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2014年1月23日 (木)

安重根記念館に理解を示せ!

安重根記念館が作られたことで、日本政府を含め、これに反対する動きが多数あります。
安重根記念館 中韓連携に強く反論せよ」(産経新聞14年1月21日)

しかし、この不随意反射のような反対をする前に、良く考えてみれば、これはむしろチャンスだと気づくべきです。

ミソは、この記念館がソウルではなく、ハルビンに、中国によって設置されたことです。

従来、安重根は、中国にとって、触れたくない人物でした。
産経新聞も過去にはこのように書いています。(wikiから引用)

中華人民共和国では、安重根が「日本の首相経験者を暗殺した人物」として高い知名度を持っているが、中国政府は、安重根の評価は反日勢力を刺激し、国内の社会不安を増大させるとして、積極的な評価は行っていなかった。


中国にとって、安重根は、”反日の闘士”であるならば問題はありません。しかし、”民族自決の闘士”であるならば、存在を認める事はできない人物であるということです。

朝鮮民族は、韓国及び北朝鮮に大多数が居住していますが、中国内にも、吉林省の延辺朝鮮族自治州を中心として200万人が居住しているとされる他、北朝鮮からの難民も多数入っていると見られています。

延辺朝鮮族自治州も、漢民族の移住が進められたため、人口比率では漢民族の方が多い状況ですが、朝鮮族自治州となっているとおり、歴史的にも漢民族の土地ではありません。

このような状況にあって、”民族自決の闘士”が評価されれば、ウイグルやチベットにも民族自決の炎が燃え上がりかねません。

この安重根記念館の設立は、中国にとって宣伝戦の一つです。ですから、守るだけではなく、反撃することも可能です。
この宣伝戦で掲げられている剣は、諸刃の剣だからです。一歩誤れば、自分を傷付ける剣なのです。

日本とすれば、これを利用することができます。
安重根記念館に、そして安重根自身に理解を示すべきです。抗日の闘士ではなく、民族自決の闘士として。

人殺しは評価できませんが、チベット独立運動の象徴であるダライラマや東トルキスタン(ウイグル)独立運動でのラビア・カーディルと並べて評価・理解を示すことで、中国に揺さぶりをかけることができます。

戦闘の推移次第では、一旦は設置した安重根記念館を閉館ないしは撤去するかもしれません。
そうなれば、中韓関係にも楔を打てたことになるでしょう。

日本政府としては、過去に殺人罪で罪に処した以上、表立って肯定的な評価はできないかもしれません。
官房長官がテロリストと評したことに関して、ここで書いたような配慮があるなら、評価するとの向きもありますが、恐らく単純に反発しただけでしょう。
安重根を「テロリスト」とする意義

ですが、マスコミを含めた民間レベルなら、自由にモノが言えます。

安重根を非難しようが評価しようが、今更、日韓関係には大した影響はありません。
ですが、反日の闘士ではなく、朝鮮民族自決のために戦った闘士としてイメージ戦略を行うことで、対中国では、攻めの宣伝戦ができます。

官房長官も、いっそのこと、次のように言い直したら良いのです。
「テロは評価できない。だが、ダライラマやラビア・カーディルのように、民族自決のために命をかけて戦った事には理解を示したい」

中国がなんとコメントするか見物です。

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周辺国動向」カテゴリの記事

コメント

>人殺しは評価できません
けど、殺されたご本人も尊皇攘夷を唱えて学者を暗殺したり、外交館を襲撃して放火した前科前歴があるのではなかったでしょうか。
結果的に成功したから維新の志士や明治の元勲として重きを成しましたが、維新が失敗していたら彼らだって徳川に仇成す不忠不逞の輩です。
安の行為を「人殺しは評価できません」と切り捨てるのであれば
明治維新そのものや志士達にも同じ評価を与えるべきでしょう。彼らと安の違いは目的が成功したか失敗したかの違いでしかないのですから。

又ありえない事ですがイギリス政府が伊藤博文は我が国の領事館を襲撃したテロリストである。
そのような人物を紙幣に使うのはけしからんと言ってきたらどうします?
私的にはなかなか興味深い命題だと思うのですが。

・・・なるほどものは考えようですね?
「実戦では繰り出される拳にこそ隙がある!」(by北斗の拳・・だったと思う(;;)
というところでしょうか?
情報宣伝戦には柔軟かつ冷静な「揚げ足取り」が重要なのだと知った次第です。

>イギリス政府が伊藤博文は我が国の領事館を襲撃したテロリストである。
>そのような人物を紙幣に使うのはけしからんと言ってきたらどうします?


良いんじゃないですか?
自分は相手の嫌がることを最大限やりつつ相手には自分の嫌なことを一切させないのが敵対的な外交の理想というものです
イギリスが貴方の仰るようなことをするほど日英関係が悪化したならばこちらもアイルランド民族主義過激派への応援を検討するというだけのこと
実際にするかどうかはその時々の政策担当者の判断次第でしょうけど、少なくともそれが誰であれ国際社会を仲良しクラブの論理で捉えることだけはしないと思いますよ?

