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2014年10月

2014年10月27日 (月)

H27概算要求-その4_分かりにくい統合

概算要求と言えば、夏の季語なのに、気が付けば11月が目の前……ということで、概算要求ネタを急いでやっちゃいます。

このシリーズの2回目に「H27概算要求-その2_SSMへのリンク搭載に見る陸自作戦構想の変化」と言う記事を書きました。
そこで、地味で分かりにくい内容ながら、陸海空3自衛隊の統合を進めるための要求が多かったと書いたのですが、SSMへのリンク搭載は、分かりやすい内容の要求でした。

そこで、今回は、本当に分かり難い統合に関する要求をピックアップしてみたいと思います。

まずは、指揮関係を2つ。
○陸上総隊の新編に向けた準備

陸上自衛隊における全国的運用態勢強化に資する統一司令部を新編するため、これに係る関連事業を計上
・陸上総隊司令部(仮称)庁舎等の整備に必要な調査等(3億円)
・陸上総隊の新編に向けた準備態勢の確立(準備室の設置)


海自の戦闘機能は、自衛艦隊司令官が指揮しています。空自の戦闘機能は、航空総隊司令官が指揮しています。
ですが、陸自の戦闘機能は、5つの方面隊司令官(北部、東北、東部、中部、西部)が指揮しています。
空自と海自は、それぞれ一人の指揮官ですから、連携が容易なのですが、陸の場合は地域別なため、特に戦略機動が必要なケース(関東地方の戦力を沖縄に展開するなどの場合)で調整が煩雑なのです。
意向が同じなら簡単ですが、得てして意向は異なります。
「沖縄に戦力増強が必要だ! VS 首都防護用の戦力は抜く訳にはいかない!」などという相克は、当然のごとく生じるわけです。
こうなると、意志決定が遅れ、場合によっては途中で変わるため、大変です。
陸自にも、一人の指揮官がいれば、この点が改善できることから、陸上総隊創設は、相当昔から俎上に上っていた改編事業でした。やっと、実現に漕ぎ着けるようです。

○海上作戦センターの整備(自衛艦隊司令部等の新庁舎)(10億円)

陸自・空自、米軍、関係省庁と緊密に連携し、各種の事態に、より効果的かつ円滑に対応できる態勢を確立するため、横須賀の船越地区に海上作戦センターを整備(整備の第1期工事として、敷地造成を実施)


クイズです。
海上自衛隊の戦力は、自衛艦隊司令官が指揮しています。では、指揮所はどこでしょう?

当然、自衛艦隊司令部がある横須賀基地の船越地区な訳ですが、必ずしもそうではないことがあります。
自衛艦隊には、かつて自衛艦隊の旗艦が存在し、有事となれば、自衛艦隊司令官はこの旗艦に座乗して指揮を執ることになっていました。当然、指揮所は、この旗艦だった訳です。
1963年に、自衛艦隊司令部が陸上に移転し、それまで自衛艦隊旗艦だったあきづきは、護衛艦隊の旗艦となりました。指揮所も、陸上に移転したのです。

が、しか~し、海自(のエライ方)の考えでは、指揮官は艦上にあるべしという考えのようで、その後もイザとなれば、乗艦して指揮を執るという考えでした。
指揮官先頭は旧海軍からの伝統ですし、統率という観点からは良いのですが、正直言って、現代ではナンセンスでしょう。

現在、弾道ミサイル防衛の統合任務部隊指揮官は、航空総隊司令官が務めることになっています。
しかし、当初の検討時、実は自衛艦隊司令官と航空総隊司令官の間で綱引きがあったのです。

空自の切り札は、開発していたJADGEでした。
方や海自は、ウチにもMOFがあると言ってました。
MOFで弾道ミサイル防衛をやるという時点で「冗談はよせ!」だったのですが、その点は、技術的問題を踏まえて折衝していました。

で、ある時、「では自衛艦隊司令官が指揮を執りMOFで処理をする場合、データは船越に回せばいいんですね?」と言う話になりましたが、いや指揮官によっては、艦に座乗するので、その場合は、データは艦に送って欲しいという話が出てきました。
流石に、「冗談はよせ!」とは口には出しませんでしたが……

