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2014年5月

2014年5月 4日 (日)

自衛隊とサブカルの親和性

自衛隊の広報誌『MAMOR』が売れているらしい。
アイドルも登場する自衛隊広報誌 5月号で過去最高部数更新」(NEWSポストセブン)

創刊当初から部数は伸び続け、今年5月号は過去最高の3万3000部を発行した。出版不況のなかにあって、珍しく景気のいい話だ。


毎月3万部も売れているのか?
私が現役自衛官だった頃の事を思い返すと、笑っちゃうような話です。

しかし、自衛隊のメディア露出は、自衛隊が舞台の映画等を除いても、探してみると結構な数が見つかります。

youtubeにあるMVだけでも、3つありました。
RIVER(AKB48)_CH-47in入間基地


ピノキオ軍(SKE48)_朝霞駐屯地、90式in富士学校


SAVIOR OF SONG(ナノ(nano) feat. MY FIRST STORY)_きりしま


これらは、自衛隊側が広報のために売り込んだというより、商業的にネタを探した結果自衛隊を使っているという側面が強いですから、本当にスゴイです。

10年一昔と言いますが、まさに隔世の感があります。
その理由を考えて見ると、ここには、二つのムーブメントがあると思います。

一つは、阪神と東日本という二つの大きな大震災で自衛隊が活躍した事による対自衛隊感情の大幅な好転、そしてもう一つは、ガルパン、艦これといういわゆる萌ミリと呼ばれるトレンドです。

連休初日の昨日の事ですが、神保町の書泉ブックマート5F(ミリタリー&乗り物フロア)に行くと、萌ミリの浸食が凄まじい状態でした。

その結果なのか、逆に萌ミリからリアルに波及したのでしょう。
なんとこんなモノまであります。


この本、面白いというか、興味深いのは、国防女子がamazonランキングで117位(5/5時点)なのに対して、国防男子が63位(5/5時点)であることです。
女性の方が、自衛官をビジュアルで見ているって事でしょうか?

なお、前掲のMVですが、3件中2件がAKBグループです。(応援せねば)
そして、もう1件は艦これの元ネタと言われるアニメ関係。
やはり、ミリオタ、アイドルオタ、アニオタは、オーバーラップしている比率が高いのでしょう。
冒頭で上げたリンク先にもありますが、『MAMOR』にもほしのあきや前田敦子、里田まいなどが登場しているそうです。

『黎明の笛』が発売されてから、関係者の中からは「映画化されたらいいね。その時には主役は天海祐希さんで」なんて声も聞くのですが、こう言う状況をみるとAKBなんかもいいかもしれません。

もっとも、主役の日見子は、設定を若く変えたとしても、せいぜい20台後半にしかならないので、日見子役ではなく、杉井役でしょう。(残念ながら、映画化の話が出ている訳ではないですが)

自衛隊とサブカルという点では、現時点の最強は、やはりコレでしょう。


残念ながら、「やり過ぎだ!」という事になっているようですが、首相がニコニコ超会議にでる時代ですから、別に構わないと思うのですが……

という訳で、自衛隊とサブカルにはかなりの親和性が見られますが、海外では似たような話は米軍機のノーズアートくらいで、あまり耳にしません。
そのノーズアートにしてもこんな感じで、日本のサブカルとはちょっと路線が違います。(ディズニーキャラクターが描かれたケースもあるようですが)
B17_nose_art
Wikipediaより

海外だと軍隊と親和性のあるカルチャーは、むしろ、こう言う路線が多いです。
445pxunclesamwantyou
Wikipediaより

どうも、軍事とサブカルに親和性があるのは、日本独自の文化のようです。
それがナゼなのかは大変興味深いですが……ナゾです。

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2014年5月 7日 (水)

集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景

集団的自衛権の憲法解釈変更を、安倍政権の悲願と見る方は多いでしょう。

しかし、私はこの問題が政治・軍事的にしっかりとした背景がある、言い換えれば時代の要求が元になっている問題であり、例え安倍政権でなくとも懸案となったと思っています。

野田政権下での国家戦略会議フロンティア分科会が集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ提言を行った事からも、この背景の存在を伺うことができますが、以下では、政治的、軍事的背景について、具体的に触れたいと思います。

政治的背景の一つは、アメリカ世論の動向です。
昨年、日本でも論客として知られるパット・ブキャナン氏が、ショッキングなタイトルのコラムを発表しています。
Are the Senkakus Worth a War?」(尖閣諸島は戦争をするに値するか?)

ブキャナン氏は、大統領選挙にも2度も出馬した経歴があります。しかも共和党からです。
その人物が、尖閣防衛のためにアメリカが戦争に巻き込まれる事に対して、懸念を示していることは、日本にとって危険な兆候です。

もともとリベラルな論調で知られるニューヨークタイムズは、次のような記事を載せています。
Mr. Abe's Dangerous Revisionism

Mr. Abe, however, seems oblivious to this reality and to the interests of the United States, which is committed to defend Japan by treaty obligation and does not want to be dragged into a conflict between China and Japan.

