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2013年8月

2013年8月31日 (土)

特定秘密保全法とリーク情報の変化

26年度の概算要求が出ましたが、精査にちょっとばかし時間がかかるので、今回は別ネタです。
概算要求関係は、今しばらくお待ち下さい。

国家公務員による機密流出が厳罰化されようとしています。
機密流出で懲役5~10年 厳罰化、国会議員も対象 秘密保全法案」(産経新聞13年8月14日)

 政府は14日、国の機密情報を流出させた国家公務員への罰則強化を盛り込む「特定秘密保全法案」(仮称)で罰則を現行法より重い懲役5~10年とする方向で調整に入った。秘密情報に接する副大臣や政務官ら国会議員も対象となる。


今までが異常というべき状態ですので、方向としては間違ってません。

国民の「知る権利」や報道機関による取材の自由が侵害される可能性があり、与野党の議論の焦点となりそうだ。

知る権利は確かに必要ですが、国家の安全を脅かす情報の流出とはバランスさせて行く必要があります。

ともあれ、この特定秘密保全法が制定されると、政府のどこかがソースである情報の意味が変わります。
この法案は、全省庁にからむ法案ですが、このブログでは、いつものように防衛省だけを問題として、この法案を見てみたいと思います。

防衛問題を例にすると、今までちょっとヤバゲなリーク情報は、ほとんど内局から出たモノだと言われていました。(制服自衛官は、大抵これを苦々しく思ってます)

で、このリーク情報には、大きく分けて2つありました。
①新たな政策に関する世論の反応を見るための観測気球
②内局内部の別部署や勢力、及び制服自衛官を牽制するための世論操作を意図したモノ

問題は②です。
情報操作を意図したリークは、観測気球と異なり、必ずしも防衛省全体の利益に結びつきません。
これがあることにより、制服自衛官の内局に対する反感の元になったり、リークを恐れた制服側から内局にたいする情報隠しの元になったりします。

そして、メディアリテラシーの観点からすると、この情報操作を意図したリークがあったがため、防衛省から漏れ出てくる情報は、観測気球なのか、一部勢力による情報操作を意図したモノなのか読みにくいという状況がありました。

しかし、この特定秘密保全法が制定されると、リーク情報は、防衛省が(公式に)リークをさせようと意図した観測気球のみになります。
それだけ、リーク情報は割り引いて見なければならないことがハッキリする事になり、情報を読む側とすると、非常に読みやすくなります。

法案が通ると、出てくる情報が限定されることになりますが、オシントを行う側からすると、むしろありがたい事になるでしょう。

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2013年8月27日 (火)

統合司令官の新設

防衛省が統合司令官の新設を検討しているそうです。
【防衛省「統合司令官」新設を検討】 3自衛隊の運用統括  中国、北朝鮮情勢に対応」(47ニュース13年6月21日)

 防衛省が、陸海空3自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する「統合司令官」の新設を検討していることが20日、防衛省関係者への取材で分かった。
中略
 尖閣諸島をめぐる中国の動向やミサイル発射の恐れが続く北朝鮮への対応が常態化し、統幕長の業務量が増大しており、統合司令官の設置で役割分担を図る。


現在の(戦闘に関する)指揮系統は、各方面隊司令官(陸)、自衛艦隊司令官(海)、航空総隊司令官(空)が、それぞれ直接に防衛大臣の指揮を受ける形です。(実態的には各幕僚長が口出し(指示)をしますが)
ただし、統合運用が始まった後は、統合任務部隊指揮官(東日本大震災の災害派遣や弾道ミサイル防衛)が、直接に防衛大臣の指揮を受ける場合があり、その際の指示は統合幕僚長が行っています。

今後は、実際に武力衝突が起これば、自衛隊は統合運用されることが確実で、その際には、上記のように、防衛大臣↑(統合幕僚長)↑統合任務部隊指揮官という指揮系統で部隊運用されます。

今回の統合司令官の設置は、この流れを防衛大臣↑統合司令官↑統合任務部隊指揮官にしようとするものです。
高級指揮官を一人増やした所で、大した変化はないと思うかもしれません。
が、このニュースの大事な所は、司令官一人ではありません。