とまれ、自衛艦隊の指揮所は、艦上になる可能性があるためか、陸上の指揮所は、あまり立派とは言えません。
それを、今回やっと陸上に腰を落ち着け、航空総隊司令官、陸上総隊司令官と、しっかりとした通信が取れる環境として、海上作戦センターを整備することになったようです。

指揮の他にはもう一つ、空地間の連携関係を見てみます。
○戦闘機(F-2)JDCS(F)※搭載改修(2機:7億円)

※ JDCS(F)(Japan self defense force Digital CommunicationSystem (Fighter) ):自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)

Jdcs

デジタル通信システムという名前なので、ボイスの通信にも見えますが、地上側はタブレット端末みたいなものになるようです。
これにより、戦闘機側では目標情報を得ることができ、恐らくJDAMへのインプットなんかも簡単な操作で出来るようになるのでしょう。
また、各種資料には書かれていませんが、友軍位置なども当然表示可能となり、誤爆撃の可能性を減らせると思われます。

移動中の車両を狙うことはLJDAMがないと難しいですが、通常のJDAMだけでも、恐らく、ノドンハントにも効果的でしょう。

地上側端末では、CAS機の位置情報が確認できるようです。
これで、携SAMによる地上からの友軍誤射の可能性も減らせるはずです。

○対空戦闘指揮統制システムの取得(28億円)

島嶼部における経空脅威に対処するため、対空戦闘指揮統制システムを整備


以前からあるDADS(ダドス)の後継として、師団規模だけでなく、大は方面隊、小は旅団規模にも対応するシステムとして要求されています。
これも、CASを行う空自機に対する友軍誤射を防ぎながら、効果的な対空戦闘を行うための装備です。

ただ、意義は理解するものの、果たして本当に効果的な装備になるのかは、正直言って疑問です。
詳しくは書けないので伏せますが、技術的には多種の装備を連接するため、マッチングを取るのが非常に困難ですし、自動化しきらない部分で人間に対する負担が大きく、運用面でも使いこなせる人間を養成できるのか、正直言って疑っています。
現実には、一方送信みたいな使い方しかできないのではないかと思います。

何にせよ、いろいろと課題はあるでしょうが、3幕が協同して戦闘する態勢に向けて、態勢整備を進めるようです。

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2014年10月24日 (金)

メンテナンスフリーは疑ってかかれ!

朝鮮日報が、韓国軍の弾薬に問題があると報じていました。
「韓国軍:対戦車兵器の99.2%が老朽化 北の主力戦車に対抗困難」(朝鮮日報141014)
既に公開期間を過ぎているため、リンクは貼りませんが、個人携行の対戦車火器の多くが、使い物にならないと報じていました。

記事の信憑性には、少々疑問も付くのですが、今回の記事の本題は、これ自体ではありません。

この記事を見て、弾薬メンテナンスの必要性について、疑問を持っている方が居ます。
Ws000000
Ws000001
Ws000002

カタログにメンテナンスフリーと書いてあれば、それを信じて本当にメンテナンスフリーだと思い込むのは、致し方ないという所ではあります。
ですが、弾薬類のメンテナンスは、フリーだと言われているモノ(メンテナンスはフリーだけど除湿剤は交換しなければならないなど)を含めて、実際には結構手がかかるモノです。

炸薬や推進薬、それに電気的な作動をするミサイルなどに搭載されているバッテリーは、そもそも反応を起こしやすい化学的には不安定な物質です。
しかも、推進薬などは特殊な形状として表面積を稼いでいたりするので、物理的にも不安定になりやすい状態であるケースが多くあります。(湿気を吸収しやすい、揮発性成分が揮発しやすいなど)

かなり安定的な樹脂であるプラスチックなども、10年もたてば、硬化してクラックが入ることは珍しくありません。
推進薬で似たような事が起これば、点火した際にクラックの内面にも燃焼が進み、発生した高温ガスの逃げ場がないため、爆発します。

