メンテナンスフリーは疑ってかかれ!
朝鮮日報が、韓国軍の弾薬に問題があると報じていました。
「韓国軍:対戦車兵器の99.2%が老朽化 北の主力戦車に対抗困難」(朝鮮日報141014)
既に公開期間を過ぎているため、リンクは貼りませんが、個人携行の対戦車火器の多くが、使い物にならないと報じていました。
記事の信憑性には、少々疑問も付くのですが、今回の記事の本題は、これ自体ではありません。
この記事を見て、弾薬メンテナンスの必要性について、疑問を持っている方が居ます。
カタログにメンテナンスフリーと書いてあれば、それを信じて本当にメンテナンスフリーだと思い込むのは、致し方ないという所ではあります。
ですが、弾薬類のメンテナンスは、フリーだと言われているモノ(メンテナンスはフリーだけど除湿剤は交換しなければならないなど)を含めて、実際には結構手がかかるモノです。
炸薬や推進薬、それに電気的な作動をするミサイルなどに搭載されているバッテリーは、そもそも反応を起こしやすい化学的には不安定な物質です。
しかも、推進薬などは特殊な形状として表面積を稼いでいたりするので、物理的にも不安定になりやすい状態であるケースが多くあります。(湿気を吸収しやすい、揮発性成分が揮発しやすいなど)
かなり安定的な樹脂であるプラスチックなども、10年もたてば、硬化してクラックが入ることは珍しくありません。
推進薬で似たような事が起これば、点火した際にクラックの内面にも燃焼が進み、発生した高温ガスの逃げ場がないため、爆発します。
砲弾も、科学的変質による自然発火で爆発事故になっていますし、弾薬庫を冷暗乾燥状態とするよう努めたとしても、20年も経過すれば、変質して当然です。
高い品質にこだわる日本人的性質のため、自衛隊の場合、乾燥剤の交換などをきめ細かく行う上、ある程度経過した弾薬類を実射訓練で使う事で、問題の把握(実際に問題が確認されることは良くある)と対策に努めていますが、安全や品質よりも量にこだわる韓国の場合、こう言う報道が行われる状態になっても不思議はないだろうと思います。
カタログのセールストークは、疑ってかかりましょう。
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コメント
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この弾薬類のメンテナンスで驚いたのは、核爆弾のメンテナンスに手がかかるらしいという事ですね。
私は核兵器はつくったらそれでお終いかと思っていました。
ところが記事にもあるようにメンテナンスの必要がある、と知って驚いたものです。
アメリカとソ連しか水中発射型の核ミサイルを運用できなかったのもむべなるかなですね。
この記事に関して、韓国は日本より気温が下がったりしますから、弾薬の劣化も激しいのではないかと思います。
99.2%はともかく半分位は所定の性能を発揮できないんじゃないでしょうか。
それに韓国がドイツから中古のミサイルを買ったようですが、たとえ電気系の修理が出来ても使用が可能なんでしょうかねぇ?
ただでさえ朝鮮半島の冬は零下何十度にもなりますから、火薬の劣化で大変でしょう(朝鮮戦争時にも機関銃の弾が暴発した事故があった)
気象条件が異なる国からの中古兵器の購入には専門的な知識が必要だと思いますが、果たして専門家に判断させたのでしょうか?
投稿: みやとん | 2014年10月25日 (土) 02時52分
先生が取ったスクリーンショット、三分割なんですね(驚)
不覚にも吹いてしまいました。
投稿: しやもし | 2014年10月25日 (土) 08時18分
オブイェクト系は意識の高さをアピールしたいが為に、
つまりネトウヨとの差別化を図る為に、
無理矢理な韓国擁護をする傾向がありますよね。
セウォル号沈没事件の時もそれで大火傷してましたよ。
投稿: 名無しX | 2014年10月25日 (土) 09時40分
軍事を趣味でやってる手前、カタログしか見ないしそれを信じるしかないんで……自分の知識理解に自信を持ち過ぎないように気を付けないとイカンと思わされます。
そういえば、Googleマップで韓国の空軍基地を見ると無理矢理にでも大量の掩体が建設されていて「さすが戦争中」と思わされます。しかしその一方で全軍とも装備の管理がグダグダだというのは、なんだか自衛隊と対照的で面白いです。
投稿: イダテング | 2014年10月25日 (土) 18時01分
キャニスタ入りのミサイルのことをメンテナンスフリーのミサイルと言いますね。
ミサイル(飛翔体)自体を部隊、補給処などでメンテナンスすることはなくなりますが、
数年周期で、メーカにメンテナンスをさせていますね。
当然フリー(無料)ではないですが。
>>炸薬や推進薬、それに電気的な作動をするミサイルなどに搭載されているバッテ
>>リーは、そもそも反応を起こしやすい化学的には不安定な物質です。
炸薬は安定していますので、劣化は起こさない(性能が変わらない)です。
>>点火した際にクラックの内面にも燃焼が進み、発生した高温ガスの逃げ場がないため、爆発します
燃焼ガスの「逃げ場」は無くなりません。
ガスが放出されるノズルまでのガス流れはあります。
ガス量が増え高圧状態になり爆発に至ります。
みやとんさん
火薬類は、高温状態の方が化学反応が促進されるため、保管時が高温である方が劣化が早く進みます。
ただし、運用時はその限りではありません。
ちなみに、ドイツと韓国ではMIL-STD-810から同じ環境状態とみなせます。
投稿: あいし | 2014年10月25日 (土) 18時04分
更新ご苦労様です。
>「韓国軍:対戦車兵器の99.2%が老朽化・・・」
南鮮マスゴミを見ているとこの手の記事が多過ぎると感じます。
K11、20mm炸裂弾不良、38度線の守備兵士の防弾チョッキは役立たず、
カムテープで裏に鉄板を固定、M48戦車は敵弾が貫通、F15は共食い状態等々・・
南鮮のことですから軍幹部達が「セウォル号船長」状態であることは推して
知るべしであり軍備更新を騙った横領もめちゃくちゃ多いのでしょう。
しかし機密とも言うべき事柄を、こうも開けっ広げに広報しているのは朝鮮戦争が
再発すれば南鮮がボロ敗けすることの言い訳を、政府と軍が今のうちから喚いて
いるとしか思えません。
あるいは米国への牽制なのか? 「ウリらは米軍が助けないと北朝鮮にすぐに
負けるニダ! 南鮮は共産化するけどそれでいいニカ? もっと武器援助、
カネ援助をするニダ」のゆすり・たかりの一環なのか?
