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2014年3月

2014年3月 1日 (土)

琉球新報の誤報を検証_石垣島自衛隊配備候補地報道

琉球新報の報道に対して、防衛省が抗議しました。
「琉球新報は公正さに欠ける」 防衛省、新聞協会に異例の申し入れ」(産経新聞14年2月28日)

 3月2日投開票の石垣市長選で陸上自衛隊配備への賛否に注目が集まる中、「琉球新報」が報じた配備に関する記事について、防衛省が「事実に反し、公正さにも欠ける」として日本新聞協会に申し入れを行っていたことが27日、分かった。中央省庁が報道機関の記事に関し、新聞協会に申し入れを行うのは極めて異例だ。

 琉球新報は市長選告示日にあたる23日の朝刊1面トップで「陸自、石垣に2候補地」「防衛省が来月決定」との見出しの記事を掲載。防衛省が陸自部隊の配備地として新港地区とサッカーパークの2カ所を挙げ最終調整に入り、3月までに候補地を決定すると報じた。

 防衛省は24日、黒江哲郎官房長名で「候補地を特定し最終調整に入った事実はない」として訂正を求める内容証明付きの申し入れ文書を琉球新報社に送付。新聞協会に西正典事務次官名で「正確・公正さに欠け、適正な報道を求める」との申し入れ文書も送った。


防衛省が抗議した理由は、基本的には報道が誤報だからでしょうが、”公正さにも欠ける”と非難した理由は、掲載が石垣市長選の告示日であり、市民の憩いの場を自衛隊配備地に変えると報道することで、自衛隊配備に反対する候補を有利にするための作為的な報道だと判断したからでしょう。

この事に対して、”悪意ある誤報”と非難する方がいる一方で、悪意があるかは分からないとする方もいらっしゃいます。

そんな訳で、悪意の有無の検証は難しいですが、琉新の報道内容がそれなりに妥当性のあるものだったのか否かは検証可能ですので、やってみたいと思います。

防衛省が抗議した琉新の記事は、こちらです。
陸自警備部隊、石垣に2候補地 防衛省が来月決定」(琉球新報14年2月23日)

 【東京】防衛省は、南西諸島の防衛強化の一環として計画している陸上自衛隊の警備部隊の配備地として、石垣市の八島町新港地区と同市宮良のサッカーパーク「あかんま」の2カ所を候補に挙げ、最終調整に入っていることが22日までに分かった。複数の政府関係者が明らかにした。その他の配備先である宮古島市や鹿児島県の奄美大島も含め、3月までに配備候補地を決定し、地元自治体に理解を求めていく方針。

中略

 新設する警備部隊は有事の際に初動を担当するほか、増派部隊の受け皿として位置付ける。対馬警備隊(長崎県)をモデルに350~400人規模の部隊を想定している。
 石垣市の配備候補地に挙がる新港地区は、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を予告した際、2度にわたって航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が一時展開された。サッカーパークは、隣接する農業用の底原ダムがあり、海面で発着できる海上自衛隊の救難飛行艇「US2」の使用可能性などから候補に挙がっている。
 ただ米軍基地負担に加え、自衛隊強化の動きには県内から懸念の声もある。平和団体などは、中国との緊張をさらに高めかねないとして配備の動きに反発している。


この記事は、防衛省の抗議の前に目にしていました。
そして、その時にも配備予定地は適切とは思えず、疑問を持っていました。

問題の候補地は、次の2カ所です。
1 八島町新港地区
2 サッカーパーク「あかんま」
Img53094895ca2e1
上記リンク記事より

この2カ所を順に検証してみます。
1 八島町新港地区
記事では、「北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を予告した際、2度にわたって航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が一時展開された。」とされており、パトリオットの配備地として適切なため、候補地とされていると読めます。
上記事案の際に、私もパトリオットによる防護範囲として、次の図を書きました。
Ws000018

