空中給油機で航空優勢を確保できるのか?
先日の記事「制空権問題は航空機の数だけではない」に対して、名無しさんより、「基地ではなく空中給油機(タンカー)を活用し、安全な後方の基地からの進出でカバーできるのではないか?」と言うご意見を頂きました。
湾岸戦争における米軍でも実績があるのだから、被害を受ける可能性のある下地などよりもリスクの少ない新田原の活用や奄美大島への基地建設をすべきではないか、下地を使うとなれば、世論も影響するし、抗たん化施策に金がかかることを考えればタンカーを使用して遠方の基地から作戦を行う方がコストも良いのではないか、というご意見です。
詳しくは、リンク先コメント欄をお読み下さい。
確かに、検討すべき方策の一つです。
ですが、残念ながら、何のための航空優勢(元記事では制空権の用語)なのか、そのためには”どのような航空優勢”が必要なのかを考えると、この方策では目的を達することはできそうにないという結論になります。
先日の記事で言及した中国軍関係者がまとめた報告書では、次のように述べているそうです。
尖閣諸島周辺をめぐる有事を念頭に「日本による制空権の確保は困難」と断定していることが5日、分かった。日本は作戦機が少なく作戦持続能力が低いことなどを理由に挙げた。
前後の文脈が要約されていますが、的確な表現です。
尖閣は、現状では日本が実効支配しています。
自ずと、有事とは、何らかの形で中国軍が尖閣の実効支配を奪おうとする行動となります。
その際、制空権という言葉が使われなくなり、航空優勢という語に置き換わった理由の一つである、時に”常続的航空優勢”と表現される航空優勢の時間的継続性が問題になります。
分かりにくい表現ですが、航空機の航続距離が伸び、空中給油という手段まで出現したため、SAMによる防護でもしない限り、一定の空域の航空優勢を継続して保つことが、困難になってしまったため、制空権という言葉から航空優勢という言葉に変わったという経緯があります。
尖閣有事においては、日本側は実効支配継続のために、陸自部隊を上陸させる可能性も考えられますが、”例え短時間でも”航空優勢が奪われれば、その間に陸自部隊は空爆で大打撃を受ける可能性があります。
これは水上部隊でも同じです。
つまり、尖閣有事では、日本側は常続的な航空優勢を維持し続けないと、作戦目的である実効支配を継続することが難しくなります。
陸自部隊を上陸させても、壊滅させられてしまう状態では、もはや実効支配は揺らいでいると言わざるを得ないからです。
中国の報告書は、この事を指して「日本による制空権の確保は困難」と表現しているのだろうと思われます。
それに対して、名無しさんのタンカー活用案で、尖閣上空の”常続的”航空優勢の確保が可能かと言うと、無理という結論にならざるを得ません。
タンカーは、給油はできても、弾薬は補給できません。
戦闘では、必ずしも命中させられない状況でも、敵機に回避を強要し、我の被害を防止しつつ、僚機による攻撃機会を作為する場合、あるいは、我の安全を確保する(つまり逃げる)ために、牽制目的でミサイルを発射する場合もあります。
また、搭載しているミサイルを全弾射耗しなくとも、むしろ自衛のための残りミサイルを維持した状況で、帰投して補給しようとるすことが良くあります。
つまり尖閣上空で、彼我ともに撃墜が発生しない程度の戦闘が行われただけでも、基地に帰投して、燃料だけでなく弾薬も補給しなければ、尖閣のような基地からある程度離れた空域の航空優勢確保はできません。
更に、タンカーを使用し、後方の飛行場を根拠地とする場合、過去記事「下地島空港を自衛隊が使用する効果」で書いたことの逆を、中国軍が行うことが可能です。