安倍首相は、アメリカの国益を考慮していないようです。アメリカは、条約上の義務によって日本の防衛にコミットすることで、日中間の争いに巻き込まれたくないにも関わらず。


また日本でも、外務省がアメリカで実施した世論調査の結果を報じた朝日新聞記事が、尖閣諸島をめぐる日中対立に巻き込まれる事を懸念したからではないかと分析しています。
米世論「日米安保を維持」急減 「重要パートナー」中国に抜かれる 外務省調査」(朝日新聞13年12月20日)

このようなアメリカ世論の変化は、中国の隆盛とアメリカの疲弊から、モンロー主義的な傾向になっていると言えるでしょうが、重要なことは、アメリカの世論が日米安保条約を負担と感じ、日中間の争いに巻き込まれたくないと考えている事です。

先日の来日に際し、オバマ大統領は、尖閣は日米安保条約の対象になっていると言いましたが、日本と同様に民主主義国である以上、いざ事が起こった時にアメリカ世論が対日支援に反対すれば、大統領としてもそれを無視することは出来ません。

このような状況がありながら、オバマ大統領が日本に言質を与えた理由には、もう一つの政治的背景があります。
それは、日韓関係の悪化です。

極東において、蓋然性の高い軍事衝突の可能性は、尖閣をめぐる日中対立の他に、韓国・北朝鮮間における半島危機があります。

半島危機が起これば、アメリカは韓国を支援し、在日米軍基地は、重要な拠点となります。航空機は、日本国内の基地から直接作戦行動に出るでしょうし、艦船の補給基地は日本です。
そして、日本は周辺事態法を適用して、アメリカを”後方”支援することを求められます。
しかし、後方とは言え、これは北朝鮮としては、国際法的に見れば、立派な戦争当事国としての戦争行為でしょう。
主張の是非は別として、日本に対して反撃する権利があると主張し、ノドンを打ち込むことは確実です。

その時、既に相当悪化している日本の対韓国世論は、核弾頭やダーティボム、それに化学兵器を搭載したノドンを打ち込まれるリスクを犯しても、韓国のためにアメリカを支援することを認めるでしょうか?
日本がアメリカの支援を行わない場合、日米関係は絶望的に悪化しますが、それでも韓国のためにノドンを打ち込まれる事を承服するかどうかは、かなり怪しい状況にあると思います。

(日本が、それを恐れて周辺事態法適用で行う物資役務の提供だけでなく、米軍基地への電気・水の提供などを拒否すれば、基地機能は早晩麻痺します)

アメリカとしては、尖閣には巻き込まれたくないものの、半島危機における日本の支援は欲しい。
一方、日本としては、逆に半島危機には巻き込まれたくないものの、尖閣ではアメリカの支援が欲しい。

双方の思惑は、立場が逆ですが、図式は同じです。
しかし、義務は同じではありません。アメリカには日本防衛の義務がありますが、日本にはアメリカ支援の義務はありません。

アメリカ政府としては、半島危機が勃発した時に、義務を負わない日本の世論に不安を感じているでしょう。
日本政府としては、尖閣危機が勃発した時に、このアンバランスを、アメリカの世論がアンフェアだと言うことに不安を感じているはずです。

この相反した状況は、日米の間で、双方にとって利益となりうる取引ができる状況と言えますが、条約上の義務を負っているアメリカにとっては、不平等条約を押しつけられていると感じているかもしれません。

それだけに、この集団的自衛権問題が、安倍政権のみならず、民主党政権下から懸案となっている状況を見ると、その背後には、集団的自衛権を行使し、半島危機においてアメリカを支援することを担保させようとするアメリカからの圧力があるように思えてなりません。
この事は、集団的自衛権行使について、防衛省よりも外務省が積極的だと言われ、内閣法制局と戦っているのも外務省である点からも感じられます。

オバマ大統領の言質の裏には、集団的自衛権行使を容認する事との裏取引があるのではないかと思われますが、それが語られることはないでしょう。

そして、このアメリカからの圧力については、軍事的な背景もあります。
それは、北朝鮮による弾道ミサイル開発です。

先日も、北朝鮮が移動式ランチャーに搭載でき、アメリカを直接攻撃することが可能な、実戦的な大陸間弾道ミサイルになると見られているKN-08の試験が行われているとの情報が報じられています。
ミサイル燃焼試験実施か=新発射台建設の恐れも-北朝鮮」(時事通信14年5月2日)

アメリカは、積極的に攻勢作戦を行う国ですが、それは自国への攻撃を恐れる事の裏返しでもあります。
歴史的にも、キューバ危機などは、アメリカが本土への弾道ミサイル攻撃を恐れている事例ですし、弾道ミサイルに限らなければ、太平洋戦争中の日本海軍による西海岸への攻撃に対する過敏な反応を見れば、アメリカが米本土への攻撃を恐れていることは明かです。

ちなみに、この大戦中のアメリカ国民の恐慌を、コメディ映画としたため、保守派の映画関係者からも批判を浴びたのがスピルバーグの『1941』です。
この『1941』ですが、ただのコメディだと思っている方が多いでしょうが、ウィキペディアにも記載があるとおり、史実がモチーフになっています。
1941」(wiki)

本作のモチーフとなったのは、イ17によるカリフォルニア州サンタバーバラのエルウッド石油製油所攻撃や、イ26によるカナダのバンクーバー島攻撃など、太平洋戦争中に遂行された日本海軍潜水艦による一連のアメリカ本土砲撃、そして日本軍の攻撃に対するアメリカ人の恐怖が引き起こしたロサンゼルスの戦いである。また1943年のズートスーツ暴動(英語版)もモチーフの1つとされる。