統合司令部は現在の統幕運用部を拡充する。


統幕は、統合幕僚長をトップとする防衛大臣のためのスタッフ組織であり、司令部ではありません。
しかし、実質的に運用部がその役割を果たして来ていました。
このまま行けば、統合司令官を新設することで、運用部も統合司令部として、統幕から切り離す事になります。

この「切り離す」というのは、結構重要です。
統合幕僚長と統合司令官は、利害が相克することも当然に予想されるからです。

端的に、衝突が予想される例としては、予算に関することがあります。
統合司令官は、部隊運用を強化するために、予算増を要求します。
対する統合幕僚長は、財務との調整も踏まえ、予算を抑えようとします。

今までは、この二つの要素を統合幕僚長が併せ持っていた訳ですが、統合司令官が設けられれば、両者は時にぶつかることになるでしょう。

冒頭で引用した通り、単に統合幕僚長の業務量が増大しているというだけではなく、指揮官として、防衛大臣により強く進言する必要のあるケースでさえ、幕僚であるが故に強く言えないケースもあるのかもしれません。

その意味でも、統合司令官の新設は、悪くない施策だと思います。

なお、統合司令官の新設とは別に、陸自の指揮を一本化するために陸上総隊(司令官)の新設も検討されてますが、統合司令官が居れば、陸上総隊司令官は不要な気もします。
防衛省「陸上総隊」創設検討 陸自の命令系統一元化狙う」(朝日新聞13年6月22日)

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2013年8月21日 (水)

主権在民なら責任も在民

参院選で自民党が大勝したこともあり、集団的自衛権に関する憲法解釈が変更されそうな状況です。

集団的自衛権を行使すること自体は、日米同盟を機能させるために必須です。
なので、行使を認める事自体には賛成です。

しかし、必要なこととは言え、行政である政府が、本来ならば司法が介在すべき法、しかも憲法の解釈を変更するだけで、大きな懸案を解決しようとすることに、非常な抵抗を感じます。

その方法も、内閣法制局が綿密な検討をした結果として変わるならまだしも、行使容認派の人間に長官の首をすげ替えることで、アッサリと法解釈を変えようとすることは、非常に乱暴な措置です。

私としては気に入らない人ですが、元内閣法制局長官であった阪田氏が言いたいことも、同じでしょう。
内閣法制局の元長官、集団的自衛権めぐる動きを批判」(朝日新聞13年8月9日)

 「集団的自衛権の問題は日本国憲法の三大原理の一つ、平和主義に関わる。国会の憲法論議も圧倒的に9条に集中して積み重ねられてきた。そういう蓄積を無視し、今までのは全部間違っていたということが、果たしてあっていいのか」

 なぜ行使が必要で、歯止めはどうするのか。国民への説明は首相と小松氏の連帯責任となった。阪田氏は「法治国家として、9条がもし時代に合わないなら改正するのが筋だ」と主張。「万一憲法解釈を変えるなら、内閣として国民の大方が納得する説明が最低限必要だ。それが政治だ」と語った。


民主主義では、主権在民ですが、民にあるのは主権だけでなく、その主権行使の結果で得られる結果も、同じく民の元にあるはずです。

9条の改正を否定し、集団的自衛権を行使しない結果、アメリカから冷遇され、国防も経済も崩壊したとしても、それが国民の選択の結果なら致し方ないことです。

安倍政権は、それを防ぐつもりなのでしょうが、集団的自衛権の行使を否定するならば、私は、その選択をした国民自身が、痛い目を見るべきだと思ってます。

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2013年8月15日 (木)

民間高速輸送艦をPFI方式で有事使用

このブログでは度々言及してきた高速輸送艦(ナッチャン等)使用の検討がPFI方式で本格化してきたようです。
海兵隊機能「高速輸送艦」 有事に民間フェリー転用 防衛省検討、PFI方式」(産経新聞13年7月26日)

