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2014年7月

2014年7月27日 (日)

SA-11(Buk)とSu-25の性能から考えるマレーシア機撃墜の犯人

8月2日 修正

当記事は、分析に使用したデータ(ユーチューブ動画)に大きな誤りがあったようなので、一旦削除致しました。

新たなデータが出てきましたら、書き直すかもしれませんが、基本的にその際は、別記事としてUPする予定です。

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2014年7月26日 (土)

創作通信_その1

3月に『黎明の笛』を刊行させて頂き、早4ヶ月。


脱稿(原稿を書き上げること)したのが確か1月だったので、既に半年が経過した訳ですが、この間遊んでいた訳ではありません。
ちゃんと次作に向けての創作活動をしていたのですが、なにせ遅筆なので、やっと少し目処が立ったという状態です。

普通、小説の執筆では、プロットと呼ばれる設計図を最初に作ります。
で、それに沿って書いて行くのですが、私の場合、このプロット作りが難関です。

実を言うと、1月の脱稿にしても、その前にKDP版を書いてあったので、行った作業は加筆修正しただけでした。
ですから、次作の制作に取りかかったのは、実を言うとものすごく前なのです。
ファイルを確認すると、最も古いタイムスタンプは、ナント去年の7月でした……

原案のメモレベルのモノに至っては、2012年の10月なので、既に1年9ヶ月も経っています。よく”構想から3年”なんて言う煽り文句を目にしますが、書き上がるのはマジ3年になりかねない感じです。

話を戻して、去年の7月以降の次作に向けた創作活動ですが、一応のプロットを3ヶ月程でまとめ、10月からは本文の執筆に入っていたのです……
が、どうにも宜しくない……

作者本人が、「面白くないかも知れない……」と思う代物では、読者は尚のこと面白くないと思うに決まっている。
という訳で、既に書いた本文を廃棄し、プロットの段階から作り直していたのです。

ブロットの練り直しにあたって、一番苦労したのが、キャラ造型です。
主要登場人物のキャラも大幅に変更しました。
結果、ストーリー自体も大幅に変えました。

作家によって、スタイルが違うみたいですが、私の場合は、キャラとストーリーは不可分の関係なので、キャラを変えるとストーリーも変えざるを得ないのです。

現時点の進行度合いは、キャラ造型が決まり、プロットも大筋が固まったという所です。なので、これからプロットの細部を煮詰めれば、本文の執筆に入れそうな所まで来ました。
プロットの細部煮詰めや本文の執筆中にも、物語に肉付けをするための取材や調査が必要なので、書き上がるのはまだまだ先になりそうですが、書けるかどうかも分からない状態は脱しました。

そんな訳で、今回創作通信を書かせてもらいました。
今後は、随時執筆状況のアナウンスなどさせてもらおうと思っています。

で、「どんなのを書いているんだ?」という所が疑問だと思います。
ちょっとだけ紹介させて頂くと、『黎明の笛』では航空自衛隊がメインで、対韓国の事案だったので、次回作は、海上自衛隊メインで、対中国の事案を書く予定です。(自ずとその先は陸自メインにしたいな~と思ってますが、鬼に笑われそうなので、こちらはまだ未定とさせて下さい)

次回作は、今年度中には、何とか原稿を脱稿させ、来年の夏前にはお届けできるようにしたいと思っています。

ちなみに、今のPCの壁紙は、こんなのを貼ってます。
Photo

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2014年7月21日 (月)

オスプレイ配備は、ナゼ佐賀空港なのか?

防衛省は、自衛隊に導入するオスプレイの配備地を、佐賀空港とする方向で調整に入りました。
佐賀空港にオスプレイ配備 防衛相が検討表明」(産経新聞140720)

 小野寺五典(いつのり)防衛相は20日、陸上自衛隊が平成27年度から導入する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、配備先として佐賀空港(佐賀県)を検討していることを明らかにした。


昨年末、中期防の改訂で、自衛隊への導入が取りざたされるよりも前ですが、自衛隊にオスプレイが配備されるなら、佐賀空港にも近い目達原駐屯地が適切だろうと予想しました。
オスプレイは離島防衛に寄与するか?

