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2014年4月

2014年4月 1日 (火)

朝鮮日報から取材!

「黎明の笛」発売から、はや3週間ですが、なんと、ここに来て朝鮮日報から取材の依頼を受けました。

竹島問題が題材の一つになっているので、韓国のネットなどで叩かれる可能性があるとは思っていましたが、いきなり大手メディアから攻撃を受けることになりそうです。

依頼の内容は、本の内容や執筆経緯、私の略歴などについて取材させて欲しいというものでした。
取材の理由は、元自衛官が竹島問題を題材に書いた小説が、日本で話題になっている事を報じたいというものです。
依頼文からは、攻撃的なニュアンスは感じませんでしたが、記事もそうなるとは思えません。

しかし、取材を受けなくても、叩かれる事は同じですから、取材自体は受けたいと思っています。

だいたい、韓国では、「千年恨、対馬島」という小説が、昨年のベストセラーになっています。
韓国が北朝鮮と組んで「対馬奪回」作戦 ベストセラー『千年恨 対馬島』の荒唐無稽」(J-CASTニュース13年9月27日)
この本は、韓国と北朝鮮の連合軍が、対馬を軍事的に”奪還”するという内容で、対馬や竹島の領有の正当性だけでなく、書かれている軍事作戦についても、「黎明の笛」よりも遥かに過激な内容です。
「千年恨、対馬島」が韓国で出版されているのですから、「黎明の笛」くらいどうって事はない……ハズです。

ここは、清々堂々と「竹島は日本領です」と言っておきたいと思います。

*********************************

というのが、私が今恐れているシナリオです。
4月1日だから、こんな記事でもいいよね。

ただ、これは本音で、ちょっと怖いシナリオです。
日韓関係が悪化している現状で、政府・防衛省は日韓関係の修復を目指しています。
しかし、その状態で、元自衛官が書いた小説が、日韓関係の悪化を煽るような小説を書き、それが韓国で話題になるとしたら、防衛省に迷惑をかける結果にもなりかねません。

「黎明の笛」を最初に書き始めたのは、2011年の5月頃で、最初の版を書き上げた時でも、まだ2012年の1月でした。
李明博大統領による竹島上陸が2012年の8月ですので、執筆を始めた頃は、多くの日本国民にとって、竹島は、冬ソナやKARAに比べたら、どうでも良い存在だったのです。
ですので、私としては、結構軽い気持ちで竹島問題を題材に選びました。

それが、今のこの状況になるのですから、世の中は本当に分かりません。

韓国が、「フィクションだろ」と言って流してくれれば良いのですが……

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2014年4月 4日 (金)

ノドン発射に見る金正恩の思考回路

先月26日、北朝鮮がまたしてもノドンを発射しました。

発射時刻は、日本時間の2時35分と42分の2回と報じられています。
この時刻は、ハーグにおいて開催された日米韓首脳会談の開始時刻、オランダ現地時間25日18時35分と完全に一致しています。

それだけに、この発射は、日米韓首脳会談に向けたメッセージであることは間違いありません。

北朝鮮、もっとありていに言うと、金正恩とすれば、包囲網を強める日米韓に対して、断固たる抵抗の意志を示したということなのでしょう。
具体的には、当然の事ながら、ノドンを始めとした弾道ミサイルによる反撃を行うという意志表示です。

しかし、日米韓首脳会談は、実際には一応平穏の内に終了しました。
会談開催前には、朴槿恵大統領が、安倍首相に対して歴史問題に言及する可能性もささやかれ、荒れる可能性さえありました。
ですが、朴槿恵大統領は歴史問題に触れるつもりだったかもしれませんが、まさに会談が始まるタイミングでミサイル発射があったことで、結果として歴史問題には言及できなくなりました。もしそんな事をしていれば、アメリカからは無能な人物と見放されたでしょう。

