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2014年5月27日 (火)

自衛官にはリゲインが必要不可欠

中国との軍事的衝突の危険が現実味を帯びてきている中、新防衛計画の大綱の中でも度々語られるようになったキーワード実効性のある防衛力に、また一歩、ほんのちょびっとですが、前進するようです。
空自パイロットOBを予備自衛官に…有事に招集」(読売新聞14年5月26日)

防衛省は、民間航空会社に再就職した航空自衛隊のパイロットを、予備自衛官として採用を始める。


恐らく、「何でこれが実効性のある防衛力なんだ。せっかく養成したパイロットの有効活用ってだけだろ。大体、一線に立てなくなったから民間に出したんじゃないのか?」というのが、大方の感想でしょう。
私も、そう思いました。

しかし、使い方を聞くと、諸手を挙げて賛成したくなるプランです。

政府は有事の際、予備自衛官のパイロットを招集し、作戦指揮にあたる司令官を自衛官として補佐させることを想定している。司令部にはパイロットの知識や技能を持つ人材が不可欠だが、予備自衛官を活用することで、現役の空自パイロットは第一線に投入できる利点がある。


民間に割愛したパイロットを予備自衛官として復帰させ、司令部の幕僚として使い、元からいた幕僚を現場復帰させようというプランです。
ですが、この報道には報じられていない実情があります。

各級司令部の幕僚は、有事を想定した演習になると24時間戦えますかモードになります。ナゼなら、交代できる要員などいないからです。

日米共同演習をやると、幕僚は日米の実戦的体質の差を如実に感じます。
アメリカからの派遣幕僚は、夜になると「交代が来たから、俺は帰るよ~。また明日~」と言ってニコヤカに帰って行きます。
方や自衛官は、「仮眠ができればラッキー」状態です。
鍛えた自衛官と言えど、まあもって4日ですね。

なぜこんな”実際には戦えない”状態になっているかと言えば、財務省が司令部の要員を平時の業務量でしか認めてくれないためです。
防衛省が「有事は24時間対応が必要だから、交代要員として2倍の人員が必要です」と言っても、財務省は「平時はヒマでしょ。いざとなったらかき集めればいいじゃないですか」と言って司令部の要員は平時の業務量を基準に算定されています。

結果として、有事の司令部幕僚は、リゲインを飲んで”24時間戦えますか”状態になります。
演習の場合、数日で終わると分かっていますから、このまま凌ぎますが、有事では、実際にかき集めざるを得なくなります。

しかし、かき集めると言っても、かき集められてマトモに幕僚業務が実施できる人間となると、部隊では隊長並の指揮官クラスです。
そんな人員を引っこ抜いた日には、今度は部隊が立ちゆかなくなります。

という訳で、今回のニュースになっています。
民間割愛されるようなパイロットは、体力的にも、知識・技能的にも、司令部での幕僚活動に耐えられる人材でしょう。

報道では、元からいた幕僚パイロットを部隊復帰させるような事が報じられていますが、実態は、予備自衛官と共に、司令部を24時間活動させることになるでしょう。

大体において、パイロットだけ増やしたところで、機体や整備の人員が増える訳ではありませんから、元からいた幕僚を現場復帰させたところで、実際の戦力が大して向上する訳ではありません。

しかし、この措置によって、(若干なりとも)改善される司令部の幕僚は、パイロットだけですから、幕僚全体の2割にも満たない程度に過ぎません。
その他8割の幕僚は、未だに”24時間戦えますか”状態です。

これは単なる想像ですが、本当の有事になって、一番過酷な状態になるのは、恐らく会計などの後方特技幕僚ではないかと思います。

今回の割愛パイロットの予備自衛官化は、”結果として”実効性ある防衛力構築に貢献しますが、私はコレが財務省の姿勢変化だとは思いません。
多額の養成費用を費やしたパイロットを放出することで、財務省が”ムダじゃないか”という批判を恐れただけのような気がします。

防衛省としては、”これでは実際の有事には対応できない”と言うことを、もっと強く主張すべきだと思います。

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コメント

有事の際はリゲインではなく、これを飲んで頑張ります。

http://www.chugokukayaku.co.jp/section6_drink/003_S.pdf

更新ご苦労さまです。

テーマと少しズレて恐縮です。

中国が崩壊か分裂するまでアジアでの小競り合いは続くのでしょう。
日本もアセアン諸国も突発的な武力衝突に備えなければなりません。

途中で退官される自衛官の方々がアセアン諸国に出向き、技術指導や戦術指導に
就かれるような「政府方針」は無いのでしょうか?

