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2014年1月

2014年1月 5日 (日)

田母神氏の得票は抑止力となる

田母神元空幕長が都知事選に出馬するとのこと。
元航空幕僚長の田母神氏が出馬へ」(産経新聞14年1月4日)

率直に言って、当選する可能性はないでしょう。
自民の公認候補は決まっていませんが、現在の世論を見れば、自民公認候補が当選するだろうと予想されます。

田母神氏も、当選するとは考えていないと思います。
それであっても出馬する理由は、同氏に世論が一定の支持を示せば、これがある意味で抑止力となるからではないでしょうか。

抑止力の源泉は、敵に与える脅威です。
そして、その脅威は、意志と(軍事的)能力によって決まると言われます。しかも、この場合の意志と能力は、加算ではなく、積算で計られます。

つまり、如何に強大な軍事力を保持していても、意志がゼロなら、脅威もゼロという事です。

安倍政権は、防衛費の増額を予定していますし、日本は”能力”としての防衛力は、それなりのものを持っています。
しかし、民主党に政権を握らせるような事をすれば、”意志”なしとして、たちまち付け入れられます。民主党政権時代の尖閣への中国の攻勢を見れば、明かでしょう。

現在では、自民党政権になり、意志の点でも、それなりなものを見せていると言えるでしょう。
しかし、世論は移ろいやすいものですし、首相の靖国参拝に対して、アメリカまでが失望を表明する状況が発生し、中韓などでは日本の”意志”が揺らいでいると考えているかもしれません。

ですから、”意志”は継続的に見せて行く必要があります。
その点、内外のマスコミが極右とさえ呼ぶ田母神氏が、都知事選で有意な数の得票を得れば、日本の意志=世論を知らしめることができます。

都民の方は、心して投票してもらいたいと思います。

「もし当選してしまったらどうするんだ」と懸念する方もいるかもしれませんので、田母神氏の首長としての手腕も占ってみたいと思います。

田母神氏は、航空自衛隊でトップの地位である航空幕僚長の地位まで上り詰めました。
これだけでも、相当な事ですが、田母神氏の職務スタイルを思い返すと、もしかするとうまくやれてしまうかもしれないと思えます。

田母神氏は、一般のイメージでは過激な言説をする人と捉えられていると思いますが、ユーモアがある事で知られている他、現役時代でも、部下に対しては、決して強圧的な態度をとる方ではなく、”人を巧く使う”事のできる方でした。
退官後も、頑張れ日本!全国行動委員会代表になるなど、従来の保守系団体とは路線の異なる活動を行い、時流を見極め、適切な動きを採ることのできる人だと言えます。

地方自治に関しての知識はないでしょうが、万が一にも当選してしまったとしても、周囲の意見を聞き、周囲人間を巧く使い、マルクス経済学者やタレントよりは、余程良い都政を行えるのではないでしょうか。

都知事選、注目です。

さて、最後になりましたが、本年も宜しくお願い致します。

1月8日追記
支持を表明した石原氏が「あえて可能性の少ない戦いに挑む。ある意味で特攻隊ですよ」と発言しているため、やはり陣営としても、当選を目指しているのではないと思われます。

また、桝添氏が出馬の意向を固めたそうなので、当落はほぼ確定したと思われます。

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2014年1月10日 (金)

「靖国初詣者が激増」はデマ

初詣に靖国に行こうと思い立ち、軽く下調べすると、今年の初詣客が激増しているとの情報が目だちました。

こんな感じ。
靖国神社への参拝者が激増 中国や韓国に衝撃が走る

本当だとすれば喜ばしい事なんですが、どうにも胡散臭い。
あちこちに転載されている情報の核は次の通りで、初出は2chのようです。

42 :名無しさん@13周年:2014/01/04(土) 08:04:22.06 ID:mBP2zs65O
2014年 初詣神社ランキング (1月3日17時現在)

1. 明治神宮(東京都渋谷区):約319万人
2. 伏見稲荷大社(京都府京都市伏見区):約277万人
3. 住吉大社(大阪府大阪市住吉区):約260万人
4. 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市):約251万人
5. 靖国神社(東京都千代田区) :約245万人
6. 熱田神宮(愛知県名古屋市熱田区):235万人
7. 大宮氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区):約205万人
8. 太宰府天満宮(福岡県太宰府市):約204万人

靖国神社は例年の8倍の人出


で、調べてみると、ほぼ間違いなく捏造された情報のようです。
と言うのも、靖国の数字以外は、次のリンクの情報と、完全に合致しているためです。
神社初詣参拝者数ランキングその1」(神社人)

1.    明治神宮(東京都渋谷区):約319万人
2.    伏見稲荷大社(京都府京都市伏見区):約277万人
3.    住吉大社(大阪府大阪市住吉区):約260万人
4.    鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市):約251万人
5.    熱田神宮(愛知県名古屋市熱田区):235万人
6.    大宮氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区):約205万人
7.    太宰府天満宮(福岡県太宰府市):約204万人


こちらの情報は、三が日の情報ではなく、初詣全体での集計ですから、前掲の靖国入りの情報が、3日17時現在で、同じ数字になるとは考えられません。
捏造者は、これに靖国の数字を水増しして書き加えたと思われます。

では、実際の靖国初詣客がどうだったかと言えば、確かに増加していたようです。
靖国神社からの公式発表は今のところ見当たりませんが、むしろ数は少なくなって欲しいと考えそうな朝鮮日報が、参拝者が増加したと報じています。
靖国神社に長蛇の列、位牌の前で1年の願い事
(朝鮮日報14年1月3日)

私も6日に初詣に訪れましたが、例年より多いような気がしました。

このデマが広まった理由は、所謂ネトウヨと呼ばれる方々(私もその一味と見られることが多いですが)に受けそうな内容だったからだと思われます。

安倍首相の参拝以後、アメリカまでもが失望を表明する事態になってますが、参拝者が多ければ、日本の世論(民意)を見せることで、中韓等は別として、アメリカなどは牽制できます。
前回記事と同様に、世論が靖国を支持しているとなれば、他国への抑止力ともなるでしょう。

そう言った意義を考えれば、実際の初詣客がどの程度だったのか、他の寺社仏閣と比較してどうなのか、という点は、確かに興味深いものがあります。

前掲の神社人HPの初詣ランキングを見ると、靖国は53位、参拝客約27万8,000人です。
神社初詣参拝者数ランキングその2」(神社人)

