浜名湖に沈む四式戦車は、自衛隊が探査したら良いのでは?
浜名湖に幻の戦車が沈んでいるそうです。
「浜名湖に眠る“幻の戦車”を探せ…終戦時に沈められた旧日本軍の「秘密兵器」、最新ハイテク技術で姿を現すか」(産経新聞140917)
四式中戦車チトは、わずか2両しか制作されなかったという幻の戦車で、「もし量産されていれば……」というミリオタの夢想をかき立てそうな代物です。
戦闘機で言えば震電のような存在でした。
これが、どうも浜名湖に沈んでいるらしく、町おこしの一環で、「ステキみっかび発信プロジェクト」という有志が調査を行っています。
今まで、ダイバーによる潜水調査や音波探査を行っているものの、発見には至っておらず、クラウドファウンディングで資金を集め、360万円かけて磁気探査をしようという動きになっているそうです。
しかし、磁気探査で有意な反応があったとしても、それが戦車であると確認するためには、湖底の泥を掘り返す必要がありますし、最終的には引き上げたいのでしょうから、その先にも多額の費用が必要になります。
ですから、お金をかけずに探査できるなら、それに越したことはないはずです。
今までのプロジェクト報告を見ても、防衛省にかけ合った様子はないのですが、地元選出議員にでもかけ合って、防衛省に協力を依頼したらどうかと思います。
具体的な手段としては、海自の対潜ヘリを使う事が可能なはずです。
SH-60J、SH-60Kは、哨戒用器材として、磁気探知機(MAD)を搭載しています。
AN/ASQ-81 磁気探知装置(MAD)(wikiSH-60Jページより)
これは、近距離(500m)以内に存在する潜水艦を探知するための器材ですが、潜水艦よりも遥かに小さい戦車を捜索するなら、探知範囲が相当程度小さくなるはずですので、ちょうど良いくらいではないでしょうか。
これを湖水上でホバリングしたSH-60で、ゆっくりと曳航し、探査範囲を走査すれば、それほど苦労することなく、信号が得られるだろうと思います。
戦車だけでなく、車だろうが何だろうが、湖底に沈む金属物質は、なんでも探知してしまうので、恐らく相当程度の誤探知があるだろうという点が問題ですが、これは磁気探査に共通した問題なので、どうしようもありません。
信号強度などで、有力なポイントを掘り返すしか手はないでしょう。
ヘリの運用は、10キロ少々しか離れていない場所に空自浜松基地があるので、そこから運用すれば問題ありませんし、SH-60は館山か舞鶴から展開すれば良いはずです。
最大の問題は、自衛隊が協力する根拠です。
国体や南極観測などの協力を行う根拠としている、いわゆる百条任務(自衛隊法第100条を根拠とした任務)には該当しそうにありません。
遺骨収集事業などに対する協力は、厚生労働省所管の業務であり、それに対して、国家行政組織法第2条を根拠とした官庁間協力として行っています。
ですが、戦車の探査は、文化庁あたりが文化事業としてやってくれている状況でもないので、これも使えません。
札幌雪まつりに対する協力が、行為しては近いイメージですが、雪まつりに対する協力は、社民党など左派勢力からは、批判も受けている状況な上、実際、少々怪しい根拠で実施しています。
「久間防衛相「海自動員雪まつり同様」 自衛隊法根拠示せず」(琉球新報070525)
雪まつりは、野戦築城訓練あるいは広報活動の一環として実施していますが、これを適用するなら、潜水艦探知訓練と言ってもよいハズですし、広報活動としてやっても良いと思われます。
雪まつりは、広範な支持を受け、批判するのは社民や共産くらいです。
戦車の探査でも、今の世論からすれば、問題が出ることは少ないでしょう。
批判が上がるとすれば、燃料代くらいですが、実際に訓練にもなるでしょうから、問題ないと思います。
海自とすれば、そうした批判よりも、もし探知できなかった場合、対潜哨戒ヘリの能力が露見しかねないという懸念の方が強いかも知れませんが……
プロジェクトの関係者は、ダメ元で折衝してみたら如何でしょうか?
なお、もし発見し、引き上げできた場合、地元で保存するのが一番でしょうが、管理に困るようなら、陸自に渡したら良いのではないでしょうか。
陸自の広報センター「りっくんランド」にでも置けば、目玉の一つになりそうです。
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