結果的に、ノドンの発射は、日米韓3カ国の協調を強めただけで、楔を打ち込む事にも、牽制にもなっていません。全くの逆効果だった訳です。

会談に合せてノドンを発射すれば、この様な展開になることは、我々の側からすれば、簡単に読める話です。
しかし、金正恩には読めなかった。
だからこそノドンを発射した。

これが何を意味することは、北朝鮮が掲げる「先軍政治」(あるいは先軍思想)が、決してお題目ではなく、北朝鮮・金正恩の思考を規定するものになっていると言うことだろうと思います。
クラウゼヴィッツは、「戦争はそれ以外の手段を以ってする政治の延長である」と言っていますが、金正恩にとっては、逆に、政治こそ戦争の延長であって、軍・戦争こそが全てにおいて優先されるべきものとなっています。

金正恩の思考が、このようなものである事を踏まえると、日本が取るべき方策は、単純に導けます。
北朝鮮に対して圧倒的な”軍事的”圧力を、米韓と協力して与えることです。

この事は、最近になって拉致問題が進展の兆しを見せている事でも実証されていると言えます。
安倍政権が、集団的自衛権行使に舵を切り、日米韓が連携して北朝鮮に軍事的な行動を採る可能性を強めた事で、北朝鮮としては、一番与しやすい(北朝鮮に強硬な姿勢を取る必要性が薄い)国である日本を切り崩しにかかっているのでしょう。

金正恩の思考では、政治は軍事作戦に寄与すべきものでしかありません。
日本が、拉致問題の進展等の政治的果実を望むなら、策源地攻撃能力の獲得を目指すなど、北朝鮮に軍事的圧力を高めることが必要だろうと思います。

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2014年4月 6日 (日)

書評「自衛隊のごはん 航空自衛隊 芦屋基地編」

私と同じように、アマゾンの個人出版サービスを利用して本を書いている廣川ヒロト氏による自衛隊の”食”ルポルタージュ本。
陸自目達原駐屯地編に続き、その第2弾として、空自芦屋基地編が発刊されたので、ご紹介します。

今なら、発売記念価格!


と言うのも、芦屋基地編を読んで頂ければ分かりますが、前作目達原駐屯地編を拝見させて頂いた後に、「この調子で空自や海自にも取材を申し込んだらどうだろう」と言って、廣川氏を焚きつけたのは、何を隠そうこの私だからです。

自衛隊の3幕、陸・海・空は、旧軍の陸軍・海軍ほど険悪ではありませんが、やはり違いはあります。
自衛隊の中では、俗に「文化が違う」と表現されますが、それぞれの作戦態様などに応じて、あらゆる事に違いが出てくるのです。
その中でも、人間生活に密接に関連する衣食住のうちの一つ、”食”も、結構な違いがあります。
なので、陸自編を書いたのなら、空自編や海自編は、読み比べてもらうことで、更なる面白みを感じてもらえる本になるだろうと思ったのです。

本書は、廣川氏が芦屋基地に朝から晩まで、3日間足繁く通って食べた自衛隊の食事(事情)の紹介が、中心です。
(こう書くと、ただただ食べていただけのようですが、そんな事はありません)

どんなメニューなのか?、食べる場所は?、予算は?、ボリュームは?、そして何より味は?
これらを豊富な写真とともに紹介しています。

また、芦屋基地は、食事を作る給養特技員の教育を行っている基地でもあるため、その給養特技員の教育を取材するとともに、作る側の視点に立ったレポートもなされています。

そして、食堂で出される正規の食事だけでなく、基地内にある有料食堂やコンビニ、そしてお酒の飲める隊員クラブの紹介もされています。
オマケで、食とは関係がありませんが、給養員と共に芦屋基地で教育が行われている警備や警備犬の話題、救難員の話題にも触れています。

給養員や栄養士の方々など、作る側の人へのインタビューもした上で、多角的に自衛隊の”食”を紹介本となっています。

最後まで読ませて頂いて思ったのですが、この本(目達原駐屯地編を含む)は、隊員の募集にも役立つのではないでしょうか。
特に、高卒で家からお子さんを送り出す親御さんにとって、子供がちゃんと生活しているのか心配になるところですが、これを読めば、食については栄養バランスのしっかりしたモノが、飽きの来ない献立で食べられることが分かります。

