またもや朝日的手法でデマを拡散する朝日新聞
朝日新聞が、またもや読者を意図的に誤認させる手法でデマを拡散しています。
「シカを硝酸塩入り餌で駆除 静岡県考案、「残酷」の声も」
食害が深刻なニホンジカを硝酸塩の入った餌で駆除する方法を静岡県職員らが考案した。一度胃にのみ込んだ食べ物を口に戻して徐々に消化する「反芻(はんすう)動物」の特徴を利用したものだ。「シカ対策は待ったなし。銃やわなを使った駆除より人への危険が少ない」とし、他の動物への安全性を確認しながら実用化を目指しているが、「残酷だ」といった声も出ている。
考案したのは、県農林技術研究所森林・林業研究センターの大場孝裕上席研究員ら。硝酸塩が反芻動物の胃に入ると、細菌で亜硝酸塩に変わる。すると、赤血球が酸素を運ぶ能力を奪われ酸欠に陥り死に至る。
酸欠で死ぬということで、読者はさぞかし苦しむのだろうと思うようです。
呼吸が出来ない苦しみは、相当苦しいものですから、むべなるかなではあります。
結果、ヤフーやハフィントンポストもこの記事を取り上げていますし、この記事を元にしたまとめサイトやブログ記事もあちこちにアップされています。
論調はいろいろですが、やはり「苦しめて殺すなんて酷い」という意見が多く見られます。
今頃、静岡県の農林技術研究所 森林・林業研究センターには、抗議のメールが押し寄せているでしょう。
シカの駆除すること自体を残酷とするなら、仕方がありません。
そう言う人は、農作物被害で農家の方が追い詰められても、残酷とは思わないのかもしれません。
しかし、朝日の記事は、そうは言っていません。
酸欠だから苦しむ、だから残酷というロジックです。
ですが、そもそもコレが間違っています。
酸欠死は苦しくないのです。
酸欠で死にかけた私が言うんですから間違いありません!
参考過去記事:「低酸素症と航空生理訓練」
酸素が欠乏しても、苦しむどころか、ほとんど知覚することはできません。
徐々に酸素が欠乏した場合は、次第に意識が低下し、やがて気を失います。
この間、全く苦しくありません。
呼吸を止められたり、ビニールを被らされた場合に苦しいのは、血中の二酸化炭素が増加するためです。
呼吸を続けることができ、二酸化炭素の排出が可能なら、全く苦しみはありません。
亜硝酸塩を摂取した場合の酸欠は、wikiの亜硝酸塩の項目にも記述があります。
亜硝酸イオンがヘモグロビンの2価鉄を3価に酸化し、酸素運搬機能がないメトヘモグロビンを生成しメトヘモグロビン血症(ブルー・ベビー症候群)の原因となる。
つまり、いくら呼吸しても、酸素を体に取り込めない状態となって死に至る訳です。
亜硝酸が少量で、死に至らない場合、低酸素脳症で障害が残る可能性があり、確かに残酷です。
ですが、100%致死させるだけの毒を摂取させれば、これほど苦しまずに殺すことができる方法は、ほとんどありません。
残酷どころか、理想的な駆除方法だと思われます。
死刑だって、絞首刑なんて残酷な方法をとらず、酸素0%の無害気体(窒素とかヘリウムとか)を呼吸させ、酸欠で死亡させたっていいくらいだと思います。
ちなみに、以前にアメリカで売られていた苦しまずに死ねる自殺キットは、100%ヘリウムを吸わせるものでした。
この自殺キットも、最大のセールスポイントは、苦しまずに死ねるという点です。
にも関わらず、朝日の記事は、読者にシカが苦しむのだから残酷だという思い込みを行わせる書き方です。
しかも、記事を書いた杉本崇記者は、ちゃんと大場研究員にも取材して記事を書いたようです。
苦しまずに死ぬ方法であることは、聞いていたはずだろうと思います。
転載されているヤフーなどや朝日新聞デジタルでも無料の記事では削除されていますが、有料版記事の後半には次のように書かれています。
センターによると、この方法を9月に公表したところ、「残酷だ」といった意見が数件寄せられた。趣旨などを説明すると一定の理解は得られたという。