佐賀空港にオスプレイを配備する軍事的な価値は、佐賀空港からなら、尖閣まで一気に飛行して、人員・装備を降下させ、そのまま自衛隊の分屯基地や空港があり、給油可能な宮古島まで飛行可能だからです。
Photo
細部は、上記過去記事をご覧下さい。
佐賀空港と目達原駐屯地は直線距離にして20km程しか離れていませんので、軍事的な意義はほぼ同じです。

上記過去記事でも、輸送対象は西普連だろうとしていましたが、産経の報道でも、オスプレイは、西方普通科連隊を発展的に改組して編成される水陸機動団を輸送することを念頭に置いていると報道されています。

 防衛省は、離島防衛強化に向け、「水陸機動団」を新設する方針。離島奪還作戦時に機動団の輸送にもオスプレイを使う予定で、機動団の所在地に近い佐賀空港は利便性が高いと判断したようだ。


と、基本的には2年前に書いた記事の通りなのですが、目達原駐屯地と佐賀空港では、若干の違いがあり、メリットもデメリットもあります。
簡単に見てみましょう。

オスプレイの運用という点では、滑走路長さが660mしかない目達原駐屯地よりも、滑走路長が2000mもある佐賀空港の方が優れています。
オスプレイは、垂直に離着陸の可能な機体ですが、エンジン角度を60°にして離陸滑走した方が、より搭載重量を多くできるためです。

また、水陸機動団を尖閣に送り込んだ後には、物資や予備兵力となるであろう第1空挺団等を輸送する可能性がありますが、佐賀空港であれば、C-1やC-130、C-2と言った輸送機も問題なく運用できるため、ハブ空港として機能させられる点も目達原駐屯地よりも優れています。

政治的な面では、既存自衛隊施設に配備することが望ましいのかと思っていましたが、周辺環境を考えた場合、受け入れの調整を受ける佐賀県としても、佐賀空港の方が望ましいかもしれません。
目達原駐屯地は、周辺に住居もありますが、佐賀空港は有明海に付き出すように作られた干拓地であるため、周辺住民が不安になる可能性も少ないですし、騒音被害の可能性も少ないでしょう。

さらに、上記報道によれば、目達原駐屯地に駐屯している西部方面ヘリコプター隊等のヘリコプター部隊を、恐らく全てではなく一部だと思われますが、佐賀空港に移駐させるという案も提示されています。

 また、小野寺氏は陸自の目達原駐屯地(めたばる、佐賀県吉野ケ里町)にあるヘリコプター部隊を佐賀空港に移し、同駐屯地周辺の負担軽減を図る考えも示した。

これは、オスプレイ受け入れのバーターとして、目達原駐屯地周辺の騒音軽減を図るという提案でしょう。

佐賀県は、2035年には人口が現在よりも2割も減少すると試算されています。
佐賀県の人口、2035年には2割減の68万人」(佐賀新聞120216)
だからと言う訳ではないかもしれませんが、地方の人口減少に警鐘を鳴らした全国知事会議も佐賀で実施されました。
人口減少で非常事態宣言 「死に至る病」と会長 佐賀で全国知事会議」(産経新聞140715)

そのため、沖縄は別として、北海道を筆頭に、全国各地で自衛隊の誘致や削減防止に動いている自治体は数多くあります。

佐賀県としても、オスプレイ配備は必ずしも嬉しくないかも知れませんが、離島防衛の拠点として、佐賀県内に自衛隊施設・部隊が多数来る可能性が見えるとなれば、地域活性化のために受け入れた方が良いという判断になる可能性は十分にあるでしょう。

