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2014年5月11日 (日)

集団的自衛権が難解な理由

このブログと同じようにBLOGOSに転載されている木村正人氏のブログで、集団的自衛権問題は難しすぎ、国民に説明し、問うことは止めた方がよいと言っています。
集団的自衛権の論じ方 日本国憲法が禁じることは?

筆者は「集団的自衛権」を公論に付すことが政治的に賢明とは思えない。そんな実務的なことは内閣法制局か防衛省の官僚、安全保障の学者に任せておけばいいと思う。


確かに、発動要件が云々で、必要性と均衡性がどうのこうのと言い始めれば、法学を学んだ人でも無い限り、とてもついて行けません。
しかも、殊に防衛がらみの憲法論議は、法的に整合の取れたその他の国内法と異なり、政治的要求が法解釈を曲げてきた長い積み重ねの上に成り立って(統治行為論なんてその典型)いるので、まともに法律として理解しようとしても、やはり混乱します。

ですが、本来の集団的自衛権は、そんな難しいものではないため、簡単に短く、「集団的自衛権とは?」について書きたいと思います。

国ではなく個人の場合、現代では治安は国家権力によって維持されているため、自衛の権利は、正当防衛の場合などに制限されています。
ですが、国家間では、各国家を規制するだけの権力が存在しないため、それぞれの国家が、自国の生存を守るため、自衛する権利(自衛権)を認められています。

そしてこの自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権にあります。

個別的自衛権は、自国に対する攻撃に対抗する権利であり、まさに”自衛”する権利です。

これ対して、集団的自衛権は、国会答弁での定義は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利」とされています。
参考国会答弁

しかし、この定義に違和感を抱いた人もいるでしょう。
それはナゼか?、と言えば、この定義を更に単純にすれば、”外国への攻撃を阻止する”権利であって、ちっとも”自衛の権利ではない”からでしょう。

しかし、これがナゼ自衛の権利とされているかと言えば、集団的自衛権は、この権利を”お互いに行使する”ことで自衛行動が行われるからです。

つまり、集団的自衛権は、本質的に”相互主義に基づかなければ自衛に成り得ない”のです。

集団的自衛権に基づく組織としては、NATOや旧ワルシャワ条約機構が有名ですが、NATOを組織するための北大西洋条約は、”いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦”する事を定めており、加盟国は、防衛される権利を得るかわりに、当然の事として、他の加盟国を防衛する義務を課されています。

(日本において)集団的自衛権が分かり難いのは、日本が関係する集団的自衛権に絡む条約が、本来の集団的自衛権とは本質的に異なる片務的な日米安保であり、日本人が集団的自衛権を考える際、日米安保を念頭に理解しようとしているからです。
言い変えれば、例外を前提として、一般論を理解しようとするためです。

この影響で、現在の集団的自衛権論議は、アメリカに向かう弾道弾を日本が迎撃することが議論となっているとおり、自衛権の問題でありながら、権利ではなく、義務が問題になっているために、分かりにくくなっています。

この権利と義務をしっかり切り分けて考えれば、かなり分かりやすくなるのではないでしょうか。

安倍政権が進める集団的自衛権の解釈変更の本質は、日米安保を、実質的に集団的自衛権本来の相互主義的なモノに変えることにあります。

個人的に、解釈論で進める事には意義がありますが、日米安全保障を、果たして本当に機能するのか怪しい片務的な集団的安全保障ではなく、本来の相互主義的な集団的安全保障に変えることには賛成です。
これを行わなければ、尖閣、そして沖縄の危機にアメリカの助力が行われない危険性があることは、前回記事で書いたとおりです。
集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景

なお、これは推測と言うよりも憶測ですが、現在の集団的自衛権行使容認の先には、アメリカからの日米安全保障条約の双務化に向けた改訂要求があるのではないかと思っています。