トップクラスと比べると、まだまだ大きな隔たりがありますが、初詣に限らず、靖国の参拝者は、増加傾向にあるようなので、今年の数字がどうだったのか注目です。

また、靖国は、年間の参拝者数としては、観光客が少ないにも拘わらず、かなり多い神社です。
年間で600万人にも及ぶようです。
靖国神社」(通信用語の基礎知識)
これに対して、日本だけでなく、世界中から観光客が訪れる伊勢神宮にしても、年間では850万程度です。(昨年は、遷宮の影響でもっと多かった)

その差は250万ですから、今回のデマ情報が本当だったら、年間では伊勢神宮を越えるほどになります。
そうなると、世界でも十指に余る宗教施設と言えます。(伊勢神宮は、参拝者数で世界ランキング10位)
World's Most-Visited Sacred Sites」(yahooトラベル)

諸外国にもアピールできるでしょうから、靖国の参拝者は、もっと増えて、本当に十指に入って欲しいものです。

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2014年1月13日 (月)

宇宙空間における対応_新防衛計画大綱等 その3

新大綱等関連で記事として取り上げる程話題性のある話は、今回の場合陸自関係がほとんどです。
ですが、それでは飽きてしまいますので、今回はちょっと毛色の違った話を書きたいと思います。

新大綱等で、サイバー戦とならんで、今後重視すべき機能・能力として、宇宙空間における対応が取り上げられています。

大綱

様々なセンサーを有する各種の人工衛星を活用した情報収集能力や指揮統制・情報通信能力を強化するほか、宇宙状況監視の取組等を通じて衛星の抗たん性を高め、各種事態が発生した際にも継続的に能力を発揮できるよう、効果的かつ安定的な宇宙空間の利用を確保する。こうした取組に際しては、国内の関係機関や米国との有機的な連携を図る。


中期防にも記述がありますが、ほとんど似たような内容なので省略します。

情報収集や衛星通信の活用は、今更言うまでもなく、現代戦では非常に重要です。

そこではなく、ここで注目なのは、”衛星の抗たん性を高める”としている点です。
もちろん、衛星に装甲を施すなどという話ではありません。

”宇宙状況監視の取組等を通じて”とあるように、アメリカと同じようなASAT(衛星攻撃兵器)対策を目指していると思われます。

具体的にどんなものかは、既に要求が上げられた26年度の概算要求に項目があります。
Ws000025

宇宙状況監視システムの導入可能性調査として1000万が要求され、衛星防護の在り方に関する調査研究にも2000万が要求されています。
また、人工衛星等に対する固定式警戒管制レーダー(FPS-5)の探知・追尾能力等の技術的な検証にも5000万が要求されています。

しかし、前者二つは、金と時間のムダではないかと思えます。
以前に、日本独自の早期警戒衛星取得の噂が出て、それを無用だと書いた構図と同じだからです。
参考過去記事:「日本独自の早期警戒衛星は不要だ!

宇宙状況監視システムを、日本独自に構築することは無理があります。
軍事的な危険性対策、つまり対ASATではなく、デブリ対策として構築するなら十分に可能です。

デブリ対策としては、日本でも2カ所の施設で観測を行い、デブリとの衝突対策に生かされています。
これは、恒常的な観測により、未発見のデブリを発見し、カタログに登録することで衝突対策に生かそうというものです。そのため、方法としても、視野角が数度しかない光学望遠鏡を用いています。

しかし、ASAT対策としては、これでは不十分です。そもそも、視野角が数度しかない観測手段では、ASATを捕捉する可能性自体が、それこそ万に一つです。
その点、FPS-5による監視は、十分に有用な可能性があります。

過去記事「誤報の原因と課題」に書きましたが、2009年の北朝鮮によるミサイル発射事案の際、防衛省が誤報を流した原因が、FPS-5が宇宙空間の飛翔体を発見してミサイル発射と誤認したことにありました。
前掲記事では、FPS-5の誤報を防ぐためにも、宇宙状況監視システムが必要だと書いたのですが、それだけFPS-5は宇宙状況監視システムのためのセンサーとして有用だということです。

それなら、FPS-5があるのだから、宇宙空間の飛翔体をカタログ化し、それと照合することでASATを発見する宇宙状況監視システムが作れると思うかもしれませんが、そうも行きません。

静止衛星は別として、日本の情報収集衛星等は、世界の上空を飛び回ってます。
中国が、日本の衛星をASATで攻撃する際も、日本の周辺で攻撃する必要性はないからです。
例えばモンゴルに近い甘粛省酒泉の酒泉衛星発射センターや四川省西昌の西昌衛星発射センターから西に向けてASATを発射したのなら、FPS-5でも捕捉できるはずはありません。

つまり、宇宙状況監視システムは、全地球的なセンサーを含めたネットワークがなければ、意味のあるものになりません。
当然、日本がシステムの恩恵に預かろうとするなら、NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)にある宇宙監視ネットワークから情報を貰うしかないという事になります。

アメリカは同盟国とは言え、タダで情報をくれることなどありません。
しかし、日本が、FPS-5を使って、北朝鮮及び中国の東側から発射される飛翔体の監視情報を提供できるなら、十分にバーター取引可能な情報であるはずです。

こんな事は、自衛隊で宇宙関連もしくは弾道ミサイル防衛関連の業務に就いた人間なら、簡単に分かる話です。
しかし、内局やさらに上の政府関係者は、自衛官の話ぐらいでは納得しないのでしょう。
そのために、宇宙状況監視システムの導入可能性調査としてNORADへの出張・情報収集で1000万を使い、衛星防護の在り方に関する調査研究として、部外シンクタンクに2000万でレポートを書かせるという所ではないかと思います。
ムダも良いところです。

以前の早期警戒衛星の独自取得も、政治家がらみでした。
その後、話は出てきませんので、独自取得は無理があるとのことで説得できたようですが、今度は宇宙状況監視システムでも同じような構図が出来てしまっているのかもしれません。
企業の利権や、政治家との関係もあるのでしょう。

宇宙状況監視、及びそれによって、情報収集衛星の軌道変更を行い、攻撃を回避する衛星の抗たん化施策は必要です。
アメリカのシステムを利用及びそれに対する情報提供をするとなれば、集団的自衛権の問題も関係するでしょうが、やらなければならないことははっきりしています。
ムダな金を使うだけでなく、調査研究に1年もかける間に、さっさとアメリカとの協議を進めて、実際の抗たん化施策を講じるべきです。

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2014年1月15日 (水)

