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2015年1月10日 (土)

シャルリー・エブド、五十嵐一とサラディン

フランス風刺週刊紙シャルリー・エブドを襲ったテロ事件を聞いて、真っ先に思い出したのは、1991年に発生した悪魔の詩訳者殺人事件(wiki)です。

この事件は、もう20年以上も前の話なので、20代以下の方では知らない人の方が多いと思われます。
ですが、日本で発生したイスラム教テロリストによる犯行が強く疑われる事件であることは、思い起こされてしかるべきです。
殺害された五十嵐一助教授は、シャルリー・エブドの風刺と同様に、イスラム教を風刺したサルマン・ラシュディの小説『悪魔の詩』を日本語に翻訳していました。
そのため、イランのホメイニ師から死刑宣告を受けていたために発生した事件だと見られています。

この事件は、wikiにもあるとおり、殺害された五十嵐助教授が、殺害を予感していたかのようなメモを残していただけでなく、講義でも度々殺されるだろうと発言していたにも関わらず、シャルリー・エブドとは異なり、警察は護衛をしていませんでした。
その上、事件後も有力容疑者がいたにも関わらず政治的配慮で、まともな捜査がされなかったなど、当時の日本政府の弱腰外交がモロに透けて見える事件でした。

とまれ、ここで言いたいのは、シャルリー・エブドの事件が、日本には無関係の事件ではなく、過去にも同種の事件が起きており、今後、日本でも起こる可能性があるということです。

9.11後、自衛隊も含め、公安関係機関がイスラム教徒によるテロ警戒を行いましたが、恐らく、その後も継続して情報は収集していたでしょう。
今回のシャルリー・エブド事件を受けて、警察庁も警戒を強めているようです。

イスラム教徒に実害を与えたわけでもない週刊誌関係者や翻訳者を殺害するという、我々には理解不能な価値観・宗教観で生きている人間が、現代に生きている、それも精神異常ではなく、思想信条として生きていることに衝撃を受けます。

日本に居住する大部分のイスラム教徒は、そのような思考を持っているわけではないでしょうが、上記の悪魔の詩訳者殺人事件が単独犯であったのか怪しいですし、9.11後に公安がマークしなければならないような人物が日本国内に居たことも事実です。
この悪魔の詩訳者殺人事件に対しても、日本のイスラムコミュニティが否定も肯定もしていない点は、残念にも思います。
過去に発表した協会の見解(イラク問題、同時多発テロ事件について)(日本ムスリム教会HP)

もう、ここからは主観の問題だと思いますが、こうしたテロ、憎しみと怨恨の連鎖を止めるためには、イスラム社会にサラディンのような人物が現れてくれることではないかと思っています。

サラディンは、十字軍を迎え撃ったイスラム側の中心人物ですが、軍事的に優れていただけはなく、敵に対しても寛容の精神を持って臨んだことで有名です。
その寛容さは、彼の精神的な資質によるものかは、遠い昔の話ですから分かりません。

私は、資質よりもむしろ、戦いを終息させるための戦略的寛容だったのではないかと思いますが、それこそ今のイスラム世界の指導者に必要なものではないかと思います。

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テロ対策」カテゴリの記事

コメント

今はサラディンのような人間が出てきてもイスラム法学者と過激派の両方から叩かれて終わるのではないでしょうか?

トルコのような世俗派の強い国でも過激派が出てくる時代ですから、無理だと思いますよ。

昔のイスラムは識字率にしろ教養にしろとみにしろ十字軍(ヨーロッパの自称。イスラムから見ればフランクという野蛮人)より優っていました。

現代では欧米の方が三権分立とか人権(男女同権等)とか政教分離などで(政治形態・社会システム等)で進んでいるように思えます。
金持ち喧嘩せず、みたいな余裕はもうないでしょう。

バイブルが印刷の発達で各国語に訳されて個人が読めるようになったのと同じように、コーランが各国語に訳されて個人で読めるようにでもならない限りイスラムからテロは無くならないでしょう。

むしろイスラム圏内部での争いが過熱していくのではないか、と思っています。

アフガニスタンでアルカイダに真っ先に暗殺されたマスード将軍を思い出しました

天皇陛下を揶揄され続けられる国粋主義者に置き換えてみればどうですかね?
まあテロまではせんでしょうけど、李明博発言への反発も記憶に新しいところ

おはようございます

民主党政権時代、腕三本の力士が相撲とって「相撲が五輪競技になった」なんて風刺画を掲載して、福島の原発事故を茶化してましたっけ(#`皿´)
テロを賛美しようとは思わんですが、表現の自由もここまで来たら濫用ですなぁ( ̄^ ̄)

みやとん 様
むずかしいのは事実でしょう。

ですが、過激派の論拠を提供している一部のイスラム法学者や過激派は、決してイスラム世界のマジョリティではありません。

また、トルコが世俗なのは国策で、ソ連崩壊後のロシアでロシア正教が盛り返すのと同じです。

コーランの翻訳も、注釈という位置づけにはされていますが、各国語に翻訳されています。

一国であれば、トルコを世俗化させたアタチュルクのような人物でもいいだろうと思います。

日本酒命 様
ロシア人捕虜を解放したり、カブールに戦火が及ばないように有利な都市での戦闘を放棄して撤退したりするなど、サラディンと似た行動をとっていましたね。
死亡していなければ、アフガンの現在も違ったものになっていたかもしれません。

シュピーゲル 様
どこの国にせよ、どちらの陣営にせよ、過激な人物は出てきますね。
主張内容よりも、過激であることが一部の人々を吸い寄せますから。

土方 様
その点は、同意します。

風刺と中傷は違いますからね。

この新聞はローマ法王も風刺の対象にしていたみたいですし
ある意味、公正かも知れません
(それを良しとするかは、人それぞれでしょうけど)

メリッサ 様
そう言う意味では、私も公正だと思います。
ただ、問題なのは、イスラム教徒が公正かどうかを気にしているわけではないという点だろうと思います。

確かに宗教原理主義者に寛容を求めても
ムダですものね。

メリッサ 様
原理主義者に寛容を求めても無理があるという点だけでなく、原理主義者ではない一般のイスラム教徒でも、シャルリー・エブドに限らず、ムハンマドを描くことはタブーだという点も考慮が必要だと思います。

キリスト教や仏教では、絵や彫刻を宗教側も風刺する側も使用しますが、イスラムでは偶像崇拝が禁じられているため、彼等もムハンマドを描いたりしません。

今回、必ずしも下品だったりしたワケではない風刺画に、大きな反発がきたことには、この点も影響していました。

その辺は折り合いをつけるしか方法が無いのでは?

メリッサ 様
もちろん折り合いは必要です。
ですが、中傷したものでなくとも、それがタブーに当たるなど、ほとんどの日本人は知りません。
欧米でも、決して多くはないでしょう。

この点の、感覚の差異は、認識されてしかるべきだと思います。

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