やっぱり陸自は反抗的?
先日の記事「陸自は組織防衛ではなく、日本の防衛を」で、陸自がトランスフォームに抵抗しているとは思わないと書いたのですが、こう言う事があると、やはり陸自は反抗的なのか?と思えてしまいます。
先日行われた観閲式において、安倍首相は次のように発言しました。
「防衛力はその存在だけで抑止力になるという従来の発想は完全に捨て去ってもらわねばならない」
この発言に対して、武力は行使しなければ意味がないという意味であり、戦争を肯定するトンデモ発言だ、などと言う的外れのコメントをする人もいますが、決してそんな意味ではありません。
これは、防衛力は、たとえ実効的でなくとも、存在するだけで抑止力として機能するため、有効であるという従来の発想をする人が、防衛省関係者、とりわけ、陸上自衛隊の観閲式で発言された言葉だと言うことを踏まえると、陸自関係者にいると言うことだろうと思います。
つまり、実効性のある防衛力に転換しようというトランスフォームの最中、従来型の抑止戦略から抜け出せず、トランスフォームに抵抗している勢力が陸自内にあり、首相発言はこれに釘を刺したものでは無いかと思われるのです。
そう考えると、防衛大臣の機動戦闘車視察も意味のある事のように思えてきます。
「大臣の陸上装備研究所(機動戦闘車)視察」(技本HP内ニュース)
まだ試作車が完成しただけの新型車両に防衛大臣自ら視察するのは異例の事でしょう。
それも火力演習の折に、ついでに視察するならまだしも、わざわざそのために技本をを訪れて視察したのですから、相当注目していると言うことです。
また、戦車を300両に削減するという報道は、機動戦闘車に対する大臣の注目以上に、この首相発言が、陸自に対する当てつけだったことの証左であるように思えます。
戦車教団の方々は、戦車の存在意義として抑止力を持ち出すことが多々あります。
この2chのスレタイなんかは象徴的です。
[第四世代]10式戦車スレ配備162号車[抑止力]
しかし、度々言及しているように、「防衛力の在り方検討に関する中間報告」でも、抑止力ではなく実効性を求める方向が打ち出されており、大綱の改正で、この方向が明確化される見込みです。
陸自関係者の中には、この抑止力よりも実効性という方針に意を唱え、戦車教団同様に戦車や火砲の削減に反対している勢力が居るのではないかと思われます。
しかし、首相がこれだけ明確な当てつけを言うのですから、12月の大綱改正は、戦車の削減等、思いの他、大胆なモノが打ち出されてくる可能性があります。
注目です。
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コメント
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元空自の方と認識していたので
タイミング的に中国のADIZ関連かと思ってたら戦車ネタだったので意表をつかれました
投稿: モンキー | 2013年11月23日 (土) 23時15分
>「防衛力はその存在だけで抑止力になるという従来の発想は完全に捨て去ってもらわねばならない」
えっと、これ位言っただけ既に犯人は陸自と、ですが?早計が、陸自への差別ではないでしょうが?
>武力は行使しなければ意味がないという意味
必ずしもこの意味と限らないですが、こう言う解釈も*あり得る*のは確かです。
元々動的防衛力の疲弊はそれだけではない。若し予算増長期でやるなら良いですが、今はやはり主に削減期です。的もなTransformは大量の金が要るので、今はTransformに向かない時期です。この為が、陸自の重装備は計画毎削減、事実上戦闘力は毎年ダウンしているの疑念が無い筈が有りません。それはもうちょっとActiveに部隊を動かすだけで補える物では有りません。だが、政府はこれをきちんと理解しているがどうかはとても疑問です。
>防衛力は、たとえ実効的でなくとも、存在するだけで抑止力として機能するため、有効であるという
正直、誰が「実効性が無いの抑止力は存在するだけ機能する」と言ったとは知りたいです。まあ、確かに基盤防衛力時代の自衛隊は兵站等を軽視した為、部隊の数等の割に機能しないも十分あり得る。ですが、これすら「実効的でなく」と差が有ります。(それに、動的防衛力に成ったからで兵站を大幅に強化等はあまり見えません。)
>首相発言はこれに釘を刺したものでは無いか
それは本当なら、やっていけない事です。確かに、軍は文民統制に従うべく、政府の決定に従うべきです。だが、防衛学は大事且つ複雑な学問で有り、意見に差が有るとは仕方がない事と想います。これを首相で釘を刺したとは論証や弁論の阻害です。防衛学の研究に莫大な悪影響を及ぼすに成りかねません。
偶政府の意見は貴方の物と近いからで、言論の自由の事実上な制限を支持する理由に成りません。
元々他国に比べて日本で論議はあんまり見えません。もし外国なら、動的防衛力に相当する新たなドクトリンを出す時必ずProceedingsやArmorやMilitary Review等で論されるですが、日本にはこんな雑誌あまり見えませんです。まあ、私が知らないだけかも知れんが…
>戦車教団
えっと、以前は「戦車増強論者」で今回は「戦車教団」ですが?