都民はグリーン電力ならぬ脱原発電力を

脱原発が都知事選の主要論点になっています。

都内には原発がなく、今後も建造計画などないにも関わらず。

となれば、もし東京が脱原発を宣言するなら、純粋に電気の消費者でしかない都民に可能な行動は不買運動しかありません。
つまり、原発で作られた電気の不買運動です。

”そんな事は出来るはずがない”と思う方も多いでしょうが、実際にそれに近いものは現存します。
それはグリーン電力です。
グリーン電力入門

グリーン電力は、風力、太陽光、バイオマス、マイクロ水力、地熱などの自然エネルギーによって作られた電力を購入する制度です。
実際に送電される電気を選べる訳ではないのですが、自然エネルギーの発電が高コストであるため、グリーン電力を通常よりも高い金額で購入し、その費用を自然エネルギーのコスト分に充当して、自然エネルギーの発電比率を高めようという制度です。

脱原発を東京都民が実現するなら、東電にこれと同様の制度を作らせれば良いのです。

脱原発を図るなら、現状では火力に頼るしかありません。結果、燃料費の高騰で、電気料金が値上げされていることは、誰もが実感していることでしょう。

実際のコストがどの程度になるかまで試算できませんが、脱原発電力として、東京都民は、多少高い電気料を払って頂けば良いわけです。

脱原発が東京以外でも一般化し、原発の電力を誰も買わなくなれば、当然原発はなくなるでしょう。

電気代の値上げなんて、真っ平御免ですが……

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2014年1月18日 (土)

「黎明の笛」書籍化のお知らせ

突然ですが、お知らせします。
アマゾンのKDPサービスを利用して、電子書籍として販売している「黎明の笛」ですが、3月に某出版社から、改稿の上、紙の書籍として刊行されることが決まりました。

いろいろなからみもあるので、現段階では、これだけしかお伝えできないのですが、明かせるようになりましたら、当ブログ、ツイッター等で順次告知して参ります。

なお、書籍化の動きに合せて、今まで発売してきたKDPでの「黎明の笛」については、あとがきを修正した上で、書名を「黎明の笛 KDP版」と変更しております。
また、お値段の方も、500円に値上げさせて頂きました。大幅な値上げになるので、少々心苦しい所もあるのですが、作者としては、改稿したことで書籍版の方がグレードが上がったと自負しております。
それだけに、まだ読んで頂いていない方には、書籍版を手にとって頂きたいと思っておりますので、こちらは値上げに踏み切らせて頂きました。

1月18日現在、リンク上の書名・表紙画像が変わっていませんが、表紙にもKDP版表記を入れています。

実を言いますと、KDP版の出版を止めることも考えました。
ですが、KDPやパブーといった個人電子出版から出版社による商業出版という流れが出来つつあると思うので、これからそれ目指す人の参考になればと思い、当面KDP版の出版を継続することにしております。
ただし、いつまで続けるかは未定です。

とりあえず、お知らせ第1報です。
これからも書籍版「黎明の笛」の情報を順次発信してゆきます。
宜しくお願い致します。

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2014年1月20日 (月)

水陸両用戦機能の先祖返り_新防衛計画大綱等 その4

新大綱等に関して、メディアで盛んに話題になっていたのは、戦車の削減と並び、水陸両用戦能力についてです。
新大綱等における両用戦戦力として、中期防において、水陸両用車として52両の調達が盛り込まれています。明示はされていませんが、26年度の概算要求と合せ、事実上米海兵隊が使用するAAV7であると見られています。

両用戦能力は、何年も前から、噂されていた海兵隊化施策であり、尖閣を始めとした離島防衛を念頭に置いた施策であるため、注目されてしかるべきですが、報道では”対中国を鮮明にした”という程度にしか触れられていません。

と言う訳で、ここではもう少し突っ込んで、何故AAV7なのか、という点を考えて見たいと思います。

と、その前に、そもそもこのAAV7の導入が、陸自の海兵隊化と呼べるのか考えて見ましょう。(オスプレイの導入もありますが、ここでは置いておきます)
米海兵隊が使用する装備であるAAV7の導入によって、着上陸作戦を行うが故、海兵隊化と呼ばれている訳ですが、今まで、自衛隊が米海兵隊同様の着上陸機能を備えていなかったかと言えば、そんな事はありません。
過去にも、あつみ型、みうら型と言ったビーチング方式の輸送艦がありましたし、おおすみ型輸送艦が就役して以後は、LCACによる揚陸が可能でした。
この点から言えば、確かに両用戦機能の増強であることは確かですが、海兵隊化が今回初めて成される訳ではないのです。
しかも、近年続いているDDH増強による空からの兵力投入能力は増しているものの、着上陸を行う艦艇については、おおすみ型の増強が盛り込まれている訳でもありません。
(ただし、中期防に「水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇の在り方について検討の上、結論を得る」とあるため、次期中期防中には手当される可能性があります。)

それを踏まえた上で、気になる点は、AAV7の導入が、揚陸方式の先祖返りである点です。
普通、先祖返りするなら、それは陳腐化を意味し、戦力の低下になりかねないからです。

米海兵隊の揚陸方式は、大雑把に言うと、ビーチング方式の揚陸艦による方法から、AAV7のような水陸両用車両による方法に、そしてその後はLCACを用いる方法に変遷してきています。(この先では、更にヘリやオスプレイを使用する方法に変わりつつあります)

一方、日本では、アメリカほど両用戦機能が重視されてこなかった事から、長らくビーチング方式でしたが、1998年のおおすみ型輸送艦の就役により、水陸両用車両による方法をすっとばして、LCACによる方式に進化しました。
これは、おおすみ型輸送艦が就役する時点よりも早い1996年に、アメリカが後のEFV開発に発展するAAAV計画を開始したように、当時ですら、地対艦ミサイル等の発展により、AAV7のような低速で、浮航可能距離も短い水陸両用車両では、(母艦の危険性もあって)着上陸作戦が困難になっているという認識があったためです。

このようなトレンドがあるにも拘わらず、新大綱等で示された水陸両用戦機能を担う2本柱のうちの1本は、先祖返りと言えるAAV7の本格調達なのです。(もう1本の柱はオスプレイ)

新中期防では、AAV7が52両調達されることになっており、26年度から30年度の5年間にかけて、年間平均10両ペースで調達されることになりそうです。
防衛省が、最終的にどの程度のAAV7を調達しようとしているのかは分かりませんが、31年以降の次期中期防でも継続調達される可能性は高いように思われます。

なお、軍事評論家の清谷氏は、26年度の概算要求でAAV7(2両)の参考品取得を行いながら、その成果を待たずにAAV7の大量調達を決めることは間違っていると非難されていますが、参考品は購入の際の仕様決定の参考にされると考えれば、非難するほどの話ではないように思います。
航空機などは、参考品取得なしに機種決定される訳ですし。

本題に戻りましょう。
では、防衛省・陸幕は、なぜ先祖返りさせるとの結論に至ったのか、それが問題です。
答えは、はっきりとは分かりません。ですが、推測することは可能です。

