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2013年8月 4日 (日)

統合運用における陸上自衛隊

最近では、防衛省自衛隊も動画を使って広報する機会が増えてますが、全体的に見て、出来はイマイチのモノが多いように思います。
しかし、その中でもコレはなかなか秀逸な出来です。
統合運用における陸上自衛隊


一部には?な内容や、駐屯地や部隊数、及び装備を維持するための組織防衛的は言及も見られますが、陸自の考える防衛が如何なるモノなのかを端的に示す内容になっています。
10年前と比べると、陸自は大変革したと言える内容ですが、今後も大きく変わって行くでしょう。
前回記事の陸自関係の内容を分かりやすく映像化した資料になっています。
是非、ビデオを見て下さい。

以下では、簡単なビデオの紹介とコメントをします。

このビデオでは、我が国の防衛を、次の4項目に分けて説明しています。
①島嶼部に対する攻撃への対応
②弾道ミサイルへの対応
③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
④本格的な侵略自体への備え

①島嶼部に対する攻撃への対応
では、海空自が重要としつつ、陸上自衛隊の部隊として最初に登場するのは、なんと沿岸監視部隊です。
そしてまた、初動を担任する部隊の編成を検討していると伝えており、噂される海兵隊化編成を仄めかす内容になってます。
武装漁民が上陸してきた際にも、陸自で最初に対応するのは、陸海自と協同する地対艦ミサイルや対空ミサイル部隊で、その後、島嶼防衛を担任する部隊を機動させて敵部隊の上陸阻止、上陸されてしまった場合は奪還するとしています。
また、周辺島嶼部からの住民避難を行なう事も述べられています。
そして、海空自や米軍基地を警備することも役割であるとしています。これは、10年前では信じられなかった事です。

この島嶼部に対する攻撃への対応だけで、このビデオの1/3程の長さを占めていました。
それだけ、この分野が重視されている証拠でしょう。

②弾道ミサイルへの対応
では、PAC-3の展開を支援し、展開後はその警護を行なうことが述べられている他、自治体への情報提供や、ミサイル着弾の際の救護や除染を行なうとしています。

③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
では、高度に都市化・市街化が進んだ日本では、少数の敵による攻撃であっても、重大な脅威となると認めています。
そして、全国の部隊から警戒監視のための部隊を派遣し、警察や自治体と協力して監視を行ない、原発などの重要施設の他、ここでも海空自基地の警備を行なうと述べています。
ゲリラや特殊部隊によるNBC攻撃に対しては、探知・除染する他、潜入した部隊に対しては、各種火砲や普通科部隊戦車部隊が包囲撃滅するという構想が紹介されています。
立て籠もりの際には、特殊作戦部隊により、救出もします。

④本格的な侵略自体への備え
では、「島国である我が国を占領しようとする場合、敵は海上・航空優勢を確保した後」着上陸や空挺降下が行なわれるとしています。
攻撃が行なわれるまでに自治体と協力して国民の保護に努めます。
海空自衛隊は、敵戦力を減殺するとしていますが……、海上・航空優勢を維持できなくなった状態で着上陸が行なわれるのですから、出来ることは限定的です。
陸自は、戦略機動により作戦正面に部隊を集中し、戦車や特科を使用し、戦闘機による近接航空支援と協力して、努めて海岸地域において敵の侵攻を阻止するとしています。
以前に北海道で考えられていたような遅滞戦闘を展開する内陸誘引は行なわないようです。
なお、この本格侵攻対処は、ビデオの1/10程度に過ぎません。

この他、地震などの災害派遣や国際平和協力活動、能力構築支援、在外邦人輸送にも言及しています。

このビデオは、陸自の現在の状況認識と対策について、非常にコンパクトにまとまっていますから、是非見て頂いた方が良いかと思います。

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防衛政策」カテゴリの記事

コメント

内容が別として、英語担当は首ね。日本人にとって英語は飾り物だと分かってますし、混乱を招かない程度なミスなら目を瞑るべきですが、一応政府公認の作品で有りながら「自治体」をAutonomy(=自治性、独立性等)にするとは…アニメでも許しがたいよ!まあ、確かに偉大成るWikipediaで一回だけそう書いてますが、他言語版までも読まんが?