自衛隊は戦車の他に沢山な装備は必要だし、戦車の優先順位は必ずしも高いとは限らないですが、今回の比較対象は「機動戦闘車」ですから話は早いです。
あれこそ金の無駄使いです。確かに「防衛力はその存在だけで抑止力に成らない」かも知れんが、路面から出る途端沈みそうな装備を沢山作って格好良く動かすでも大した抑止力に成りません。国民は格好良さに騙されるですが、敵国の軍人は恐らく騙されません。
清谷氏すら発言からみれば「あれなら10式の方が未だマシ」と言わんばかりです。彼に拠るとデータリンクすら装備しないらしい。あれなら、正直74式をOverhaulしてThermal Imagerを装備してこの後戦略機動性の為大型Trailerを買う方が有効且つ廉価に見えます。
=
>タイミング的に中国のADIZ関連かと思ってたら戦車ネタだったので意表をつかれました
未だ自分の意見を纏まっているではない?
投稿: 香港からの客人 | 2013年11月23日 (土) 23時43分
数多様
「防衛力はその存在だけで抑止力になるという従来の発想は完全に捨て去ってもらわねばならない」という発言そのものには賛成です。香港からの客人さんが言うような問題発言とも思いません。私の理解では、要は「きちんと使えるような、体系だった編成、装備、訓練にせよ」という意味だと思います。
私なりに勝手に解釈すれば、
・空自・海自は那覇基地の、航空機の掩体を(たとえ戦闘機や対戦哨戒機の調達を遅らせてでも)整備すべき --> 2-3機の機体が調達できなくても、敵の先制攻撃で10-20機失うより、はるかにまし
・陸自は、(旅団と師団の)2つの異なる連隊編成を併存させる不合理をなくすべき --> 各地から連隊をかき集めて戦う得に、編成が揃っていないと、混乱が生じる
・3自衛隊とも兵站をもっと充実し、燃料、弾薬の備蓄をすべき --> 弾丸切れの軍隊はただの燃料/食料浪費集団と化す
などなど。他にも沢山ありますが、内部政治に基づく不合理や、実戦を考慮しないゆえの欠陥を是正することを、意味していると理解します(かなり手前味噌な解釈です:笑)。
数多さんの言うように、陸自の戦車たたきという側面もあるのかもしれませんが、文字通りに受け取れば、そうとは限らない。例えば、
・有事を考えるから、ステルス性を持つF35戦闘機を配備しているわけで、その特徴は日頃の実任務=平時のアラートには何の役にも立ちません。アラートだけで良いのであれば、グリペンNGこそ最適な機体。
・有事を考えるから、戦車も必要な訳です。ただし、多数の配備はあり得ない。逆撃用の重部隊を持つことが大事なのであって、全国津々浦々に戦車部隊を配備する金はない。
・有事を考えるから、護衛艦や潜水艦の数を増やすわけです。日頃の実任務=平時の領土防衛は、海保の仕事ですし、もう一つの日頃の実任務=近隣諸国の海軍活動の監視であれば、護衛艦から砲もミサイルも取り払い、レーダーとESM、そしてソナーだけ備えれば良い。
一方で、「トランスフォームに抵抗している勢力」は陸自内に間違いなくいるでしょう。空自(戦闘機偏重)にも、海自にも(護衛艦偏重)いるでしょうが、3自衛隊の中で、もっとも「実戦的というより官僚的」なのは、陸自だと私も思います。異常な数の中将、650名の「大隊」を大佐が指揮する階級インフレ、師団用と旅団用で異なる連隊編成、兵站部隊軽視。つらつら並べるだけで、「実戦を考えていない」感が、ものすごく強いですからね。(敢えて辛口に批評)。
投稿: ドナルド | 2013年11月24日 (日) 22時09分
>首相がこれだけ明確な当てつけを言うのですから、12月の大綱改正は、戦車の削減等、思いの他、大胆なモノが打ち出されてくる可能性があります。
当てつけを言うだけならいいのですが、当てつけで削減はやめて欲しいです。
あくまで必要なものを必要な数だけ用意して必要な場所に配置する、ということをやって欲しいものです。
投稿: かきぴぃ | 2013年11月25日 (月) 11時28分
ドナルド氏
>香港からの客人さんが言うような問題発言とも思いません。
誤解を招いたらしいので:私も別にあれを問題発言と思っていませんし、自分の「中央」解釈もドナルド氏と似ていると想います。ただ、左翼の危惧も文句上あり得ると認めているに過ぎません。なにせ日本は憲法9条を解釈で自衛隊まで許した国です。
そして、久遠氏の解釈は提言されるまで気づいて居ませんでした。成る程、そんな解釈もあり得るがの感じです。あり得るとして、賭けとするなら、私は安倍氏がそんな意図が無いの側へ金を投げる事にします。
だが、安倍氏の意図はどうであれ、もしそんな解釈もあり得る、且つ自衛官なら多くそう解釈すると想定するなら、これは不健康と想います。理由は既に述べたので割愛。