地本の方は、この本をタブレットに入れてもらったら良いのではないでしょうか。

最後に、オマケとして、芦屋基地オリジナルレシピが付けられており、各家庭で再現できるようになっています。
隊員にも好評を得ていた芦屋丼は食べてみたいと思いました。
作り方も簡単そうですし。
(もしかすると、1回だけ実際に食べたことがあったかもしれないのですが、慌てて掻き込んだため味は覚えてない……)

前作の目達原駐屯地編はこちら。

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2014年4月12日 (土)

パソコン空気清浄機化改造

この時期、花粉症に悩まされている人は多いでしょう。
私も、その一人です。

花粉症対策は、いろいろとありますが、空気中の花粉を除去すれば、マスクなど面倒な事をすることなく、快適に過ごせます。

そのためには、空気清浄機が必要ですが、残念ながら、高価な上に場所を取ります。
が、これがあれば、今は大抵の家にあるエアコンが空気清浄機になります。


ホームセンターなどで入手でき、エアコンのフィルターに貼り付けるだけで、花粉が除去できるので、なかなかお得な製品でしょう。

が、この季節、まだエアコンが必要な気温ではありません。
通風のためにエアコンを回すのは、電気の無駄です。
扇風機に取付けても良いですが、エアコンが扇風機に変わっただけで、電気の無駄は変わりません。

水飲み鳥に付ければ電気は使いませんが、透過する空気量が少なすぎて意味ないし……
501pxsipping_bird

なんか良い方法はないかな~と思案していたら、あるではありませんか。
常に回り続けているファンが……
そう、パソコンのファンです。

私の場合、家にいる時間の内、就寝中以外は、常にパソコンの電源はONです。
これを使わない手はありません。
Photo

こんな感じに、吸気側の開口部に貼り付けます。
テープは、剥がしやすい養生用テープがオススメです。

これで、電気を無駄遣いせず(正確には、無駄になっていた電気を有効活用する)に花粉を除去できます。
しかも、後で気が付いた事ですが、これでパソコン内部に埃が入ることも防止できるので、放熱フィンへの埃の付着による冷却効果低下防止にも効果があります。

まさに一石二鳥。
ノートでは使えない手ですが、省スペースタイプを含め、デスクトップパソコンを使用している人には、なかなかですよ。
フィルターは、エアコンの大きなフィルターに使用しても、3回くらいは張り直せる大きさなので、パソコンなら数十回は張り替え可能です。1週間毎に張り替えても、年に2本あれば足ります。
パソコンのファンは、エアコンほどパワーはありませんが、何せ常に回ってますから、浄化量は相当なモノだと思います。

これ、家庭でも便利ですが、パソコンが多数稼働しているオフィスなら、更に効果的なはずです。
是非、お試し下さい。

なお、ハウスダストアレルギーの人は、アレルゲン粒子が小さいので、0.3ミクロンの粒子にまで効果のあるコチラを使用して下さい。


また、タバコの煙や風邪の季節のウィルス除去には、0.1ミクロンの粒子に対応したコチラをどうぞ。



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2014年4月15日 (火)

チャンネル桜で「黎明の笛」が紹介

チャンネル桜の佐波優子さんのコーナー「撫子日和」で、「黎明の笛」を紹介して頂きました。
Photo

ご紹介頂いたのは、本日4月15日の放送です。


ユーチューブでの登録タイトルは、
【撫子日和】小説『黎明の笛』を読んで考えた国防の大切さ[桜H26/4/15]
です。

放送中に、佐波さんも述べておられましたが、紹介頂く事に先立ち、先日佐波さんから、取材を受けておりました。
取材は、都内某所において、秘密裏に行われた……訳では無く、普通の喫茶店でお話させて頂きました。
一応申し添えておきますが、残念ながら二人だけではなく、佐波さんを紹介して頂いた方を含め、3人での取材です。
本を書いた経緯等について、2時間程、お話させて頂きました。