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防衛関係法規・規則」カテゴリの記事

コメント

自衛隊の司令部が横田や横須賀から移動したら考えましょう。

はるばる 様
横田、横須賀、座間にあるのは良い事だと思いますよ。

確かに現在の日米安保は片務的でそれを双務的にするというのはわかりやすいし納得できます。しかしもう一方で、日本がアメリカに基地を貸しているからアメリカは日本を守るという側面もあります。
日本が集団的自衛権行使で日米関係を対等にしようとするならアメリカも在日米軍基地を減らす努力をしないと逆の不平等性をもたらします。
特にアメリカの尖閣諸島に対する態度をみてその感を強くします。

> 国ではなく個人の場合、現代では治安は国家権力によって維持されているため、自衛の権利は、正当防衛の場合などに制限されています。
> ですが、国家間では、各国家を規制するだけの権力が存在しないため、それぞれの国家が、自国の生存を守るため、自衛する権利(自衛権)を認められています。
重箱の隅をつつくことになると思いますが、ここには違和感を覚えます
まず、国連に加盟している国家は国連憲章により原則武力行使が禁止され、自衛権や集団安全保障の場合に例外的に許されているという形です
これが、個人が正当防衛などの場合に例外的に許されているというのと比較されるべきです
そして国際法に言う自衛権を個人の場合に引き直した場合、正当防衛と自衛権はほぼ一致するので、個人も自衛権を制限されておらず、正当防衛という例外を設けて許容されていると言えます
むしろ、国会答弁の集団的自衛権の解釈を前提とするならば、日本法における正当防衛は、自衛権より幅広いです
なぜなら「自己または他人の権利」(刑法36条1項)「自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益」(民法720条1項本文)となっていて他人の権利について何も制限がかかっていないからです
ゲルマン法の影響を受けている日本法と違い、ローマ法や英米法の正当防衛なら国会答弁の定義と同じ若しくはそれより狭いんですけどね

更新ご苦労さまです。

多様な見解があるようですが、「集団的自衛権」が成立し「ネガティフ方式」に
変更されることを祈っています。

シナと朝鮮半島には牽制になり、アセアン諸国には強い支えになります。
そして自衛官の方々も後顧の憂いが少なく職務に就けるとおもいますから。

ここ数年に渡って、色々とネットで調べるようになったアラフィフの主婦です。思えば自衛隊の初の海外派遣の頃には、派遣を家族に認めてもらえないので退官する自衛官に対して税金泥棒よね…と思っていた時代もありました。子育てをしつつ、ニュースを視る内に、段々と意見を持つようになったり考えを改めしながら今に至っています。年令に加えて女性ということもあって、何とはなしに出版物を手に取ることは躊躇われますのでこちらのブログに行き当たることができて幸いでした。説明も分かりやすく、助かります。これからも色々な記事をお願い致します。

Masa 様
基地とのバーターという話は、昔はよく言われた論理ですね。
しかし、アメリカは、ソ連封じ込めはやったものの、中国封じ込めをしようとはしていませんから、今それを言い出したら、放棄されるのは基地ではなく日米安保の方になりそうです。

tamaru 様
もう一度、ちゃんと国連憲章を読まれた方がいいのではないでしょうか。

また、個人の権利との比較でも、自衛権は、正当防衛だけではなく、近代法では通常否定されている報復権なども含まれると解釈すべきでしょう。
自衛権は、個人の権利関係で言えば、自力救済に近いものです。

末田 俊紀 様
ROEの件でしょうか。

ROEがポジティブリストなのは、集団的自衛権というより国内法のからみなので、残念ながら集団的自衛権が認められても、直ぐには無理だろうと思います。

bb 様
そう言って頂けると幸いです。
最近は、防衛に興味を持って頂ける女性が増えたのは嬉しいですが、女性が殺伐とした事を考えざるを得ない時代になってきたのは悲しい気もします。

「自国と密接な関係にある外国」

日本政府は、なぜこんなことを言っているのかわかりませんねー。
明確に定義できないではありませんか。
誰が、どんな基準で該当・非該当を判断するのか。
その時時の行政府の判断でころころ変わるのでよいだなんて、
普通は有り得ないでしょう。