可能性としては、おおすみ型及びLCACの増強では、海自の装備にしかならないという、幕間の縄張り争いという可能性、あるいは政治家の圧力という可能性もありますが、ここでは、先祖返りが合理性で選択されたとの前提で考えて見ます。

①対艦ミサイルの更なる発展により、LCACによる方法でも、母艦の安全が確保できなくなっている。
LCACは、積載時の行動距離が300マイル/35ノット(550km/65km/h)です。
片道という訳には行きませんから、母艦は着上陸地点から150マイル(270km)の位置でLCACを発進させられます。
しかし、中国が保有する対艦ミサイルは、陸上型に限定しても、クラブM(3M54E1)などは射程300kmに達します。大型のミサイルであるため、離島に持ち込まれるかという問題もありますが、艦載型の対艦ミサイルも長射程化しており、安全な水平線の彼方から発艦させることは困難になってきているという現状があります。

②LCACでは、小戦力の逐次投入にしかならない可能性がある。
前述の上陸地点から150マイルの位置から発艦する場合、LCACは母艦との往復に約9時間を要します。
LCACは、陸戦では最強の戦車も積めますが、LCAC1隻で、軽量の10式と言えども1両しか積めません。日本が保有するおおすみ型3隻、LCAC6隻を集中させたとしても、戦車6両強でしかない戦力を9時間にわたって孤立させなければならない訳です。

これに対して、AAV7を使用する場合は、母艦を海岸から数kmまで接近させなければならないため、母艦の安全を考慮し、海上優勢を確保しなければならないという条件が付きますが、おおすみ型1隻でも相当数のAAV7を搭載し、短時間で発艦させられると思われます。
おおすみ型のAAV7搭載能力については情報がありませんが、恐らく2隻もあれば、中期防調達の52両程度は、随伴歩兵を含めて積載・揚陸させられるのではないかと思われます。

この先祖返り決定に際して、陸自は近年の米海兵隊との共同訓練を通じて、AAV7のメリットデメリットを十分に認識して選択したでしょうし、新大綱等で示されたドクトリンの一つと言える航空優勢・海上優勢の確保を前提として、着上陸は、敵の対艦ミサイルの脅威を排除した上で、母艦を上陸地点に接近させて行うという方向を打ち出したものと思われます。

もちろん、LCACが無くなる訳ではなく、新大綱等で言われるシームレスな対応を行うため、敵の脅威に応じて、LCACによる方法でも、水陸両用車による方法でも、柔軟な対応を取れる方向、米海兵隊と同じ方向を目指したと言えるでしょう。

この方向が打ち出された理由の一つには、やはり統合があります。
航空優勢・海上優勢の確保が前提となる作戦ですから、統合なしには成り立ちません。
統合により、今まで目指すことの困難だった方向を目指すことが出来るようになったとも言えるのではないでしょうか。

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2014年1月22日 (水)

TV番組評「空飛ぶ広報室」

久々、どころか、過去記事を確認すると、なんと1年ぶりの書評・DVD評です。

お正月に、昨年TBSで放映された「空飛ぶ広報室」を見ました。


それと言うのも、アマゾンでインスタント・ビデオのサービスが始まり、わざわざ買ったり借りたりする手間なく、それどころか、ぬくぬくと布団から出ることさえなく、視聴できるようになったためでした。(何と言う自堕落)
という訳で、冒頭のリンクはインスタント・ビデオのリンクです。DVD、ブルーレイで見たいという方は、次のリンクでどうぞ。


で、問題の中身ですが、ドラマ放映時の評判通り、かなり良い出来です。
普通の視聴者の評価は、上のリンク先で、DVDのカスタマーレビュー(50件、平均4.9という非常な高評価)でも見て頂ければ分かると思いますので、ここでは元自衛官、創作者の端くれ目線で書いてみたいと思います。

自衛隊が、全面的に撮影協力したというだけあって、これだけ自衛隊施設内部、それも他の映像素材ではあまり注目されなかった部分まで、バッチリ写っている映像は、まずないでしょう。
飛行機関係なんかは当然ですが、1話でヘルメットを探すシーンなんかは、実際の災害派遣資材倉庫で撮ったのではないかと思われます。
空幕広報室自体は、多分撮影用のセットだと思いますが、廊下の作りなんかも実際の防衛省庁舎A棟内部に似せて作ってありますし、A棟及び市ヶ谷内で撮ったと思われるシーンも多数あります。

自衛官の肉声に迫っているという点では、原作の段階からして他とは一線を画していると思います(後述)し、空幕広報室が、自分達を描いたドラマとして、綿密にチェックしたでしょうから、違和感のある部分はほとんどありません。

ただし、1話の冒頭には物議を醸したシーンがありました。
新垣結衣が演じる主人公の稲葉リカの「戦闘機って人殺しのための機械」という発言に対して、綾野剛が演じる空井大祐二尉が「人を殺したいと思ったことなんて1度もありません!」と言って切れてしまったシーンです。
ドラマ放映後のネットでもちょっと話題になってました。

自衛隊を暴力装置と呼ぶ国会議員がいますし、こういう考えの人は、実際に居ます。マスコミには一般以上に多いでしょう。
右派が強いネット上では、このセリフでこのドラマ自体に反感を持った人も居たようです。

ですが、私が「ちょっとなぁ」と思ったのは、むしろ空井の発言の方です。
人を殺したくて自衛隊に入ってくるサイコパスは、ゼロとは言えませんが、ほぼ皆無です。
なぜなら、実際に人を殺した事などない訳ですし、これからもそうめったにはないでしょう。(なので、そんな人は自衛隊を辞めてフランスあたりの外人部隊に行ったりします。外人部隊に行く人全員がサイコパスではありませんが)
なので、ありえない話ではないのですが……

問題なのは、このセリフからは、空井が人を殺す覚悟も持っているようにも見えない点です。
自衛隊が、国防の任務を全うするためには、人を殺さなければならない状況が出る可能性が極めて高いにもかかわらず……
ただし、それもリアリティがないかと言えばそんな事はなく……実際、飛行機に乗りたいという動機だけで自衛隊に入ってくる人間も居るのが事実です。

しかし、自衛隊が平和のために存在してるのは事実ですが、人を殺す可能性がある事も事実で在りながら、それを忌避しているこのセリフには「ちょっとなぁ」と思えてしまう訳です。
ソフト路線で売りたい広報室としては、合っているのかもしれませんが、生身で戦闘せざるを得ない陸自普通科などの人からすれば、迷惑なセリフかもしれません。

