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« 中国による尖閣上空への防空識別圏設定の意味と対策 | トップページ | 最早ジャーナリズムではない沖縄メディア »

2013年12月 1日 (日)

小笠原諸島方面への防空識別圏拡大

日本の防空識別圏(ADIZ)には穴があります。
与那国の西側半分がADIZ外だった問題は、2010年に改善されていますが、竹島と北方領土は、領土問題と現状に照らし合わせて、ADIZから外されています。
が、問題はこの2カ所だけではありません。
小笠原諸島もADIZ外なのです。

日本の防空識別圏、小笠原まで拡大検討…防衛省」(読売新聞13年11月27日)

 小笠原の上空は、他国の航空機による領空侵犯の恐れが低いため防空識別圏を設定していなかった。中国が東シナ海に防空識別圏を設定したことをきっかけに、政府・自民党内で小笠原への範囲拡大を求める声が強まった。


主旨は分かります。
主権をしっかり主張して行くのは良いことです。

ですが、現場(自衛隊)を考えると、今頃航空自衛隊内では「どうせいっちゅうねん」と言われているように思います。

 防衛省は、周辺の自衛隊基地に緊急発進(スクランブル)のための戦闘機部隊の配置も検討。範囲拡大の時期は、中国を刺激しないよう慎重に検討する。防空識別圏は防衛省訓令で設定しており、法改正は必要ない。


周辺の自衛隊基地と言えば、硫黄島しかないでしょう。
恐らく常駐させるのではなく、太平洋方面に中国艦艇が進出した場合のみの措置でしょうが、だとしてもかなり大変なことです。

そして、さらに大変なのはスクランブルを行う戦闘機ではなく、監視の方です。

小笠原方面を見る事の出来る警戒監視レーダーは、千葉にある峯岡山と静岡の御前崎にあります。
これらのレーダーの捜索範囲は秘密ですが、基本的に地上のレーダーサイトの最大捜索範囲は400km程度です。と言うのも、地球の曲率のため、これ以上の捜索範囲があっても、通常の航空機の飛べない超高空しか見えないためです。
また、警戒管制レーダーではなく、航空管制用のレーダーが硫黄島にありますが、航空管制用レーダーは、主に出力の限界によりそれほど広い範囲は見えません。(航空管制用にはそれほど広い範囲が見える必要性がないため、出力の低いレーダーを置いている)
この航空管制用レーダーの捜索範囲も秘密ですので、これを仮に100kmとして、小笠原方面のレーダー覆域を図にしてみます。
(レーダー設置高度がそれぞれ違いますが、面倒なので統一して100mで計算)
Photo
警戒管制用レーダーについては、中央の円が高度1000m以上を、中間の円が高度6000m以上を監視できる範囲、外側の円が監視の限界である400kmの線とし、航空管制用レーダーは監視限界100kmとして描いています。

一目で分かるとおり、穴だらけというか、監視できる範囲など一部に過ぎないと分かるでしょう。
(この他にも国交省の航空管制用レーダーが空港のある島にはありますが、やはり狭い範囲です)
特に、中国艦の艦載機によって領空侵犯される恐れの高い沖ノ鳥島などは、次の図のような位置関係ですから、地上レーダーでの監視など、できるはずもありません。
Ryokai_setsuzoku2
海保のHPより

実効性のある監視を行うためには、ここでもAWACSが必要ということになりますが、保有機が少なく、ロードは過大になります。

警戒すべきは、前述の通り、中国艦の艦載機ですから、中国艦隊が太平洋側に進出する際には、海自護衛艦に貼り付いてもらい、レーダーピケット艦として運用してもらわないと、実態的な監視は不可能でしょう。
以前の記事でも書きましたが、レーダーピケットだけでなく、対領侵措置まで海自艦に行ってもらう方が適切かも知れません。

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領域警備」カテゴリの記事

コメント

E-737を新たに導入~なんて話も出ていますね。

防衛省、中国の動き受け警戒機など増強へ
http://news24.jp/articles/2013/11/29/04241199.html

先の、中国の演習海域に海自の護衛艦が繰り返し侵入云々のニュースがまさにそういう事なんでしょうね

ところで監視対象の中国艦隊に空母が存在する場合は、レーダーピケット担当の護衛艦に護衛の戦闘機とAWACSと空中給油機を張り付ける事になるんでしょうか?
それこそ空自としては「どうせいっちゅうねん」という無理難題になるんだろうと思いますが

