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2014年3月16日 (日)

対領侵マニュアルは、有効な指針か、それとも害悪か?

空自が尖閣周辺での対領侵において使用するマニュアルを作成しているとの報道があります。
尖閣領空侵犯に「マニュアル」 空自着手、中国機念頭に強制着陸手順」(産経新聞14年1月29日)

中国による領空侵犯を懸念する方にとっては、歓迎したいニュースでしょう。

ですが、私はこのニュースを見て、眉を顰めました。
この「マニュアル」なるものが、果たして有益なモノになるのか、もっと言えば、部隊にとって邪魔なモノにしかならない可能性があるのではないか、と懸念するためです。

それは、端的に言えば、この「マニュアル」二人目の船頭にしかならない可能性があるからです。

対領侵については、訓令で実施要領等が定められています。
いずれも、中身は公開されていませんが、他の運用関係の規則類と同様に、あまり細かい規定はされていないハズです。
それは、規則類が細かすぎると、運用の柔軟性が損なわれ、実際の現場で発生する微妙な事象に対して、逆に適切な対処ができなくなるからです。

尖閣における対領侵では、実際の指揮官(意志決定者)は、南西航空混成団司令です。
しかし、この「マニュアル」”空自”として定めたのであれば、南混団司令の上にいる航空総隊司令さえもすっ飛ばして、空幕長が介入することになります。
しかも、”幕”の介入は、実態的には”内局”の介入となる可能性がかなりあります。

もし、この「マニュアル」策定の実態がそこにあるのであれば、これは空自の現場部隊にとって、害悪にしかなりません。現場を良く知らない内局が介入することになどなれば、最悪でしょう。

マニュアルでは、侵犯機を国内に強制着陸させる方法や手順を規定。

規定という表現が、記者が想像して書いただけであれば良いのですが、防衛省関係者の口からこの言葉が出たのであれば、本来は訓令や達を定める際に使用すべき言葉であり、要注意だと思います。

逆に、現在「マニュアル」と報じられていますが、単なるケーススタディであれば、政治的に微妙な問題であり、指針があった方が動きやすいですし、連携すべき警察や海保との意思疎通も図りやすくなるため有効だと思います。

問題は、この「マニュアル」なるものの位置づけです。
「マニュアル」が完成したとしても、ほとんど情報公開されることはないと思いますが、二人目の船頭でないことを祈るばかりです。

なお、冒頭の産経のニュース記事に関しては、別の観点での記事をもう1本書くつもりです。

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