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2014年1月29日 (水)

普天間移設は沖縄県知事の辞任・選挙に委ねよ!

普天間移設のカギとなる名護市長選挙は、移設反対を唱える稲嶺氏が当選しました。
ここで、移設を容認する末松氏が当選していれば、今後の動きはスムーズに進むところでしたが、状況は、依然として不透明と言わざるを得ません。

知事が移設を容認する姿勢になったため、政府は移設を強硬に進めるかもしれませんが、その一方で、政府(防衛)関係者も、いい加減、嫌気がさし、動きが停滞する可能性もあります。

この問題を、今後どう進めるかについては、断固推進すべしという意見と、移設を見直すべきとの意見に、世論も大きく対立しています。
私は、普天間への移設自体は推進すべきだと考えていますが、そのためには、むしろ移設反対派が唱える仲井眞沖縄県知事の辞任と選挙を行うべきだと思っています。

政府が移設を強行すれば、例え移設ができたとしても、名護市民には遺恨が残ります。
移転した海兵隊部隊と地元住民、あるいは賛成派住民と反対派住民との間でも、問題が発生するかもしれません。

これを回避するためには、何とか名護市民を説得し、その上で移設を推進しないといけません。
そのためには、まず政府(ヤマトンチュウ)対名護市民(ウチナンチュウ)という対立の図式を、沖縄県民(ウチナンチュウ)対名護市民(ウチナンチュウ)という説得のできる図式に切り替えることです。

具体的方策が県知事選挙です。仲井眞知事が再選を目指すのか、あるいは別の候補が立っても構いませんが、今回の名護市長選のように、普天間移設を争点とした知事選挙が行われ、沖縄県民の総意として、名護への移設が支持されれば、沖縄県民(知事)が名護市民(市長)を説得することも可能でしょう。
その際、政府としては、ここで移設推進派が敗北した際には、移設を断念し、普天間の固定化に繋がることを匂わせておくことも必要です。

そもそも、今回の名護市長選の移設推進派の敗北は、仲井眞知事が粘りすぎたためです。
もっと早い段階で、仲井眞知事が移設を容認し、説得を図っていれば、結果は違っていた可能性も十分にあったでしょう。
ですので、仲井眞知事に、もう少し骨を折ってもらいたいところです。

知事選挙で、反対派が勝つ可能性もありますが、その場合については、実際に、移設を断念し、政府としてアメリカに頭を下げるしかないでしょう。
地位協定の見直しや沖縄県南部の基地閉鎖等、安倍政権が行おうとしていた日米の防衛関係の懸案は、多くが白紙に戻さざるを得ないでしょうが、沖縄の要望で始まった普天間移設が頓挫するのであれば、納得するしかありません。
防衛の観点だけから言えば、別に移設をしなければならない理由は何もありません。普天間を使い続けられればOKです。

沖縄メディアの主張は、県外移設ですが、それが(軍事的に)妥当でないことは、過去記事「普天間の代替候補地条件」で書いた通りです。
細部は、過去記事を見て頂きたいところですが、最も重要なのは、米(空)軍が、嘉手納の代替飛行場を必要としている点です。
なお、米海兵隊は、以前から普天間移設の際の位置に関して80km以内という条件を出しています(ソースをググったが見つかりませんでした。ブログ等での記載はあり)が、これも、やはり軍事的な観点からの条件です。

しかしながら、軍事的妥当性に関して、森元前防衛大臣の発言を根拠として、疑問を呈する人もいると思われます。
参考過去記事「最後に失言を残し自民党政権の足を引っ張る森本前防衛相

森元前防衛大臣は、「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と述べています。
軍事的な妥当性については、私とは見解の相違がありますが、政治的に沖縄沖縄が最適との意見には付言が必要です。

前掲過去記事でも触れたように、沖縄メディアは、森元前防衛大臣の発言を「沖縄以外の場所には強制できないが、沖縄ならそれができる」として、日本の内政問題として、基地を押しつけることができるという意味に捉えています。

しかし、この発言は別の意味だったと見るべきです。
過去記事「在沖海兵隊の意義_沖縄県民は無知なのか?」でも言及していますが、海兵隊を沖縄に駐留させる最大の意義は、アメリカの台湾に対するコミットメント、つまり、アメリカは台湾を防衛する、中国が侵攻する際には、台湾にとって人質ともなる海兵隊員を送り込む、という政治的メッセージです。
この意味で、「政治的に考えると沖縄が最適」と言えるのです。

以上のことから、移設賛成派が勝てば、沖縄県(知事)として、名護を説得し、移設を推進してもらえば良いし、移設反対派が勝てば、移設を断念して、普天間をこのまま使い続ければ良いのです。

防衛の観点からすれば、どちらに転んでも構いません。
ですから、知事には後残り少ない任期を全うするのではなく、県民の信を問うという意味で、辞任の上、選挙を行うべきです。

しかし、この問題のそもそもの発端は、移設を求めた沖縄県民の意志です。
できれば、移設賛成派が勝って、普天間周辺住民の希望を反映した形で決着することがベストだと思います。
移設ができれば、地位協定等、他の懸案も進めやすくなります。

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在日米軍」カテゴリの記事

コメント

>この問題のそもそもの発端は、移設を求めた沖縄県民の意志

地元民は「返還」(要は基地の純減)を求めたのであり、「移設」を求めた事実はないのでは?