特に、「ロサンゼルスの戦い」などは、アメリカ人の恐慌に近い精神が引き起こした事件であり、その報道によって、全米をパニックに陥れた事実を考えれば、北朝鮮の弾道ミサイルが、日本人が考える以上に、アメリカ人にとって恐怖であることは、理解した方が良いと思います。
ロサンゼルスの戦い」(wiki)

話を、北朝鮮による弾道ミサイル開発に戻しますが、この弾道ミサイルからアメリカ本土を防衛するためには、アメリカは日本の支援を必要としています。

既に、青森県車力に配備され、京都の経ヶ岬にも配備が予定されているFBX-T(AN/TPY-2)は、北朝鮮の弾道ミサイルの監視用です。
参考過去記事
コレが車力のFBX-Tサイトだ!
Xバンドレーダーを経ヶ岬に追加配備

そして、それ以上に重要なのは、迎撃手段となるイージス艦搭載SM-3であり、今回の集団的自衛権行使容認で、もっとも焦点ともなっている4類型の一つ、公海上における米軍艦艇の防護です。

イージスは、元来艦隊防空用のシステムであり、弾道ミサイル迎撃を行っても、その対空戦闘能力に問題はないとする人もいますが、以前にもブログで取り上げた通り、弾道ミサイル防衛実施中は、その対空戦闘能力は、かなり低下します。
そのため、2012年の北朝鮮による弾道ミサイル騒ぎの際には、対処に備えた日本のイージス艦に対して、F-15に特別の命令を発して、イージス艦を護衛しています。
既に、ネットからは記事が消えていますが、読売新聞は、次のように報じました。

イージス艦はミサイルを探知、追尾する際、レーダーをミサイルに集中させるため、周辺状況を把握できず、一種の「無防備状態」に置かれる。


参考過去記事
対艦弾道ミサイルは無意味ではない
対艦弾道ミサイルの可能性について補足

北朝鮮からの発射される弾道ミサイルの経路は、米本土を狙うなら沿海州から、シベリア東部上空を経て、アラスカ・北極海を通過します。
アメリカは、これに備えるために、アラスカにGBIを配備していますが、それ以前に対処するとしたら、イージスSM-3を日本近海に配備するしかありません。
SM-3の性能だけを考えるならば、イージスはオホーツク海に入れた方が良いのかもしれませんが、ロシアがそれを容認する可能性はないでしょう。

SM-3によるICBM迎撃には、性能の上で限界もありますが、ブロックIIBでは十分に可能になるはずですし、2018年から配備される予定のブロックIIAは、限定的なICBM対処能力を付与されており、ブースト段階のICBMを迎撃できる予定であるため、まさに日本海から発射するために最適のミサイルとなっています。

しかし、イージスでICBM迎撃を行うためには、前述のように防御力の低下が否めないため、海自護衛艦あるいは空自戦闘機による護衛が必要という訳です。

以上のように、今集団的自衛権行使容認が問題の背後には、日本としては、尖閣危機に対するアメリカの支援を得るためのアメリカの世論対策、アメリカとしては、朝鮮半島危機に対する日本の支援が必要という政治的・軍事的な背景があります。

日米交渉の内幕は分かりませんが、恐らく民主党政権当時から、アメリカからは圧力がかかっていた可能性が高いと思われます。

アメリカの圧力を受けることに関して反発を感じる方もいるでしょうが、尖閣を”戦争をすることなく”防衛するためにはアメリカのコミットメントは必須です。

もし、戦闘が起きるとしても、無人の尖閣周辺だけでの戦闘であれば、死傷者は自衛官や警察官、海上保安官に限られます。
もし、尖閣を明け渡し、その後の中国による沖縄への侵攻で抵抗するならば、沖縄を再び戦果に巻き込むことになります。

集団的自衛権を行使することになれば、確かに反対派が言うとおり、朝鮮半島危機では日本は戦闘に巻き込まれる可能性が高まります。
しかし、尖閣危機でアメリカを巻き込む事で、沖縄を再び見捨てないためには、負わなければならない代償です。

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2014年5月11日 (日)

集団的自衛権が難解な理由

このブログと同じようにBLOGOSに転載されている木村正人氏のブログで、集団的自衛権問題は難しすぎ、国民に説明し、問うことは止めた方がよいと言っています。
集団的自衛権の論じ方 日本国憲法が禁じることは?

