲法を変えろ」と言われかねないので、そうしたロジックも使えません。
結果、技術的に難しいから反対というロジックになっています。

確かに、人質救出は、国内であっても非常に困難なオペレーションで、それを敵性勢力の支配地域で実行することは、極めて困難であることは間違いありません。

困難である理由を列挙する週刊朝日の記事は、その点において、間違いではありません。
(細かな点では、突っ込みどころはいろいろとありますが)

しかし、この記事には、重大な視点の欠落、あるいは、それが意図してのものなら、隠蔽があります。
それは、
自衛隊が人質救出能力を持たなければ、交渉が極めて不利になるということです。

今回の2名の日本人人質では、要求から殺害まで非常に短期間でしたが、拘束時から考えれば、かなりの期間が経過しています。こうした人質事件では、要求から事件の解決に至るまで、年単位の長期間に及ぶことも珍しくありません。

その間、自衛隊に人質救出能力がなければ、テロ組織は大した監視要員を付ける必要も無く、生きながらえるだけの最低限の食事を与えるだけで、人質を確保することが可能です。

しかし、自衛隊にその能力があり、政府に救出を遂行する法的権限が与えられていれば、テロ組織は、多数の護衛を24時間付けなければなりませんし、拘束場所についても頻繁に移動させざるを得ません。

それによってテロ組織に対して与える物的・心理的負担は、何らかの交渉を行う際に、テロ組織を譲歩させるための圧力となります。

基本的に、身代金を支払うことには反対ですが、支払うことをで人質を開放させる場合でも、自衛隊に人質救出能力があり、政府にそれを実行する意志と権限があれば、テロ組織としても、長期の人質維持と交渉は大きな負担ですから、金額は低い額に抑えられるでしょう。

つまり
テロ組織としては、条件を妥協しても、早期に妥結しようと考えざるを得なくなるということです。

交渉の過程で、拘束場所や警備の情報が得られ、救出作戦が実行可能なら実行すれば良いですし、それが難しければ、救出作戦を行う姿勢を、テロ組織に対するブラフとして使用して、交渉圧力とすれば良いわけです。

自衛隊が人質救出能力を持ち、政府にその権限を与えることは、救出要員の訓練に多少のお金を要するものの、能力・権限を持たないことに比べれば、そのコストパフォーマンスは非常に高いものとなります。

人質救出作戦が困難であることは、その能力・権限を、自衛隊・政府が持つべきでないとする理由にはなりません。

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2015年2月18日 (水)

都民の税金で韓国に媚びを売る舛添知事

桝添知事が、都民の税金を使い、都内企業の仕事を奪って都の税収を減らしてまで、韓国を助けようとしています。

日本は教えてくれぬ」道路陥没「東京の100倍」で東京の技術力にすがる韓国ソウル市長の“必死”」(産経150212)

ソウルは、道路の陥没に苦しんでいますが、そこに光明を与えたのは、東京都内の調査会社ジオ・サーチ社でした。

 昨年12月に同社が主要地下鉄駅付近の道路約60キロメートルを無償調査したところ、わずか4日間の調査で未発見の地下空洞が41カ所発見された。うち18カ所は地表から30センチ以内の崩落リスクが高い空洞だったという。


ソウルでは、道路などの陥没が頻発しており、地中調査の必要性が高まっていますが、韓国内の技術では調査することができていませんでした。

ジオ・サーチ社は、そこに目を付けたわけですが、慈善団体ではない同社が、上記の無償調査をやったのは、当然営業活動の一環として技術力を示し、広範囲の地中調査を受注するためでしょう。

ところが……

 ジオ・サーチは空洞の分布や、補修の優先順位などを地図に示した報告書を提出した。これに対し、朝鮮日報は1月2日の社説で「韓国にはそうした作業の設備も技術もない」と自国を批判しつつも、「(日本企業は)正確な大きさや危険性の分析技術については秘密だという理由で教えてくれなかった」と“恨み節”をのぞかせた。