 防衛省が、海兵隊機能の柱として導入する「高速輸送艦」について、PFI方式での民間フェリー導入を検討していることが25日、分かった。PFI法に基づき特別目的会社を設立し、平時は定期運航などの運用を委ね、有事や訓練の際に自衛隊が使用する。厳しい財政事情を踏まえ装備導入費を効率化するためで、有事での自衛隊の優先使用権も確保する方針。


これだけで、海上輸送能力の不足を払拭できる訳では無いですが、当ブログではしつこく言及してきた懸案ですので、解決の道が示されたことは、貴重な一歩だと思います。

ただし、懸念もあります。

 ただ敵の攻撃も想定される有事で民間人の船員に運航を任せられるか疑問視する声もあり、船員を有事に招集する予備自衛官に採用しておくことも検討する。

この方法に関しては、以前に現役の海自の方からコメントでも頂いておりましたが、戦争法規的に軍艦と同様に見なされるため、乗員については有事にあっては、どうしても自衛官の身分とする必要があります。
参照(コメント)過去記事「震災3次補正にC-2が2機

また、別の過去記事で指摘した国内法上の問題もあると思われます。
参照過去記事「「衛星」騒ぎで露見した艦船輸送力の不足

更に、実際に運用する際には、海空自による護衛が必要となりますが、その方法は、まだまだこれから研究が必要という状況です。
特に、対潜警戒において、速度の点で、護衛艦では、高速輸送船に随伴して護衛することが困難である点が問題です。
自ずとヘリと固定翼哨戒機で警戒することになるでしょうが、かなり大変な作業になることが予想されます。
また、魚雷攻撃だけなら、ヘリと哨戒機で防げる可能性がありますが、潜水艦発射の対艦ミサイルを使用されると、どうしても随伴艦艇による対空警戒が必要となるでしょう。
参照(コメント)過去記事「H24概算要求-その3_陸・輸送力

歓迎すべき方向ですが、課題山積というところでしょうか。

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2013年8月11日 (日)

Y-8による第1列島線突破飛行の軍事・政治的意味

7月24日、中国のy-8(早期警戒型)が、沖縄本島と先島諸島の間を通過し、太平洋上まで飛行しました。

統幕発表資料
Ws000016
Ws000017
同資料より

防衛大臣が発表したことで、各紙も中国の脅威を示す事例として、報じています。
中国軍機が沖縄-宮古間を通過 初の第1列島線越え」(産経新聞13年7月24日)

 中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線(九州-沖縄-台湾)を中国軍機が越えて飛行したのは初めて。中国はこの防衛ラインを伊豆諸島-グアム・サイパンを結ぶ第2列島線まで押し上げようとしており、海軍艦艇に続き、空域でも第1列島線を越えた衝撃は大きい。


中国軍機、南西諸島上空を通過 空自がスクランブル」(朝日新聞13年7月24日)
中国:早期警戒機Y8 沖縄本島-宮古島間の公海上を通過」(毎日新聞13年7月24日)

日本側には、参院選で大勝した安倍政権に対する中国の警戒感の表れ、との見方もある。


ですが、さすが大手新聞。分析が甘く、第1列島線を越えて、今までより遠方に出た程度にしか捉えていません。
と言う訳で、以下では、この早期警戒型Y-8太平洋進出の軍事的及び政治的意味を分析してみます。

Y-8の進出位置は、前掲防衛省資料のとおりですが、この行動で何ができるかは、Y-8のセンサーによります。
参考:Y-8洋上偵察機(Y-8ASA)
防衛省は早期警戒型と言っていますが、このY-8のレーダーは、対空よりも対艦メインの洋上監視型です。
となると、飛行高度が問題になりますが、防衛省の発表では不明です。
実用上昇限度は10400mという情報があるため、哨戒位置から更に380キロ程遠方までの艦船を捉えることが出来た計算です。

Y-8が、今回の哨戒地点で艦船を捕捉できたはずの範囲
Ws000015
この図に、中国の沿岸から1500キロの範囲を書き加えてみます。
Ws000019
概ね符号することが分かるでしょう。