ちょっと脱線気味になりましたが、このドラマが自衛官の肉声に迫っている理由は、原作の成立経緯にあるようです。
原作は、作者である有川浩氏が、思い立って書いたのではなく、なんと当時の空幕広報室長だった荒木正嗣1佐(当時、現浜松基地司令、空将補)が、自衛隊をモデルに小説を書かないかと持ちかけた事が発端だったそうです。
当然、空幕広報室を通じて綿密な取材を行ったようです。
そして、結果的に有川氏が作品の舞台として選んだ部隊は、実働部隊ではなく、有川氏が最も深く接触した空幕広報室だったというオチが付いた訳です。

有川氏としては、取材の調整をする中で、広報室の頑張りに感銘を受けた点があったみたいです。
それだけに、原作の段階で、リアルな自衛官の肉声に迫っていると言えます。
柚木3佐のエピソードなんかも、実際にあった話なんかがベースなのかもしれません。(女性自衛官に限らず、新米幹部がベテラン空曹とうまくやれないケースは、めずらしくもないので)

ドラマを実際に見た方は、”鷺坂室長のようなハジケた自衛官が居るのか?”と思うかもしれません。
ドラマは最近のドラマにありがちなちょっとコミカルな演出がされていますが、あの位のハジケて無茶をする自衛官は、(特に空自では)それほど珍しくありません。
私の感覚とすれば、”居るよ、こういう人”という感じです。

登場人物で、良い味出してるなと思ったのは、柴田恭兵演じるその鷺坂室長と、空井のサポートというか指導をするベテラン広報官比嘉1曹(ムロツヨシ)です。
この二人が挙げられると、作者である有川氏とすれば、あまり嬉しくないかもしれません。
と言うのも、この二人には、実際に空幕広報室にいたモデルが居たそうだからです。
鷺坂室長は、前述の荒木将補で、比嘉1曹は、空自広報の生き字引と言われるベテラン広報マンとのことです。
超売れっ子作家有坂氏と言えど、キャラを作るのは難しいということでしょうね。
(私などはもっと精進せねば)

物語全体は、ネタばれになるのであまり書きませんが、さすが有川氏の直木賞候補になった原作だけありますし、脚本も素晴らしいので、自衛隊に全く興味のない人でも、楽しめる内容です。

テレビで見逃した人は、必見です。

で、ここからはオマケです。
アマゾンのインスタント・ビデオですが、便利ですね。

huluとかもありますが、定額制のためか、空飛ぶ広報室のように新しい作品はないようです。
レンタルのDVDと比べると期間の割に、若干高いですが、わざわざ借りに行ったり返しに行ったりしなくても良い利便性の高さは魅力的です。
テレビアニメなんかは1話無料になってますから、動画を見る機会のある人は、検討してみたら良さそうです。

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2014年1月23日 (木)

安重根記念館に理解を示せ!

安重根記念館が作られたことで、日本政府を含め、これに反対する動きが多数あります。
安重根記念館 中韓連携に強く反論せよ」(産経新聞14年1月21日)

しかし、この不随意反射のような反対をする前に、良く考えてみれば、これはむしろチャンスだと気づくべきです。

ミソは、この記念館がソウルではなく、ハルビンに、中国によって設置されたことです。

従来、安重根は、中国にとって、触れたくない人物でした。
産経新聞も過去にはこのように書いています。(wikiから引用)

中華人民共和国では、安重根が「日本の首相経験者を暗殺した人物」として高い知名度を持っているが、中国政府は、安重根の評価は反日勢力を刺激し、国内の社会不安を増大させるとして、積極的な評価は行っていなかった。


中国にとって、安重根は、”反日の闘士”であるならば問題はありません。しかし、”民族自決の闘士”であるならば、存在を認める事はできない人物であるということです。

朝鮮民族は、韓国及び北朝鮮に大多数が居住していますが、中国内にも、吉林省の延辺朝鮮族自治州を中心として200万人が居住しているとされる他、北朝鮮からの難民も多数入っていると見られています。

延辺朝鮮族自治州も、漢民族の移住が進められたため、人口比率では漢民族の方が多い状況ですが、朝鮮族自治州となっているとおり、歴史的にも漢民族の土地ではありません。

このような状況にあって、”民族自決の闘士”が評価されれば、ウイグルやチベットにも民族自決の炎が燃え上がりかねません。

この安重根記念館の設立は、中国にとって宣伝戦の一つです。ですから、守るだけではなく、反撃することも可能です。
この宣伝戦で掲げられている剣は、諸刃の剣だからです。一歩誤れば、自分を傷付ける剣なのです。

日本とすれば、これを利用することができます。
安重根記念館に、そして安重根自身に理解を示すべきです。抗日の闘士ではなく、民族自決の闘士として。

人殺しは評価できませんが、チベット独立運動の象徴であるダライラマや東トルキスタン(ウイグル)独立運動でのラビア・カーディルと並べて評価・理解を示すことで、中国に揺さぶりをかけることができます。

戦闘の推移次第では、一旦は設置した安重根記念館を閉館ないしは撤去するかもしれません。
そうなれば、中韓関係にも楔を打てたことになるでしょう。

日本政府としては、過去に殺人罪で罪に処した以上、表立って肯定的な評価はできないかもしれません。
官房長官がテロリストと評したことに関して、ここで書いたような配慮があるなら、評価するとの向きもありますが、恐らく単純に反発しただけでしょう。
安重根を「テロリスト」とする意義

ですが、マスコミを含めた民間レベルなら、自由にモノが言えます。

安重根を非難しようが評価しようが、今更、日韓関係には大した影響はありません。
ですが、反日の闘士ではなく、朝鮮民族自決のために戦った闘士としてイメージ戦略を行うことで、対中国では、攻めの宣伝戦ができます。

官房長官も、いっそのこと、次のように言い直したら良いのです。
「テロは評価できない。だが、ダライラマやラビア・カーディルのように、民族自決のために命をかけて戦った事には理解を示したい」

中国がなんとコメントするか見物です。

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2014年1月25日 (土)

「黎明の笛」書籍化の詳細と個人出版からの書籍化の動き

先日お知らせした書籍化の詳細についてお知らせします。

発売日は
3月12日(水)
単行本(並製)で、価格は税込みで
1470円です。
発行は
祥伝社。第146回直木賞受賞作の「蜩ノ記」やマンガですと「うさぎドロップ」なんかを出している出版社さんです。

予約は2月12日頃から始まる見込みです。
宜しくお願い致します。

書籍化情報については以上です。
さて、ネットの普及に伴い、小説家になろう等の小説公開サイトから書籍化されたり、携帯小説が書籍化されたり、はたまた2chの記事が書籍化された電車男なんて動きもありました。