レーダーピケット艦に対する中国艦載機の嫌がらせは執拗を極めるであろうと予想されますし
空母艦載機であれば、レーダーピケット艦の捜索範囲を迂回して領空侵入を謀る事も可能でしょうから
空母に対する非対称戦術的に、この場合はどう対処するべきなのか気になるので

日本酒命さま

>中華空母太平洋側の侵入

同様の事を心配される方は多いですが、実のところ、太平洋側というか沖縄より東側の海空域は日米が掌握しなおかつ、中国が自由に出来る飛行場一つないエリアです。

中国が空母艦隊を建設して公海上を自由に行き来するのは自由ですが、皆さんが思うほど「でかい面」して太平洋日本近海で活動するのは難しいですよ。米海軍の空母機動艦隊ですら、そこまで自由にやってません。例えば艦載機の緊急着陸飛行場等周辺同盟国と綿密に調整して運用している訳で、太平洋に出たら、孤立する中国の艦船は、でかい面するに至らないのが本当の所です。

例えば米空母が効率的に運用されるためには、陸上基地発進の固定翼哨戒機が情報ッ収集の支援に当たる訳ですが、太平洋に出た中華海軍はその支援の当てすらありません・・・・・

まあ中国が、がんばって本格空母を作り、太平洋に出るようになったら常時は難しいですので、その時だけ特別待機をするようにすべきでしょう(護衛艦・哨戒機24時間貼り付け・戦闘機特別待機)。

ただし陸自を削減して海空に人員を回す必要はありますが。

海燕 様

ありがとうございます
なるほど、納得いたしました
多少の無理が必要とは言え、むしろ日米側から、有利な立場での執拗な監視が可能であるという事ですね

>>例えば艦載機の緊急着陸飛行場等周辺同盟国と綿密に調整して運用している訳で・・・
言われてみればその通りですね。太平洋上に空母1艦では何かあった時に凄く困りそうです

数多様

「どうせいっちゅうねん」、ごもっともです。

列島に沿って、レーダーを配置できないか、考えてみました。

ゼロベースで、まずは地図を見ながら、いろいろ調べたのですが、伊豆諸島、豆南諸島、小笠原群島、その南西の硫黄列島と続くわけですが、なんといっても、豆南諸島にまともな島がないですね。ほとんどは巨大な岩であり、鳥島だけが島らしい島(豆南諸島、非常に面白いですね...)。

結局、レーダーをおけそうな島は、北から、八丈島 or 青ヶ島*/鳥島*/父島/硫黄島*といった感じでしょうか(他に南大東島、沖ノ鳥島、南鳥島)。しかし「*」をつけた島は全て活火山。高価な固定式のレーダーをおくことは難しい。。。

噴火したら諦める前提で、「はたかぜ」型のOPS-11C (400 km見えるらしい)を再利用して、鳥島(or青ヶ島)と硫黄島に設置するくらいしか思いつかないですね。ただ、鳥島は特に山頂付近は火山が危険なので、青ヶ島の方が良いかも。

実際にはおっしゃるように、海自の護衛艦でレーダーピケットをするか、P1哨戒機の対空監視モードでカバーするのが良いのでしょう。

しかし、より将来に備えて、すこし調べ始めても良いかもしれません。航空機での監視をメインにするとしても、中国が航続距離の長い哨戒機を頻繁に運用するようになると、地上アンテナのほうが楽ですから。駐屯地の確保や人員、そのコストが問題ですから、航空機+艦艇作戦の場合との比較が重要になるでしょう。でもまあ、「青ヶ島と硫黄島」の2カ所は、あっても良いかもしれないと思います。

確か10年~15年以上位の昔の話ですが、硫黄島に超水平線レーダーを配備することが検討されましたが、アンテナが硫黄島の自然環境により腐食される為にそぐわないとの事で断念されましたね。

名無しX 様
増やすこと自体には賛成ですが、E-2C後継の話が誤報されているだけかもしれません。

日本酒命 様
海自は、上空の監視という意味だけでなく、中国の演習状況を調べていますね。

空母が存在する場合も、平時の話ですから特に護衛は必要ないでしょう。
領域警備の警察行動ですから。
対領侵を踏まえて行動する場合は、沖ノ鳥島等の領空存在エリアの近辺で遊弋するというような動きになるのではないかと思います。

