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2013年9月14日 (土)

H26概算要求-その2_先島防衛の考え方

H26概算要求には、実に大きな命題が含まれています。
それは、先島(宮古島周辺の宮古列島と石垣から与那国島までの八重山列島、そして尖閣諸島)防衛の考え方をどうするか、という問題です。

概算要求には、「島嶼における不法行動及び侵攻事態に備え、島嶼を奪回する機能として水陸両用機能の整備に着手」するとあります。
一見すれば、尖閣を守る確固たる意志を示していると見えなくもありません。
ですので、昨今の情勢から、この施策に反対する方は少ないでしょう。

しかし、良く見てみると、これはとんでもない話なのです。

過去記事にも書きましたが、AAV7等の水陸両用車両では、尖閣には上陸できません。
尖閣の奪還なら、ヘリやオスプレイを整備し、(主に)空からの奪還を目指すべきです。
参照過去記事「泥縄の水陸両用車導入

そうではなく、水陸両用車両による島嶼奪還を目指すと言うことは、防衛省・自衛隊は、有人島である宮古列島と八重山列島に対しても、奪還(一旦獲らせてから獲り返す)戦略を採るということです。

中国が、尖閣諸島だけでなく、宮古・八重山にも手を出すかという蓋然性については、議論があるでしょう。
ですが、私が再三下地島の有効性を説いているように、尖閣で衝突が起こった際、宮古・八重山が後方軍事拠点として機能するかどうかは、尖閣周辺での軍事バランスに極めて大きな影響を与えます。

そのため、尖閣の領有権で中国と衝突する際、中国としては、自衛隊に宮古・八重山を軍事拠点として使わせないため、一時的に宮古・八重山を攻撃あるいは占領しようとする可能性はかなり高いものと思われます。

また、長期的には中国は第1列島線として、これらの島を狙っているため、一時的占領が、そのまま長期化する可能性も捨てきれません。

防衛省・自衛隊とすれば、この可能性が読めるからこその水陸両用機能整備なのですが、そのための具体策として、水陸両用車両を検討するということは、前述の通り、中国がどの島を狙うか読み切れないため、当初から厚い配備を行わず、中国が占領した島を奪還することを作戦として考えるという意味になります。

現代の中国軍が、どの程度の蛮行をするかは読み切れませんが、略奪・レイプなどの可能性は捨てきれません。

そうでありながら、果たして宮古・八重山に対して、獲ってから獲り返すと言う、攻撃・占領されることを前提にした作戦で良いのかというのは、単に軍事的合理性だけで考えれば良い話ではなく、宮・八重山の方の意見も聞いた上、国民的議論が必要だと思われます。

少なくとも、宮古・八重山の住民は、中国軍が蛮行を行わないアルゼンチン並みには近代的な軍隊であることを信頼し、防衛省・自衛隊を信頼した上で、獲られてから獲り返す戦略を支持するのか、表明してもらう必要があるでしょう。

水陸両用車両は、26年度、27年度の間、あくまで研究用の参考品としての取得です。
だから、この問題に対して、解がこれで良いのかどうかは、年末に発表される次期中期防、つまり今後5年間の間に声を大にしなければならなりません。

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防衛予算」カテゴリの記事

コメント

数多様

#分かっていておっしゃっているのだと思いますが。。。

おっしゃるような側面があるのは確かですが、敢えて、2点、異を唱えさせて頂きます。


1:南西諸島に限らず、島嶼の防衛をするには、「奪還(一旦獲らせてから獲り返す)戦略」が合理的ななことは確かだと思います。沖縄に限ったことではなく、小笠原でも、利尻島でも、対馬でも、五島でも、同じです。全ての島に平時から師団規模の兵員を配備することは兵力的に不可能ですし、そもそも、演習場確保なども考えれば、島が軍事要塞と化して、「守るべきもの」そのものを島から排除してしまうことになり、不健全です。

北朝鮮バリに、国民皆兵にしたとしても、兵力分散は愚策(補給を絶たれれば、確実に敗北だから)。実質的に、奪還戦略しか、手がないのです。そのための装備を自前で確保し始めている、というのが今回の対応と理解しています。

#なお、私は、AAV7購入には反対です。その前に輸送艦とLCVPとLCACとLCU、UH60Jヘリ、そして燃料、弾薬をもっと買うべきだと思います


2:また奪還戦略が、相手に先に獲らせることを「前提」にしている、というのは間違った表現と思います。軍事の全てに関わることですが、私の考えでは軍事力とは基本的に「抑止力」です。相手がこちらの島嶼を占領したとしても、ごく短期間に奪還され、甚大な被害を出し、盛大な無駄になりますよ、という状況を担保することで、そもそも相手がその島を占領する意図を持たなくさせるのが、仕事です。

戦闘機の配備も同じです。自衛隊の戦闘機は、敵の戦闘機を撃墜するのが仕事ではありません。敵の戦闘機が、日本を攻撃するメリットをなくすことで、そもそも戦争を抑止するのが最大の目的ではありませんか?