実際にお目にかかった佐波さんは、チャンネル桜でのハキハキしたキャスター姿よりも、ちょっとホンワカとした方です。

今年2月に、佐波さんの書かれた本について、書評(
書評「女子と愛国」」)を書かせて頂いた事もあったので、なんとサインまでもらってしまいました。
(こんな事があるとは思っていなかったので、電子版……だったので、キンドルファイアの裏にサインしてもらいました。こう言う縁があることも考えると、やっぱり紙がいいかな)

チャンネル桜での放送を見て、このブログに辿り着いた方もいらっしゃると思います。
「黎明の笛」そして、このブログもお楽しみ頂ければと思います。
(ブログの方は、”楽しい”ネタは少ないですが……)


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2014年4月20日 (日)

ノドンをディプレスト弾道で使用する可能性

先月末、日米韓首脳会談に合わせて北朝鮮がノドンを発射した事件については、その政治的な意味について、「ノドン発射に見る金正恩の思考回路」を書きましたが、軍事的な意味について、もれ聞こえてきた情報から考察してみます。

今回のノドンは、韓国国防部によると「ミサイルは高度160km、最高速度マッハ7以上で飛行した」とのことです。
北、中距離ノドンミサイル 2発発射…政府 "安保理決議違反"」(ハンギョレ新聞14年3月26日)

最大射程の半分程度と飛距離が短く、高度も若干低いかなという数値だったことから、ディプレスト弾道で撃ったのだろうと想像し、イージスSM-3での迎撃に困難が生じることを米韓軍に見せ付けるつもりだったのではないかという仮説を立てました。
(最小エネルギー弾道でやっと日本に到達するノドンは、ディプレストで発射すると、日本には到達しないため、自衛隊には直接の影響はありません)

しかし、検証のために図を描いて確認すると、「そうだった可能性はあるものの、断言できない」という結論になってしまいました。

いささか冴えない結果ですが、以下、検証結果です。

飛翔距離650km、弾道高度160kmを、地球の曲率と合わせて図示すると、次のとおりです。(曲線は汚いですが、ちゃんと計算した数値で図示しています)
Ws000019
一見して分かりますが、多少ディプレスト気味ではありますが、最小エネルギー弾道に近い弾道です。
(ノドンの射程は1300km程度と見られているので、燃料を減らして撃ったか、さもなくば、途中で燃焼を止めた可能性があります。だから速度も低めだった)

この弾道の内、SM-3(ブロックIA)で迎撃可能な範囲(射高70km~500km)は、図の青い弾道経路になります。
ただし、実際には、レーダーで捕捉してから迎撃を開始することになります。
仮に、イージスが着弾点付近に位置していたとすると、地球の曲率の関係で、目標が水平線上に表われてレーダーでの捕捉が可能なポイントは、ちょうど高度70km付近になるため、そこから迎撃が開始されると、実際の迎撃可能ポイントは、弾道の頂点付近及び後半となります。(青の実線部分)
Ws000020

それでも、弾道の内、かなりの経路がSM-3による迎撃可能ポイントになるため、イージスが適当な位置に展開していれば、十分迎撃が可能だと思われます。

ですが、北朝鮮が本格的なディプレスト弾道でノドンを打ち込んできた場合、どうなるかを見てみると、結構厳しい状況が見えてきます。
Ws000021
図中の弾道経路を下に下げ、全弾道経路がSM-3での迎撃が不可能な70km以下に収めるようにしても、ノドンの射程は400km程になることが分かると思います。
実際には、下げた際に、地表下に入る経路でのロス分(高度エネルギー分)もX軸方向の加速度にできるため、弾道高度が同じ70kmでも、射程は更に伸びます。