残酷だという意見に対して、苦しまずに死ねることを説明したのでしょうし、コレが書けるのですから、その説明内容を記者も聞いたはずです。
ですが、その情報は伏せ、さらに残酷だと思わせるように、権威付けの印象操作を行っています。
フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが5月に設立した動物保護財団「クリステル・ヴィ・アンサンブル」は、「致死量を摂取しなければ苦しみ続ける。ふらふらと道路に出て、交通事故を引き起こす可能性もある」と指摘。その上で「鳥獣保護法や他の野生動物への影響、野生動物福祉の観点から検証と議論を重ね、慎重を期すべきではないか」と指摘した。
動物保護財団「クリステル・ヴィ・アンサンブル」の担当者が、この方式が苦しみを与えないものであるのか知っていたかは分かりません。
一般読者と同様に、苦しいと思い込まされただけかもしれません。
なので、「クリステル・ヴィ・アンサンブル」のサイトにお問い合わせ欄があったので、この方法が苦しみを与えずに駆除する方法だということとは、伝えておきました。
反応があれば、続報を書きたいと思います。
朝日が、この方式を叩いた、それも恐らく意図的に叩いた理由ははっきりと分かりませんが、恐らく自治体が開発したから叩いたのでしょう。
社長が交代しても、方針は変わらないようです。
なお、この駆除方法については、9月の段階で日経も報じています。
「静岡県農林技術研、硝酸塩入り餌でシカ駆除 農作物被害防ぐ 」
もちろん、残酷だとは書いていません。
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「日系」は「日経」? 信頼性が著しく低下しますよ。
投稿: 通りすがり | 2014年11月16日 (日) 11時04分
いつも愛読しています。
貴重な情報、どうもありがとうございました。
地元の大学で来年講義する予定で、その中でメディアのバイアスについて触れるつもりでしたが、参考に使わせて頂きたいと思います。
ちなみに小生がネタに使う予定なのは、数年前の中国レアアース禁輸措置に日本が即応できたのは、その5年以上前から経産省主導で対策を進めていたからで、メディアは官僚たたきにばかり執心して、この種の貢献・快挙には絶対触れない、そんなのを鵜呑みしていると、国を誤る以前に、当の本人が馬鹿になるから気をつけろ、というような事柄です。
投稿: かろかろ | 2014年11月17日 (月) 08時27分
高山病になった経験がありますが、酷い頭痛や吐き気に襲われました。
本当に亜硝酸塩による酸欠で苦痛は生じないのですか?
低酸素症と低酸素脳症をごっちゃにしているような気がします。
投稿: FM | 2014年11月18日 (火) 01時27分
通りすがり 様
誤字指摘ありがとうございます。
修正しておきました。
かろかろ 様
参考にしていただけると嬉しいです。
政府を叩くことが、「正しい」報道姿勢だと思っているメディアが少なくないですね。
FM 様
高山病も低酸素の症状ですが、本文で書いた訓練での低酸素や亜硝酸塩での低酸素血症では、高山病の症状がでるよりも劇的に早く低酸素脳症になるので、苦しみがほとんどありません。
私の低酸素時の経験では、顔がほてったような自覚症状がありましたが、酸素の不足程度が少く、それが長時間続けば、高山病のような症状がでてきたでしょう。
高山病と同様に、低酸素時の自覚症状は、人によりかなりの差異があるようです。
詳しくは、本文中に上げた過去記事他をお調べ下さい。
なお、亜硝酸が微量で、高山病程度の酸素欠乏にしかならなければ、高山病のような症状がでるはずで、苦しみは当然あるでしょう。
それでも、他の駆除方法より苦しい方法だとは思いませんが。
投稿: 数多久遠 | 2014年11月24日 (月) 17時00分