筆者は「集団的自衛権」を公論に付すことが政治的に賢明とは思えない。そんな実務的なことは内閣法制局か防衛省の官僚、安全保障の学者に任せておけばいいと思う。


確かに、発動要件が云々で、必要性と均衡性がどうのこうのと言い始めれば、法学を学んだ人でも無い限り、とてもついて行けません。
しかも、殊に防衛がらみの憲法論議は、法的に整合の取れたその他の国内法と異なり、政治的要求が法解釈を曲げてきた長い積み重ねの上に成り立って(統治行為論なんてその典型)いるので、まともに法律として理解しようとしても、やはり混乱します。

ですが、本来の集団的自衛権は、そんな難しいものではないため、簡単に短く、「集団的自衛権とは?」について書きたいと思います。

国ではなく個人の場合、現代では治安は国家権力によって維持されているため、自衛の権利は、正当防衛の場合などに制限されています。
ですが、国家間では、各国家を規制するだけの権力が存在しないため、それぞれの国家が、自国の生存を守るため、自衛する権利(自衛権)を認められています。

そしてこの自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権にあります。

個別的自衛権は、自国に対する攻撃に対抗する権利であり、まさに”自衛”する権利です。

これ対して、集団的自衛権は、国会答弁での定義は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利」とされています。
参考国会答弁

しかし、この定義に違和感を抱いた人もいるでしょう。
それはナゼか?、と言えば、この定義を更に単純にすれば、”外国への攻撃を阻止する”権利であって、ちっとも”自衛の権利ではない”からでしょう。

しかし、これがナゼ自衛の権利とされているかと言えば、集団的自衛権は、この権利を”お互いに行使する”ことで自衛行動が行われるからです。

つまり、集団的自衛権は、本質的に”相互主義に基づかなければ自衛に成り得ない”のです。

集団的自衛権に基づく組織としては、NATOや旧ワルシャワ条約機構が有名ですが、NATOを組織するための北大西洋条約は、”いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦”する事を定めており、加盟国は、防衛される権利を得るかわりに、当然の事として、他の加盟国を防衛する義務を課されています。

(日本において)集団的自衛権が分かり難いのは、日本が関係する集団的自衛権に絡む条約が、本来の集団的自衛権とは本質的に異なる片務的な日米安保であり、日本人が集団的自衛権を考える際、日米安保を念頭に理解しようとしているからです。
言い変えれば、例外を前提として、一般論を理解しようとするためです。

この影響で、現在の集団的自衛権論議は、アメリカに向かう弾道弾を日本が迎撃することが議論となっているとおり、自衛権の問題でありながら、権利ではなく、義務が問題になっているために、分かりにくくなっています。

この権利と義務をしっかり切り分けて考えれば、かなり分かりやすくなるのではないでしょうか。

安倍政権が進める集団的自衛権の解釈変更の本質は、日米安保を、実質的に集団的自衛権本来の相互主義的なモノに変えることにあります。

個人的に、解釈論で進める事には意義がありますが、日米安全保障を、果たして本当に機能するのか怪しい片務的な集団的安全保障ではなく、本来の相互主義的な集団的安全保障に変えることには賛成です。
これを行わなければ、尖閣、そして沖縄の危機にアメリカの助力が行われない危険性があることは、前回記事で書いたとおりです。
集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景

なお、これは推測と言うよりも憶測ですが、現在の集団的自衛権行使容認の先には、アメリカからの日米安全保障条約の双務化に向けた改訂要求があるのではないかと思っています。

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2014年5月14日 (水)

昨年に続く「沖縄県民の対中意識調査」結果と沖縄世論形成

昨年に引き続き、沖縄県による「沖縄県民の中国に対する意識調査」の結果が発表されています。
「地域安全政策調査研究報告~アジア太平洋地域の中の沖縄~」について
調査結果は、「地域安全政策調査研究報告④(PDF:4,165KB)」のP175からです。

この調査について、初めて目にする人は、沖縄の対中国意識が予想に反して非常に悪いことに驚くと思います。
今年の調査結果は、さらに尖閣を中心とした中国の姿勢を受けて、昨年以上に悪化していますが、それ以外については継続調査されている項目では、結果自体に大きな変化はありません。

なので、どんな内容なのかは、改めてまとめません。
興味のある方は、昨年の過去記事を参考にして下さい。
沖縄県民は反米・親中なのか?_沖縄県民の対中意識調査結果

今回は、新たな質問項目として加わった世論形成に影響のあるメディアについての質問と調査に対する沖縄メディアの反応について、触れてみたいと思います。

まず、中国や日中問題に関する情報ソースですが、関心の強さのためか、日本のマスメディアについては全般的に全国と比べて、若干高くなっています。
その反面、対中ビジネスによる交流や中国人観光客、それに在日中国人との直接接触による情報が、全国では多少ながらもあるものの、距離的には近いものの来沖する中国人が少ないせいか、多少少ない数値になっています。
沖縄から出ない方は、この結果に多少驚きを感じるかもしれませんが、関東でしばらく暮らしてみれば、実感できるはずです。何せ、コンビニや牛丼屋に入れば、店員は日本人よりも中国人の方が多いくらいですから。
Ws000024

次に、ニュースメディアの中でも、どの媒体から情報を得ているかについては、全国との比較がないですが、テレビが約80%と圧倒的であることが分かります。
続くのは、新聞とインターネットが、それぞれ10%弱となっています。
Ws000026

沖縄のテレビ局は、NHKの他には、RBC琉球放送がTBS系列ですが、沖縄タイムスと資本関係があり、琉球朝日放送がテレビ朝日系列ですが、琉球放送と関係が深いため、沖縄タイムスの影響を受ける状態、そして残るOTV沖縄テレビがフジテレビ系列ですが、琉球新報と提携関係があります。
結果、全国ニュースはそれぞれテレビのキー局のニュースが流れるモノの、ローカルは在沖主要紙である沖タイと琉新の影響を受ける状態になっています。