400kmの射程があれば、中国国境付近からでもソウルまで到達しますし、38度線付近から発射すれば、陸上戦力で劣る韓国が、北朝鮮を圧倒するために必須である航空戦力の戦力発揮基板である航空基地のほぼ全てを射程に収めることとが可能です。
開戦劈頭に、航空基地を破壊できなくとも、機能不全に陥らせることができれば、北朝鮮とすれば、戦勢はかなり有利になるはずです。

理論上可能でも、北朝鮮の技術力で、実際に可能なのかという疑問はあるでしょう。
ですが、弾道ミサイルの打ち上げ角度を変えることは、特に困難な事ではありません。北朝鮮は、既に地球周回軌道に物体を投入することが出来ている訳ですから、この程度のことは、簡単に実現できます。

ただし、命中精度が、軍事作戦を行う上で、十分なものであるかは不明です。(ディプレストは、命中精度が落ちます)
今回、2発のノドンが発射されたため、もし2発が至近に着弾していれば、離れた場所に打ち込んだミサイルが、偶然至近に落ちる可能性は極めて低いため、北朝鮮は、狙って至近に落としたことになるため、韓国にとっては脅威となります。
もし、着弾点が離れていたとしても、安心はできません。性能を秘匿するため、そもそも話して着弾させるつもりだった可能性が否定できないためです。

数値的には、ソウルなど人口密集地に対して、心理的効果を狙って使用するためには、10数km以上の命中誤差があっても、十分に役立ちます。
ですが、航空基地など重要施設を狙う場合、弾頭が通常弾頭であれば、CEP(半数必中径)が1kmもあったら効果はかなり怪しいと言えます。化学弾頭を使う場合は、CEPが1km程度なら、米韓空軍にとっては深刻な脅威です。

しかし、2発の着弾誤差は公表されないでしょうから、この点は不明だとしか言えません。

結果として、ノドンをディプレスト弾道で射撃することで、SM-3の迎撃を回避することが可能かどうかは、可能性としては否定できないものの、今回の発射では断言できないという結論になってしまいました。
ですが、日米韓軍事筋は、着弾点を観測しているハズです。

もしかすると、近傍に着弾しており、深刻な脅威と認識しているかもしれません。
そうであれば、今後、朝鮮半島危機の際には、米軍はTHAADとPAC-3の大量配備することになるでしょう。

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2014年4月23日 (水)

あたご事故の処分見直しと雫石事件

あたご衝突事故による刑事事件裁判において、関係者の無罪が確定したことを受け、防衛省内で一旦下された処分の見直しが行われました。

護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故に関する再発防止策の追加及び懲戒処分等の見直しについて
細部は次のとおりです。
Ws000022

事故の主因が漁船側にあるとは言え、あたご側にも過失がない訳では無いため、処分自体がなくなった訳ではありませんが、処分内容は、全員大幅に軽減されています。

以前の記事「あたご事件が隊員の統率に与えた悪影響」で書いたとおり、石破防衛大臣及び防衛省が、政治的判断で隊員の処分を決めたことは、長期に渡って自衛隊に悪影響を与えると思いますが、今回の見直しで、多少の持ち直しもできるでしょう。

今回の見直しに至った理由は、政治的な判断による結論ありきの海難審判に影響されることなく、”正常な”裁判が行われたことによります。
冤罪が頻発する日本においては、これは奇跡と言える事態ですが、その奇跡を起こしたのは、自分の正当性を主張し続けた長岩3佐と後潟3佐の強い意志です。

しかし、それさえも出来ずに汚名を着せられている自衛官も居た可能性があります。
俗に、雫石事件と呼ばれる自衛隊機と全日空機による空中衝突事故です。

事故機に搭乗していた教官パイロットは、執行猶予が付いたとは言え、実刑判決を受け、国家公務員法の規定により失職しています。その後の再審請求を行う事も辞退し、2005年に亡くなりました。

この事故、あたご事故以上に激しいマスコミの自衛隊バッシングを背景に、正常な裁判が行われる環境ではありませんでした。
結果として、当時の事情を知る自衛官は、多くが冤罪を強く疑っています。