俺の策とは違うがなるほどと思います。
安重根の暗殺のせいで韓国の対日融和派が暴走して日韓併合を促進してしまいました。
また、伊藤博文は韓国では悪魔のように言われてますが、もともとは併合反対派であり、強硬に併合を進めた人間は陸奥宗光などであります。
つまり狙うターゲットも後々の効果もピンボケ野郎という事になります。
だから私は、ボケを有り難がる馬鹿がいると思わなかったと、前記二点を証拠付きで説明して嘲笑ってやるべきだったと思います。
大々的に馬鹿にしてやれば二度と崇めようとは思わないでしょう。
真面目に真っ正面から当たるのではなく、真面目に側面激突してやるべきだと思います。

>アイルランド民族主義過激派への応援を検討する
その”応援”と言うのが精神的な連帯に留まるのか、資金や武器といった物質的な段階にまで踏み込むのかは貴殿のみぞ知る所です。
しかしそれがどういう結果をもたらすか貴方は本当に理解されているのですか?
現在も(小規模ながら)活動している国際的なテロ組織を”応援”すると言うのはかつての北朝鮮やリビアの様なテロ支援国家と同じカテゴリに入ろうとする事ですよ。
国際社会から爪弾きにされてる様な国々の仲間入りする事が貴方の言う外交の理想なのでしょうか。

現在ではイギリスはジョージ・ワシントンを国王に反逆した罪人とは呼びませんし、スペインもホセ・リサールをテロリストと呼んだりはしません。
フランスだってジュネーブ協定でインドシナ3国の独立を認めてからはホーチミンをその様に呼んだりはしていないのです。
US-2ラブさんはその意味をよく考えた事がありますか?

数多さんがなんとコメントするか楽しみです。 様
記事に書いた通り、これは日中(韓)宣伝戦です。

誤解を恐れずに言えば、歴史を、(正しく)誰をどう評価するかなど、どうでも良い事です。
伊藤博文がテロリストと言ってきても、単に無視するだけで構いません。

イスラエルの首相経験者などは、独立戦争前は完璧にテロリストだった人が何人もいますよ。

名無し 様
実際、中国の動きはけっこうおっかなびっくりですから、付け入る隙はいくらでもありそうです。

US-2ラブ 様
全くその通りだと思います。

Suica割 様
その論旨から行く手もあると思いますが、かなり詳細な歴史の検証・説明が必要ですから、「テロリスト」というような名前をつける事による「定義付け」プロパガンダによる宣伝戦には、手法的に向いていないと思います。
それは、歴史家に時間をかけてやって頂く仕事である気がします。

>人殺しは評価できませんが、チベット独立運動の象徴であるダライ・ラマや
>東トルキスタン(ウイグル)独立運動でのラビア・カーディルと並べて評価・理解を
>示すことで、

ダライ・ラマもラビア・カーディルも、テロリストではありません。
従って独立運動家として同列に語ること自体が、彼らに対する最大にして最悪の侮辱です。
全く違うものを同等に比較しようとする数多さんはもはや正常な人間とは思えません。
ここ一年余り数多さんのブログはおかしな方向に進んでるなぁとは思っていましたし、コメントすべきレベルの内容とも思えませんでしたが、これはさすがに酷い。
心の底から軽蔑します。

数多様。

官房長官の記者会見や声明で「テロは、評価出来ないが民族自決の為、命懸けで戦った事は、評価出来る」は、政府がテロを暗に肯定されたと見なされるから絶対に言っては、いけないです。それにダライ・ラマ氏等は、暴力、テロ活動反対なんですが

だ 様
通りすがりの者 様
宣伝戦では、必ずしも真実を語る必要はありません。
この場合は、ダライ・ラマやラビア・カーディルの良いイメージを利用して、定義付けでプロパガンダを行おうというものです。

それくらい独創性があった方が良いと思います。 安重根の民族主義者の面を取ってテロリストの面は捨てれば良いのですから。 日本政府はいつウイグルとチベットを宣伝戦のassetsとして使うのかとずーと思ってました。

おばんでやす

つまり数多兄、敵の常套手段の「嘘も百回吐けば真実になる」をやり返せばいいってやつですかな?
しかし、ラマ倪下とカーディル女史を安重根と同列に扱うのには、矢張り粗雑というか、違和感全開でやんすなぁ…

オレゴン在住 様
日本は、保守勢力内にも親中派が少なくないですから、なかなかそう言った動きはとれないです。
メディアにしても、NHKからして中国べったりですから。

土方 様
悪い言い方をすれば、そうなるかもしれません。
でも、今信じられている真実も、多くはそう言った定義づけの積み重ねではないでしょうか。
自虐史観なんかも、同じ事だと思っています。

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