なので、NHKが頑張ってくれることを期待します。
私を含めた保守派からすれば、NHK自体の報道姿勢も問題視されることも多いですが、在沖2紙とは比較するまでもありません。

続いて、この意識調査に関する、その在沖2紙の報道を見てみます。
昨年、中国に対する悪感情を極力小さく見せようとしながらも報じることはした沖縄タイムスは、今年も事実を淡々と報じる姿勢でしたが、対中感情が悪化し9割が否定的とタイトルを付け、若干まともな報道になっています。
県民の中国印象、9割が否定的 尖閣で悪化」(沖縄タイムス14年4月16日)

一方、琉球新報は、事実報道はなく、社説で「交流や対話を重ねることが「抑止力」につながる」など、憤りを感じる前に脱力してしまうような報道ぶりでした。
日中関係意識調査 重層的交流こそ抑止力に」(琉球新報14年4月17日)

尖閣問題の解決策として、国際司法裁判所への提訴も含め、平和的解決を求める県民の割合は9割近くを占める。このことはしっかり押さえたい。
 「日本の実効支配を強化するべき」との回答も10・8%あるが、県民の多くは危機意識を持ちながらも、いや持つからこそ、平和的な解決に徹するべきだと考えていると言えるだろう。
 その意味では、対立をあおるような政治の動きは日中双方とも厳に慎み、避けるべきだ。ウクライナ情勢の緊迫化が、尖閣問題に及ぼす影響も懸念されており、政治の的確な舵(かじ)取りが一層求められていることを自覚してほしい。
 日中関係をめぐる報道が「過剰な危機意識をあおっている部分がある」(赤嶺守琉球大教授)との指摘もある。耳を傾け、心したい。
 県内に住む中国人らでつくる日本沖縄華僑華人総会の東江芝軍会長は「日中間で政治的緊張感が高まっているときこそ、沖縄と中国の民間交流を大切にしていくべきだ」と述べている。全く同感だ。
 民間レベルのほか自治体の姉妹都市関係などソフトパワーを駆使し、重層的な交流や対話を重ねることが「抑止力」につながる。歴史的、文化的関係が深い沖縄はより効果的な貢献ができるはずだ。


冒頭にも上げた昨年の関連記事で、県(知事)が、この調査結果を見て、辺野古移設の受け入れに傾いてくれることを期待したいと思いますと書きましたが、実際知事がその方向に動いてくれました。

名護のことがあるので、まだまだ難航しそうですが、先日のオバマ大統領によるリップサービスあったように、アメリカが対日姿勢を変える前に、集団的自衛権行使の問題と併せて、普天間問題も解決の方向に進んで欲しいと思います。

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2014年5月18日 (日)

ゾンビ対処計画とヤマサクラ

CNNが面白いニュースを流しています。
米国防総省、「ゾンビ」襲来の対応策を策定していた」(CNN14年5月17日)

この文書は、米戦略軍が作成した「CONOP8888」という極秘文書で、現実の大規模な軍事作戦、緊急事態、大災害に対する作戦の立て方の訓練用テンプレートとして、地球全体がゾンビに襲われるという恐怖のシナリオが採用されている。


ネタではなく、真面目なニュースです。
さすがに、自衛隊ではゾンビを想定することはしませんが、発想としては理解できます。

米戦略軍の報道官、クンツェ海軍大佐は「この文書は、軍内部の演習で使用される訓練用ツールと認定されている。この演習では訓練生が架空シナリオを通じて、軍事計画や治安・秩序の発展に関する基本概念を学ぶ」と述べ、「この文書は米戦略軍の(正式な)計画ではない」と付け加えた。


日本流に言うところの”頭の体操”用のシナリオという訳です。
その”頭の体操”を行うため、ゾンビにリアリティを与えられるだけの想定を作ることが大変なので、自衛隊ではもっと簡単なものを使ってしまうのですが、米軍がわざわざゾンビを使う事にも一理あります。

同文書によると、人々が訓練用の架空のシナリオを実際の計画と勘違いしないよう、あえて全くありえないシナリオを採用したのだという。


”ゾンビ”を使わないとどうなるかという良い事例があります。
日米合同図上演習「ヤマサクラ37」から見る中国地方

ヤマサクラは、陸自の方面隊と米陸軍が共同で行う指揮所演習(CPX)です。
私もお客さんとしてお邪魔した事がありますが、お互いの意思疎通に慣れることを主目的にして、図上演習だけでなく、各種レセプションで交流を図る、なかなか豪勢な演習です。

で、このヤマサクラの想定が、何度か公表されたことがあります。
2010年のヤマサクラ37もそうでした。
馬鹿げたウォーゲーム

赤旗の記者は、実は結構軍事に明るいので、このヤマサクラがどんな演習で、なぜこんな想定なのかも理解した上で、読者を意図的にミスリードする目的で記事を書いていると思われます。

赤旗の意図とは別の方向で、これを誤解してしまうのは、ミリタリーマニアです。
ゾンビにリアリティを持たせるだけの想定を作る作業が大変なので、ヤマサクラでは「C国」といった仮想の地理環境・軍事力の国を作り、装備はロシア・中国あたりの装備品を準拠した兵器を持っているという想定で訓練します。

ところが、ここでロシア製や中国製兵器が日本に上陸(陸自と米陸軍の訓練なので、上陸されないと訓練が始まりません)していることを見ると、前掲リンクのように、ロシアや中国が日本に着上陸することを自衛隊が予期していると誤解してしまう人がいるのです。