例えば、一端、上記のような弾薬の損耗をさせるようなリスクの少ない戦闘をしかけて在空機の帰投を強要し、その後に本隊を送り込めば、タンカーを使って遠方から参戦する方法では、後詰めの数的増強が間に合わず、数的優勢を簡単に奪われてしまうからです。
また、タンカー自体、及び給油中のタンカーと受給機は、非常に脆弱なため、ある程度後方におかざるを得ない上、1機づつしか給油できない空中給油では、尖閣上空の航空優勢確保といった作戦では、あまり有効ではありません。
では、タンカーは有効ではないのかと言えば、そんな事はありません。
尖閣のような特定空域の航空優勢確保を行う航空作戦は、作戦の区分からするとDCA(防勢対航空)と呼ばれる作戦になります。
対して、一般的に言って(もちろん例外はありますが)、タンカーが有効に機能する作戦は、OCA(攻勢対航空)やAI(航空阻止)になります。
例えば、尖閣有事では、当然ながら空自による航空優勢確保だけではなく、海自による海上優勢確保も重要ですが、その支援作戦として、上記のAIとして中国艦隊に対する対艦攻撃ミッションを行う際などは、極めて有効です。
航空作戦の指揮を行う司令部では、敵の使用する基地や機体の状況を把握し、敵が、今後どれだけの作戦を行う余力があるか図りつつ作戦を進めます。
那覇基地を中心に、尖閣上空の航空優勢確保のためのDCAを展開していれば、在空機の状況から、中国軍側でも、那覇基地の基地機能の限界を考慮して、自衛隊側がAIまで実施する余力があるのかないのか、ある程度は読めます。
しかし、日本側が十分な数のタンカーを保有していれば、那覇基地の基地機能に負担をかけることなく、極端な話、三沢から発進したF-2部隊に、タンカーで空中給油を行い、尖閣周辺の艦隊を攻撃できます。
政治上、可能であれば、OCAとして中国の空軍基地を攻撃することも、同様に可能です。
簡単に言えば、タンカーは、米軍のような極めて攻勢的な、友軍が攻撃を受ける前に、敵の作戦根拠地を潰してしまうような作戦に向いています。
このことは、米軍が多数を保有していることから見ても類推できると思います。
もちろん、防勢作戦主体となる自衛隊でも、F-2が対艦攻撃を行う際に有効ですから、バランスをとってある程度は必要です。
アメリカのように、叩かれる前に叩き潰すという国家戦略を採るなら、なおさら必要です。
後半は余談になりましたが、尖閣上空の航空優勢確保という命題に対する解法として、基地を整備するか、タンカーを整備するかという選択では、基地を整備する方が適切です。
ただし、これは専守防衛が国家方針であることを前提として考えています。
アメリカのように、敵基地を叩き潰す戦術が可能であれば、話は別です。
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三沢から尖閣とは、これまたギャンブルな作戦ですね。
何回給油する必要があるのか…。
確かに先生の言うとおりかもしれませんが、湾岸、コソボ、イラク戦争での航空戦を見ていると、そんな大した距離ではなくても多数のタンカーが飛んでいるんですよね…。
あくまで「手の一つ」ということでしょうかと思います。
投稿: | 2014年12月27日 (土) 18時24分
名前抜け出ました。失礼。
三沢から尖閣とは、これまたギャンブルな作戦ですね。何回給油する必要があるのか…。
確かに先生の言うとおりかもしれませんが、湾岸、コソボ、イラク戦争での航空戦を見ていると、そんな大した距離ではなくても多数のタンカーが飛んでいるんですよね…。
あくまで「手の一つ」とは思いますが。
投稿: しやもし | 2014年12月27日 (土) 18時27分
あれ?沖縄の滑走路を増やした上に戦闘機を2個飛行隊に増強
するってもう決定事項だけど、これでも航空優勢はとれないんですか?
