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2014年12月 6日 (土)

制空権問題は航空機の数だけではない

中国軍の専門家が、日本による制空権確保が困難と発言したとかで、一部で注目されているようです。
「日本は制空権確保は困難」 尖閣視野に中国軍が分析 海上封鎖で「経済破壊」」(産経新聞141206)

 中国人民解放軍の専門家が航空自衛隊を中心に日本の戦力を検討した報告書で、沖縄県・尖閣諸島周辺をめぐる有事を念頭に「日本による制空権の確保は困難」と断定していることが5日、分かった。日本は作戦機が少なく作戦持続能力が低いことなどを理由に挙げた。海上封鎖などによる日本封じ込めで「経済だけでなく戦力も破壊できる」とも指摘した。中国軍筋が明らかにした。

 中国は昨年11月、東シナ海上空に防空識別圏を設定するなど航空戦力を重視しており、軍事対立を想定した検討が本格化していることを示唆している。(共同)


オリジナルのソースから、相当要約されてニュースになっているようなので、記事の趣旨は、本来の報告書の趣旨とはかけ離れている可能性があります。
ですが、共同の記事としては、中国の専門家が、日中の航空戦力バランスが、中国有利になっていると認識している事を報じています。

で、これを受けて、ネットでも早速装備を追加すべきなんて言う意見が呟かれています。

しかし、この内容は、一部の軍事マニアが、中国の戦車戦力が、日本のそれを上回っているので危険だとしているのと同じようなものです。

何が言いたいかと言いますと、地理などの環境要素を考慮せずに、兵器の数だけで語っても、実際の戦闘様相を変えることはできないという事です。

尖閣諸島周辺での航空優勢確保が困難な事は、以前にもこのブログで言及しています。
参考過去記事「下地島空港を自衛隊が使用する効果

那覇を根拠飛行場として、”尖閣上空の”航空優勢を確保しようとする場合、例え戦闘機の配備数を増やしたところで、那覇の滑走路数、管制能力、エプロンや整備格の容積を含めた整備能力などがネックとなり、実際の航空優勢を確保するための、”尖閣上空の”在空機を大きく増やすことは困難です。

それに対して、中国は、上記過去記事にも書いた通り、市路・福州の両空軍基地だけでなく、尖閣-那覇間の距離と同じくらいの距離に、多くの飛行場を持っています。
設備のハンパな基地が数があったとしても、効率的な運用はできませんが、それでも航空優勢を奪うための戦力集中は容易です。

対する日本は、いざとなれば嘉手納の使用や、それ以上に過去記事で書いた下地島を使う事が効果的です。
ですが、先日の沖縄県知事選挙で翁長氏が当選したことで、宮古や石垣の空港を活用することを含めて、これらの方策は難しくなったかもしれません。

また、そう言った運用上の質的戦力増強策だけでなく、F-35の早期戦力化など、質的向上の努力も続ける必要があります。

これらが出来なければ、現状では、尖閣上空の航空戦力を確保することは、確かに困難です。

こう言った報道が出た時に、航空機の機数だけでなく、「下地が必要だ」という意見が、パッと出てくるようになって欲しいモノです。

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航空作戦一般」カテゴリの記事

コメント

つまるところは、政治的な理由も、中国側優位に働くという要素なのでしょうか?

おばんでやす

我が国の場合、兵器の質・量といったハード面よりも、政党は民主、社民、共産、他に反戦護憲を標榜する反日団体が、陽に陰に我が国の国防、安全保障の足を引っ張るので、獅子身中の虫の彼奴等を取り締まらない事には、外敵の特亜よりも深刻です。

基地数のハンディは、脆弱性と表裏一体である戦域までの距離ばかりではなく空中給油でもカバー出来るのではないでしょうか。
例えば尖閣有事における増援の戦闘機部隊は那覇以北の基地から離陸させ、それらを那覇に派遣したタンカーによって米軍が湾岸戦争でやったように長時間戦域に滞空させる事も出来ると考えられます。