民間企業が、企業の生命線でもある企業秘密の分析技術を無償提供などするはずはないのですが、無償が当たり前のような感覚で捉えているようです。

それは、朝鮮日報に限らず、ソウル市長も同様だったようです。
結果、それに答えてくれる桝添東京都知事に泣きついた結果、東京都とソウル市の合意書締結となっています。

 6日までの日程でソウル市の朴元淳市長が日本を訪れたのに合わせ、東京都は2日、ソウル市と「道路陥没対応業務、技術的協力に関する行政合意書」を締結した。双方が都市の安全に向けて、お互いに技術を供与するという内容だ。道路陥没が社会問題となっているソウル市に、東京都が救いの手をさしのべた形だが、日本の道路点検・補修技術は韓国に比べ20年以上進んでいるとされる。相互協力とは名ばかりの“一方通行”の支援となりかねない。


これにより、産経の記事の通り、東京都からのほぼ一方的な技術供与が行われる結果になるでしょうから、この意味で、都民の税金が、ソウル市民のために、桝添都知事の意向により使われたことになります。

そして、それだけでなく、60kmにも及ぶ無償調査を行い、営業につなげるはずだったジオ・サーチ社は、仕事を取られた形になる可能性が高い。
結果的に、ジオ・サーチ社が都に収める税金も減る訳で、都民は2重に不利益を被ります。

こうした行政行為は、民業圧迫として、本来、行政が行ってはならないものとされています。
自衛隊が災害派遣を行う際にも、判断に必要な3要件の一つとして「非代替性」が盛り込まれ、民業を圧迫する際は、災害派遣を行うべきでは無いとされています。
参考過去記事
ハエ駆除における、災害派遣3要件の適用
雪害、自治体・自衛隊が災害派遣を躊躇ったワケ
自衛隊による防疫活動

外国での営利活動を妨害しても、民業圧迫ではないという理解なのかもしれませんが、桝添知事が、なぜそこまでして韓国に媚びを売りたいのかは理解に苦しみます。

多くの都民も同じ思いかもしれません。
ですが、都民が不利益を被っても、それを選択したのは、桝添知事に投票した同じ都民なのですから、仕方がありませんね。

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2015年2月21日 (土)

北朝鮮の弾道ミサイル潜水艦は、日本の脅威となるか?

日本国内では、ほとんど話題になっていませんが、昨年の夏から北朝鮮が弾道ミサイルを発射できる潜水艦を開発しているという情報が出ています。

これに対して、ミリタリー系ブロガーのdragoner氏も言及しています。
北朝鮮の弾道ミサイル潜水艦開発。日本への影響は?
ですが、基本的に日本には大した脅威は無く、この潜水艦は対アメリカ用だとしています。

北朝鮮が弾道ミサイル潜水艦とSLBMの開発を進めていたとして、それが日本への新たな脅威となるのでしょうか? 現実的には、日本にとって差し迫った脅威ではないと考えられます。

まず、弾道ミサイル潜水艦とSLBMの開発には高い技術力が必要で、そのいずれも実用域に入るには、まだ長い時間が必要と考えられます。

そして、既に日本全土が北朝鮮の陸上発射型中距離弾道ミサイルの射程圏内にある為、北朝鮮が新たに日本へ向けた新型ミサイルを開発する理由が薄いという点です。

弾道ミサイル潜水艦とSLBMとは、敵による核の第一撃を生き延びて、確実に核による報復を行うための高い生存性を備えた兵器システムです。日本が核武装していない以上、日本を相手に北朝鮮が新規で開発する類の兵器ではありません。

では、北朝鮮はなぜSLBMの開発を行っているのでしょうか。北朝鮮の目は、アメリカに向いているものと見られます。


北朝鮮が意識している対象国の第1がアメリカであることは、疑いようもないですが、意志の面でも、能力の面でも、日本の脅威でないとすることは早計です。

以下、この弾道ミサイル潜水艦と搭載されるであろうSLBMについて考察してみます。

まずは、潜水艦の方から見てみましょう。
現在の所、一番詳細な情報を報じているのは38NORTHです。
North Korea’s SINPO-class Sub: New Evidence of Possible Vertical Missile Launch Tubes; Sinpo Shipyard Prepares for Significant Naval Construction Program