既に亡くなっていますが、今なら再審請求すれば、正常な裁判が行われる可能性もあります。
ご本人が亡くなっているため、ご本人のためではなく、自衛隊と日本の国防のために、再審請求すべきではないかと思います。

再審請求する上で現実的な問題は、お金の問題もありますが、新たな証拠がなければ再審請求が認められないことです。
当時、政治的な理由で証言を許されなかった方がいれば、新たな証言を元に請求ができるかもしれません。
また、防衛上の観点から裁判に提出できなかった自衛隊側の資料もあるかもしれません。事件から既に40年以上が経過し、当時は秘匿すべきだった情報でも、今はその必要性を失っている情報があれば、証拠として提出しても良いと思います。

この雫石事件でも、あたご事故と同様に、自衛官は、国への不信感と忠誠を尽くす事への疑問を抱きました。
いざという時に、自衛官が命を投げ出して国防の任に当たれるよう、雫石事件の再審請求運動が盛り上がってくれることを願います。

雫石事件については、こちらの本をオススメします。


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2014年4月26日 (土)

11式地対空ミサイルの問題

以前にも、関連する記事を書いているので、改めて触れないでいたのですが、隅田金属日誌の文谷氏が、「結局、高価すぎで揃えられない」を書いたので、簡単に書きます。

以下引用は、上記リンク先より。

 新しい短SAMなのだが、高すぎて揃えられないらしい。11式地対空ミサイルだが、いまのところ1セット50億円する。装備調達本部の希望的観測でも、20年で45セット買っても、平均20億程度は掛かるとしている。実際には、高すぎるので45セットも買えないだろう。


今年度の予算での調達は、次の通りで、陸自が1セット買うだけで、空自は調達できていません。
Ws000023

こういう事態になることは、予想ができました。
だからこそ、対処能力は劣るかもしれないが、価格が安く、地上目標への対処にも使用可能な、GUNにすべきというのが、GUN派の意見でした。

ですが、実際には、陸自の思惑に引きずられる形で、空自も基地防空火器への採用を前提に開発に協力していました。
関連過去記事「GUN派が息を吹き返すか?

 そもそも、陸上用短SAMとして高価すぎるように見える。11式の射撃用レーダは、やや高級めのアクティブ式フェーズド・アレイ・レーダであり、ミサイル本体は無駄に高級なアクティブ・レーダ・ホーミングである。


アクティブ式フェーズド・アレイ・レーダは、必要な出力が確保できさえすれば、システムを簡略化できるため、主に整備など後方上も有利ですし、価格も必ずしも高くなりません。
アクティブ・レーダ・ホーミングは、11式が開発の際に目指した巡航ミサイル対処を行う上で、同時他目標対処を行うための打ちっ放し性確保にために採用した誘導方式ですが、これが調達価格を押し上げた事は確かです。
巡航ミサイルという低RCS目標に対して、オンボードで送信系とそのための高出力電池、及び高度な処理装置を積まなければならないためです。

だが、使い方は81式と変わらない。基本は飛行場や橋や補給拠点といったポイントを守る程度のものに過ぎない。それなら、従前程度の性能を多少改善すれば済む話である。


この点は異論があります。
防護目標は変わりませんが、航空機搭載兵器がスタンドオフ化し、81式の射程内に、81式が対処可能な固定翼航空機自体が侵入してくる可能性がほとんど無くなっているからです。ただし、逆説的ですが短SAMが無い場合は、無誘導の通常爆弾でいいように攻撃されてしまうため、保有は必要です。
以前と異なり、艦載SAMと同様に、ミサイルの迎撃ができる必要があります。

 本来なら、81式のミサイルのみの改修でよかったのではないか? 短SAMのキモはミサイルであり、FCSではない。性能向上についても、ミサイルだけを改良更新すればよかったのではないだろうか。