この野望の実現のために教育部隊の配置を変えて新田原の実戦部隊を増強したり、中国のSRBMが届かず自衛隊への世論も比較的寛容である薩南諸島、特に奄美空港などを基地化するのも手ではないでしょうか。
またタンカーの大量運用はコストが嵩むかもしれませんが、世論を言い負かして下地島空港を台湾の空軍基地の如く何本もの滑走路や地下ハンガーを持つ極度に抗堪化された航空基地に改装したり、或いは下地島にてPAC-3を何百発と集中配備し運用したりするよりは空中給油を活用した方が容易かつ確実だと思います。

中期防で3機の導入が示されたタンカーだって下手すればKC-767かもしれませんし、アメリカでは米空軍向けKC-46Aの大量生産が始まるためタンカー自体もこれから買い時になっていくでしょうから、そこまで非現実的な話でもなくはないとも言い切れないのではないと思うのですが……

名無しさん

最近買った新書に引用されていたランド研究所による論文、米中戦争のシミュレーションが中々興味深かったっすよ。
そのなかで米軍はエアシーバトル戦略に基づき、沖縄本島の嘉手納や那覇は勿論、新田原や築城、岩国までもが中国の弾道ミサイルの脅威に晒されるため戦闘機部隊をそれ以北の基地や遥かグアムまで一時的に分散退避させ、そこからタンカーを頼りに反抗するとされてました。

ランド研究所はただの外野でもないんで、米軍はきっと有事には中国に近い沖縄の基地にはサラッと見切りをつけるつもりなんですよ。
だからこそ抗堪化が急務のはずの沖縄の嘉手納には、三沢にあれだけ存在するシェルターが少ししか無いんだという話はしっくり来ましたし。

一方例えばグアムを拠点としてF-22Aをタンカーで第一列島線まで飛ばして航空優勢を確保するミッションは所要燃料や可能ソーティ数、移動時間等を考慮したうえで常時戦域に展開可能な機数(6機)を求めるなど、あなたのおっしゃるタンカーによる後方からの出撃が割と現実的であるみたいっす。
もちろんそのタンカーを狙われるとヤバいともあったんですが、中国のA2ADに対して沖縄の基地を使う方がよっぽど困難なようです。

産経の記事のように尖閣紛争を想定するなら違いますが、中国との全面戦争を想定するのなら空自は戦闘機定数増加でも下地島の基地化でもなく、十分なタンカーの整備と、余って腐るほどある地方空港を改装し有事に部隊を分散退避させた上で反撃するための拠点を作ることを行わなければならないのかもしれないです。

しやもし 様
そうです。
特に、下地が使えないことは痛いですね。

土方 様
残念ながら、取り締まるというのは無理なので、彼等の主張がマジョリティにならないように、言論でガンバルしかありません。
沖縄では敗北してしまっていますが・・・

名無し 様
ちょっとレスを書き始めたのですが、長くなりますし、面白い話なので、別に記事として書くことにします。
なので、少しお待ち下さい。

りゃまぱか 様
有事として想定する戦争の様相として、核は使用されないものの、通常戦力での全面戦争となれば、ランド研究所のレポートのような作戦態様になるでしょう。

ですが、蓋然性が高い戦争の様相は、尖閣周辺での局地的戦闘です。

ランド研究所レポートのような戦争になれば、中国は確実に敗北しますので、中国はそんなことはしません。

ここで書いたようなことは、最後のパラグラフを読めば認識されているようですが。

りゃまぱかさん

詳しい話をありがとうございます。しかし九州の基地まで危険にさらされるというのはちょっと驚きです。

数多さん

数多先生はプロの作家だというのに、わざわざレスに記事を書いて頂くなんて申し訳ないです。冗談抜きで恐悦至極です。

あと何度も名無しで書き込んで申し訳ありません。小生イダテングにございます。

上の名無し 様
一応プロの作家とは言え、それだけで食べていられる訳じゃないですから、これからも宜しくお願いします。

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