佐賀県とすれば、自衛隊のオスプレイを受け入れることで、米軍が来る事を危惧するでしょうが、訓練はあっても常駐する可能性は、現時点では高くありません。
軍事的に価値があり、政治的にも受け入れられる可能性が高ければ、オスプレイの佐賀配備は、アッサリと進むかもしれません。

しかし、一方で若干の問題もありそうです。
佐賀空港の現状は、目で見たわけではないのですがwikipediaを見ると、バードストライクの危険性は高そうです。

干拓地に近い立地のためバードストライクが多発しており、離島空港を除けば全国で最も発生率の高い空港の1つである。


しかし、高速の固定翼機と異なり、離陸滑走する際も、オスプレイの水平面の速度は高くないため、オスプレイでのバードストライクは、それほど多くないのではないかと思われます。

また、佐賀空港が民間空港であるため、保全上の問題も多少あります。
現在佐賀空港に運航している外国の航空会社を見ると、韓国のティーウェイ航空はともかくとしても、中国の春秋航空と春秋航空が出資した春秋航空日本(8月1日より)が運航しているため、これらの便が飛来する際には、見せたくないモノを隠す保全措置が必要です。
が、これは新千歳空港でも小松空港でも同様なため、それほど大きな問題ではないでしょう。
むしろ、オスプレイは見せつけた方が良いかも知れません。

佐賀のローカルニュースは、前述の佐賀新聞のネット版くらいしか見る事ができませんが、今のところ大きな反対はなさそうです。
是非、スムーズに進んで欲しいものです。

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2014年7月17日 (木)

集団的自衛権行使反対派による徴兵制キャンペーンを考えてみた

ここの所、またぞろ徴兵制の話題がメディアを賑わしています。

その理由は、共産党や過去の自民党に巣食っていたエセ保守が集団的自衛権行使に反対して、キャンペーンを張っているためです。
集団的自衛権は徴兵制につながるのか?」(THE PAGE140707)

彼等のロジックは、
集団的自衛権を行使すると自衛官が戦死する
→自衛官志願者が減少し、自衛隊の組織が維持できなくなる
→徴兵制に移行せざるを得なくなる
というものです。

徴兵制に関する過去記事としては、4月1日のジョーク記事として「徴兵された人員では現代戦は戦えないはウソ」としてネタにしかしていないように、徴兵制はあり得ないと思っていますし、この記事のコメント欄でも書いたとおり、基本的に反対です。

部隊には、定期的に新隊員(任期制の新隊員だけではなく、曹候補などを含めた新人隊員)が配属されますが、空自の場合、指揮官には嫌がられる事も少なくありません。
「何で俺の部隊にばかり新隊員を回すんだ!」などと言って上級部隊の人事にねじ込む指揮官を見たことは珍しくなかったです。私は言いませんでしたが、気持ちは分かります。

その理由は、部隊が新隊員の教育に要する労力と新隊員の戦力としての部隊への貢献を比較した場合、教育に要する労力の方が大きいからです。(もちろん、中には飲み込みが早く、直ぐに役立つ新隊員もいます)
前述の上級部隊にねじ込む指揮官の言い分は、新隊員ではなく、「ちゃんと戦力としてカウントできる使えるヤツを寄こせ」という意味で、欠員になっても良いという意味ではありませんが、欠員になってでも新隊員を嫌がる指揮官もいます。

私の主観的な判断ですが、教育ロードよりも、戦力としての貢献の方が大きくなるのは、入隊して4年(2任期目途中)後くらいではないかと思います。
それに加えて、徴兵された隊員は、士気が高い(やる気がある)はずもありません。

つまりは、徴兵制に移行などしようものなら、部隊は新人教育だけで手一杯です。

予備自衛官制度に最も真剣なのが陸自であるように、陸自は空自と比べて、知識技能は低くとも、若くて体力のある人材を欲しがっていますから、空自と比べれば徴兵制に移行しても、それなりにメリットはあるかもしれません。(海自は、たぶん空自と似たようなものでしょう)