砲弾も、科学的変質による自然発火で爆発事故になっていますし、弾薬庫を冷暗乾燥状態とするよう努めたとしても、20年も経過すれば、変質して当然です。

高い品質にこだわる日本人的性質のため、自衛隊の場合、乾燥剤の交換などをきめ細かく行う上、ある程度経過した弾薬類を実射訓練で使う事で、問題の把握(実際に問題が確認されることは良くある)と対策に努めていますが、安全や品質よりも量にこだわる韓国の場合、こう言う報道が行われる状態になっても不思議はないだろうと思います。

カタログのセールストークは、疑ってかかりましょう。

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2014年10月19日 (日)

書評「自衛隊のごはん 海上自衛隊 呉・佐世保編」

廣川ヒロト氏による、自衛隊のごはんシリーズ第3弾、海上自衛隊編が出ました。


海自の呉・佐世保両基地及び艦艇として護衛艦「こんごう」、潜水艦「いそしお」での喫食を中心としたレポートです。

おためし版である、プロローグバージョンは、現在無料キャンペーン中ですので、興味はあるものの、どうだろうと躊躇っている方は、とりあえずこちらのプロローグバージョンをダウンロードしてみて下さい。


以前の陸自・目達原駐屯地編、空自・芦屋基地編と比較すると、今回は艦艇での食事が加わっているだけでなく、読み物としてパワーアップしている感じがします。
食事は3自衛隊の中で一番だと言われる海自が、積極的に取材に応じてくれたのも大きいと思います。
水上艦、潜水艦の勤務と食事の関係なんかが分かって、面白いです。

また、陸海空3自衛隊の3編を読み比べると、3自衛隊のそれぞれの特質が感じられます。
食事という人間の生存に関わる部分だからでしょう。

また、この本は、これから自衛隊に入ろうと思っている人や、その親御さんにも参考になると思います。
食事は重要ですからね。

自衛隊の戦闘能力ではなく、まさに縁の下の力持ち的部分が見られる電子書籍です。


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2014年10月18日 (土)

H27概算要求-その3_リンク運用も実戦対応

このシリーズ記事の前回「SSMへのリンク搭載に見る陸自作戦構想の変化」において、リンク搭載が効果的だと書きました。

リンクの価値は高いモノがあります。
しかし、それに伴う困難は、ミリタリーマニアはもちろん、自衛官にも必ずしも認識されて来ませんでした。

27年度の概算要求では、本当に戦える自衛隊を作るために、やっとリンクを本当に使えるモノにするための施策が盛り込まれました。

・米軍委託教育による人材育成(0.8億円)
リンク機能を運用する隊員を育成するための人材育成費を計上


携帯電話が普及したせいなのか分かりませんが、リンクは、スイッチさえ入れれば必要なデータが入手できる機械だと思っている人が多いと思います。
ですが、実際のリンク運用は、大変な苦労の上に成り立っています。

リンクは、電波を用いたデータ電送ですから、確かに携帯・データ通信網に似ています。
しかし、軍用のリンクが、これらと大きく異なるのは、流動的な戦域においいて、流動的に加入してくる局間での通信をさせる点です。

分かりにくい表現になってしまいましたが、一言で言えば、携帯電話網であれば、高いビルの屋上などに、しっかりとした設備が設けられている基地局設備が、軍用リンクの場合は、動き回る上に、戦域に出たり入ったりする事が大きく異なります。

代表的なデータリンクであるリンク16の場合、F-15やパトリオットは、携帯電話の端末ですが、AWACSやイージス艦は、携帯電話で言えば、基地局に近い存在です。
端末が、網に出たり入ったりすることは、その端末がリンクに入れるかどうかだけなので、大した問題ではありませんが、基地局となると大事です。

リンク16の場合、UHF帯を使用していますから、見通し外通信はできません。
イージス艦は、長期に渡って戦場に留まれますが、地表上のユニットとは、ちょっと距離が離れただけで連接できなくなります。
AWACSの場合、1万m以上の高度を飛行していますから、広範囲のユニットと連接可能ですが、戦域に留まれる時間は限られます。
しかも、各局がそれぞれに通信できる相手局の数にも制限があります。