衛星画像の解析から、船体の概略サイズは判明しています。
全長:65.5m
全幅: 6.6m
排水量:1000~1500t

Fig3_20150107newsub990x475
38NORTHより

これは、北朝鮮が保有していることが判明している潜水艦とはサイズが異なるため、新型艦であると見られています。
全長 ロメオ型:76.6m
    サンオ型:35.5m
     ヨノ型 :29.0m

一部報道では、ヨノ型のサイズを増やしたという情報もありますが、あまりにサイズが異なっており、私は疑問です。
サイズとしては、ロメオ型が近いですが、ロメオ型は2次大戦時の潜水艦に毛が生えたような代物の上、切って伸ばすことは可能でも、切って大幅に縮めることは難しいだろうと思います。また、艦首の形状も全く違います。

ロシアのキロ型、ラーダ型とは、サイズは比較的近いですが、どちらも北朝鮮は入手できていないはずです。

38NORTHでは、ユーゴスラビアのサバ型やヘローナ型とサイズが非常に近い事を指摘しています。
設計図を入手して、それを参考としたかもしれません。

38NORTHが、シンポ型(新浦市から取った?)と呼ぶこの新型艦(以下、この記事でも、以下シンポ型と記載)の性能、特に航行性能は、その起源がはっきりしないため、そこから推測することはできません。
ですが、艦首形状が水中航行に有利な半球状になっているため、水上艦のような艦首形状を持つ、北朝鮮の主力潜水艦ロメオ型より高い性能を持つだろうとは推測できます。
(もっとも、今更ロメオ型以下の艦を作る方が難しいかもしれませんが……)

もう少し分析が可能なのは、SLBMの搭載・発射能力です。

38NORTHでは、衛星写真の解析から、セイル上にあるSLBMを収める部分のサイズを縦4.25m×横(幅)2.25mと見ており、SLBMを1発もしくは2発搭載可能と分析しています。

普通の潜水艦のセイルには、潜望鏡などのセンサー類などが収められているだけで、ミサイル発射装置が収められることはありません。
ですが、北朝鮮は、決して奇特なことをしたわけではありません。
この方式は、北朝鮮が必死になってくず鉄として輸入した旧ソ連のゴルフ型潜水艦で実用化されていたレイアウトだからです。
北のミサイル潜水艦開発(上)「日本企業」の影
北のミサイル潜水艦開発(中) 阻止に動いた日本
北のミサイル潜水艦開発(下)自衛隊と対峙

ゴルフ型は、旧ソ連の通常動力型弾道ミサイル潜水艦です。
以降の型が、原子力潜水艦になったため、ほとんど忘れ去られたような艦ですが、北朝鮮が弾道ミサイル潜水艦を開発する上で、これほど参考になる船もないと言えるような艦です。

その理由は、
・通常動力型であること
・就役年がロメオ型と同じ1958年であり、ロメオ型と同等レベルの技術で作られていること
・小型の艦でありながら、弾道ミサイルを搭載可能とする特殊なレイアウトで作られていること

特に重要なのは、最後の点です。
弾道ミサイルは、発射時に、ほぼ垂直に打ち上がることが望ましいミサイルです。
しかしながら、小型の潜水艦では、船体内に弾道ミサイルを縦にレイアウトすることは困難です。
そこで、ゴルフ型は、船体から上に付き出したセイル内に弾道ミサイルを収めました。
しかも、それだけでは収まり切らなかったため、なんと、船底部にまで膨らみを持たせ、弾道ミサイルを縦にレイアウトしています。
Ssb_golfii
wikiより

さすがに、あまりに古いので、くず鉄として輸入したゴルフ型の船体をそのまま使っているとは思いませんが、参考にしていることは間違いないでしょう。

可能性の域を出ませんが、サバ型、もしくはヘローナ型の図面とくず鉄扱いで輸入したゴルフ型を参考に、一部部品はゴルフ型から流用しながら、新造艦を作ったのではないかと思われます。

だとすれば、艦としては、弾道ミサイルを水中から発射する能力を持っていてもおかしくはありません。
ですが、搭載するミサイルの対応も含め、水中発射には拘っていない可能性が高いように思います。