この図を見ると、新港地区は、防護範囲に石垣島の主要地域ほとんどが被われ、適切な展開地であるように見えます。

ところがところが、石垣島を始めとした八重山諸島にとって、真に脅威である中国との戦争を考慮すると、状況は一変します。

石垣島や宮古島は、中国が主に台湾攻撃用として大量(1000発以上)に配備している短距離弾道ミサイル(DF-11A及びDF-15)の射程内に入ります。
自衛隊が常時駐屯しているか否かに関わらず、尖閣等で中国と紛争になれば、自衛隊や米軍による反撃を停滞させるため、港湾や空港を中心として、弾道ミサイル攻撃してくる可能性は十分に考えられますが、その際にパトリオットの配備地として、新港地区を利用した場合の防護範囲(フットプリント)は、上記の図とは異なるのです。

防護範囲(フットプリント)は、弾道ミサイルが飛来する方向に形成されます。
そして、中国がDF-11A及びDF-15を使用して石垣を攻撃する場合、弾道ミサイルは、概ね北西方向から飛来します。(射程の関係で、他の方位からの攻撃は不可能です。なお、中距離以上の弾道ミサイルは、数が多くありません)
そのため、新港地区にパトリオットを展開して、中国の短距離弾道ミサイルに備えた場合の防護範囲(フットプリント)は、次のような図になります。
Ws000027

港、中心市街地は防護範囲内に入りますが、東部にある石垣空港は防護範囲外になります。(地図中の石垣空港は、既に使用されていない旧石垣空港)
空港は、自衛隊の投入拠点としても、また島民の避難拠点としても極めて重要です。ここを防護範囲に含めないことはありえないでしょう。

なお蛇足ですが、北朝鮮の弾道ミサイル事案の際、琉新は、私のブログ記事に掲載した図をパクっています。
参考過去記事
沖縄の反応(1報)とPAC-3展開地情報_2012北朝鮮「衛星」発射
琉球新報にパクられた~!_2012北朝鮮「衛星」発射

また、新港地区は、自衛隊を配備する場合に、今や大きな意義となる防災を考えた場合も、適切とは言えません。
南西諸島で怖い災害は、頻繁に訪れる台風もありますが、なんと言っても津波です。

沖縄列島に沿って琉球海溝、沖縄トラフがあることから分かるとおり、南西諸島は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界にあり、地震の発生し易い地域です。
1771年に発生した八重山地震では、石垣島南東部での遡上高は30メートル程度にもなったと見られており、こんな津波の発生を想定すると、折角自衛隊を配備してあっても、新港地区では、部隊が壊滅してしまい、防災の役に立ちません。
参考wiki:南西諸島近海地震

2 サッカーパーク「あかんま」
次に、サッカーパーク「あかんま」を見てみましょう。
記事では、「サッカーパークは、隣接する農業用の底原ダムがあり、海面で発着できる海上自衛隊の救難飛行艇「US2」の使用可能性などから候補に挙がっている。」と書かれています。

US-2は、短距離離着水能力に優れており、底原ダムでも十分に離離着は可能です。
ですが、US-2及びUS-1はランディング・ギアを装備しており、通常の空港に離着陸が可能です。

羽田空港に着陸するUS-2

US-1の前身で、既に全機が退役しているPS-1では、離着陸が出来なかったため、この記事を書いた記者は、PS-1と誤認し、恐らく想像で記事を書いたのではないかと思われます。

US-1、US-2は、サッカーパークから4kmほどしか離れていない石垣空港に着陸できるため、底原ダムに着水する理由は、全くありません。

また、輸送機ではないため、後部ランプドアを備えておらず、物資の積み卸しは容易ではなく、US-2を石垣に行かせる必然性自体が乏しいです。

しかも、底原ダムへの着水を考慮した場合、道路と地形の関係から、US-2を陸揚げするために必要なスロープをサッカーパークとの間に作ることは困難です。
Ws000028

もし、スロープを作れば、道路は寸断されますし、相当の経費がかかるでしょう。
逆にスロープを作らなければ、着水させた後、物資や人員はゴムボート等で、ほぼ手渡しで移送することになり、極めて非効率です。