これは、単に無線がつながるというだけではなく、電送するメッセージの内容にも関係しています。例えば、戦闘機は、自機・友軍機のステータスと敵機の位置情報ぐらいで十分ですが、AWACSの場合は、指揮統制を行うために、もっと細かい情報をリンクでやり取りします。

リンク構成の担当者は、これらを勘案して、何日の何時何分からは、どのユニットを基地局にして、この範囲をカバーし、別のユニットが系に入ったら、元のユニットは系から出ても構わないというような見極めを行い、場合によっては部隊運用に注文を付けなければなりません。例えば、対空監視用ではなく、リンク連接のためにAWACSを滞空させるなどです。

それに、F-15とイージス艦が連接されるのですから、海空自間の調整が必要ですし、SSMもリンクを搭載すれば、陸自との調整も必要です。
また、日本周辺では、米軍も同じ企画のリンクを使用しますから、そちらとの調整も必要です。(米軍は、非常に勝手ですし……)

細部は分からなくても、大変そうだというのは、何となく分かるかと思います。
演習なら、この見極め調整を何日も前から行えますが、実戦ではこれらは極めて流動的になります。
演習対応でも激務な仕事です。
リンク運用に長けた人材を多数育成しておかないと、とても実戦はおぼつかないでしょう。

例として、リンク16を上げましたが、リンクには様々な種類があります。
統一すれば良いだろうと考える方が多いと思いますが、様々なリンクが併存している理由は、導入時期の問題もありますが、リンクの性格(性能とは違う)に依っているので、今後も複数のリンクが在り続けるでしょう。

一般的に言って、高度な情報をやり取りすることが可能なリンクは、運用が困難です。
逆に、やり取りする情報は少ないが、運用が容易で、系を構成することが難しい環境にあるユニットを連接することが可能なリンクもあります。
リンク16は、高度で困難な方です。

現代戦は、これらリンクを使いこなさなければ、勝てません。
以前、何かの記事で、これからは通電職域隊員の地位が上がるだろうと書きましたが、この米軍委託教育を受けた隊員が、将来の自衛隊を支えて行く人材になるはずです。

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2014年10月13日 (月)

コンテンツと広告の両面でネットに押される既存マスメディア

このブログも転載されているBLOGOSが、5周年を迎えたそうです。

関係する記事でも書こうかと思っていたところに、東洋経済面白い記事を出していました。
だからヤマ発は「YouTuber」を起用した 個人がマスメディアを凌駕する時代」(東洋経済141006)

BLOGOS5周年とYouTuberが、どう関係するのか?
それは、ネットがコンテンツと広告の両面で、既存マスメディアを圧迫していることを示すトピックだからです。

BLOGOSは、ブログに特化したキュレーションメディアです。
キュレーションメディアは、広義ではネット上の記事をかき集めたもので、いわゆるまとめサイトなども入りますが、大手のイメージとしては、マスメディアの記事をかき集めたものと言って良いでしょう。

こうしたキュレーションメディアに対して、既存マスメディアサイドからは、コンテンツのコピペだとしての批判もあります。
確かにそうした行為が既存メディアに打撃を与えている事は事実だと思います。
ですが、私は、それ以上に、このキュレーションメディアが、既存マスメディアに与えている影響は、コンテンツの受け手である(特に日本の)読者を変質させている点だと思います。

私は、一般的に見れば、かなり保守傾向の強い人間だと思いますが、私の記事を転載して頂いているBLOGOSは、別に保守系メディアではありません。
何せ、赤旗の記事まで載っているのですから。

キュレーションメディアは、経済に強かったり、芸能に強かったりと、それぞれに特徴がありますが、多くは指向性を持っていません。(まとめサイトは別)

私の記事と赤旗が同列に読まれる訳ですから、読者はメディアリテラシーを持たざるを得ません。
それに慣れた読者は、朝日新聞など従来のマスメディアが、クオリティペーパーを自認し、”これこそが真実”として報じて来た内容も、もう”真実かも知れない”情報としてしか見なくなるでしょう。