この点は、傾聴すべき意見だと思います。
ですが、既に配備されている81式は、FCS全般も老朽化していましたから、更新で整備性が大幅に向上するアクティブ式フェーズド・アレイ・レーダ化したことは、必ずしも間違ってはいなかったと思います。

 そのミサイルもわざわざ国産開発する必要もない。もともと短SAMは、陸海問わず空中発射用のミサイルの転用である。今の空体空ミサイルをそのまま使ってもよい。型落ちした空自のサイドワインダーの-Lや90式誘導弾でもよいし、新型の4式誘導弾を使っても良い。別に海外からサイドワインダーの-Xを買っても良かっただろう。

この点にも異論があります。
対処すべき目標が、航空機から、巡航ミサイルや空対地ミサイルに移行しているため、上げられている様な短距離空対空ミサイルでは対処不可能です。(また、空対空ミサイルの地対空ミサイル化は、地上にあるため位置エネルギーが0の上、初速も0のため、推進薬や全体のバランスなど多くを見直さざるを得ない上、射程は大幅に減少します)
ですので、AMRAAMを地対空ミサイル化したNASAMSのように、元のミサイルがそれなりに高性能でないと、使えるモノになりません。

NASAMSを買っても良かったかもしれませんが、それであれば、過去記事で書いたとおり、短SAMだけでなく、VADS(陸自の場合87-AWやL-90)の後継も含めて、前掲過去記事に書いた通りGUNシステムにすべきだったというのが私の意見です。

防衛産業に対する配慮も必要ですが、11式短SAMの開発は、私も失敗だったと思っています。

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2014年4月29日 (火)

オバマ来日で露見した尖閣の危機

オバマ大統領の来日により、尖閣に対する安保適用の言質を得た事で、国内世論は一定の安心感を得ました。
メディアも評価していますし、
オバマ大統領「尖閣は安保対象」明言」(日経新聞14年4月24日)

 オバマ米大統領は首脳会談後の共同記者会見で「日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言した。大統領発言は日本側の求めに応じたもので、共同声明にも明記する。日米が足並みをそろえて海洋進出を活発にする中国をけん制した格好。

政治家も評価しています。
大きかったオバマ大統領訪日の成果」(政治家 鈴木けいすけの国政日々雑感)

しかし、私は逆に危機感を抱きました。
オバマの発言内容にではなく、大統領の言質を期待する日本の政治・世論にです。

実際の危機が発生すれば、アメリカがどのような姿勢を取るのかは、非常に大きな問題です。
しかし、軍事同盟は、戦争という”非常”事態に対応するためのものであり、”堅固な同盟関係”という言葉があるように、逆説的ながら、常に堅固ではなくなる可能性を孕んだ関係です。

アメリカが、実際に尖閣危機に参戦あるいは積極関与するか否かは、ひとえにそれがアメリカの国益に合致するかどうかにかかっています。
これは、アメリカが信用できない国だと言っている訳では無く、如何なる国においても同様な事です。
日米安保条約の存在は、もしアメリカが参戦しなかった場合に、日本はもとより、NATO諸国など、アメリカと同盟関係にある国の、アメリカに対する信用が低下するリスクを高めるに過ぎません。(当然ながら、条約には守らなかった場合のペナルティなどありません)

しかし、日本の政治・世論は、大統領の言質を求めました。
不安は理解しますが、こんなアメリカ頼みの姿勢では、逆にアメリカの関与の可能性は遠のきます。

もし、現状の日本の政治・世論のまま尖閣危機に突入し、アメリカの関与を前提として中国と対峙したら、アメリカが日和れば、日本の政治・世論も日和りそうです。
そして、それが見えれば、アメリカは必ず日和るでしょう。
日中間の尖閣危機は、アメリカ(の国益)にとって、間違いなくマイナスだからです。

尖閣危機にアメリカを関与させるためには、関与することがアメリカ(の国益)にとってプラス、もっと正確に言えば、関与しないことよりも、より少ないマイナスで済むようにしないといけません。