という訳で、サッカーパーク「あかんま」・底原ダムでのUS-2の運用は、非現実的どころか狂気の沙汰です。

検証は以上です。
結論としては、琉新の報道内容(2つの候補地とその理由)は、全く妥当性のあるものとは言えません。

また、冒頭のリンク記事では、防衛省関係者も、新港地区、サッカーパークを否定しています。

複数の防衛省幹部によると、新港地区は市の利用計画があり、検討対象から除外。サッカーパークも市民が利用しており、別の場所に移して配備すれば市民の反発を招きかねず、代替サッカー場の建設費もかかるため適していないという。

全く妥当性のない、報道ですから、もしこれを意図的に、確たるソースがなく報じたのであれば、”悪意ある誤報”と言われても致し方ない所だと思いますし、それを選挙の告示日に報じることは、少なくとも、防衛省が言うように”正確・公正さに欠け”る報道だと言わざるを得ないと思います。

ちなみに、沖縄の2大紙のもう一方である沖縄タイムスは、琉新が報道した翌日に、追随して、次のように報じておりますが、琉新とは若干異なった報道となっています。
陸自配備、石垣に候補地 大崎牧場周辺など」(沖縄タイムス14年2月24日)

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2014年3月 5日 (水)

「黎明の笛」発売間近!です

「黎明の笛」発売まで、1週間を切りました。
以前に案内した発売日は間違いで、3月11日(火)とのことです。

私の手元には、既に見本が届き、献本用にサインをして送りました。
Photo
こうして現物を目にすると、子供の頃はまさに本の虫だった身としては、感慨ひとしおです。

J-CASTにも、書籍紹介を載せてもらっています。
陸上自衛隊特殊作戦群が竹島“奪還”!? そのとき航空自衛隊司令部は――?

自衛隊の基地・駐屯地周辺の書店用には、こんな販促ボードも作られているようです。
Photo_2
これが貼られている書店さんには、必ず置いてあるでしょう。(品切れでなければ)

特設サイトも、ちょこっと変わっております。
祥伝社「黎明の笛」特設サイト

アマゾンだけでなく、楽天koboやiBookstore、その他の書籍通販サイトでも予約受付中です。

宜しくお願い致します。
m(_ _)m

2014年3月 8日 (土)

艦これやってみた!

艦これこと、艦隊これくしょんをやってみた。

一番育った艦でLV40、多くの艦はLV20台だけど……飽きちゃった。

各艦のレベルは150まで上がるらしいので、LV40なんて、まだ序の口のハズなのですが……

まあ、私には合わなかったという結論になるのでしょうが……ミリタリークラスタの中で、あれだけ騒がれているモノが合わなかったというだけなのも何なので、ナゼ流行り、ナゼ私みたいなのには合わなかったのか、考えて見ました。

艦これの紹介は、はしょります。
詳しいサイトを覗くか、実際にやってみて下さい。タダなので。

流行っている理由は、やはりマニアックな性向の人が嵌まり易いように配慮されている事だろうと思います。
萌え~な事も勿論ですが、擬人化の際のグラフィックやセリフ、パラメーターなどが史実を意識していたりと、なかなか凝っています。
なので、私などは、ゲーム自体よりも、攻略wikiの小ネタに書かれている史実を読んでいる方が楽しかったり……

逆に、私が飽きてしまった理由は、ゲーム性があまりにも低いためでしょう。
恐らく、裾野を広くしてユーザー数を多くするためなんでしょうが、ゲームとしての面白みが薄いので、収集癖があるなどのマニアックな人でないと、飽きも早いと思います。

ですが、ミリタリーに興味がない人も引き込むには、これくらいのゲーム性・難易度で良かったのだろうと思います。
ちょっとググってみると、こんな意見もありました。
艦これを3日間くらい遊んだ 雑感