結果、慰安婦問題や原発問題で朝日新聞が謝罪せざるを得なくなるように、コンテンツの質が問われる時代になっています。

その上、BLOGOSの記事などは、新聞記者以上に、その道の専門家が記事を書いていたりします。

コンテンツでは、真実の押しつけが通用しない上に、高い質が要求されるという厳しい時代になっています。

一方、コンテンツで集めた人を利用して、メディアをマネタイズする仕組みである広告面でも、冒頭でリンクを上げたYouTuberなどが台頭しており、従来メディアの収益源を圧迫しています。

人は集め難くなる上に、より高効率の広告が出現している訳です。

私は、メディアの行く末を占えるほどメディア通ではありませんから、メディアがどう変質して行くのかまでは分かりません。
しかし、確実に、変化しないと生き残れない時代に来ていることは間違いないでしょう。

新聞社は、コンテンツのプロバイドはキュレーションメディアなどに任せ、コンテンツについては旗色を鮮明にした上で、配信社のようにコンテンツを作るだけに専念した方が良さそうな気がします。
朝日新聞などは、「うちは赤旗ソフト版です」くらいに公言した方が、生き残れるんじゃないでしょうか。

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2014年10月 9日 (木)

創作通信_その2

創作通信の第2回です。

前回、プロットを書き上げたと報告しましたが、そのプロットを出版社の編集さんに見て頂き、練り上げの作業をしておりました。

他の作家さんのプロットを見たことはないのですが、人によってかなり差異があるらしいです。
私のプロットは、「長いですね~」でした。

私の場合、細かい設定について、技術的なモノも、政治的なモノも、かなり煮詰めて検討するので、それらを書き込んだプロットは、どうしても長くなってしまうのです。

なので、あらすじのように短縮したプロットを見てもらいました。
で、編集さんの意見をもらったところ、やはり問題点が……

そして、対策として、なんと主人公を脇役と交代させるという荒技に出ることにしました。
ガンダムで言えば、主役がアムロから、シャアとまでは行かずとも、セイラさんに変わった位の変化です。

主役の交代というのは、他の作家さんではあまりやらない方法だと思いますが、これは編集さんから言われたのではなく、自分から提案した解決策です。
なので、後で編集さんから、創作方法が変わってますねと言われました。

そうかもしれません。

私の場合、本格派の推理小説に近いかも。
例えば、密室殺人の本格推理では、登場人物よりも、まず第一に舞台装置である密室が必要です。
その密室を作り込んだ上で、それを引き立たせるため主役を含めた登場人物が配役されます。

私の場合は、その密室が、戦闘、あるいは戦争なだけの違いです。
描きたいのも、登場人物の葛藤、喜び、悲哀ではなく、戦闘における戦術だったりするので、極端な話、その戦術に携われるのであれば、主人公が誰でも構わない訳です。

ただし、表向きには、葛藤、喜び、悲哀を混ぜ込んだドラマを描きます。
何せ、そうでなければ、戦術なんかに興味の無い人には読んでもらえないので。

そういう訳で、プロットは、出版社さんのOKが出たので、本格的な執筆に入りました。
なるべく早く、お届けできるように頑張ります。

2014年10月 4日 (土)

イスラム原理主義と民主主義が、尖閣危機を招く

風が吹けば桶屋が儲かるではないですが、イスラム原理主義と民主主義が、尖閣危機を招くという図式ができつつあります。

産経以外(というか、石平氏以外)は、報じていませんが、朝日新聞などの左派系メディアが金科玉条としている”文民統制”が、中国では怪しくなってきています。

中国の場合、軍組織が国軍ではなく、共産党という党の軍隊なので、そもそも文民統制という言葉を使うことが不適切であるという、技術的問題は無視して書きますが、本来は、中国共産党という文民による組織が、軍を指揮しています。

ところが、最近になって、軍人が中国共産党の意向に沿わない発言・活動をすることが多くなってきました。
「掘削は続ける」政府方針まで宣言、習政権乗っ取る強硬派軍人」(産経新聞140626)

