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2014年4月 4日 (金)

ノドン発射に見る金正恩の思考回路

先月26日、北朝鮮がまたしてもノドンを発射しました。

発射時刻は、日本時間の2時35分と42分の2回と報じられています。
この時刻は、ハーグにおいて開催された日米韓首脳会談の開始時刻、オランダ現地時間25日18時35分と完全に一致しています。

それだけに、この発射は、日米韓首脳会談に向けたメッセージであることは間違いありません。

北朝鮮、もっとありていに言うと、金正恩とすれば、包囲網を強める日米韓に対して、断固たる抵抗の意志を示したということなのでしょう。
具体的には、当然の事ながら、ノドンを始めとした弾道ミサイルによる反撃を行うという意志表示です。

しかし、日米韓首脳会談は、実際には一応平穏の内に終了しました。
会談開催前には、朴槿恵大統領が、安倍首相に対して歴史問題に言及する可能性もささやかれ、荒れる可能性さえありました。
ですが、朴槿恵大統領は歴史問題に触れるつもりだったかもしれませんが、まさに会談が始まるタイミングでミサイル発射があったことで、結果として歴史問題には言及できなくなりました。もしそんな事をしていれば、アメリカからは無能な人物と見放されたでしょう。

結果的に、ノドンの発射は、日米韓3カ国の協調を強めただけで、楔を打ち込む事にも、牽制にもなっていません。全くの逆効果だった訳です。

会談に合せてノドンを発射すれば、この様な展開になることは、我々の側からすれば、簡単に読める話です。
しかし、金正恩には読めなかった。
だからこそノドンを発射した。

これが何を意味することは、北朝鮮が掲げる「先軍政治」(あるいは先軍思想)が、決してお題目ではなく、北朝鮮・金正恩の思考を規定するものになっていると言うことだろうと思います。
クラウゼヴィッツは、「戦争はそれ以外の手段を以ってする政治の延長である」と言っていますが、金正恩にとっては、逆に、政治こそ戦争の延長であって、軍・戦争こそが全てにおいて優先されるべきものとなっています。

金正恩の思考が、このようなものである事を踏まえると、日本が取るべき方策は、単純に導けます。
北朝鮮に対して圧倒的な”軍事的”圧力を、米韓と協力して与えることです。

この事は、最近になって拉致問題が進展の兆しを見せている事でも実証されていると言えます。
安倍政権が、集団的自衛権行使に舵を切り、日米韓が連携して北朝鮮に軍事的な行動を採る可能性を強めた事で、北朝鮮としては、一番与しやすい(北朝鮮に強硬な姿勢を取る必要性が薄い)国である日本を切り崩しにかかっているのでしょう。

金正恩の思考では、政治は軍事作戦に寄与すべきものでしかありません。
日本が、拉致問題の進展等の政治的果実を望むなら、策源地攻撃能力の獲得を目指すなど、北朝鮮に軍事的圧力を高めることが必要だろうと思います。

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コメント

おばんでやす

う~~ん…習近平の工作で余りにも中に寄りすぎたから、それに対する意趣返しですかなかなぁ…ま、私の勝手な想像に過ぎませんがね。

更新ご苦労さまです。

主旨には賛同いたしますが、>「“軍事的”圧力を、米韓と協力して与えること」 には
強い疑問を感じます。 盧武鉉は日本を仮想敵国に指定するよう米軍に泣き付いて
いたようですし、今、この状態が改善しているとは思えません。 

裏切る可能性が高い味方は敵よりも遥かに危険ですから「日米で圧力」
と脳内変換しておきました。

土方 様
威勢は良いのですが、実態は、相当に怖がっている証左ではないかとおもいます。

末田 俊紀 様
韓国は、本当に難しいですね。
日本を仮想敵国視しているのは、盧泰愚だけではありませんから。

>日本が、拉致問題の進展等の政治的果実を望むなら、策源地攻撃能力の獲得を目指すなど、北朝鮮に軍事的圧力を高めることが必要だろうと思います。

これは限定的に賛成ですかね
限定的なのはそれが政治的にも軍事的にも難しいからですが、まあ難しいからといってやらないという事も無いでしょうし

韓国については、反日云々よりも、それでも一番北に近い国で、首都ソウルも近いことによる具体的な恐怖感のほうが大きいと思います。「従北派」と呼ばれる勢力も無視できません。

ハンドル用 様
軍事的には、実際に以前よりも攻撃的な性格の兵器体系になりつつありますし、F-35が配備されれば、北朝鮮にとっては、相当な恐怖のはずです。
その意味では、ある程度のことは、可能だろうと思います。

政治的に難しい事は、仰るとおりですが。

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