それと尖閣に上陸しようものなら、アメリカがダンマリを決め込むとは
思えないんですけど。
投稿: 子猫 | 2014年12月28日 (日) 22時43分
なるほど陣取りゲームに後方の拠点から参加すれば不利ですね。
というか中国軍もわざわざ尖閣のために弾道ミサイルを使用するリスクは犯さないでしょうから、やっぱ尖閣有事に勝つための数多さんの提案に対してタンカー云々言うのは的はずれでした。
わざわざ記事を書いてくださりありがとうございました。
子猫さん
アメリカが前線に出たりすればそれこそA2ADだのエアシーバトルだのと言って弾道ミサイルだって使用されるような大戦争に発展しかねません。それにかつてモンデール駐日大使が口を滑らせたように、本音においてアメリカは小さな島の為に中国と戦争するつもりはない。
だからむしろアメリカとの同盟関係を維持し続けるためにも、尖閣有事のような限定的な紛争には日本が独力で確実に勝てるようにしなければならないと思います。
日本が自主防衛を目指すべきだとは言いませんけど、領土紛争までも「アメリカが居るから……」なんて言ってちゃダメですよ。
投稿: イダテング | 2014年12月29日 (月) 14時46分
数多様
おっしゃることは分かるのですが、基地を整備と言っても、政治的になかなかよい場所が思いつきません。
私は、沖縄の問題は、政治、外交が主戦場で、軍事は主戦場ではないと考えています。従って、出来る範囲で出来ることをすることが大事です。
例えば、戦術的な観点からは宮古島、下地島、石垣島の空港は有力候補になりますが、政治的に難しい点がある。地元の人たちが自分たちから是非、と言ってくるのを待ちたいなと、個人的には思っています。
それに加えて、純軍事的にも、弾道ミサイルや巡航ミサイルの格好の餌食ではないでしょうか?前線基地としては良いでしょうが、飛行隊を配備できる環境ではないかと。航空戦では、「戦闘機は離陸する前に叩くのがセオリー」。空中戦で20機を撃墜するよりも、地上で20機撃破する方が遥かに容易ですから。
その意味では、むしろ、奄美の方が、距離が取れてよいのではないかと思います。
一方で、給油機の増強は、「今すぐ出来る改善」として重要と思います。空中給油機が4機という状況は明らかに不足で、最低8機、できれば16機ほどは必要ではないでしょうか?「那覇基地と嘉手納基地さえ沈黙させれば、数日は"完全に制空権が取れる"」という状況を、「九州からの空自の攻撃を数日に亘って24時間防ぎきるのは困難」という状況に変えれば、中国側も尖閣を占領できない、ということですから。
次に重要なのは、那覇基地のバンカーの増強。嘉手納基地への自衛隊展開などではないでしょうか?
投稿: ドナルド | 2014年12月29日 (月) 19時39分
下地は確かに尖閣に近いですが、それだけ中国からも近いということ。
開戦すれば敵は尖閣なんざほっといて下地を最優先で潰しにかかるでしょう。
まず下地をどうやって守るかですな。下地から上がる部隊と沖縄本島から
タンカー付きで飛来する部隊と、両者が互いのデメリットをカバーしつつ
共同でことに当たるのが望ましいかと思います。
投稿: きらきら星 | 2014年12月29日 (月) 21時52分
自分もそうでしたが下地島の基地化よりもタンカーの増勢などを重要視する人は、想定する戦争が数多さんとは違うんだと思います。
数多さんが語るのは、米軍の参戦を期待しにくい一方で中国が尖閣以外に手を出し得ない限定的な局地紛争でしょう。
となれば勝敗は尖閣とその周辺空海域のみで決まることになり、そこにより多くの戦力を投射するにはタンカーの増勢よりも下地島の基地化の方が費用対効果が高いと言えます。
一方で自分も含めたタンカーや掩体壕の必要性を訴える人は、中国がミサイル戦力を惜し気もなく使い、米軍の参戦が必至となるような大規模な戦争を想定しています。
もしそうなれば下手に中国に近い基地を持つよりも、那覇やそれより後方に強力で高抗堪な運用基盤を作って、タンカーを用いて戦闘機を飛ばす他ないでしょう。
どちらも想定に対する対策としては正しいでしょうから、結局は「どんな有事を想定するか」の問題になるのではないでしょうか。
中国のA2ADが発展する中で自衛隊も弾道ミサイルによる基地攻撃の脅威について考えざるを得なくなるでしょうけれど、一方で蓋然性が高い局地紛争に的を絞るならばコストを抑えることが出来ると思います。
投稿: イダテング | 2014年12月30日 (火) 20時33分
下地に自衛隊基地を作るのが物理的な問題ではなく
単に政治的問題ってだけなら、そのハードルは案外低い。
中国側は当然自衛隊が下地に展開するパターンを前提に
戦力を整えようとするでしょう。
中国側の近代化は急ピッチ。日本側に出来ることは
いずれあちらさんも出来るようになる。
こちらが給油機を使えるのならいずれ中国側も本格的に
給油機を運用出来るようになるでしょう。
下地上空が中国側の作戦行動半径に入るようになれば、
尖閣を飛び越して下地で決着がつきかねない。
まさか下地を潰されたから自衛隊は戦争出来ません、
とはいかないから、結局沖縄本島からタンカー付きで
なんとかするしかない。
やっぱり下地と沖縄本島の二本立てで行くしかないのでは。
投稿: きらきら星 | 2014年12月31日 (水) 13時16分
イダテング様
>下地島の基地化よりもタンカーの増勢などを重要視する人