しかし、陸戦でも、銃が撃てれば戦力になれた昔と今では状況が違います。
普通科(歩兵)に限っても、暗視装置を使いこなし、逆に暗視環境でも身を隠す方法を身につける事は当然ですし、IEDの危険性を理解できなければ、みすみす死傷者を増やすだけでしょう。

後方の基地・駐屯地の警備や補給などの後方業務に使えば良いという意見もありますが、特殊作戦が重視される現代では、安全な後方などありませんから、素人に毛が生えたような警備では、大きな被害を受ける可能性がありますし、補給だってアマゾンには及ばないもののシステム化されており、力仕事をこなせればそれで戦力になれる訳ではありません。

太平洋戦争のような全面戦争が何年も続くなら、流石に状況が違ってきますが、攻撃力と機動力が格段に向上した現代戦では、限定された戦力しか投入されない局地戦は別として、年単位の総力戦などもはやあり得ないでしょう。
長くても数ヶ月、短ければ数日です。

現在でも、隊員教育の専門部隊は結構な規模がありますが、徴兵など行われた時には、教育部隊も大幅に拡充しなければならないはずです。

と言う訳で、現場に居た者の感覚では、”徴兵制など真っ平御免”なのですが、徴兵制の懸念を煽って集団的自衛権に反対する勢力の言い分も検討しなければなりません。

まず、集団的自衛権を行使すると戦死者が増えるか否かについて考えて見ます。
集団的自衛権を行使するようになると、従来の解釈では自衛隊が参加することのなかった作戦に参加する可能性が高まるため、世界中で起きる紛争の件数に占める自衛隊の関与率は高まることは事実でしょう。

しかし、集団的自衛権は、他国を助けなければならない反面、他国から助けてもらえる可能性を高めるための権利です。
尖閣を始め日本が侵略される事態で、他国から助けてもらえる可能性が高まるので、侵略を抑止できる可能性も高まりますし、抑止が成功しなくても、我の戦力が高まるので自衛官の死傷も低く抑えられます。

集団的自衛権行使に反対する勢力は、後半の事を語りませんが、情けは人のためならずという金言を学んで欲しいものです。

次に、戦死の可能性が高まることで自衛隊の志願者が減少するか否かを考えてみます。
思い返してみると、似たような議論は、過去にもありました。

印象に残っているのは、2004年に始まったイラク派遣の時です。
空自でも、空輸隊を派遣するにあたり、武装勢力による携行式地対空ミサイル攻撃が頻発していたため、危険を懸念して要員に選ばれることに躊躇する隊員もいましたし、不安になる家族もいました。(米軍と異なり輸送機に、ろくな自己防御装置も付けていなかった事も影響)

しかし、それによって募集が困難になったという話は聞きませんでした。数値的な影響はでたかもしれませんが。
むしろ、震災後と同様に、意識の高い隊員が集まりました。

また、戦死ではなくとも、訓練による自衛隊員の殉職は、かなりの数に及びます。
その中でも、最も顕著なのは航空機のパイロットです。
近年こそ、安全管理が徹底され、航空事故による死者は決して多くありませんが、過去には空自に限らず、海自でも陸自でも多くのパイロット及び航空機搭乗員が殉職しています。
にも係わらず、パイロットは多くの若者にとって憧れの職業であり、航空学生採用試験の倍率は、高い数値を保っています。

自衛隊志願者は、安全性と給与だけで志望している訳ではありません。
危険であっても、そこに命をかける意義があれば、志望者は集まります。
太平洋戦争末期、特攻に志願した人さえ多かったことを忘れることはできないと思います。

実際の志願者数の推移を示したいところですが、探してみたものの、適当なデータが見つかりません。
参考になりそうなデータは、次のブログに十分とは言えないながらもまとめてありました。
自衛官は若者の就職先として定着