ミサイルの搭載数は、38NORTHが分析したとおり、最大でも2発でしょう。
問題なのは、搭載できるミサイルのサイズ、特に長さです。

ゴルフ型を参考にしていると思われるため、ゴルフ型同様に、船底に張り出しがある可能性が高いです。
そのため、搭載可能なミサイル長は、10mを越える可能性はありますが、15mに達することはないでしょう。
15m以上のミサイルを搭載したいのならば、セイルをもっと伸ばすはずです。

この点から、搭載される可能性のあるミサイルを絞り込めます。
以下、北朝鮮が保有すると見られる弾道ミサイルとその長さです。
 6.40m:KN-2
11.25m:スカッドB、スカッドC、スカッドER
12.50m:ムスダン
16.00m:ノドン
18.00m:KN-08
25.50m:テポドン1
33.30m:テポドン2

テポドン1、2は論外、ノドンは微妙ですが、翼幅が2.6mもあり、やはりシンポ型への搭載は無理でしょう。
サイズ的に、可能性が高いのはムスダン以下ですが、北朝鮮が搭載したいのはKN-08のはず(大陸間弾道弾なので)

この中でも、特に注目すべきなのはムスダンとKN-08です。
というのも、このミサイルは、原型が、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である旧ソ連のR-27と言われているからです。

KN-02とスカッドシリーズ(ノドン含む)は、SLBMがベースではないため、北朝鮮が独自改良しているとしても、水中からの発射は、おそらく不可能です。

ただし、浮上しての発射をする可能性もあるので、否定はできません。
特に、シンポ型は、ゴルフ型と同様に、格納式の潜舵が、艦首付近に装備されている可能性が高いので、完全に浮上せず、セイルだけを、水面上に出した状態で発射する可能性も考えられます。

一方で、スペック不明ながら有力な搭載ミサイルの情報は、つい先日行われたと見られる、KN-11ミサイルの水上プラットフォームからの発射試験情報です。
North Korea Flight Tests New Submarine-Launched Ballistic Missile

このKN-11ミサイルのサイズや射程に関する情報は、あちこち探してみましたが、今のところ見当たりません。
今回の発射試験自体は、大きな騒ぎになっていないため、恐らく長距離を飛翔させるものではなかったのだろうと思われます。

KN-という名前は、アメリカが付けている名前なので、名前から、KN-08やKN-2と技術的な関連性があるとは言えません。

しかし、前述のとおり、水上プラットフォームからの発射試験が行われたので、このKN-11は、R-27系統のムスダン、KN-08と技術的関連性のあるミサイルである可能性が高いものと思われます。

ゴルフ型に搭載されていたミサイルは、全長10.7mのスカッドAと全長12.9~14.3mとされるR-21でした。
あくまで推測ですが、シンポ型がゴルフ型より小型であることを考えれば、KN-11は、ムスダン以下の全長と射程を持つミサイルであろうと思われます。

ムスダンの射程は、3200km以上、4000km以下と見られています。
ですので、ここではこのKN-11ミサイルの射程を、ムスダンの下限と見られる3200kmであると仮定して、その戦術的価値を考察してみます。

グアムに対する、射点は、グアムから半径3200kmの範囲内なので、図のピンク色の部分になります。
3200
シンポ型は、それほど進出しなくても射点に着くことができますが、北朝鮮とは異方向から発射するという戦術的価値を得るためには、やはり相当な進出が必要です。

ちなみにハワイを攻撃するための射点は、次の通りですが、あまり現実的ではありません。
3200_2

これだけを見ると、シンポ型+KN-11には大した価値は無いように見えるでしょう。シンポ型の性能が、日米の対潜網を突破し、アメリカ本土に接近できる可能性が低いことを鑑みても、北朝鮮にとっては、最終的な開発目標である、アメリカに対する報復核戦力を作るためのテストベットでしかないようにも見えます。
冒頭リンクのブロガーdragoner氏も、そのように見ています。

ですが、コレはやはり早計です。
前掲38NORTHの記事でも、シンポ型が開発中であるため、現時点の脅威では無いとしつつも、これが韓国、日本、及び東アジアの米軍基地にとって脅威であり、SLBMによる異方向攻撃が可能になることから、弾道ミサイル防衛を行う上で、その計画・配備・運用の複雑性を増加させ、防衛を困難にすると述べています。

North Korea’s development of a submarine-launched missile capability would eventually expand Pyongyang’s threat to South Korea, Japan and US bases in East Asia, also complicating regional missile defense planning, deployment and operations. Submarines carrying land-attack missiles would be challenging to locate and track, would be mobile assets able to attack from any direction, and could operate at significant distances from the Korean peninsula.