少なくとも、滑走路の純減は無理なので、普天間返還=移設というのが日本政府の判断では。(それが正しいか否かは別として)

ちなみに、当時防衛庁は、新たな施設の建設は無理という判断で、既存基地内に滑走路の新設という案を出していましたね。
埋め立て・海上滑走路の新設というのは外務省主導で決まったことですね。

もし移設反対派の新知事が誕生した場合、固定化とは逆に普天間基地からの米軍の撤退を主張(スミキンさんのブログにあるような)して、より混乱を招くのでは?

>ここで移設推進派が敗北した際には、移設を断念し、普天間の固定化に繋がることを匂わせておくことも必要

代替施設(県内に限定されない)を前提とした普天間の返還は日米両政府間で合意された事です。政府間の合意だとして辺野古移設に固執しておきながら、県内移設を拒否されたら政府間の合意を反故にして移設を断念というのは筋が通りませんし、それは沖縄への恫喝以外の何物でもないでしょう。
沖縄県がこれ以上の負担を受け入れられない、そしてそれが県民の意思だというのであれば軍事的に妥当でなくても妥協しなくてはなりません。それが民主国家の軍隊のあるべき姿であり文民統制です。何でも軍事優先の先軍国家がお望みなんですか?

又森本大臣の発言に関しても曲解が過ぎます。
>沖縄県の中にいなければ抑止力にならない(中略)鹿児島県の中にいたら抑止力にならない、そういう理屈は軍事的合理性を持っていない

>(海兵隊の全部の要素を持っている部隊を)どこかにそっくりと動かし、それを全て地元が受け入れて頂ける。しかも訓練の場所としても戦略的な要地としても、十分に機能できるという場所があれば、沖縄にいなければならないということでは決してない

これらの発言から判る様に森本大臣は移設問題を日本の内政問題であると捉えています。台湾を絡めて沖縄海兵隊の必要性を主張されるのはご自由ですが、大臣はその様な発言をしていません。言ってもいない事をあたかも言ったかのように述べるのはウソでありデマです。それは誠実な行為ではありませんね。

こんにちは

事の発端!? 要は民主党の与太話と、それを真に受けた愚民の自業自得でしょ?
そもそも国防と言う、いわば国家の安全保障に関わる問題を、知事選挙に絡めるのかが不思議でやんすが、それが本土の安保反対で都落ちした左翼共の戦法でやんしょうねぇ…
沖縄に対する基地負担が云々言ってるようですが、沖縄が国境だという自覚がゼロでやんすなぁ( ̄^ ̄) 戦後民主主義とやらの害毒ですかなぁ…

myu5 様
県外移設という言葉は盛んに言われています。
”県民の総意”なんてものは、もちろん明確化されてませんが。

外務・防衛双方とも、アメリカの意向を聞き(協議)ながら、進めていると思われます。外務の意向、防衛の意向と判断するのは難しいと思います。
もちろん、省益も関係しているでしょうけれども。

しやもじ 様
文谷氏の意見は読んでいます。

しかし、ここは私と文谷氏の沖縄世論の読みの違いかもしれませんが、沖縄から米軍を追い出すような動きにはならないと思っています。
沖縄県政関係者は、以前にも政府が沖縄の反対に辟易した事を覚えているでしょうし、沖縄の一般の世論は、必ずしも沖縄メディアほど酷くありません。
文谷氏の場合、渉外部署が多かったようですから、反対派の人たちと接触する機会が多く、その記憶が強いのではないでしょうか。

スプーン 様
だからこそ、”説得”することが必要なんだと思っています。

土方 様
民主党が諸悪の根源であることは間違いないですが、それを言っても解決には向かいませんから、いろいろと方策を練って行くしかないだろうと思います。

おはようございます

方策も何も、最早成田空港の時みたいに粛々と推し進めるしか無いのでは?
それと、妨害してくる輩には騒乱や内乱と言った治安用件でパクるのが一番(それっきゃないっしょ)では? 外国外国言うのもアレでやんすが、外国だったら普通に治安用件を満たしてまっせ。
根回しは勿論ですが、世論戦で左翼共に遅れをとらない事です。