自衛官などの応募者数、( )内は対18~26歳人口比
人口データリンク
1980年度  93748人(0.65%)
1981年度  95704人(0.67%)
1982年度  88700人(0.62%)
1983年度  90170人(0.62%)
1984年度  92132人(0.64%)
1985年度  90117人(0.61%)
1986年度  92120人(0.62%)
1987年度  86008人(0.56%)
1988年度  89159人(0.57%)
1989年度  81685人(0.51%)
1990年度  84882人(0.52%)
1991年度  90740人(0.54%)
1992年度  -
1993年度 104723人(0.60%)
1994年度  -
1995年度  -
1996年度  -
1997年度  -
1998年度 158997人(0.96%)
1999年度 156009人(0.97%)
2000年度 145249人(0.95%)
2001年度 143350人(0.96%)
2002年度 151047人(1.04%)
2003年度 145346人(1.02%)
2004年度 132583人(0.95%)


自衛隊の死傷者が懸念されるような海外派遣は、1991年の1月から始まったイラク派遣から順次増えて行っていますが、ちょうどこの当たりのデータに欠損があるものの、長期的に見れば、むしろこの頃から上昇しています。
それまで対18~26歳人口比で0.5~0.6%だったものが、1990年代後半には、倍増とも言える1%に迫っています。

この要因には、1995年に発生した阪神・淡路大震災や経済的影響も大きいですが、明確に言えることは、海外派遣による隊員の命の危険が、募集を困難にしてはいないということです。

という訳で、集団的自衛権行使反対派のロジックは、一見妥当なように見えても、彼等の空想的論理であって、実態とは乖離しています。

彼等の展開するキャンペーンには、偽の元自衛官をツイッター上で呟かせ、元自衛官が懸念しているなどという風説の流布にもあたりそうな事までやっていますが、基本的な知識が不足しているので、あっという間に偽物だとバレてしまっています。(これなど、風説の流布によって自衛隊の募集を妨害したとして、業務妨害罪で告訴してもよいくらいです)
元自衛官を僭称している可能性のあるアカウントに騙される人々

徴兵制に対しては、過去にも自民党の大島幹事長が「わが党が徴兵制を検討することはない」とコメントを発表したりしていますが、防衛省として、過去の応募者数と海外派遣等の年表でも作って、しっかりと広報して欲しいものだと思います。

先日の記事「ぱるる効果!」にも書いた通り、自衛隊の募集が困難なのは事実ですが、最大の要因は、若年人口の減少と、アベノミクスによる景気回復、オリンピック等に起因する建設業や飲食業の人手不足で、民間との間で人材を取り合っているからです。

徴兵制に関しては、自民党を始め保守層の中に、好きな方々がいるのは事実ですが、彼等も戦争の実態を考えず、精神論を語るので勘弁して欲しいものだと思います。
ましてや、(道徳等の)教育のために徴兵制をしき、自衛隊で教育させればいいなどと言う方は、自衛隊にとっては迷惑でしかありません。

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2014年7月12日 (土)

停泊原潜・原子力空母が津波被害を受けた場合の原子力災害の可能性

1年も前の記事「原発テロ記事と防衛計画の大綱見直し」に、停泊中の米原潜や原子力空母が津波被害を受けた場合、原子力災害が発生する可能性はないのかというコメントを頂きました。

私は、原子力の専門家ではありませんが、原子力実験船『むつ』以降、長い時間が経過し、日本には現代の船舶用原子炉の専門家などいないにも等しいので、一般に公開されている情報を付き合わせて考えて見ました。

米原潜や原子力空母が停泊中に被災する可能性があるのは、なんと言っても横須賀でしょう。
関東の震災で、現在最も懸念されている地震は、南関東直下地震ですが、これは海溝型地震ではなく、そもそも津波の可能性はないとされているため、心配する必要はありません。
関東近海で津波を発生させる海溝型地震としては、南関東地震がありますが、発生周期が200~400年であり、前回が1923年の大正関東地震であるため、次の発生が100年以上先である可能性が高く、30年以内の発生確率はほぼ0から1%とされています。
南関東地震(神奈川県HP)