そして、何より「本格的な侵略事態への備え」はPreparation against Full-fledged Act of Aggressionでは有りません!そんなんじゃGoogle Translate以下よ(怒)。

>警備することも役割であるとしています

警備が?あれは仕方なく余ってるの普通科を使うに他ならないでは?もっとも、警備に必要なスキルはもっと警察的で、必ずしも野戦歩兵と似合うとは限らない。

>潜入した部隊に対しては、各種火砲や普通科部隊戦車部隊が包囲撃滅するという構想が紹介されています。

あれを見ている時、私は「今回のコマンド部隊も結構大きな」と思ってしまったのです。

>以前に北海道で考えられていたような遅滞戦闘を展開する内陸誘引は行なわないようです。

そもそも遅滞戦闘するが、海岸で阻止するがのは敵の戦力に左右されます。防衛に十分の戦力が有るほど、阻止に必要の縦深は浅く成ります。つまり、侵略が有ってもソ連から想定されるの攻撃に比べたら規模が小さいと密かに認めているではないでしょう。

数多様

大変参考になる動画ですね。いろいろと考えさせられます。ありがとうございます。

ニコニコ動画でも公式に配信されてますね
http://www.nicovideo.jp/watch/1372841432

さらっと出てる在外邦人の輸送は現法でどこまで出来るのやら。
法・予算・人員と不足はあると思いますが、陸海空の皆さんには頑張って欲しいです。

さらっと海空の自衛隊施設や在日米軍施設と並んで、原発などの重要施設防護にも言及していますね

香港からの客人 様
英語版は見てないですが、そんなに酷いですか。
まあ、この手の動画は基本外注で作っているはずなので、日本語版のできあがりだけ見て、英語版のチェックをしてなかったのでしょう。

海空自や米軍基地の警備について、現普通科勢力では余剰どころか足りません。(原発など他の警備対象もありますので)
また、警察的なスキルが必要なことは確かですが、それに答えられるのは普通科しかないです。

対コマンドを想定しないと、機甲や特科は存在意義を説明できないんでしょう。

対ソ連よりも、対中国の方が、着上陸想定戦力が小さいと言う要素は確かにあると思います。

ドナルド 様
内容的には、私が以前から主張してきたのと、ほぼ同じ方向ですが、陸幕が作ったビデオだというところがミソですね。

SUS 様
ニコ動紹介ありがとうございます。

原発やダム、それから石油関連施設、政経中枢等、陸自が守らなければならない防護対象は多いです。
だからこそ、海空自基地の警備なんかは嫌がっていた訳ですが……

マル 様
陸上輸送の部分以外は、つまり邦人が空港や港湾まで来られれば、法制的にそれほど問題はないと思います。
他国での武器使用要件は、それほど緩和する訳には行かないでしょう。
あくまで避難な訳ですし。

>英語版は見てないですが、そんなに酷いですか。まあ、この手の動画は基本外注で作っているはずなので、日本語版のできあがりだけ見て、英語版のチェックをしてなかったのでしょう。

誤解を招いた模様ですね。飽くまでリンクした物の中の英語の事です。例えば7:31で右下角に有るの英語とか、10:20辺のサブタイトルとか…

もし専用の英語版での英語なら、最早飾り物とは言えないし、基準がもっと厳しくしなくちゃ…

で言うか、念入りで探したわけじゃないが、この手のビデオの英語版は見当たらないですね…だが、的もな英語で作らないと逆効果ですから、無い方が良いかもしれません。

>この手の動画は基本外注で作っているはずなので、日本語版のできあがりだけ見て、英語版のチェックをしてなかったのでしょう。

成る程、外注が。なら、ある程度納得するけど、このザマなら英語抜きで行くべきでしょう。飾りとは言え、政府公式物にこんなミスを許すべきではない。きちんと出来無いなら、無くす方がマシです。飾りですし…