>私なりに勝手に解釈すれば
掩体と兵站の件は賛成です。
>一方で、「トランスフォームに抵抗している勢力」は陸自内に間違いなくいるでしょう。
彼奴等は一番損害を受けているから、抵抗が有っても仕方有りませんと想いますけど。
だが、他の件についてちょっと述べてさせて頂きます:
中将:英国軍に比べたら、英国軍は12万人でこっちは15万。そして大将と中将を併せて彼等は15人こっちは28人。だがそっちの師団数は2です(まあ、戦闘力的には遥かに勝るとは言え)。しかも准将から大将まで数えると将の総勢は200人程度、こっちは130人程度です。
元々将=中将はただ西側と合わせる為の方便です。実際給料の面から見れば、日本の将の階級は9も有ります。指定職ではないの将補(二)から指定職8です。そして、師団長は良くで指定職2に過ぎません。そして、指定職1(旅団長と同じ)の師団長も有るのです。こう考えると、英語の方便で他国と比べるとどうかと想います。
650名の「大隊」を大佐が指揮する階級インフレ、師団用と旅団用で異なる連隊編成:一応連隊は連隊(軽)に降格される時、指揮する物も「一佐(二)」から「一佐(三)」に成ったので、階級と給料は実に減っています。
あれでも厭い、大隊に降格させ、部隊長を二佐にするも勿論可能です。ですが、疲弊も有ります。先ず、師団・旅団司令部との関係が変わります。現在、連隊長より偉いの司令部員は限らています。主に師団長、副師団長、幕僚長三名に限ります。普通、責務の多さで彼等は必ずしも何時も出ているに限りません。一部の交渉や調整は勿論下級幕僚に任せます。彼等の階級は連隊長より下で有るから、理屈上連隊長は有利な立場で調整を進む。言うまでも無く、指揮官は二佐に成ると今回は劣勢で調整を進む。そして、他の支援兵科(例えば、特科)の階級は下がらないので彼等との関係も変わります。この結果事実上連隊/大隊の自立性を低下に成ります。
そもそも、責務は果たして同等ですが?操るの部隊規模はそう変わりませんが、責任は必ずしも等しいでは有りません。欧州に比べ、日本の地形は複雑且つ小さいな所が多いです。この故、欧州で大隊は飽くまで旅団の一部で有り、旅団で戦術軸を守る事に成るなら、自衛隊は「連隊」一個で一つの戦術軸を支える事が多く成ります。その結果、平均的に言えば独立性の要求は高く成り、あれも考慮すれば、階級は高く成るも仕方有りません、と言う考えも有ります。
如何でしょう?
投稿: 香港からの客人 | 2013年11月26日 (火) 00時22分
香港からの客人さま
お返事ありがとうございます。
○将の件
>(英軍は)准将から大将まで数えると将の総勢は200人程度、こっちは130人程度です。
貴重な情報ありがとうございます。英軍も将は多いのですね。ただし、英軍の准将は最上級の佐官(上級大佐)扱いであり、陸自で言う「一佐(一)」と同等ではないかと思います。
>英語の方便で他国と比べるとどうかと想います
私は、星の数が3つであることを問題にしているだけです。「陸将」と呼ばれていてもいいのです、星2つの将軍であれば。そうすれば、外国では少将扱いですよね?英語の方便と言いますが、軍隊において階級は大切です。増強された人員5000名の米軍旅団の指揮官が准将の時に、7000人の陸自の師団長が中将だと、大いに不都合が生じるでしょう。日本語は確かに自由ですが、階級章はキチンと世界標準に近づけるべきではありませんか?
○連隊/大佐の件
> 自衛隊は「連隊」一個で一つの戦術軸を支える事が多く成ります
まず、師団普通科連隊の長が一佐であることに、私は問題はないと考えています(定員を充足さえしていれば)。規模的には2個大隊相当の部隊であり、連隊戦闘団を編成すれば、小型の旅団だからです。
問題は旅団普通科連隊=ただの大隊です。「戦術軸」の定義を、正しく理解しているか自信がないのですが(素人で済みません)、湾岸戦争の頃の記録を読むと、米軍も、大隊規模で戦闘群を形成して戦っています。これらの部隊はかなり独立に行動していましたが、司令は中佐です。陸自の二佐が、米陸軍の中佐より、著しく無能とは思えません。
> 現在、連隊長より偉いの司令部員は限らています。
これは、諸外国の旅団と、日本の旅団では、司令部と「大隊」の関係が異なる、という意味でしょうか?そうだとすると、これこそが、最も避けるべきことと思います。
「戦わない軍隊」である陸自が、日本独自の陸戦理論を構築してはいけません。世界の標準を(取捨選択しつつ)学ぶ方が、はるかに現実的ではないでしょうか?そのとき、旅団の編成の根本が違っていると、まずいのではないでしょうか?