懸念されるのは、南海トラフ地震ですが、震源域は伊豆半島の西側なので、横須賀の津波被害はそれほど大きくないと思われます。

このため、原潜や原子力空母が大きな津波被害を受ける可能性自体があまり高くないのですが、可能性はもちろんあります。

その場合の米軍マニュアルがどうなっているのかは分かりませんが、基本的に、可能ならば緊急出航して津波の影響を受けない沖に出ることになるでしょう。ただし、予想される波高が低ければ、2次災害を防ぐ意味でも、慌てて艦を動かさない方が適切だと思われます。
原子力機関の場合、他のエンジンと異なり、完全に止めると言うことがそもそも不可能なので、大きな津波が来るとなれば、舫を断ち切り、当直勤務者だけでも出航することになると思われます。
港湾関係者も、原潜や原子力空母を沖に出す事を最優先にするでしょう。

しかし、それでも間に合わない事はありえます。

原潜の場合、出航も間に合わないとなれば、津波の影響を少なくするために、沈底するのも手だと思います。(人手がいなければ、出航以上に難しいかもしれませんが)

打ち上げられる事が避けられなければ、原子力機関は当然緊急停止させるでしょう。

しかし、福島原発が緊急停止したにも係わらず、あのような事故になったことで、コメントをくれた方を含め、多くの方が、例え原子力機関を緊急停止させたとしても、原潜も同様にメルトダウンする事を懸念していると思います。

福島原発がメルトダウンした主な理由は、電源喪失による冷却水ポンプ停止によって生じた冷却水不足にあったようですが、原潜の場合、電源喪失が起こったとしても危険性は高くありません。
というのも、現代の米原潜の場合、冷却水ポンプが潜水艦の位置を暴露する騒音発生源となるため、ポンプを止めても、対流によって冷却水循環ができるようになっているためです。
通常出力での運転では、恐らく時間的な限界はあると思いますが、緊急停止させ臨界を止めた状態であれば、ポンプはそもそも不要かもしれません。

ただし、陸上に打ち上げられ、船体が転覆してしまえば、正常な対流は起こらない可能性があり、水面上に出た原子燃料がメルトダウンする可能性がないとは言えません。
しかし、潜水艦の場合、そもそも水中で3次元機動するものですから、相当な傾斜が生じても原子炉も正常な作動ができるように設計されていると思われます。(完全に転覆しても、燃料が水面上に出ない構造になっているかもしれません)

船体が損傷する可能性については、潜水艦の場合は、耐圧船殻が水中数100mの強烈な水圧に耐えるものであるため、東日本大震災での津波くらいの流速では、船殻までは損傷しない可能性が高いと思います。
米原潜サンフランシスコは、2005年に時速60km以上の高速で水中航行中に海山に衝突するという大事故を起こし、バラストタンク等が損傷していますが、耐圧船殻の損傷は軽微で、原子炉も無事でした。
サンフランシスコ (原子力潜水艦)(wiki)

原子力空母の場合、その巨体が最大のメリットになると思われます。
原子力空母の場合、港内で津波を受けても、喫水下が10m以上もあるため、相当レベルの津波でなければ、打ち上げられることはありません。
東日本大震災時の津波でも、波高が10mを越えた場所は、被害が非常に大きかった地域だけです。
東日本大震災で確認された津波の高さ

波高が10mを越えても、その程度では、単に打ち上げられるだけで、大きく損傷したり傾斜したりすることはないと思われます。
果たして、どの程度の波高であれば、あの巨体が傾くのか分かりませんが、東日本大震災による津波に比べ、遡行高にして倍にも達したとする伝説がある八重山地震による明和の大津波もあるため、やはり可能性としてはありえることです。
八重山地震(wiki)