訪米中の房峰輝氏は、米軍関係者との共同記者会見でベトナムとの紛争に言及した。彼は「中国の管轄海域での掘削探査は完全に正当な行為だ」とした上で、「外からどんな妨害があっても、われわれは必ずや掘削作業を完成させる」と宣した。
 ベトナムとの争いが始まって以来、中国側高官が内外に「掘削の継続」を宣言したのは初めてのことだが、宣言が中国外務省でもなければ掘削を実行している中国海洋石油総公司の管轄部門でもなく、解放軍の総参謀長から発せられたことは実に意外である。


習近平氏もヒヤリ…目に余る中国軍の「外交権干犯」」(産経新聞141002)

習主席がインド入りした当日の17日、中国との国境に接するインド北西部ラダック地方で、約1千人の中国軍部隊が突如インド側に越境してきて、それから数日間、中国軍とインド軍とのにらみ合いが続いたという。
中略
アメリカ海軍大学校で開催中の国際シンポジウムに参加した中国海軍司令官の呉勝利司令官が香港フェニックステレビのインタビューに応じ、米中関係のあり方について「米中間では原則面での意見の相違があり、その解消はまず不可能だ」と語った。それは明らかに、習主席や中央指導部の示す対米関係の認識とは大きく異なっている。


軍人が、このような専横な態度を示せるようになってきた理由は明確ではありませんが、当然、軍と共産党の力関係において、共産党が軍を頼らざるを得ない構図が出来ていると思われます。

そして、それは恐らく、イスラム国を生んだイスラム原理主義と、香港でデモを起こさせている民主主義です。

香港のデモは、第2の天安門事件化する懸念があるとおり、現在のところ警察組織で対応できていますが、状況次第では、軍を投入して弾圧せざるを得ない可能性があります。

イスラム国は、ウイグル問題などで、中国が国内のイスラム教徒を弾圧していることから、中国を敵視しており、中国政府は、イスラム過激派の流入を懸念しています。
「イスラム国」敵にまわした中国 懸命の親イスラム路線もウイグル弾圧で迫害国家に」(産経新聞140905)

「イスラム国」のリーダーは7月、中国をイスラムの敵だと名指しして非難したうえ、イスラムの「兄弟」たるウイグル人を解放するために新疆を占拠すると公言した。
中略
 中国にとって深刻なのは、ただでさえ手を焼いているウイグル族の散発的反乱が今後、「イスラム国」のこの「宣戦布告」で勢いづき、中東・中央アジアからのイスラム過激派の支援や戦闘員の流入が急増しそうなことである。これではますます「中国対イスラムの戦争」という何としても避けたかった様相を呈してしまう。

中国、有志国連合参加に前向き 対イスラム国、ウイグル族が戦闘員参加の可能性」(産経新聞140910)

中国側は最近、少数民族のウイグル族のイスラム教徒がイスラム国の外国人戦闘員として加わった可能性があると指摘している。
 米高官は同紙に「中国は国内外でのテロへの懸念を強めている。米国の国益や価値観と一致するような方法による(中国参加の)機会がないか検討している」と述べた。


つまり、中国国内において、共産党による一党独裁体制を危うくしかねないのが、イスラムと民主主義となっており、それを抑えるためには、
共産党が軍を頼らざるを得ない状況が生起しているといことです。

そのため、習近平を始め共産党中央は、勝手な言動を行う軍人を、抑えられなくなっていると思われます。

日本であれば、政府方針どころか、過去の歴史認識でも政府見解と異なれば首が飛びますが、中国では、発言は言うに及ばず、中印国境で軍を勝手に越境させても、軍司令官を首にできない状況です。

ここまでの状況になっていますから、尖閣に対する日米のコミットメントが低下すれば、中国軍は、いつ尖閣で事を起こしてもおかしくありません。

南シナ海で起きているASEAN諸国との紛争も、軍が、共産党中央の意向を無視して動いている可能性も否定できないでしょう。

軍事組織は暴走するという信念に基づき、自衛隊の文民統制には、過剰なまでの反応を見せるマスコミが、こうした状況にも、ほとんど沈黙しているのは、どういう訳なのか、不思議でなりません。

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