端的に言えば、陸自の旅団は「師団の小型版」な訳ですが、世界のどの国も「小さな師団」は導入せず、「旅団」を導入しています。その理由は、それぞれの階級の軍人が指揮できる最適な人間の数で決まっているからと理解しています。
#最後に、「階級インフレが恥ずかしい(典型的なダメ軍隊によく見られるものだから)」という、もう一つの原点に戻って、身もふたもない言い方とすると、一佐(三)を、二佐(一)と名前変更し、二佐を二佐(二)すれば、海外とのバランスも取れ、実質は変わりません(笑)。なぜそうしないのでしょうか?なお、「階級インフレが恥ずかしい」と、情緒的な表現をしましたが、極めて本質的な話です。原則を曲げるのは、常に危険ですから。。。
投稿: ドナルド | 2013年11月26日 (火) 01時23分
モンキー 様
ADIZの件は、別に記事を書きます。
香港からの客人 様
陸自差別とのことですが、陸自の観閲式で言ったという点が重要ですし、従来の発想に拘る理由があるのは陸自だけです。
抑止力と実効性に関しては、過去記事をご覧頂くとともに、過去の大綱も見て頂ければと思います。
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-0206.html
首相の口出しですが、軍政事項には政治の意向を優先すべきです。
逆に、軍令には口を出されすぎては困りますが。
戦車教団は、2chをはじめとしたネットで、戦車大量保有を教条的に主張する方々の事です。
ドナルド 様
兵隊、備蓄については、現大綱で基盤的防衛力を廃止してから、恐らく少しずつ改善していると思います。
おっしゃるように、最もトランスフォームが必要なのが陸自だと思っています。
投稿: 数多久遠 | 2013年11月26日 (火) 17時20分
久遠氏
>陸自差別とのことですが、陸自の観閲式で言ったという点が重要ですし、従来の発想に拘る理由があるのは陸自だけです。
まあ、もっとも損らしい損を受けているのは陸自だけで、空自はF-35予定(まあ、疑念も有りますが)、海自は6-10護衛艦増えに成る。文句を言う必要は全く有りません。
>首相の口出しですが、軍政事項には政治の意向を優先すべきです。
全く同意ですが、これは釘を刺す等とちょっと違います。文民統制の原理は、政治家は軍人の率直な意見を聞き、そして総合の見地から最終の決定を下し、軍はこれを実行する。だが、釘を刺すと、事実上この率直さを損ない、Yes-Manを誘う事に成り、結果的に防衛学、そして国防の損に成りかねません…
=
ドナルド氏
>ただし、英軍の准将は最上級の佐官(上級大佐)扱いであり、陸自で言う「一佐(一)」と同等ではないかと思います。
だが、一応あっちはBrigadier (NATO OF-6)で、こっち一佐(一)でもColonel (OF-5)です。英国はどう考えているのは自由ですが、例えば米国ではBrigadier GeneralもOne-Starですので、この扱いを受けるではないでしょう?
>私は、星の数が3つであることを問題にしているだけです。「陸将」と呼ばれていてもいいのです、星2つの将軍であれば…階級章はキチンと世界標準に近づけるべきではありませんか?
私も、「良く米様に通ったですね、これ」を思う所は有るんですが、陸将はきちんと中将のポスト(例えば方面隊総監)も含めているですので、幕僚長プレーで階級章だけを一部2スタにするしない限り、Lieutenant Generalと3スターで行くしか有りません。
寧ろ、チートと言えば将補です。陸、海、空の将補のポストにも目を通したんですが、正直どう見でも全ては良くでBrigadierのポストです。元々将補は語意自体から少将より*准*将に似ている。最近、自衛隊にもOne-Star Generalの造設を検討しているですが、将補に手を出せば事は済むと想います。財務省もこれなら通すでしょう…だが、これなら2-Starはどうするが?流石に1-Star、そして3-Starはどうかと…
>問題は旅団普通科連隊=ただの大隊です。「戦術軸」の定義を、正しく理解しているか自信がないのですが(素人で済みません)、湾岸戦争の頃の記録を読むと、米軍も、大隊規模で戦闘群を形成して戦っています。これらの部隊はかなり独立に行動していましたが、司令は中佐です。陸自の二佐が、米陸軍の中佐より、著しく無能とは思えません。
確かに、米軍では、大隊規模ならTF(英国ならBG)、中隊もチームを組む事は出来ますが、これは戦術軸の一つを担保しているとちょっと違う。特に海湾戦争では地形が砂漠で、大規模な部隊の同時同軸行動に向きます。こんな状況では、TFは協力しあって侵攻(西ドイツでなら防衛)を行いますが、例えTFは敗北が有っても同軸後方に旅団予備等でバックしている。で言うか、旅団が敗北に成っても師団予備が有ります。痛いは痛いですが、戦線の一部の崩壊等に至らないでしょう。そして、直接配下しているの部隊も原則的に戦車と機械化歩兵の直接射撃系です。砲兵は飽くまで支援関係です。
だが、自衛隊のRCTはちょっと違う。規模は(軽)じゃなくでも精々2個大隊ですが、地理の制限で分断で戦うしか無いの場合が多い。例えば、北海道の防衛線ならRCTを北、東と西の戦術軸に振り分ける必要が有ります。この場合、砲兵も分けて*配属*に成ります。そして、一番重要なのはバックが有りませんの事です。一つの正面で破られば、敵はこの軸に進み、他の正面の裏を取る等の結果に成ります。これは軸を支える事です。
(軽)の場合、部隊員の数こそ減らされますが、任務は同じですので、定員を減ったからで責任は等しく減らされない以上、階級の「完全」な減らしはどうかと…
>世界の標準を(取捨選択しつつ)学ぶ方が、はるかに現実的ではないでしょうか?…そのとき、旅団の編成の根本が違っていると、まずいのではないでしょうか?
編成の件ですが、貴方と言う通り、規模ならあれは大隊です。編成は一般的と想いますが。
司令部の件:ここの選択肢は簡単です。二択です。下の指揮官は上方司令部の参謀より偉いがどうかです。米式(ロシア式も)ならNo、伝統な英式ならYesです。
これは正解と不正解が有りません。各自に利点と疲弊が有ります(個人としては日本の事情でやや独立性を担保する英式の側ですが)。
そして、日本は他の国や自分の歴史を参考して現在の制度を。だが、一番重要なのは既に数十年も立った系統で、数えない程の手順や規則や慣例等もこのシステムの前提(相対関係も含む)で作られました。ここで、世界と合わせる為にこの全てを変更すべきであるがどうかはもうちょっと考える必要が有るではないでしょうが。
因みに、「これを言うなら、司令部や他の科も歩調を併せて階級減だ!これで相対関係も維持出来るでしょう!」の方策も可能です。だが、日本の憲法と違って、設立した系統の変化は主に漸進式です。連隊の地位減は幕僚の階級減を別個の実行されると想定しないと不現実です。以上の理由も有り、例え世界と合わせるの名目で(軽)を大隊に降格しても、この後幕僚も等しく降格できるがと言うなら困難です。
そして、この降格は米国と合わせるの意味も有るですが、例えば旅団S3を三佐まで減らすとしよう。だが、米国の旅団S3は確か中佐に成ります。えっと、ただでさえ米様なのに、階級まで下ならあとが無い。調整はどうする…指揮官の均衡だけは全てじゃないぞ!