ですが、潜水艦ほどではないにしても、空母も戦闘艦として、転覆が不可避というレベルの傾斜になるまでは、排水ポンプの稼働など、ダメージコントロールのために電源が不可欠であることは当然で、相当の傾斜になっても電源喪失はしない設計になっているはずです。

それを考えると、やはり明和の大津波級の津波でなければ、電源喪失により冷却水が不足し、メルトダウンに至るという事故は、なかなか発生しないだろうと思われます。

空母の場合、船体は大きくとも、強度は潜水艦ほどはありませんから、メルトダウンに至る程の事故でなくとも、多少の冷却水が漏れる程度の原子力災害は発生するとは思いますが、その程度では、それほど大きな被害はでませんから、実際上の問題は、それほどないと思われます。

やはり、大きな被害が発生する可能性があるのは、メルトダウン以上の事故ですが、以上のように戦闘艦の原子炉は、発電用の原子炉と比べて、相当な異常状態でも作動限界にならないよう設計されているため、発電用の原子炉と比べれば、津波でも電源喪失して危険な状態になる可能性は低いと思います。

ただし、映画並の巨大津波が押し寄せ、陸上に打ち上げられてしまった場合には、原子炉を緊急停止させたとしても、余熱の冷却とそのための水供給は、時間との勝負になると思われます。特に原子力空母の方は危険かもしれません。

また、それほどの巨大津波でなかったとしても、現実的な問題としては、津波発生後に、陸上から海に戻った海水が泥濘を含んだ結果、あるいは、引き波の発生による海底泥の巻き上げが、原潜・原子力空母の取り入れる冷却水のフィルターを詰まらせる可能性はあります。
かなりクリティカルな部品なので、補用部品のストックはあるでしょうし、系も2重化され、交換も容易にはなっていると思いますが、やはりなんとか沖に出て清浄な海水を取り入れることができる状態にしないと、危険かもしれません。

また、原潜にせよ原子力空母にせよ、陸上に打ち上げられてしまった場合、移動させることが至難の業となるため、恐らく放射能の漏出を防止しながら解体しなければならず、時間的・経済的要素が大きな問題になると思われます。
また、解体までの長期に渡って、大量の水やその他の資材を供給し続けなければならず、津波の直接的被害よりも、時間的要素に伴う負担が、復興の大きな妨げとなる可能性が懸念される点です。

と言う訳で、津波で停泊中の原潜・原子力空母が被災した場合の原子力災害の可能性について考えて見ました。

イマイチ、危機的な状況になるとは思えないため、小説のネタにはなりにくいかなと思いますが、面白い思考実験テーマではあると思います。

最後に、この記事を書こうと思って調べた中で、神奈川県の共産党HPがなかなか面白い内容でした。
神奈川県民を原子力災害から守るため、原子力空母・艦船の横須賀母港撤回を求める―日本共産党の提言

共産党ですから、当然原潜・原子力空母の危険を書き立てている訳ですが、福島原発の事故のおかげで、一般の方のリテラシーが上がったためか、昔のように無茶苦茶ではなくなっています。
それでも、意図的なのか否かは分かりませんが、誤解に誘導するような書きぶりではあります。
しかし、メルトダウン時の被害想定を見ても、かなり恣意的な怪しい表現ではありますが、それほど酷いモノではありませんでした。
誤解されやすい言い方になってしまいますが、原発事故に功の部分ももあったと言えそうです。(当然、ほとんど罪ですが)

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2014年7月 5日 (土)

ぱるる効果!