とは言え、他の自衛隊作品の英語も時に凄く酷いざまに成っている。一番気にっているの例はこの何年も英語HPで居残っているこの作文:
http://www.mod.go.jp/e/publ/essay/endo.html
My Participation in RIMPAC 2006 by Akihiko Endo Trainee Staff, 2nd Commander 1st Body Guard Commander Group

何十何百の提出品の中から選抜された筈なのに、タイトルから間違っている。

で言うか、毎年出しているの防衛白書英語版すら、まあ比較に成らない程マシですが、時にやはり可笑しいな英語を現れます。護衛隊はEscort Corpsでは有りません(2012の物から)。正しい階層構造を学びましょう…

>対コマンドを想定しないと、機甲や特科は存在意義を説明できないんでしょう。

まあ、確かにそうだけど、この映画の目的の一つは日本国民を安心させるためでしょう。だが、素人でもあれを見ると「何?つまり、警戒網を張っているのに戦車や砲兵を使用しざるを得ない程のコマンド侵入も十分あり得ると言ってるの?」と思ってしまう…逆効果です。

十分に有り得るんでは?
ヤクザでもRPG持ち込んでましたし。

香港からの客人 様
最近では、空幕の広報室の活躍が、小説やテレビドラマで話題になってますが、非常な少数で多くの業務をこなしています。
当然、外注に頼らざるを得ないのですが、英語の細かいチェックまで手が回らないんでしょうね。
おっしゃるとおり、飾りで付けた英語が間違っているくらいなら、日本語オンリーにした方が良いでしょう。

官庁が作る広報資料は、国民を安心させるためではなく、官庁が行っている業務の妥当性を納得させるために作られています。
つまり、未だに機甲や特科の車両等の購入を続けていることの説明が必要なために、あのような内容になっていると思われます。

かたり 様
RPGを持ち込む敵に対して、戦車がなければ対抗できないという認識は間違っていると思いますよ。
96式等で対抗しようとして、RPGで96式が破壊されたとしても、敵はRPGの弾切れです。
そうなれば、もう碌な戦力ではなくなりますから。

数多久遠さま
何で一発限り?
ヤクザレベルの組織力でも持ち込めるんなら、国家のバックアップが有れば、歩兵携行装備の類は粗方持ち込めてしまうと見るべきでしょう。
携SAMやATM、迫に重機関銃にてき弾銃程度は覚悟しないと。

小火器の類を持ち込んでも、多少でしょう。国家が手を貸そうが量が増えるほど日本への持ち込みは困難です。実際暴力団が持ち込んだのは数えるほどだった訳です。にー管理人さまも戦車を全廃にしろと言ってません

因み小火器の類で武装したゲリラの侵入浸透は日本では困難です。隣近所に○国人が引っ越して来ただけで苦情が出るような国民です。日本に溶け込める少数のスパイならともかく、纏まったコマンドを養成、侵入は困難を極める。
またそんなゲリラコマンドなら新鋭戦車は不要品です。74式戦車で十分でしょう新鋭戦車購入理由にならないことは防衛省の予算資料を見ればわかります。

かたり 様
ゲリコマが、何を目的として、何を標的にするために、補給や支援を望めない我が国国内に”潜入”するのか考えてみてください。
戦車であろうと、それこそ装甲なしの高機動車を狙うのであろうと、自らの存在を暴露し、本来狙うべき重要目標を攻撃するたための数少ない重火器を射耗してしまうことは愚の骨頂です。

戦車は無能 様
コマンドは、装備的には軽歩兵ですから、むしろ対軽歩兵に有効な装備の調達を進めるべきでしょうね。

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