経験値の減少と言う疲弊は、まあ、言うまでもないが?
取り敢えず、今回連隊人数の削減と共に、大隊ではなく連隊(軽)に成ったのは制度内で削減を果たそうとする意味合いも有ります。制度厳守は官僚のやり方と言うなら、まあ、そうでしょうけど、不必要な混乱を回避するにも役に立ちます。この視点も必要だと。
>その理由は、それぞれの階級の軍人が指揮できる最適な人間の数で決まっているからと理解しています。
もっと正確に言うなら、最適な*責務*です。これは「人間の数」も含めているですが、この全てではないのです。日本の場合、知ってる限り(軽)に成った連隊はに軽く成ったのは頭数だけで、担当するエリアも任務もさほど変わっていません。ただ「半分の人数で同じ事をやれ!」と言わんばかりです。難易度で言うなら寧ろ増さった。ここで、責務は減ったでしょうが?あんまり減ってないなら、階級はどうなるべきが、ちょっと考えるべきではないでしょう?
如何でしょう?
投稿: 香港からの客人 | 2013年11月27日 (水) 14時35分
香港からの客人さま
#議論のおかげで、問題点が洗い出されて来ていると思います。
<将について>
> 陸将はきちんと中将のポスト(例えば方面隊総監)も含めているですので、...階級章だけを一部2スタにしない限り、Lieutenant Generalと3スターで行くしか有りません。
はい、つまり、私は将補を1 starにし、陸将を 2,3,4 star に分類することを提案しています(すでに3starと4starの分類は存在)。あるいは、1star准将、2star将補、3star陸将、4star幕僚長陸将でもよい。まあ素人の発言なので、そうなると良いなと思っている、というだけの話しですが...。
<連隊(軽)について>
○まともな議論:
>だが、自衛隊のRCTはちょっと違う。規模は(軽)じゃなくでも精々2個大隊ですが、地理の制限で分断で戦うしか無いの場合が多い。
まず、正直言えば、昔から言われるこの「地理の制限」を私は信じていません。日本は列島国家であり、侵略された時には戦線の最大幅は列島幅です。地図を見ると分かりますが、日本海側、中央の盆地、太平洋側の3個しか地理的な分断はありません。つまり3個の旅団/師団を貼付ければ、前線は構築できます。
同じ理由で、「地理的に、全国に**個の連隊が必要です」という説明も、私は信じていません(災害対策は別)。現代の陸軍は、有事には航空機や自動車で戦域へ機動して戦うのです。「機動、集中、突破」が現代の基本戦術と理解しています。
> 日本の場合、知ってる限り(軽)に成った連隊はに軽く成ったのは頭数だけで、担当するエリアも任務もさほど変わっていません
が、そもそも間違っているという主張です。連隊の管区の役割は、あくまで災害対策+ゲリコマ対応レベルで、有事は関係ないはず。大隊は大隊です。650名を一佐が指揮しても、1100-1200名の「師団普通科連隊」と同じ責務を果たせるはずがない。
ただ、実際にはおそらくおっしゃる通りのことになっているのでしょう。陸自は人員削減を迫られた時に、基盤的防衛構想のグランドデザインを変更せず、つまり単位数を減らさずに、部隊の小型化で誤摩化そうとしたわけです。戦略的なこと、戦術的なことを「まともに考えなかった」わけで、だから「実戦を戦うつもりはなかった」と、私は(素人なりに勝手に)批判しているわけです。
#むろん、素人の私のコメントが完全に的外れな可能性はあるのですが、私自身としては、今のところ、(軽)連隊を大佐が指揮するもっともらしい理由は、見当たりません。
で、私の主張は、15-20個の旅団を擁する5-6この師団か、現在の師団普通科連隊を3-4個擁する8-10個の師団に編成を統一せよ、というものです。連隊が「戦術軸」を担うのなら、師団普通科連隊規模にするしかありません。「旅団」であれば、旅団。要は、部隊の小型化ではなく、部隊の単位数を減らすべし、です。
○元も子もない対策:
で、身もふたもない、別の解決策ですが、(繰り返しですが)「一佐(三)を、二佐(一)と名前変更し、二佐を二佐(二)すれば、海外とのバランスも取れ、実質は変わりません」(笑)。香港からの客人の懸念する、旅団司令部との階級のずれも、今のままです。
ただし、師団/旅団の、いずれかの編成に統一することは、必須と思います。今のごちゃごちゃは害悪です。
投稿: ドナルド | 2013年11月27日 (水) 23時44分
ドナルド氏