自衛隊単独や日米共同の訓練・演習では、様々な想定の下で訓練・演習が行われます。
訓練と演習の差異については、過去の記事「訓練と演習の違い」で書いていますが、ヤマサクラに関しては、名前は演習でありながら、実態は仮想の国を対象としている通り、訓練です。

戦場となるのも、当然に、その演習に参加する方面隊の担任区域です。
これは、訓練を行うために、そう想定しているだけで、その場所が危険だと自衛隊・米軍が予測している訳ではありません。
また、敵戦力の規模は、陸自だけでは手に余り、米軍の来援があれば反攻が可能なレベルのものを、想定します。
これは、リアリティではなく、相互の意思疎通を図るという目的を達成するため、訓練効果を最大化できる敵の規模を想定したと言うことです。

この手の事は、訓練を計画する際に常にあることで、リアリティの高い訓練を目指す場合は少なくなるものの、「これじゃ○○部隊の訓練にならないじゃないか。計画を作り直せ!」なんて事は、私も何度言われたか数知れません。

しかし、それを見て、それを自衛隊・米軍(という権威)が、大規模な機甲戦力が上陸してくる事を予期していると見てしまう人がいます。
アメリカが”ゾンビ”を使うのも、同じような事が過去にあったのではないかと思われます。

さて、視点を転じて、このネタ(ニュース)のもう一つ面白い(と言ったら怒られてしまうかも知れませんが)点について、触れておきたいと思います。

このゾンビ想定、なんだかゲームや映画になっているバイオハザードを想起させますが、作っているのがアメリカの戦略軍だという点が注目です。
戦略軍とは、大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機や弾道ミサイル搭載潜水艦を統合指揮する統合部隊です。

ということは、このゾンビ想定での訓練での最大の決心事項は、パンデミック的に広がるゾンビ感染を、核で焼き尽くす点にあるのでしょう。
映画では、封鎖地域に核を使用するシーンが良く出てきますが、アメリカはいざという時には、本気で核で焼き尽くす事を考えていると思われます。

日本でも、生物兵器が使用された場合には、最悪のケースとして、想定する必要があるのではないでしょうか。

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2014年5月22日 (木)

防衛省における男女共同参画の問題点

防衛省における男女共同参画に係わる基本計画が更新されています。
防衛省における男女共同参画に係る基本計画

防衛省・自衛隊というだけでなく、日本社会全体が男女共同参画社会になろうとしている中で、防衛省・自衛隊として、どうあるべきかという方向性を打ち出しています。
具体的には、女性自衛官の採用・登用の拡大を計る他、庁内託児所や男性職員の育休取得推進などの勤務環境の整備などが盛り込まれています。

社会全体の方向ですし、優秀な人材確保のために必要な施策だと思いますが、一つ欠落している視点があるように思います。

それは、男性職員の育休取得推進が盛り込まれているものの、基本的には自衛官の人事制度全体が、配偶者が専業主婦(主夫)であることを念頭に考えられており、防衛省・自衛隊職員は男女共同参画になったとしても、その配偶者までが男女共同参画になるような方向で計画されていないということです。

分かりにくい話だと思いますので、実例を出しましょう。
自衛官の奥さんが、就業したいと思っても、実際にはかなり困難です。

陸自の場合、曹以下は転勤が少ないので、あまり当てはまりませんが、陸の幹部、海空については幹部曹士の別なく、結構な頻度で転勤します。
そうなると、奥さんが就業しようとしても、数年しか働けない可能性が高く、どこに行っても引く手あまたな看護師資格でも持っていないと、なかなか条件の良い就業先が見つからないという結果となり、働きたくてもパートでしか働けないという事が多いです。

単身赴任すれば良いとも言えますが、家計が2重化するわけですから、収入が増えても支出も増える結果となり、やはり苦しい状態になるでしょう。
それに、家族が一緒に暮らすことと男女共同参画は、背反して良いものでもありません。

この問題に対する策は難しいと思いますが、知恵を絞って、何らかの施策を講じて欲しいと思います。

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2014年5月24日 (土)

名護市長選、東京都知事選に続く注目の選挙

今回は、名護市長選、東京都知事選に続く、今年注目の選挙ネタです。

しかし、国会議員や地方首長の選挙ではありません。
AKB総選挙と呼ばれる「AKB48 37thシングル選抜総選挙」です。

普段、軍事・防衛ネタばかり書いている当ブログが、何故にAKB総選挙なのかと言いますと、今回のAKB総選挙は、日本の防衛にも(ちょこっと)影響しそうだからです。

まずは、次のグラフを見て下さい。
Photo
過去のAKB総選挙と今回の総選挙の速報結果をまとめたもので、圏内(1回目は30位、2回目3回目は40位、4回5回目は64位、今回は80位以内)入りしたメンバーの所属別比率です。
それぞれのグループの発足時期を考えれば、初期の選挙で本店と呼ばれるAKBが圧倒的なのは当然ですが、最近でも全国放送でのメディア露出はAKBが筆頭でしょう。
それでも、前回、それ以上に今回は、各支店の伸張が著しく、本店AKBの比率は40%を切っています。