海燕 様
中国空母が太平洋側でデカイ面するのは、沖縄を占領してからでしょうね。

ドナルド 様
固定レーダーの設置は、コストパフォーマンス的に無理があると思います。
ご指摘の通り、火山島は、噴火のリスクもありますし。
作るとしたら、硫黄島くらいでしょう。

P-1の活用は、私も考えました。
これに付いては、別に記事を書くかもしれません。

アシナガバチ 様
硫黄島にOTHレーダーという情報は、私も知りませんでした。
腐食の問題は、あの島に各種施設が実際にあることを考えれば、良い訳のような気がします。
OTHレーダーを、警戒管制レーダー代わりに使う事自体に無理があると思います。

数多様

レスありがとうございます。

>固定レーダーの設置は、コストパフォーマンス的に無理があると思います。

以下の条件では、地上レーダーが実は最も安価かもしれませんが、いかがでしょう?

1:有事を考えない
2:2日に1回は、国籍不明機が飛んでくる状況=頻繁
3:国籍不明機は皆、足の長い哨戒機=レーダー断面積が大きい上に鈍足(3Dレーダー無しでF15を誘導しても対応できる)

この前提では、OPS-14級の2Dレーダーを警戒レーダー的に使用し、実質遠隔操作として、敷地管理要員だけの小さな駐屯地に配置するので十分ではないでしょうか?場所は、八丈島、父島、硫黄島、南大東島の4カ所に加え、可能なら、南鳥島、沖ノ鳥島も加えた6カ所。

P-1を毎日飛ばすのも膨大なマンパワーですし、本来の対戦哨戒任務に投入したい。

また、兵力が空白の八丈島や、南大東島に、曲がりなりにも駐屯地を整備することで、状況が悪化して来た時には、陸自を「警備用」として展開させることで、ゲリラ対策にもなるかと。(硫黄島、父島、南鳥島には自衛隊が既存。沖ノ鳥島も政府関係者が滞在するようになる予定)

「条件1」を考えれば、レーダーマストの基部を(適切な電磁遮蔽をした上で)、展望台として観光用に提供しても良い。島民とふれあう機会も増えるし、島の経済にも貢献するので、良い関係が築けるのでは?(有事に無力化されるのは仕方ないとする)。

まあ、展望台構想はダメとしても、とにかく島に貢献することで、なにか変わったこと(不法上陸とか)があった時に、気軽に相談できる「島の自衛隊さん」がいれば、いろいろな意味で、国防上、有効かと。。。

ただし、純粋に防空という観点では、現時点では「条件2」まで行っていないので、検討だけして、さらに可能なら土地だけ買っておいて、当面は展開しないので良いと思いますが。

気球型のレーダーを上げれば500kM位は監視できるのでは?
硫黄島に配備でしょうかねえ?2基ペアでさらに予備がもう一つあればいいねえ。

洋上監視は、海洋監視衛星を6基程度上げて日本沿岸全域を常時監視する計画が具体的に持ち上がっていたはずです。不審船や、密漁、救助にも使えるとの事だったと記憶。

ドナルド 様
固定レーダーは、そもそも有事を考えた装備ではないとさえ言われます。

それはさておき、無人のレーダーサイトを置くのは、一つの方法ではあります。
ですが、私はそれでもコストパフォーマンスが合うとは思いません。

最大の理由は、小笠原に領土問題がない以上、領空侵犯を見過ごしていても、領土主権で大きな問題になる訳ではないからです。
それに、無人であっても、維持するためにはかなりの労力が必要です。
陸自も、となると、なおさらですし。

小笠原だけ無防備だ、という声もあるかもしれませんが、固定レーダーは、そもそも低空は見えません。
ミグ機の亡命事案を見るまでもなく、低空で接近されたら、発見されることなく領空侵犯される土地など、日本中いくらでもあります。
脅威が低かったり、影響の少ない場所では、リスクも許容すべきだと思います。

軍事オタク 様
500km先の1万m以上の高度を監視するためには、気球を2000mもの上空に上げなければなりません。
それでさえも、1万m以下は見えないのですから、コストを考えたら悪すぎます。

洋上監視衛星は、航空機を追えるような代物ではないですね。

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