>はい、つまり、私は将補を1 starにし、陸将を 2,3,4 star に分類することを提案しています(すでに3starと4starの分類は存在)。あるいは、1star准将、2star将補、3star陸将、4star幕僚長陸将でもよい。まあ素人の発言なので、そうなると良いなと思っている、というだけの話しですが...。
まあ、これは正直賛成できるですが、出来るまでにLieutenant Generalのまましか有りません…
>地図を見ると分かりますが、日本海側、中央の盆地、太平洋側の3個しか地理的な分断はありません。
大きいな分断と言えばそう成るが、前回も述べた様に、第2師団管区の道北すら微地形やロードネットの都合で3つに成ります。Google Earthで拡大すれ日本の地形の複雑性が理解できると想います。
>つまり3個の旅団/師団を貼付ければ、前線は構築できます。
えっと、例え地形は完全フラットでも、旅団や師団は兵力密度やC3I系の都合で有効的にコントロール出来る幅に限度が有るですよ。
>「機動、集中、突破」が現代の基本戦術と理解しています。
「機動、集中、突破」しても、時間が要ります。この為に、現地で時間を稼げてくれるな部隊はとでも望ましいでしょう。そして、相手も作戦術で「機動、集中、突破」を妨害するので、これも想定しなければ成りません。
>大隊は大隊です。650名を一佐が指揮しても、1100-1200名の「師団普通科連隊」と同じ責務を果たせるはずがない。
うむ、これはね…まあ、勿論同じ働きは…無理です。ただし、与えられた資源で最善を尽くすのは軍で有り、そして歴史上、複雑且つ狭い地形に少数な部隊で大きいな軍の動きを一時的阻む事は幾らでも有ります。勿論、この為に尚更運用は上手くしなければ成りません。兵は少くしか有りませんが、せめてベテランな老将で指揮して貰うの感じです。
>むろん、素人の私のコメントが完全に的外れな可能性はあるのですが
私も、別にプロでは有りません。ただ素人なりに別の視点を提供しているに過ぎません。そもそも、日本のプロはこの件についてどう考えているがに興味が有るですが、第一回のコメントにも述べた様に、米国と違って日本ではこの視点を提供するの雑誌等はあまり見当たりません…良い紹介有りますが?
>要は、部隊の小型化ではなく、部隊の単位数を減らすべし、です。
陸自も、抵抗が無いと言わないが、必要と認める時こうするのです。現在、戦車の扱いはそう証明しているではないでしょうが?清谷氏に拠ると方面隊に集中運用。はるな氏に拠ると重点地域の師団に集中して運用する、他では戦車の配置が放棄。(実際、報道の間に此れほど相違があると、何も決めていないと危惧しなければ成らないですが、何れにせよ、部隊数は減らされている。)
ただ、限られた兵力で部隊数を減らせば、一部の地域を防御しないに等しい。勿論、相手は真っ先にあそこで攻めるでしょう。慌てて空挺で緊急展開しようとでも、相手は恐らく空中にある程度の優勢が有るし、困難でしょう。陸路の兵は爆撃され易く、そして、現地で防衛するの兵が無いなら、相手の進行速度も勿論早い。これを阻止する為、戦術的に不利の態勢でも取り敢えず部隊を戦闘に命じるしか有りません。最悪、相手は防衛陣地への攻勢ではなく、遭遇戦の連続で自衛隊の部隊を各自撃破します。
勿論、薄すぎるの防衛戦を敷所で大した時間稼ぎに成りませんし、敵に捕虜を送っている様な物です。こんな物は最低限が有り、これを下回ると防衛線の効力は激しく低下、上回ると少数な人数でもそれなりの防衛を維持できます。この最低限の判断は防衛学の課題で有り、私達の様な素人は判断し難しい分野です。
つまり連隊(軽)の場合、ただ部隊数を減らす方が良いまで至って無いかもしれません。650名は勿論1200名の働きが出来ませんが、それでも有効な防衛線を構築できると判断されたでしょう。
もし普通科は更に削減され、例えば一部の連隊が380人構成(自衛隊は空挺でこの規模を「大隊」と認めている)に成れば、陸自の判断はどうなるがについて興味が有るのです。
もっとも、今ゲリコマ対処はまだしも、災難派遣すら本格の侵攻の備えより優先を得られる現在(これは本末転倒と言う)、普通科の大幅な削減は無いでしょう。その代わりに重装備は先ず先ず減らされる。確かに重装備だけで戦えないですが、重装備が無いと、ゲリラ戦位しか出来無いのも事実です。
>「一佐(三)を、二佐(一)と名前変更し、二佐を二佐(二)すれば、海外とのバランスも取れ、実質は変わりません」
えっと、理解し難いの区分を増やすでも一佐(三)で指揮しているの連隊(軽)を滅すべきですが?