この傾向は、この選挙の本来の目的である次期シングルを歌う選抜メンバー限定で見ると、さらに顕著になります。
Photo_2
本店対支店合計では当然ですが、支店単独でもSKEはAKBを抜きそうな勢いですし、歴史が浅いにも係わらずHKTは20%に届きそうな状況です。

この結果は、もちろんそれぞれのメンバーの頑張りがあってのことでしょうが、背景を考えた時に、支店の各店が、それぞれの地域の応援を受けているという側面は無視できないと思います。
HKTは、博多で活動していますが、九州ツアーを行うなど九州を抑えにかかっていますし、テレビに博多市長といっしょに出演するなど、地域興しに一役買っている状況です。

そもそも、この記事を書こうと思った理由は、AKB総選挙を報じるニュースを見て、”何だかJリーグのようだな”と思ったのが発端でした。
野球は、企業の宣伝塔として地域性が乏しいですが、サッカーはJリーグの方針として地域性を大切にしています。

AKBグループの場合、AKBの名前が秋葉原(通称アキバ)から来ていることもあって、支店も土地の名前がグループ名になっていますし、”会いに行けるアイドル”というコンセプトによって拠点を中心に活動しているため、必然的に地域性を持っています。

サッカーが、地域興しに貢献していることと同様に、このAKB総選挙も、もっと正確に言えば、選挙での各支店の隆盛は、東京への一極集中傾向を押し留める効果があるのではないでしょうか。少なくとも応援している地方のファンには力になります。

最近の防衛上の懸案事項として、離島防衛が声高に叫ばれますが、離島が危険になっている理由は、中国による侵略という外的要因だけでなく、離島を含む地方の過疎化により、実効支配が薄らいでいるという日本国内の内的要因も大きく影響しています。
この内的要因が最も影響しているのは、対馬や与那国などの先島の島々であり、地域経済の低下から、韓国や中国からの観光客など、日本よりも外国頼みになりつつあるという状況があります。
こう言った全般的な傾向を抑えるためには、やはり地方が元気になってもらうしかありません。

そのためにも、AKB総選挙では、SKEを筆頭に各支店メンバーに頑張って欲しい所です。

また、そうした視点で考えた場合、北日本にAKBグループ支店がないことが残念です。札幌では商圏規模的に難しいように思いますが、仙台ならなんとかビジネスとして成立する可能性があるように思えます。
なんでもSKE発足の際は、名古屋の地元企業がスポンサーとなったそうです。仙台でKKB(仙台の繁華街は国分)を発足させるために、楽天の三木谷氏がお金を出したらどうでしょうか?

蛇足ですが、個人的にはSKE推しです。。
もちろんみんな頑張っているのでしょうが、SKEはがむしゃらに頑張っている感のあるメンバーが多いような気がします。
”カワイイ”と言うより、”根性”とか”不屈”という言葉が似合う気がして……、エース松井珠理奈、アスリート須田亜香里、雑草松村香織などを見ていると、自分も頑張らないとという気にさせられます。

オーソドックスなアイドルを見る目とは、何か違うかもしれませんが、現在速報トップ独走中の指原莉乃も似たようなキャラな所を見ると、AKBに対するファン心理は、昔のアイドルに対するそれとは、基本的に異なっているのかも知れません。

みんなガンバレ!

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2014年5月25日 (日)

中国機の自衛隊機への威嚇接近は通常営業

中国機による自衛隊機への接近が、妙に話題になってます。
20140525_su27
防衛省提供

中国機が自衛隊機に異常接近 東シナ海、30~50メートルまで」(産経新聞14年5月25日)
中国軍機、自衛隊機に異常接近…東シナ海で」(読売新聞14年5月25日)
自衛隊機に中国機が異常接近 防空識別圏重なる区域で」(朝日新聞14年5月25日)
中国機が自衛隊機に異常接近 防衛相「危険な行為」 」(日経新聞14年5月25日)
中国軍戦闘機が自衛隊機に異常接近」(NHK14年5月25日)

ですが、基本的に、そんなに騒ぐほどのニュースではありません。

中国機は、過去には米海軍のEP-3にぶつけるという海南島事件も起こしていますから、至近距離まで接近されたOP-3とYS-11EBの乗員は緊張したでしょうが、自衛隊機は中露の演習を監視に行っていたのですから、中国によるリアクションは織り込み済みだったはずです。

4年前には、自衛隊が行っていた演習に対して、ロシア機が同じように監視フライトを行い、自衛隊機がリアクションで上がるという、今回とは逆の状況が発生しています。
過去記事「ロシア軍機が日米共同統合演習を偵察 「客が来た!」

つまりは、お互い様な活動なので、注目すべき点は距離が近かったというだけです。
しかも、そこまで接近するということは、撃つつもりはなく、姿を見せて威嚇したかっただけです。

こう言った事例は、最近になって公表されるようになりましたが、空では自衛隊創設当時から続けられてきたことです。

しかし、自衛隊がそこまでの事を行っていると言うことが、国民に知られるのは良いことだと思います。
特に、対領侵措置でスクランブルする戦闘機パイロットの危険は、多くの人に認識されていましたが、今回接近されたOP-3やYS-11EBといった武装もなく速度も遅い機体であっても、相手が引き金を引きさえすれば命を失う危険な任務を行っているということが知られることは良い事ことですね。