この1500キロというのは、DF-21Dが対艦弾道ミサイル(ASBM)として運用される場合の射程です。
ソース:http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2010_CMPR_Final.pdf(P2)

つまり、今回のY-8進出は、軍事的には、ASBMによる攻撃の際のセンシング活動を意図した訓練、あるいは検証活動だったと見る事もできます。

そして、そうであるとすれば、Y-8の飛行は、政治的には、ASBMの運用態勢を着々と準備中であり、中国が接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略を推し進めているというアピールである可能性があります。

中国は、今回の行動を、「特定の国や目標に向けたものではない」と、わざわざアナウンスしていますが、かえって白々しく、アメリカの空母機動部隊を目標としている可能性が強く疑われるものです。
「特定の国に向けたものでない」=中国」(時事通信13年7月25日)

中国国防省は24日、取材に対し「海軍の航空機が西太平洋に行き訓練を実施した」とした上で、「いかなる特定の国や目標に向けたものでもない」とする談話を出した。


新聞記者では、このような軍事的に突っ込んだ分析をしませんが、情報本部など自衛隊の情報組織では、このような見方をしているのではないかと思われます。

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2013年8月 4日 (日)

統合運用における陸上自衛隊

最近では、防衛省自衛隊も動画を使って広報する機会が増えてますが、全体的に見て、出来はイマイチのモノが多いように思います。
しかし、その中でもコレはなかなか秀逸な出来です。
統合運用における陸上自衛隊


一部には?な内容や、駐屯地や部隊数、及び装備を維持するための組織防衛的は言及も見られますが、陸自の考える防衛が如何なるモノなのかを端的に示す内容になっています。
10年前と比べると、陸自は大変革したと言える内容ですが、今後も大きく変わって行くでしょう。
前回記事の陸自関係の内容を分かりやすく映像化した資料になっています。
是非、ビデオを見て下さい。

以下では、簡単なビデオの紹介とコメントをします。

このビデオでは、我が国の防衛を、次の4項目に分けて説明しています。
①島嶼部に対する攻撃への対応
②弾道ミサイルへの対応
③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
④本格的な侵略自体への備え

①島嶼部に対する攻撃への対応
では、海空自が重要としつつ、陸上自衛隊の部隊として最初に登場するのは、なんと沿岸監視部隊です。
そしてまた、初動を担任する部隊の編成を検討していると伝えており、噂される海兵隊化編成を仄めかす内容になってます。
武装漁民が上陸してきた際にも、陸自で最初に対応するのは、陸海自と協同する地対艦ミサイルや対空ミサイル部隊で、その後、島嶼防衛を担任する部隊を機動させて敵部隊の上陸阻止、上陸されてしまった場合は奪還するとしています。
また、周辺島嶼部からの住民避難を行なう事も述べられています。
そして、海空自や米軍基地を警備することも役割であるとしています。これは、10年前では信じられなかった事です。

この島嶼部に対する攻撃への対応だけで、このビデオの1/3程の長さを占めていました。
それだけ、この分野が重視されている証拠でしょう。

②弾道ミサイルへの対応
では、PAC-3の展開を支援し、展開後はその警護を行なうことが述べられている他、自治体への情報提供や、ミサイル着弾の際の救護や除染を行なうとしています。

③ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
では、高度に都市化・市街化が進んだ日本では、少数の敵による攻撃であっても、重大な脅威となると認めています。
そして、全国の部隊から警戒監視のための部隊を派遣し、警察や自治体と協力して監視を行ない、原発などの重要施設の他、ここでも海空自基地の警備を行なうと述べています。
ゲリラや特殊部隊によるNBC攻撃に対しては、探知・除染する他、潜入した部隊に対しては、各種火砲や普通科部隊戦車部隊が包囲撃滅するという構想が紹介されています。
立て籠もりの際には、特殊作戦部隊により、救出もします。