一佐(三)の役職は連隊(軽)の指揮官だけでは有りません。例えば陸自では師団のG3も一佐(三)です。二佐に降格すると、今回は米軍のG3と釣り合わなく成る。
そして、これをやれば、現実上、他の自衛隊もフォローしざるを得ません。海自ならイージス艦やDDH等も一佐(三)です。米軍の除けばイージス艦程の大型艦は大佐ポストでしょう。そして、米軍すら万トン以上のDDHを大佐ポストに認めざるを得ません。だが、彼等のポストを一佐(二)に昇進しても不適切です。一艦の艦長は隊司令と同格に成ります故。じゃ、隊司令の区分を一佐(一)にするのが?うむ、色んな群司令と同格になるそ。群司令を将補(二)に…えっと、ちょっと本末転倒に成ってない?(正直詳しく有りませんが、)空自も一佐(三)のポストはあるでしょう。
つまり、貴方の案は恐らく陸自だけではなく、全自衛隊からの反対を受け、通さないでしょう。
投稿: 香港からの客人 | 2013年11月28日 (木) 21時16分
香港からの客人さま
ありがとうございます。お互いの主張の違いもはっきりして来たので、この辺で終りにして良いかと思いますが、いかがでしょうか?(私は、かねてより「お互いを尊重する議論し、誤解少なく意見しあうことは大切だが、最終的に同意する必要はない」という立場です)
意見が一致しない点について、「私の」現時点での結論は、以下です:色々な理由はあるが、最終的に「650人の部隊を大佐が指揮している」時点で、原則を破っている。こうした「原則」は重視すべきであると、私は考えています。
#実際、示される理由の大半は、「私には」、陸自の「階級編成の都合 & 財務省対策」=官僚主義的理由にしか見えず、申し訳ありませんが、賛成できません(他にいくらでも良い方法がある)。
あとは個々の話:
> 日本の地形の複雑性
おっしゃる通り日本の地形には皺が多いです。しかし、増強中隊(200-300名)が守る地形、大隊戦闘群(1000名)、(師団普通科)連隊戦闘団(2000名)、旅団/師団(3000-7000名)が守る地形は見えますが、「大隊を一佐が指揮しないと守れない地形」は、申し訳ありませんが、私には見えません。
> 旅団や師団は兵力密度やC3I系の都合で有効的にコントロール出来る幅に限度が有る
その通りです。私が言ったのは、旅団が展開できる地形であれば、おっしゃるような「大隊戦闘群が戦術的に孤立して戦い、それ故に一佐が指揮しなくてはならない」ケースは該当しないということです。普通に旅団/師団で戦えます。
>陸自も、抵抗が無いと言わないが、必要と認める時こうするのです。
もちろんそうです。が、同時に、軍隊が官僚主義的になりやすいことは「歴史が何度も」示しています。陸自だけが、官僚主義の危険から自由であるとは、私は思いません。「階級インフレ」「兵站軽視」「充足率低下、いいかえると、予算に比して多すぎる定員」は、危険なシグナルだと、私は考えています。
> 理解し難いの区分を増やすでも一佐(三)で指揮しているの連隊(軽)を滅すべきですが?
二佐の件は、強く主張するつもりはありません(笑)。が、大隊を一佐が指揮するのはやめるべきだし、また、旅団(大隊基幹)か師団(連隊基幹)に編成をそろえるべきとは、強く主張します。
まあ、「自衛隊からの反対を受け、通さないでしょう」ようとも、議論は自由ですから(笑)。
ありがとうございました。
投稿: ドナルド | 2013年11月28日 (木) 23時14分
管理人様
すでに一区切りついた件のようですが、おじゃまします。
650人に大佐は、合理的な理由はない。
昭和の40年ごろから続いている懸案事項がいぜんとして続き、今後ますます困難視されていることが理由です。
それは陸士の採用難と低充足。
陸士採用難と低充足→曹の定員増(と士の定員減)→いぜんとして陸士採用難低充足→今度は幹部の定員増(士の定員減)
これらが何十年と続いてきて、いつのまにか今の実員は陸士より幹部が多い(定員はまだ士が多いが)。
陸士ならば十羽ひとからげで班や分隊に放り込めばよいが、幹部ならば指揮官ポストや管理職ポストが必要。
単なるポストではなく階級がついて回るので、階級インフレと部隊の格上げ(ほんとは階級の格下げ)。
これが積もり積もって、組織数(部隊数)を増やし、逆に個々の人数はやせ細って650人の連隊に。
他にも、師団後方支援連隊は500~600人で、2個の大隊に3から4個の中隊。これで部隊かね。
どうせ実戦は無いし、あっても一瞬の遭遇戦、または1週間程度の小競り合いで継戦能力を問われることはない。
というところでは?
今の陸自の(海も空も同じ問題を抱えているが)最大の懸案事項は2等陸士の継続して安定的な採用環境を得ることにある。
数十年の懸案が急に好転するはずはないし、少子化の進展もあるので、予算上の最重要事項はこれである。
今の何倍も金をかけ、ありとあらゆる方策を継続検討し、年数をかけてムードを涵養しない限り、
いずれは士の数は1万人を割り込み、組織崩壊していく。
今、採用倍率が高いといわれているが、定員を減らしたら充足率向上となった。
というたぐいで採用数が少ないだけ。こわくて採用数を増やせない。いつ倍率が1倍を下回るかもしれない。
安易に曹候を取り入れて士の数を減らし、平均年齢を上げて、採用増の努力を怠った結果である。
この件については、防衛官僚も制服組高級幹部も、あらゆる方策をつかって訴えたり理解してもらう努力を怠り、
五月雨式の正面装備獲得に目を奪われた責任は極めて大きい。
数年前の民主党の事業仕訳の議事録(実員像や地連に関する)をみると、
防衛省側の努力不足、能力不足、そもそも熱意の無さは明白である。
地連の存在意義は2士獲得にあるのに本当のことを言わず、ごまかしと、格好づけに終始。議事録読むと驚きますよ。
いずれは5000人の師団、500人の連隊、、、これを議論しても??