その中で、一昨年から、パブーやBCCKS等の電子書籍の個人出版に、アマゾンがKDPとして参入してからは、この個人出版から書籍化されるという動きが出ています。

その筆頭は、何と言っても藤井大洋氏による「Gene Mapper」です。
アマゾンがKDPサービスを始めるよりも早く、自ら特設販売サイトを作って直接販売他、コボ等で販売開始されるや、話題をさらった作品です。
当ブログでも、過去に書評を書いてます。
書評「Gene Mapper」

現在早川書房による書籍版とオリジナル版が併売されています。
書籍版

オリジナル版


続いて、書籍化されたのが、梅原涼氏の「お前たちの中に鬼がいる」です。
こちらは、オリジナルのKDP版が販売中止になったため、現在は、主婦の友社による書籍版のみが販売されています。


もっとも最近書籍化されたのは、十市社氏の「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」です。
こちらは、まだ書籍版が予約が可能な状態になっているだけで、まだ発刊はされていません。ただし、アマゾンでは電子版が先行販売されています。
書籍版

オリジナル版

「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」のオリジナル版は、上下2巻の分冊で、上巻が安く、下巻をそれなりの価格に設定するという、売り方もちょっと変わっていました。

これからもこの動きが続くのはかははっきりしませんが、個人出版の作家が団体を作るなど、電子書籍の一般化と歩みを合わせるようにして、個人出版自体が活性化しつつあります。
独立作家連盟

物書きの一人として、良い作品が世の中に広まることはうれしく思います。
価値の多様化が叫ばれ、さまざまな娯楽がありますが、本はまだまだ死にません。

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2014年1月29日 (水)

普天間移設は沖縄県知事の辞任・選挙に委ねよ!

普天間移設のカギとなる名護市長選挙は、移設反対を唱える稲嶺氏が当選しました。
ここで、移設を容認する末松氏が当選していれば、今後の動きはスムーズに進むところでしたが、状況は、依然として不透明と言わざるを得ません。

知事が移設を容認する姿勢になったため、政府は移設を強硬に進めるかもしれませんが、その一方で、政府(防衛)関係者も、いい加減、嫌気がさし、動きが停滞する可能性もあります。

この問題を、今後どう進めるかについては、断固推進すべしという意見と、移設を見直すべきとの意見に、世論も大きく対立しています。
私は、普天間への移設自体は推進すべきだと考えていますが、そのためには、むしろ移設反対派が唱える仲井眞沖縄県知事の辞任と選挙を行うべきだと思っています。

政府が移設を強行すれば、例え移設ができたとしても、名護市民には遺恨が残ります。
移転した海兵隊部隊と地元住民、あるいは賛成派住民と反対派住民との間でも、問題が発生するかもしれません。

これを回避するためには、何とか名護市民を説得し、その上で移設を推進しないといけません。
そのためには、まず政府(ヤマトンチュウ)対名護市民(ウチナンチュウ)という対立の図式を、沖縄県民(ウチナンチュウ)対名護市民(ウチナンチュウ)という説得のできる図式に切り替えることです。

具体的方策が県知事選挙です。仲井眞知事が再選を目指すのか、あるいは別の候補が立っても構いませんが、今回の名護市長選のように、普天間移設を争点とした知事選挙が行われ、沖縄県民の総意として、名護への移設が支持されれば、沖縄県民(知事)が名護市民(市長)を説得することも可能でしょう。
その際、政府としては、ここで移設推進派が敗北した際には、移設を断念し、普天間の固定化に繋がることを匂わせておくことも必要です。

そもそも、今回の名護市長選の移設推進派の敗北は、仲井眞知事が粘りすぎたためです。
もっと早い段階で、仲井眞知事が移設を容認し、説得を図っていれば、結果は違っていた可能性も十分にあったでしょう。
ですので、仲井眞知事に、もう少し骨を折ってもらいたいところです。

知事選挙で、反対派が勝つ可能性もありますが、その場合については、実際に、移設を断念し、政府としてアメリカに頭を下げるしかないでしょう。
地位協定の見直しや沖縄県南部の基地閉鎖等、安倍政権が行おうとしていた日米の防衛関係の懸案は、多くが白紙に戻さざるを得ないでしょうが、沖縄の要望で始まった普天間移設が頓挫するのであれば、納得するしかありません。
防衛の観点だけから言えば、別に移設をしなければならない理由は何もありません。普天間を使い続けられればOKです。

沖縄メディアの主張は、県外移設ですが、それが(軍事的に)妥当でないことは、過去記事「普天間の代替候補地条件」で書いた通りです。
細部は、過去記事を見て頂きたいところですが、最も重要なのは、米(空)軍が、嘉手納の代替飛行場を必要としている点です。
なお、米海兵隊は、以前から普天間移設の際の位置に関して80km以内という条件を出しています(ソースをググったが見つかりませんでした。ブログ等での記載はあり)が、これも、やはり軍事的な観点からの条件です。

しかしながら、軍事的妥当性に関して、森元前防衛大臣の発言を根拠として、疑問を呈する人もいると思われます。
参考過去記事「最後に失言を残し自民党政権の足を引っ張る森本前防衛相

森元前防衛大臣は、「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と述べています。
軍事的な妥当性については、私とは見解の相違がありますが、政治的に沖縄沖縄が最適との意見には付言が必要です。

前掲過去記事でも触れたように、沖縄メディアは、森元前防衛大臣の発言を「沖縄以外の場所には強制できないが、沖縄ならそれができる」として、日本の内政問題として、基地を押しつけることができるという意味に捉えています。

しかし、この発言は別の意味だったと見るべきです。
過去記事「在沖海兵隊の意義_沖縄県民は無知なのか?」でも言及していますが、海兵隊を沖縄に駐留させる最大の意義は、アメリカの台湾に対するコミットメント、つまり、アメリカは台湾を防衛する、中国が侵攻する際には、台湾にとって人質ともなる海兵隊員を送り込む、という政治的メッセージです。
この意味で、「政治的に考えると沖縄が最適」と言えるのです。

以上のことから、移設賛成派が勝てば、沖縄県(知事)として、名護を説得し、移設を推進してもらえば良いし、移設反対派が勝てば、移設を断念して、普天間をこのまま使い続ければ良いのです。

防衛の観点からすれば、どちらに転んでも構いません。
ですから、知事には後残り少ない任期を全うするのではなく、県民の信を問うという意味で、辞任の上、選挙を行うべきです。

しかし、この問題のそもそもの発端は、移設を求めた沖縄県民の意志です。
できれば、移設賛成派が勝って、普天間周辺住民の希望を反映した形で決着することがベストだと思います。
移設ができれば、地位協定等、他の懸案も進めやすくなります。

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2014年1月31日 (金)

小説家デビューへの新たな道?_個人出版→商業出版を検証

先日、「黎明の笛」書籍化の告知をした際、2chに立ったスレのタイトルが「小説新人賞へ投稿するのはもう古い? 元航空自衛隊幹部がAmazon個人電子出版から4人目のプロデビュー」でした。

誰が付けたのか、出版業界に足を踏み入れた人間としても興味深かったので、ちょっと検証してみることにしました。
(作業が大変でした!)

アマゾンがKDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)を開始して以後、同サービスで話題になり書籍が出版されたケースとしては、「黎明の笛」で3例目になります。
KDPスタート以前に、販売サイトまで作って電子書籍の個人出版を始めた藤井大洋氏の「Gene Mapper」を含めれば、個人出版→商業出版では4例があることになります。

では果たしてこの4例というのが、小説新人賞と比べて多いのか少ないのかが検証課題です。

しかし、クオリティはともかく、一定の分量を満たしていないと応募受付もしてもらえない小説新人賞と比べ、個人出版は極端な玉石混交です。
わずか数ページしかない作品も、ちゃんと値段が付けられて売られている事もあります。
また、個人出版された本の総数を把握することも困難です。

ですので、一定の判断基準として、KDP開始直後に開設され、電子書籍の個人出版レビューを行っている「つんどく速報」さんにレビューが掲載されたものから、実用、マンガ、エッセイ等は除外して、小説だけをピックアップしてみました。
なお、短編集も入れていますが、同一著者によるものだけで、アンソロジーは含めていません。
また、LINEノベルも除外しています。

ナンバーは掲載順で、ナンバーが小さいもの程、(概ね)早い時期にリリースされた作品、タイトルが青字のものは、書籍化作品になります。

001 ★4 未来少女ミウ
002 ★4 夏は暗殺の季節
003 ★4 おかえりください
004 ★4 残念な聖戦
005 ★4 セックス公務員ケン 秋田編
006 ★4 Gene Mapper
007 ★3 絶対すくみず黙示録
008 ★3 「おまえはスーパーモデルを目指せ!」なんて、よくもそんな残酷なことが言えたわね
009 ★3 Campus Notes - Loose Leaves -
010 ★4 Pの刺激 - Punk is UNknown Kicks -
011 ★3 わたしの物語
012 ★3 まほろば
013 ★3 架空サークルのつくりかた
014 ★5 黎明の笛
015 ★3 コルキータ
016 ★4 セックス侍・忠臣蔵 ~大石内蔵助と47手~
017 ★4 幻術記──修験者、密教僧、陰陽師たち呪術者の験力・法力比べ
018 ★3 トラベラーズ
019 ★4 440Hz
020 ★3 王殺し
021 ★3 demi
022 ★4 POSTMAN!!(1):ア・ノーブル・ウーマン
023 ★4 りらりらん
024 ★4 ノウチラスの黒猫
025 ★4 関東心霊庁除霊局/自走式人形お春改
026 ★4 東京エスカレーターガール
027 ★4 天の種
028 ★4 DISTANCE
029 ★4 追憶のシャーロック・ホームズ-ワトスン博士最後の告白-
030 ★3 そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ
031 ★3 コンビニの戦士達
032 ★3 メカねこと空気入れ
033 ★4 百物語 弐千壱年
034 ★3 大東京共和国の一日
035 ★5 マヨネーズ
036 ★3 ツリーチルドレン
037 ★3 超神記
038 ★4 酒を飲む酒
039 ★3 農魂ライダーは爆走する! ~農大王道青春物語~
040 ★3 彼女のための幽霊
041 ★4 宇治見陽介の眼
042 ★5 来たるべき日曜日
043 ★4 憂春の光芒
044 ★4 村まつり
045 ★4 ナル NULL
046 ★3 箱入り魔王
047 ★4 殺人★こみゅにけいしょん
048 ★3 全ての輝けるもの
049 ★4 架空の歴史ノート-1 帝国史 分裂大戦編
050 ★5 
ゴースト≠ノイズ(リダクション)
051 ★3 正吾と冴の物語Ⅰ
052 ★4 頸折れ人形考
053 ★4 俺は絶対悪くない
054 ★3 魔法中年っ!
055 ★3 苦き泡
056 ★4 二人家康
057 ★4 藍の炸裂
058 ★3 絶滅!? SF研の死闘
059 ★3 サクラ戦線異状アリ!?
060 ★4 
お前たちの中に鬼がいる
061 ★4 我が名は魔性
062 ★3 ノワールの旋律
063 ★4 コンビニの戦士達 本篇
064 ★4 流しのミニヨン・レーサー北川【第一部】
065 ★4 暴女桜子さんはラノベの読みすぎです (佐々木家は順調に病み続けます)
066 ★4 魔王「私に勝てたらエッチなことしていいぞ」勇者「よし」
067 ★4 ナイト=ゴーント
068 ★5 ゆっくりとオレンジが潰れる
069 ★3 落語り帳 春寄席
070 ★5 関東心霊庁除霊局/自走式人形お夏MK2
071 ★4 光速文芸部
072 ★5 仮面騎士
073 ★4 Testament ‐テスタメント‐
074 ★4 そして、世界は静寂を迎える
075 ★4 笑いたい奴こっち来い!
076 ★3 デイトレ探偵 エピソード1 犬に訊け
077 ★5 鋼牙 / 試製一〇式装甲歩行機開発記
078 ★4 俺の棒銀と女王の穴熊〈1〉
079 ★4 夕餉を買いに / それから、蓮見先生は (京都詭弁案内)
080 ★4 見ざル、聞かざ流、言わざ瑠 ニュー・ワールズ・エンド
081 ★4 真夜中ラーメン同盟
082 ★4 Point Kill G
083 ★4 シャンバラの住人
084 ★4 飽食戦線ガダルカナル
085 ★5 ナイン・ストーリース? ー球児九人夏物語ー
086 ★4 幻覚少女
087 ★4 ドアノッカー
088 ★5 440Hz -1978-
089 ★4 最後の夏山
090 ★4 煉獄街
091 ★4 潜入日記 The Diary of an Undercover Detective
092 ★4 よいこの有害図書
093 ★4 空白からの手紙
094 ★4 人類を養殖している生物がいる
095 ★4 LeLeLa
096 ★4 弾道
097 ★4 除妖師
098 ★4 いとしの小さな殺人鬼
099 ★5 ある文章の告発
100 ★4 機密符牒
101 ★4 13匹目のバナナフィッシュ
102 ★4 緑眼魔女の事件簿 テロリズム・イン・チベット
103 ★4 三毛猫のものさし a rule of Mi-ke
104 ★5 白く汚れて冷たく綺麗な
105 ★4 こくいきさん
106 ★3 彼女はウワバミ
107 ★4 僕のセイシュンの三、四日
108 ★4 リーディング・ナイフ
109 ★4 美少女キケン 薬科大生の甘い毒蜜
110 ★3 むささびレディは君のために翔ぶ
111 ★3 悪兄!!
112 ★4 プロミス・リング
113 ★4 サマータイムリバース
114 ★4 歳と一
115 ★4 わたしと!あなたの?声春ラジオ!?
116 ★4 東京フラッパーガール 1
117 ★4 すけかの。
118 ★4 法律事務所×家事手伝い 1 不動正義と最初のスイーツ
119 ★4 舟崎 泉美 短編集「夜桜」
120 ★4 蒲生田岬~夕方午後五時の彼氏~
121 ★5 写楽事件帖もどった男
122 ★3 ヒトとキ (ヒトトキ)
123 ★4 僕は小説家
124 ★3 走れ、エロス!
125 ★4 愛を下さい
126 ★4 ゴールド市民カードをお持ちですか
127 ★4 疎外
128 ★4 クレイフィッシュ/ブルー
129 ★4 イタコに首ったけ!
130 ★4 デイズ・オヴ・ホミサイド
131 ★4 強請屋ドットコム
132 ★5 メインディッシュはあなたに
133 ★4 血を研ぐ
134 ★4 夜の半分
135 ★3 まちる通りの殺人