私はそうではありません。つまり、下地空港の利用ができるできないに「関わらず」、空中給油機は増勢が必要(そのために何かのコストを削減してでも)というコメントです。(別に50機整備しようと言う話しではないので、、、)
ただし、私が下地島の基地化に慎重なのは確かです。それは本格的戦争になったら、すぐにやられる基地であることと、政治的に争点になっていることの2点からです。既出のように、あくまで主戦場は政治、外交の舞台だと思っているので、軍事的に良手でも、政治的に悪手なら、その選択肢は取れません。問題の下地島空港の合意書も、有事には使えるとも読める。そこで、前線臨時飛行場として使う前提で、コンテナ化された飛行隊整備セット等が有効かなと、考え始めているところです。このコンテナセットなら、石垣にも、宮古にも、奄美にも、徳之島にも展開できますから。
>蓋然性が高い局地紛争に的を絞るならばコストを抑えることが出来る
もちろん、先島諸島に空自基地が出来れば、平時などは、いろいろと楽ですよね。ただそれは、前進基地でよいかと考えます。飛行隊を整備するのではなく、給油と弾薬補給だけを担うステーションとして運用する。そうすれば、「局地紛争」も、そして「本格的有事」でも、全てに有効かと。
#あくまで臨時の基地、という言い方も、政治的には有利かと。
先島諸島の皆さんが、自衛隊を歓迎する、ということになったときには、平時にも展開するようにすれば良いでしょう。
さらに、奄美島に、例えば海自航空基地を移動し、有事の戦闘機の臨時補給ステーションとしても使えるようにできるよい。嘉手納にも空自が展開できるようにする。要は、使える滑走路の数を増やすことが重要と思います。奄美なら、「沖縄の負担軽減」にも役立つ(かもしれない?)。
いずれは、沖縄の米軍が少しずつ(グアム等へ)撤退してゆくと考えています。有事の環境が悪すぎるうえに、戦術としてもよりアウトレンジから対応できるようになりつつある(オスプレイや、JASSM-ERなど)ため、沖縄に(大規模な整備部隊を含む)「本拠地」を置く必要性は下がってきています。一方で戦闘部隊を支援できる「前線基地」を置く価値は変わらないので、基地がなくなる訳ではない。結果として、嘉手納に海自を米軍と同居させたり、普天間orヘコナに陸自が展開する等、自衛隊との共有が進むだろうなと考えています。
投稿: ドナルド | 2014年12月31日 (水) 15時30分
ドナルドさん
自分も、おっしゃる通りタンカーの整備も下地島の基地化も並立しうる、というかすべきだと考えますよ。ただミサイル攻撃が想定されるのは本格的な対中戦争、下地島基地で対応するのはあくまで局地紛争ということで「本格的な有事と局地紛争のどちらか」と示したんです。
実際、中華SRBMの射程圏内にある先島諸島に基地があっても、沖縄本島へのMRBMによる攻撃を和らげることは出来ませんし、掩体を建設し弾薬庫や燃料タンクなどの施設をガチガチに抗堪化したりでもしない限り、本格的な有事に下地島を使うのは厳しいと思います。
今更ですが中期防に「新空中給油・輸送機 3機」という項目が登場したのには心が踊りますけれど、一体何があったんでしょう。
海外まで飛べるC-2の配備が2016年までに延期されたからと言って新規導入のKC-767(KC-46)がそれより早く戦力化されるとは思えないし、C-130のタンカー化がわざわざ項目化されるとも考えにくい。
もしかしたら空自が本気で「空中給油機」を使う気になったのかもしれません……
投稿: イダテング | 2014年12月31日 (水) 21時01分
しやもし 様
作戦態様の違う戦闘での活動を見ても、あまり意味はないですよ。
湾岸など、長時間滞空してのCAS的航空活動では、当然タンカーは有用です。
子猫 様
日中の航空戦力は、ずいぶん前から新鋭機の質で互角、旧式機を含めた数では、圧倒的不利にあります。
那覇の2個飛行隊化は、平時の対領侵対応のためですね。
有事は、当然それ以上に増強されるでしょう。
紛争が、尖閣域だけに限定されるなら、実際にアメリカが出てくるかは、既に意図的なコミットメントが必要なレベルまで怪しくなっています。
イダテング 様
仰るとおり、中国も、尖閣をとるためだけに、有人島にミサイルや爆弾を落として、アメリカに参戦の理由を作ってやる程バカじゃないんですよね。
ドナルド 様
中国は、尖閣を占拠せずとも、日本が占拠できない状態とすることで、十分に成果を得られます。
戦争はゲームではありませんので、勝敗条件は同じではありません。
きらきら星 様
下地の防護については、過去記事を参考にして下さい。
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-1506.html
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-42f4.html
投稿: 数多久遠 | 2015年1月 1日 (木) 00時53分
あちらさんの弾道ミサイルは慣性誘導プラスGPSとのことなので、
ようはいっぺんに500発ぶっ放すことが出来るということなんでしょうけれど、
PAC3というかMDシステムって、そもそも通常弾頭ミサイルの飽和攻撃を
想定しているのでしょうか。PAC3が仮に500発あったとしても、敵さんの
弾道ミサイルが500発いっぺんに向かってきたら、いったい何割を迎撃
出来るのでしょう?