Nevertheless, such a threat is not present today. Moreover, an effort by Pyongyang to develop an operational missile-carrying submarine would be an expensive and time-consuming endeavor with no guarantee of success.


ポイントは、日米(韓)が弾道ミサイル防衛態勢を構築しているため、北朝鮮が陸上に配備する弾道ミサイルは、その効果を相当程度減殺されることは確実で、無力に等しい可能性もあるなか、シンポ型+KN-11は、その弾道ミサイル防衛網を突破できる可能性がある点です。

その可能性は、上記38NORTHが指摘する異方向攻撃による複雑性の増加、及びKN-11が日韓の米軍基地を攻撃するためには、十分過ぎる射程を持つため、ロフト及びディプレスト弾道で攻撃が可能であることから生み出されます。

現在発売中の「軍事研究」3月号誌上でも、能勢伸之氏がノドンをロフト弾道で射撃し、ソウルを狙う危険性を書いていますが、日韓及び米軍基地の防衛を考えた場合、危険性が高いと思われるのは、ディプレスト弾道の方です。

ロフト弾道の場合、落下時に高速で垂直に近い角度となるため、PAC-3およびTHAADによる迎撃は困難になりますが、発見から対処まで時間的余裕ができる上、イージスSM-3による迎撃にはあまり影響しないため、弾道ミサイル防衛網全体としては、それほど大きな影響は受けません。

対するディプレスト弾道の場合、弾道ミサイルを低い角度、野球の打球に例えれば、ライナー性の弾道で飛翔させます。
KN-11を、どの程度の低高度で飛翔させることが可能かは未知数ですが、シンポ型が日米の対潜戦力に補足されにくい沿海州沿岸や東シナ海西部から日本までは2000kmもないため、飛翔高度を相当下げても到達させることが可能です。

そうなると、ムスダンクラスのミサイルを迎撃する主戦力であるイージスSM-3の最低対処高度が70kmであるため、KN-11のディプレスト弾道がこれを下回るなら、対処は不可能ですし、70kmを越えるとしても対処時間は相当短くなります。
その上、高度が低いため、発見自体が遅れます。

この、ディプレスト弾道によって発見が遅れるという点に、潜水艦のステルス性が加わると、より厄介なことが起きます。
参考過去記事:「脅威の旧式ミサイルJL-1(巨浪1号)
この記事で指摘した通り、弾道ミサイル防衛では、多くのレーダーが捜索範囲を絞って集中監視しないと早期のミサイル補足ができない訳ですが、潜水艦によって北朝鮮とは別方向から撃たれる可能性が出てくると、捜索レーダーのカバー範囲を潜水艦行動域にもかぶせなければなりません。
もし、シンポ型が計画した捜索範囲外に進出し、弾道ミサイルを撃てば、弾道ミサイル防衛網が、ミサイル全く補足できない可能性さえあります。
なお、レーダーによる弾道ミサイル警戒の困難性については、次の過去記事をご覧下さい。
BMDシステム総合検証の意義と妥当性 その1
BMDシステム総合検証の意義と妥当性 その2
対艦弾道ミサイルは無意味ではない
対艦弾道ミサイルの可能性について補足

なお、ディプレスト弾道の場合、当然に、目標に正確に命中させることは困難になりますが、そもそも核を使うならそれほど精度は必要ありません。

シンポ型、KN-11が稼働し、ディプレスト弾道によって日本及び在日米軍基地を狙うようになると、日本の弾道ミサイル防衛にとって、相当な脅威となります。
また、この2発しか撃てないシンポ型対処に、警戒レーダーなどのミサイル防衛リソースを費やせば、大量に撃たれる可能性のあるノドンの対処にも悪影響が出ます。

最も有効な手段は、シンポ型が停泊する港の近傍に常時潜水艦を待機させ、出航時から帰港まで間断なく追跡し、出航後、ミサイルを発射する恐れがある場合は、その前に撃沈することです。