総数135作品、★5段階評価ですが、サイトのトップにもあるとおり、面白かったものしか載せてないとのことなので、★3以上のものばかりになっています。

作品点数と書籍化点数を見てみれば、33.75点に1点が書籍化されている事になりますから、非常な高確率だと言えます。
もちろん、個人出版された書籍全部が網羅されている訳ではありませんが、小説新人賞と比べれば、かなりの確率だと言えます。

小説新人賞の場合、一般小説では応募総数は200台から2000程度、平均すると700程度のようです。その中から受賞・書籍化されるのは1点か2点ですから、2点書籍化としても、1点あたりの応募総数は350にもなります。
ライトノベルに至っては、応募総数は2000から6000程度。受賞・書籍化も数点になりますが、一般小説以上に狭き門です。

なお、リストをずらっと流してみれば分かるとおり、今まで書籍化されている作品は、リストの前半に偏っています。
私もそうでしたが、書籍化の情報を出せるようになるまでは、それなりに時間がかかります。
なので、このリストには、まだ情報が出ていないだけで、書籍化の動きがある作品が他にも含まれているかも知れません。

もちろん、書籍化点数だけをもって、個人出版が良いとは言えません。
最大の違いは、○○賞受賞作という肩書きと話題性です。
個人出版の場合も、最初の事例だった「Gene Mapper」は、初事例という事で話題になりましたが、4例目ともなると、珍しい事でもなくなってしまいました。

その分、個人出版の場合、プロモーションを自分で頑張らなければなりません。
私の場合は、以前からこのブログを書いてましたから、これが使えましたし、SNSを使う方は多いようです。
また、自力以上に前述の「つんどく速報」さんや「きんどるどうでしょう」さんのように個人出版を積極的に紹介してくれるサイトもあります。

が、○○賞受賞作という肩書きには遠く及ばないのが実情でしょう。

翻って、出版社サイドの事情を考えて見ます。
出版社とすれば、新人発掘は新規仕入れ先の開拓ですから、商売をしようと思ったら欠かすことはできません。

しかし、そのために小説賞を運営するとなったら、多大なコストがかかります。
具体的な金額は分かりませんが、最終審査をお願いする評論家や著名作家さんにはそれなりの数を読んでもらう訳ですし、2次選考では出版社の編集者さんが相当の時間を費やしているはずです。1次選考などの下読みと呼ばれる選考段階では、多くの場合バイトみたいですが、相応の人手が要ります。
応募総数が4桁もあったら、事務経費だけでもバカにはできません。

それを考えれば、アマゾンのレビューやあちこちの書評サイトで一般読者の評判が確認できる訳ですから、コストをかけずに新規仕入れ先の開拓ができることになります。
作者への連絡も、大抵はSNS等でなんとかなります。
書籍化された事例の内、唯一「お前たちの中に鬼がいる」の梅原涼氏だけは、SNS等も一切やっておらず、編集の方に聞いたところによると業界内でもナゾの動きだったようですが、出版社から打診を受けたアマゾン自身が梅原氏に連絡を取り、両者を取り持ったということですから、アマゾン自体も書籍化を後押ししているのでしょう。

作家デビューを目指す者にとって、個人出版は悪くない選択だと思うのですが、大量の小説新人賞への応募と比べて、個人出版の事例は、私が予想よりもかなり少ないです。

その最大の理由は、やはり小説を書くだけに留まらない電子書籍を作る上での苦労でしょう。
ePubなどの電子書籍フォーマット知識も必要ですし、手にとってもらおうと思ったら、表紙もそれなりのモノを用意しないとなりません。

それらを、自分一人でこなすのは、正直言って困難です。
「Gene Mapper」の藤井氏のように、書く以外は、全て仕事として経験済みだったなんて人でなければ、小説を書く以上の苦労をしないと出来ません。
私の場合も、フォーマット形式に付いては、アマゾンから不備を指摘するメールをもらってます(未だに放置)し、表紙については、途中からプロの方に手伝ってもらっています。
また、校正も、自分だけでは問題を潰しきらないので、プロの方にお願いしました。
今なら、電子書籍フォーマットについては、BCCKSやパブーのようなサービスを使う方が、手軽に良いものが出来ると思います。

加えて、個人出版の場合、盛大なdisりがある事もあり、著者としては”怖い”という点も大きいと思います。

また、KDPの場合、アマゾンがアメリカ企業であり、KDPについては消費者に対するサービスというより、一つの取引先と考えているためなのか、アメリカでの課税を含め、あまり親切とは言えません。
しかし、これに関しても、今なら日本の電子書籍サービスからの配信を使えば、回避できます。(現在これを行っているのはパブーだけのもよう)

と、個人出版→商業出版については、出版社サイドで手がかからない分、確率的には高そうですが、反面苦労も多く、執筆者にとっては良し悪しで、自分のスキルに合わせて選択することが良さそうです。

そんな訳で、「小説新人賞へ投稿するのはもう古い?」とは言えないものの、新たな道だろうというのが結論です。

なお、アメリカでは、個人出版だけで作家として食べていける人も多数でている状況ですが、日本では、まだまだアメリカのようにはならないでしょう。

私自身も、紙の方が好きですし。

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