これに加えてタンカー付きで攻撃機が飛んできたら非常にヤバイ状況になりそうです。
あと、尖閣諸島での戦闘は無人島だから米軍の参戦は無くて、下地空港での戦闘は
有人島だから米軍の参戦が期待できるというのは、いささか希望的観測が強すぎやしませんかね。
ていうか、アメちゃんの顔色窺いながらでないとロクに戦争もやれないような情けない国のために、
わざわざアメちゃんが腰を上げてくれるんでしょうか。
アメちゃんが参戦しようがすまいが、下地が潰されようが潰されまいが、自国領を守る決意と
実行が伴わなければ同盟国は動かせませんよ。
というわけで、下地は下地として整備するとして、タンカーも揃えましょう。
お金がかかる?そりゃ仕方ない。国防にはカネも手間もかかるのです。人間が、馬鹿で不幸である限り。
投稿: きらきら星 | 2015年1月 1日 (木) 02時16分
きらきら星さん
>アメちゃんが参戦しようがすまいが、下地が潰されようが潰されまいが、自国領を守る決意と実行が伴わなければ同盟国は動かせませんよ。
今のところ、下地が吹き飛べばアメリカは日本の決意も実行もクソもなく100%参戦するでしょうね。
アメリカにとって日本はまだそれだけの価値があります。
逆にそこまでの価値がなくなれば、たとえ沖縄本島が中国領になろうがアメリカは関知しないでしょう。
みなさん勘違いしていらっしゃいますが、今の日米関係でのアメリカの基準は全てアメリカの利益か不利益か、というところです。
日本だけでどれだけ決意を固めてもそれがアメリカの利益にはならないので、あまり意味がありません。
これは集団的自衛権の問題にも絡んできますけれどもね。
ただ言えるのは、中国はバカではないので今のところ有人島攻撃はあり得ないってことかな。
やるメリットもないでしょうし。
投稿: かば | 2015年1月 3日 (土) 00時25分
尖閣諸島は日米共に認める日本領で、安保の適用範囲だとアメリカも公言している。
いささか意地悪な想定ですが、尖閣諸島にはまだ米軍の射爆場があります。
ここを整備管理するために民間の建設会社が出張所を開設したらどうなるのでしょう?
もちろん住民票も尖閣の当該番地に移す。安保に基づき日本がアメリカに提供している
訓練施設を維持管理するため尖閣諸島が有人島になっちゃったとしたら、さて中国はどう出るか。
いや実際のところ、尖閣に五星紅旗がはためく事態になったら、あの射爆場どうなるのかしら?