 ゲームとしては艦隊戦を非常にうまくまとめていると思う。特に潜水艦の役割と空母の役割が秀逸。このゲームやると、空母ない状態で遠征するリスクがわかるというもの。どうして中国やインドが空母を必要としているかわかる。

誤解が激しいとは思いますが。

近年、ガルパンことガールズパンツァーや艦これなど、萌えミリが立て続けにヒットを飛ばしていますが、これをきっかけに防衛問題に興味を持つ人も増えるでしょうから、同じ事を意図して小説を書いている私としても、嬉しい傾向だと思います。
それに、こんなモノが流行るということは、長らく言われてきた日本社会の軍事アレルギーが弱まってきた証左だとも言えると思います。

恐らく、金儲けを狙って同種のネタを考えている人も多いでしょう。
後続も続いて欲しいものです。

さて、飽きてしまったゲームの話だけではなんなので、オマケとして面白いゲームの話も書いておきます。

艦これと同じ、海戦モノゲームとしては、ジェネラルサポートの作品がオススメです。
ジェネラルサポート

私がプレイしたのは、PC-98時代の「激闘!ソロモン海戦史」と「激闘!欧州海戦史」ですが、どちらもかなりハードなゲームで、操艦を間違っただけで、敵と接触する前に部隊が壊滅しかねないなんて代物でしたし、被弾した場合も、単にHPが減るのではなく、被弾箇所の装甲に応じて損傷度合いが異なる上、損傷部位に応じて砲撃できなくなったり、速度が低下したりと、とにかくやたらと細かいゲームです。
キャンペーンシナリオは、難易度がそこそこ高い程度なので、慎重にプレイしさえすればクリアできますが、史実を反映したマップは、ゲームとしての難易度設定ではなく、史実の再現性を意図したマップ設定になっているため、極めてハードなものもありました。

残念なのは、現在はこの2作品とも販売中止となっていることです。
特に私が好きな「激闘!欧州海戦史」に至っては、PC-98版しか存在しないこともあって、今から遊ぶのは、非常に困難です。
(実家にPC-98は眠らせてあるので、ソフトだけ入手出来ればまた遊べるなぁ。探すか?)
激闘!ソロモン海戦史」の方は、ウィンドウズ版の「激闘!ソロモン海戦史DX」の中古品が入手可能です。(高!)

艦これじゃあ物足りねえ!、という方は是非やってみて下さい。
ただし、半端な覚悟で遊ぶと凹みますよ。
ジェネラルサポートも、艦これが流行っている今こそ、再販してくれればいいのに。

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2014年3月12日 (水)

「黎明の笛」発売です!

昨日、ついに「黎明の笛」が発売となりました。
まずは、関係者の皆様に御礼申し上げます。
そして、何より
お買い上げ頂いた方、ありがとうございます。

2012年の11月に、アマゾンから個人出版で原型となったKDP版を開始し、最初に出版のお話を頂いたのか2013年の2月でしたので、お話を頂いてから、出版まで、まる1年以上経過した事になります。

その間に、私としては、ラストの全面書き換えなど、原稿の加筆修正も行いましたので、時間的余裕が合ったのは、助かったのですが、心理的には長い1年でした。

時間がかかった理由としては、内容が政治的にビミョーなので、出版社サイドで慎重になったという面もあるのですが、それ以上に、出版の座組が特殊だったことも影響しています。
詳しくお話することは出来ない(というか説明を聞いても良く理解できてもいない)のですが、「黎明の笛」の出版には、プロデュースして頂いたグレイプスや版元である祥伝社だけでなく、多くの方が介在して頂いています。

その結果として、全体として、良い本に仕上がりました。

おかげで、個人出版しかしていなかったほぼ無名の新人の作品でありながら、発売初日に多くの書店で平積みして頂くなど、過分の取り扱いをして頂きました。

Photo
神保町の三省堂書店さん、1Fレジ前の新刊文芸棚に置いて頂きました。
Photo_2
書泉ブックマートさん、5階ミリタリーフロアで福田和代氏が中音隊を描いた「碧空のカノン」や世界の「駄っ作機」と並んでいます。