つまり、冷戦期にアメリカの攻撃型原潜が、ソ連の弾道ミサイル潜水艦に対して行っていた事と同じ活動をすることです。
シンポ型は、通常動力型潜水艦なので、AIPも装備するそうりゅう型なら、余裕で追跡できるでしょう。

ただし、攻撃の権限を艦長に与えておかなければならないため、法的には厳しい点もあります。
法的に、艦長に撃沈させる権限を与えられないなら、日本の潜水艦も露頂して緊急の通報を行う事で弾道ミサイル防衛網を、シンポ型の上空にかぶせる事になるでしょう。

また、海自がP-1にハープーンだけではなく、マーベリックを搭載するのも、不審船等の対処ではなく、セイルだけを出してミサイル発射をしようとするシンポ型への対処を念頭に置いた措置かもしれません。

以上のように、シンポ型が、ミサイル発射のためには浮上を必要とするとしても、発射されたミサイルは、日(韓)及び米軍基地にとって相当な脅威です。

もし、シンポ型が、何らかの理由で潜水艦の追跡を逃れるようなことがあれば、自衛隊としては極めて大きな脅威になります。

ですので、このニュースは、日本のメディアももっと注目すべきなのです。

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2015年2月28日 (土)

安倍政権がシビリアンコントロールを廃止?

防衛省、背広組優位を転換 「文官統制」規定廃止へ」(47ニュース150221)

共同通信が、文官統制が廃止されると報じ、すわシビリアンコントロールの危機として、一部メディアが追従しています。
「文官統制」規定を全廃へ」(沖縄タイムス150221)
「文官統制」廃止へ法案 制服組、立場対等に」(東京新聞150221)
防衛省 「文官統制」規定廃止へ 制服組チェック機能低下」(西日本新聞150222)

大手以外では、こんなのもあります。
発覚:防衛省「文官統制」(シビリアン・コントロール)規定廃止へ」(Credo150223)

実際には、文官統制と文民統制は別物です。

共同は、恐らく内容を理解しつつも、読者による誤読を誘う書き方をしています。
追従した報道も、安倍政権を貶めるために、多くは同じ姿勢ですが、最後のリンクのように、誤読から誤解に至り、誤報をしてしまっているものさえあります。

実際に、かなりの誤読が発生しているようです。
【ミスリードに要注意!!】防衛省が「文民統制」ではなく「文官統制」の撤廃【ややこし過ぎ】
【悲報】文官統制廃止 軍国主義復活へ

東京新聞は、続報の解説において、文官統制は文民統制の一部だとして、やはりシビリアンコントロールが危機に瀕していると理解されるような書き方をしています。
中谷氏会見 文官統制「軍部暴走の反省でない」

<文官統制> 政治が軍事より優先されるという、民主主義国家の基本原則「文民統制(シビリアンコントロール)」の一環。防衛省設置法の規定では、背広組の文官を制服組自衛官より優越した立場に置くことで、防衛省内の文民統制を補強する役割を果たしている。憲法では、首相や閣僚は文民でなければならないことを明記。国の防衛に関する事務は内閣の行政権に属し、国会が防衛出動の承認などの権限を持っている。


一方で、文官統制の廃止が、内局にあった運用企画局が廃止されたことと以下にしか認識できない方もいます。
Ws000020

大手4紙は、さすがにこれはマズイと思ったのか、この共同・東京新聞の論調には追従していません。
朝日なども報じてはいますが、”文官統制廃止=シビリアンコントロールの危機”とはしていません。
元陸将の志方教授と懸念派のコメントを両論併記で書くなど、スタンスについては、かなり気を使っている感じさえします。
制服組、増す影響力 揺らぐ「文官統制」 防衛省設置法改正案」(朝日150224)

 「文官統制」の象徴だった防衛省設置法12条の改正に同省が乗り出した。防衛省は、自衛隊の効率化や意思決定の迅速化などを理由に掲げるが、制服組(陸海空の自衛官)の影響力は増大する。背広組(文官の防衛省職員)の影響力低下で、現場の自衛官の暴走が万一にもないのか。チェック態勢の確保に加え、防衛相の責任が一層問われる。