投稿: きらきら星 | 2015年1月 3日 (土) 18時59分
そもそも論になりますが、無人島の奪回を支援するのはアメリカの国益に適わず、
有人島の奪回を支援するのはアメリカの国益に適うという切り分けはどこから出てくるのでしょう。
どちらも日本の主権と領土が侵害されるから日本は軍事力を行使して奪回するはずだし、
当然日米安保に基づいてアメリカに軍事協力を要請するであろうにも関わらず、
なぜかアメリカは前者では本気を出さず後者では本気を出すという。
これってアメリカの立場で本音を言えば、
「無人島の奪回など日本が本気でやるとは思えない。そんなものにアメリカが巻き込まれて
中国と対峙するのはアメリカの国益に反する。」
「有人島の奪回ともなればさすがに日本も本気でやるだろう。
それを無視するのは日本の対米世論を悪化させる。中国と対峙してでも日本を支援するのがアメリカの国益に適う」
こんなところでしょうか。要は日本が本気を出すか出さないかによってアメリカの態度が変わってくるということでしょう。
ならば無人島の奪回でも日本が不退転の覚悟で臨めばアメリカも支援せざるを得ないだろうし、
有人島の奪回でも日本が逃げ腰混じりのへっぴり腰ならアメリカは支援してくれないでしょう。
中国と対峙してでも日本を支援するのがアメリカの国益に適うとアメリカに(嫌々ながらも)決心させるのは、
結局最後は日本の本気度なんじゃないでしょうか。
投稿: きらきら星 | 2015年1月 3日 (土) 22時35分
きらきら星さん
>無人島の奪回を支援するのは
>アメリカの国益に適わず、
>有人島の奪回を支援するのは
>アメリカの国益に適うという切り分け
ここで言われているのはそうではなく
1.戦闘を尖閣諸島周辺のみに留めた紛争
2.民間人の住まう地域をも巻き込んだ紛争
といったような切り分けです。
>こんなところでしょうか
いいえ。
悔しい話ではありますが、アメリカにとって「日本の対米世論悪化による損失」が「対中戦争による損失」を上回るとは考えにくい為、日本の世論はそこまで重視されないでしょう。
ここで寧ろ問題になるのは、グローバルコモンズの管理者としてのアメリカの国際社会における立場だと思われます。つまり「国際社会から見たアメリカの信頼低下による損失」と「対中戦争による損失」が天秤にかけられるのです。
上に書いた1.の場合、あくまで戦闘は国際的に「係争地」と認識されてしまっている尖閣諸島のみで行われるため、中国による尖閣への侵攻が日本への「主権侵害」と認識されないかもしれません。加えて民間人への被害も起こり得ないでしょう。
よって1.の場合をアメリカが座視したとして、そこまで国際社会の信頼を失うとは考えにくい。
しかし、2.の場合はそうではありません。国際的に見ても下地島等が日本の領土である事は明白であり、そこに中国が攻撃を仕掛ければその行為は国際社会によって「主権侵害」と認識されるでしょう。
また多少なりとも民間人が犠牲になることは避けられません。
それをアメリカが座視するようなことがあれば、その行動は国際社会に「条約不履行」「同盟国民の見殺し」と認識され、信頼を大きく損ない得ます。
以上が上に示した線引きの、私なりの根拠です。
投稿: イダテング | 2015年1月 5日 (月) 19時24分
連投失礼、続きです。
しかし、上の1.、2.の線引きは外野の予測であり、実際には1.の場合にアメリカが参戦したり、或いは2.の場合に座視する可能性だってあります。
しかし日米同盟と共にある日本の防衛を語るにおいて、線引きは避けられないものだと思います。
日本にとってアメリカに頼らない事も、何でもかんでもアメリカに頼る事も、どちらも現実的ではありません。
ですから、妥当なラインであらかじめアメリカへの期待の有無を切り分ける線引きをしてから日本の防衛を考える方が、そうしない場合よりもより効果的な筈です。
投稿: イダテング | 2015年1月 5日 (月) 19時42分
きらきら星 様
PAC-3での下地防護の可能性は、過去記事で書いていますので、参考にして下さい。
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-1506.html
かば 様
アメリカの国益と、もう少し思慮の浅い世論を考慮する必要があるでしょうね。
きらきら星 様
尖閣は、安保条約の適用範囲だとわざわざコミットメントしないと、中国からアメリカの意図を誤解される可能性があるほどであったため、コミットメントしています。
しかも、1996年には、モンデール駐日大使が「米国は諸島の領有問題のいずれの側にもつかない。米軍は条約によって介入を強制されるものではない」と発言したことさえあります。
日本の本気度が重要なのは、その通りだと思います。
イダテング 様
あと、アメリカの関与に関係する要素としては、アメリカとの同盟との信頼性がありますね。
日米安保は、アメリカが締結する軍事同盟の中で、NATOに次ぐ程の重要な同盟ですが、この同盟が機能しなかったとなれば、世界各国が、アメリカとの同盟を価値のないものと見なす可能性があります。
投稿: 数多久遠 | 2015年1月 7日 (水) 01時12分