④本格的な侵略自体への備え
では、「島国である我が国を占領しようとする場合、敵は海上・航空優勢を確保した後」着上陸や空挺降下が行なわれるとしています。
攻撃が行なわれるまでに自治体と協力して国民の保護に努めます。
海空自衛隊は、敵戦力を減殺するとしていますが……、海上・航空優勢を維持できなくなった状態で着上陸が行なわれるのですから、出来ることは限定的です。
陸自は、戦略機動により作戦正面に部隊を集中し、戦車や特科を使用し、戦闘機による近接航空支援と協力して、努めて海岸地域において敵の侵攻を阻止するとしています。
以前に北海道で考えられていたような遅滞戦闘を展開する内陸誘引は行なわないようです。
なお、この本格侵攻対処は、ビデオの1/10程度に過ぎません。

この他、地震などの災害派遣や国際平和協力活動、能力構築支援、在外邦人輸送にも言及しています。

このビデオは、陸自の現在の状況認識と対策について、非常にコンパクトにまとまっていますから、是非見て頂いた方が良いかと思います。

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2013年8月 1日 (木)

防衛計画の大綱改定に向けた検討中間報告レビュー

年末の防衛計画の大綱改定に向けた検討の中間報告が発表されました。

防衛力の在り方検討に関する中間報告について

内容は、中間報告であるためか、抽象的で方向性を出しているに過ぎませんが、注目すべきポイントを抜き出して解説します。

5 防衛力の在り方
(2)防衛力の能力評価
当該能力評価は、これまでの陸・海・空自衛隊の枠にとらわれず、統合運用の観点から自衛隊全体の機能・能力に着目して評価を行い、防衛力整備において重視されるべき機能・能力を導出する

海・空は洋上及びその上空での敵戦力の撃破を、陸は本土決戦を考えるという従来の発想からは脱却することになりそうです。

各種事態への実効的な対応の項目については、具体的な各種事態として5つが上げられています。

各種事態への実効的な対応
 ①警戒監視能力の強化
 ②島嶼部に対する攻撃への対応
 ③弾道ミサイル攻撃及びゲリラ・特殊部隊への対応
 ④サイバー攻撃への対応
 ⑤大規模災害等への対応

当たり前な話ですが、本格的な侵攻対処は入っていません。

陸自の指揮系統については、ついに手を付けるようです。

海上及び航空自衛隊と異なり、全国にまたがる部隊の運用を統括する司令部を有しない陸上自衛隊において、中央指揮組織の設置及び当該組織と各方面隊の関係の在り方について検討を深化


これは、当ブログでは再三言ってきた事ですが、基地等の防護をやっと真剣に考えるようになりそうです。
陸自の普通科部隊は、今以上に重要になるでしょう。

運用基盤である駐屯地・基地等の各種支援機能が維持されていることが前提であり、駐屯地・基地等の復旧能力を含めた抗たん性を高めることが極めて重要である。


防衛省としては、「別表は必要だ!」と主張しています。

大綱別表は、このような中長期的な視点に立ち、我が国が目標とする具体的な防衛力の水準を示すと同時に、我が国の防衛力整備に関する透明性も確保してきている。
このような別表の意義を踏まえれば、別表は引き続き維持すべきである。


さて、特徴的な部分は以上です。

全般として、目に付いたキーワードは「統合」です。
統合自体は、今までにも再三耳にしている言葉ですが、防衛力の評価にも統合を前提として考えるという点は、大きな変化を予感させます。
駐屯地・基地等の支援機能維持を大きく謳っている点からしても、陸自の役割は、島嶼作戦以外では、後方の守りを固めることに重点が置かれそうな予感がします。
当ブログでは再三訴えてきた方向なので、非常に歓迎すべき傾向だと思っています。

逆に、無いことが違和感を覚えるキーワードは、「動的防衛力」です。
今更「基盤的防衛力」に戻ることも無いと思いますが、機動展開能力の向上を謳いながら「動的防衛力」あるいはそれに類する言葉が皆無であることには違和感を感じざるを得ません。(民主党に対する意地でしょうか)

全般として、抽象的で、量も少ないため、詳細については不明な点が多いですし、考えられる施策を全て行うと、予算的に無理があると思われるので、実際に発表される大綱には差異も出てくると思われますが、大綱は期待してよい内容になりそうです。

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