本土出身沖縄在住、辺野古移設容認派のものです。
本土メディアでは極端な反対意見を取り上げる事が多いので、あたかも基地反対・全面撤去が沖縄の総意のような印象を与えていますが、反対・賛成数は、沖縄県全体ではほぼ拮抗していると言えるでしょう。それ故に自体が複雑化しています。明確な推進派、明確な反対派の間には多くの流動派がいて、その流動派が、主要な選挙の際にどちらに傾くかで結果が決まると思われます。そしてその流動派の傾きに大きな影響を与えるのが、『感情』です。皆が理論的であるならこんなに苦労はしないはずですが、『感情』で動く人が多いのが沖縄の現実です。
そして、推進派からはその『感情』を逆なでするような意見が目立ちます。沖縄の人は、移設問題に関する推進派の『上から目線』に敏感です。数多先生のようなご意見は、理論的に的を得ており、その通りと賛同しますが、沖縄県民の感情を逆なでする可能性があります。『反対?じゃあ普天間固定ね。沖縄が決めたことでしょ。左系地元メディアに煽られたね。浅はかだね。学力も低いんでしょ。知ーらない。そもそも普天間移設てあんたがたが言い始めたことでしょ』。表現の仕方は様々ですが、本土からみると沖縄の極端な反対派が目立つように、沖縄からみると本土の『上から目線』は目立ちます。
そこで真に有能な理論派がとる行動とは、『何となく基地はいや』という沖縄の心情をくみ、その上で頭を下げて沖縄にお願いをするという姿勢をみせること、だと思います。昭和から平成初期の有能な自民党政治家は何度も愚直に沖縄に頭を下げ、その姿が沖縄メディアでも流れていました。この姿が流動派を容認へと導き、基地に関連した選挙にも僅差でも勝つことが多かったように思います。自民党沖縄県議達を、罪人をさらすようにカメラの前で並ばせた石破幹事長・・・有能な方ですがあのやり方はまずかった。むしろ自らが沖縄県議に頭を下げて容認するようお願いする姿をさらすべきだった。流動派の感情が反対に流れてしまった。名護市長選挙の敗因の一つであった。
感情を動かすためには、『基地負担を沖縄に多く押し付けて大変申し訳ない。各首長をはじめとする平和ボケした本土人には基地を受け入れる気概がないのが現実で、我々の至らぬ点を重ねてお詫び申し上げる。沖縄の方々は志高く、これまでも国の安全保障の根幹を県民全体で担い、沖縄に日本はこれまでも守って頂いた。軽減できるよう努力は続けるが、地政学に致し方ない点もあり、今後もご負担をかけ日本を守って頂くことになる。改めてお詫びと感謝を申し上げる。』、これくらいの低姿勢が必要です。安倍内閣は低姿勢で仲井真県知事にお願いをし、感情を動かしました。ようなくヤマが動き出したが、上から目線を是正できない『理論派風』が足をひっぱっています。
結果をだすためには、エゴ・プライドを捨て、謙虚にお願いを続けるべきです。『辺野古推進のおれは冷静で理論的で有能』みたいなアピールをネットやなどで公に述べることは不必要で、むしろ有害です。数多先生のような意見はもう見飽きたし、このような意見を流動派が目にしなければいいな、と願うばかりです。
演技や『ふり』でもいいので、沖縄に頭を下げませんか。もしくは頭まで下げなくてもいいので、とりあえず感情を逆なでするような意見は自粛しませんか。BLOGOSにも同記事は掲載されていましたが、影響力のあるサイトですよ。周辺国への批判はいいと思いますが、沖縄人も日本人なので、当然容易に先生の意見を読めますよ。沖縄への意見、冷静で理論的な頭で流動派の感情を推し測って述べて下さい。逆に辺野古推進の足をひっぱってますよ。ともに日本のために良い結果を誘導しましょう。

ピース様

耳にいたいご意見、ありがとうございます。おっしゃることはごもっともだと、私は思います。名護市の市長選でも、基地賛成やむ無しの候補に、かなりの票(当選した人の0.7倍くらいでしたか)が入っているのを見て、沖縄の方も悩んでいるのであろうと感じました。

本土にいて軍事オタクな人間(?)にも、そう言う人間はおります、ということで。。。

土方 様
成田闘争の時のような事はできないと思います。
成田とは異なり、今回の選挙でも明らかなように、沖縄には十分以上の反対派がいますから。

ピース 様
仰るとおりだと思います。
私が政治家なら、こんな事は言わずに頭を下げるでしょう。
そして、裏ではやはり、ムチも振るうと思います。
それが、政治家の資質でも言われる、清濁併せ呑むというやつでしょう。

ですが、私は在野のブロガーです。
そして、大切な事は、私は沖縄県民に対してのみブログを書いている訳ではありません。
むしろ、読者の大多数は沖縄以外です。
ですので、基本的に日本人一般に対して書いているつもりです。

最近は、ネットで新聞記事が簡単に読めることもあって、下手をすると本土の人間は、琉新と沖タイが沖縄世論を体現していると思いがちです。
ピース様のような方が相当数いるにも関わらず。
なので、私は沖縄を攻撃しているつもりはなく、琉新と沖タイを攻撃しているつもりです。

まあ、多少炎上覚悟で書いている部分もありますので、品については気をつけたいと思います。

以前に記事も書きましたが、安倍首相の舵取りは巧いですね。
今回は、届きませんでしたが、世論を見ながら、巧くやるだろうと思っています。

ちなみに、1月1日から今日までのアクセス解析を行ったところ、沖縄からのアクセスは全体の1.1%でした。
ですが、沖縄の場合、ネット人口も低いため、ネット人口当たりのサイト流入は、この記事のためもあってか、全国1でした。

ドナルド 様
基地が作られる予定の名護でさえ推進派にあれだけの得票があります。
況んや沖縄全県なら、という点は、もっと注目されてしかるべきだと思います。

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