とはいえ、八重山諸島に、1個大隊(=陸自で言う旅団連隊)は、配備したい所ですが、地元の皆さんの理解が最優先。時機を待つしかないかと。

>相手に先に獲らせることを「前提」にしている
これは、憲法九条並びに「専守防衛」のドクトリンの根本的問題になってきますね
そもそもそれなら軍隊を持つこと自体が戦争が起こる事を前提にしているという一部の平和主義団体のロジックも成り立つわけで

>少なくとも、宮古・八重山の住民は、中国軍が蛮行を行わないアルゼンチン並みには近代的な軍隊であることを信頼し、防衛省・自衛隊を信頼した上で、獲られてから獲り返す戦略を支持するのか、表明してもらう必要があるでしょう。

であるならば、専守防衛や憲法問題を日本国民に今一度何かの答えを出してもらわなければいけない
また、中国軍がアルゼンチン並みには近代的であったとしても、
宮古・八重山が日本国の一員である以上、中国に占領されると言う事は一時的な占領であるならまだしも、尖閣諸島だけではなくて沖縄も中国領土であるという世論が強硬派中心に起こっている現状で

中国領土に編入されることは是とするかどうかですよね。
フォークランド住民は英国に帰属支持を今でも打ち出してますから

八重山の一住民の意見としては、「島嶼を奪回する機能」と称して新しい装備を導入するよりも、事前配備に力を注いで欲しいですね。
与那国といい下地空港といい、防衛省はどうも腰が重いようですが。

ドナルド 様
1に関して
軍事的合理性については、その通りだと思います。
ですが、要塞化しなくても、洋上及び空中で撃破することを第1にすべきですし、陸自についても、有事において、敵の侵攻前に緊急展開する等の方法があるはずで、それらの選択については、軍事的合理性だけで考えるべきではないと思っています。

2に関して
敵前上陸による奪還は、侵攻した敵以上の戦力が必要です。
逆に言えば、少数の敵による侵攻以外では対処困難な訳ですが、そうなる(敵は少数)と敵としてはたとえ全滅させられたとしても、甚大な被害とはならず、抑止が効かない可能性はあると思われます。

「地元」というときに、「宮古・八重山」なのか「沖縄」なのかが問題になりそうですね。

ハンドル用 様
いまいちおっしゃりたいことがよく分かりません。

野底マーペー 様
他の方へのレスでも書きましたが、問題は、宮古・八重山の方の意見が、沖縄県の意見にならないことではないでしょうか。
防衛省としては、沖縄県が反対するため、動きにくいという状況があります。

八重山の方が声を大にして、沖縄県、というか沖縄本島メディアを翻意させてくれたら、スムーズに進むと思います。
削減圧力を強く感じているだろう陸自にとっては、渡りに船な話ですし。

私は沖縄本島に住んだ事が無いので、私の周りの「本島から来た人」、「本島に住んだ事がある人」から話を聞くだけなんですけど、ここ10年くらいの本島における対自衛隊感情はそんなに悪いものじゃ無いと思ってます。いろいろな意見があるでしょうから、私の周りの人達がたまたまそうなのかもしれませんが・・・
ただ、米軍をどうにかしない事には事前配備も「過重負担」などとキャンペーンを張られるのも致し方無いのかなと。自衛隊も米軍も一体視して運動した方が、彼らにとっては効果的でしょうから。

まぁ、数多さんのおっしゃる「宮古・八重山の方の意見」がどんなものかちょっとわからないのですが、多分、地元紙「八重山日報」の姿勢とか、最近の選挙では保守が強いって事を指しているのですよね?
私は、八重山への自衛隊配備賛成派の片隅に入れてもらえるかどうかといった程度の社会的に無力な存在なので、自衛隊や米軍の宣伝マンである某市議なんかが今後も声を上げていくと思われます。
後は、与那国の轍を踏まないよう、防衛省がちゃんと現地の様ような立場の人間と接触し、広報していく事が必要なんじゃないのかなと。住民がいるのに逆上陸なんて、愚の骨頂だと。

野底マーペー 様
尖閣に対して、米軍にコミットさせるためにも、米軍をどうにか(沖縄から移転)することはできないでしょう。
キャンペーンを張りたがる方には付け込まれるでしょうが。

「宮古・八重山の方の意見」は、確かにメディアの論調や選挙結果で見ています。
与那国については、たぶん防衛省の想定外だったんでしょうね。
いくら小規模の自治体首長でも、あんな単純思考をするとは思わなかったんでしょう。

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