最もかつての乙師団も実員は5000人未満のところもあったが。
投稿: 立石寺 | 2013年12月13日 (金) 00時31分
立石寺 様
自衛隊の階級ピラミッドがアンバランスな理由は、士の採用難にあるわけではありません。
理由は、高齢(高階級)者を退職させられない人事制度のせいです。
この問題は、財務省からの圧力もあり、2年ほど前から防衛省も各種施策を検討してますが、なかなか妙案に辿り着いてないという状態です。
ですが、何時までも放置して良いものではないでしょうから、近いうちに施策が打ち出されると思います。
投稿: 数多久遠 | 2013年12月14日 (土) 15時59分
管理人様、13日のコメントについてです
しつこくて済みませんが、採用難という言葉だけでは誤解が出るので捕捉します。
今は採用難ではなくて、大変狭き門になっています。学卒の陸士も多数います。
ただこれは、全般的な安定志向があるのと合わせて、次のような理由です。
応募者が100人いて、90人採用ならば昔のように誰でも健康なら可。ただし10人採用なら狭き門といった状況です。
本当は200人位採用して2任期くらいで回していきたいが応募者は100人しかいない。今後減る要素はあっても増えない。
こういう意味での採用難です。しかも今の応募者数は、併願者も多いため単純に足すとダブルカウントになる。
陸海空合わせての数字ですが、
平成 3年実員 幹部3.9万人 准曹12.8万人 士7.3万人
平成22年実員 幹部4.3万人 准曹14.4万人 士4.1万人 当然全体の高年齢化と士の採用減になります
海の士は昔から少なかったが、いつのまにか陸もとんでもないことに。
合計が減っている中で士はそれ以上に減って、減らしすぎを、幹部と曹で増員した結果です。
しかも任期制だけでなく、曹候を含めることにより、年数で人数をかせぐ手段もとった。
18万人体制から東西対立解消に伴う定員減(主役は陸)をこのようにしてきました。防衛省・陸自が自分でです。
なぜか?このタイミングで士を減らして、幹部と曹を増やしておかないと、今後士の応募者が減少するという見通しの中で、
士の充足率を考えると、総員が減る一方になる。階級のアンバランスは今は目をつむり総人員数確保の枠組みを
しておくべき。という理由以外に考えられません。
装備の高度化・高密度化のための熟練者(幹部や曹)がますます必要という理屈は多少はあってもあくまで屁理屈です。
高階級者の早期退職は、階級構成のバランス是正というより若年化促進です。在隊年数がすくなければ上に行く人も少なくなるが。
アンバランス是正には階級毎の定員枠の見直しが必要です。これも実際には、上記のような人数の変更策をとったのと、
過去、防衛庁・陸自が自分で予算上のテクニックとして、見通し無く幹部・曹の定年延長を行い、
退職金をとりあえず先延ばしにしてこの財源を装備購入としたことが何度かあります。
また、早期退職は、人事制度の問題ではなく、制度を実施したくても条件整備が困難な点にあります。
中途退職の意識面変革、再就職先(受け皿)の質と量の確保、が必要であり、社会情勢に頼むところがあり自前の解決は困難。
そのため必要とは認識していても、階級別在隊年数制限がとりにくい現実があります。
ここが改善していけば、士をも含めた採用環境の好転、若年退職者の増加による予備役の諸問題改善につながります。
ただ、何度もいいますが、若年化のためには、総人数を確保する以上採用の増加が不可欠で、
両者(早期退職と採用増)は同時並行で改善していかないと
除隊したが再就職先がない、入る人がいなくてますます低充足、といったことになってしまう。
財務省の主張は総人件費改善(減少)です。これに防衛省がまじめに答えなかった、改善の誠意すらみせなかったため、
個別論の階級の話をつつきだしました。本来財務省は金額を扱い、将が何人、一佐が何人など興味も知識もありません。
採用環境にしても、退職者の受け皿確保にしても自前での改善は困難です。輝号計画もメリット少なく弊害が目立ちあえなく失敗。
確実に進む事実としての少子化、大学進学率の高止まり、比較的自由度大の農林漁業および自営業の激減
など社会現象として何らかの改善なくして環境好転は難しいと思われます。
関係官僚、高階級者、除隊議員などは、声を大にして、格好悪いと思わず、恥ずかしいことだと思って隠さず、
あらゆる関係者に対して提案と策を求め、1000億円オーダーの金をかけて、長期に渡って、手をうたないと
15万人が10万人、8万人となりしかも兵隊のいない軍隊と化す恐れがでてきます。
機動戦闘車など中古で十分。
どうせ動かす兵がいない。ついでに(すり減るほど動かさないし、砲身寿命が来るほど弾は撃たないし)
・・・・とならないように。
すいません。長々となってしまいました。ここで止めたいと思います。
長期にわたって深刻で改善が大変難しい問題と感じられるために、
650人の連隊からずいぶん変な方向にいっていまい、申し訳ありません。
投稿: 立石寺 | 2013年12月16日 (月) 00時28分
立石寺 様
採用難と狭き門は、真っ向から対立する現象ですよ。
狭き門であるならば、採用難とは言いません。
士と曹の比率で、曹が多すぎになっている理由は、前回指摘したとおり、逆です。
士の採用を絞ったから曹が増えたのではなく、曹が増えてしまったため、士の採用を絞らなければならなくなっただけです。
早期退職は、新たな大綱等でも手を付けることになっています。
投稿: 数多久遠 | 2013年12月22日 (日) 11時21分