昨日は、都内の大型書店を見て回ったのですが、某書店では、なんとお買い上げ頂いた方まで発見してしまいました。
表紙だったのか、帯のキャッチコピーだったのか、手にとって頂くというだけで、実に大変なことです。
このあたりの感覚は、普通の作家さんには分からない感覚でしょう。
個人出版では、表紙の作り込みや作品紹介、値付けに至るまで、全て自分でやらなければなりません。その労たるや、作品を書き上げる以上です。
思わず、拝んでしまいました。

また、本も出してらっしゃるブログ「ねずさんの ひとりごと」で取り上げて頂いたこともあり、発売2日目にして、アマゾンの日本文芸書ランキングで4位(19時現在)という、俄には信じがたい状況になっています。
Ws000047
ネットでの紹介からネットで買えるアマゾンのランキングが上がったという図式なので、マーケットで大勢を決める書店での売り上げには繋がっていないと思いますが、そうそうたる本に並んでいる状況は、素直に嬉しいですね。

ねずさんの本はコチラ


有川浩氏の「空飛ぶ広報室」で、普段日の当たらない空幕広報室が注目を集めましたが、「黎明の笛」を読み、”現場の部隊だけでなく、司令部も戦っているんだ”と思って頂ければ、作者としては嬉しい思いです。

もっとも、そんな事よりも、純粋にお楽しみ頂くことが第一ですが。

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2014年3月16日 (日)

対領侵マニュアルは、有効な指針か、それとも害悪か?

空自が尖閣周辺での対領侵において使用するマニュアルを作成しているとの報道があります。
尖閣領空侵犯に「マニュアル」 空自着手、中国機念頭に強制着陸手順」(産経新聞14年1月29日)

中国による領空侵犯を懸念する方にとっては、歓迎したいニュースでしょう。

ですが、私はこのニュースを見て、眉を顰めました。
この「マニュアル」なるものが、果たして有益なモノになるのか、もっと言えば、部隊にとって邪魔なモノにしかならない可能性があるのではないか、と懸念するためです。

それは、端的に言えば、この「マニュアル」二人目の船頭にしかならない可能性があるからです。

対領侵については、訓令で実施要領等が定められています。
いずれも、中身は公開されていませんが、他の運用関係の規則類と同様に、あまり細かい規定はされていないハズです。
それは、規則類が細かすぎると、運用の柔軟性が損なわれ、実際の現場で発生する微妙な事象に対して、逆に適切な対処ができなくなるからです。

尖閣における対領侵では、実際の指揮官(意志決定者)は、南西航空混成団司令です。
しかし、この「マニュアル」”空自”として定めたのであれば、南混団司令の上にいる航空総隊司令さえもすっ飛ばして、空幕長が介入することになります。
しかも、”幕”の介入は、実態的には”内局”の介入となる可能性がかなりあります。

もし、この「マニュアル」策定の実態がそこにあるのであれば、これは空自の現場部隊にとって、害悪にしかなりません。現場を良く知らない内局が介入することになどなれば、最悪でしょう。

マニュアルでは、侵犯機を国内に強制着陸させる方法や手順を規定。

規定という表現が、記者が想像して書いただけであれば良いのですが、防衛省関係者の口からこの言葉が出たのであれば、本来は訓令や達を定める際に使用すべき言葉であり、要注意だと思います。

逆に、現在「マニュアル」と報じられていますが、単なるケーススタディであれば、政治的に微妙な問題であり、指針があった方が動きやすいですし、連携すべき警察や海保との意思疎通も図りやすくなるため有効だと思います。

問題は、この「マニュアル」なるものの位置づけです。
「マニュアル」が完成したとしても、ほとんど情報公開されることはないと思いますが、二人目の船頭でないことを祈るばかりです。

なお、冒頭の産経のニュース記事に関しては、別の観点での記事をもう1本書くつもりです。

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2014年3月21日 (金)

