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2013年9月

2013年9月 7日 (土)

H26概算要求-その1_総評

例年のとおり、防衛省の概算要求を見て行きますが、まずは全体の総評から軽く触れます。
我が国の防衛と予算-平成26年度概算要求の概要-

海兵隊機能だとかグロホだとか、事前報道では結構な変化が予想される情報が出ていましたが、全体とすると、昨年までの概算要求と比べて、思ったほどの変化はありません。

それもそのはず、防衛省の事業要求は、防衛計画の大綱をベース(ドクトリン)として、その実現のために、5年間を対象とした中期防衛力整備計画をたて、各年毎の事業要求は、この中期防に沿って行われることが基本だからです。
現在、大綱と中期防は、自民党への政権移行に伴って廃止され、言わば空白状態であるため、防衛省としても、大きな変革が出来にくい環境にあります。

その意味では、本年末に策定される大綱と中期防を受け、今回の概算要求は、多少手直しされる可能性のあるものだと思っておいた方が良いかと思います。

手直しされるだろうという予想は、別の点からも予想されます。
Ws000020
防衛費の総額4兆8000億円は、平成17年度の防衛費にも迫る額で、いくら中国の脅威が切迫しているとは言え、同じく切迫している国家財政を考えれば、とてもではないですが、このまま認められる額ではないでしょう。

その上、今回の増額要求は、為替の悪化と中国の活動に対処するための活動経費の上昇という、不可避的な要因が大きいです。
特に、為替の悪化による歳出化経費の上昇は痛いでしょう。何せ、買った物の値段が、ローンの支払い途中で値上がりしたようなモノですから。

この事を考えると、今回の概算要求は、今後の財務との折衝過程で、ここから相当削られるモノとなるはずです。

この概算要求は、例年以上に、実際に予算化されるものとの乖離が大きいでしょう。
実際の予算で今年度と同等程度の増額要求が認められたと仮定しても、この概算要求から1000億も削らなければなりません。
これは、たとえ護衛艦の新造を削ったとしても、まだ足りない額です。それを恐らく3幕で分ける形になります。

例年以上に、折衝の状況が気になる概算要求です。

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2013年9月14日 (土)

H26概算要求-その2_先島防衛の考え方

H26概算要求には、実に大きな命題が含まれています。
それは、先島(宮古島周辺の宮古列島と石垣から与那国島までの八重山列島、そして尖閣諸島)防衛の考え方をどうするか、という問題です。

概算要求には、「島嶼における不法行動及び侵攻事態に備え、島嶼を奪回する機能として水陸両用機能の整備に着手」するとあります。
一見すれば、尖閣を守る確固たる意志を示していると見えなくもありません。
ですので、昨今の情勢から、この施策に反対する方は少ないでしょう。

しかし、良く見てみると、これはとんでもない話なのです。

過去記事にも書きましたが、AAV7等の水陸両用車両では、尖閣には上陸できません。
尖閣の奪還なら、ヘリやオスプレイを整備し、(主に)空からの奪還を目指すべきです。
参照過去記事「泥縄の水陸両用車導入

そうではなく、水陸両用車両による島嶼奪還を目指すと言うことは、防衛省・自衛隊は、有人島である宮古列島と八重山列島に対しても、奪還(一旦獲らせてから獲り返す)戦略を採るということです。

中国が、尖閣諸島だけでなく、宮古・八重山にも手を出すかという蓋然性については、議論があるでしょう。
ですが、私が再三下地島の有効性を説いているように、尖閣で衝突が起こった際、宮古・八重山が後方軍事拠点として機能するかどうかは、尖閣周辺での軍事バランスに極めて大きな影響を与えます。

そのため、尖閣の領有権で中国と衝突する際、中国としては、自衛隊に宮古・八重山を軍事拠点として使わせないため、一時的に宮古・八重山を攻撃あるいは占領しようとする可能性はかなり高いものと思われます。

また、長期的には中国は第1列島線として、これらの島を狙っているため、一時的占領が、そのまま長期化する可能性も捨てきれません。

防衛省・自衛隊とすれば、この可能性が読めるからこその水陸両用機能整備なのですが、そのための具体策として、水陸両用車両を検討するということは、前述の通り、中国がどの島を狙うか読み切れないため、当初から厚い配備を行わず、中国が占領した島を奪還することを作戦として考えるという意味になります。

現代の中国軍が、どの程度の蛮行をするかは読み切れませんが、略奪・レイプなどの可能性は捨てきれません。

そうでありながら、果たして宮古・八重山に対して、獲ってから獲り返すと言う、攻撃・占領されることを前提にした作戦で良いのかというのは、単に軍事的合理性だけで考えれば良い話ではなく、宮・八重山の方の意見も聞いた上、国民的議論が必要だと思われます。