しかし、これらを読み比べても、この「文官統制」が、日本の安全保障に、今までどのような悪影響を及ぼしてきたのか、廃止でどう変わるのか、そしてシビリアンコントロールに悪影響はないのかは、ほとんど分からないと思います。

”気になるニュースをわかりやすく”という触れ込みで、なかなか面白い記事を載せているネットニュースのTHE PAGEは、これに回答しようと解説記事を載せていますが、残念な事に、内容は間違っています。(執筆は美根慶樹氏)
<防衛省設置法>背広組と制服組を対等に 「文民統制」と「文官統制」の違いは?」(THE PAGE150226)

ですので、以下では、極力分かりやすく解説を試みてみます。

「文官統制の廃止」と呼ばれているのは、防衛省設置法12条の改正です。
一応、下に現在の条文を載せますが、先に解説します。
一言で言えば、
制服組の行動のほぼ全てにおいて、官房長及び局長(つまり背広組・文官)が、実質的に指揮をするということです。
そのため、文官統制と呼ばれます。

(官房長及び局長と幕僚長との関係)
第十二条  官房長及び局長は、その所掌事務に関し、次の事項について防衛大臣を補佐するものとする。
一  陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)に対する指示
二  陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する事項に関して幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について防衛大臣の行う承認
三  陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関し防衛大臣の行う一般的監督


この条文で、なぜ実質的には指揮になってしまうのかが焦点です。

表に出てきているものが少ないのですが、目に見える形としては、事務次官通達が上げられます。
記憶にあるのは、あの悪名高い民主党政権下で出されたものでしょう。
今問題の防衛省事務次官通達(全文)

この通達については、民主党所属の防衛大臣の指示を受けてのことでしょうが、事務次官通達ですから、発簡にあたり、防衛大臣の決裁を受ける必要はありません。事務次官の裁量で、制服組に対して通達を出せるということです。
そのため、防衛大臣が出した命令に対して、その細部を示すという建前で事務次官通達等を発出し、防衛大臣の命令を、骨抜きにすることだって可能ですし、方向性を変える事も可能です。

そして、目に見えず、もっと恐ろしいのは、一番害のなさそうな12条の三を根拠として行われる、背広組による制服組人事への介入です。
社会に出て、何らかの組織に属した事がある人なら、言わずもがなですが、最強の強制力は人事権です。

現状では、背広組は、気に入らない制服組を排除し、背広組に逆らわない人間だけを制服組の上層部に就けることができます。
そのため、制服自衛官でも、政治力、つまり背広組と巧くやって行く能力がないと、高級幹部にはなれないと言われてきました。

実例としては、香田洋二自衛艦隊司令官の海幕長就任を、守屋防衛事務次官が阻止した事例などが有名です。

結果的に、制服組は、背広組の意向に従わざるを得ない構図が作られていました。

これによって生じる問題として、もっとも広範はものは、防衛大臣に必要な情報が入らなくなることです。
特に、現場感覚のある制服組からの情報で、背広組の意向に反するモノは、報告する場さえ与えてもらえません。
どうしても、報告(直訴)したい場合は、首を切られる覚悟で報告する必要があります。
そのためそうした報告ができるのは、もうその先がない統合幕僚長か、陸海空幕僚長だけです。(統合幕僚長は、実質的に陸海空の持ち回りなので、陸海空各幕僚長は、順番がめぐってくるタイミングが合わなければ、それ以上がないことは確定です)

朝日系のメディアGLOBEに書かれている事例も、そうした確信犯的直訴の事例です。
模索続くシビリアンコントロール 役割増す自衛隊、「統制」の担い手は」(GLOBE150223)

防衛省昇格前の04年6月。防衛庁長官だった石破のもとに設置された「防衛力のあり方検討会議」で、内局トップの事務次官守屋武昌と海上自衛隊トップの海上幕僚長古庄幸一がにらみ合っていた。
「統合作戦のあり方として問題点をまとめた資料がある。配ってもよいか」。古庄がおもむろに取り出した紙には、「防衛参事官制度」や防衛事務次官の権限を見直すべきだとの提言が書かれていた。
従来、制服組が直接、大臣に提言などを「直訴」することはなかった。制服組には積年の不満がくすぶっており、確信犯的に古庄が打って出たのだ。