朝鮮戦争が再開されれば、兵器は古くとも職務怠慢と汚職がやり難い北朝鮮の
の方が死にもの狂いであり、圧勝ではないかと思われますねぇ・・・
我が自衛隊諸士が半島に関わる事ないよう切に祈るばかりです。
投稿: 末田 | 2014年10月25日 (土) 20時24分
自衛隊の場合平時の管理運用体制は万全なのでしょうが、
混乱するのが前提の戦時となった場合、果たしてうまく対応出来るでしょうかねえ。
米軍の場合、たとえば前線から弾薬10トンの補給要請が来た場合、
途中で混乱して届かない分を見越して最初から20トン送るとかするそうですが、
自衛隊は馬鹿正直に10トンのみ送って前線には結局5トンしか届かないとかやらかしそう。
投稿: きらきら星 | 2014年10月25日 (土) 21時39分
みやとん 様
核は、精密機器ですから、メンテは大変でしょうね。
他の方も書かれていますが、悪影響が大きいのは、高温多湿です。
その意味では、韓国の方がに、日本よりは条件はいいでしょうが、国民性の差が大きいような気がします。
しやもし 様
やはり、映えるものをピックアップさせて頂きました。
名無しX 様
方向は違いますが、朝日新聞と似ているような気がします。
イダテング 様
得られるデータはカタログだけでも、科学的知見を持って見れば、怪しいものは、怪しいくらいには判断できるようになると思います。
韓国は、国境近くの道路のバリケードなんかも面白いですよ。
あいし 様
ミサイルのメンテナンスフリーは、発射前に組み立てなくて良いものをメンテナンスフリーと呼んでいるみたいですね。
炸薬も劣化はしますよ。推進薬などよりも、条件はいいですが。
末田 様
韓国と日本の違いは、考え方の差異等、いろいろな要素が影響していると思います。
朝鮮半島で戦争が起こる時は、自衛官より、一般市民の安全の方が気になります。
きらきら星 様
自衛隊の場合、馬鹿正直に送る10tも無いかもしれません・・・
投稿: 数多久遠 | 2014年10月27日 (月) 22時18分
あいし様
確かに高温の方が問題なのはおっしゃる通りです。しかし、問題なのは結露なのです。
より正確には結露の凍結による部品(雷管・火薬等)の劣化です。
北朝鮮では兵器類がトンネルの中に隠されているため、劣化が激しいそうです。
脱北者等からの情報だそうですから、話半分にしても軍事パレードの(戦車等の)行進している数や航空機等の事故の多さから考えても有る程度は真実ではないか、と思います。
南、韓国でも弾薬等の保存状態は北程に酷くは無くても、空調無し、乾燥材(の交換)無しというらしいです。
弾薬の定期的な試射もあまりやっていないらしいのですが、流石に試射やメンテナンスくらいやっているだろうと思っていましたが・・・。
どうも書類上では行なった事になっていても、らしいのですが、セウォル号以降をみていると軍内においても保存状態はどうなのでしょうねぇ。
韓国が日本の自衛隊のようにメンテナンスもしっかりやっていればドイツのように零下十数度になっても問題はないのでしょうが、そうでない場合は幸運を祈るというしかありませんね。
投稿: みやとん | 2014年10月28日 (火) 21時45分
>>炸薬も劣化はしますよ。推進薬などよりも、条件はいいですが。
わざわざ(性能が変わらない)と()書きにしてあげたのですが・・・
炸薬の威力に関する性能は劣化しません。
物理的特性は低下する傾向にありますが、ミサイルなどの炸薬は物理的特性が要求されないので、炸薬を使用している構成品(おもに弾頭)の性能は劣化しません。
ちなみに、炸薬種によっては、その物理的特性は推進薬より早く劣化しますので、
一概に、推進薬より条件は良いとは、一概に言えません。
みやとんさん
>>確かに高温の方が問題なのはおっしゃる通りです。しかし、問題なのは結露なのです。
答え:窒素パージ&シール
何故結露が生じるか自分で勉強しましょう。
投稿: | 2014年10月28日 (火) 23時04分