少なくとも、宮古・八重山の住民は、中国軍が蛮行を行わないアルゼンチン並みには近代的な軍隊であることを信頼し、防衛省・自衛隊を信頼した上で、獲られてから獲り返す戦略を支持するのか、表明してもらう必要があるでしょう。

水陸両用車両は、26年度、27年度の間、あくまで研究用の参考品としての取得です。
だから、この問題に対して、解がこれで良いのかどうかは、年末に発表される次期中期防、つまり今後5年間の間に声を大にしなければならなりません。

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2013年9月21日 (土)

H-6の沖縄通過飛行は集団的自衛権行使問題に対する恫喝

2ヶ月ほど前にも、洋上監視型Y-8が、沖縄を越えて太平洋に進出し、その意味を記事にしていますが、今度はもっと意味の分かりやすいH-6が、同じような経路を通って太平洋に進出しています。
参考過去記事:Y-8による第1列島線突破飛行の軍事・政治的意味

統幕発表:中国機の東シナ海における飛行について

今回確認されたH-6
Ws000023
統幕発表資料より

飛行経路
Ws000022
統幕発表資料より

H-6は、基本的には爆撃機ですが、海軍が保有する対艦攻撃を主任務とする機体もあります。
統幕発表資料では空軍機なのか海軍機なのか発表されませんでしたが、飛行経路からすると、海軍機であることが強く疑われました。
そして、この件については、日本国内で大きく騒がれた訳ではなかったものの、むしろ中国がアピールする形で、海軍機だったことが中国政府によって発表されています。
中国軍爆撃機の南西諸島通過に中国「訓練、特定国に向けたものでない」」(産経新聞13年9月9日)

中国国防省は9日、「海軍の航空機が西太平洋で訓練をした」とした上で「特定の国や目標に向けられたものでもない」とする談話を発表した。


空自は、H-6がどこまで進出したのか、追いかけて調べなかった(恐らく航続距離の関係で追い切れなかったものと思われます)ようですが、この対艦攻撃型H-6(D型orG型)が太平洋まで進出した軍事的な意義は明確です。
Y-8についての前掲過去記事と同様に、中国が接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略を推し進め、沖縄を越えて、太平洋上において米空母機動部隊の接近阻止を図るつもりだと言うことです。

その上で、中国がわざわざ発表したことを考えると、今回のH-6の飛行は、Y-8以上に政治的な意味も見て取ることができます。

H-6は、原型機体が旧ソ連のTu-16であり、中身はモダナイズされてはいるものの、基本的な飛行性能は、1950年代に開発された旧式機です。
沖縄本島から迎撃機が上がれる状況では、太平洋上まで進出して対艦攻撃を行う事は、100%不可能です。

つまり、中国海軍がH-6により太平洋上で接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略を行うためには、嘉手納の米空軍、そして”日本が集団的自衛権を行使するならば”那覇の空自戦力を叩いた後でなければ実施できないということです。

この事実を踏まえると、H-6の、そしてY-8の太平洋進出飛行は、安倍政権が推し進める集団的自衛権行使に関する解釈変更に対して、那覇を叩くと言う恫喝(ブラフ)であるとも言えます。

中国が那覇を攻撃する具体的手段としては恐らく弾道ミサイルがメインになるでしょう。
また、J-20の開発が順調に進めば、J-20も投入されるでしょうし、J-11やJ-10、そして無人攻撃機による航空攻撃もありえます。

いずれにせよ、7月のY-8、9月のH-6と、我が国の集団的自衛権行使問題の進展に合わせた飛行は、中国国防省が、わざわざ「特定の国や目標に向けられたものでもない」と白々しい談話の発表を行ったことからしても、その裏には政治的な意味があると見るべきでしょう。

コレが、集団的自衛権行使の解釈変更に対する恫喝であることを報じるマスコミが皆無なことは、中国としたら当てが外れたと思っているかもしれませんが……

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2013年9月28日 (土)

中国紙に載ったインタビュー

中国の重慶青年新聞さんにメールでインタビューを受け、それが記事になりました。
記事を見ると他にも、インタビューを受けていた自衛隊関係者がいたみたいです。
(私のインタビュー部分は、青地の部分のようです。)
Chongqingyouthnewsjp2

インタビューの内容は、防衛計画の大綱改正に向けて作成された「防衛力の在り方検討に関する中間報告」についてだったのですが、記事がどの程度正確にインタビューの内容を反映してくれたのかは、中国語がサッパリなので、正直分かりません。

誰か、中国語の分かる方がいましたら教えてもらえると助かります。
それにしても、メディア初登場となった訳ですが、それが外国、しかも普段敵対的な事ばかり書いている中国の新聞だったのは、何だか感慨深いです。

ちなみに、重慶青年新聞さんがどんな論調の新聞なのかは分かりませんが、重慶は昔から日本との関係が強く、今でも親日の方が多いと言われる都市です。

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