困難が伴う低速機対処(対領空侵犯措置)

前回の記事で、もう1本対領侵「マニュアル」関係の記事を書くと宣言しましたが、今回はそれです。

尖閣領空侵犯に「マニュアル」 空自着手、中国機念頭に強制着陸手順」(産経新聞14年1月29日)

意外に思うかもしれませんが、空自の戦闘機では、低速機への対処には困難が伴います。

 J10とともに領空に接近してきている中国情報収集機Y8は速度が遅い。空自のF15戦闘機が横並びでY8と長時間飛行することは難しく、多数のF15でY8を追い越しては後方に戻ることを繰り返すような誘導計画を作成。


Y-8は巡航速度で550km/hですが、尖閣上空を領空侵犯したY-12などは巡航速度でも300km/h以下です。
戦闘機の着陸速度は、250km/h程なので、これは着陸速度と大差ない速度です。
もしY-12が巡航速度以下でゆっくりと飛ぼうものなら、F-15が単純に速度を合せれば失速します。

無理しても横並びをするなら、いわゆるハイアルファと呼ばれる状態で飛行すれば飛べない事はありません。

冒頭にハイアルファパス、機首を上に上げてゆっくりと飛ぶ状態

しかし、これでは燃費が最悪で、長時間の追随は不可能ですし、この状態からは機敏な機動も不可能です。Y-8やY-12が機銃で撃ってくることでもあれば、落とされるのは空自機の方になりかねません。

そのため、マニュアルとして検討されているような、周辺で旋回を繰り返しつつ監視をする方法が適切となってきます。

対領侵の現場では、低速機対処が難しい事は以前から分かっていることで、私が現役自衛官だった当時も、冗談交じりに教育集団のT-3(当時、今ならT-7)を借りてきて使おうかなんて話をしていました。
T7
T-7(wikiより)

これは、冗談まじりではありましたが、結構本気でした。
後席搭乗員に機関銃を持たせ、射撃の必要があれば、キャノピーを明けて撃てば良いので、機体改造なしでも使えるななんて話をしていたのです。
ただし、曳光弾を使って警告するとなれば、50口径機関銃であるM2あたりを載せなくてはならず、とても手で持って射撃できるような代物ではないため、大がかりなマウントを作る必要がありますが、それにしても大した改造ではなく、部隊での工作で可能です。

当時は、必要性がそれほどなく、結果として「冗談交じり」で終わっているのですが、中国による低速機が多数接近してきている現在では、冗談抜きで検討すべき事項です。

これと同様の主張をする方は、他にもいらっしゃいます。
COIN機を中国UAV対策に。」(清谷信一公式ブログ)

ただし、この軍事評論家清谷氏の主張は、低速機対処にF-15では困難が伴うからではなく、燃料代や機体寿命の点でコスト面を考慮した主張です。

実際に、こうした低速機による領空侵犯に対し、低速飛行が可能な機体で行うとしたら、尖閣が那覇からかなり遠いため、T-7では航続距離と飛行可能時間の点で問題があります。(下地島や宮古・石垣が使えれば、T-7でもそれなりには使えますが)
そのための機体を空自が買うとしたら、清谷氏が主張するようなCOIN機を買うことになるでしょう。

しかし、そんな余計な金を使わずとも、やる方法はあります。
今は統合の時代、なにも対領侵だからと言って、空自にこだわる必要はありません。
陸自のLR-2、海自のP-3を使えば良いのです。
800pxlr2
LR-2(wikiより)
300pxkawasaki_p3c_orion_japan__navy
P-3(wikiより)

陸自や海自に対領侵をやらせるとなれば、規則類の整備だけでなく、訓練も必要になりますが、それさえも、簡単に済ませる方法もあります。
なにも、陸や海に全面的にやってもらう必要はなく、空自のパイロットが乗り込み、機体の操縦以外を彼等がやれば良いのです。
DCとの通信とパイロットへの指示に1人、警告射撃等を行うガンナーとして1人の計2名をLR-2やP-3に乗り込ませれば、簡単な訓練だけで対処を行なう事が可能になるでしょう。(クルーコーディネーションの訓練は、それなりに必要ですが)
LR-2もP-3も、機体サイズが大きく、M2を設置することも可能でしょうし、航続距離も十分です。
どちらも、那覇基地内にあり、必要な際に空自のパイロットが足で走ったとしても、数分もかからず機体に乗り込めます。