また、多くの政治家は、制服組や、長年知識を積み上げた背広組に比べると、防衛関係知識が乏しいです。
そのため、守屋元事務次官のように、大臣をいいように丸め込み、勝手に振る舞う人間も出てきます。

前掲朝日の記事にもあるとおり、この件をまな板に載せられたのも、防衛大臣が制服自衛官経験さえある中谷大臣だからでしょう。

より細かく見れば、この文官統制は、シビリアンコントロールにとってマイナスでさえあります。
前掲THE PAGEの記事では「civilian」の訳語は、文官の方が適切であり、シビリアンコントロールは文官によって成されるべきだとしています。

 日本におけるシビリアンコントロールは「文民統制」と呼ばれています。「文民」は、新憲法制定の際、日本には「civilian」に該当する言葉がなかったので、新たに使われた訳語です。

 しかし、軍を統制する主体は、総理大臣や国務大臣、また内局の背広組と、すべて公務員であり、いずれも民間人ではありません。そのため、「文民」より「文官」のほうが用語として適切であるとして、「文官統制」という言葉が使われるようになりました。そして、日本では「文民統制(政府による統制)」と「文官統制(背広組らが政府を支える統制)」を区別する傾向もありますが、それは本質的な区別ではありません。趣旨はどちらも「軍人でない公務員による統制」と解すべきであり、英語ではシビリアンコントロール(civilian control)しか使いません。


ですが、日本国憲法を作り、シビリアンコントロールがされているはずのアメリカでは、日本の内局にあたる国防総省内に多数の制服軍人が勤務しています。
日本でも、内局に制服自衛官を配置することが検討されたこともあります。
つまり、文官のポジションに制服自衛官・制服軍人が配置されたとしても、シビリアンコントロールは維持されます。

では、何がシビリアンコントロールの根幹かと言えば、選挙で選ばれた市民である総理大臣が、自衛隊を指揮することです。

ですが、前述したとおり、総理大臣、防衛大臣が自衛隊を指揮する際、内局から横やりが入る状態になってしまっています。
また、制服組と背広組の仲が悪いこともあり、制服組から大臣への報告が、背広組によってシャットアウトされたり、歪曲されたりすることが多く発生します。

結果、選挙で選ばれた総理大臣や防衛大臣が、思った通りに自衛隊を動かせないという事態が生じています。
これこそ、むしろ文官統制が行われてる現状こそ、シビリアンコントロールの危機です。
前掲朝日の記事でも、このことは示唆されています。

 見直しを求めてきたのは、自衛官出身の中谷元・防衛相や自民党国防族の石破茂・元防衛相らだった。議員らは、2008年にイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故で、現場から防衛相に報告が上がるまで、約1時間40分かかった例を挙げる。内局の複数の部署のやりとりに時間を取られたためだ。

 中谷氏は著書で「オペレーション(部隊運用)と訓練は、各幕僚長や統合幕僚長が直接、大臣・官邸・総理に連絡し、指示をもらうことを徹底すべきだ」と主張していた。


12条の改正案は、まだ明確になっていませんが、報じられている方向では改正されれば、統合幕僚長や陸海空幕僚長は、直接防衛大臣に報告し、命令や指示を受けられるようになるでしょうし、内局・背広組が制服組に指示的事項を行おうとするならば、防衛大臣名での文書を作ることになり、決裁はあくまで大臣が行う事になります。

12条の改正で、幕僚統制の一種でもある文官統制が廃止されれば、日本の文民統制(シビリアンコントロール)は、むしろ強化されるはずです。

なお、文官統制と言う言葉は、以前から使用されていましたが、今回のように文民統制と関係したもののようには使われていませんでした。
ネットでの検索でも、昨年以前の更新に限定して検索すれば、もともとは、制服サイドに立つ論調の方が、背広組を批判して使用していた語であることがわかるはずです。
言葉の意味を置き換える、プロパガンダの一種と言えそうです。

余談ですが、この文官統制の弊害については、あまり公にされていないある事件(事案)が発生したことがあります。
小説のネタとしても面白いので、そのうちに、小説として書くかも知れません。
関係者が高齢になりつつあるので、早めに取材したいところなんですが……

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