レコードチャイナを見ていたら、ナントこんな記事が……
AKB島崎がCMで自衛官募集呼び掛け=「入隊したら最後」「家でビデオ見てるほうがマシ」―中国ネット」(レコードチャイナ140705)

マジか?
と流石に疑いましたが、マジでした。
Photo





いろんな意味でビックリですが、いろんな意味で環境変化を示す出来事です。

まず、タレント事務所が、OKを出したことが驚きです。
以前の記事、「自衛隊とサブカルの親和性」を書いた時にチェックしたのですが、AKBグループの事務所が保守的なのかもしれませんが、それにしても自衛官募集の動画にタレントを出すという判断をするとは驚きです。
反感を持たれ、商品であるタレントのイメージが悪化する可能性を考慮すれば、二の足を踏みたくなるのがビジネスとしての判断だと思いますが、現在の国民の対自衛隊感情からして、その可能性は高くないと判断したと思われます。
もっとも、タレント事務所とは少し違いますが、宝塚歌劇団みたいな事務所として親自衛隊色がハッキリしているところもありますが……

こう言ったモノへの出演に関して、タレント本人の意向がどの程度反映されるのかは知りませんが、ぱるる本人としても拒絶した訳ではないのですから、その点も、ちょっと驚きました。
が、思い返してみると、彼女は去年の元旦に靖国に初詣に行っているという実績があります。
AKB48 ともちん(板野友美)とぱるる(島崎遥香)が2人で靖国神社へ初詣

この時は、単に行きやすい場所にあるから行ったのかと思っていましたが、もしかすると、彼女自身が、そう言う人なのかもしれません。
故島倉千代子さんとか、長淵剛さんとか、芸能界にも少なくない自衛隊応援者がいるので、彼女が若手応援者となってくれるなら有り難い話です。(そうなら彼女も応援しないと!)

逆に、防衛省・自衛隊側からこのニュースを見ると、これは必ずしも明るい話題とは言えません。
タレントの稼ぎにおけるCM出演の割合はかなり高いと言われます。つまり、CMにタレントを使えば、相当なコストがかかる訳ですが、自衛隊は、今回それなりの費用を投下したといことです。(今までの隊員や装備を映している動画なら、費用は安い)
費用がかかること自体は、それが価値のあることなら仕方ありません。
しかし、隊員募集にそこまで費用をかけなければならないと言うことは、昔と比べれば対自衛隊感情が相当に改善したにも係わらず、隊員募集が厳しい状況にあるという事です。
少子化の傾向に沿うように、募集環境が悪化しているとは聞えてきていますが、アイドルを使って宣伝しなければならない程だとしたら、危機的かもしれません。

自衛隊が精強な組織であるためには、まず優秀な隊員がいることが大前提です。
ぱるる効果で、優秀な隊員が集まって欲しいものです。

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2014年7月 1日 (火)

<お知らせ>プロダクションEXPO東京

明日から、東京国際ブックフェアがビッグサイトで開催されます。
第21回東京国際ブックフェア

そして、同時開催、というかブックフェア(の一部?)として開催されるプロダクションEXPOで、『黎明の笛』が紹介されます。
第2回 プロダクションEXPO東京

出展は、『黎明の笛』の編集を担当して頂いた「株式会社ぷれす」さんで、「祥伝社」さんもお手伝いして頂けるとのことです。

ブックフェアは、土曜までの開催で、出版関係者の他、一般の本好きも訪れる展示会ですが、プロダクションEXPOの方は、金曜までの開催で、基本的にメディア関係者向けの展示会です。

ですが、ブックフェアといっしょに入れてしまうので、KADOKAWAブースでもらえるグッズ狙いの方も、筒井康隆氏のセミナーに参加したい人も、ついでで覗いて頂けます。

場所は、2F 西3ホール入り口から入って右に曲がり、4ブロック目の右手、コマ番号25-70です。(たぶん)

残念ながら、私は現場には行けないのですが、興味のあるメディア関係者は、是非足をお運び下さい。

宜しくお願い致します。

*************
7月2日 追記
いよいよ始まりました。4日(金)までです。

ブースは、こんな感じだそうです。
Photo3

手前にも、奥にも『黎明の笛』があります。
Photo2

即売もしています。限定グッズ付きみたいです。
Photo1

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