ちなみに、報道に出ることは少ない画像・電波偵察機ですが、小説『黎明の笛』でも活躍しているので、チェックして頂けると有り難いです。


なお、各社の報道の内、NHKの報道では、小野寺防衛相が「日中の防衛当局間で、海上での安全確保について話し合うことは重要で、不測の事態を回避するためにも、海上連絡メカニズムの早期の運用開始を目指して、中国側に働きかけていく」とコメントした事を受け、「先月、海上自衛隊と中国海軍など太平洋地域の各国海軍は、相手の艦艇に射撃管制レーダーを照射するといった行為を避けるなどとした、不測の事態を回避するための行動基準を定め、合意していました」と報じ、偶発衝突防止の重要性をアピールしています。
が、皮肉?なことに、今回の事案は空の話なので、直接には関係しません。

空では偶発衝突防止策は不要なのか?という話があっても良いとは思いますが、海上に比べると空ではこうした話はあまり出てきません。
無線については国際緊急周波数があるので、昔から通話は可能だというような事情がありますが、その他にも”上がったら一人”、”恃むのは己のみ”というパイロットの気質が関係しているようにも思います。

こうした点では、空は未だにアナクロというか、侍の世界と言えるかもしれません。

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2014年5月27日 (火)

自衛官にはリゲインが必要不可欠

中国との軍事的衝突の危険が現実味を帯びてきている中、新防衛計画の大綱の中でも度々語られるようになったキーワード実効性のある防衛力に、また一歩、ほんのちょびっとですが、前進するようです。
空自パイロットOBを予備自衛官に…有事に招集」(読売新聞14年5月26日)

防衛省は、民間航空会社に再就職した航空自衛隊のパイロットを、予備自衛官として採用を始める。


恐らく、「何でこれが実効性のある防衛力なんだ。せっかく養成したパイロットの有効活用ってだけだろ。大体、一線に立てなくなったから民間に出したんじゃないのか?」というのが、大方の感想でしょう。
私も、そう思いました。

しかし、使い方を聞くと、諸手を挙げて賛成したくなるプランです。

政府は有事の際、予備自衛官のパイロットを招集し、作戦指揮にあたる司令官を自衛官として補佐させることを想定している。司令部にはパイロットの知識や技能を持つ人材が不可欠だが、予備自衛官を活用することで、現役の空自パイロットは第一線に投入できる利点がある。


民間に割愛したパイロットを予備自衛官として復帰させ、司令部の幕僚として使い、元からいた幕僚を現場復帰させようというプランです。
ですが、この報道には報じられていない実情があります。

各級司令部の幕僚は、有事を想定した演習になると24時間戦えますかモードになります。ナゼなら、交代できる要員などいないからです。

日米共同演習をやると、幕僚は日米の実戦的体質の差を如実に感じます。
アメリカからの派遣幕僚は、夜になると「交代が来たから、俺は帰るよ~。また明日~」と言ってニコヤカに帰って行きます。
方や自衛官は、「仮眠ができればラッキー」状態です。
鍛えた自衛官と言えど、まあもって4日ですね。

なぜこんな”実際には戦えない”状態になっているかと言えば、財務省が司令部の要員を平時の業務量でしか認めてくれないためです。
防衛省が「有事は24時間対応が必要だから、交代要員として2倍の人員が必要です」と言っても、財務省は「平時はヒマでしょ。いざとなったらかき集めればいいじゃないですか」と言って司令部の要員は平時の業務量を基準に算定されています。

結果として、有事の司令部幕僚は、リゲインを飲んで”24時間戦えますか”状態になります。
演習の場合、数日で終わると分かっていますから、このまま凌ぎますが、有事では、実際にかき集めざるを得なくなります。

しかし、かき集めると言っても、かき集められてマトモに幕僚業務が実施できる人間となると、部隊では隊長並の指揮官クラスです。
そんな人員を引っこ抜いた日には、今度は部隊が立ちゆかなくなります。

という訳で、今回のニュースになっています。
民間割愛されるようなパイロットは、体力的にも、知識・技能的にも、司令部での幕僚活動に耐えられる人材でしょう。

報道では、元からいた幕僚パイロットを部隊復帰させるような事が報じられていますが、実態は、予備自衛官と共に、司令部を24時間活動させることになるでしょう。

大体において、パイロットだけ増やしたところで、機体や整備の人員が増える訳ではありませんから、元からいた幕僚を現場復帰させたところで、実際の戦力が大して向上する訳ではありません。

しかし、この措置によって、(若干なりとも)改善される司令部の幕僚は、パイロットだけですから、幕僚全体の2割にも満たない程度に過ぎません。
その他8割の幕僚は、未だに”24時間戦えますか”状態です。

これは単なる想像ですが、本当の有事になって、一番過酷な状態になるのは、恐らく会計などの後方特技幕僚ではないかと思います。

今回の割愛パイロットの予備自衛官化は、”結果として”実効性ある防衛力構築に貢献しますが、私はコレが財務省の姿勢変化だとは思いません。
多額の養成費用を費やしたパイロットを放出することで、財務省が”ムダじゃないか”という批判を恐れただけのような気がします。

防衛省としては、”これでは実際の有事には対応できない”と言うことを、もっと強く主張すべきだと思います。

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