集団的自衛権を目的とした、明示的な条約を結んだ国ときっちり
限定定義すべきです。

>アメリカからの日米安全保障条約の双務化に向けた改訂要求があるのではないかと思っています。

それよりは、朝鮮有事が想定では?
「自国と密接な関係にある外国」などと言っているのは、
主に相手側の理由で集団的自衛権に関する条約締結が絶望的な
某国が攻撃されたときに、日本が周辺事態法を発動しないなどと
いうことを回避したいからでしょう。

myu5 様
「密接な関係にある外国」ですが、何が起こるか分からないから、という理由もあるとは思いますが、ご想像の通り、「韓国」という具体名を上げると反発が起きるからではないかと思います。

宮台のような胡散臭い学者気取りを取り上げるマスゴミwww その日本的価値観のままで、秋元康氏はアジアにのフォーマットを

日米安保条約は、正確には、日本は基地貸してくれるから、アメリカは敵対しませんし、アメリカ政府の自由裁量の範囲で安全は保障します条約ではないかと考えます。
つまり、アメリカの都合で敵対無しの放置プレーから全力支援まで幅があります。
ただ、アメリカを敵に回さなくて済むので、その意味で存在価値がある条約であるとは思います。

Suica割 様
(冷戦の)歴史的に、守ってやるから、こっち(西側)に居ろ!
だったでしょう。

冷戦終結で、日米安保も図式が大幅に変わりました。

そう言えば、通〇生活でリベラル派の思想家が「集団的自衛権を行使するのなら(日米安保を双務的な条約に改定して)アメリカ国内に自衛隊を駐留させるべき」と主張していまして
日本単独では、沖縄の防衛も難しくなるかも知れないのに
日本本土から部隊を引き抜いて(周囲に軍事的脅威が存在しない)アメリカ国内に自衛隊を駐留させるなんて
戦争を甘く考えていると思いました。

メリッサ 様
似たような論理を、アメリカが自衛隊の駐留を認めないだろうから、集団的自衛権は必要ないという奇妙奇天烈摩訶不思議な主張をどこかで見ました。

反対派としては、こんな奇妙な事を口にしなければならないくらいに、苦しい状況なんでしょうね。

>数多久遠様

日米安保を双務化したのに、日本だけに同盟国軍が駐留しているのは
確かに不平等ですが
現実問題、日本に余裕がありませんからね。

>奇妙奇天烈摩訶不思議な主張

もしかして、同一人物の主張でしょうか?
(通〇生活に出ていたのは、東京大学文学部卒の思想家でしたが)

メリッサ 様
余裕もですが、アメリカ本土に直接脅威を与えそうな国が北朝鮮とイランくらいで、その手段が弾道ミサイルである現状で、アメリカに駐留する意味がないです。
この意味を考えてない時点で、×です。

私の方は記憶で、今の時点でどこで見たか探しきれなかったので、同一かどうかは不明です。

(集団的自衛権に関連して)中国は個別的自衛権で対処可能、みたいな意見を聞くと
中国の軍事力への認識が、何年前で止まっているの?と言いたくなります。
それから、中国の脅威が減少した後の事も考えているから、集団的自衛権で日米安保を強化する。とも言えますよね
日米安保を強化すれば「(クリントン政権の時みたいに)共通の敵を失った後に日米関係がギクシャクする」可能性が低下すると思います。

メリッサ 様
反対派の方が、自衛隊を過大評価し、中国軍を過小評価するという妙な構図になってますね。

ブログ主さん

OREじゃなくてルール・オブ・エンゲージメント(ROE)、
(自衛隊で言うところの「部隊行動基準」)では

末田 俊紀氏
自衛隊をネガリストの国防軍にするには、まず9条改正によって
国防のための軍隊の保有の明文化と
第六章の司法の76条・81条などの改正によって軍事法廷の設置、
それらが必須かと
ブログ主さんの言うとおり、集団的自衛権とは何も関連してません

yomoyama 様
ありがとうございます。
お恥ずかしい限りです。

コメント修正しておきました。

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