自衛官は培った能力を保持でき日本の武官層も厚みがでます。
武器供与(有償)とセットにすれば費用も掛からない気がしますが ・・・ 

はじめん 様
自衛隊内では、こういった特殊ラベルのものが配られることはないですが、栄養ドリンクの類は、けっこう加給食として配られることがあります。

まむしは勘弁してほしいところですが。

末田 俊紀 様
退官者がそうした活動をしている事例としては、「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」があります。
そして、これを防衛省として支援する事業として、能力構築支援事業というのが行われています。
詳しくは、下記を参照下さい。

参考過去記事http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/h24-3a16.html
参考防衛省サイトhttp://www.mod.go.jp/j/approach/others/shiritai/cb/index.html

てっきり輸送機を飛ばさせたりするのかと思いましたが、幕僚などの後方要員でしたか。(まあ、輸送は大事ですから、航空機を徴発してOBに飛ばさせるのはありでしょう。)
本当なら3直はいきたいところ。
自衛隊になっても、日本軍の悪い癖は抜けてないですね。
正面装備以外に予備人員や備蓄は必要です。
それを自衛隊には真っ先に米軍に学んでもらいたかった。

Suica割 様
悪い癖は抜けてないですね。
むしろ酷くなっている気も……

悪い意味でのコストカットの例なんでしょうね、防衛予算の編成というのは
現場というか制服組はさすがに理解しているでしょうから、これでは戦えない、という声が上がるのでしょう
が、その声を汲み取るのではなく、本質的な問題点を理解せず、正面装備ばかりを揃えたがる自衛隊として批判に利用する輩がおるのが残念です

自衛隊が予備人員含む後方体制をおざなりにして正面装備重視なのは本当でしょう。
その方針を主導しているのが政治家か財務か内局かは知りませんが。
正面装備も後方も両方揃うのが制服組にとっては理想なんでしょうが、
両方は無理だからどちらか片方を選べと言われたとき後方体制重視と言える制服さんが果たしてどれだけ居るのやら。
施策が表に出てくるときには裏での擦り合わせや工作は全部終わったあと。
施策の発起人が政治家や内局だとしても、発起に必要な知識や情報を提供しているのは誰なんだろう?
「軍事に無理解な政治家や財務防衛官僚に煮え湯を飲まされている制服組」ねえ。
確かにそういう部分もあるのかも知れないが、案外制服さんがマッチポンプやってる部分もあるんじゃ、

いや、あんまり憶測で物を言ってはいけませんね。

因みに、戦闘機一機体に2名パイロットを用意しても運用効率とか上がるもんなんでしょうか?
机上の空論に思えるんですが…………

シュピーゲル 様
きらきら星 様

この件ですが、明らかに制服組にも非があります。
以前の記事で書きましたが、防衛計画の大綱に長らく鎮座してきたお題目「基盤的防衛力」などは、正面装備だけを重視し、後方軽視するための根拠でした。
それを、防衛省自ら掲げていた訳ですから、財務省だけを責める事はできません。
やっと実効性のある防衛力に舵を切ったので、今回の記事のような事になっています。

なお、戦闘機1機に2名のパイロットですが、整備能力が十分にあれば、一人のパイロットが機体1機を100%稼働させるなんて、体力的に不可能ですから、運用効率は上がります。
あくまで、整備能力が十分にあれば……ですが。

ああ、成る程、やはり整備能力が十分あればですか
なんとなく整備頻度があがって逆に稼働率下がらんかな?と疑問に思ったものですから、ありがとうございました

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