那覇から尖閣までが遠く、進出には時間がかかるので、初動はF-15で行い、途中からこれらの機体が引き継ぐ事になりますが、F-15だけで行うよりも、相手機に与えるプレッシャーは遥かに高くなります。

そのためのコストもほとんどかかりません。
マニュアルを作るだけではなく、対領侵措置への陸海自衛隊の投入も真面目に検討すべきだと思います。

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2014年3月26日 (水)

「黎明の笛」発売から2週間

なんと、「黎明の笛」が売り上げランキングで、2位を獲得しました!

文芸書だとか、ミリタリー関連とかのカテゴリー別の2位ではありません。
実用書やビジネス書はもちろん、「永遠の0」などのベストセラーを全て含んだ全書籍中の2位です!

他のランク入りした本を含めて見てみましょう。
① 日本人のための「集団的自衛権」入門
  石破茂著 新潮社
② 
黎明の笛
  数多久遠著 祥伝社
③ 武人の本懐
  高嶋博視著 講談社
④ 自衛隊兵器大全
  菊池雅之 竹書房
⑤ 下町ロケット
  池井戸潤著 小学館

……なんか偏ってる……と、思うでしょうね。
どこの調査かと言うと、三陽堂書店さんの販売ランキングです。

山陽堂なら知っていると言う方もいると思いますが、三陽堂です。
Ws000061
つまり、防衛省本省がある市ヶ谷地区内にある本屋さんです。(防衛庁内にて一般販売せず……って、もう防衛”省”ですよ)

このランキングは、3月20日付けの朝雲新聞の「隊員愛読書ベスト5」というコーナーに載っていたモノです。
このコーナーには、他の書店さんの集計結果も載ってますが、そちらでは5位以内にランクインはしていなかったようです。

ですが、防衛省の本丸である市ヶ谷内の書店で2位です。
防衛省・自衛隊関係者、特に幹部自衛官や内局部員に読んで頂けたということでしょう。(「こんなモノ書きやがって!」と思われている可能性もありますが……、今のところ電凸やカミソリメールは来てません)

素直に嬉しい反面、狙いと「なんか違う……」と思えてなりません。
一般の方に、防衛問題に興味を持ってもらうために書いたのに……ナゼかプロ受け。
まあ、私の趣味丸出しなので、仕方ないですね……。

とは言え、一般の方にも読んで頂けて無いわけではありません。
さすがに、オリコンランキングに載るほどにはなっておりませんが、アマゾンのランキングでも、品切れでランクが下がった時を除けば、文芸書としてはかなり売れている方です。
ありがとうございます。m(_ _)m

レビューも頂きました。
アマゾンでは、4件全て★5つですし、ブクログでも8人登録★5つです。
ブクログ「黎明の笛」
作家の中には怖いから見ないという人もいる読メこと読書メーターでも、(今のところは)高い評価を頂いてます。
読書メーター「黎明の笛」
読書メーター「黎明の笛(Kindle)」

ツイッターではつぶやいてましたが、メディアでも書籍を紹介して頂いています。
航空ファン5月号
航空情報5月号
朝雲新聞3月20日
日刊ゲンダイ3月25日
特に、朝雲新聞は、出版社からの紹介文ではなく、編集部で読んで頂き、詳しい紹介をして頂きました。

これらのおかげで、発売から1週間の時点で増刷が決まり、現時点で累計2万部になりました。
誠に、ありがとうございます。

私事のため、ちょっとバタバタとしており、ブログの更新等滞っておりますが、今後もマイペースで頑張りますので、宜しくお願い致します。

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