現状の政治・世論動向からすれば、アメリカが日和る事が確実に予見できる以上、そのためには、アメリカの関与の如何に関わらず、日本としては断固として尖閣を守るという姿勢を示し続けるしかありません。
日本が断固とした姿勢を維持して初めて、アメリカの信用が問われる事態を強要することができます。

これは、フォークランド紛争の際の図式と同じです。
アメリカは、結果的にイギリスの支援をしていますが、当初のレーガンは、米州共同防衛条約があったこともあり、イギリス支援を明確にすることに及び腰でした。
それに対して、サッチャーがレーガンに「軍事力で国境を書き換えるということを黙認したら、国際社会は混乱に陥る」と発破をかけ、断固として抵抗する意志をしめしたため、イギリス支援を打ち出した、打ち出さざるを得なかった、という経緯があります。

また、主体が異なりますが、日露戦争における高橋是清による戦費調達にも似た図式があります。
日露戦争の戦費調達秘話

 高橋是清が英国の銀行家の友人が自邸で催してくれた晩餐会に招かれて出席したときのこと。隣に座ったアメリカ人から「日本兵の士気はどのくらい高いか」といったことをはじめとして多くの質問を受けます。高橋は一つ一つ丁寧に答えます。すると翌朝、イギリスの銀行家が突然、高橋をホテルに訪ねてきて「前夜の宴会であなたの隣に座ったアメリカ人の銀行家が、『日本の国債を引き受けよう』と言っている」と言います。


誰かの助けがあれば戦うのではなく、戦う姿勢を示して、初めて助けてくれる(あるいは助けざるを得ない状況に追い込まれる)者が現れます。

ですが、現在の日本の政治・世論は、先ず何よりもオバマの言質を求め、
「アメリカが助けてくれるのだったら戦う」という姿勢でしょう。
これでは、アメリカとしては、日本を助けず、紛争が発生しない方が得ですし、中国とすれば、当然それを読んで足下を見ます

日本にとって大切な事は、オバマの発言に汲々とするのではなく、「アメリカの関与に関わらず、日本は尖閣を断固として防衛する。もしアメリカが日米同盟を蔑ろにするなら、アメリカの(同盟国としての)信用は地に落ち、世界中でアメリカの国益に挑戦を受けることになる」ということを、明確に示すことです。

このことは、今回アメリカが、初めて”大統領の発言として”尖閣における安保適用を明言した理由の説明でもあります。
アメリカは、政府高官の発言としては、今までにも何回も、日米安保の適用について言及しています。しかし、大統領の発言としては、慎重に避けてきた節があります。
その大統領に、安保適用を言及させることが出来た理由は、安倍政権のぶれない姿勢です。

今回の発言は、アメリカにとっては非常に重いモノです。
国際法上の安保適用については、今回の発言があったとしても予防線が張られています。
尖閣諸島:「日米安保第5条適用対象」と「日米安保第5条発動」のスキマ」(海国防衛ジャーナル)
しかし、ほとんど全ての日本人は、こんな細かな条文は関係なしに、大統領の一言で判断するでしょう。
もし、尖閣危機にアメリカが日和れば、日本人はアメリカを嘘つきとし見なし、日米関係は重大な転機を迎えます。
日本人は、その特質として信用を非常に大切にします。その反面、嘘つきについては厳しい目を向けます。
駐日米国大使館が、国務省に正確な報告を送っていることを望みます。

また、余談というか勘ぐりすぎなのかも知れませんが、今回の大統領の言質を求めるマスコミの姿勢は、マスコミによるアメリカの参戦がない場合に、尖閣を放棄させるためのキャンペーンではないかとさえ思えました。

なお、今回の記事と似た分析をしつつ、方向性の全く異なる記事を参考に上げておきます。なかなか興味深いです。
「中国を武力攻撃するレッドラインはない」明らかになった尖閣を巡るオバマ米大統領の真意」(東洋経済14年4月28日)

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